【アロマ】パルマローザ精油
-植物の特徴・期待される効果効能とは?

【アロマ】パルマローザ精油<br />-植物の特徴・期待される効果効能とは?

心とお部屋の空気を整えたい時に

パルマローザは名前にroseと付くように、ローズ(バラ)に似た芳香を持つレモングラスの近縁種。バラと言うよりはゼラニウムに近いフローラル&ハーバル調の香りです。ゲラニオールという精油成分を多く含んでいることが特徴で、メンタル面でのサポートや抗菌・抗真菌作用が期待されています。天然の虫除けとしても活用されています。

パルマローザとは

パルマローザの特徴・歴史

ハーバル感・フローラル感の入り混じった爽やかな香りを持つパロマローザ。精油の芳香としては、名前の由来になっているローズのような「バラっぽい香り」というより、ゼラニウムに近い、ローズのようなフローラル調の雰囲気を感じさせるバーバルな香りと言ったほうがしっくり来るかもしれません。

そんなパルマローザは、植物分類ではイネ科オガルカヤ属(Cymbopogon)に分類される多年草です。見た目も穂が膨らむ前の稲に近い、草っぽい姿をしていますが、植物としてはイネ科オガルカヤ属(Cymbopogon)に分類される多年草。オガルカヤ属は香料植物が多く含まれておりレモングラスシトロネラなども含まれます。

パルマローザの原産地は、インド~インドシナ半島にかけての地域。インドではパルマローザのことを“ロシャ(Rosha/Rohisa)”と呼び、伝統医療であるアーユルヴェーダでも古くから薬として用いてきたと伝えられています。その用途は皮膚病、精神神経症状のケア、消化器系トラブル、媚薬まで幅広く、原産地より東の中国医学でもパルマローザは使用されています[1]。一般家庭でも、スキンケアや虫よけにも使われていたそうですから、身近な薬草といった存在だったのでしょう。

パルマローザから精油が生産されるようになると、トルコ・ペルシアを通じて輸出されたことでヨーロッパでの知名度も高まりました。原産であるインドをつけて“インディアンゼラニウム”と呼ばれるだけではなく、トルコを意味する“ターキッシュゼラニウム”と呼ばれるのはトルコ経由で伝わったからかもしれません。トルコでは高価で貴重なローズオイルの量を増やすために、パルマローザの精油を使っていたという説もあります。

パルマローザは天然ゲラニオールの単離原料でもあり、フローラル調・バラの香りを出すための天然香料としても室内用の芳香剤から石鹸・化粧水・香水・タバコまで多方面で活用されています。スキンケアへの有用性が示唆されていることや、香りの良さから化粧品類に配合されることもあります。とは言っても、芳香剤や化粧品で「パルマローザの香り」と表記された商品はあまりなく、天然成分の虫除け商品などが大半。バラの香りや〇〇フローラル、といった表現が使われている商品は、成分を見てみるとパルマローズ油が入っていたりします。

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パルマローザの種類について

パルマローザは学名Cymbopogon martiniiとされる種全体の呼称としても使われてますが、モティア種とソフィア種の2つに分かれています。このうち一般的にパルマローザとして扱われているフローラルな香りを持つのはモティア種(学名:Cymbopogon martinii var. motia)の方。産地などの栽培条件により差はあるものの、ゲラニオールの含有量が高いことが特徴です。

一方のソフィア種(学名:Cymbopogon martinii var. sofia)は、レモングラスがスパイシーになったような印象の香り。フローラル感や甘さはあまり感じられません。ソフィア種は香り・成分が大きく異なるため“ジンジャーグラス(Gingergrass)”と呼ばれており、バラのような芳香が特徴のパルマローザとは別物として扱われていることが多いです[2]。

ただし、モティア種とソフィア種の2つをブレンドしたものも「パルマローザオイル」と呼ばれることもあります。どちらも原料植物の学名はCymbopogon martinii。成分・香り的にはゲラニオールの多いパロマローザの方が良質であると評されますが、香りについては好みによる所も大きいでしょう。お店で実際に香りを嗅いで、納得できるものの購入をおすすめします。

香料原料データ

通称
パルマローザ(Palmarosa)
別名
インディアンゼラニウム(Indian Geranium)、ターキッシュゼラニウム(Turkish geranium)、ロシャグラス、モティア(Motia)など
学名
Cymbopogon martinii(var. motia
科名/種類
イネ科オガルカヤ属/多年草
主産地
インド、ブラジル、ネパール、インドネシア、コモロ諸島など
抽出部位
抽出方法
水蒸気蒸留法
淡い黄色~オリーブ色
粘性
低い
ノート
トップノート
香り度合い
中くらい
精油成分
ゲラニオール、酢酸ゲラニル、β-オシメン、β-カリオフィレン、リナロール、ファルネソールなど
おすすめ
芳香浴・アロマバス・マッサージ・スキンケア・ヘアケア・ハウスキーピング・防虫

ゼラニウムに似たフローラル感があり、ややドライで爽やかな香り

パルマローザ精油に期待される働き・効能

精神面への作用と効果

アロマテラピーにおいて、パルマローザ精油はストレスや不安を和らげ、リラクゼーションを促すと考えられています。神経疲労を和らげて気分を高揚させたり、エネルギーレベルを高めるなんて説もあります[1]。落ち込んだり、悲観的になっている時に、気持ちをリフレッシュさせ前向かせるサポートとしても活用できそうです。

産地などにより違いはありますが、パルマローザは精油成分中のゲラニオール含有量は最大95%[2]とゲラニオールをとても多く含む精油です。ゲラニオールは“バラに似た芳香”や“甘いくフローラルな柑橘系の香り”を持つと称されている[3]モノテルペンの一種で、ゼラニウムの代表成分でもあります。マウスを使った実験では抗うつ作用や抑制作用が見られたことが報告されていますし、ゲラニオールと同じモノテルペン類の多くには抑制作用、鎮静催眠作用、抗不安作用を持つ可能性が示唆されています[4]。

有効性が認められる段階ではありませんが、こうした研究結果もあり、パルマローザは「不安や気持ちの落ち込みを和らげる精油」「心のバランスを取り戻す手助けをしてくれる精油」として期待されています。ストレスや精神的な疲労感を感じている時、メンタルバランスが不安定だと感じている時に香らせてみても良いでしょう。ストレスや緊張によって寝付きが悪い時のサポートに使用されることもあります。

肉体面への作用と効果

パルマローザはインド伝統医学アーユルヴェーダや中医学で、伝統的に消化器系や呼吸器系のケアに使われてきました[2]。パルマローザ精油も消化器系のサポートが期待されていますが、芳香吸引やマッサージで利用した場合の有効性は分かっていません。神経の興奮を鎮める、リラックスや抗不安効果を持つ可能性が示唆されている精油ですから、胃痛や腹痛などストレス性・神経性の胃腸トラブル緩和に役立つ可能性はあるでしょう。

また、伝統医療の中でパルマローザは筋肉痛や関節痛などの痛みのケアに塗布する、外用薬のような感覚で使われてきたハーブでもあります。主成分のゲラニオールにも抗酸化作用や抗炎症作用を持つ可能性が報告されていますし、同じくゲラニオールを多く含むゼラニウム精油には皮膚に塗布することで神経痛の痛みが緩和したという実験報告もあります[3][5]。パルマローザ精油の有効性については断定されていませんが、伝統的に利用されてきたことと合わせて関節痛や坐骨神経痛などの神経痛・リウマチ・頭痛・偏頭痛など、様々な痛みの軽減に用いられています。

空気浄化・風邪などの感染症予防にも期待

伝統医療の中で、パルマローザは大腸炎や尿道炎・急性膀胱炎などから、皮膚細菌感染症まで幅広く活用されてきたハーブです[2]。現在の研究でも、パルマローザの主成分であるゲラニオールには抗菌・抗真菌・抗ウィルス作用があることが報告されています[3]。デュフューザーなどで精油を拡散することでも、お部屋の空気を綺麗に保つ手助けが期待できるでしょう。風邪などの流行が気になる時期に香らせてみても良いですね。

女性の体への働きかけについて

ゲラニオールは女性ホルモン(エストロゲン)の分泌を助ける・子宮強壮作用に良いなどの説もありますが、否定的な見解も多く、作用については分かっていません。念の為に、妊娠中や授乳中などデリケートな時期の使用は避けるようにしましょう。

パルマローザは精神面でのサポートに優れた効果が期待されている精油でもありますので、認識していながらも抑えられない不安定な心やイライラ感などPMS(月経前症候群)や更年期に伴う精神的不快感の緩和をサポートしてくれる可能性はあります。

その他に期待される作用

肌の働きかけ

パルマローザはスキンケア用として注目度が高まった精油の一つ。脂性肌や乾燥肌などの肌タイプを選ばず、皮膚の水分量を整えて肌を柔らかくする働きが期待されています[2]。パルマローザは保湿特性があるとして古くからスキンケアに多く用いられてきましたが、近年は抗酸化作用を持つことから、肌のハリや潤いを維持し、シワやたるみの軽減などエイジングケア面でも役立つのではないかと考えられています。

また、ゲラニオールなどパルマローザの精油は抗菌作用や抗真菌作用が報告されている成分が多く含まれています。化粧品類に配合されることが多いのも「薔薇っぽい香り」をつけるためだけではなく、抗菌作用によって商品自体を保つためなんて説。皮膚を清潔に保ち、有害な菌の増殖を抑制することで、ニキビ予防やケア、水虫(白癬)や乾癬などの皮膚トラブルや感染症全般にも効果が期待されています。

パルマローザは皮膚刺激性・感作性が低い精油とはされていますが、人によっては刺激を感じたり、アレルギー性接触皮膚炎を起こす危険性もあります。低濃度に希釈し、パッチテストを行ってから使用して下さい。異常を感じたら即座に洗い流し、炎症があれば皮膚科医の診療を受けましょう。

天然の虫除けとして

パルマローザの主成分であるゲラニオールはハエや蚊、ゴキブリに対して忌避効果を持つことがわかっています。レモングラス抽出物とゲラニオールを組み合わせることで蚊よけに高い効果があるという報告もあり[2]、ゲラニオールを配合した天然成分由来の昆虫忌避剤もあります。パルマローザ精油も、希釈してアロマスプレーにすることで天然の虫除けとして使われています。

デュフューザーなどでお部屋に拡散すれば蚊の侵入防止に一役買ってくれるでしょう。お部屋の空気を綺麗に保つ働きも期待できるので一石二鳥。パルマローザは比較的価格の安い精油であり、香りもさほどクセのないハーバル&フローラル調のためデイリー使いしやすいのも嬉しいポイントです。

パルマローザが利用されるシーンまとめ

【精神面】

  • ストレスを感じている
  • 神経疲労・無気力感
  • 不安・気持ちの落ち込み
  • イライラ・緊張
  • リラックスしたい時に
  • 前向きになりたい時に
  • メンタル面の強さが欲しい時に

【肉体面】

  • ストレス性の不調・胃腸トラブルに
  • 神経痛・関節痛・リウマチの緩和に
  • お部屋の空気浄化に
  • 風邪が気になる時期に
  • 虫除け・防虫剤として
  • 更年期障害・PMS緩和に
  • スキンケア・ニキビ予防に

パルマローザの利用と注意点について

相性の良い香り

系統を問わずにブレンドしやすい香りです。
特にフローラル系・柑橘系精油と相性が良いでしょう。また、ローズやゼラニウムなど“ローズ系”の印象の香りと組み合わせることで、香りに奥行き感を出せるという説もあります。

パルマローザのブレンド例

パルマローザ精油の注意点

  • 妊娠中・授乳中の方、小さいお子さんへの使用は避けましょう。
  • イネ科植物にアレルギーがある方は注要が必要です。
  • 皮膚を刺激する可能性があるため、敏感肌の方は使用に注意が必要です。
  • 疾患がある方・投薬治療中の方は医師に確認してから利用して下さい。
  • アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
  • 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。

参考元