【アロマ】パルマローザ精油
-植物の特徴・期待される効果効能とは?

【アロマ】パルマローザ精油<br />-植物の特徴・期待される効果効能とは?

フローラル&シトラス調のイネ科植物

パルマローザは名前からも想像できるように、ローズもしくはゼラニウムに似たフローラルな芳香を持つイネ科の植物。レモングラスの近縁種で、変種にはジンジャーグラスもあります。特徴はゲラニオールとよばれるフローラルな芳香を持つ精油成分を多く含んでいることで、鎮静や抗うつ作用などメンタルサポートに効果が期待されるほか、保湿や皮膚細胞成長促進作用を持つ可能性があることからスキンケア用としても注目されています。

パルマローザ(Palmarosa)

パルマローザとは

パルマローザの特徴・歴史

ハーバル感・フローラル感・シトラス感の入り混じった爽やかな香りを持つパロマローザ。植物としてはイネ科オガルカヤ属(Cymbopogon)に分類される多年草で、レモングラスシトロネラなどとは同属・近縁種と呼べる関係です。とは言えこの2つが柑橘系・レモンのようなと称される香りを持つのに対して、パルマローザはバラ(ローズ)系のフローラル感を持つことが特徴です。別名“Indian geranium(インドのゼラニウム)”と呼ばれるように、精油の香りとしてはローズよりもゼラニウムに近い、ハーバルな印象を強く感じますが…。

レモングラスなどと同じくパルマローザの原産はインド周辺地域とされ、インドでパルマローザは“ロシャ(rosha)”と呼ばれ、古くから生活の中で様々に利用されてきたと伝えられています。家々では虫除けや防カビ剤のような感覚でも利用されていたそうですし、インド伝統医学アーユルヴェーダでは精油を神経痛や腰痛・リウマチなどの緩和に取り入れています。そのほかスキンケアにも利用されているそう。パルマローザから精油が生成されるようになったのは18世紀ことからと言われていますが、トルコ・ペルシアを通じてヨーロッパへの輸出されるようになるとインディアンゼラニウムやターキッシュゼラニウムと呼ばれローズオイルの偽和剤・代用品として多用されます。

パルマローザは天然ゲラニオールの単離原料でもあり、現在はインド以外に南米やアフリカなどでも栽培が行なわれています。近年はパルマローザの評価も高まっている言われていますが、はっきり「パルマローザの香り」と表記れた芳香商品があまり多くないのは偽和剤というマイナスイメージがあるためかも知れませんね。パルマローザオイルはローズオイルの偽和や、フローラル調の香り・バラの香りを出すための天然香料として多く利用されており、室内用の芳香剤から石鹸・化粧水・香水・タバコまで多方面で活用されています。また近年はスキンケアへの有用性や、ライトな香りから化粧品類に配合されることも増えているそう。

ちなみにパルマローザは学名Cymbopogon martiniとされる種全体の呼称としても使われてますが、モティア種とソフィア種の2つに分かれています。このうち一般的にパルマローザとして扱われているフローラルな香りを持つのはモティア種(学名:Cymbopogon martini var. motia)の方で、産地などの栽培条件により差はあるものの概ねゲラニオールの含有量が高いことが特徴。一方のソフィア種(学名:Cymbopogon martinii var. sofia)の方はと言うと、レモングラスがスパイシーになったような印象の香り。フローラル感や甘さはあまり感じられません。実はソフィア種は香り・成分差などからパルマローザではなく「ジンジャーグラス(Gingergrass)」と呼ばれており、別物として扱われいます。

成分・香り的にはゲラニオールの多いパロマローザの方が良質であると評されますが、香りについては好みによる所も大きいでしょう。ただしメーカーによってはジンジャーグラスに合成ゲラニオールなどを加えたもの・2種をブレンドしたものを「パルマローザオイル」として販売されていることもあると指摘されています。学名はCymbopogon martiniiまでしか表記されていないことがほとんどですので、気になる方は信頼できる販売者のものを購入する・問い合わせてみると確実です。

香料原料データ

通称
パルマローザ(Palmarosa)
別名
インディアンゼラニウム(Indian Geranium)、ロシャグラス(Rosha Grass)、モティア(Motia)など
学名
Cymbopogon martini(var. motia)
科名/種類
イネ科オガルカヤ属/多年草
主産地
インド、ブラジル、ネパール、インドネシア、コモロ諸島など
抽出部位
抽出方法
水蒸気蒸留法
淡い黄色~オリーブ色
粘性
低い
ノート
トップノート
香り度合い
中くらい
精油成分
ゲラニオール、酢酸ゲラニル、ファルネソール、リナロール、ゲラニアール、β-カリオフィレンなど
おすすめ
芳香浴・アロマバス・マッサージ・スキンケア・ヘアケア・防虫

ゼラニウムに似たフローラル感があり、ややドライで爽やかさの強い香り

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パルマローザに期待される働き・効能

精神面への作用と効果

産地などにより違いはありますが、パルマローザの精油は主成分がゲラニオール。バラに似た・ゼラニウムに似た香りと称されるのも、フローラル調の香り成分であるゲラニオール含有率が高いためです。このモノテルペンアルコール類の一種であるゲラニオールは鎮静作用や抗不安・抗うつ作用を持つのではないかと期待されている成分。実験ではドーパミンの分泌を促進する働きを持つ可能性も報告されており、精神・神経面のサポートに役立つのではないかと考えられています。加えてパルマローザには鎮静作用を持つ酢酸ゲラニル・鎮静や抗不安作用があるとされるリナロールなども含まれているため、神経系の興奮を鎮めてリラックスを手助けしてくれる精油の一つに数えられています。

また、抗うつ・抗不安作用が期待されていること、神経系をリラックスさせてバランスを整える働きが期待できることから、パルマローザ精油は「心のバランスを取り戻す手助けをしてくれる精油」の一つに数えられることもあります。ストレスや不安・心配事などで疲れてしまった時や心を癒して欲しい時、ストレスや精神的な疲労感から疲れてしまった際の香りとして選んでみても良いかもしれませんね。鎮静作用を持つとされる成分が多く含まれていますから、神経がピリピリしていると感じる時、緊張による覚醒状態が続いて寝付きが悪い時のサポートに使用されることもあります。

香りの印象としては甘く華やかさもありますから、落ち込んだり悲観的になっている時に気持ちをリフレッシュさせ前向かせるサポートとしても活用できそうです。心のお疲れ感や、バランスが乱れて情緒不安定になっていると感じる時に適した精油と言えます。また心に対しての強壮作用を持つという説もあり、精神面でのしなやかさや強さが欲しい方・人間関係のトラブルで心が疲弊してしまった方にオススメの精油として紹介されることがあるのも納得と言えるのではないでしょうか。

肉体面への作用と効果

パルマローザはインド伝統医学(アーユルヴェーダ)で関節炎などの痛み緩和に取り入れられている存在で、アロマテラピーなどでも鎮痛作用を持つ精油と考えられています。主成分であるゲラニオールにも鎮痛作用や抗炎症作用を持つ可能性も報告されており、2015年の『European Journal of Pharmacology』にはゲラニオールが身体のフリーラジカル消去能力を高めて炎症反応を抑制する可能性があることを示唆した、インドで行われた動物実験についての発表も掲載されています。伝統的使用とこうした報告から現在もパルマローザ精油は関節痛をはじめ坐骨神経痛などの神経痛・リウマチ・頭痛・偏頭痛など、様々な痛みの軽減に用いられています、
そのほか消化液の分泌を刺激して消化促進作用を持つのではないかという見解もあり、神経系の緊張を緩める働きが期待できることと合わせて腹痛や胃痛など消化器系の不調軽減にも繋がのではないかという期待もあります。循環器系を刺激することでリンパの流れを良くする・内分泌系の働きを高めるなどの働きも期待されています。

風邪などの感染症予防にも

パルマローザの主成分であるゲラニオールは抗菌・抗真菌・抗ウィルス作用や免疫力調節作用を持つことが報告されている成分でもあります。このためパルマローザ精油は風邪やインフルエンザをはじめ、膀胱炎・尿道炎・膣炎など泌尿器や生殖器系の感染症・腸内感染症などの予防やケアにも利用されているようです。免疫機能を整える働きも期待されているため、疲労時のケアや病後の回復サポートにも役立ってくれるでしょう。

パルマローザの香りは多少好き嫌いこそありますが、他の精油と組み合わせやすい香りでもあります。室内アロマとして使うことでお部屋の空気を綺麗にして、風邪などの予防をサポートしてくれると考えられます、また酢酸ゲラニルなど抗炎症作用が期待できる成分も含まれているため、風邪などに伴う発熱・鼻炎、気管支炎などの軽減にも効果が期待されています。

女性の体への働きかけ

妊娠中の使用が禁忌とされる理由でもありますが、パルマローザには子宮の収縮を促す働きを持つ可能性もあります。ゲラニオールに女性ホルモン(エストロゲン)の分泌を助けるのではないかという説もありますが、否定的な見解も多く作用については分かっていません。ゼラニウム同様に精神面への働きかけから自律神経のバランスを整える働きが期待できるため、自律神経と同じ視床下部が司っている女性ホルモンの分泌リズムを整えることに繋がるという可能性が高そうです。パルマローザは精神面でのサポートに優れた効果が期待されている精油でもありますので、認識していながらも抑えられない不安定な心やイライラ感などPMS(月経前症候群)や更年期に伴う精神的不快感の緩和をサポートしてくれる可能性もありそうです。

その他に期待される作用

肌・髪への働きかけ

パルマローザは脂性肌や乾燥肌などの肌タイプを選ばずスキンケアに利用しやすい精油の1つとして、スキンケア用として評価が高まりつつある精油でもあります。石鹸や基礎化粧品類に配合されることが多いのも「薔薇っぽい香り」だけではなく、皮膚への有効性が期待できるためだとか。感作性のない精油とされていますが、人によっては刺激を感じたりかぶれてしまう場合もありますのでパッチテストをきちんと行うようにしましょう。

パルマローザは保湿特性がある精油としてスキンケアに多く用いられてきましたが、近年は皮膚細胞の調整・弾力回復を助ける可能性があるということも注目されています。皮膚細胞に働きかけることで新陳代謝を活発にさせたり、皮脂・水分量を適切に整えてくれるのではないかと考えられ、ニキビ跡や妊娠線のケアにも用いられているようです。保湿作用や収斂作用もありますので、乾燥肌や脂性肌のお手入れにも役立ってくれそうですね。また肌のハリや潤いを回復させることで、パルマローザはシワやたるみの軽減などエイジングケアにも取り入れられています。

加えてゲラニオールなどパルマローザの精油は抗菌・抗真菌・抗ウイルス作用に優れるとされる成分が多く含まれています。このため皮脂分泌調節作用と合わせてニキビの予防やケアをはじめ、マラセチア毛包炎・水虫(白癬)・乾癬など皮膚トラブルや感染症全般に有効とも言われています。消炎(抗炎症作用)が期待できるため湿疹などの皮膚炎症ケアに役立つ精油として紹介されている事もありますが、人によって精油は皮膚炎症の原因にもなりますので注意して使用するようにしてください。

虫除けとしても…

パルマローザの主成分であるゲラニオールは防虫作用が認められており、特に蚊が嫌う香りであるとも言われています。このため精油を希釈してアロマスプレーにすることで天然の蚊よけ剤に・デュフューザーなどでお部屋に拡散すれば蚊の侵入防止対策として役立ってくれるでしょう。余談ですが2009年『Brazilian Journal of Medical and Biological Research』にはゲラニオールにアニサキス科の寄生虫に対して幼虫駆除作用が見られたことも発表されていますよ。

ゲラニオールには抗菌作用も報告されていますし、パルマローザ精油全体としても優れた抗菌・消毒特性を持つ精油と考えられていますから、お部屋の空気浄化や風邪予防にも繋がる可能性があります。パルマローザは比較的価格の安い精油であり、香りもさほどクセのないハーバル&フローラル調のためデイリー使いしやすいのも嬉しいですね。

パルマローザが利用されるシーンまとめ

【精神面】

  • ストレス・神経疲労
  • 緊張・不安・無気力
  • イライラ・情緒不安定
  • 抑うつ・悲観的
  • 明るさを取り戻したい
  • リラックスしたい
  • メンタル面の強さが欲しい

【肉体面】

  • 神経痛・関節痛・リウマチ
  • 頭痛・偏頭痛の軽減に
  • 風邪・インフルエンザ予防
  • 乾燥肌・脂性肌のケアに
  • お肌のエイジングケアに
  • ニキビ・真菌性皮膚炎予防
  • 虫除け・防虫剤として

パルマローザの利用と注意点について

相性の良い香り

フローラル系・柑橘系精油と相性が良いと言われていますが、香りの系統を問わずにブレンドしやすい香りです。またローズやゼラニウムなど“ローズ系”の香りを持つ精油と組み合わせることで、香りに奥行き感を出せるとも言われていますよ。

パルマローザのブレンド例

パルマローザ精油の注意点

  • 妊娠中の使用は避けましょう。
  • イネ科にアレルギーがある方は注要が必要です。
  • 肌の弱い方の場合は皮膚刺激になる可能性があります。
  • アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
  • 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。

参考元