パクチー好きにも注目される新進気鋭の精油
シラントロ/コリアンダーリーフとは
タイ料理をはじめとしたアジアン・エスニック料理に使われる香草として、日本でも広く知られているパクチー。青々しいハーバルな香りではありますが別名“カメムシソウ”とも呼ばれるように独特のクセがあり、ハマる人はドハマリする・無理な人は絶対に無理というほど好き嫌いがくっきりと分かれる香草の一つ。タイ料理から認知度が高まったこともあり東南アジアの食材のようにも感じますが、ヨーロッパやメキシコなどでも食べられています。ただしパクチーが山盛りになっていたり、パクチーがメインとなる料理を食べるのは日本だけだそう。近年では日本にパクチー愛好家と称すべき人々も少なくありませんし、それだけ特徴ある風味には中毒性があると言えるかも知れません。
薬味・香草として日本人に強烈なインパクトを与え続けるパクチーですが、カレーにも使われている香辛料“コリアンダー”と同じセリ科コエンドロ属の植物を指しています。種としても学名Coriandrum sativumと同じものが使われているのですが、特に葉部分についてはコリアンダーリーフ・コエンドロ・シラントロ・パクチー・シャンツァイなど様々な呼び方をされていて少し紛らわしい部分もありますね。これは日本に各国の呼び名が伝わり、使用する料理などによって呼び方が変わることがあるため。英語ではカレーのスパイスとして使われるコリアンダーの果実はコリアンダーシード・葉はコリアンダーリーフと呼ばれており、単に“coriander”と言った場合は果実や葉を乾燥した香辛料全般を指すこともあります。
対して日本では主に生葉を指すときに使う“パクチー”という呼び方はタイ語由来で、香菜(シャンツァイ)は中国語・コエンドロ(coentro)はポルトガル語・シラントロ(cilantro)はスペイン語となっています。コリアンダーを原料とする精油の場合でもコリアンダーシード・コリアンダーリーフと呼び分ける以外に、コリアンダーシードを原料とした精油をコリアンダー、葉を原料とした精油についてはシラントロ(シラントロ・リーフ)と呼び分けられることもあります。メーカーによっても表記方法は変わってくるので使用部位を確認することをお勧めしますが、単に「コリアンダー」と表記されているものはコリアンダーシードの精油であるのが一般的となっています。
コリアンダーは3500年以上前のテーベの医学書にも記録があることから、歴史あるハーブの一つにも数えられる存在。コリアンダーシードだけではなく葉(シラントロ)についても古代エジプトやギリシア・ローマなどでは薬草として用いられていたのではないかと考えられています。ちなみにコリアンダーやコエンドロなどという各国での呼称や属名の由来は「カメムシ」であると紹介されることもありますが、これは説の一つで断定されたものではないそう。直接的な語源はコリアンダーを意味する古代ギリシア語koriannon(もしくはラテン語のcoriandrum)で、その言葉の成り立ちの段階として南京虫を意味するギリシア語“koris”から変化した・キャラウェイまたはクミンを意味する“karon”から派生したなどの説があります。
古代エジプトでは「幸福をもたらすスパイス」とされていたとも言われていますし、ポルトガルなどではシエントロ(コリアンダーリーフ)が郷土料理にも利用されています。薬や食材として利用していたと考えられますから、南京虫を語源としていたという説よりもキャラウェイなど他の香辛料の名前をもじった名称で呼ばれていたと考えた方がしっくりくる気もしますね。嫌いな方はパクチー香りがする精油と言うだけで鳥肌モノかも知れませんが、パクチーよりも柔らかめでスッキリとした香りもまたクセになる方が少ないないそう。ただし精油としての歴史は新しくアロマテラピーとしては利用されていませんし、データも少ないので使用には注意が必要です。また料理の香り付けとして利用できる精油と紹介されていることもありますが、食用できるのはdoTERRA社など一部のメーカーで“食品添加物”とされているものに限ります。日本で主に販売されている“雑貨”扱いの精油は内服できませんので注意しましょう。
基本データ
- 通称
- コリアンダー・リーフ(Coriander leaf)
- 別名
- シラントロ・リーフ(Cilantro leaf)、パクチー、香菜(シャンツァイ)、中国パセリ、コエンドロなど
- 学名
- Coriandrum sativum
- 科名/種類
- セリ科コエンドロ属/一年草
- 主産地
- エジプト、アメリカ
- 抽出部位
- 葉
- 抽出方法
- 水蒸気蒸留法
- 色
- ほぼ無色~淡黄色
- ノート
- トップ~ミドルノート
- 香り度合い
- 中くらい
- 代表成分
- trans-2-デセナール、リナロール、他デカナール(デシルアルデヒド)やノナナールなどのアルデヒド類
- おすすめ
- 芳香浴・ハウスキーピング
パクチーよりも柔らかい印象の、柑橘系っぽさを含む爽やかな香り
こんなお悩みにオススメ
【精神面】
- ストレスが多いと感じる
- 精神的に疲れている
- 気持ちの落ち込み・無気力
- イライラ・不安・緊張
【肉体面】
- 食欲不振・消化不良
- 消化機能のサポートに
- 風邪・インフルエンザ予防に
- デトックスを心がけている
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シラントロ/コリアンダーリーフに期待される効果・効能
心への作用
使用の歴史が浅くハッキリとは分かっていない部分も多いと言われていますが、シラントロ(コリアンダーリーフ)の香りはストレスの軽減に役立つと考えられています。含有量こそコリアンダーシードに劣りますが、シラントロ精油にもモノテルペンアルコール類のリナロールが含まれています。リナロールは鎮静作用や抗不安作用などが期待されている成分で、ストレス性の神経症状や気持ちの落ち込みを軽減する働きがあると考えられています。
このためシラントロ精油もストレス性の緩和・気持ちを落ち着け感情バランスの乱れを軽減する働きが期待されています。精神的に疲れている・イライラしやすいと感じがちな方にも適しているかも知れません。ただし食材としてのパクチー同様に好き嫌いが分かれる香りですから、好みで無い方が無理をして使う必要はないでしょう。一般的に使用されているコリアンダーシードの方が香りとしては親しみやすく、同様にメンタルバランスを整える働きが期待されています。
体への作用
こちらも詳細は分かっていませんが、コリアンダーシードと同じく消化器系のサポートや免疫機能を高める働きが期待できると言われています。また体内の重金属(水銀)の排出促進に役立つという説があることから、シラントロ精油はデトックスをサポートしてくれる精油としても注目されています。こちらについてはパクチーの中に含まれるデセナールなどいくつかの精油成分に有害物質・化学物質の解毒や排泄を促す作用を持つ可能性があることがTVで紹介され話題となったようです。
その他作用
皮膚利用について
海外では痛みの軽減や肌の鎮静に役立つ可能性があるとされているシラントロ(コリアンダーリーフ)精油ですが、アルデヒド類を多く含むことから皮膚刺激性があると考えられます。使用されてからの歴史が浅い精油であり副作用やトラブルなどの報告も少ないため、自己判断での皮膚利用は避けることをお勧めします。
シラントロ/コリアンダーリーフ精油の利用について
相性の良い香り
柑橘系の精油と相性がよく、ハーバル系・軽めのスパイス系の精油ともブレンドされます。相性が良いだけではなく柑橘系の精油にシラントロを少量加えるようにすると独特の香りが中和され、柑橘系の香りに奥行きが出ますよ。
【シラントロ/のブレンド例】
- ストレスに⇒フェンネル、ベルガモット、ベチバー、バジル
- スッキリしたい⇒グレープフルーツ、レモングラス、セージ
- 風邪予防に⇒ペパーミント、バルサムファー、レモンバーム
- 胃腸サポートに⇒ジンジャー、カモミール・ローマン、エレミ
シラントロ/精油の注意点
- 妊娠中・授乳中の方、小さいお子さんへの利用は避けましょう。
- 持病のある方や薬を服用中の方は医師に相談してから使用してください。
- 皮膚を刺激する可能性があります。
- シラントロ精油は使用データが少なく、副作用などについても判明していない部分が多くあると考えられます。禁忌とされていなくとも濃度・頻度などに注意して使用するようにしましょう。
- アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
- 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。