フェノール類含有量が高いため取扱注意
アジョワンとは
クミンやキャラウェイなどと同じ、セリ科のスパイスであるアジョワン。香辛料として用いられる果実(種子)部分の見た目も非常によく似ています。アジョワンは日本はもとより世界的にもメジャーな香辛料ではありません。しかし原産地とされるインドではカレー料理を始めとしてインド料理にも多用され、知らない人のほうが少ないポピュラーなスパイスと言われています。インドのミックススパイス“ガラムマサラ”を作る時に加える方も多いのだとか。
またアジョワンは薬用としても用いられており、アーユルヴェーダを代表するハーブの1つにも数えられています。インドでは民間薬(家庭薬)としても親しまれ、胃腸トラブルに良いハーブとしてお腹の不調や二日酔いの時などにも使われているそう。また口腔ケア用品の成分としても用いられ、クミンと同じように食後の口中清涼剤・ガム代わりに噛む方もいらっしゃるようです。かつては殺菌・防腐作用が高いことから精油を防腐剤として利用していたとも言われています。
芳香はスパイシーさとハーバルさを併せ持つような香りで、タイムに近いと称されています。料理用ハーブとしてはタイムやセロリシードなどの代用品として用いられることもあるそう。しかし精油の場合はツンと染み透るような刺激感・どこか苦さを感じる芳香からタイムよりも薬箱や湿布などを連想される方も少ないくないようです。好き嫌いが分かれるスパイス系の精油の中でもひときわ個性的な存在です。
アジョワン精油(エッセンシャルオイル)はモチールなどのフェノール類含有量が高いことから、アロマテラピーではほとんど用いられていません。刺激性・毒性が高いと考えられる精油でもありますから、芳香を楽しむためであっても使用には注意が必要となります。ただし悪いことだけではなく殺菌・抗ウィルス作用の高さから感染症予防などには高い効果を持つとも考えられています。系統としてはタイム・チモールやオレガノなどに近いでしょう。取扱が難しい精油ですから、この香りがたまらなく好きという方以外はあえて利用する必要はありません。
基本データ
- 通称
- アジョワン(Ajowan)
- 別名
- Carom Seeds(カロムシード)、ワイルドセロリシード
- 学名
- Trachyspermum ammi
- 科名/種類
- セリ科Trachyspermum属/一年草
- 主産地
- インド、インドネシア、スペイン、エジプト
- 抽出部位
- 種子(果実)
- 抽出方法
- 水蒸気蒸留法
- 色
- 黄色~オレンジ色
- ノート
- トップ~ミドルノート
- 香り度合い
- 強い
- 代表成分
- モチール、γ-テルピネン、p-サイメン、パラシメン、カルバクロール
- おすすめ
- 芳香浴、ごく低濃度でアロマバス
ツンとしたスパイシーさを含む、爽やかなハーバル調の香り
こんなお悩みにオススメ
【精神面】
- 気持ちをしっかり持ちたい
- 無気力・気持ちの落ち込み
- 前向きさがほしい
- ストレス・神経疲労に
【肉体面】
- 風邪・インフルエンザ予防
- 喉や鼻の不快感・不調に
- 肉体疲労・筋肉痛
- 関節痛・リウマチ緩和
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アジョワンに期待される効果・効能
心への作用
スパイシーで強烈なアジョワンの香りは刺激・覚醒作用があるとされ、気持ちを高めたい時や前向きさを取り戻したい時のサポートに役立つのではないかと考えられています。無気力な時や、新しいことに挑戦する勇気がほしい時などにも適しているでしょう。そのほか気持ちを落ち着ける働きがある・催淫作用があるとする説もあり、精神的ストレスや緊張対策としても期待されているようです。
体への作用
アジョワン精油の代表成分はフェノール類のチモールで、産地や製造社によっても異なりますが多いものでは全体の50%程度を占めています。フェノール類は皮膚刺激や長期使用で肝毒性を起こすなどの難点もありますが、強い殺菌効果と抗真菌・抗ウィルス作用を持つ成分でもあります。次いで含有量の多いパラシメン(Paracymene/P-シメンやp-サイメンとも)やγ-テルピネンも抗菌・抗真菌活性が報告されている成分ですから、相乗して風邪やインフルエンザなどの感染症予防、呼吸器系の不調緩和に効果が期待されています。
またパラシメンは鎮痛作用や抗リウマチ作用などを持つとも言われています。チモールにも鎮痛作用が、γ-テルピネンには抗炎症作用が期待されていますから、相乗して関節痛や神経痛・筋肉痛などの軽減にも役立つと考えられています。刺激性や毒性の問題から利用時は広範囲・長時間の使用を避け低濃度に希釈して用いるなど細心の注意が必要とされる精油ではありますが、芳香浴のほか1~2滴をバスオイルとして浴槽のお湯に混ぜて使うと良いとする説もあります。
その他作用
皮膚利用について
アジョワン精油はフェノール類含有率が高い=皮膚刺激性・腐食性が高いと考えられるため、皮膚利用に用いられることはほぼありません。チモールやパラシメンなどを含むことから筋肉・関節などの痛みを軽減させる働きが強いと考えられており、筋肉痛や関節痛などのケアに有効とされています。また洗浄作用が強いことからニキビ予防に有効とする説などもありますが、スキンケアやマッサージなどでの利用は避けましょう。安全性の高い精油を選ぶようにした方が確実です。
アジョワンの利用について
相性の良い香り
柑橘系・スパイス系の精油と相性が良いとされています。香り・作用(刺激)共に強い精油ですから、ブレンドオイルに1滴落とす程度でも十分でしょう。
【アジョワンのブレンド例】
アジョワン精油の注意点
- 妊娠中・授乳中の方、お子様への使用は避けましょう。
- 敏感肌の方の場合は芳香浴でも肌・粘膜に刺激を感じる可能性があります。
- 皮膚利用はお勧めできません。使用する場合は低濃度に希釈し、パッチテストを行いましょう。
- アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
- 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。