ミルラ/没薬精油
アロマ・エッセンシャルオイルと期待される効果効能紹介

心のサポート・スキンケア用として注目

myrrh

ミルラ(没薬)とは

ミルラはフランキンセンス(オリバナム/乳香)と共に古代から重宝されきた歴史ある薫香の一つ。別名没薬(もつやく)とも呼ばれ、イエス・キリストが誕生した時に東方の三博士が黄金・フランキンセンス(乳香)と共に捧げたものの一つとしても有名です。黄金は「偉大な商人」、ミルラは「偉大な医者」、フランキンセンスは「偉大な預言者」の象徴であったという説もあり、ミルラは優れた医薬品として知られていたことが分かりますね。

この伝説に登場するイエス・キリスト誕生は今から約2000年前頃とされていますが、ミルラはそれ以前に栄えていた古代文明においても様々な用途に広く使用されてきた“世界で歴史ある薫香の1つ”とも称されています。特に古代エジプトでは太陽崇拝の儀式に使う薫香としてや、現在で言う軟膏の原料として活用されていたと言われています。また優れた香りと殺菌消毒作用に有効とされることからミイラを作る際の遺体の防腐処理に用いていたことが分かっており、香料としてもツタンカーメン王の墓からもミルラやフランキンセンスが入った香料壺が発掘されているそう。余談ですが処置された遺体を「ミイラ」と呼ぶようになったのも、ミルラに由来するのではないかとする説がありますよ。

そのほか古代ギリシアでは兵士に血止めとして用いられたとも言われていますし、10世紀頃に伝わったインドや中国でも伝統医療の中で風邪や喉の炎症に効く薬として取り入れられていきます。別名の没薬というのも元々は中国で生薬名として付けられたもので、「没」は「苦味」を表すそうです。英名であるミルラの語源については諸説ありますが、中国語と同じく苦いという意味のアラビア語“mur”に由来するとする説が有力です。

現在では一部の伝統医療を除き薬として用いられることはなくなっていますが、お香の原料として、また歯磨剤やガムなどマウスケア商品の原料としてミルラは利用されています。蒸留された精油(エッセンシャルオイル)や溶剤抽出法で作られるミルラ・アブソリュートは香水や化粧品類の香り付けにも重用されていますね。

ユーラシア大陸の広い範囲で重宝されてきた歴史のあるミルラですが、香料となるのはカンラン科コンミフォラ属(ミルラノキ属)の各種樹木から分泌される樹液が固化した赤褐色のゴム樹脂。一般的には約200種あるミルラノキ属の樹脂全般を総称して“ミルラ”と呼んでいるため、種類や産地によって成分・芳香にバラつきが大きいとも言われています。香料としては。ソマリアやアラビア半島南部産のヘラボール・ミルラやソマリア・ミルラ(学名:Commiphora molmol)と呼ばれるものが最上級品とされています。また同属ではありますが、主にアフリカに自生するCommiphora guidottiiの樹脂はオポパナックスもしくはスイートミルラと呼び分けられています。

基本データ

通称
ミルラ(Myrrh)
別名
没薬(もつやく)、コモン・ミルラ(common myrrh)、マー
学名
Commiphora myrrha
Commiphora molmolなど
科名/種類
カンラン科コンミフォラ属(ミルラノキ属)/低木
主産地
ソマリア、オマーン、イエメン、スーダン、エチオピア
抽出部位
樹脂
抽出方法
水蒸気蒸留法
淡黄色~琥珀色
粘性
高い
ノート
ベースノート
香り度合い
強め
代表成分
フラノオウデスマ-1,3-ディエン、リンデストレン、グルゼレンなど
おすすめ
芳香浴・アロマバス・マッサージ・スキンケア

スパイシーさの中に樹脂っぽさを含む、甘くスモーキーな香り

こんなお悩みにオススメ

【精神面】

  • ストレス・緊張
  • 神経疲労・疲労感
  • 不安・心配・恐怖感
  • 気力の衰え・無気力感
  • 気持ちの落ち込み・抑うつ
  • リラックスしたいとき
  • 明るい気持ちになりたい
  • 自分を元気づけたい
  • 心のバランスを整えたい

【肉体面】

  • 消化不調・食欲不振
  • 心因性の胃腸トラブル
  • 風邪・インフルエンザ予防
  • 痰や咳・気管支炎のケアに
  • 月経不順・少量月経
  • 乾燥・ヒビ・アカギレ
  • 皮膚のかゆみの軽減に
  • 肌のアンチエイジングに
  • ニキビ・水虫(白癬)などに

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ミルラに期待される効果・効能

心への作用

ミルラの精油成分は7割以上をセスキテルペン炭化水素類が占め、鎮静作用を持つと言われています。またスパイシーさを含む個性的な香りは神経・精神面に対しての強壮や刺激作用を持つとも言われており、メンタル面でのバランスを整える働きが期待されています。ストレスや緊張などによって起こる神経性の疲労がある場合には、神経の興奮を鎮めて気持ちを落ち着ける・リラックスするためのサポートとしても役立ってくれるでしょう。

刺激・高揚作用が期待できる精油でもあるため、気力が衰えてしまい無気力になっているとき・気持ちの落ち込みが激しい時にも適していると考えられます。不安や緊張・恐怖などによる心の疲弊を和らげて、明るい気持ちへと切り替える手助けをしてくれるでしょう。そのほか夢を叶える・目標を現実にするために動く際のサポートに適した精油とする見解もありますので、ここ一番という踏ん張りをきかせたい時や萎えそうな気持ちを奮い立たせて前進したいようなシーンで取り入れてみても良いかもしれません。

体への作用

ミルラの特徴成分と言えるのは、他の精油にはほとんど含まれていない“フラノオウデスマ-1,3-ディエン”という成分。この成分には鎮痛作用や消化促進・消化管粘膜作用があると考えられています。全体的に見てもセスキテルペン炭化水素類が多く抗炎症作用や鎮痛作用を持つと考えられるため、ミルラは胃腸を整える精油として食欲不振・胃もたれ・胃酸過多・消化不良・お腹の張りなど消化器系の不調の緩和に効果が期待されています。鎮痛作用や精神面でのサポートと合わせてストレスなどによって起こる心因性の胃腸トラブル軽減にも繋がるでしょう。

そのほかフラノオウデスマ-1,3-ディエンには免疫機能向上作用があるとされていますし、ミルラ全体として見ると抗菌・抗真菌・抗ウィルス作用があると考えられています。このためで風邪やインフルエンザなどの感染症による症状の緩和効果や、病後の回復促進も期待できるでしょう。粘膜を乾燥させる作用を持つとする説もあり、抗炎症作用と合わせて咳・痰・気管支炎などの軽減に用いられることもあるそう。

女性の身体への働きかけ

ミルラには若干の通経作用(月経促進作用)があると考えられることから、生理不順や少量月経などの改善にも効果が期待されています。そのほか抗菌・抗真菌・抗炎症作用を持つことから女性器のかゆみやカンジタ症の予防や軽減に取り入れられるケースもあるようです。ただし月経特進作用が裏目に出てしまう場合もあるので、妊娠中や生理中の使用は避けるようにした方が良いことも指摘されています。また局部への直接使用はリスクが大きいため専門家の指示のもとで取り入れるようにする場合以外は、芳香浴としての利用をお勧めします。

その他作用

肌への働きかけ

ミルラは瘢痕形成・癒傷作用や抗炎症作用を持つ精油とされており、保護特性(皮膚の保護作用)に優れた働きが期待できるということもあり床ずれ・あかぎれ・かかとのひび割れ・虫刺されやかぶれによる痒みなどに希釈してトリートメントオイルとして用いられています。高い抗菌・抗真菌作用・消毒作用を持つ精油とも言われていますから、水虫のケアとしても効果が期待できるでしょう。スキンケアとしても皮膚を清潔に保つことや保護性が評価され、乾燥肌やニキビ予防などに有効とされています。

加えてミルラ精油は瘢痕形成・癒傷作用があると考えられており、シワ予防や傷跡の回復促進などにも用いられています。スキンケア面では収斂作用が期待できることともあり、フランキンセンスと組み合わせてアンチエイジング・エイジングケア用として配合されることも少なくないようです。そのほかアロマテラピー界ではじくじくした傷・腫瘍・なかなか治らない傷のケアに優れた効果を発揮するとの見解が強いようですが、こうした状態に精油を使うと炎症を悪化させてしまう場合もあるので注意が必要です。自己判断での使用は避けたほうが確実でしょう。

口腔ケアにも期待

ミルラは高い殺菌・消毒作用や抗炎症作用を持つと考えられることから、歯肉炎・口内炎・歯槽膿漏など口腔や歯茎トラブルに対しての有効性が研究されている精油でもあります。チンキはマウスケア系の商品に配合されている他、健胃作用と合わせて胃の不調から起こる口臭予防としても役立つのではないかという説もあります。このため蒸気吸引時などに口腔ケアにも繋がる可能性もありますが、ご自身でミルラ精油を口腔ケア用品に加えるのはリスクが大きいので避けたほうが良いでしょう。

ミルラの利用について

相性の良い香り

ウッディー系やオリエンタル系の香りと相性が良いとされています。また粘度が高く香りの持続力も強いため、香りが抜けやすい柑橘系の精油やトップ~ミドルノートのフローラル系と組み合わせて使われることも多い存在です。

【ミルラのブレンド例】

ミルラ精油の注意点

  • 妊娠中・授乳中は、使用を避けるようにしてください。
  • 高濃度での使用は毒性を生じる可能性も指摘されていますから、適正に希釈して用いましょう。
  • 色・香りが強く、衣服などに付着するとなかなか取れませんので使用時には周囲に付かないように気をつけてください。
  • ミルラ精油は揮発に伴い固化していきます。キャップが固まり開きにくくなりますので、使わない場合でも時折キャップを緩めてあげると良いでしょう。少量ずつ購入するのが安全です。

  • アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
  • 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。

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