花屋さんの様なフローラル×グリーン調
ミモザとは
パウダリーでふんわりと甘い上品な香りに加え、揮発保留性が高いため高級石鹸・香水などの香料としてもよく使われている存在です。安価なものであってミモザ調の香りが使われていますから、ミモザの香りと聞いて全くイメージが浮かばない方であっても「どこかで嗅いだことがある」香りとして受け入れやすい香りであると思います。万人受けするグリーンさを含んだ上品なフローラル調の香りで、香料としても定番であるミモザですが、その歴史は比較的新しいと言えます。
というのもミモザの原産はオーストラリア。19世紀初頭に観賞用としてヨーロッパに持ち込まれてから、大々的な利用が始まったため歴史が新しい香料に数えられています。香料原料として利用されるミモザ(Acacia dealbata)はマメ科アカシア属に分類されていますが、マメ科オジギソウ属の属名も“Mimosa”。この紛らわしい呼び名は姿が似ているため伝来当時イギリスでオジギソウと混同され、そのまま定着してしまったと言われています。日本でも明治時代に混同した状態で伝えられたと考えられており、その影響からアカシア属をミモザと呼ぶようになったそう。Acacia dealbataの和名も「房アカシア」とされています。
世界に知られた時期が遅かったと言われるミモザですが、南フランスでは春の訪れを感じる「ミモザ祭り」がありますし、イタリアでは3月8日を「女性の日(ミモザの日)」として男性が女性に感謝を込めて花を贈り家事などから開放する習慣があるのだそう。短い間でもヨーロッパに定着し、親しまれていることが伺えますね。ちなみにジャンパンをオレンジジュースでステアしたカルテル「ミモザ」はミモザの黄色い花と色が似ていたために命名されたと言われています。ミモザサラダも同様に卵の黄身を花い見立てているそう。このあたりからもミモザの愛され度が伝わってくるような気がします。
ミモザはアブソリュートでも少量しか採油できないため高価な精油に属します。精油として一般に販売されているものは粘度の関係から10~30%くらいの濃度に希釈されたものが多いため際立って高価とは感じないかもしれませんが、アロマオイルとして安価で売られ希釈のパーセンテージが明記されていないものは「ミモザ(類似)の香り」である可能性が高いため注意が必要です。精油の場合もアロマテラピー的な利用というよりは、香水やフレグランススプレーなどの利用が主となるでしょう。香りが強いうえ持続時間も長いですのでベースとして少量加える程度の利用が金銭的にも実用的にも適しています。
基本データ
- 通称
- ミモザ(Mimosa Abs.)
- 別名
- ミモサ、フサアカシア、ミモザアカシア
- 学名
- Acacia dealbata
- 科名/種類
- マメ科アカシア属/常緑高木
- 主産地
- フランス、イタリア、モロッコ、オーストラリア
- 抽出部位
- 花、小枝
- 抽出方法
- 溶剤抽出法(アブソリュート)
- 色
- 黄色~オレンジ
- 粘性
- 高い
- ノート
- ミドル~ベースノート
- 香り度合い
- 強い
- 代表成分
- ベンジルアルコール、アニスアルデヒド、パルミチン酸(※フランス産)
- おすすめ
- 芳香浴、(※ごく少量で)アロマバス・スキンケア・ヘアケア
パウダリー・グリーン感を合わせ持つ、濃厚な花の香り
こんなお悩みにオススメ
【精神面】
- 不安・緊張・ショック
- 神経疲労・無気力
- イライラ・神経過敏
- 気持ちの落ち込み・抑うつ
【肉体面】
- ストレス性の不調全般
- ストレス性の肌荒れ
- 脂性肌やニキビ肌に
Advertisement
ミモザに期待される効果・効能
心への作用
ミモザの香りはイメージそのまま、心を落ち着かせて安心感を与える香りと言われています。鎮静作用と抗鬱作用があり、不安・緊張・ショック・ストレスなどによる神経性の不調の緩和に役立つとされています。神経疲労による気持ちの落ち込み、無気力感などの回復にも役立ってくれるでしょう。
催淫作用があるとされ、性欲を高める・冷感症やインポテンツの緩和に良いとする説もありますが、こちらの働きについても精神的な癒やしや安心感に由来するところが大きいと考えられます。精神的な疲労感などでその気になれない場合などに適しているでしょう。
体への作用
神経を落ち着かせ明るい気持ちに導く働きから、胃痛や過敏性腸症候群などストレス性の不調の緩和に役立つのではないかと考えられています。
その他作用
肌への働きかけ
皮脂分泌調整作用に優れているため脂性肌・ニキビケアに主に用いられています。そのほかに皮膚を柔らかくする・新陳代謝(ターンオーバー)を促進するとする説もあり、芳香によるストレス緩和作用と合わせて、肌トラブルの緩和などにも効果が期待されています。
ただし精油として販売されているものはアブソリュートですし、濃度の高さによっては(特に敏感肌の方は)逆に炎症を起こしてしまう可能性もあります。肌へ使用したい場合はミモザエキスなどを配合した化粧品を購入されたほうが安全でしょう。利用する場合は自己責任となりますから、使用量に注意ししっかりとパッチテストを行いましょう。
ミモザの利用について
相性の良い香り
柑橘系との相性がよく、フローラル系もしくはフローラルよりハーブ系の香りとも比較的ブレンドしやすい香りです。香りが非常に強く、持続力も高い精油ですから使用量には注意しましょう。
【ミモザのブレンド例】
- ストレス緩和に⇒ラベンダー、バイオレット、スタイラックス
- 落ち込んだ気分に⇒ローズ、シトロネラ、イリス、ラバンジン
- ストレス性の胃腸トラブルに⇒オレンジ、レモン、カモミール
- 女性らしさの演出に⇒クラリセージ、イランイラン、ネロリ
ミモザ・アブソリュートの注意点
- 妊娠中・授乳中の使用は控えましょう。
- 粘度が高く低温で固まりやすい性質があります。使いやすいように希釈して販売されているものであっても分離する事がありますが、成分・品質に問題はありません。手のひらで温めながら振って混ぜて利用してください。
- アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
- 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。