気持ちや体調がスッキリしない時に
レモンっぽい爽やかさとハーブ調のグリーンな香りの両方を楽しめるレモングラス。タイ料理“トムヤムクン”にも使われている、スッキリとした芳香が特徴的なアジアのハーブです。サッパリとした香りからリフレッシュ用と言う印象がありますが、実はレモングラスは鎮静効果が期待されれている精油。そのほかに胃腸サポートや風邪予防・デオドラントなど様々なメリットを持つと考えられている、使い勝手の良い精油の一つですよ。

Contents
レモングラスとは
レモングラスの特徴・歴史
レモングラスは呼び名の通りレモンに似た爽やかな香気が特徴的。レモンとハーブをブレンドしたようなスッキリとした香りは好き嫌いがなく親しみやすいこともあって、日本でも室内芳香剤や入浴剤の香りとしてよく見かけるようになっていますね。また、レモングラスは芳香植物としてだけではなく、タイの代表的な料理“トムヤムクン”をはじめとした東南アジア料理に使うハーブとしても認知度が高まっています。東南アジアやインド・カリブでは乾燥させたレモングラスの葉は非常にポピュラーなハーブの一つなのだとか。
レモングラスの和名は檸檬茅と“カヤ”が付けられていますが、茅葺屋根に使われるカヤ=イチイ科カヤ属の樹木とは別物。植物分類上はイネ科オガルカヤ属と、カヤやレモンなどと比較すれば米や麦に近い植物。トムヤムクンに使われているものは数センチくらいに切られたネギのような形の物が多いですが、細く尖った長い葉を持ち、一見普通の草のように見える外見をしています。より近い同属(Cymbopogon)種には和名を香水茅とも言うシトロネラやパルマローザなど、精油原料・香料として使用されている植物が含まれていますよ。
ちなみに“レモングラス”と呼ばれるオガルカヤ属植物の中でも、香料として多く使われているものはウエストインディアン・レモングラス(C. citratus)とイーストインディアン・レモングラス(C. flexuosus)の2種があります。精油の場合はシトラールの含有量が多く西インド型(ウエストインディアン・レモングラス)の方が高品質なものとして扱われており、単にレモングラスと呼ぶ場合はウエストインディアン・レモングラスを指すのが一般的。紛らわしいのでイーストインディアン・レモングラスの方はコーチングラス(Cochin grass)もしくはマラバグラス(Malabar grass)と呼ぶことで区分したりもしますが、レモングラスであることには間違いないので安価な「レモングラスオイル」の原料になっている場合もあります。購入時には学名を確認した方が確実ですね。
レモングラスに“レモン”のような芳香があるのは、ウエストインディアン・レモングラスに多く含まれているシトラールに強いレモンの香りがあるため。同じくレモン様の芳香を持ち、レモン〇〇と名付けられている植物は他にも多く存在しています。精油原料としては東南アジア原産のレモングラスのほか、南ヨーロッパ原産のレモンバーム(メリッサ)・南米原産のレモンバーベナの3種がポピュラー。それぞれ原産が違う、各地域を代表するレモン系香草と言えそうです。この中でもレモングラスはハーバル感が強く凛々しい印象があり、レモングラスの葉50kgから約1kg精油が採れることから価格も比較的安いことが特徵。近年はレモングラスというハーブの評価が高まっていこともあり、きちんと「レモングラスの香り」と表記される商品が増えていますが、安価さからレモンバーベナやレモンバームの偽和剤というマイナスイメージも持たれがち。
それはさておき。インドを中心としたアジアが原産のレモンバームはインドの伝統医療であるアーユルヴェーダでも数千年前から解熱・感染症予防などに役立つ生薬として使われてきた歴史を持つ、伝統あるアーユルヴェーダハーブの一つでもあります。日本では最近まで知られていませんでしたが、中国やタイなどアジア各国でも古くから利用されてきた存在のため「アジアの薬草」と称されることもあるんですよ。ヨーロッパや日本へも紹介された現在では、世界中でハーブティーや香料原料として需要の高い存在となっています。食品・香水・化粧品・石鹸など幅広く利用されていますし、安価でレモンよりもしっかりとした「レモンの香り」を出してくれる香料として親しまれています。小売の精油もお安めの部類ですから、お部屋の空気の浄化用などデイリー使いようにも取り入れやすい存在です。
香料原料データ
- 通称
- レモングラス(lemon grass)
- 別名
- レモンガヤ(檸檬茅)、レモンソウ、ウエストインディアン・レモングラス(West Indian Lemongrass)、インドバーベナ(Indian Verbena)など
- 学名
- Cymbopogon citratus
- 科名/種類
- イネ科オガルカヤ属/多年草
- 主産地
- タイ、インド、ベトナム、インドネシア、スリランカなど
- 抽出部位
- 葉・全草
- 抽出方法
- 水蒸気蒸留法
- 色
- 淡い黄色~オリーブオイル色
- 粘性
- 低い
- ノート
- トップノート
- 香り度合い
- 中~強め
- 精油成分
- β-ミルセン、ゲラニアール、シトラール、シトロネロール、ゲラニオール、酢酸ゲラニル、ネラール、リモネンなど
- おすすめ
- 芳香浴・アロマバス・マッサージ・スキンケア・ヘアケア・ハウスキーピング・防虫
レモンとハーブを組み合わせたような、ややビターでスッキリとした香り
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レモングラスに期待される働き・効能
精神面への作用と効果
レモングラス精油の特徴成分と言える“シトラール”はレモン様の香りを持つ芳香成分で、鎮静作用を持つと考えられることからストレスや神経衰弱を和らげる働きが期待されています。レモンに似たスッキリとした香りは好き嫌いも少なく、疲れている時・気分が落ち込んでいる時でも受け入れやすいのもメリット。その他にもシトロネロールやリナロールなど鎮静作用を持つとされる成分が多いことからレモングラスは“冷やすハーブ”と称されることがあり、精神面においても気持ちを落ち着けることで冷静さを取り戻すサポートをしてくれると言われています。
またスッキリとした香りはリフレッシュにも役立ちますし、ゲラニオールやリナロールなどの成分には抗うつ作用も期待されています。レモングラス精油としても心への刺激・高揚作用がある、やる気・集中力を高めてくれるのではないかという説もありますよ。精神的な緊張や疲労から無気力であったり、思考がまとまらないような時にも良さそうですね。運転中のリフレッシュアロマとして使われることもありますし、新しいことにチャレンジする時に適した香りという評もあるようです。香りの印象としては刺激・リフレッシュ寄りに感じられますが、鎮静方面が強いと考えられますから、神経系の緊張でイライラしたり気持ちが落ち込んでいる時や、疲れた心を労りたい時にも適しているでしょう。
肉体面への作用と効果
インドで古くから解熱剤として用いられていたと伝えられ、現在も伝統医学上の効能からレモングラスには利尿・発汗作用があるとされ熱を下げるサポートに役立つと考えられています。“冷やすハーブ”という別名や、東南アジアなど暑い地域で好んで使われているのも納得ですね。胃作用や消化促進作用など消化器系への働きかけも高いと考えられており、食欲不振・消化不良など胃腸の不調緩和にも用いられています。加えてシトラールには鎮痛作用や抗炎症作用も期待できるため、胃痛や頭痛、筋肉痛など「痛み」の緩和にも利用できます。
そのほかシトラールは血管弛緩作用を持つとも言われていますから、血行促進によるむくみの改善・鎮痛作用とあわせて肩こりや腰痛などの軽減にも効果が期待されています。レモングラスは解熱に繋がる働きも多く“冷やすハーブ”と称されていますが、循環器系をサポートしてくれる精油でもありますから冷え性の軽減などにも役立ってくれるでしょう。
風邪予防にも
レモングラスに含まれているシトロネラールや酢酸ゲラニルは抗菌・抗真菌と、抗炎症作用が報告されている精油成分でもあります。そのほかにもレモングラスには抗菌作用や抗ウィルス作用を持つと考えられる成分が多く含まれていることから、デュフューザーなどでオイルを拡散することで空気浄化や風邪予防に役立つと考えられます。抗炎症作用が期待できる成分も多いので喉の痛みや咳・鼻詰まりなど、風邪の初期症状の軽減にも効果が期待できます。抗炎症作用を持つ精油のため花粉症の緩和に繋がる可能性もあるでしょう。
その他に期待される作用
肌への働きかけ
レモングラス精油は皮膚や毛穴を引き締める収斂作用と、肌を清潔に保つ殺菌作用を持つとされています。この二つの働きから皮脂分泌のコントロールやニキビの予防・改善に取り入れられています。その他には抗真菌作用があることから水虫のケアに、皮脂分泌調整と合わせて脂漏性皮膚炎やマラセチア毛包炎などの皮膚トラブルケアにも効果が期待されています。2014年には『Libyan Journal of Medical Sciences』にレモングラスオイルには優れた抗真菌・抗炎症作用がみられたこと、真菌感染症と皮膚炎治療へ応用できる可能性があることを示唆した報告もされています。
また収斂作用は肌のたるみを改善したり、開いた毛穴を引き締めることで毛穴の黒ずみを目立ちにくくするなどの働きも期待されています。肌のハリ低下が気になる方にも適しています。リンパの流れを促進するという説もありますので、むくみが気になる方はマッサージ用として取り入れてみても良いかもしれません。ただしシトラールは皮膚刺激性が高い成分でアレルギーを起こす可能性も指摘されていますから、皮膚が厚いとことからパッチテストを行っていった後に使うようにしましょう。
消臭・虫よけ剤としても
レモングラスはデオドラント効果に優れた精油としても知られています。タバコやペットの臭いが気になる時にアロマランプやディフューザーで香らせるとお部屋がクリーンな印象の香りに包まれますよ。またシトラールの抗菌作用による細菌感染や真菌感染の予防対策や、防虫効果による虫刺されやダニ・ノミ対策にも役立ちますから一石二鳥…一石三鳥の効果が期待できます。あまりTPOを得たばない香りであり、デイリーに取り入れやすい価格帯の精油でもありますから、お部屋の浄化剤として用いてみても良いでしょう。そのほか水虫&体臭対策としてフットバスにもよく使われています。足の臭いやムレ・水虫が気になるシーズンにも活躍してくれそうですね。
レモングラスが利用されるシーンまとめ
【精神面】
- 精神的ストレス
- 緊張・不安・精神疲労
- イライラ・怒りっぽい
- 抑うつ・無気力状態
- やる気・活力が欲しい時
- 集中力を高めたい
- リフレッシュしたい
- 冷静になりたい
【肉体面】
- 風邪などの感染症予防
- 発熱・夏バテ時に
- 食欲不振・消化不良
- 血行不良・むくみ軽減に
- 肩こり・頭痛・筋肉痛
- ニキビ・水虫
- 脂性肌・毛穴ケア
- 消臭・防虫剤として
レモングラスの利用と注意点について
相性の良い香り
サッパリとしたレモングラスは、どの系統の香りであってもブレンドしやすい香り。ハーブ系・フローラル系の香りと特に相性が良いとは言われていますが、柑橘系や樹木系の香りでも違和感なくマッチしてくれるでしょう。レモンと同じ様に重い印象の香りをライトにしたい時にも使えます。レモンに似た使い勝手の良い香りではありますが、レモングラスの香りは強めなので、ブレンド時には相手よりも“量”に注意すると確実です。
レモングラスのブレンド例
- 心の疲労回復に⇒マジョラム、ベルガモット、パルマローザ
- 気分を前向きに⇒ニアウリ、コリアンダー、ヤロウ、バジル
- 血行改善・むくみに⇒ネロリ、ブラックペッパー、ジンジャー
- お部屋の消臭に⇒ユーカリ、ラベンダー、パイン、レモン
レモングラス精油の注意点
- 妊娠中の方・緑内障の方は使用を避けてください。
- 猫を飼われている方は高濃度の使用を控えましょう。
- 肌への刺激が強いので使用濃度には注意が必要です。
- アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
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参考元