殺菌・殺虫などに役立つと考えられている
タジェット(マリーゴールド)とは
タジェットというと馴染みのない植物のように感じがちですが、これは属名をそのまま使っているためで、Tagetes(コウオウソウ)属の植物は通常マリーゴールドと呼ばれています。日本でも花壇や鉢植えでよく見かける、黄色やオレンジの花としてお馴染みの植物ですね。見た目が明るい印象であること・丈夫で育てやすいことに加え、防虫や除虫に役立つコンパニオンプランツとしても用いられているため目にする機会が多いのだとか。
タジェット=マリーゴールトですが、ハーブとしてよく使われるポットマリーゴールドとも呼ばれる「カレンデュラ(Calendula officinalis)」とは全く別の植物になるため注意が必要です。カレンデュラの浸出油もキャリアオイルとして用いられていますが、同じ「オイル」でも製法・使い方が大きく異なりますので注意が必要です。カレンデュラの精油も存在しないというわけではないようですが、一般向けに市販されていることはほぼ無いそうです。
どちらも膚修復促進や炎症軽減など期待されており紛らわしいですが、カレンデュラオイル(浸出油)と異なりタジェット精油は低濃度希釈が必要です。また毒性や刺激性の問題から取扱に注意が必要で、専門家の指示がない限りは使わない方が良いとする説もあるようなので購入時には注意するようにしましょう。
ちなみに精油で「タジェット」と呼ばれるものはメキシカンマリーゴールドと(Tagetes minuta/Tagetes tenuifolia)やフレンチマリーゴールド(Tagetes patulaya/Tagetes glandulifera)などTagetes属の植物が何種か使われています。植物分類上は別種ですが、成分や香りなどが近いことからまとめられているそうです。このうち日本で流通しているのはTagetes minutaの精油が多いようで、自然派化粧品・バス用品メーカーの『Lush(ラッシュ)』さんもこちらを取り入れているようです。
もちろん他のメーカーの化粧品類でもタジェット精油(オザキソウ花油)は利用されています。柑橘系とハーブ系を合わせたような香りは香水原料としても用いられており、精油ではなくアブソリュートも香料として使われているそう。インドではサンダルウッドと組み合わせた香水もよく用いられているようです。重く主張が強い香りのため好き嫌いも分かれますし、希釈して少量使うと比較的親しみやすく独特のフルーティーさが楽しめます。
ただし取扱が難しい精油ですので、初心者の方であれば無理をして取り入れる必要は全くありません。芳香利用でも濃度が濃いと悪影響を及ぼす危険性がありますから、香りが好きという方であっても注意して使うようにしましょう。
基本データ
- 通称
- タジェット(Tagetes)
- 別名
- タジェティーズ、マリーゴールド(Marigold)
- 学名
- Tagetes patula/Tagetes minuta/Tagetes glandulifera
- 科名/種類
- キク科コウオウソウ(マンジュギク)属/一年草
- 主産地
- エジプト、インド、フランス
- 抽出部位
- 花、葉
- 抽出方法
- 水蒸気蒸留法(※溶剤抽出も有)
- 色
- 黄色~オレンジ色
- ノート
- トップ~ミドルノート
- 香り度合い
- 中~強い
- 代表成分
- タジェトン、trans-β-オシメン、吉草酸、リモネン
- おすすめ
- 芳香浴・スキンケア(※使用に注意が必要)
濃いハーブ調の中に柑橘系のフルーティーさが加わった、強く重い香り
こんなお悩みにオススメ
【精神面】
- ストレス・神経疲労
- 不安・パニック
- イライラ・ヒステリー
- 気持ちを落ち着けたい
- リラックスしたい
【肉体面】
- 咳・気管支炎
- 下痢の緩和
- 風邪予防
- タコ・魚の目ケア
- 虫除けとして
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タジェットに期待される効果・効能
心への作用
タジェットの香りには鎮静作用があると考えられています。ストレスや精神的な疲れ・不安を和らげることでリラックス効果が期待できるほか、パニック・怒り・ヒステリーなど感情的になっている状態を落ち着けるのにも適していると言われています。気持ちを落ち着けることで意識をクリアにする働きも期待できますね。
体への作用
あまり身体の調子をサポートするような目的で使われることはありませんが、鎮静・鎮痙作用があるとされているため痙攣性の咳や下痢の緩和に良いと考えられています。そのほか抗菌・消毒作用から風邪予防に、月経促進作用による月経不順・無月経の緩和などに良いとする説もあります。
その他作用
肌への働きかけ
抗菌・抗真菌作用や皮膚(角質)軟化作用が期待できることから、タコや魚の目のケアに良いと射されています。また第一次世界大戦事には怪我の治療や感染症予防に取り入れられていたこともあり、傷の手当(傷口の消毒)に良いとする説もあります。
※化粧品に使われていることや、乾燥肌や皮膚炎症に良いとする説もありスキンケア向きの精油と思われがちですが、タジェットは作用が強く皮膚感作性や光毒性(光感作性)があることから気軽に利用できる精油ではありません。タジェット精油を含む商品を使わずご自身で利用する場合は、使用時には低濃度に希釈してパッチテストを必ず行いましょう。お顔など皮膚が薄い部分への利用は控えることをおすすめします。
虫除けとして
タジェットは伝統的に殺虫剤としても用いられており、精油の場合も蚊・ハエ・ノミ・ゴキブリなどに対する虫除け剤として役立つと言われています。作用が強い精油ですので小さいお子様や妊娠中の方などがいるご家庭には適しませんが、芳香剤を兼ねて玄関や収納奥などに香らせると良いでしょう。光毒性があるため外出時の虫除けスプレーなど肌に付きそうなものには使わないほうが無難です。
タジェットの利用について
相性の良い香り
軽めの印象を持つ柑橘系・樹木系の香りと比較的組み合わせやすいです。タジェット精油は作用だけではなく香りも強いのでごく少量を加える程度、少し物足りないくらいで丁度良いでしょう。
【タジェットのブレンド例】
- リラックスに⇒クラリーセージ、ベルガモット、ラベンダー
- 殺菌・空気浄化に⇒レモン、ミルラ、カユプテ、ジュニパー
- 虫除け兼芳香剤に⇒シトロネラ、レモングラス、ユーカリ
- フットケアに⇒サンダルウッド、フランキンセンス、パイン
タジェット精油の注意点
- 妊娠中・授乳中の方、お子様への利用は出来ません。
- 大量または長期間の使用は避けましょう。
- 肌が弱い方・アレルギーのある方は皮膚利用を避けてください。
- 光毒性があるため、使用後は直射日光などの紫外線を避けましょう。
- アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
- 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。