女性の約8割が経験したことがあるとも言われるほど、女性にとっては身近な問題である「月経開始前の不調・不快感」。婦人科などでPMSと診断されている方はさほど多くありませんが、多くの方が感じている肉体・精神的なアンバランスさ。病院ではピルなどの処方で治療も行われていますが、処方有無に関わらず生活習慣の改善などセルフケアが重要とされています。
生理前にイライラしたり食欲が抑えられなくなることを始め、むくんで体重が増えたり頭痛を起こしやすくなるのもPMSの症状と言えます。PMS症状はPMS症状と認識するだけでも精神的な負担が軽くなると言われていますから、代表的な症状や、ご自身の症状傾向を確認してみてください。

Contents
PMS(月経前症候群)とは
PMSの定義について
PMSとはPremenstrual Syndromeの略で、日本では「月経前症候群(生理前症候群)」もしくは月経前緊張症と呼ばれています。その呼び名のとおり、生理前2週間~生理開始後2日くらいまでの期間に関連症状も含めて200種類以上もの様々な症状が起こります。
日本産科婦人科学会用語集(2008年改23訂版)によると
月経前3~10日間の黄体期に続く精神的あるいは身体的症状で月経発来とともに減弱あるいは消失するものをいう.いらいら,のぼせ,下腹部膨満感,下腹痛,腰痛,頭重感,怒りっぽくなる,頭痛,乳房痛,落ち着きがない,憂鬱の順に多い。
とされています。
ちなみにPMSを“病気”か“生理的なもの”と見るかは意見が別れている状態ですが、PMSの症状が重度で日常生活に支障を及ぼす「PMDD(生理前不快気分障害)」については病気に準じるような扱いとしているところが多い傾向にあります。PMDDの基本的な治療法はPMSと同じですが、精神症状が強ければ神経精神科で安定剤の処方を受けるなど産婦人科以外の科へ紹介されるケースもあるようです。
PMSの診断基準とは
婦人科での診断の場合はアメリカの産婦人科学会の診断基準
過去3ヶ月以上連続して生理前の5日間、
抑うつ・怒りの爆発・苛々・不安・混乱・引きこもり(月経前症候群の精神面での症状)、乳房の圧痛、腹部膨満感、頭痛、手足のむくみの症状(月経前症候群の肉体面での症状)のうち少なくとも1つが起こるが生理が始まって4日以内に軽くなってくるもの。他に明らかな原因がなく、社会的にはっきりとした障害が認められるもの
を元に、問診、基礎体温(排卵の確認)を3ヶ月以上継続して行い、そこから診断されるというケースが多いようです。
当サイトでのPMSの扱いについて
生理前の不快感・不調と聞くと「分かる」「私そうだ」と思う方は多いはず。一節によれば女性の約90%の方が生理前の不快感を経験していると言われています。ですが、病院などの診断基準を考えると「辛い月と比較的楽な月があるし」「毎日基礎体温とか毎月婦人科通いとかはちょっと…」「社会的にはっきりとした障害って」と思っている方も多いかと思います。
多くの女性が何となく不調と思いながら、耐えているのが現状ではないかと思っています。当サイとでは月経前症候群(PMS)=生理前に不調を感じる方として、病院に行くまではないと感じている方などでも取り入れられるセルフケアをメインに扱います。
PMSの原因・代表的な不調は?
生理前に不調(PMS)が起こる原因について
PMSが起こるメカニズムは現代でもハッキリと解明されていません。
しかし生理が始まる約2周間(14日)前は「黄体期」とよばれる時期で、エストロゲン(卵胞ホルモン)の分泌が低下してプロゲステロン(黄体ホルモン)の分泌が高まります。いわば女性ホルモンの変動期に症状が起こりはじめることが多いため、女性ホルモンとPMSは関わりがあることが考えられています。
かつては症状の傾向・発生時期からプロゲステロンの分泌増加がPMSの主な原因であるとする説が主力だった時期もあります。しかし近年は特に若い女性のPMSを始めとした月経トラブルの原因にエストロゲン過剰/プロゲステロン欠乏説を提唱する方もおり、どちらか一方の女性ホルモンが良い・悪いという問題ではなく「ホルモンバランス」が重要なポイントという見方が主流となっています。
また女性ホルモンの分泌バランスが急激に変化することに加え、ビタミンやミネラルなどの欠乏や偏った食生活・不規則な生活習慣・様々なストレスなどが絡み合うことでPMSの症状を強く感じるのではないかとされています
PMSの代表的な症状
PMSの症状は大きく肉体面・精神面・行動面の3つに分類されています。症状緩和のためには生活習慣の改善なども必要となりますが、人よって症状の出やすい方面は異なっているためそれぞれの症状に合わせた対処・緩和方法を取り入れて見ると良いでしょう。
【精神面なPMS症状】
- イライラする
- 攻撃的になる
- 怒りっぽくなる
- 抑うつ(憂鬱)/
- 無気力・優柔不断
- 不安・焦燥感
- 孤独感を感じる
- ネガティブ思考(悲観的)
- くよくよ思い悩む
- 感情の起伏が激しくなる
- 決断ができなくなる
- 人と会うのが辛い
- 涙もろくなる
- 愚痴っぽくなる
【肉体面なPMS症状】
- 下腹部膨満感
- 頭痛・頭重感
- 腰痛、首・肩こり
- 下痢・便秘・吐き気
- 顔・体のむくみ
- 体重の増加
- 乳房の痛み・張り
- 動悸・のぼせ
- めまい・耳鳴り
- 日中の眠気・不眠
- にきび・肌荒れ
- 一時的な敏感肌
- アレルギーの悪化
- 手足のしびれ
- 疲労感・だるい
【行動面のPMS症状】
- 食欲増加・食欲減退
- 味の濃いものを好む
- 甘いものを食べたい
- 暴食・どか食いをする
- 食欲がなくなる
- 衝動買いが増える
- 記憶力の低下
- 集中力の低下
- 注意が散漫になる
- 失敗が増える
- 何をするのも面倒
- 八つ当たりをする
- 暴力的になる
- 性欲減退・増進