【アロマ】シダーウッド・バージニアン/レッドシダー精油
-植物の特徴・期待される効果効能とは?

【アロマ】シダーウッド・バージニアン/レッドシダー精油<br />-植物の特徴・期待される効果効能とは?

防虫用として利用された歴史も

鉛筆や木箱などを連想させる香りのシダーウッド・バージニア。森林系というよりも「木材」のような印象の香りです。シダーと付きますが植物としてはヒノキ科に分類されるジュニパーの近縁種。原産地の北米では喉の不調対策や防虫剤として利用されてきた歴史があり、現在でも呼吸器系のケアや衣服の防虫・虫よけなどに活用されています。刺激性があるため注意が必要ですがセルライトケアやニキビ予防にも効果が期待されていますよ。

シダーウッドバージニアン(Cedarwood Virginian)

シダーウッド・バージニアン(レッドシダー)とは

シダーウッド・バージニアンの特徴・歴史

シダーウッド・バージニアは、バージニア州ほかアメリカ合衆国の東部に分布している針葉樹。別名“レッドシダー(red cedar)”とも呼ばれる通り、木材としては色味がピンク~褐色がかって赤っぽく見えることが特徴です。呼び名に“シダー”と付いていますが、植物としてはヒノキ科ビャクシン属に分類されます。ビャクシン属=Juniperusですから、シダーウッドアトラス(ホワイトシダー)よりもジュニパーに近い樹木と言えますね。余談ですがジュニパーと同じく、シダーウッドバージニアンの果実もジンの香り付けに利用されていた事もありますよ。このためバージニアン・ジュニパーと呼ばれることもあります。

香料という方向から見ても、シダーウッド・バージニアンはホワイトシダーよりも同科のヒノキサイプレス寄りの印象があります。ただし「鉛筆っぽい香り」と形容されるように、ヒノキなどよりも脂っぽさや樹脂感があることが特徴。実際、昔は鉛筆の材料としてもシダーウッド・バージニアンがよく用いられていた事から、英語でPencil Cedar、和名では鉛筆柏槇(エンピツビャクシン)とも呼ばれています。

シダーウッド・バージニアはアメリカにヨーロッパ人が入植する以前から存在していた樹木。アメリカ先住民のインディオたちは古くから風邪など呼吸器系の感染症の治療に用いていたと伝えられていますし、時には弓を作る時にも使われていたそう。芳香には防虫効果があることからシトロネラとブレンドしたものを殺虫剤として利用した、服を入れる箱を作るのにも使われていたなど、生活の中で様々に活用されていました。現在でも精油は香料として使用されていますし、州によってはクリスマスツリ=シダーウッド・バージニアというところもあるのだとか。

シダーウッド系精油の種類について

シダーウッドという呼び名は直訳すれば「マツ科ヒマラヤスギ属(Cedrus)」の木を指す言葉と捉えられます。本ページで紹介しているシダーウッド・アトラスや、シダーウッド・ヒマラヤンなどの樹木がそうですね。しかし、シダーウッドという言葉はヒマラヤスギ属以外の針葉樹の呼称としても広く使われており、精油としてもアロマ辞典・販売店などには沢山の“シダーウッド・XX”と命名されたものが数多く存在しています。

ヒマラヤスギ属に属さない植物として代表的なのが、ヒノキ科ビャクシン(Juniperus)属のシダーウッド・バージニア。シダーウッド・テキサスもシダーウッド・バージニアと同科同属ですから、この二種は近いと言えますが、ホワイトシダーとは科からして別なんです。植物分類として見ればジュニパーに、抽出部位も考えるとヒノキに近い存在と言えます。そのほかヒノキ科スギ(Cryptomeria)属である日本のスギも“ジャパニーズ・シダーウッド”と呼ばれていますよ。

精油としては単に「シダー」もしくは「シダーウッド」と呼ぶ場合は、最もポピュラーで利用しやすいとされるシダーウッド・アトラスの事を指すのが一般的ではあります。兄弟のように扱われているもののシダーウッドバージニアやテキサスはヒノキ科と、科からして別物ですからシダーウッドをイメージして使用すると違和感を感じるかも知れません。個人的な見解ですがシダーウッドバージニアの香りは、ヒノキとシダーウッド(アトラス)を混ぜたような印象があります。

香料原料データ

通称
シダーウッド・バージニアン(Cedarwood Virginian)
別名
レッドシダー(red cedar)、バージニアンジュニパー(Virginian juniper)、アロマティックシダー(aromatic cedar)、鉛筆柏槇(エンピツビャクシン)
学名
Juniperus Virginiana
科名/種類
ヒノキ科ビャクシン属/針葉高木
主産地
アメリカ
抽出部位
木部(心材)
抽出方法
水蒸気蒸留法
淡黄色~オレンジ色
ノート
ミドル~ベースノート
香り度合い
中~弱め
精油成分
α-セドレン、セドロール、ツヨプセン、B-セドレン、セリネン、ビリディフロロールなど
おすすめ
芳香浴・アロマバス・マッサージ・スキンケア・ヘアケア・ハウスキーピング・防虫

ヒノキにオイリーさを加えたような、甘くバルサミックな木の香り

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シダーウッド・バージニアンに期待される働き・効能

精神面への作用と効果

シダーウッド・バージニアンの温かみのある香りは、心を落ち着けて安心感を与える働きが期待されています。ストレスや緊張による精神疲労や、不安・悲観などのネガティブな感情を和らげてくれる精油の一つに数えられていますよ。

ただし、こうした働きが期待されるのは欧米において「懐かしい」記憶に結びつく香りであるという背景もあります。実家のクローゼットや衣装箱を思わせる香りと称する方もいらっしゃいますから、日本人によっては杉やヒノキのような存在でもあるのでしょう。シダーウッド・バージニアンはオイリーと称される独特のクセがあり、香りには好き嫌いが分かれる所。苦手だと感じた場合はリラックスを阻害してしまう可能性もあります。

肉体面への作用と効果

シダーウッド・バージニアンの精油成分はセドレンを筆頭にセスキテルペン炭化水素の割合が高くなっています。セドレンは鎮咳作用を持つと考えられている成分であること、伝統的シダーウッド・バージニアの利用から、風邪や気管支炎などで呼吸器に不調があるときのケアに多く用いられています。咳や痰が絡むような時に適した精油とされていますし、また殺菌・抗菌作用が期待できる成分も多いため、風邪っぽいと感じた時に香らせてみても良いかも知れません。

そのほかα-セドレンはリンパや静脈の強壮、鬱滞除去作用を持つのではないかと考えられている成分でもあります。循環を促すことで脂肪の蓄積防止・脂肪溶解を促す効果が期待できるためセルライトケア用のマッサージオイルに利用されることもあるそうですし、体液循環を促すことで利尿作用に通じ、むくみの軽減にも期待されています。抗菌作用と合わせて膀胱炎や尿道炎など泌尿器系の感染症対策に役立つという説もありますよ。

女性ホルモン様作用について

シダーウッド・バージニアンにはセスキテルペンアルコール類の“ビリディフロロール”という成分が含まれています。このビリディフロロールには女性ホルモンのエストロゲンと似た作用を持つ可能性があることから、妊娠中に利用すると流産を促進してしまう危険性が指摘されています。エストロゲン依存性腫瘍がある方やホルモン療法を受けている方、小さいお子さんへの使用を避けるべき精油と言えます。

その一方で、通経作用(月経促進作用)を持つ精油として、生理不順や少量月経、更年期障害など女性領域での不調軽減に役立つのではないかという見解もあります。ただし組成表・成分分析表にビリディフロロールという成分の記載がないメーカーさんも多いため含まれているか自体が曖昧ではありますし、ビリディフロロールの作用についても信頼できる根拠・情報は発見できませんでした。危険を避けるために妊娠中などの使用を避けるのはもちろんですが、女性領域のサポートとして取り入れてメリットがあるかは疑問です。

その他に期待される作用

肌への働きかけ

シダーウッド・バージニアンの精油は皮脂分泌調節作用と抗菌作用が期待できる精油として、脂性肌のケアやニキビ予防に用いられています。頭皮の皮脂も調節してくれますので、脂っぽさが原因のフケや抜け毛予防としてヘアトニックなどに配合されることもありますよ。ただし皮膚を刺激してしまう可能性がありますので、低濃度希釈でパッチテストを行ってから利用するようにしましょう。

防虫・空気浄化用にも

シダーウッド・バージニアンは古くから防虫剤として使用されてきた歴史がある樹木で、精油も昆虫忌避作用を持つとして衣服の防虫剤・虫除けアロマスプレー作りなどに活用されています。また樹木系の中でもヒノキ科の精油はホルムアルデヒドの分解に役立つという報告があることから、シックハウス症候群の予防にも注目されています。シダーウッド・バージニアンもヒノキ科ですし、殺菌消毒作用もありますから衣装タンスに入れたり、スプレーを作ってカーペットなどに吹きかけると快適な空間作りに役立ってくれるでしょう。

シダーウッド・バージニアンが利用されるシーンまとめ

【精神面】

  • リラックスしたい
  • ストレス・心の疲労に
  • 不安・緊張の軽減に
  • イライラしやすい時に
  • 安心感が欲しい時に
  • 気持ちを落ち着けたい
  • 寝付きが悪い・眠りが浅い

【肉体面】

  • 喉の不調・気管支炎の軽減に
  • むくみ・セルライト対策に
  • 風邪予防・空気浄化に
  • 脂性肌・ニキビケアに
  • ヘアケア・フケ対策に
  • 防虫剤・虫避けアロマとして

シダーウッド・バージニアンの利用と注意点について

相性の良い香り

森というよりも木材のような香りを持つシダーウッド・バージニア。ブレンドする際には同系統のニュアンスがある樹木系や樹脂系の香りと相性がよく、スパイス系やオリエンタル系の香りとも比較的合わせやすいです。香りのクセや重さが気になる時はレモンを加えるのもおすすめですよ。

シダーウッド・バージニアンのブレンド例

シダーウッド・バージニアン精油の注意点

  • 妊娠中・授乳中の方、小さいお子さんへの使用は避けましょう。
  • 婦人科系の疾患がある方・ホルモン療法を受けているは影響がないか医師に確認してください。
  • 刺激性がある精油のため高濃度での使用は避けてください。
  • アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
  • 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。

参考元