サンダルウッドと近い香り・働きが期待
アミリスとは
アミリスはハイチなど中南米原産のミカン科の植物です。原産地であるハイチでは、油分を多く含みよく燃えることから「キャンドル・ウッド(Torch woods)」と呼ばれ松明として利用されてきました。そのほか殺菌作用があることが知られ、傷の手当などにも利用されていたと言われています。1920年代頃からヨーロッパに木材が輸出されるようになります。アミリスという名前はギリシア語で強烈な香りを意味する“amyron”が由来になったと言われており、その芳香から香料原料としての採油が行われるようになります。採油用としては樹齢30年上のものが良いとされています。
アミリスはウッディさの中に甘みのある香りを持つため、サンダルウッドに似た香りと称されています。そのため東インド諸島に生育するサンダルウッド(白檀)に対して、南北アメリカ大陸の間にある西インド諸島に見られる「ウェスト・インディアン・サンダルウッド」もしくは貧乏人のサンダルウッドとも呼ばれています。ただしサンダルウッドはビャクダン科の植物、アミリスはミカン科の植物ですから種は全く異なります。
サンダルウッドの偽和剤としても使われることもあるアミリスの香りですが嗅ぎ比べるとかなり違いがあり、木の香りにカラメルソースを薄めたような、焦げ感と甘さを含んでいます。人によって「深みがない」「爽やか・あっさりしていて使いやすい」「焦げ臭さが気になる」など評価は様々で、好き嫌いが別れるところでしょう。
アミリスはベースノートでありながら香りがライトで主張が強くないこともあり、香水の保留剤として主に利用されています。爽やかさと落ち着きを感じさせるウッディ調のため男性用香水にも利用されていますし、石鹸などの化粧品用の香りづけなどにも利用されています。しかし高級油であるサンダルウッドの代替品・保留剤としての使用が多く、アロマテラピーではあまり使用されないため作用についてはまだハッキリとしていない部分が多くあります。サンダルウッドに似た特性を持つとする考えが一般的なようです。
基本データ
- 通称
- アミリス(Amyris)
- 別名
- キャンドル・ウッド、West indian sandalwood(西インディアン・サンダルウッド)
- 学名
- Amyris balsamifera
- 科名/種類
- ミカン科アミリス属/常緑低木
- 主産地
- ハイチ、ジャマイカ、西インド諸島
- 抽出部位
- 木部・枝
- 抽出方法
- 水蒸気蒸留法
- 色
- 淡い黄色
- 粘性
- 中~やや高い
- ノート
- ベースノート
- 香り度合い
- 中くらい
- 代表成分
- カジノール、カジネン、カリオフィレンなど
- おすすめ
- 芳香浴・(ごく少量で)スキンケア
甘さとスモーキーさを含む、軽めの樹木の香り
こんなお悩みにオススメ
【精神面】
- ストレス・神経過敏
- 緊張・興奮・不安
- 精神的な落ち着かなさ
- 不眠・寝付きが悪い
- 情緒不安定な時に
- 心に余裕が欲しい時に
【肉体面】
- 咳・気管支炎
- 風邪・インフルエンザ予防
- 高血圧予防・緩和
- 筋肉痛の回復促進
- むくみ・静脈瘤
- 乾燥肌・角質化のケアに
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アミリスに期待される効果・効能
心への作用
アミリスの香りはリラックス効果に優れていると考えられており、海外ではストレス軽減用として取り入れられているようです。鎮静作用によって神経の緊張を和らげるとされており、ピリピリと神経が張り詰めているような緊張を解きほぐして、神経過敏・不安・緊張・興奮などの状態を緩和してくれるでしょう。気持ちを鎮めて心(感情)のバランスを調和させるとして瞑想用の香りとしても利用されています。心のザワツキやもやもや感があって落ち着かない時や、精神面に起因するストレス性不眠症の緩和にも効果が期待できます。
そのほかに性的緊張を和らげることで催淫作用を持つ・心をクリアにすることで創造性と想像力を向上させるとする説もあります。サンダルウッドは鎮静作用が強すぎて抑鬱の方には適さないと言われていますが、アミリスの場合は軽度の抑鬱(気持ちの落ち込み)の緩和にも適していると考えられています。
体への作用
去痰・鎮痙・消炎作用があり、咳や気管支炎など胸部の不調緩和に有効とされています。また殺菌抗菌作用を持つとされるカジノールが含まれているため風邪やインフルエンザなどの予防、風邪による呼吸器系の不調緩和にも効果が期待できるでしょう。
そのほか鎮静・血圧降下作用があるとされるカジネンの働きや、弛緩・リラックス作用から循環器系のサポートにも役立つとされています。高血圧症やむくみ・静脈瘤の緩和、筋肉痛の回復促進などにも役立つと考えられています。
その他作用
肌への働きかけ
エモリエント作用・皮膚再生促進作用があるとされ、乾燥肌や成熟肌に利用されています。シワや乾燥・角質化などのケアに効果が期待できるでしょう。そのほか消炎作用があり炎症を起こした肌の鎮静・緩和にも有効とされています。
アミリス精油は刺激性等はなく肌への利用にも適していると考えられていますが、肌への使用(特に日本国内における)データが少ないこと、エッセンシャルオイル(精油)の信頼度などの問題から肌への使用には注意が必要です。必ず低濃度からパッチテストを行った上で利用するようにしてください。
アミリスの利用について
相性の良い香り
ウッディー系の香りと相性がよく、ハーブ系やバルサム系の香りともブレンドしやすいです。さほど強い香りではありませんので、香りが飛びやすい精油の保留剤として少量加えるのもおすすめです。
【アミリスのブレンド例】
- 気持ちを整える⇒ゼラニウム、タンジェリン、ローズ、タナセタム
- 安眠サポートに⇒ラベンダー、オレンジ、メリッサ、クラリセージ
- 咳の緩和に⇒ベンゾイン、シダーウッド、サイプレス、オークモス
- 風邪・インフルエンザ予防⇒レモン、エレミ、シトロネラ、クローブ
アミリス精油の注意点
- 妊娠中、授乳中の使用は控えましょう。
- アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
- 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。