心体のスッキリをサポート?!
柑橘系特有のサッパリ感と、大人っぽいビター感を併せ持ったライム精油。人を選ばない香りであるだけではなく、系統問わずにどんな精油とでもブレンドしやすいというメリットもあります。精油成分としてはリモネンが主で、リラックス効果や胃腸機能のサポートが期待されています。またγ-テルピネンなども含まれており、呼吸器系の不調ケアやセルライト対策などにも取り入れられています。香りも作用もレモンに近い感覚ですね。

Contents
ライムとは
ライムの特徴・歴史
柑橘系の爽やかさ持ちつつ少し苦味が加わった風味が特徵のライム。口にするものだけでもジントニックをはじめモヒート、ギムレット、モスコーミュールなどカクテルから、ジュースやお菓子類など広く活用されていますね。世界的にレモンと並んで馴染みのある香酸柑橘類の代表と言えるでしょう。さっぱりとした香りは入浴剤やシャンプーなどのバスグッズ類にも多く使われており、特に夏になると欲しくなる方もいらっしゃるかも知れません。フレッシュなレモンよりもやや大人っぽい印象もありますね。
そんなライムはライムはミカン科ミカン属に属すシトラス類の一つで、酸味や苦味があるためフルーツとして生食はせず調味料感覚で利用するのが主な“香酸柑橘(こうさんかんきつ)類”に属します。ちなみにライムと言えば「ライムグリーン(Lime green)」とも称される緑色のイメージがありますが、完熟するとレモンのような黄色になりますよ。未完熟状態で収穫するのは熟すほど酸味や香りが抜けてしまうためだとか。種類は大きくメキシカンライム(Citrus aurantifolia/キーライム)系と、タヒチライム(Citrus latifolia)系の二つに分かれています。日本で果物として多く流通しているレモンよりもやや小ぶりな「ライム」はタヒチライム系統ですが、精油原料として使われるのはメキシカンライム系統が主。メキシカンライムはサイズが3~4cmと更に小さく酸味が強いのが特徴です。
メキシカンライムの原産地はインドからミャンマー・マレーシア周辺にかけての熱帯地域で、早い段階で中東地域にも伝わっていたと考えられています。オマーンなどの中東地域ではドライライムやブラックライムと呼ばれる、ライムが真っ黒になるまで天日干ししたものを香辛料として料理や飲物に加えるそうです。アラビア人によってヨーロッパへ、そしてヨーロッパからアメリカ大陸へも持ち込まれ栽培が行われるようになりました。また航海中に起こりやすかった壊血病予防のためのビタミンC補給源として重宝され、ライム運搬専用船“ライムジューサー”があったという逸話で知られています。英国海軍では健康維持のために船員にライムジュースの摂取を義務付けていた事を揶揄して、イギリス水兵やイギリス野郎という意味で「LIMEY」というスラングが使われるようになったのだとか。
ヨーロッパよりもライムの栽培に適した気候であったアメリカ大陸では大規模な栽培が行われるようになります。フロリダ州ではライム果汁とコンデンスミルクを使った“キーライムパイ”が郷土料理として親しまれていますし、メキシコ料理でもライムスープが有名ですね。ライムの精油も食品・飲料類に活用されていますし、香水や化粧品業界への需要も高いと言われています。酸味と苦味を含んだ複雑なニュアンスでありながらクセや強烈さの少ない香りは、好き嫌いが少なくブレンドにも使い勝手が良い存在。男女問わず取り入れやすい香りですし、アロマと聞いて連想されがちなハーバルな香りが苦手な方でも気兼ねなく使用できますね。香りのクセを弱める・さりげなく香りにアクセントを加えるなどの役割も果たしてくれますから、初心者から上級者まで広く楽しめる精油とも言えそうです。
香料原料データ
- 通称
- ライム(Lime)
- 別名
- キーライム(Key lime)、メキシカンライム(Mexican lime)
- 学名
- Citrus aurantifolia
- 科名/種類
- ミカン科ミカン属/低木
- 主産地
- アメリカ(主にフロリダ)、キューバ、メキシコ、イタリア
- 抽出部位
- ①果皮(未成熟)/②熟した果実全体
- 抽出方法
- ①水蒸気蒸留法/②圧搾法
圧搾法の方が質・香りが高く精油として好まれ、水蒸気蒸留法は主に食品の香料用に用いられます。光毒性の問題があるので肌へ使用する場合は水蒸気蒸留法ものを選ぶと無難でしょう。 - 色
- ①ほぼ無色~淡黄緑色/②淡黄色~黄緑色
- 粘性
- 低め
- ノート
- トップノート
- 香り度合い
- やや弱い~中くらい
- 精油成分
- リモネン、γ-テルピネン、α-テルピネオール、テルピノレン、β-ピネン、α-ピネン、ミルセン
- おすすめ
- 芳香浴・アロマバス・マッサージ・スキンケア・ヘアケア
爽やかなシトラス感にビターさの混じる、シャープな香り
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ライム精油に期待される働き・効能
精神面への作用と効果
ライム精油の成分のおよそ半分は柑橘系に多く見られる芳香成分“リモネン”が占めています。リモネンによる鎮静作用・リラックス効果が期待できますので、精神的な疲労やストレス症状の軽減にも役立ってくれるでしょう。またシャープで爽やかなライムの香りは不安や憂鬱感を取り除き気持ちをリフレッシュする手助けをしてくれると考えられています。胃腸への働きかけと合わせて夏バテや暴飲暴食の後など、心も身体もどんよりしている時のリフレッシュ用としても活用できます。
また、ライムの持つサッパリとした香りは心を刺激して気分を高揚させる・頭をスッキリとさせることで集中力を高める働きなども期待されていますから、似た印象のレモンと同様に活動時の香りとして取り入れられることが多い精油です。勉強中や仕事中の香りとして適していますし、ライムの香り自体も好き嫌いの少ない爽やかな柑橘系なのでビジネスシーンや男性でも取り入れやすいですね。
肉体面への作用と効果
リモネンを多く含んでいることから、ライム精油は胃腸の働きをサポートしてくれるオイルとして活用されています。リモネンは消化吸収促進や胃粘膜保護など消化器系への働きかけを持つと考えられているため、夏バテした時や脂っこい食事のあとの胸やけ・消化不良・吐き気などの消化器系トラブルの軽減などに取り入れられることもありますよ。レモンと同じくライム精油もサッパリとした香りがありますので、食欲が無いときや気分がすぐれない時に嗅いでも受け入れやすいという点もメリットと言えますね。
そのほかリモネンには血行を良くすることで体を温める・老廃物の排泄を促す作用もあると考えられています。またリモネンに次いで含有率の高いγ-テルピネン、α-テルピネオールという成分にも血行促進や鬱滞除去作用など体内の巡りを整える働きが期待されています。こうした成分を含むことからライムの精油は血行不良やむくみ・セルライト対策に役立つと考えられています。解毒機能をサポートしてくれるのではないかという見解もありますよ。
風邪予防・呼吸器系の不調にも
ライム精油の主要成分であるリモネンは抗菌・抗ウィルス作用や、免疫細胞の働きを正常に整え免疫力を高める働きが報告されています。血行促進や胃腸機能のサポートも免疫力低下を防ぐ手助けに繋がりますから、合わせて風邪やインフルエンザ予防にも役立ってくれるでしょう。γ-テルピネンとα-テルピネオールも抗炎症作用を持つ可能性がある成分として注目されており、合わせて咳や喉の痛み・鼻水・鼻詰まりなど呼吸器系の炎症を軽減する働きも期待されています。風邪の初期症状ケア、花粉症対策としてブレンドオイルを作る時に取り入れてみても良いかも知れません。
その他に期待される作用
肌への働きかけ
ライム精油は収斂作用があり、肌を引き締める・皮脂分泌を抑える作用があると考えられています。そのため脂性肌・脂っぽさが気になる頭皮や毛髪のケアに取り入れられていますし、殺菌作用や抗炎症作用が期待できるのでニキビや吹き出物のケア・虫刺されの手当などにも役立ってくれるでしょう。そのほか止血作用によって切り傷など出血を伴う傷の治りを早める効果も期待されています。
またリモネンやγ-テルピネンなど血液・リンパ液の循環を助けると考えられる成分を含んでいることから、ライム精油はむくみ・セルライトが気になる方用のマッサージオイルとしても利用されています。血液やリンパ液の循環を促し老廃物の排出を促進する働きが期待できること、抗炎症作用を持つ可能性があることから、筋肉痛や関節炎・リウマチなどのケアに利用される事もあります。入浴剤代わりに利用することで血行促進と呼吸器系の消毒が期待できますから、冷え性の軽減や風邪予防にも役立ってくれる可能性がありますよ。
ライムが利用されるシーンまとめ
【精神面】
- ストレス・緊張の軽減に
- 精神的な疲労感がある時に
- 不安・憂鬱感がある時に
- リフレッシュしたい時に
- 元気になりたい
- 無気力・やる気が欲しい
- 集中力を高めたい
【肉体面】
- 胸焼け・消化不良に
- 血行・リンパ循環促進に
- 冷え性・むくみの予防に
- 咳・鼻水・鼻づまりの軽減に
- 風邪・インフルエンザ予防
- 脂性肌・ニキビケアに
- セルライトケアに
ライムの利用と注意点について
相性の良い香り
ライムの香りはほとんどのエッセンシャルオイルと調和しますので、ブレンドでの著しい失敗は少ないです。特にハーブ系・フローラル系の香りと相性が良いとされています。またイランイランやゼラニウムなどの精油の甘さ・重さが気になるときに緩和剤として利用するものお勧めです。
ライムのブレンド例
- 気持ちを高める⇒プチグレン、ベルガモット、シトロネラ
- 集中力を高める⇒ローズマリー、グレープフルーツ
- 胃腸の不調に⇒コモンセージ、ナツメグ、アンジェリカ
- 風邪予防・空気浄化に⇒ユーカリ、ラベンダー、コパイバ
ライム精油の注意点
- 皮膚への刺激があるため、敏感肌の方は注意して使用してください。
- 圧搾法で抽出されたオイルにはクマリンが含まれるため光毒性があります。肌へ使用する場合は日光(紫外線)を避けるようにしましょう。
- アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
- 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。
参考元