ティートリーよりも薬品臭が少なめ
カユプテはティーツリーやなどと同じフトモモ科メラレウカ属の植物で、精油はティーツリーなどと比べるとマイルドで甘めの香りを持ちます。原産は東南アジアから北オーストラリアにかけてのエリアで、カユプテという呼び名は「白い木」を意味するマレー語が語源。精油成分としては1,8-シネオールとα-テルピネオールの含有率が高く、リフレッシュや風邪予防・呼吸器ケアにも役立つと考えられています。
Contents
カユプテとは
カユプテの特徴・歴史
ニアウリと共に、ティーツリー系列の精油として紹介されることの多いカユプテ。植物としてもフトモモ科メラレウカ属(Melaleuca)とティーツリーと非常に近い種で、薄い紙のような樹皮が層をなしている様子から“ Paper bark tree(ペーパーバークツリー)”とも呼ばれています。また樹皮の色が白いことから“ホワイトティートリー(White tea tree)”として紹介されることもありますが、ニアウリなど樹皮が白い樹木は他にもありますので少し紛らわしいですね。ペーパーバークもメラレウカファミリーの多くの樹木の呼び名であるため、カユプテという呼称を使うのがポピュラーです。余談ですがカユプテは周期の植物を駆逐しながら繁殖していくと言われており、伐採しても自力で生育するほど生命力が強いと言われていますよ。
ティーツリーやニアウリ・マヌカなどはオーストラリアもしくはニュージーランド周辺地域が原産とされているのに対し、カユプテは東南アジアから北オーストラリアが原産。このためオーストラリア系精油の一つに数えられることもありますが、香料源としてはインドネシアもしくはベトナムやマレーシアなど東南アジアでの生産が多いということが特色と言えるでしょう。英名としても使われている“カユプテ(Cajeput)”という呼び名も、名前もマレー語もしくはインドネシア語で「白い木」を意味する“カユ・プティ(Caju-putih)”が語源とされています。
カユプテはティートリーなどと同様に優れた消毒・抗菌作用があると考えられています。原産地とされる東南アジアやインド、中国などでは、古くは「万能薬」と呼ばれるほど民間薬として様々な用途に使用されてきた歴史もあります。防虫剤のように使ったり、煮出してハーブティーのように摂取する他、インドネシアでは数百年も前から精油を抽出して利用していたとも言われています。現在でも東南アジアの一部地域ではカユプテオイルを家庭の常備薬として置いていると言われていますし、コンビニエンスストアのようなお店でも手軽に購入できるそうですよ。ヨーロッパでも一時期はリウマチやコレラの治療に用いられていましたが、合成薬が普及した現在では自然療法の中でや、空気清浄を兼ねたルームフレグランスとして使われる程度となっています。
ちなみにメラレウカ属の樹木を原料とする精油はティーツリーに代表されるように、消毒薬を連想させる、すーっと染み渡るような香りを持つものが多いと言われています。カユプテも同じくカンファー感のある、もしくは清涼感のあるクリアな香りであると称されていますが、他のメラレウカファミリーよりも香りはライト。ティーツリーよりもユーカリーに近いと表現されることもあります。カユプテはメラレウカ系精油の中では最も優しい香りを持つとも称されており、ハーバル感やフルーティーさも感じられるため「ティートリーは病院や湿布薬みたいで苦手」という方でも比較的受け入れやすいと言われています。香りだけではなく作用も穏やかな精油に数えられていますから、お子様のいらっしゃる家庭で使われることも少なくありません。
香料原料データ
- 通称
- カユプテ(Cajeput)
- 別名
- カジャプト、カジャパタ、カユプティ、ホワイトティートリー(White tea tree)、ホワイトサメット(white samet)、白千層(ハクセンソウ)など
- 学名
- Melaleuca leucadendron
Melaleuca cajuputi - 科名/種類
- フトモモ科メラレウカ属(コバノブラシノキ属)/常緑高木
- 主産地
- オーストラリア、マレーシア、ベトナム、インドネシア、フィリピンなど
- 抽出部位
- 葉、小枝
- 抽出方法
- 水蒸気蒸留法
- 色
- 無色~淡い黄緑色
- 粘性
- 低い
- ノート
- トップノート
- 香り度合い
- 中くらい
- 精油成分
- 1,8-シネオール、α-テルピネオール、リモネン、γ-テルピネン、α-ピネン、リナロールなど
- おすすめ
- 芳香浴・アロマバス・マッサージ・スキンケア・ヘアケア・ハウスキーピング
スッキリとした清涼感の中に、フルーティーなニュアンスを含んだ香り
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カユプテに期待される働き・効能
精神面への作用と効果
カユプテ精油の爽やかでありながら、どこか優しい印象の香りは頭をスッキリとさせる働きが期待されています。リフレッシュを促すことで緊張を解したり、疲労やストレスで弱ってしまった心を元気付ける手助けをしてくれるとも言われていますよ。刺激作用やリフレッシュ効果がある精油として紹介されることの多い存在ですが、柔らかめの香りでもありますのでストレスを感じている時や、精神的な疲労感がある時のルームフレグランスとして取り入れてみるのもおすすめです。頑張っているのがバカバカしく思えたり、進むべき道を見失っているように感じた時にも優しくサポートしてくれそうですね。
また製品によっても差はあるものの、カユプテの精油成分のうち約半分を占めている1,8-シネオール(別名:ユーカリプトール)も集中力や記憶力を高める働きが期待されている成分。カユプテを使った実験ではありませんが、2014年の日本感性工学会論文誌に掲載された論文でも芳香が脳活動に何らかの影響を与える可能性があることが認められています。現状では記憶力がアップするとは言い難いですが、すっきり系の香りではありますから、勉強中や仕事中など意識や集中力を高めたい場面で利用しても邪魔になることは無いでしょう。TPOを選ばないという面でも使いやすい精油ではあります。
肉体面への作用と効果
カユプテの精油は同じフトモモ科のクローブと共に、鎮痛作用が期待できる精油として紹介されることもあります。古くはオーストラリアでアボリジニの人々が痛みの治療に利用していた・ヨーロッパでリウマチの治療に用いられていたとも言われていますね。現在でも仙痛や胃痛などの痛みから頭痛・偏頭痛・筋肉痛・関節痛・神経痛・リウマチなどあらゆる痛みの緩和に取り入れられており、女性の場合は生理痛の緩和にも用いられています。
ただし、こうした鎮痛作用は香りを嗅いでと言うよりも、キャリアオイルで希釈してマッサージに利用することの方が多くなっています。シンガポール土産として有名な「タイガーバーム」や、インドネシア伝統薬ジャムウの「Minyak Telon(ミニャックテロン)」などにも原材料の一つとしてもカユプテオイルが配合されていますよ。筋肉痛などの軽減を期待して取り入れる場合であれば、低濃度に希釈して塗布する・バスオイルとして入浴時に用いるなどの方が適していると考えられます。
空気浄化や風邪予防にも
カユプテ精油は1.8-シネオールが主成分であり、そのほかα-テルピネオールやリモネン・α-ピネンなども含まれています。成分的にはニアウリやユーカリ・ラディアータに近く、こうした精油と同様にカユプテも優れた抗菌・抗ウィルス作用を持つと考えられています。このためカユプテの精油も風邪・インフルエンザなどの呼吸器系感染症をはじめ、膀胱炎ほか泌尿器系の感染症対策としても役立つのではないかと考えられています。感染症全般に使われる精油の一つであり、ティートリーやニアウリよりもまろやかな香りなのでお部屋の空気作りを邪魔しないという点もメリットであると言えますね。
また1.8-シネオールやα-テルピネオールなどは抗炎症作用や抗アレルギー作用が期待されている成分でもあります。そのほかに去痰作用や鎮咳作用があるとする見解もあり、鼻炎・喘息・気管支炎・喉の痛みなど呼吸器系の不調全般に用いられています。特に近年は花粉症やアレルギー性鼻炎などアレルギー症状の軽減用としても注目されており、花粉症対策アロマとしてお部屋に拡散している方もいらっしゃるようです。カユプテは比較的おとなしめの香りですから薬品(消毒薬)っぽい香りが苦手な方がいる場合・来客時などにも適していますし、香りだけではなく作用が穏やかなため適切に希釈すれば小さいお子さんの風邪・インフルエンザ予防やアレルギー対策としても活用できるでしょう。
その他に期待される作用
肌・頭皮への働きかけ
カユプテの精油は優れた抗菌・抗真菌作用を持つと考えられることから、ニキビ・湿疹・虫刺されなどのケアにも利用されています。また水虫を始めとする真菌性の皮膚炎症・皮膚疾患などの慢性的症状の軽減にも用いられることがあるようです。古くは痛み止めを兼ねた傷口の感染症予防としても利用されていたそうですから、アジアを中心に「万能薬」として扱われていたというのも誇張ではないのでしょう。現在では医師の診断と医薬品の処方を受けられますから自己判断で怪我関係の治療に利用することはお勧めできませんが、ちょっとした虫刺されのケアなどに使われている方もいらっしゃいますよ。
そのほかカユプテは傷の治りを早めて傷跡の修復を促す働き(瘢痕形成作用・癒傷作用)を持つ精油にも数えられるため、傷跡や火傷痕・妊娠線のケアなどにも用いられています。抗炎症作用が期待できることと合わせてアトピー性皮膚炎のケアにも利用されることがありますが、皮膚刺激が低いとは言え無いわけではありませんので使用時には注意が必要です。またヘアローションやシャンプーに混ぜて使用する、脂性肌で頭皮の脂っぽさが気になる方・脂っぽいのに乾燥するタイプ・フケが出る方に良いとも言われています。期待できると言われている働きについてはティーツリーやニアウリとほぼ同じと考えて問題ありません。
消臭剤代わりとしても
カユプテ精油の主成分である1.8-シネオールは抗菌作用が高いことから、消臭作用を持つと考えられています。悪臭の原因の一つとして、温度や湿気などの関係から雑菌が繁殖して悪臭物質を発生させることが挙げられます。洗濯物の生乾き臭やカビ臭が代表的ですし、体臭についても皮脂や垢を雑菌が分解することで発生する悪臭物質によるものが多いと言われています。このため雑菌を繁殖させないようにすることで消臭剤としての機能を持つことに繋がり、抗菌・殺菌力が高いとされるカユプテ精油もデオドラント効果があると考えられています。
カユプテが利用されるシーンまとめ
【精神面】
- ストレス・精神疲労に
- 緊張・気持ちの落ち込み
- 不安・無気力・マイナス思考
- 頭をスッキリさせたい
- 集中力を高めたい
- やる気が欲しい
- 前向きになりたい
- リフレッシュ(気持ちの切り替え)
- 勉強中・仕事中のサポートに
【肉体面】
- 神経痛・関節炎・リウマチ
- 筋肉痛・肩こり・頭痛
- 風邪・インフルエンザ予防に
- 呼吸器系の不調に
- 花粉症などのアレルギー軽減
- お部屋の空気清浄剤として
- ニキビ・湿疹・水虫予防
- 火傷痕や妊娠線ケアに
- 頭皮の脂っぽさ・フケ対策
カユプテの利用と注意点について
相性の良い香り
特に独特のクセのある香りではありませんので、比較的どのタイプの香りともブレンドしやすい精油と言えます。同じようなニュアンスを持つハーブ系や樹木系、柑橘系精油とであれば失敗することはほぼ無いでしょう。そのほかスパイス系や同じメラレウカ属(Melaleuca)系統の精油とも相性が良いとされていますが、こちらは好みが分かれる部分もあります。
カユプテのブレンド例
- 心の疲労対策に⇒アンジェリカ、ラベンダー、ナツメグ
- 集中したい時に⇒ローズマリー、レモン、ニアウリ、タイム
- 呼吸器系の不快感に⇒マートル、パイン、ヘリクリサム
- 空気清浄用として⇒ベルガモット、ジュニパー、クローブ
カユプテ精油の注意点
- 妊娠中・授乳中の方は使用を控えてください。
- 皮膚を刺激する可能性がありますので、高濃度での使用は避けましょう。特に敏感肌の方は注意して利用してください。不安な方はより刺激が低いとされるマートルから試してみるのをお勧めします。
- アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
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参考元