元気が欲しい時、お腹の調子が悪い時に
柑橘系っぽい爽やかな印象のコリアンダー。スパイス系精油の中ではクセがなく、上品なスパイシーさから石鹸や化粧品類の香料としても利用されていますよ。精油成分としてはリナロールの比率が高めで、爽やかな香りとともに心のサポーターとしても期待されています。古代から消化器系のケアに用いられてきた歴史と合わせて、消化器系、特に精神的な部分からお腹の調子が乱れやすい方のケアにも役立つのではないかと考えられています。
Contents
コリアンダーとは
コリアンダーの特徴・歴史
日本ではカレー粉に欠かせないスパイスとして知られるコリアンダー。葉と果実がスパイス・薬味として利用されており、葉はコリアンダーリーフ、果実は種子のように見えることからコリアンダーシードと呼ばれています。カレーに使われているのは主にコリアンダーシードの方。カルダモンなどと同様にカレーのイメージから刺激的な香りを持つと思われがちですが、コリアンダーシードは単品だと「オレンジに近い」と称される甘く爽やかな香りがしますよ。エスニック料理のイメージがあるスパイスですが、ベネディクティーヌ酒およびシャルトルーズ酒など有名なリキュール類やビール類・クッキーなどの焼き菓子の香り付けにも使われています。
ちなみに葉の方はコリアンダーリーフという呼称よりも“パクチー”の名の方で定着しています。中華料理で香菜(シャンツァイ)やチャイニーズパセリと呼ばれているのもコリアンダーの葉=パクチー。独特な香りから好き嫌いは別れますが、こちらもタイを始めとする東南アジア系の料理の普及でお馴染みの存在となっていますね。かつては乾燥して香辛料として用いられるものは果実も葉もまとめて“コリアンダー”と呼んでいたそうですが、パクチーという呼び名が定着した現在は単にコリアンダーと言った場合はコリアンダーシードの方を指すのが一般的になっています。葉は生であればパクチー、乾燥したものはコリアンダーリーフもしくは乾燥パクチーと言う方が多いのではないでしょうか。
そんなコリアンダーはセリ科に分類される一年草で、原産地は地中海東部~中東地域にかけてのエリアだと推測されています。学名はCoriandrum sativumで、和名はコエンドロ。コリアンダーの葉であるパクチーは好き嫌いが激しく「あの香りだけは無理…」という方も少なくありませんし、カメムシに似ていると表現される独特の臭気や属名の由来(説)から「カメムシソウ」という別名も知られています。コリアンダーという呼び名や属名についてもカメムシが語源とする説がありますが、属名のCoriandrumはコリアンダーを意味する古代ギリシア語の「koriannon(もしくはラテン語のcoriandrum)」に起因しています。更に遡って古代ギリシア語koriannonの語源になってはじめて、南京虫を意味するギリシア語“koris”から変化したという説が出てきます。
コリアンダーは3500年以上前のテーベの医学書にも記録が残っている歴史ある薬草で、バビロンの空中庭園に植えられていたという伝説もあります。古代エジプトでは「幸福をもたらすスパイス」とされていたとも言われ、ファラオ(ラムセス2世)の墓からもコリアンダーシードが発見されていますよ。古代ギリシアでは「医学の祖」と称されるヒポクラテスが薬としてコリアンダーを処方していたと伝えられていますし、料理用や保存料・媚薬など幅広く用いられていたことも分かっています。ヨーロッパ以外では、やはり原産地付近と言える中近東地方でもコリアンダーが媚薬として用いられていたと考えられています。1000年以上前には原型ができていたとされる『千夜一夜物語(アラビアンナイト)』の中にもコリアンダーが媚薬として用いられていたという記述があるのだとか。こうした歴史を考えると南京虫を意味する言葉が語源というよりも、キャラウェイまたはクミンを意味する“karon”から派生した言葉だという説の方が納得出来るような気がしますね。
コリアンダーの精油はコリアンダーシードとコリアンダーリーフの2種類がありますが、単に「コリアンダー」と呼ばれた場合はコリアンダーシードの方を指すのが一般的となっています。使用する部位が違いますから勿論パクチー系の香りではありませんし、香辛料として使われるコリアンダーシードとも少し雰囲気が違うと感じる方が多いようです。コリアンダーシード精油の香りはビターな柑橘系のような印象がメインで、ほのかにウッディーさやスパイシーさを含んだ温かい香り。スパイス系の精油の中で最もクセがなく、激しく嫌われることのない部類と称されることもありますよ。この大人っぽく、程よくスパイシーな香りから石鹸・化粧品・香水などの原料としても需要が高いそうです。コリアンダーそのものは世界中で栽培されていますが、精油は主にロシアや東欧で生産されています。
香料原料データ
- 通称
- コリアンダー・シード(Coriander seed)
- 別名
- コエンドロ
(葉はパクチー、香菜、中国パセリ、コエンドロ、カメムシ草などとも) - 学名
- Coriandrum sativum
- 科名/種類
- セリ科コエンドロ属/一年草
- 主産地
- ロシア、ルーマニア、インド、ハンガリーなど
- 抽出部位
- 完熟した果実(種子)
- 抽出方法
- 水蒸気蒸留法
- 色
- 無色~淡い黄色
- 粘性
- 低い
- ノート
- トップノート
- 香り度合い
- 中くらい
- 精油成分
- リナロール、酢酸ゲラニル、カンファー、ゲラニオール、α-ピネン、y-テルピネン、リモネン、ミルセンなど
- おすすめ
- 芳香浴・アロマバス・マッサージ・スキンケア・ヘアケア・ハウスキーピング・防虫
甘くスパイシーな印象を含んだ、爽やで蠱惑的な香り
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コリアンダー・シードに期待される働き・効能
精神面への作用と効果
スパイス系精油の多くはスパーシーな香りで脳を刺激し、やる気や集中力を高めるための手助けとして利用されています。コリアンダーも同様に精神・神経に対する刺激作用を持つとされ、ストレスや精神的な疲労感・落ち込んでしまった気持ちを立て直す手助けが期待されている精油です。スッキリとした香りは気分をリフレッシュさせてくれますし、倦怠感が強い・無気力状態に陥っている時に適し香りだという評もありますよ。記憶力・集中力が低下しているときに役立つ精油としてコリアンダーが紹介されることもあり、お仕事や勉強などをサポートしてくれる香りとして利用されることもあるようです。
また、実はコリアンダー精油の6~7割を占めている主成分はモノテルペンアルコール類のリナロール。リナロールはローズウッドやバジル(ctリナロール)などの主成分で、鎮静作用や抗不安作用を持つ可能性が報告されている成分でもあります。このためコリアンダー精油は気分を高揚させるだけではなく、気持ちを落ち着けたり、心のバランスを整える働きも期待できるでしょう。インドでは安眠促進のためのスパイスとしてコリアンダーが利用されるという話もありますので、ストレスなどによってイライラしたり精神が昂ぶって寝付けない時にも役立ってくれるかも知れません。
肉体面への作用と効果
古くはヒポクラテスが健胃作用を持つ生薬として利用したと伝えられ、現在でもコリアンダーは健胃・整腸作用の期待できるスパイスとして各地で利用されています。スパイスとして使用される乾燥コリアンダーと精油の香りは少し違う印象がありますが、コリアンダーシードの精油もまた健胃・駆風・食欲増進・消化促進作用など消化器系への働きかけに優れた存在と考えられています。リナロールを筆頭にストレスを緩和してくれる働きが期待できる成分が多いことと合わせて、ストレス性の便秘・下痢・腹部膨張(ガスによるお腹のハリ)・食欲不振などのケアにも役立ってくれそうですね。スッキリした印象の香り・食欲増進などの働きが期待できることから夏バテ予防・軽減にも利用できます。
2013年『BMC Complementary and Alternative Medicine』にはコリアンダーシードオイルが高い抗菌活性を示し、レモンバーム・ペパーミント精油とともに過敏性腸症候群(IBS)の治療に役立つ可能性を示唆したイギリスの調査報告も掲載されていますよ。コリアンダー精油に多く含まれているリナロール単体にも抗菌作用や抗ウイルス作用が報告されており、お腹の調子を整えるだけではなく風邪やインフルエンザなどの感染症予防に役立つ可能性もあるでしょう。
血行サポート・鎮痛にも期待
コリアンダー精油は血液循環を整える可能性がある精油の一つにも数えられている存在で、血行を促すことで体を温める働きも期待されています。胃腸機能のサポートに役立つとされる理由の一つとしても、血行を良くしてお腹の冷えを軽減する=冷えによる痛みを和らげるという働きが関係していると考えられます。抗炎症作用や鎮痛作用を持つ可能性も示唆されている事と合わせて、血行不良が原因の肩こりや筋肉痛、冷えによって痛みが悪化する関節痛・神経痛・リウマチなどの軽減にも効果が期待されています。
また、コリアンダー精油が血液循環を整えるのは内分泌系に対しての刺激作用を持つためではないかという見解もあります。このため血液循環だけではなくリンパ液の流れをも整え、老廃物の排出(デトックス)を助けてくれる精油としてもコリアンダーは注目されています。この働きについては根拠と呼べるものはほぼありませんでしたが、デトックスや血行促進作用が期待できるオイルとして冷え性やむくみ・セルライト対策のマッサージに使用すると良いという見解もあるようです。
女性の体への働きかけについて
コリアンダーシードの精油はゲラニオールを含むことから、生理痛の緩和や月経不順など女性特有のトラブル軽減に役立つという説もあります。しかしゲラニオールは女性ホルモンの一種であるエストロゲンの分泌を助ける可能性があると言われているものの、その作用について解明されていません。同じくゲラニオールを含むゼラニウム精油の場合は「女性ホルモン様(エストロゲン様)作用をもつ成分は含まれていない」という見解も少なくありませんから、コリアンダー精油の場合も女性ホルモン様作用については期待しないほうが良いでしょう。
ただし血液・リンパ液の循環を促したり体を温める働きが期待できるため、生理痛の軽減に繋がる可能性はあります。同様に血行不良の改善・リナロールなどの成分が自律神経のバランスを整えることで、月のリズムを整える手助けとしても効果が期待できます。また妊娠中の使用は避けるべき精油とされているため、女性ホルモン様作用については定かではありませんが安全のために大切な時期の利用は避けて下さい。
その他に期待される作用
>皮膚利用について
コリアンダーは17世紀にパリのカルメル会の修道女たちが作った化粧水の成分として利用されたという歴史があり、現在でも皮膚に対して有益な働き(蕁麻疹・湿疹・火傷の回復など)があるという説もあります。しかし皮膚刺激性が強くコリアンダー精油そのものが皮膚炎症を起こす原因となる可能性が高いため、スキンケアなどにはほとんど使用されていません。低濃度に希釈することで足や足裏などのマッサージに利用されることはありますが、顔など皮膚が薄く敏感な部分への利用は避けたほうが良いでしょう。
>デオドラント(消臭)にも
リナロールやカンファーなど抗菌・抗真菌が期待できる成分が多く含むことから、コリアンダーは嫌な臭いを発するバクテリアなどの増殖を抑制し消臭(デオドラント)に役立つと言われています。特に足の裏やなど汗で蒸れ雑菌が繁殖しやすい場所から発生する体臭対策に良いと考えられていますよ。皮膚刺激性があるので使用には注意が必要ですが、希釈してデオドラント用のアロマスプレーを作っておくと靴の中敷きや洗濯物の生乾き臭対策などにも活用できますよ。
コリンダーが利用されるシーンまとめ
【精神面】
- ストレス・神経疲労
- 気持ちの落ち込み・無気力
- 不安・緊張・心配
- イライラ・興奮
- リフレッシュしたい
- 前向きになりたい
- 集中力・やる気を保ちたい
- 気持ちを安定させたい
【肉体面】
- 消化不良・食欲不振
- 冷えによる腹痛や下痢に
- 血行不良・冷え性
- 関節痛・神経痛・筋肉痛
- むくみ軽減・デトックスに
- 疲労・慢性疲労の軽減に
- 風邪・インフルエンザ予防に
- デオドラント用として
コリアンダー精油の利用と注意点について
相性の良い香り
コリアンダーシードはスパイス系の精油に分類されるものの、香りとしては柑橘系のニュアンスを持ち合わせています。このため量さえ気をつければほとんどの系統の香りとマッチしますが、特に同系統の柑橘系・スパイス系とは相性が良いと言われています。さっぱりした印象で香りそのものもあまり強くない精油ですが、多量に使用すると麻痺を起こす可能性があるので香りに奥行きを出す程度に使用するのがオススメです。
コリアンダーのブレンド例
- 集中力アップに⇒ローズマリー、レモン、カユプテ
- ストレス対策に⇒フランキンセンス、ベルガモット
- お腹の不調に⇒プチグレン、カルダモン、ナツメグ
- 冷えの緩和に⇒タラゴン、クローブ、ブラックペッパー
- 消臭用にに⇒シトロネラ、ジュニパー、サイプレス
コリアンダー精油の注意点
- 妊娠中・授乳中の方、お子さんがいる場面での使用は避けましょう。
- 敏感肌の方は芳香浴でも肌に刺激を感じる恐れがあります。
- 大量に使用した場合は吐き気・頭痛・知覚麻痺などを引き起こす危険性があります。多量もしくは長時間の使用は避けましょう。
- アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
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参考元