ガルバナム精油
アロマ・エッセンシャルオイルと期待される効果効能紹介

ガルバナム精油<br />アロマ・エッセンシャルオイルと期待される効果効能紹介

モーセも利用したとされる、神秘的な香り

ガルバナム精油

ガルバナムとは

アロマというよりは香水原料として利用されることの多いガルバナム。シャネルやプラダ、エスティ・ローダーなどの有名香水にも利用されており、オリエンタル系の保留剤に欠かせない存在とも言われています。ガルバナム精油は土や樹木のような趣を含み、樹木系アロマが清々しい“森林浴”の香りであるなら、ガルバナムの香りは“森の地面に寝ている”とでも称すと良いでしょうか。

バルサミックさ・グリーンさ・ベチバーのようなスモーキーな土の香り、シナモンのような甘くスパイシーさが入り混じった複雑で個性的な香りを持ちます。単体もしくはガルバナムをメインに使うとかなり好き嫌いが別れますが、様々なニュアンスを持つ香りのためどの精油ともブレンドしやすいというメリットがあります。香水のように他の精油とのブレンドに利用することでクセが弱まり、互いの良さを引き立てると言われています。

現在も香料として親しまれていますが、カルバナムは長い歴史を持つ香料の1つでもあります。紀元前3400年頃の文章を書き写したとされる古代エジプトの医学書『エーベルス・パピルス』にも没薬(ミルラ)や肉桂(シナモン)等とともに記述されているそうです。防腐作用があることが知られ遺体をミイラに加工するときに用いられていましたし、化粧品のような形でも利用されていたと言われています。

旧約聖書の出エジプト記で祭壇の作りや儀式形式の指示を受ける場面にも『主はモーセに仰せられた。あなたは香料、すなわちナタフ香(スチラックス/蘇合香)、シェヘレト香(オニカ/シケレテ香)、ヘルベナ香(ガルバナム/楓子香)、純粋の乳香の香料を取りなさい。おのおの同じ量でなければならない。』という記述があります。その後の記述ではこの配合で作った香を自分の楽しみのために使うことは禁じられています。この記述からも分かるように瞑想用・聖油用など宗教儀礼においてもガルバナムは非常に重要視されていました。現在でもスピリチュアルな香りとして瞑想用・自分の内に秘めたパワーを高めるために利用する方もいらっしゃるようです。

基本データ

通称
ガルバナム(Galbanum)
別名
ヘルベナ香、楓子香(フウシコウ)
学名
Ferula galbaniflua
科名/種類
セリ科オオウイキョウ属/多年草
主産地
イラン、イスラエル、トルコ、シリア
抽出部位
レジン、樹脂
抽出方法
水蒸気蒸留法
ほぼ無色~オリーブ色
粘性
低め
ノート
トップ~ミドルノート
香り度合い
強い
代表成分
β-ピネン、α-ピネン、ミルセン、カジネン、カジノール、β-フェランドレン
おすすめ
芳香浴・アロマバス・マッサージ・スキンケア・ヘアケア

グリーンさの中に土の香りやバルサミックさを含む香り

こんなお悩みにオススメ

【精神面】

  • 不安・緊張・激情
  • ストレス・神経疲労
  • 不眠気味の時に
  • 心のバランスを取りたい
  • 感情のコントロールに
  • 精神状態をリセットしたい

【肉体面】

  • 風邪の初期症状・咳
  • 喘息・気管支炎
  • 消化不良・腹部膨張感
  • 頭痛・筋肉痛などの緩和
  • 関節炎・リウマチ・神経痛
  • 循環不全・むくみ
  • 生理痛・月経不順
  • PMS・更年期障害
  • ニキビ予防
  • 肌のエイジングケア
  • 妊娠線や傷跡のケア

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ガルバナムに期待される効果・効能

心への作用

ガルバナムの精油はピネン(α-ピネン、β-ピネン)が主成分であり、神経の昂ぶり緩和して気持ちを落ち着けるとされています。不安・緊張・ストレスや神経性疲労の緩和、感情の乱れをコントロール出来ない時などに役立ってくれるでしょうし、ピネン系には強壮作用もあるとされていますから、精神的立ち直るための手助けをしてくれるとも考えられます。

神経がささくれている・心のバランスが取れない・精神的に疲れたと感じている時に合うでしょう。また古くから瞑想用の香りとして用いられてきた香りですから、心を静かにして自分を見つめ直したい時にも適していると考えられています。軽い催眠作用があるとする説もありますから、日中・活動時の香りというよりはリラックスタイムや就寝時向き、心を静かにして気持ちをリセットさせ明日へと向かうための香りと言えるでしょう。

体への作用

肉体面への働きとしてはサイプレスなどにも含まれるδ-3-カレンという鎮咳作用をのある成分を含み、抗菌作用や免疫向上作用を持つ成分も含まれていることからガルバナムは風邪・咳・喘息・気管支炎などの緩和に有効とされています。そのほか消化不良、腹部膨張感など消化器系の不調緩和にも役立つとされています。

またピネン、δ-3-カレン共に抗炎症・鬱滞除去作用がありますし、体内の巡りを整えることで痛みを緩和させると考えられるため、頭痛・筋肉痛・関節炎・リウマチ・神経痛などの緩和にも利用されています。腎臓機能を高める働きが期待されているβ-ミルセンの働きと相乗して、むくみ緩和にも効果が期待できるでしょう。

女性の体への働きかけ

ガルバナムには女性ホルモン様作用があると考えられており、月経痛・生理不順・PMS(月経前症候群)・更年期障害など女性ホルモンのバランスの乱れによって起こる女性特有の不調緩和にも良いと言われています。ホルモンバランスを整えることに加え、不安定な気持ちを安定させる働きがありますから、特にイライラや不安など精神面の不調を伴う際に役立ってくれるでしょう。ホットフラッシュの緩和に良いとする説もあります。

その他作用

肌への働きかけ

ガルバナムには皮膚を柔らかくする作用があり、シワや角質化が気になる年齢肌のエイジングケアなどに有効とされています。抗菌作用や抗炎症作用、瘢痕形成作用などもあるとされており、ニキビや吹き出物の予防改善・妊娠線や傷跡のケア用としても用いられています。ただし若干の皮膚刺激性を持つとされる精油でもありますから、肌のケアとして利用する場合には事前にパッチテストをしっかり行うようにしましょう。

ガルバナムの利用について

相性の良い香り

当サイトでは原料からも樹脂系に分類していますが、書籍・サイトによってガルバナムはオリエンタル系に分類されることもあります。また森林の香りと称されることが多い香りを持つため、似た系統であるオリエンタル系・ウッディー系の香りとのブレンドは安定しています。柑橘系やフローラル系とも合わせやすく、あまり相手を選ばない香りと言えます。

【ガルバナムのブレンド例】

ガルバナム精油の注意点

  • 妊娠中は使用を控えましょう。
  • 稀に皮膚刺激を感じる事があります。特に敏感肌の方は使用に注意が必要です。
  • アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
  • 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。