【アロマ】ヤロウ精油
-植物の特徴・期待される効果効能とは?

【アロマ】ヤロウ精油<br />-植物の特徴・期待される効果効能とは?

抗炎症作用が期待される“青色”精油

ヤロウ精油はカモミールジャーマンと同じくアズレン誘導体(カマズレン)を含み、濃い青色をした液体。香りはスパイシーを含んだ濃厚なハーバル調のため若干好き嫌いは分かれますが、皮膚トラブルの軽減以外に、ストレスの軽減や睡眠サポートなど“癒やし”効果が期待されている精油でもあります。抗アレルギー作用・抗炎症作用や皮膚組織再生促進作用も期待されていますが、刺激物となる可能性もあるため皮膚利用には注意が必要。

ヤロウ(Yarrow)

ヤロウとは

ヤロウの特徴・歴史

ヤロウはジャーマンカモミールと同じ様に、蒸留された精油が濃い青色となることが最大の特徴と言える植物。インクのような独特な青色から、ヤロウ精油は日本で“ヤロウブルー”とも呼ばれています。カモミールと同じく濃い青色は蒸留の工程で変化して出来たアズレン誘導体(カマズレン)を含むことから、抗炎症作用が期待できる精油としてスキンケア・肌トラブル緩和など皮膚利用の面で注目が高まっている精油の一つで、軟膏類・皮膚疾患用のバス用品などの商品にも配合されています。そのほかハーブ療法では循環器系や月経トラブルのサポートにヤロウティーを使用することもあるそう。

そんなヤロウはキク科植物で、ノコギリソウ属に分類されています。ヤロウの原産はヨーロッパで、広い地域に自生していたと考えられています。ネアンデルタール人の埋葬地の墓地からも発掘されているそうですよ。現在はヨーロッパだけではなく北米・オーストラリア・ニュージランドなど広範囲で分布しており、オーストラリアでは精油だけでなくフレッシュハーブもしくはドライハーブとしても親しまれています。日本にも明治20年に園芸種として渡来し本州と北海道の一部では野生化しているのそう。ちなみに、和名式属名や和名セイヨウノコギリソウ(西洋鋸草)は葉軸の左右に鳥の羽のように並ぶ葉(羽状複葉)の形状がノコギリに似ていることが由来。ヤロウの別名には“milfoil(ミルフォイル)”というものもありますが、こちらも「千枚の葉」を意味する言葉です。

対して学名として正式に使われている“Achillea”は、ギリシア神話に登場する英雄アキレスが由来。ギリシア神話ではトロイ戦争の時に英雄アキレスが傷ついた兵士たちの手当に使ったというエピソードがあり、伝説ではケンタウロス族の賢者ケイローンに薬草としてのヤロウの使用法を教わったと伝えられています。1世紀に『博物誌』を著した大プリニウス(Pliny the Elder)もヤロウと英雄アキレスの関係性についてのコメントを残しているのだとか。アキレスについては実在したかも定かではないので置いておくとして、ヤロウは“兵士の傷薬(soldier’s woundwort)”という別名でも呼ばれるように古代ギリシア時代から止血・傷口を固める効能がある薬草として知られていたことは窺える話ですね。

イギリスに住むサクソン人も5世紀までにはヤロウを栽培し家庭用軟膏(傷薬)の原料に活用していたと伝えられていますし、ネイティブアメリカン達もまた北米品種を使用していた事がわかっています。彼らは止血や鎮痛のためにヤロウを使用した以外に、解熱剤として利用したり睡眠の質を高めるためにヤロウを煮出したお茶を飲んでいたと伝えられています。現在でも民間療法・ハーブ療法でヤロウティーは強壮・発汗・解熱作用などが期待できるハーブとして活用されています。そのほか独特の香りがあることから料理用ハーブとしても使用されますし、かつてはホップが主流になる以前のビールのフレーバー・タバコ代用品として利用されていた事もあります。地域によっては若葉を茹でて野菜感覚で食べることもあるそう。

薬草として各地で活用されてきただけではなく、ヤロウは宗教・呪術的パワーを持つ植物と信じられていた歴史もあります。スコットランドでは占い・お守り・魔除けに、イギリスでは恋占いに、中国では予見のハーブとして利用されていたようです。占い関係が多いですね…。中世にはヤロウに悪魔を遠ざける魔力があると信じられ、教会でも栽培されていたようです。古い時代は病気や精神・神経疾患なども「悪魔の仕業」というような捉え方をする傾向にありましたから、スピリチュアルな部分ではなく、経験的にヤロウのハーブとしての効果を認めての利用だったのかもしれませんね。

香料原料データ

通称
ヤロウ(Yarrow)
別名
西洋鋸草(セイヨウノコギリソウ)、コモンヤロウ(common yarrow)、ヤロウブルー(yarrow・blue)、ソルジャーズ・ウーンドワート(soldier’s woundwort)、ミルフォイル(milfoil)など
学名
Achillea millefolium
科名/種類
キク科ノコギリソウ属/多年草
主産地
ハンガリー、カナダ、ドイツ、フランス、ブルガリアなど
抽出部位
花、葉
抽出方法
水蒸気蒸留法
濃い青色
粘性
少しある
ノート
ミドルノート
香り度合い
強め
精油成分
ゲルマクレンD、サビネン、β-ピネン、カズマレン、1,8-シネオール、α-ピネンなど
おすすめ
芳香浴・アロマバス・マッサージ・スキンケア・ヘアケア

カンファー感の中に甘みのある、スパイシーでハーバルな香り

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ヤロウ精油に期待される働き・効能

精神面への作用と効果

ヤロウ精油は鎮静作用と強壮・刺激作用を併せ持つ、精神のバランスを調整するのに優れた精油とされています。イライラや怒りなど感情的になりやすい人には落ち着きやリラックス感を、気力が衰えているときには元気・やる気の回復をサポートしてくれる精油として様々な場面で使用されているそう。鎮静や刺激など様々な方面から気持ちを整えるサポートをしてくれる精油と考えられていますが、ヤロウ精油は自分では気付かないうちに我慢やストレスを重ねたり、感情を抑圧してしまう方にも良いと紹介されることが多いように感じます。

特にストレスが多いと感じている方、寝付きが悪い・睡眠が浅いと悩んでいる方に適した精油とされていますよ。自分では原因がよくわからない気持ちの強張りやだるさがある、嫌な事を思い出したり、過去の傷が疼くような場面で試してみても良いかもしれません。精油を使用した芳香吸引の実験ではありませんが2012年に『Journal of Ethnopharmacology』に発表された動物実験では、ヤロウのアルコール抽出物の投与によって抗不安作用を有することも報告されています。

肉体面への作用と効果

ヤロウは数千年前から傷の手当に使用されてきたと伝えられるハーブ。古くから手当に使用されたのは止血作用があるだけではなく、殺菌作用によって化膿を抑える働きがあったためではないかという見解もあります。また、胃液や胆汁酸の分泌を促すという説もあり、消化機能を高める働きが期待できることから消化不良や下痢、便秘、お腹の張りなど胃腸トラブルのケアにも用いられています。そのほか循環器系を刺激し、発汗・利尿作用を持つと考えられ、むくみの緩和や静脈瘤の予防などに注目されています。殺菌・抗菌作用と合わせて風邪やインフルエンザの予防、初期症状時の解熱サポートとしても役立ってくれる可能性があるでしょう。

ヤロウ精油には強壮作用・抗ウィルス作用などにより身体全体の免疫力を高め感染症を予防する作用がある、鎮痛作用や抗炎症作用によってリウマチや神経痛などの痛みを和らげるという説もあります。しかし、こうした働きについては精油というよりもハーブもしくはヤロウ抽出物に対しての実験報告が根拠となっているものも見受けられます。ハーブとしてのヤロウの有用性はフラボノイドの作用によるものも多いと考えられていますし、精油は医薬品や健康食品ではありません。過度な効果は期待しないようにしましょう。

女性領域のサポートにも

ヤロウの精油はマジョラムなどと共に“エメナゴーグ(Emmenagogue)”と呼ばれる、骨盤領域と子宮の血流を刺激する月経促進ハーブとしてヨーロッパで利用されてきた歴史があるハーブの一つ。作用秩序や有効性については明確にされていませんが、伝統的用途と合わせてヤロウ精油は女性ホルモンのバランスを整える働きが期待されています。生理周期を整えたり、月経過多や不正出血時に良いという見解もあります。そのほか鎮痙・鎮痛作用と合わせて生理痛の軽減に、メンタル面へのサポートと合わせて更年期障害やPMS(月経前症候群)による諸症状の軽減にも活用されています。と言っても民間療法の域を出ないものですら、症状が重い場合にはきちんと病院で診断と治療を受けるようにしましょう。

その他に期待される作用

皮膚のケアに

古くから傷の手当に適したハーブと考えられてきたヤロウ。カモミール・ジャーマンの代表成分でもあり、インクのような青色の元でもあるアズレン誘導体(カマズレン)には抗アレルギー・抗ヒスタミン・抗炎症・鎮掻痒・皮膚組織再生促進作用などを持つ可能性が報告されています。こうしたカマズレンの働きから、ヤロウ精油は虫刺されの痒み緩和をはじめ、アトピー性皮膚炎や花粉症などのアレルギー軽減、切り傷・あかぎれ・火傷・湿疹などの治癒促進用など様々な用途で用いられています。かゆみケアとしてはお湯に精油を1~2滴混ぜ、湿布として幹部に貼り付ける方法もとられています。この布を当てる方法であれば、花粉症などによる目のかゆみにも使えます(※目に入らないように注意して下さい)。

またヤロウ精油は収斂作用があることから、毛穴の開きや肌のたるみが気になる方、脂性肌の方やニキビが出来やすい方のケアにも適した精油とされています。収斂作用から頭皮・毛髪の脂っぽさの軽減に、循環刺激や強壮作用から髪の毛の成長促進・育毛・抜け毛の防止に役立つとしてヘアケアに活用される方もいらっしゃいます。手作りのローションやヘアトニック・かゆみ軽減クリームなどにヤロウ精油を用いる方もいらっしゃいますが、人によっては感作作用(アレルギー反応)を起こす可能性もありますので必ずパッチテストを行ってください。傷のケアに良いという説もありますが、悪化の危険性がある・有効性が認められていないことから個人的にはきちんとした医薬品類の使用をお勧めします。

ヤロウが利用されるシーンまとめ

【精神面】

  • イライラ・憂鬱
  • 感情コントロールが困難な時
  • 精神疲労・緊張
  • ストレスを感じる時に
  • 我慢や抑圧状態に
  • 気力の衰え・無気力
  • 寝つきが悪い時に

【肉体面】

  • 発熱を伴う風邪などに
  • 免疫強化・感染症予防
  • 月経不順・生理痛
  • PMS・更年期障害の不調
  • 切り傷や火傷のケア
  • 脂性肌・ニキビケア
  • 抜け毛防止・育毛

ヤロウ精油の利用と注意点について

相性の良い香り

ハーバル感の中にスパイシー感もあり濃厚な印象のヤロウ精油。失敗無くブレンドしやすいのは柑橘系で、レモンなどライトなものを組み合わせることでヤロウの濃厚さも軽減されますよ。そのほかハーブ系・ウッディー系・スパイス系の香りも比較的ブレンドしやすいはず…ですが、濃すぎると重苦しい印象になるので少量ずつブレンドするのがおすすめです。

ヤロウのブレンド例

ヤロウ精油の注意点

  • 妊娠中・授乳中の方、小さいお子さん、てんかんの方は使用は避けましょう。
  • キク科・ブタクサアレルギーがある人は使用を避けてください。
  • 多量もしくは長時間の使用は頭痛を引き起こすことがあります。
  • 敏感肌の方は肌を刺激することがありますので注意して使用してください。
  • アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
  • 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。

参考元