ウィンターセイボリー精油
アロマ・エッセンシャルオイルと期待される効果効能紹介

ウィンターセイボリー精油<br />アロマ・エッセンシャルオイルと期待される効果効能紹介

単発的な免疫力サポートとして期待

ウィンターセイボリー

ウィンターセイボリーとは

フレンチやドイツ料理に使われるスパイスの一つであるセイボリー。日本では一般家庭に広く普及しているとは良いがない食材ではありますが、ドイツほかヨーロッパの国々では「豆のハーブ」とも呼ばれ煮込みなどの豆料理・サラダ豆を茹でる時の香り付けとして利用することも知られています。南フランスの代表的なミックスハーブ“ブーケガルニ”に使われていることもありますね。名前や乾燥した葉という見た目とは少し離れた、スパイシーかつ少し苦味のある香りに驚いたという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

セイボリーはシソ科キダチハッカ属に分類されるハーブの総称で、同じくシソ科植物であるタイムローズマリーなどに似たグリーンかつフレッシュな香りを持つことが特徴。セイボリーと呼ばれるキダチハッカ属の植物には約30の種があることが認められていますが、このうちハーブ・香辛料として用いられているのはサマーセイボリー(学名:Satureja hortensis)とウィンターセイボリー(学名:Satureja montana)の二種が主。サマーセイボリーはピンク系色の花を、ウィンターセイボリーは白い花を咲かせることが特徴とされています。ちなみにフランス語呼びの“ハリエット”や和名とされている“キダチハッカ”は、どれか特定の種を指す言葉ではなく広義でのセイボリー(Savory)と同じくキダチハッカ属の植物全体を指す言葉として使われているので注意が必要です。

料理用スパイスとしては香味が柔らめのサマーセイボリーの方が広く使われています。単に「セイボリー」と表記されているものは一般的にサマーセイボリーであるとも言われていますよ。精油の場合も同様にサマーセイボリーの方が香気が柔らかく、好き嫌いわ別れずに使いやすいと言われていますが、特に日本の場合はウィンターセイボリーの方が多く流通しています。これはサマーセイボリーが一年草であるのに対して、ウィンターセイボリーは多年草で一年を通して収穫できるという利点があることも関係しているかも知れません。

ウィンターセイボリーはヨーロッパ南部から北アフリカにかけて分布する植物。サマーセイボリーとウインターセイボリーの区分がはっきりしていない部分もありますが、セイボリーは紀元前から古代ギリシアやローマなどで利用されていたと考えられています。属名Saturejaもギリシア神話に登場する半身半獣の精霊“サテュロス(Satyros)”が由来とされており、欲情の塊とも称されるサテュロスが媚薬として使っていた草と考えられていたそう。古代ローマでも精力剤として利用されていたという説がありますし、消化を助けてくれるハーブとしても大切にされていたと伝えられています。現在「豆のハーブ」として利用されているのも豆と相性が良いだけではなく、食後にお腹の張るのを抑えるために組み合わせていたという見解もありますよ。

また少しツンとする独特の香気・殺菌消毒作用を持つことから、胡椒が高値で取引されていた時代には代用品として使われることもあったようです。ウィンターセイボリーの精油はスパイスとしてよりも更に濃厚な、消毒薬など薬品を連想させるようなツンとした香りが特徴とされています。この独特の香気の元となるカルバクロールやパラシメン・チモールなどのフェノール類を多く含むこともあり、アロマテラピーではほとんど利用されていません。フェノール類の働きから優れた殺菌・消毒作用を持つ精油として扱われることもありますが、刺激が強い精油でもありますから使用には注意が必要です。

基本データ

通称
ウィンターセイボリー(Winter Savory)
別名
サリエット(Sariette)、キダチハッカ(木立薄荷)、マウンテンセボリー(Mountain savory)
学名
Satureja montana
科名/種類
シソ科キダチハッカ属/多年草
主産地
フランス、ハンガリー、スペイン、モロッコ、アルバニアなど
抽出部位
全草(葉、茎)
抽出方法
水蒸気蒸留法
ほぼ無色~淡黄色
ノート
トップ~ミドルノート
香り度合い
中〜高め
代表成分
カルバクロール、パラシメン、α-テルピネン、リモネン、リナロール、α-テルピネオール、テルピネン-4-オールなど
おすすめ
芳香浴

ツンと鼻に残る薬品のような印象を持つ、癖のあるハーブ系の香り

こんなお悩みにオススメ

【精神面】

  • 無気力・倦怠感
  • 気分が重い・だるい
  • 前向きになりたい
  • アクティブになりたい
  • リフレッシュしたい

【肉体面】

  • お腹の調子が悪い
  • リウマチ・関節炎
  • 風邪・インフルエンザ予防に
  • 風邪の初期症状ケアに
  • 免疫低下が気になる時に

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ウィンターセイボリーに期待される効果・効能

心への作用

あまり心のサポートとして利用されることはない精油ですが、時に胡椒の香りにも例えられるウィンターセイボリーの刺激的な香りは神経・精神に対する刺激作用があるのではないかとも言われています。このため脳を活性化することで気持ちをポジディブにする・アクティブさを与えてくれる働きが期待され、「心身のバイタリティーを高める」香りと称されることもあります。

香りの系統としても清涼感や刺激感がありアクティブタイム向きではありますから、前向きに何かに取り組みたいときや自発的に行動したいと感じている時に良いかも知れません。気力が萎えてしまったり、気分が重い・だるいと感じている時に適しているでしょう。フェノール類が多く含まれていることも考慮すると、ずっと香らせるのではなく活力剤・気付け薬のような感覚で短期間のみ利用するのがおすすめです。古くは古代ローマで精力剤として使われていたというのも、媚薬的効能があるというよりは活力を高めることに起因しているようです。

体への作用

産地やメーカーにより比率は異なりますが、ウィンターセイボリー精油の主成分と言えるのはカルバクロールやチモールなどのフェノール類となっています。チモールやカルバクロールはオレガノやタイムの香りの成分としても知られており、サマーセイボリーよりウィンターセイボリーの方が鼻の奥に刺さるような刺激感が強いのもカルバクロールなどの含有量が高いためと言われています。カルバクロールやチモールなどのフェノール類は刺激性・毒性が指摘されるため注意が必要な成分ではありますが、非常に強力な殺菌・消毒作用を持つことが認められています。

またカルバクロールは消化促進作用や駆風作用など消化器系への働きかけを持つとも考えられ、胃もたれや下痢・鼓脹(お腹のハリ)・便秘など胃腸の不調軽減にも効果が期待されています。フェノール類に次いで含有量が多いとされるパラシメンは鎮痛作用を持つとされる成分のため合わせて腹痛などの軽減に役立つ可能性もありますし、リウマチや関節炎などの痛み軽減にも有効とされていますよ。

風邪などの感染症予防にも

ウィンターセイボリー精油の主成分であるカルバクロールやチモールは優れた殺菌・抗菌・抗ウィルス作用を持つ成分。加えてカルバクロールは免疫力向上作用・チモールは抗炎症作用を持つ可能性も報告されており、風邪などの感染症予防や初期症状ケアに役立つと考えられています。ウィンターセイボリーにはパラシメンやα-テルピネンなど抗菌作用や消毒作用が期待されるモノテルペン炭化水素類も含まれていますから、相乗して風邪やインフルエンザ予防に役立ってくれるでしょう。研究では精油の中でも高い抗菌作用を持つという報告もなされています。

その他作用

皮膚利用について

フェノール類が優れた抗菌・抗真菌作用や抗炎症作用を持つと考えられることから、ウィンターセイボリーの精油もニキビや水虫(白癬)・ヘルペスなどの皮膚炎症に良いとは考えられています。欧米では瘢痕形成作用を持つ精油として、火傷や咬傷・膿瘍などのケアに用いられることもあるそう。

ただしフェノール類は皮膚刺激性が高く、皮膚につけるとヒリヒリとした熱感を感じたり接触性皮膚炎などの炎症を起こす危険性が高い存在でもあります。このため日本国内では「皮膚利用を避けるべき精油」という見解が主力となっており、使用する場合も極少量をラベンダーなどの精油に加えた上で低濃度に希釈することが推奨されています。ウィンターセイボリーよりも皮膚刺激性が低いとされている精油でも、ティーツリーなど抗菌作用や抗炎症作用が期待できる精油はありますから自己判断での皮膚利用は避けるようにした方が確率でしょう。

ウィンターセイボリーの利用について

相性の良い香り

柑橘系との相性が非常によく、ハーブ系やウッディー系の香りとも比較的組み合わせやすいでしょう。ただし香りが強く独特のため、ウィンターセイボリーの量が多すぎると何系統の香りであっても調和しません。ブレンド時には少量ずつ加えるようにすると失敗しにくいです。

【ウィンターセイボリーのブレンド例】

ウィンターセイボリー精油の注意点

  • 妊娠中・授乳中の方、小さいお子さんがいらっしゃる場合は利用出来ません。
  • 刺激が強く神経毒性を持つ可能性もありますので、高濃度・長期間の使用を避けましょう。
  • 皮膚刺激性の高い精油です。芳香浴の場合でも敏感肌の方は注意が必要です。
  • アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
  • 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。