セントジョーンズワート精油
アロマ・エッセンシャルオイルと期待される効果効能紹介

セントジョーンズワート精油<br />アロマ・エッセンシャルオイルと期待される効果効能紹介

マニアックだけど癖になる? 癒し系精油

セントジョーンズワート/セイヨウオトギリソウ

セントジョーンズワートとは

欧米を中心にハッピーハーブなどの別名でも呼ばれて親しまれているセントジョーンズワート。日本でも内服サプリメントやハーブティーが販売されていますから、ご存じの方も多いのではないでしょうか?
植物としては黄色い小ぶりの花を持つ多年草で、葉や花に黒い斑点(油点)があります。この油点からは赤い色素が出ることから洗礼者ヨハネの斬首で流れ出た血の象徴とされており、聖ヨハネの日である6月24日頃に花が咲くこともあって「聖ヨハネの草」セントジョーンズワートと命名されたそうです。

セントジョーンズワートはヨーロッパから中央アジアに自生し、古くは痛み止めや傷・火傷などに良い薬草として用いられてたそうです。中世頃になると「悪霊を追い払う薬草」として、当時は悪魔・悪霊のせいであると考えられていた精神・神経性疾患の治療に用いられる様になります。魔除けのお守りとして玄関や窓に吊るされるほどだったそう。諸説ありますが属名の“Hypericum”も「hyper(上に)」+「eikon(像)」もしくは「icon(聖画)」で悪魔よけに使われていることに由来していると考えられています。和名はオトギリソウ(H. erectum)を元にセイヨウオトギリソウと付けられました。この弟切草という呼び名は“秘密にしていた鷹の傷薬(弟切草)を他人に漏らしてしまった弟を兄が切り殺した”という伝説が元となっています。

一時期は根拠なき民間療法・咒いの類と考えられた時期もあるようですが、1980年代にドイツの研究者がうつ病に対しての有効性を発表し、1990年代には様々な臨床試験によって抗鬱効果が認められるようになります。セントジョンズワートに含まれているヒペリシンやヒペルフォリンという成分がセロトニン分泌量の正常化に有効であることが報告されていおり、現在ハーブ療法の先進国のドイツでは軽度のうつ病患者に医師から処方される存在でもあります。

外用としてはキャリアオイルとして販売されているセントジョーンズワートの花などを植物油に浸した浸出油が最もメジャーな存在で、そのほか芳香蒸留水もあります。花から水蒸気蒸留で抽出される精油は採油率が低いく高価なこともあり、あまり流通していません。海外の民間療法では精油を飲むという方法もあるようですが、日本では認められていないため経口摂取したい場合はハーブティー・サプリメントなどを利用してください。

基本データ

通称
セントジョーンズワート(St John’s wort)
別名
西洋弟切草(セイヨウオトギリソウ)、ハイペリカム、ヒプレカム
学名
Hypericum Perforatum
科名/種類
オトギリソウ科オトギリソウ属/多年草
主産地
フランス、イギリス
抽出部位
花(葉を含むものもあり)
抽出方法
水蒸気蒸留法
淡黄色~淡オレンジ
(キャリアオイルは琥珀色~赤色)
ノート
ミドルノート
香り度合い
中~やや強い
代表成分
α-ピネン、ゲルマクレンD、β-カリオフィレン、β-ピネン、カジネン、ミルセン
おすすめ
芳香浴・アロマバス・マッサージ・ヘアケア

やや甘さを含む、深く渋いハーブ調の香り

こんなお悩みにオススメ

【精神面】

  • 気持ちを立て直す
  • 緊張・神経性疲労
  • 精神面の強壮
  • 女性特有の不安定さに

【肉体面】

  • 緊張性の頭痛
  • 筋肉痛・肩こり
  • 関節痛・神経痛
  • 月経不順・更年期障害
  • 外傷・火傷の回復促進

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セントジョーンズワートに期待される効果・効能

心への作用

セントジョーンワートの精油には、森林浴効果(リフレッシュ・癒し・強壮)があるとされるα-ピネン、鎮静作用を含むゲルマクレンDなどの成分が含まれています。このため気持ちをクリアにして元気を取り戻す手助けをする、ストレスによる緊張・疲労を緩和すると考ええられています。憂鬱な気持ちを切り替えるのにも役立ってくれるでしょう。

またセントジョーンワートに含まれているβ-カリオフィレンという精油成分は、女性ホルモンの血中濃度変動期における不安症状の緩和に有効と考えられています。このため生理前の不快症状(PMS:月経前症候群)や、更年期障害におけるイライラ・不安・落ち込みなど精神的不調緩和に効果が期待できます。

※ハーブの薬効成分とされるヒペリシンなどを含むためうつ症状や不眠症の改善に有効とする説もありますが、ヒペリシンは暗赤色の天然色素であり芳香成分ではないため、香りを楽しむことで内服と同様の抗うつ作用があるかについては疑問です。

体への作用

鎮痙・鎮痛作用があるとされ、頭痛や筋肉痛、関節痛、神経痛、リウマチなどの痛みの緩和に用いられています。また鎮静作用によって緊張から起こる頭痛などの緩和にも有効とされ、ゲルマクレンDには生理周期を安定させたり月経を促す働き(通経作用)があることから更年期障害の緩和にも効果が期待されています。

その他作用

肌への働きかけ

皮脂分泌を調整する作用に優れていると考えられていることからオイリー肌・乾燥肌などのケアに、治癒力を高める働きから切り傷・火傷などに有効と考えられています。含有成分から抗炎症作用が期待できるという説もあります。

※皮膚へ直接利用する場合は精油ではなくセントジョーンズワートオイル(浸出油)を利用する方がメジャーです。精油の場合は価格が高価であることに加え、使用データも少ないためスキンケア的な利用を目的とする場合はキャリアオイル用のものの利用がおすすめです。

セントジョーンズワートの利用について

相性の良い香り

フローラル系・柑橘系の香りと比較的ブレンドしやすいと言われています

【セントジョーンズワートのブレンド例】

セントジョーンズワート精油の注意点

  • 妊娠中・授乳中の使用はできません。
  • 光毒性を起こす可能性がありますので、肌に付くような使用をした後は紫外線を避けるようにしましょう。
  • 血液凝固阻止薬・免疫抑制薬をはじめとする、様々な医薬品との相互作用が報告されています。持病のある方・医薬品を服用中の方は使用を避けるか、かかりつけの医師に相談してください。
  • アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
  • 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。