【アロマ】ジンジャー/生姜精油
-植物の特徴・期待される効果効能とは?

【アロマ】ジンジャー/生姜精油<br />-植物の特徴・期待される効果効能とは?

ストレスケアやマッサージに

薬味・スパイスとしてお馴染みの生姜。ポカポカと体が温まる食材としても使われています。生姜を原料としたジンジャー精油も、血行促進作用や抗炎症作用が期待されていることから、関節痛や生理痛などを緩和するマッサージ用にも使われています。食品としての生姜よりもスパイシーな香りは、ストレスや不安を和らげてくれる可能性も。

ジンジャー(Ginger)のイメージ画像

ジンジャー/生姜とは

ジンジャー/生姜の特徴・歴史

薬味・香味野菜として私達日本人の食生活にも欠かせない食材、生姜(ショウガ/ジンジャー)。薬味として使用するだけではなく、紅しょうがやガリなどのように漬け込んだものも、チャイやジンジャーエールなどの飲料類でも幅広く活用しています。近年は“冷え取りブーム”の影響もあってか生姜飴やグミなどのお菓子類でも多く目にしますし、欧米ではジャークッキーを筆頭に焼き菓子類にもよく使われていますね。

ジンジャーティーやジンジャーリキュール、日本では生姜湯など、各地で健康増進に役立つ生薬・ハーブとして親しまれてきた歴史もあります。そんな生姜(ジンジャー)の精油は、想像する「ショウガの香り」とはやや異なります。ジンジャー精油は生姜そのものよりもスパイシーで鋭い印象があり、レモン胡椒のような香りが含まれていると感じる方もいらっしゃいます。温かみのある香りと称されますが、好き嫌いはやや分かれるところでしょう。

植物としてみると、生姜はショウガ科ショウガ属に分類される植物で、同じく日本で薬味として親しまれているミョウガの近縁種。同属ではありませんがショウガ科にはカルダモンウコン月桃ガランガルなどハーブやスパイスとして活用されている植物が多く含まれています。学名Zingiber officinaleと、薬用を意味する“officinale”が付けられているように、古くから伝統医療の中で薬として利用されてきました。生姜の原産地は断定されていませんが、アジアの熱帯域、東南アジア付近と推測されています。

発掘調査では、中国やインドでは生姜を7000年以上前から使用していた可能性も示されています。現存する中国最古の薬学書『神農本草経』にも生姜は記載されており、日本にも古い時代に中国から薬の一つとして伝わっています[1]。奈良時代には栽培も行われていたようですから、歴史ある民間医薬品・香辛料の一つと言えそうですね。また、原産地から西側、ヨーロッパにも紀元前のうちに生姜は伝わっています。2000年以上前には、インドからローマ帝国に生姜が輸出されていました[2]。当時から香辛料・ハーブとして使用され、ローマ帝国崩壊後も人気を保っていたようです。

ヨーロッパでジンジャーは、抗菌防腐性があり、体を温めて消化を助けてくれるハーブとして使われていました。クリスマスの料理・お菓子にジンジャーが使われることも多いのも、特別な日に食べるご馳走としての演出だけではなく、寒い時期に体を温める・クリスマスまで食品を日持ちさせるという昔の知恵という説もあります。中医学や日本では更に、生のショウガを生姜(ショウキョウ)、蒸した後に乾燥させたものを乾姜(カンキョウ)など、製法によって効能が異なる生薬として使用してきた歴史もあります。生薬という仰々しい扱いをせずとも、現在に至るまで生姜は体を温めてくれるスパイスとして活用されていますね。

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生姜を摂取した際に体を温めるなどの働きを持つのは、ジンゲロールやショウガオールなどの成分の働きが大きいと考えられます。精油は飲用できませんし、こうした成分も含まれていません。しかし、マッサージなどに利用することで抗炎症作用や血行促進作用が期待できることから、ジンジャー精油も“温める精油”の1つとして使われています[3]。

香料原料データ

通称
ジンジャー(Ginger)
別名
生姜(ショウガ/ショウキョウ)、ガーデンジンジャー(garden ginger)
学名
Zingiber officinale
科名/種類
ショウガ科ショウガ属/多年草
主産地
インド、ジャマイカ、中国、マダガスカルなど
抽出部位
根茎
抽出方法
水蒸気蒸留法
淡い黄緑色~琥珀色
粘性
低~中くらい
ノート
トップ~ミドルノート
香り度合い
やや強い
精油成分
α-ジンギベレン、B-フェランドレン、、β-セスキフェランドレン、β-ビサボレン、α-クルクメン、γ-クルクメン、カンフェン、a-ピネン、β-ピネンなど
おすすめ
芳香浴・アロマバス・マッサージ・ヘアケア

胡椒に似たウッディ+スパイシーさと、苦めの柑橘類を混ぜたような香り

ジンジャー精油に期待される働き・効能

精神面への作用と効果

伝統的にジンジャー(生姜)は刺激・強壮剤のような感覚で使用されてきました[3]。アロマテラピーなど民間療法の中でも、刺激的でスパイシーなジンジャーの芳香は刺激作用を持つと考えられ、集中力や記憶力を高める働きが期待されています。ジンジャー精油のスパイシーで刺激的な香りは冷えてしまった心を温めるとも称されています。ストレスなどによる神経性の疲労や気分の落ち込みに対して、自信ややる気、前向きさを取り戻すサポートにも活用されています[4]。

2010年『Bioorganic & Medicinal Chemistry』に掲載されたスイスの研究では、ジンジャーオイルが人間のセロトニン受容体(5-HT1A受容体)に働きかけ、不安を和らげる可能性があることが示されています[5]。とは言え、生姜の“香り”が人に与える影響についての研究は多くありません。芳香吸引による有効性は不明、民間療法上の効果という部分が大半のジンジャー精油ですが、ストレスや不安を感じていながらも頑張っている方のサポートに役立ってくれる可能性はあるかもしれません。

香りの印象や、伝統的な利用を考えると、ジンジャー精油の香りはリラックスタイムや就寝時よりも活動時のサポートに適しています。頑張らなくてはと思いつつ、モチベーションが下がっている、ストレスを感じているときの、仕事中・勉強中に香らせてみては如何でしょう。

肉体面への作用と効果

ジンジャー精油で生姜らしい香りを形成している特徴成分とも言えるのが“Zingiberene(ジンジベレン/ジンギベレン)”という精油成分ジンギベレンが抗炎症作用を示したという研究報告もあり、炎症を抑えることで痛みや腹部膨満感などの不調軽減に役立つと期待されています[6]。生姜は、健胃作用や胃腸の働きを促すことで食欲を高める薬味もしくは生薬・ハーブとして利用されてきました。こうした背景にも、ジンジベレンによる働きがあるのではないかと考えられています。

ジンシャー精油にはジンギベレンだけではなく、セスキフェランドレンやβ-ビサボレンなど抗炎症特性を示唆されている成分が含まれています。また、ジンジャー精油の伝統的な使用と合わせて、胃腸の調子を整える、消化吸収をサポートする、吐き気を抑えるなどの説もあります[3]。このため、胃痛・胸焼け・吐き気・食欲不振・腹痛・消化不良や下痢、乗り物酔い予防や過敏性腸症候群のケアまで、様々な“お腹の不調”のケアにジンジャー精油は使用されています。

風邪の初期症状ケアや血行不良にも期待

ジンジャーオイルは血行促進・加温作用がある精油の一つに数えられる存在[4]。抗菌・抗ウィルス作用を持つ成分も含まれていることから、悪寒や風邪の初期症状ケアにも使われています。抗炎症作用を持つ可能性が示唆されている精油でもありますし、ケトン類の働きによって粘液を溶解する働きも期待できるため、風邪の初期症状である喉の痛みや痰・鼻水などの軽減、喘息の緩和などにも取り入れられています。

血行不良や冷えを緩和することに加えて、抗炎症作用も期待できることから、腰痛や肩こり・筋肉痛・関節痛・リウマチなどの緩和マッサージにジンジャー精油が使われることもあります。生理痛や月経困難症など女性特有の“痛み”のケアにも利用されています[3]。ジンジャーの精油のオイルマッサージは、むくみ緩和やセルライトケアにも効果が期待出来ます。血行不良や冷えが気になる女性にも嬉しい精油と言えそうですね。

様々な健康サポート効果が期待されているジンジャー精油ですが、有効性を示した研究報告は経口投与によるもの・市販されている精油には含まれていないショウガオールやジンゲロールの評価を含むものが大半となっています。エッセンシャルオイルの芳香を吸引したり、キャリアオイルに希釈してマッサージを行うことで有効性があるかは分かっていません。精油は医薬品ではありませんので、過度な期待は避けましょう。

その他に期待される作用

肌の働きかけ

ジンジャーの精油には加温・血行促進作用があると考えられています。血行促進は肌の代謝を高めることにも繋がりますので、傷跡やニキビ跡のケア、髪の成長促進などに役立つ可能性もあります。欧米では小じわ対策や皮膚の弾力アップに良い精油として肌のアンチエイジングに利用する方もいらっしゃるようです[4]。そのほか、抗菌作用や抗炎症作用が期待できることから、ニキビやかゆみケアに良いという説もあります。

皮膚ケアにも優れた作用が期待されているジンシャー精油ではありますが、皮膚刺激性が高いことが危惧されている精油でもあります。反対に皮膚炎症を起こしてしまう原因ともなるため、日本ではスキンケア、特にお顔のケアにはほとんど利用されていません。

催淫作用について

ジンジャー精油は催淫作用を持つ、という説もあります。
これは媚薬のような働きかけではなく、ストレスを緩和して気持ちを前向きにしたり、血流をよくする働きが期待できる故でしょう。ジンジャーの催淫作用・性的トラブルの改善は、女性よりも男性に対しての働きかけが強いと称されるのも、血行促進作用などと関係している可能性が高いですね。

ジンジャー精油が利用されるシーンまとめ

【精神面】

  • ストレス・神経疲労
  • 不安・自信喪失
  • 無気力・やる気が出ない時に
  • 気持ちが落ち込んでいる
  • 気持ちを前向きにしたい
  • モチベーションをアップしたい

【肉体面】

  • 血行不良・冷え性
  • 胃腸の調子が悪い時に
  • 肩こり・筋肉痛ケアに
  • 関節炎や神経痛の緩和に
  • 風邪の初期症状ケアに
  • むくみ・セルライトケアに

ジンジャーの利用と注意点について

相性の良い香り

ウッディー系・柑橘系の香りと相性が良いとされています。スパイシーさやスモーキーな香りが好きな方であれば、バルサム系とブレンドすると渋めな香りを作ることも出来ます。強い香りなので少量から利用し、使いすぎに注意してください。

ジンジャーのブレンド例

ジンジャー精油の注意点

  • 妊娠中・授乳中の方、小さいお子さんへの使用は避けましょう。
  • 皮膚を刺激する可能性があるため、敏感肌の方は使用に注意が必要です。
  • 若干の光毒性があるという指摘もあります。使用後は紫外線を避けましょう。
  • 疾患がある方・投薬治療中の方は医師に確認してから利用して下さい。
  • アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
  • 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。

参考元