【アロマ】ジュニパーベリー精油
-植物の特徴・期待される効果効能とは?

【アロマ】ジュニパーベリー精油<br />-植物の特徴・期待される効果効能とは?

浄化・デトックスサポートに使われる

さっぱりとしたユニセックス系の香りから芳香剤やバスグッズなどに使用されることも多いジュニパー。ジンの香り付けや香辛料としても使用されており、古くは肉体や精神を浄化するハーブとして活用されてきた植物でもあります。現在でも抗菌作用など消毒薬の代替え品としての働きが研究されていますし、体液循環をサポートする精油としてデトックスや痩身サポートにも活用されています。体臭の浄化=デオドラントにも期待。

ジュニパーベリー(Juniper Berry)

ジュニパーベリーとは

ジュニパーの特徴・歴史

むくみ軽減や心身のデトックスに役立つ精油として、女性を中心に人気の高いジュニパーベリー。多少バルサム調のニュアンスもありますが、全体の印象としてはフレッシュで甘さのあるウッディーノートだというのも親しみやすいポイントですね。少し前まではハーブやアロマテラピーなどの自然療法がお好きな方以外にはさほど知られていませんでしたが、最近はルームフレブランスや入浴剤の香りとしてもよく見かけるようになしました。さっぱりとした好き嫌いのない香りから男性用香水にも使われています。

ジュニパーベリーは直訳すると「ジュニパーの果実」ですが、その果実を付けるジュニパーはというとヒノキ科のうちビャクシン属に分類される針葉樹。ビャクシン属の属名が“Juniperus”なので広い意味でのジュニパーには50種以上があるものの、香辛料やハーブ・香料として単にジュニパーという場合は学名Juniperus communis、和名をセイヨウネズという種を指すことが多くなっています。和名の通り日本に生えている針葉樹のネズは同属に分類されますし、別物のような名前ですがシダーウッドバージニアシダーウッドテキサスもジュニパーの近縁種です。同科別属なのでそこまで近いわけではないですが、香りの印象が似ていることもあり“ヒノキの仲間”と紹介されることもありますね。

ジュニパーベリー=果実(液果)は直径5~8mmで、最初は緑色をしているものの完熟するにつれ黒紫色になります。一見するとブルーベリーなどに似ていて美味しそうに見えますが、ジュニパーベリーは完熟しても甘くなりません。このため果物として生食されることはほとんどなく、乾燥させて砕いたものをスパイスとして料理に使わうのが主。精油は名前の通りジュニパーベリーから抽出されますが、ベリーだけではなく葉や小枝からも精油は作られています。ただしこちらはあまりポピュラーではないため単に「ジュニパー」と呼ぶ場合もジュニパーベリーのことを指すのが一般的で、葉や小枝も一緒に蒸留した精油は「ジュニパーブランチ」と呼んで区別することが多くなっています。

ジュニパー(セイヨウネズ)は北半球に広く分布しており、原産地は断定されていませんが“人が利用した中で最も古い植物の1つ”とも称されるほど人類との関わりの歴史が長い植物。紀元前1500年頃とされるエジプトのパピルスでの記述もあり、墓からも発掘されています。しかしエジプトはジュニパーの生育環境とは合致しないため、ギリシアなどを通して輸入されたものではないかという見解もあります。またジュニパーの爽やかな香りは精神の浄化作用を持つものと考えられ、宗教儀式を行う時の薫香として利用されてきた歴史もあります。西アジアでは家に植えると悪魔・魔女が入ってこないという伝承もありますし、スコットランド人やチベット人なども魔除けに使っていたそう。

香辛料やハーブとしての歴史も古く、古代ギリシアでジュニパーベリーは体力を高める食物として、ローマでは高価なブラックペッパーの代用品として使っていたとも言われていますよ。また肉体を浄化する薬草・消毒薬としても古代ギリシアから使用されており、ペストなどの感染症が流行した中世に多用されたハーブの一つでもあります。当時の医者はジュニパーベリーを煮出した液で使用する道具の消毒をしていたという逸話もありますよ。ギリシアやローマだけではなくアラブ圏でも消毒薬として使われていたことが分かっていますし、ユーゴスラビアでは「万能薬」として重宝されていた時期もあるのだとか。

…と言っても日本人にとって最も馴染みのあるジュニパーベリーの活用法としてはお酒「ジン」の香り付けではないでしょうか。11世紀頃から風味付けにジュニパーベリーを使ったお酒は存在していましたが、現在のジンの原型としては17世紀にオランダのライデン大学医学部教授が解熱・利尿用薬用酒が起原とされています。安くて強い酒というイメージの強いジンですが、元々は薬酒だったんですね。精油の香りもジンに似ていると紹介されることが多いですが、個人的にはジンよりも軽く、ウッディー感の中にグリーンシトラス感を含んでいるように感じられます。

香料原料データ

通称
ジュニパーベリー(Juniper berry)
別名
セイヨウネズ(西洋杜松)、コモン・ジュニパー(Common Juniper)
学名
Juniperus communis
科名/種類
ヒノキ科ビャクシン属/常緑低木
主産地
イタリア、フランス、オーストリア、ハンガリー、カナダなど
抽出部位
果実(液果)
抽出方法
水蒸気蒸留法
ほぼ無色~淡黄緑色
粘性
低い
ノート
ミドルノート
香り度合い
中くらい
精油成分
α-ピネン、ミルセン、リモネン、カンフェン、β-カリオフィレン、カンフェン、テルピネン4オールなど
おすすめ
芳香浴・アロマバス・マッサージ・スキンケア・ヘアケア

ヒノキにも似た印象がある、甘めでスッキリした木の香り

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ジュニパーベリーに期待される働き・効能

精神面への作用と効果

ジュニパーベリーの精油は「心を浄化する香り」とも称される存在。古来浄化の力を持つ香木と考えられていた歴史だけではなく、ストレスや不安を軽減して落ち込んだ気持ちをリフレッシュさせる手助けをしてくれると考えられています。成分的に見ても森の香りや森林浴効果をもつと紹介されるα-ピネンやザビネン、リラックス効果が期待できるリモネンなどが含まれています。クセがなくさっぱりとした香りはマイナスの感情をリフレッシュしてくれるだけではなく、頭を切り替えて前向きさややる気を取り戻す手助けとしても役立ってくれそうですね。

またジュニーベリーの香りはメンタル面の強壮や、心を温めてくれる働きがあるという見解もあります。難しいことに直面していて、冷静さを取り戻したい・乗り越えるために心を強く持ちたいという場面に適した精油であるとも表現されていますよ。人間関係によって生じるストレスや精神的消耗感・気持ちの落ち込みに効果が期待できること、相手を選ばない香りから営業・接客業の方や人見知りの方のサポーターとしても役立ってくれるでしょう。リラックスタイムの演出用としてから、リフレッシュ効果と合わせて勉強中・仕事中の香りとして、新しいことにチャレンジしたい時に冷静に自分を見つめてみる契機として…など様々なシーンで活用できる香りです。

肉体面への作用と効果

心だけではなく、ジュニパーベリーは体に対しても「浄化」する精油であると表現されます。これは宗教的な意味合いではなく、利尿・発汗・解毒・老廃物排出促進作用などデトックスに繋がる働きかけが期待されているためです。ジュニパーを使ったお酒であるジンも、元は解熱利尿効果を持つ薬用酒として用いられたもの。精油の場合もテルピネン-4-オールに腎臓刺激作用があり、結果として利尿作用をもたらすのではないかという見解があります。その他の成分でもα-ピネンやリモネンには血行促進作用が、ミルセンには肝臓や腎臓の機能を高める働きが期待されています。

このためアロマテラピーや民間療法でジュニパーベリーの精油は腎臓・膀胱結石の予防や排尿関係のトラブルのケアに用いられることもあります。2003年の『Phytotherapy Research』などには抗菌および抗真菌活性が見られたという実験報告も掲載されていることから、膀胱炎や尿道炎など尿路感染症ケアに、利尿・発汗・解毒作用から体内の老廃物を洗い流す=デトックスサポートなどに使用される事もあります。しかし、ジュニパー精油を用いた実験は少なく、有効性を評価するにはさらなる証拠が必要。医薬品としての効果が認められているものではありませんから、治療目的で使用するのではなく、健康維持・再発予防の一環として取り入れてみる程度に考えましょう。体の循環・解毒機能を高めたい時に取り入れてみるくらいの感覚で使用し、変調や疾患がある場合は医療機関で診断と治療を受けましょう。

ダイエットのサポートにも

ジュニパー精油は血行促進作用が期待できることから、血行不良による冷え・リンパ循環の停滞を改善するサポートにも役立つ可能性があると考えられています。この働きから血液もしくはリンパ液の流れが滞る事で起こるむくみやセルライト、冷え性や代謝低下予防などに繋がる可能性が注目されています。解毒機能や毒素排出を促す働きが期待できることと合わせて、セルライト対策やダイエットサポートとしてマッサージなどにも活用されています。また、同様の理由から冷えに起因する腹痛や腰痛・筋肉痛・関節炎・リウマチ痛・生理痛などの軽減にジュニパー精油を使用する方もいらっしゃいます、

風邪・インフルエンザ予防に

かつては伝染病予防にも役立つと考えられ、消毒薬としても使われていた歴史のあるジュニパーベリー。流石に現在では何が何でもとは考えられていませんが、免疫力向上効果が期待されるα-ピネンを筆頭として抗菌・抗ウィルス作用が期待できる様々な精油成分を含んでいることから抗感染作用をもつ精油の一つにも数えられています。精油を拡散させることで風邪やインフルエンザなどの呼吸器感染症予防に役立つと考えられていますし、発汗作用や利尿作用は体内の熱の排出を助けて解熱に繋がる可能性もあります。風邪の初期症状である発熱のケアに利用してみても良さそうですね。

ちなみにまたジュニパーベリーは医薬用殺菌薬のクロルヘキシジンと同様の抗菌活性を有する精油と紹介されることもありますが、おそらくその根拠となっている2015年の報告で使われているのはJuniperus excelsaの精油です。一般的にジュニパーベリーとして使われている精油はJuniperus communisが原料ですし、実験で報告されているのは虫歯や歯周病に関連する細菌に対する有効性。クロルヘキシジンも口内炎・歯周炎治療に用いられることの多いお薬です。風邪やインフルエンザ・ノロウィルスなど全ての病原菌に対しての有効性が報告されているわけではありませんので、

その他に期待される作用

肌への働きかけ

ジュニパーベリーの精油は抗菌性が高く収斂作用があることから、皮膚に対しても浄化作用を持つと表現されています。収斂作用から肌や毛穴を引き締める働きが期待できますし、そこから皮脂分泌を整えることにも繋がると考えられるため脂性肌やニキビ予防にも利用されています。抗菌作用+収斂作用からデオドラントにも役立つと考えられ、香水を兼ねた体臭予防スプレー・バスアロマとして利用されることもあります。

そのほか抗炎症作用をもつ成分も含むことから、湿疹や皮膚炎にも有効とされます。2017年の『Cogent Medicine』にはヒト皮膚線維芽細胞において炎症誘発物質の制御が見られたとの実験報告も掲載されており、ジュニパーベリーオイルは皮膚炎症に対する有望な治療薬候補であることが示唆されています。ただし精油を自己判断で使用した場合は皮膚に対して刺激になるという説もあり、使用濃度や体質によっては赤くなる・腫れる・爛れるなどの副作用を起こすことも指摘されています。皮膚感作性はないといする見解が主流ですが、希釈したものであっても炎症を起こしている部位に使うのはリスクが伴うため避けることをお勧めします。

ジュニパーが利用されるシーンまとめ

【精神面】

  • ストレス・精神疲労
  • 不安・悲観・自信喪失時
  • 気持ちの落ち込み・無気力
  • リフレッシュしたい時に
  • 人間関係での疲労感に
  • 精神的に強くなりたい
  • 前向きになりたい
  • 冷静になりたい

【肉体面】

  • デトックスのサポートに
  • 冷え・むくみ・血行不良
  • 腰痛・肩こり・筋肉痛ケアに
  • セルライト対策やダイエットに
  • 泌尿器トラブルの予防に
  • 風邪・インフルエンザ予防
  • 脂性肌・ニキビ予防に
  • 体臭予防(デオドラント)

ジュニパーベリーの利用と注意点について

相性の良い香り

ジュニパーベリーの香りは基本的に相手を選ばずブレンドできます。中でも特に柑橘系やウッディー系の香りとは相性が良いでしょう。どのシーンでも使えるさっぱりとした香りではありますし、ジュニパーベリー精油はむくみ・セルライト対策や筋肉痛ケアのためのマッサージオイルとして使われることも少なくない存在。しかし作用が強い精油であり、高濃度・長期間の使用によって呼吸困難や痙攣など重篤な副作用を起こすという報告もあります。多く使えば良いというものでもありませんから、ふんわり香る程度に使用して下さい。

ジュニパーのブレンド例

ジュニパー精油の注意点

  • 腎臓を刺激する可能性があるため、腎臓疾患がある方は使用を避けて下さい。
  • 高血圧もしくは低血圧の方、そのほか疾患のある方も使用には注意が必要です。
  • 文献により諸説ありますが、念の為に妊娠中・授乳中の使用は控えることをお勧めします。
  • 使用法や濃度によっては皮膚への刺激となる危険性があります。
  • アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
  • 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。

参考元