チュベローズ(月下香)とは
チュベローズはメキシコが原産のリュウゼツラン亜科の多年草(球根植物)で、ローズと付きますがバラとは全く違う種になります。抽出した精油を香水として利用するためにヨーロッパで品種改良が行われた、世界中の温暖な地域で栽培されるようになりました。ハワイではレイや宗教行事用に、バリ島では「スダップマラム」と呼びウェルカムフラワーとして利用されています。
チュベローズはインドやマレーシア辺りでは高価なアブソリュートととしてよく知られているジャスミンと同様「夜の女王」とも呼ばれているようです。ジャスミンは夜に強い芳香を放つため・チュベローズは月夜の晩に咲いた花の香りが特に素晴らしいため、と理由は若干異なっています。同じく中国の「晩香玉」や台湾の「月下香」という呼び名も、月夜の晩に咲いた花は特に濃厚な香りを放つと言われていることが由来。
チューベローズ精油の大半はアブソリュートのためアロマテラピーではほとんど利用されませんが、うっとりするような香りはネガティブさを取り除くとも言われています。主に香水の原料として用いられますが、芳香浴に利用することもあり、成分的に見ると有用な働きかけも期待できるとする説もあります。
フローラルさと甘さが強く濃厚でエキゾチックな香りがチュベローズの特徴ですが、1800kgの花からわずか500gのアブソリュートしか抽出できないと言われるほどチュベローズ精油は貴重です。10mlで5万円前後の値がつくためフローラル系最高価とも言われています。日常的に惜しげなく使うには高級ですが、ブレンドしてお好みの香りを作りたい時や甘く幸せな気分を味わいたい時に役立つ「とっておきの香り」と言えるでしょう。
基本データ
- 通称
- チュベローズ(Tuberose Abs.)
- 別名
- チューベローズ、月下香(ゲッカコウ)、スダップマラム、晩香玉(ワンシャンユイ)
- 学名
- Polianthes tuberosa
- 科名/種類
- リュウゼツラン亜科(ゲッカコウ属)/多年草
- 主産地
- インド、エジプト、インドネシア、台湾
- 抽出部位
- 花
- 抽出方法
- 溶剤抽出法(アブソリュート)
※稀に水蒸気蒸留法のものも有 - 色
- 濃い赤茶色
- ノート
- ミドル~トップノート
- 香り度合い
- 中~強
- 代表成分
- 安息香酸ベンジル、サリチル酸メチル、安息香酸メチル、α-テルピネオール、リナロール、オイゲノール、ジャスミンラクトン
- おすすめ
- 芳香浴、手作り香水
完熟したブドウのような、甘く濃厚でフルーティーな香り
こんなお悩みにオススメ
【精神面】
- ストレス・神経疲労
- 不安・気分の落ち込みに
- リラックスしたい
- 前向きになりたい
- 頭をスッキリさせたい
【肉体面】
- 神経性の不調全般
- 喉の不快感や痰
- 血行不良・冷え性
- 恋人と過ごす夜に
- 肌の保湿・保護
- アンチエイジング
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チュベローズに期待される効果・効能
心への作用
甘く濃厚ながらくどすぎない、特に女性がうっとりとしてしまうチュベローズの香りは高いリラックス効果があると言われています。対人関係や不安など精神面でのストレスを和らげて気持ちを楽にする働きがあり、明るい気持ちや前向きさを取り戻すために力を貸してくれるでしょう。
フローラル系の香りには珍しく、チュベローズは頭をスッキリとクリアにして頭の計算能力などを高める働きもあると言われています。お仕事用の香水などにも適した香りと言えます。
体への作用
鎮静作用が高く、神経系や呼吸器系の不調や炎症の緩和に有効とされています。血液の循環も良くする作用があり、体を温める働きもあると言われていますので冷え性の方にも適しています。
またチュベローズはリラックス効果が高い香りなので、血液循環促進と合わせてストレス性の胃痛や下痢など神経性胃腸トラブルの改善にも効果が期待できるでしょう。そのほかマウスを使った久留米大学の実験では、高圧ストレスにより低下した免疫機能の回復にチュベローズの香りは高い効果があったことが報告されています。
セクシーさのアピールにも
チュベローズの香りは「マスカット」などとも称されるように甘く濃厚な香りがありますが、ホワイトフローラルとも言える清楚さ・奥ゆかしさも兼ね備えており、フローラル系の香りに多く見られる催淫作用もあると考えられています。
中世には「花の香りの中で最もセクシー」という説や、チュベローズの畑を横切ると欲望が抑えられなくなるため恋人同士の夜間通行禁止令もあったようです。ちなみにチュベローズ花言葉もまた危険な楽しみ・火遊びなど。イランイランほど濃厚濃密な香りではないので、さり気なくセクシーさを取り入れた香水を作りたい時などに使いやすい香りです。
その他作用
肌への働きかけ
チュベローズから抽出される「チュベローズ多糖体」と呼ばれる成分は保湿効果・肌の保護作用、アンチエイジング効果があると言われています。ただしアブソリュートの場合は肌への直接使用は刺激があるためお勧めできません。芳香浴として利用しても効果が期待できると言われていますので、直接的に塗りこむのは避けましょう。
チュベローズの利用について
相性の良い香り
フローラル系・オリエンタル系の香りとの相性が良いとされています。
香りが強いためブレンド時は少量の利用が適していますが、揮発性が高く香りの持続時間が短いのでベースノートの香りとブレンドして利用すると良いでしょう。
【チュベローズのブレンド例】
- 不安・ストレス解消⇒ゼラニウム、ローズ、プチグレン
- 気分をスッキリ明るく⇒オレンジスイート、カーネーション
- 冷え性の方に⇒サンダルウッド、ローズウッド、ベンゾイン
- とっておきの夜の演出に⇒ネロリ、パチュリ、ジャスミン
チュベローズ精油の注意点
- 妊娠中・授乳中の使用、長時間の使用は控えましょう。
- 低温状態では固まる性質があります。
- アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
- 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。