【アロマ】ラバンジン精油
-植物の特徴・期待される効果効能とは?

【アロマ】ラバンジン精油<br />-植物の特徴・期待される効果効能とは?

筋肉痛や関節痛などのケアに使われる

ハーバル調のスッキリとした香りが評価されつつあるラバンジン。真正ラベンダーとスパイクラベンダーの交雑種で、フランスほかヨーロッパで多く精油が作られています。リナロールや酢酸リナリルを含むことからラベンダーに似た働きが期待されるほか、カンファーを含んでいることから筋肉痛や関節痛などのケアにはラベンダー以上に適しているという説もあります。

Lavandula x intermedia Seal 1zz

Photo by David J. Stang, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

ラバンジンとは

ラバンジンの特徴・歴史

ラベンダーに少しツンとするようなシャープさを加えて、ワイルドにしような印象のあるラバンジン。安いラベンダーオイルだと思って購入して、家に帰ってよく見たらラバンジンだったという経験をしたことがあるのは筆者だけではないはず。精油のパーッケージなどで目にする写真もラベンダーと区別がつかないくらいに似ていますし、植物としてもラバンジンはラベンダーと非常に近い関係にあります。ラバンジンの学名はLavandula x Intermedia真正ラベンダー(Lavandula angustifolia)とスパイクラベンダー(Lavandula latifolia)の交雑によって誕生した種であることが分かっています。

ラバンジンは1900年頃にフランスで栽培され始め、痩せた土地や寒い土地でも育つ強靭さ・ラベンダーよりも背丈が高く大きな花を沢山付けることから商業用として脚光を浴びたそう。現在の主産地もフランスで、スペインやイタリア産の精油も若干流通しています。育てやすく大きめのサイズであることに加えて、ラバンジンは真正ラベンダーよりも香りが強いという特徴もあります。このため抽出された精油は安価な香料として各業界で使用されてきましたが、真正ラベンダーのな繊細かつ華やかな香りとは異なることから「ラベンダーよりは劣る」という評価をされてきた存在でもあります。

かつてはラベンダーの香りを高めることがラバンジンの主な用途でしたが、近年ではラバンジンはラバンジンとしてきちんと評価されるようになっています。ラバンジンの評価が見直された理由として、ハーバル感があり力強い芳香が挙げられるでしょう。ラバンジンの香りはスッキリ感や力強さを押し出したい、男性用香水や化粧品などに使われています。また、ラベンダーにはほぼ含まれていない精油成分が含まれていることから、ラベンダーとは異なる方面からの健康サポートも期待されています。

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ラベンダー系精油の種類について

ラベンダーと付く植物は数多くしていますが、ラヴァンドラ属の精油は以下4つが主となっています。

この中でも「ラベンダーの香り」言われてイメージするものに近く、最もポピュラーな存在と言えるのが真正ラベンダー。フローラル調で柔らかい香りがあり、作用が穏やかで扱いやすいとされていることもあってアロマテラピーほか自然療法の中では最重視されている種と言っても過言ではありません。対してラバンジンはカンファー調の刺激感があり、真正ラベンターよりも筋肉疲労や関節痛の軽減には優れているという見解もあります。

ラバンジンの品種について

ラバンジンは単に“Lavandin”だけではなく、以下のように品種名をつけた表示がされていることもあります。

  • グロッソ(Lavandula x intermedia ‘Grosso’)
  • アブリアリス(Lavandula x intermedia ‘Abrialis’)
  • スーパー(Lavandula x intermedia ‘Super’)
  • シール(Lavandula x intermedia ‘Seal’)
  • レイドバン(Lavandula x intermedia ‘Reydovan’

これらは全ては真正ラベンダーとスパイクラベンダーの交雑種・交配種[1]で、ラバンジンの一種です。呼び名ではラバンジン・スーパーとなる場合もあれば、ラバンジンではなくラベンダーを付けて“ラベンダー・スーパー”や“ラベンダー・レイドバン”と表記される事もあります。広義ではラベンダー=Lavandula属植物なので間違いではありませんが、ラベンダー(真正ラベンダー)とラバンジンを分けて考えている中では少々ややこしいですよね。

ラバンジンは品種ごとでも成分や香りに若干の差があり、ラバンジン系の精油の中では“ラバンジンスーパー”が最もラベンダーに近い称されています[1]。これは酢酸リナリル(リナリル・アセテート)とリナロールの割合が高く、真正ラベンダーに成分組成と香りが最も近いというのが理由です。真正ラベンダーが最上という考え方に基づいた評価であるとも言えます。

逆の見方をすれば、鎮痛や呼吸器系のケアなど、ラバンジンが得意とされている作用についてはグロッソなどシャープな香りのものの方が高い可能性もあります。香りの良し悪しも個人の好みによる部分が大きいですから、特にこだわらず好みや用途に合わせて選ぶと良いでしょう。

香料原料データ

通称
ラバンジン(lavandin)
別名
ラバンディン、ラヴァンディン、ダッチラベンダー(Dutch lavender)、ラベンダー・スーパーLavender Super)、ラベンダー・レイドバン(Lavender Reydovan)など
学名
Lavandula x Intermedia
(syn.L.hybrida/L.flagrans)
科名/種類
シソ科ラベンダー属(ラヴァンドラ属)/小低木
主産地
フランス、スペイン、イタリア
抽出部位
花・葉
抽出方法
水蒸気蒸留法
無色~クリーム色
粘性
低い
ノート
ミドルノート
香り度合い
中~強め
精油成分
酢酸リナリル、リナロール、カンファー、1,8-シネオール、ボルネオール、ラバンデュロールなど
おすすめ
芳香浴・アロマバス・マッサージ・ハーブ湿布・スキンケア・ヘアケア・防虫

真正ラベンダーよりも薬草感のある、シャープなハーバル調の香り

ラバンジン精油に期待される働き・効能

精神面への作用と効果

品種によっても成分含有率には差がありますが、ラバンジンにもラベンダーの主成分である“リナロール”と“酢酸リナリル”が含まれています。リナロールと酢酸リナリルは副交感神経系を刺激する可能性が示されている成分で、リナロールには鎮静作用が見られたことも報告されています[2]。

ラベンダー精油はメンタル面へのサポートが期待されていますが、この働きは“リナロール”と“酢酸リナリル”の働きが大きいと考えられます。このため、同じ芳香成分を持つラバンジンにもリラックス効果や抗不安作用が期待されています。ラバンジンの精油もストレスや緊張の緩和、不安や気分の落ち込みを感じる時のサポートに活用されています。ただし、ラバンジン精油に関しての研究はほぼなく、ラベンダー以上にヒトに対する有効性については分かっていません

また、ラベンダーと同じ感覚で利用されることが多いラバンジンですが、真正ラベンダーは夜のリラックスタイム、ラバンジンは昼間の活動中により適しているという評もあります。これはラバンジンの芳香成分にカンファーが含まれていることが主な要因。カンファーは脳や神経を刺激して、頭をスッキリとさせる働きが期待されている成分のため、眠りにつくサポートしてはカンファー含有率が低い真正ラベンダーのほうが適していると考えられます[3]。

肉体面への作用と効果

リナロールと酢酸リナリルは、抗炎症作用が見られ“それらを含むエッセンシャルオイルによって示される抗炎症作用に主要な役割を果たしている”可能性が高いという報告もある[4]成分。有効性が認められる段階ではないものの、ラベンダー(真正ラベンダー)は神経系への鎮静作用と抗炎症作用によって、様々な不調のケアに伝統的に活用されてきた精油です。ラベンダーと近い存在であるラバンジンも同じく、神経性の不調緩和や、炎症軽減、呼吸器や循環器系のサポートに利用されています[3]。

ラベンダーと比べた場合、ラバンジンの特徴とも言える成分はケトン類のカンファー。カンファーは神経毒性の危惧があり、要注意成分として紹介されいることもあります。しかし、ヒトに対して有益な働きも期待されている成分で、伝統的に活用されていました。現代の研究でもカンファーは抗炎症作用や、血行促進作用などを持つ可能性が報告されています[5]。リナロールなどに期待される鎮静作用と合わせて、ラバンジンは肩こりや筋肉痛のケア、関節痛、リウマチ、神経痛などの緩和に期待されています。

その他に期待される作用

皮膚利用について

ラバンジンもラベンダーと同様に、皮膚のケアに対しても抗炎症作用などのメリットが期待されています。しかし、ラバンジンに含まれているカンファーや1.8-シネオールは、皮膚刺激性が高いことが指摘されている成分でもあります。火傷や皮膚炎症など炎症を起こしている部位に使用すると症状を悪化させる危険性もありますので使用はおすすめできません。ラベンダーとラバンジンの違いは「火傷のケアに使えるかか否か」という見解もあります[3]。

天然の虫除けとして

1,8-シネオールやカンファーを含むラバンジンは、昆虫忌避作用や殺虫作用を持つ精油と考えられています。妊娠中の方や乳児がいらっしゃる場合は注意が必要ですが、ラバンジンはコストパフォーマンス良い精油。デイリーに利用しやすいのも魅力ですね。

ラバンジンが利用されるシーンまとめ

【精神面】

  • ストレス・神経疲労
  • 不安・気分の落ち込みに
  • ぼんやり・無気力感がある時に
  • 気持ちを落ち着けたい時に
  • リフレッシュしたい時に

【肉体面】

  • 筋肉痛・筋肉疲労のケアに
  • 血行不良・肩こり・腰痛ケアに
  • 関節痛・リウマチ・神経痛の緩和に
  • 鼻詰まりなど呼吸器系の不調に
  • 虫除けとして

ラバンジンの利用と注意点について

相性の良い香り

ラバンジンはブレンド相手の精油と香りと互いを引き立て合うと言う説もあり、比較的どの系統の香りとも合わせやすい精油です。柑橘系やフローラル系の香りと組み合わせて使用されることが多いです。個人的には、ラバンジンの香りのカンファー感に、同じような印象のある樹木系やハーブ系とブレンドするのが最も安定しているように感じられます。

ラバンジンのブレンド例

ラバンジン精油の注意点

  • 妊娠中・授乳中の方、小さいお子さんへの使用は避けましょう。
  • 多量・高濃度・長時間の使用は控えてください。
  • 皮膚を刺激する可能性があるため、敏感肌の方は使用に注意が必要です。
  • 疾患がある方・投薬治療中の方は医師に確認してから利用して下さい。
  • アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
  • 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。

参考元