【アロマ】リツエアクベバ(メイチャン)精油
-植物の特徴・期待される効果効能とは?

【アロマ】リツエアクベバ(メイチャン)精油<br />-植物の特徴・期待される効果効能とは?

フレッシュな香りで心も空気もキレイに

レモンのような爽やかな香りを持ちメイチャンとも呼ばれているリツエアクベバ。原料はクスノキ科樹木“アオモジ”の果実で、レモングラスと似ていますがリツエアクベバの方がライトで甘めの香りです。主成分シトラールには鎮静作用が報告されており、ストレス対策や安眠サポートにも期待されています。抗菌作用を持つ成分が多いので風邪が気になるシーズンや、部屋の空気作りにも役立ちますよ。

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リツエアクベバ(メイチャン)とは

リツエアクベバの特徴・歴史

名前はよく見かけるけれど原料植物の想像がしにくい精油、リツエアクベバ。香りはレモンに近い柑橘系の爽やかさをベースに、グリーン感+ライトなスパイシー感が入り混じったスッキリ系です。好き嫌いも少なそうですし、柑橘系精油よりは香りが飛びにくい・安価であることから精油を取り扱うお店ではよく見かける精油の一つ。個人的に好きな香りだからかも知れませんが、ブレンド用に一本あると便利な精油だと思います。

香りから柑橘類の精油にも思えるリツエアクベバ、実はローレルシナモンと同じクスノキ科樹木の果実が原料。リツエアクベバという「何語なの?」と言いたくなるような呼び名も、学名Litsea cubebaをそのままカタカナにしたものです。読み方の違いからリツェアクベバ、リトセアキュベバ、リツエアクベバ、リトセアキュベブなど様々な表記がなされていますが基本的に同じ言葉です。別名メイチャン(May chang)とも呼ばれており、こちらは中国語由来。中国伝統医学の中でリツェアクベバの様々な部位が喘息や消化不良、頭痛・筋肉痛ほか痛みの治療に用いられてきた歴史があり、欧米ではチャイニーズ・レメディ(中国の治療薬)の一つというイメージもあるそう。果実は生薬“蓽澄茄(ひっちょうか)”として利用されることがありますが、こちらはクベブもしくはキュベブと呼ばれるコショウ科植物の果実が正式なようです。

ちなみにリツエアクベバの原産は中国南部から東南アジアにかけての地域と推測されていますが、日本にも分布しています。精油原料として使われる果実だけではなく枝や葉からもレモン系の芳香を放ち、枝が緑がかった色で“アオモジ(青文字)”と呼ばれている樹木がリツエアクベバなんです。日本でも自生していたり庭木として植えられていたりするので目にしたことのある方もいらっしゃるはず。枝は香りが良いことから和菓子用の楊枝にも使われていたりします。精油の抽出にも使われる果実はスッキリとした香りと辛味を持つことが特徴。食べると辛いことから日本では“ショウガノキ”や“コショウノキ”と呼ばれていたり、中華料理では香辛料感覚で用いられていることから“チャイニーズペッパー”などの呼び名もあります。

1950年代頃から欧米でもリツエアクベバにシトラールが多く含まれていることが注目され、安価なレモンバーム(メリッサ)の代用品としても親しまれてきました。現在もレモングラスと共に天然シトラールの原料として利用されているほか、石鹸やデオドラント剤・香水など様々な分野で使われています。シトラール含有率が高くレモン様の香りを持つことは同じですが、線が太くハーバルな印象のレモングラスに対して、リツエアクベバは甘い印象。レモンキャンディやレモンシャーベットとお菓子に例えられることも多い存在です。

香料原料データ

通称
リツエアクベバ(Litsea cubeba)
別名
メイチャン(May chang)、アオモジ(アオモジ)、アロマティック・リステア(aromatic litsea)、エキゾチックバーベナ(exotic verbena)など
学名
Litsea cubeba
科名/種類
クスノキ科ハマビワ属/低木
主産地
中国、台湾、日本、インドネシアなど
抽出部位
果実
抽出方法
水蒸気蒸留法
ほぼ無色~淡黄色
粘性
低い
ノート
トップ~ミドルノート
香り度合い
中~強め
精油成分
シトラール(ゲラニアール、ネラール)、リモネン、リナロール、α-ピネン、ゲラニオール、シトロネラール、シトロネロールなど
おすすめ
芳香浴・マッサージ・ハウスキーピング・防虫

レモングラスと似た印象のある、スッキリとした香り

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リツエアクベバに期待される働き・効能

精神面への作用と効果

リツェアクベバ(メイチャン)精油は、精油成分のうち70~85%程度がモノテルペンアルデヒド類に分類される芳香成分シトラールとなっています。シトラールはゲラニアールとネラールを合わせて指す呼称で、アロマテラピーでは鎮静作用を持つ成分と考えられています。2002年の『Phytomedicine(Vol 9)』に掲載されたマウスを使った実験でも筋弛緩・睡眠時間延長とバルビツール酸系睡眠時間の増加が見られたと報告されており、鎮静作用と運動弛緩作用を持つのではないかと結論付けられています。このため神経性の不安や精神的な疲労感があるとき、眠りが浅いなと感じている時のサポートにリツエアクベバの香りが役立つのではないかと期待されています。

加えてリツエアクベバにはリモネンやネラール、ゲラニオールなどの精油成分も含まれています。これらの成分にも鎮静作用や抗不安・抗うつ作用を持つ可能性が報告されていることから、総合的に見てリフレッシュや気分の高揚にも役立つという見解もあります。アロマテラピーの書籍では鎮静と高揚の両作用を持ち、やる気を与える・集中力を高める働きに優れている精油として紹介しているものもあります。香りの印象としても爽やかなレモン系の香りはリフレッシュや前向きさのサポートに繋がりそうですよね。高揚作用についてのエビデンスは不明ですし成分比率からも鎮静系寄りであると考えられますが、リツェアクベバはストレス・疲労・精神面の不調に幅広く利用されています。

肉体面への作用と効果

中国で古くから使用されてきた伝統的効能との関係もあり、リツェアクベバ(メイチャン)は消化器系のサポートが得意な精油と考えられています。成分的にもシトラールには鎮静作用以外に抗炎症作用や鎮痛作用が期待されていますし、シトラールに次いで含有率の高いリモネンも消化器系への働きかけが期待されている成分。このため現代の中国医学とは縁のない方々も消化器系の不調、消化不良や胃もたれなどのケアに取り入れています。腸の蠕動運動を促進させ駆風作用を持つという説もありますから、鼓腸とそれに起因する不快感・便秘気味の方はお腹のマッサージに取り入れてみても良いかもしれません。

リツエアクベバに期待されている健康メリットとしては、呼吸器系のケアも挙げられます。アルデヒド類は抗炎症作用や抗菌・抗真菌作用を持つ成分として扱われており、シトラールも優れた抗菌・抗真菌作用があると考えられています。リツエアクベバ精油は鎮痛・鎮痙作用が期待されている精油でもありますから、発作的な咳などの症状を抑えて呼吸をしやすくする手助けをしてくれると考えられているわけです。ただし呼吸器系症状に関しての研究はほとんどなされていません。ハーブやアロマは個人差もありますから、体質を見ながら自分の体に有益かを判断し、症状が重い場合は医師の診断と治療を受けるようにしましょう。

空気浄化用に

リツエアクベバは抗炎症・抗感染作用が期待されるシトラールなどのテルペンアルデヒド類含有率が高い精油。優れた抗菌・抗真菌・抗ウィルス作用を持つと考えられることから、広く香らせることでお部屋の空気の浄化用、風邪やインフルエンザの予防としても用いられています。抗炎症作用が期待できるので花粉症の軽減に役立つ可能性もありますよ。

また、2012年には『PLOS ONE』に“Litsea cubeba種子油の蒸気吸引はNSCLC(非小細胞肺癌)のアポトーシスを誘発する”という研究も掲載されています。可能性段階の話ではありますが肺がん予防・進行阻害に対する有効性が示唆されたということで、スモーカーさんのお宅に適しているのではという声も。リツエアクベバの爽やかなシトラス調の香りで若干の消臭になる可能性もありますし、タバコや香水の匂いと混じっても悪臭になりにくい香りでもあります。精油のお値段としても安い部類ですからルームフレグランス・ナチュラルな抗菌剤感覚でスプレーやデフューザー用に使用してみても良いのではないでしょうか。

その他に期待される作用

皮膚利用について

リツェアクベバ(メイチャン)の精油は抗菌作用を持つ成分が非常に多いこと・収斂作用が期待できることから脂性肌の方やニキビが出来やすい方のスキンケアに適した精油として紹介されることが多い存在。そのほか頭皮や髪の毛の脂っぽさが気になる方、抗真菌作用から水虫などの感染性皮膚疾患予防に取り入られることもあります。また過度の発汗を抑制し、不快な体臭を引き起こす細菌の増殖を抑える働きが期待できることから、体臭予防にも活用されています。

しかし、シトラールは皮膚刺激を起こす危険性のある成分。加えてアルデヒド類は酸化しやすく、酸化することで刺激性物質に変化するという特徴もあります。使い始めは大丈夫であっても、開封してから時間の経っている精油を使用して炎症を起こすという可能性もありますから、スキンケアやマッサージのような皮膚に付けるような利用をする場合は周囲が必要です。お風呂で使用すると刺激や感作を引き起こすリスクが高くなるという指摘もありますから、こまめにパッチテストを行い様子を見ながら使用してください。

お掃除・虫除けにも

リツエアクベバは抗菌・抗真菌作用の高さからお掃除用の消毒剤のような感覚でも使用されています。また、リツエアクベバの主成分であるシトラールは昆虫忌避特性がある、特に蚊の嫌う香りであることが認められています。2006年に『Tropical Biomedicine』にはレモングラス精油を付けていた箇所は蚊に刺された数が少なくなったという実験が掲載されており、その作用をもたらした成分がシトラールとされています。このためシトラールを主成分とする、製品によってはレモングラスよりもシトラール含有率の高いリツェアクベバ(メイチャン)も虫除けアロマとして役立つと考えられるわけです。お掃除用ならティーツリー、蚊よけ用ならペパーミントユーカリなど目的に応じてブレンドしてみると楽しそうです。

リツェアクベバが利用されるシーンまとめ

【精神面】

    • ストレス・精神疲労
    • 不安・緊張・無気力
    • 気持ちが落ち込んでいる
    • 情緒不安定だと感じる
    • 眠りが浅い気がする
    • リフレッシュしたい
    • 前向きになりたい

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【肉体面】

  • 消化不良・食欲不振
  • 腹部膨満感・便秘
  • 咳・気管支炎・喘息
  • 風邪・インフルエンザ予防
  • 脂性肌・ニキビ予防
  • 水虫予防に
  • 虫除けアロマとして

リツエアクベバ(メイチャン)の利用と注意点について

相性の良い香り

リツエアクベバは癖のないレモンのような香りが特徴の精油。レモン精油と同じく重ためから軽めまでどんな香りとも組み合わせやすい存在ですが、特にハーブ系やフローラル系の香りであれば違和感なくブレンドすることができるでしょう。どことなくシナモンのような甘さ・スパイシーさを含んでいるためスパイス系精油とのブレンド、香りの癖が強すぎると感じる際の緩和用にも役立ちます。

リツェアクベバのブレンド例

 

リツェアクベバ精油の注意点

  • 妊娠中・授乳中の方、小さいお子さんへの利用は避けましょう。
  • 持病のある方は使用前に医師に確認してください。
  • 刺激が強く、芳香浴でも稀に感作作用を起こすことがあります。
  • アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
  • 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。

参考元