レモンマートルとは
レモンマートルはユーカリやティートリーと同じ、オーストラリアが原産のフトモモ科樹木です。レモンマートルと呼ばれていますが、植物分類上はマートル(Myrtus communis)がギンバイカ属であるのに対し、レモンマートルはバクホウシア属なので同じフトモモ科ではありますが近縁種や変種というわけではありません。また名前やレモン様の香りを持つ・同じくオーストラリアが原産であることからレモンユーカリ(ユーカリ・シトリオドラ Corymbia citriodora)やレモンティーツリー(Leptospermum petersonii)などとも混同されますが、こちらも別の植物になります。
レモンマートルの“レモンよりもレモンらしい香り”は、レモンのような香りの元となる芳香成分「シトラール」によります。ちなみにレモンバームやレモングラスなどのハーブもシトラールを含むため“レモン”の香り感じる事ができます。柑橘類のレモンはシトラールの含有率が5~10%なのに対し、レモンバームは約60%・レモングラス80~85%程度、レモンマートルは90%以上(最大で98%程度)と極めて高くなっています。このためレモンハーブの女王と呼ばれるように、よりクッキリとした「レモンの香り」を感じることが出来ます。
原産地オーストラリアではアボリジニの方々は古くからレモンマートルを香辛料と薬草の両方に利用していました。薬草としても優れた働きがあると考えられており「森の治療薬」とも呼ばれていたようですし、肌に良いハーブとして美容面でも利用していたそうです。
現在もレモンマートルの精油は抗菌性を持つことが認められており、石鹸やシャンプーなどの化粧品に香料・抗菌剤としても活用されています。また古くから自然療法で使われていたこと、美容に良いことからアジアでも美容製品用として需要が高まっているようです。レモングラスをよく使う地域も多いですから、親しみやすい香りでもあったのかもしれません。
食用についてもアボリジニ伝統食材“ブッシュ・タッカー(ブッシュフード)”の香料類を代表する一つとして数えられています。雑味のないフレッシュなレモンの香りがする香辛料・ハーブティーとしてオーストラリア以外でも広く利用されています。特にレモン果汁を使うと酸味が付きますが、レモンマートルの葉には酸味がなく、新芽であれば甘みもあるそう。この特性からレモンマートルやオイルはアイスクリームやチーズケーキなど乳製品や製菓原料など酸味を付けたくない時に活用されているようです。
基本データ
- 通称
- レモンマートル(lemon myrtle)
- 別名
- レモンハニーマートル、レモンアイアンウッド
- 学名
- Backhousia citriodora
- 科名/種類
- フトモモ科バクホウシア属/常緑樹
- 主産地
- オーストリア
- 抽出部位
- 葉(※枝を含む場合も有)
- 抽出方法
- 水蒸気蒸留法
- 色
- 黄色~オレンジ色
- ノート
- トップ~ミドルノート
- 香り度合い
- 中くらい
- 代表成分
- シトラール、シトロネロールなど
- おすすめ
- 芳香浴(※低濃度希釈でアロマバス・マッサージ・スキンケアにも)
レモンを強くしたようなサッパリ感の中に、甘さを含む香り
こんなお悩みにオススメ
【精神面】
- 頭がすっきりしない
- 眠気・集中力低下時に
- 気持ちを切り替えたい
- リラックスしたい
- やる気が欲しい
- 夏バテなどの不快感に
【肉体面】
- 風邪・インフルエンザ予防
- 免疫力低下が気になる
- 血行不良・冷え性
- 肩こり・腰痛・筋肉痛
- 水虫などの皮膚炎症ケア
- 肌の血行促進
- 脂性肌・ニキビ予防
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レモンマートルに期待される効果・効能
心への作用
レモンマートルの精油成分の大半を占めているシトラールは非常にスッキリとした香りを持ち、リフレッシュ効果が高いと考えられています。また鎮静作用がありますので、気持ちを落ちつかせリラックスさせる働きもあります。こうした作用からレモンマートルの香りは精神安定や気持ちの切り替えなどに役立つとされる他、結果として集中力ややる気を高めることにも繋がるのではないかと考えられています。
精油・成分の作用は置いておくとしても、レモンマートルの強いレモン香は多くの方がリフレッシュ感やシャッキリ感を感じるのではないかと思います。眠気覚ましや、夏バテで気分もぐったりしているような時にも役立ってくれるでしょう。程良いリラックス効果もありますので、かなりオールマイティーに利用できる香りと言えます。
体への作用
高い抗菌作用をはじめ、抗炎症や免疫力を向上させる効果あると考えられています。このためレモンマートルは風邪やインフルエンザの予防・ヘルペスなど免疫力低下によって発症する病気の予防などに有効とされています。
またシトラールは血管弛緩作用を持つという報告もなされており、血行不良による冷え性・筋肉の強張りから起こる痛み(肩こり・腰痛・筋肉痛など)の緩和にも効果が期待されています。免疫力向上効果と合わせて季節の変わり目などに体調を崩しやすい・風邪をひきやすい方にも適しているでしょう。
その他作用
肌への働きかけ
アボリジニの人々が美容用として利用していたレモンマートルですが、精油の場合はシトラール含有量が高いため刺激性も高く、皮膚に付けると炎症・肌荒れを引き起こしてしまう可能性があります。肌への使用は1%以下、顔であれば0.5%以下の低濃度に希釈することで、肌への刺激を抑えて有用な働きを生かせるとされています。
期待される効果としては、殺菌消毒や抗ウィルス・抗炎症作用から水虫や水イボなどの皮膚感染症の予防改善、皮膚を軽く刺激して血行を促すことで肌を血色よく艶ややな状態に保つとされています。そのほか収れん作用があるとする説もあり、脂性肌やニキビ予防、肌の毛穴や小じわを目立ちにくくするなどの働きも期待されています。
ただし小さいお子さんへの皮膚への利用(アロマバスを含む)は避けるようにしましょう。大人が希釈した精油を使う場合も、目や目の周り・唇ほか粘膜部分への利用は出来ませんので注意してください。レモンマートルには柑橘系に見られるフロクマリン類を含まず光毒性がありませんので、紫外線に対する心配はありません。
レモンマートルの利用について
相性の良い香り
レモンと同じようにどの精油ともブレンドしやすい香りです。特にハーブ系や樹木系と組み合わせて利用されることが多いです。
【レモンマートルのブレンド例】
- 集中力・記憶力アップに⇒ローズマリー、ローレル、ユーカリ
- 情緒不安定なときに⇒ゼラニウム、イランイラン、プチグレン
- 免疫力を高めたい⇒ホーリーフ、レモングラス、シトロネラ
- 肩こりや筋肉痛の緩和に⇒ペパーミント、ラベンダー、バシル
レモンマートル精油の注意点
- 妊娠中・授乳中の方、小さいお子さんへの使用はできません。
- 必ず低濃度に希釈し、敏感肌の方は特に注意して利用しましょう。
- アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
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