イランイランの仲間で、香りも似ている
カナンガとは
カナンガはアジアの熱帯地域に分布する樹木。学名はCananga odorata var. macrophyllaとされており、植物分類ではイランイラン(Cananga odorata var. genuina)と非常に近い存在です。違いは「var.(変種名)」だけですから、感覚としてはタンジェリンとマンダリン程度の違いと言えます。カナンガとイランイランは樹木や花などの外見も見分けがつかない程似ていると言われていますし、香りも非常にイランイランに近いとされています。ただし濃厚に甘いイランイランに対し、カナンガは若干草や木を感じさせるような香りを含んでいることが特徴です。
この香りからカナンガの精油はイランイランと比べると繊細さに欠けるとされ、イランイランの下のランクという扱いをされることが多い存在。価格面でもイランイランよりも安いため量販品の“イランイランの香り”のフレグランスオイル・芳香商品などに代替え品として使われることもあるようです。また通常学名は属名+種小名で表記されるだけであり、香りも似ているためカナンガ精油をイランイラン精油として販売しているメーカーもあるそう。
逆に品質の劣っている・3級以下のグレードが低いイランイラン精油をカナンガオイルとして売っていることもあると言われています。こうした状況から販売されているイランイラン精油やカナンガ精油が表記通りの原材料から採油されているかは微妙な所、という指摘も多いようです。
イランイランよりも劣る・安価であるとマイナスのイメージを持たれがちなカナンガですが、実のところ香りの好みは人それぞれ。イランイランの独特な甘さが重くて苦手な方の場合は、カナンガの香りの方が心地よく感じるというケースも少なくないようです。カナンガは甘めでも甘ったるくなりすぎないという特徴から、男性用香水などに用いられることもあるそう。イランイランにしろカナンガにしろ商品名の表記については悪い噂が少なくない精油ですから、実際に自分の鼻で香ってみて好みに合うものを購入されるのが確実でしょう。
ちなみに香りが違うことからも分かるように、精油の成分比率もイランイランとカナンガは若干異なります。イランイランは製造者やグレードによって精油成分の含有率が大きく異なるため一概には言えませんが、カナンガオイルはβ-カリオフィレンが多い傾向にあります。カナンガはイランイランの下位版として扱われていた関係もあり、アロマテラピーなどではほとんど扱われない精油です。そのため期待できる働きについては分かっていない部分が多いとされていますが、微量成分を含めると100種類以上の芳香成分を含んでいることから何らかのメリットが有るのではないかという見解もあります。
基本データ
- 通称
- カナンガ(Cananga)
- 別名
- –
- 学名
- Cananga odorata var. macrophylla
- 科名/種類
- バンレイシ科イランイランノキ属/高木
- 主産地
- インドネシア(ジャワ島)、フィリピン、マダガスカル
- 抽出部位
- 花
- 抽出方法
- 水蒸気蒸留法
- 色
- 淡黄緑色~オレンジ色
- ノート
- ベース~ミドルノート
- 香り度合い
- 中~強め
- 代表成分
- β-カリオフィレン、ゲルマクレンD、リナロール、リモネン、酢酸ゲラニル、酢酸ベンジル、ベンジルアルコール、ファルネソールなど
- おすすめ
- 芳香浴・アロマバス・マッサージ・スキンケア・ヘアケア
イランイランとよく似ているが、少しグリーン感・ウッディ感を含む香り
こんなお悩みにオススメ
【精神面】
- ストレス・神経疲労
- 緊張・不安・イライラ
- 気持ちの落ち込み・憂鬱感
- 情緒不安定な時に
- 気持ちを明るくしたい
- 心を強く持ちたい
【肉体面】
- ストレス性の不調に
- 動悸・高血圧・過呼吸
- 風邪などの予防に
- PMS・更年期障害軽減
- 虫刺され・かゆみ軽減
- 脂性肌ケア・抜け毛予防
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カナンガに期待される効果・効能
心への作用
イランイランと似た香りを持つカナンガの精油も、ストレスや不安・気持ちの落ち込みなどのサポートとして役立ってくれるのではないかと考えられています。成分的に見ても主成分であるβ-カリオフィレンは不安を和らげる作用(抗不安作用)が高いことが報告されていますし、鎮静作用や神経バランス回復作用が期待できるモノテルペンアルコール類やエステル類も含まれています。このためカナンガ精油も心が疲れてしまった時や緊張している時に、穏やかな気持ちになることで心を安定させる手助けをしてくれるのではないかと考えられています。
また精神を高揚させる働きが期待される酢酸ベンジルなどを含むことから、落ち込んでしまった心を盛り上げてくれる働きも期待されています。神経疲労で無気力感や抑うつっぽい状態になっている時にも役立ってくれそうですね。イランイラン同様にストレスやイライラなどの軽減・落ち込んだ気持ちを前向きに切り替える手助けなど、幅広い心の不調サポートに役立つと考えられています。
体への作用
神経系に優れた鎮静作用を発揮すると考えられることから、動悸・頻脈・息切れ・過呼吸・高血圧などの軽減に役立つのではないかと言われています。ストレス性の不調軽減にも役立ってくれるでしょう。また原産地の民間医療では感染症の治療に用いられてきた歴史があること、成分的にも抗菌・抗ウィルス作用が期待できることから風邪や呼吸器系の不調に役立つのではないかという説もあります。
そのほかカナンガの精油成分の中でも含有率の高いβ-カリオフィレンは女性ホルモン変動による精神的不安を和らげる働きがあるとも言われています。精神面での働きかけと合わせてPMS(月経前症候群)や更年期障害によるイライラほか精神面の諸症状軽減にも効果が期待できるでしょう。
催淫作用について
カナンガの香りにもイランイランと同じく催淫作用があると言われています。理由としてはイランイランと同じく天然ジャスミン香の主成分で「ジャスミンのような甘い香り」の元となる“酢酸ベンジル(ベンジルアセテート)”という成分を含むため。この酢酸ベンジルの甘い芳香は一種のフェロモンとして働くことが報告されていることから、性的な興奮を高めるのではないかと期待されています。メンタル面のサポートと合わせて性的行為に不安やコンプレックスがある方に良いかもしれません。
その他作用
肌・髪への働きかけ
抗菌作用やβ-カリオフィレンによる抗炎症作用から、カナンガ精油は虫刺されのケアに役立つと言われています。また肌に対しては皮脂分泌調整や皮膚の強壮作用が期待されており、スキンケアにも用いられることがあるそう。イランイランと同様に頭皮に対しても皮脂バランスを整える働きや刺激・強壮作用が期待できる精油とされており、髪を綺麗に保ったり抜け毛を予防する為にヘアケアに用いられることもあります。
ただしカナンガ精油も皮膚感作性(アレルギー反応誘発性)があることが指摘されています。敏感肌の方は利用を避けるようにし、かふれを起こしたことのない方であっても必ず低濃度希釈・パッチテストを行うようにしてください。皮膚利用の場合は最大でも0.8%以下に希釈することが推奨されています。
カナンガの利用について
相性の良い香り
フローラル系・樹木系の香りと相性が良いとされています。柑橘系の香りとも組み合わせやすい香りです。
【カナンガのブレンド例】
- 気持ちを落ち着けたい⇒ベルガモット、ベチバー、トルーバルサム
- 前向きさが欲しい⇒ジャスミン、ローズ、ミモザ、リナローウッド
- 女性特有のイライラに⇒クラリセージ、ゼラニウム、マンダリン
- 髪・頭皮のケアに⇒シダーウッド、サイプレス、オレンジスイート
カナンガ精油の注意点
- 妊娠中・授乳中の方、小さいお子さんへの使用は避けましょう。
- 過度の使用で頭痛や吐き気を起こす場合があります。使用量・使用時間にご注意ください。
- 感作作用(皮膚刺激性)があるため肌の弱い方は使用に注意が必要です。
- アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
- 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。