【アロマ】ローレル/ベイリーフ精油
-植物の特徴・期待される効果効能とは?

【アロマ】ローレル/ベイリーフ精油<br />-植物の特徴・期待される効果効能とは?

風邪・インフルエンザ予防としても

スパイスとしても親しみのあるローレル。薬草としての利用だけではなく、勝利や栄光を象徴するハーブとして古代ギリシア・ローマ時代から大切にされてきた植物でもあります。精油はハーバルかつスパイシーな薬草系の芳香があり、含有率が高いのは1,8-シネオール。消化器系と呼吸器系のサポートが得意な精油と考えられているほか、鎮痛作用やストレス対策用としても期待されていますよ。風邪予防や虫よけとしても使えます。

ローレル(月桂樹)

ローレル/ベイリーフとは

ローレル(月桂樹)の特徴・歴史

甘い香りを持つローレルの葉は、シチューやカレーなど洋風の煮込み料理に使われるスパイスとしてもお馴染みの存在。ホールで使うよりもパウダーもしくはシーズニングに含まれているものを使う方が多いと思いますが、ローレルはミントなどのようにフレッシュハーブ(生葉)ではあまり利用されません。これは乾燥していない状態であれば青臭さと苦味が強く、好き嫌いが分かれるためだとか。生葉で使われることもありますが、料理や好みを選ばない乾燥ローレルが主流となっています。乾燥したほうが香りが強くなるため、精油も生の葉ではなく乾燥した葉から抽出されています。

植物として見ると、ローレルはクスノキ科ゲッケイジュ属に分類される常緑高木。香りが似た系統であると称されるシナモンとは同科別属。和名は月桂樹(ゲッケイジュ)ですが、ローレルはそれ以外にもローリエやベイなど様々に呼ばれている存在。スパイスコーナーなどでもメーカーによって表記に違いがありますが、大きく分けて「ローリエ」系はフランス語、「ローレル」系はスペイン語・英語、「ベイ」系が英語の呼びなのだそう。また日本では葉が主に利用されていますが、オリーブに似たローレルの実から絞った“ローレルオイル”も石鹸などに利用されています。このため漢方の生薬名の場合は月桂葉・月桂実と分けて表記されていますし、英語の場合もローレルリーフやベイリーフなどleaf(葉)を付けて区別することもあります。

洋食系料理に使われたり、欧米の呼び名が日本でも定着している通り、ローレル(月桂樹)は地中海沿岸地域が原産とされています。ヨーロッパでは古代ギリシア・ローマ時代から大切にされてきたハーブであり、学名のLaurus nobilisもラテン語の“称賛する(laurus)”と“名高い(nobillis)”が由来とされています。花言葉も勝利や栄光など、そのままのものが選ばれています。ギリシア神話ではアポロンの求婚を断った美貌のニンフが姿を変えた樹木が月桂樹(ローレル)であるとも言われています。ダフネが姿を変えた月桂樹をアポロンは自分の聖木とし、葉で作った月桂冠を永遠の愛の証として身につけることにしたと伝えられています。

この伝承からローレルは勝利や達成の象徴とされ、古代ギリシア・ローマ時代には勝者に月桂樹の葉の付いた枝を編んだ冠(月桂冠)を贈る習慣があった事も知られています。将軍の凱旋時などにも用いられていました。またアポロンは音楽や芸術・予言を司る神であるとされていたことから、月桂冠は優れた詩人に贈る冠としても使われていたそう。冠を得た詩人は桂冠詩人と呼ばれ、中世以降は称号として授与されるようになったそう。そのほかアポロンとの関わりから「予見のハーブ」とも呼ばれ、予知夢を見るためにローレルの葉を枕の下に敷いて眠る習慣もあったようですよ。

現在でこそローレル(ベイリーフ)や精油そのものは医薬品として使われていませんが、古くは薬として使われるハーブでもありました。この辺りもローレルが高く評価された要因の一つだったと言えるでしょう。勝利や栄光を象徴するハーブとされていることも、精油を使って香水などを作る方には人気のあるポイントなのだとか。そんなローレルの精油はスパイスとして使われているものよりも更に甘みがあり、スパイシーな印象の香りを持ちます。香りによる精油の種類分けでは文献・販売社によりスパイス系・樹木系・ハーブ系と分類が様々なですが、当サイトではローレル精油のスパイシーな香り・料理用スパイスとして用いられることもあることからスパイス系に分類しています。

香料原料データ

通称
ローレル(Laurel)
別名
月桂樹(ゲッケイジュ)、ローリエ(laurier)、ベイローレル(bay laurel)、トゥルーローレル(true laurel)、スイートベイ(sweet bay)、ベイリーフ(bay leaf)、ローレルリーフ、月桂葉など
学名
Laurus nobilis
科名/種類
クスノキ科ゲッケイジュ属/常緑高木
主産地
モロッコ、スペイン、セルビア、ユーゴスラビアなど
抽出部位
葉(※小枝を含むものも有)
抽出方法
水蒸気蒸留法
淡黄色~淡黄緑色
ノート
トップノート
香り度合い
中くらい
精油成分
1,8-シネオール、サビネン、リナロール、酢酸テルピニル、オイゲノール、リモネン、α-ピネン、β-ピネンなど
おすすめ
芳香浴・アロマバス・マッサージ・ヘアケア・ハウスキーピング

ハーバル調の中に、シナモンに似た甘くスパイシーな香りがある

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ローレル/ベイリーフに期待される働き・効能

精神面への作用と効果

ローレルの甘くスパイシーな香りは頭をクリアな状態にしたり、直感力を高める働きが期待されています。古代ギリシア・ローマ時代に「勝利」の象徴とされていたという歴史もあり、ローレルは自己卑下や自信のなさを取り除いてくれるという説もあります。こうした働きが期待されていることから、ローレルはタイムと共に男性的な精油・男性に適した精油という見方もあるようです。現代では勝利を求めて邁進するのは男女関わらずですから、自身を持って仕事をしたい・自分の目標に向かって堂々と進んで行きたい方のお守りになってくれるでしょう。集中力アップに役立つという説もありますよ。

また、成分的に見るとリナロールやα-ピネン・リモネンなど鎮静作用を持つとされる成分も含まれているため、ローレルはストレスや緊張を和らげて気持ちを落ち着かせる働きもあると考えられます。このためローレル精油は精神安定をサポートしてくれる精油としてイライラや不安・パニックなど感情のコントロールが上手くいかない時のサポートとして利用されることもありますよ。直感力を高めたり自身を取り戻す手助けをしてくれることと合わせて、判断に迷っていたり自分の選択が不安な時、目的や方向性を見失っていると感じている時に香らせてみても良いかもしれません。

肉体面への作用と効果

ローレルは肉などの臭み消しに役立つスパイスとして使われているだけではなく、その香りには胃腸の機能を活発にして食欲を高めたり消化を促す働きがあると考えられています。精油もまた唾液の分泌促進・消化促進・お腹に溜まったガスの排泄を促すなど消化器系に対して様々な働きかけが期待され、食欲不振や消化不良・腹痛・腹部膨張感などの軽減に良いと言われています。ヨーロッパの民間療法でローレルは強肝作用や胆汁分泌促進作用を持つハーブとして利用されてきた歴史があることから、精油も肝臓と腎臓の強壮・デトックスに役立つとする説もあります。

そのほかローレル精油の40%以上を占める1,8-シネオールには抗炎症作用が報告されており、血行促進作用や鬱血除去作用が期待できるためリウマチや神経痛などの痛みの軽減にも有効とされています。リモネン(R-(+)-limonene)にも鎮痛作用が報告されており、ローレル精油全体としても鎮痙・鎮痛作用があると考えられていますよ、動物実験でも鎮痛作用が見られたとの報告は複数あり、2003年の『Phytotherapy Research』にはローレルリーフ精油の鎮痛作用および抗炎症作用はモルヒネおよびピロキシカムに匹敵した、というイランの研究所の報告も掲載されています。

実際の有効性についてはさらなる調査が必要であると締めくくられていますが、セルフケアの一つとして筋肉痛や肩こりの軽減をはじめ腹痛など様々な痛みに取り入れてみても良さそうですね。また、妊娠中や授乳中はローレル精油の使用が禁忌とされているように、ローレルは通経作用を持つ可能性がある精油。逆を言えば少量月経や月経不順の改善に効果が期待されている精油でもあり、鎮痙・鎮痛作用と合わせて生理痛の緩和やPMS(月経前症候群)による体の痛み軽減に役立つのではないかという見解もあります。気分を落ち着かせる働きが期待されている香りでもありますから、月の不調に活用する方もいらっしゃるようです。

風邪予防・花粉症軽減にも

ローレル精油の主成分である1,8-シネオールはユーカリ系成油などにも多く含まれている成分で、優れた抗菌・抗ウィルス作用や抗炎症作用が報告されています。粘液溶解作用や免疫力向上効果を持つ可能性も報告されていることから、感染症、特に風邪やインフルエンザなどの呼吸器感染症の予防に役立つと考えられています。ローレル精油全体としては発汗・解熱作用や去痰作用を持つという見解もありますから、喉の痛みや痰・鼻水など風邪の初期症状緩和や治癒促進として取り入れても良いでしょう。

加えて1,8-シネオールは抗炎症作用や粘膜溶解作用などから、呼吸機能全般の手助けが期待されている成分。気道に詰まった余分な痰や粘液の排出を助けること、1,8-シネオールの抗炎症作用と合わせてローレル精油も花粉症や喘息・気管支炎などの症状軽減をサポートしてくれる可能性のある精油として注目されています。

その他に期待される作用

皮膚利用について

ローレル精油は強壮・保湿などの働きが期待されている精油ではありますが、皮膚に対しての刺激性が高い精油のため手作りローションやクリームなどスキンケア用として利用されることはほぼありません。しかし髪や頭皮の強壮や乾燥予防に役立つと考えられることから、極低濃度に希釈してヘアローションなどに活用されることはあるようです。頭皮の強壮だけではなくニキビ予防や育毛促進・フケ予防に良いとも言われていますが、頭皮に対しても刺激性がないわけではありませんので肌が弱い方は注意して利用するようにしましょう。

消臭・抗菌剤として

ローレル精油の中で最も含有率が高い1,8-シネオールは、菌の繁殖を抑える働きから消臭剤としても利用されています。特にゴミ箱や靴箱・押し入れなど臭いが付着するのではなく、密閉空間で雑菌が繁殖して起こる悪臭対策に役立ってくれそうですね。ローレル精油にはオイゲノールも含まれていますので合わせて抗カビ効果や、虫・ゴキブリ除けとして作用してくれる可能性もあるでしょう。ルームフレグランスとして活用した場合には風邪やインフルエンザ予防を手助けしてくれますし、低価格帯の精油でもありますから活用幅は広いと言えます。

ローレルが利用されるシーンまとめ

【精神面】

  • 直感力・判断力が欲しい
  • 自信喪失・自己卑下気味
  • 前向きになりたい
  • 集中力を高めたい
  • ストレス・緊張
  • 不安・情緒不安定
  • イライラ・ヒステリー
  • 気持ちを整えたい
  • 目的に向かって進みたい

【肉体面】

  • 消化不良・食欲不振
  • 胃痛・腹痛・腹部膨満感
  • リウマチ・神経痛の緩和に
  • 関節炎・筋肉痛の軽減に
  • 血行不良・冷え性
  • 少量月経・月経不順・生理痛
  • 風邪やインフルエンザ予防
  • 呼吸器の不快感・花粉症に
  • 頭皮の乾燥・フケ予防に

ローレル/ベイリーフの利用と注意点について

相性の良い香り

柑橘系全般と相性が良く、スパイス系とも組み合わせやすいです。そのほかハーブ系やハーバル調のニュアンスを持つフローラル系・ウッディー系の精油ともブレンドしやすいでしょう。

ローレルのブレンド例

ローレル精油の注意点

  • 妊娠中・授乳中の方の使用・お子様への使用は避けて下さい。
  • 皮膚に対して刺激性があり、稀に皮膚炎を起こすこともあります。特に敏感肌の方は芳香浴の場合でも使用濃度に注意し、バスオイルなど皮膚に直接付く形で諒する場合は必ず事前にパッチテストを行いましょう。
  • 高濃度で使用した場合は眠気を起こす可能性があります。車の運転など集中力が必要なシーンでの使用は控えましょう。
  • アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
  • 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。

参考元