東南アジアで利用されるショウガの仲間
ガランガル(カー/タイショウガ)とは
ガランガルはインドネシアやタイなどで香辛料として用いられているショウガ科の植物で、ショウガとよく似た根茎が主にスパイス・ハーブとして利用されています。日本ではタイ料理ほかエスニック系料理がお好きな方以外には馴染みのない香辛料ですが、タイ料理の普及やタイフェス開催などで少しずつ名前が知られつつあるんだとか。一応和名としては“ナンキョウ”とされていますが、トムヤンクンやトムカーガイなどに入っているものはタイ語の呼び方である「カー」と呼ばれていますし、ショウガのような見た目と風味から「タイショウガ」と呼ぶこともあるので、この2つの呼称のほうが馴染みがある・聞き覚えがあるという方も少なくないかもしれません。
タイ料理だけではなく南アジア~東南アジア全域で日常的に使われているスパイスと紹介されるガランガルですが、実は地域によって様々な種類があり同一のものを指している訳ではないのだそう。ポピュラーなものとしても大ガランガル(Greater galangal)・小ガランガル(Lesser Galangal)の2つが挙げられており、前者がタイ料理の「カー」として利用されているもの。後者は和名をリョウキョウ(学名:Alpinia officinarum)という別種で、呼び名の通りサイズが小さく辛味が強いのが特徴です。そのほか別属・別科の植物も広義ではガランガルに含まれています。ちなみに「ガランガル(galangal)」という呼び方は英語で、語源は諸説ありハッキリしていません。
ガランガルは中国南部や東南アジアあたりのエリアが原産と考えられており、中国では1500年以上前から胃炎や口臭対策に良い生薬として利用されていたと伝えられています。タイやインドネシアでも単なるスパイスとしてだけではなく薬効のある植物と考えられ、お腹の薬として消化促進・腹部膨満感・寄生虫駆除などに利用されていたそう。地域によっては乾燥させたパウダーを外用薬として虫刺されや皮膚病に使ったり、ガランガルとライムの絞り汁を混ぜて強壮剤のように利用したりと、その用途は広かったようです。前記の通りガランガルは複数植物を含む呼称なので小ガランガルや他植物の利用も含まれていると考えられますが、現在も大ガランガルはアジアで民間薬として利用されています。
そんなガランガルを原料とした精油ですが、こちらも日本ではかなりマニアックな存在で取扱も多くありません。ショウガ科植物としてはジンジャーがありますし、ガランガルと同じくハナミョウガ属の月桃(ゲットウ/サンニン)も近年和製油として注目されているので影が薄い・輸入するほどの需要がないという事かもしれません。東南アジアや南アジアで広く利用されていること・精油成分の働きなどから私達の身体へも有益な働きかけが期待されていますが、利用者が少ない=安全性等のデータが少ない精油ですし、刺激が強いことも指摘されていますから注意して利用するようにして下さい。
基本データ
- 通称
- ガランガル(Galangal)
- 別名
- ナンキョウ(南姜/南薑)、タイショウガ、シャムジンジャー、大ガランガル(Greater galangal)、カー
- 学名
- Alpinia galanga
- 科名/種類
- ショウガ科ハナミョウガ属/多年草
- 主産地
- インド、タイ、インドネシア、中国など
- 抽出部位
- 根茎
- 抽出方法
- 水蒸気蒸留法
- 色
- 淡黄色
- ノート
- ミドルノート
- 香り度合い
- 中~強
- 代表成分
- 1,8シネオール、酢酸ゲラニル、酢酸シトロネリル、リナロール、β-ピネン、α-ピネン、β-カリオフィレン、カンフェンなど
- おすすめ
- 芳香浴・マッサージ・スキンケア・ヘアケア
やや甘みのある、ジンジャー様のスパイシーな香り
こんなお悩みにオススメ
【精神面】
- リフレッシュしたい
- 神経疲労・疲労感
- ストレス・プレッシャー
- 前向きさが欲しい
- 集中力を高めたい
- 直感力を高めたい
【肉体面】
- 風邪予防・初期症状ケア
- 喉や鼻の不調に
- 消化不良・食欲不振
- 血行不良・冷え性
- 疲労回復・筋肉痛
- 関節炎・リウマチ
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ガランガルに期待される効果・効能
心への作用
ガランガル精油の香りは全体的にスッキリめな印象ですが、ウッディーさ・甘さ・スパイシーさと様々な要素を含んでいます。精油成分としてもスッキリとした香りを持つ1,8シネオール、甘い香気がある酢酸ゲラニルやリナロールなど様々な成分が含まれています。精神面への働きかけを期待してガランガル精油が用いられることは少ないですが、これらの成分による働きかけから気持ちを前向きにする手助けをしてくれるのではないかと考えられています。
スパイシーで刺激的な香りはリフレッシュに繋がりますし、リナロールなど抗うつ・抗不安作用が期待される成分も含まれています。ストレス性の神経疲労・プレッシャーを感じていたりネガティブになっている時にも適しているでしょう。 Lotus Garden Botanicalsさんのページでは媚薬的な働きを持つ可能性や、直感力を高める可能性などもあると書かれています。ジンジャーや月桃精油も集中力や記憶力を高める働きが期待されていますから、仕事中や勉強中など活動時の香りに取り入れてみても良いかもしれません。
体への作用
ガランガル精油の主成分はオキシド類(酸化物類)に分類される1,8-シネオールです。1,8-シネオールは抗菌・抗ウィルス作用があると考えられており、免疫力調整や抗炎症作用もあることから呼吸器系トラブルに対して優れた効果があるとされている成分。ユーカリの代表成分で別名“ユーカリプトール”とも呼ばれています。この1,8-シネオールを多く含むことから、ガランガル精油も風邪予防や呼吸器系の不調軽減に繋がると考えられます。
またガランガルは伝統医療の中で消化器系の不調改善に取り入れられてきた植物でもあり、精油として利用した場合も食欲不振・消化不良・吐き気・鼓腸(腹部膨満感)などの軽減に良いとされています。他ショウガ科精油と同様に血液循環促進や体を温める働きを持つという説もありますから、そちらからもお腹の調子を整える事に繋がっているのかもしれませんね。血行促進作用や抗炎症作用から筋肉痛・疲労回復促進や、関節炎・リウマチのなどの軽減にも効果が期待されています。
その他作用
皮膚利用について
ガランガルは1,8-シネオールなどの働きから、皮膚に対しても抗菌・抗ウィルス作用や抗炎症作用を持つと考えられています。伝統的には皮膚感染症のケアなどにも用いられるのだとか。そのほか傷や炎症の回復を早めるという説もありますが、皮膚刺激性を持つ成分が多いので使用は避けたほうが良いでしょう。マッサージオイルなどに利用する場合も低濃度に希釈し、皮膚の厚い部分からパッチテストを行うようにして下さい。
ガランガルの利用について
相性の良い香り
柑橘系・スパイス系の精油と相性が良いとされていますが、そのほかの系統とも組み合わせやすい香りです。
【ガランガルのブレンド例】
- 気持ちを楽にしたい⇒マジョラム、ローズ、レモンマートル
- 集中力のサポートに⇒ローズマリー、クローブ、コリアンダー
- 風邪予防に⇒フランキンセンス、パルマローザ、カルダモン
- お腹の不調緩和に⇒オレンジ、シナモン、ブラックペッパー
ガランガル精油の注意点
- 妊娠中・授乳中の方、小さいお子さんへの利用は避けましょう。
- 皮膚刺激があるため、芳香浴の場合でも敏感肌の方は注意して使用してください。
- アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
- 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。