【アロマ】プチグレン精油
-植物の特徴・精油に期待される効果効能とは?

【アロマ】プチグレン精油<br />-植物の特徴・精油に期待される効果効能とは?

男女問わず使いやすい香り

プチグレンの精油は、ビターオレンジの枝葉が原料。ネロリにも通じるような軽やかさを持つウッディー系の香りが特徴。精油成分としては、ラベンダーに多く含まれている酢酸リナリルとリナロールが比較的多いことが特徴。鎮静作用が期待できるため、ストレス対策やリラックス用にも役立ってくれるでしょう。

プチグレン(Petitgrain)のイメージ画像

プチグレンとは

プチグレンの特徴・歴史

ライトで親しみやすいウッディーノートの精油、プチグレン。どことなくフローラルな印象もあり、単体でもコロンのような芳香。爽やかで、かつ様々なニュアンスを持ち合わせていることからプチグレンの精油は香水や香料として広く使用されています。

オレンジラベンダーのように名前から原料植物を想像できる精油とは異なり、プチグレンという呼び名は原料植物が想像しにくいのではないでしょうか。プチグレンは基本的に、ビターオレンジ(学名:Citrus aurantium)の葉、もしくは小枝から採油される精油のことを指します。ちなみに、同じビターオレンジの木に咲く花からはネロリが、果実からはあまり用いられませんがオレンジ・ビターの精油が抽出されています。

商品によりますが、プチグレンの香りも微かにネロリに似た爽やかなフローラル&シトラス感があることが特徴。ネロリの芳香成分と同じ酢酸リナリルなどを含み、香りの印象が似ている・同じような効果が期待できるとして、プチグレンは「貧乏人のネロリ(poor man’s Neroli)」と呼ばれることもあります[1]。また、ビターオレンジの葉・葉柄・小枝・花をまとめて蒸留したPetitgrain sur Fleursと呼ばれる精油もあります。こちらは花が含まれているため、よりネロリに似た印象の香りになっています[2]。

ところで、ビターオレンジの葉から抽出される精油がBitter Orange Leaf(ビターオレンジリーフ)のような呼称ではなく、プチグレンになったのか疑問に思いませんか。プチグレンの語源はフランス語の“Petit grain le bigaradier(ビターオレンジの小さな実)”という言葉[1]。現在のプチグレンは枝葉から精油を蒸留していますが、元々は未完熟で小さな緑色のビターオレンジ果実から抽出した精油を指す言葉でした。それが時代や国を跨いで変化し、いつしかビターオレンジの枝葉から抽出する精油=プチグレンと定着してしまったのは不思議ですね。
当ページでも、ビターオレンジの枝葉から抽出された精油をプチグレンとして書かせていただいています。

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プチグレン精油の種類について

上では、プチグレンは基本的にビターオレンジの枝葉が原料と紹介しました。なぜ基本的になんて言い回しになるかというと、ビターオレンジ以外の柑橘系の枝葉から抽出した精油も“プチグレン”と呼ぶことがあるため。ビターオレンジでの“プチグレン”の精油の原料となる柑橘系樹木には、スイートオレンジやレモンマンダリンもしくはタンジェリンなどがあります。

きちんとした製造元であれば“プチグレン・レモン”や“プチグレン・マンダリン”など明記することで、原料植物がすぐ分かるようになっています。ビターオレンジが原料のプチグレンには、ビターオレンジを指すbigarade(ビガラード)をつけて“プチグレン・ビガラード(プチグレイン・ビガラデ)”のような商品名にしているケースもあります[1]。一周まわって、元の呼び名に戻ったような形ですね。

しかし、中にはプチグレンとしか表記されていない精油や、原材料を偽る精油もあります。こうした表記が問題視されているのは消費者に対する不誠実さだけではなく、使われる植物によって芳香も精油成分も全く別物になってしまうため。ビターオレンジから抽出されたプチグレンビガラードの場合は酢酸リナリルとリナロールが精油成分全体の50%程度を占めていますが、レモンの木から抽出したものであればリモネンとシトラールのほうが主成分になります。偽和(合成成分の添加)もあるので万全とは言えませんが、購入時には学名や成分を確認するようにすると良いでしょう。

香料原料データ

通称
プチグレン(Petitgrain)
別名
プチグレイン、プチグレン・ビガラード(petitgrain bigarade)、ダイダイ(橙/臭橙/回青橙)、ビターオレンジ
学名
Citrus aurantium
科名/種類
ミカン科ミカン属/常緑低木
主産地
スペイン、フランス、イタリア、モロッコ
抽出部位
葉と小枝
抽出方法
水蒸気蒸留法
淡黄色~琥珀色
粘性
低い
ノート
トップ ~ミドルノート
香り度合い
中くらい
精油成分
酢酸リナリル、リナロール、リモネン、酢酸ネリル、酢酸ゲラニル、ゲラニオールなど
おすすめ
芳香浴・アロマバス・マッサージ・スキンケア・ヘアケア

ネロリに似た爽やかなフローラル感を含む、ライトなウッディー調の香り

プチグレン精油に期待される働き・効能

精神面への作用と効果

プチグレンはネロリの代用品のように使わることが多い精油です。精神面に関しても鎮静作用や抗不安作用を持つと考えられ、ストレス対策の香りとして使われています。また、ウッディーベースのスッキリとした香りによるリフレッシュ効果、心を癒やすことで前向きになるなどの働きも期待できることから、心のバランスを整える精油と紹介されることもあります[2]。

成分的に見た場合も、プチグレンは全体の5割程度を酢酸リナリル(リナリルアセテート)とリナロールが占めていることが特徴。酢酸リナリルとリナロールは、共に鎮静作用をや抗うつ・抗不安作用が期待されている成分。マウスを使った研究では、リナロールに抗ストレスが見られたという研究報告[3]もあることから、民間療法上の効能だけではなく、有効性があるのではないかと期待されています。

リナロールを含むプチグレンの精油(芳香)も、ストレス対策として役立つ可能性があるでしょう。プチグレンの芳香はユニセックスな印象で、TPOを問わない香りですから、ストレスが多いなと感じている方は香水感覚で取り入れてみても良いかもしれません。

安眠サポートにも

プチグレンの精油に多く含まれている酢酸リナリルとリナロールは、真正ラベンダー精油の主成分でもあります。酢酸リナリルは鎮静作用によって交感神経の興奮を鎮める働きが報告されており、リナロールにも催眠作用を持つ可能性が示唆されていつ成分。プチグレンの芳香吸引による研究はありませんが、ラベンダー精油は睡眠改善や不眠緩和に効果が見られたという報告[4]も多くあります。このため、同じく酢酸リナリルとリナロールを含むプチグレン精油も、寝付きを良くしたり、睡眠の質を高める手助けが期待されています。

肉体面への作用と効果

プチグレン精油は酢酸リナリルやリナロールなどの成分を含み、交感神経の興奮を鎮めて副交感神経の働きを高めることで呼吸や心拍を抑える働きが期待されています。このため、ストレスや自律神経の乱れに起因する胃炎・下痢・便秘・頭痛・動悸ほか様々な不調の軽減効果が期待されています。消化促進・健胃作用を持つという説があること、民間療法の中でオレンジの葉は制吐剤や消化促進剤のように使われてきたという歴史から、胃腸のケアに使われることも多い存在。

また、リナロールと酢酸リナリルは抗炎症作用も報告されている[5]成分。鎮痙作用や免疫賦活作用(免疫を強化する働き)を持つ可能性も示唆されていることから、花粉症や気管支炎など、アレルギー性の呼吸器トラブル軽減に取り入れられることもあります。ちょっと変わったプチグレンの民間療法上の効能には、“しゃっくり”に効くというものもありますよ。

循環を促すマッサージにも

鎮静作用によって交感神経の興奮を鎮めることは、体をリラックスさせ、筋肉や血管を弛緩させることにも繋がります。この働きから筋肉痛や肩こりなどの軽減、筋肉の強張りを軽減することで血液やリンパ液の循環を良くする手助けも期待できるでしょう。リラックス効果が期待できるプチグレンの精油は、心と身体の強張りを解してくれる精油と称されることもあります。

その他に期待される作用

肌への働きかけ

プチグレンの精油は皮脂バランス調整作用と抗菌作用が高いとされ、脂性肌やニキビ対策に用いられています。頭皮の油分バランスを整えることにも繋がるため、頭皮の脂っぽさ・脂性髪・フケなどが気になる方にも適しているでしょう。そのほか皮膚の強壮や皮膚組織の再生を活性化する働きも期待されており、ニキビや傷跡などの治癒促進用・シミやシワなどが気になる年齢肌のケアにも取り入れられています。

加えてプチグレンの精油は殺菌・消毒作用によって雑菌の繁殖を抑えることで、デオドラントにも役立つ可能性もあります。体をさっぱりとした状態に保ってくれる精油と言っても過言ではないかもしれませんね。香りも人を選びませんし、コストパフォーマンスも良いのでアロマバスにしたり、ローションに加えたりとデイリーに使いやすい存在でもあります。肌のべたつき・ニオイの気になる時期にも使ってみても良さそうですね。

プチグレンが利用されるシーンまとめ

【精神面】

  • ストレス・緊張を感じる
  • 興奮・イライラする
  • 不安・気持ちの落ち込み
  • 疲労感が抜けない
  • 気持ちを落ち着かせたい
  • リラックスしたい時に
  • 寝付きが悪いと感じる時に

【肉体面】

  • ストレス性の不調に
  • 胃腸機能のサポートに
  • 肩こり・腰痛
  • 筋肉痛のケアに
  • 血行不良・冷え性
  • 脂性肌のお手入れに
  • 体臭ケア・デオドラント

プチグレンの利用と注意点について

相性の良い香り

オリエンタル系・フローラル系と、特に相性が良いです。とは言え、プチグレン自体に幅広い香りの要素が含まれており、幅広い香りに合わせることができる存在。柑橘系の香りと組み合わせることで、香りに深み・奥行きもでますよ。オリジナルの香りを作るときのアクセントにも向いています。

プチグレンのブレンド例

プチグレン精油の注意点

  • 妊娠中・授乳中の方、小さいお子さんへの使用は避けましょう。
  • 疾患がある方・投薬治療中の方は医師に確認してから利用して下さい。
  • 車の運転時など集中力が必要なシーンで、高濃度での使用は避けた方が無難です。
  • アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
  • 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。

参考元