元気になる? 甘くスパイシーな香り
オールスパイスとは
肉料理を筆頭に、スープやシチュー、ソース、ピクルス、焼き菓子など幅広く利用できるスパイスとして日本でも知られているオールスパイス。その名前や香りからミックススパイスと勘違いされがちですが単一スパイスです。スパイスとして利用される果実部分は5mm~1cmほどの暗褐色をした球体で、胡椒(ペッパー)とよく似ているとしてジャマイカンペッパーとも呼ばれています。
オールスパイスの原産地は南北アメリカ大陸に挟まれた西インド諸島で、マヤ族の人々は2世紀頃からオールスパイスを調味料や王族の遺体防腐剤などに利用していたと考えられています。1570年代にスペインの探検家がこの存在を知り、16世紀後半から17世紀初めにヨーロッパへ持ち込まれます。中世ヨーロッパで重用されたブラックペッパー・ナツメグ・シナモン・クローブの4大スパイスのうちブラックペッパーを除く3つのスパイスの香りが含まれていることから「オールスパイス」と命名されました。東洋で使われる百味胡椒や三香子という呼び名もこれに倣っています。
精油は葉から採油された精油・果実から採油された精油の2種類があります。一般的にオールスパイスとして流通しているものは葉の精油が多く、果実部分のみの精油は「オールスパイスベリー」と呼び分けられることも多いです。セクシーでニュアンス感のある香りを持つオールスパイスの精油は男性用フレグランスをはじめ、性別を選ばす化粧品やアロマキャンドルキャンドルの香り付けなどにも利用されています。スパイス系でクセがある香りですから好き嫌いは別れますが、ユニセックスで利用できることや、比較的ブレンドしやすいというメリットもあります。スパイス系の香り、個性的な香りが好きな方はブレンドに加えてみると面白いかもしれません。
基本データ
- 通称
- オールスパイス(Allspice)
- 別名
- 百味胡椒(ヒャクミコショウ)、三香子(サンコウシ/サンシャンズ)、ジャマイカンペッパー
- 学名
- Pimenta dioica
Pimenta officinalis - 科名/種類
- フトモモ科オールスパイス(ピメント)属/常緑高木
- 主産地
- 中南米(ジャマイカ、メキシコなど)
- 抽出部位
- 葉、果実
- 抽出方法
- 水蒸気蒸留法
- 色
- オレンジ~赤茶色
- ノート
- ミドル~トップノート
- 香り度合い
- 中~強い
- 代表成分
- オイゲノール、メチルオイゲノール、カリオフィレン、α-フェランドレン
- おすすめ
- 芳香浴・アロマバス・マッサージ
スパイシーさの中に甘みと温かみを含む、深みある香り
こんなお悩みにオススメ
【精神面】
- 緊張・不安・ストレス
- 神経疲労・無気力
- 気持ちの落ち込み
- 心の癒しが欲しい
- リフレッシュしたい
- やる気・気力アップに
【肉体面】
- 風邪予防・初期症状ケア
- 冷え性・血行不良
- 咳・気管支炎
- 食欲不振・吐き気・胃痛
- 消化不良・腹部膨満感
- 頭痛・歯痛
- リウマチ・関節痛
- 虫除け・防カビ
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オールスパイスに期待される効果・効能
オールスパイスの精油はクローブなどにも含まれている「オイゲノール」というフェノール類が主成分となっています。クローブを上回る含有率で、特にオールスパイスの葉から採油された精油はオイゲノールの含有率が非常に高いことが特徴です。
心への作用
リラックス効果とリフレッシュ効果が期待でき、緊張やストレスを和らげる働きがあると言われています。気分を高揚する働きもあるので神経疲労や疲労による抑うつ・無気力感などを緩和して気持ちを活性化させる手助けをしてくれるでしょう。気力を充実させ、現状への満足感を感じされせる香りです。
体への作用
オールスパイスはオイゲノールの働きによる抗菌・抗ウイルス作用や、血液循環を改善して体を温める働きがあると考えられています。冷え性や悪寒がするような場合のケアに適していますし、咳や気管支炎など呼吸器系の不調の緩和にも役立つとされています。これらの働きから風邪の予防や初期症状のケアにも利用されます。
また多くのスパイス系精油と同様に消化器系への働きかけに優れているとされ、吐き気・食欲不振・消化不良・腹部膨満感(お腹がガスで張っている状態)などの改善に効果的と考えられています。
加えて鎮痛・鎮痙作用があり、胃痛や腹痛をはじめ頭痛、歯痛など局所的な痛みの緩和にも有効とされています。また体を温める作用と合わせて冷えで痛みの悪化する関節炎やリウマチの痛みの緩和にも効果が期待できるでしょう。
その他作用
皮膚利用について
オイゲノールは刺激が強いため、オールスパイスの精油はあまりトリートメント(マッサージ)やスキンケアなどには利用されません。特に敏感肌の方は避けたほうが無難です。期待できる効果としては血行促進による肌のくすみ改善・冷えやむくみの緩和などが考えられます。
防カビ・防虫剤として
オイゲノールは抗菌作用や抗カビ特性(カビの繁殖を抑える働き)、昆虫忌避性があります。特にゴキブリが嫌う香りとも言われていますので、オールスパイスの精油をつけたコットンなどを水回りや物入れ・クローゼットの奥などに入れておくとゴキブリ避けにもなりますし、衛生維持の面でも役立ってくれるでしょう。
オールスパイスの利用について
相性の良い香り
柑橘系の香りと相性がよく、スパイス系やオリエンタル系の香りともブレンドしやすいでしょう。
【オールスパイスのブレンド例】
- 神経疲労緩和⇒ラベンダー、レモングラス、イランイラン
- 消化器系の不調に⇒オレンジ、パチュリー、バジル
- 呼吸器系の不調に⇒フランキンセンス、ガルバナム
- 冷え緩和・血行促進⇒ジンジャー、シナモン、コモンタイム
オールスパイス精油の注意点
- 妊娠中・授乳中の方は使用を控えましょう。
- 皮膚刺激があるため使用量・希釈濃度には注意が必要です。肌へ使用する場合はパッチテストを行うようにしてください。
- アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
- 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。