【アロマ】オポパナックス/スイートミルラ精油
-植物の特徴・期待される効果効能とは?

【アロマ】オポパナックス/スイートミルラ精油<br />-植物の特徴・期待される効果効能とは?

ミルラと似た香り&同様の働きが期待

オポパナックスはミルラと同じカンラン科コンミフォラ属に分類される樹木の樹脂(樹液)が原料。別名「スイートミルラ」とも呼ばれるようにミルラに似た、ミルラよりもややムスク系で甘い印象のある香りが特徴です。ミルラと同じ様な働きを持つのではないかと考えられ、メンタルサポートや瞑想時の香りなどにも使われていますが、作用についての研究は少なく民間療法での言い伝え以上のことは分からないため注意が必要。

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オポパナックス(スイートミルラ)とは

オポパナックスの特徴・歴史

舌を噛みそうなオポパナックスという呼び名、アロマテラピーや精油について興味がある方でもなければ植物なのかさえ怪しい名前ではないでしょうか。その正体はミルラ(没薬)と同じくカンラン科コンミフォラ属(Commiphora)に分類される樹木、もしくはその樹脂のことです。“オポパナックス(Opopanax)”という言葉はラテン語もしくはギリシア語で樹液を意味する“opo”と、Allheal=幅広い治癒力があると思われる植物を意味する“panax”が語源。同じカンラン科にはリナローウッドフランキンセンスなどもありますが、オポパナッックスとミルラは非常に近い種類。別名「スイートミルラ」とも呼ばれるように香りも非常にミルラと似ており、同じような性質・作用を持つと考えられています。

ところでミルラ(没薬)と呼ばれるものは、通常コンミフォラ属のうちCommiphora myrrhaという種の樹脂から収穫されます。オポパナックスの場合、精油の原料としては主にCommiphora erythraeaから採取されたものが使用されていますが、それ以外にもコンミフォラ属のいくつかの種類から採集されている芳香を持つ樹脂がオポパナックスと呼ばれています。さらに、セリ科植物(学名Opoponax chironium)の根部から採油されるオポポナックスという精油もあります。元々オポパナックスはセリ科植物の精油が利用されていたようですが、現在はカンラン科樹脂から抽出された精油のほうがポピュラー。このあたりが“オポパナックス”という精油・香料の紛らわしさの原因という声もあるのだとか。

呼び名の由来が樹脂+万能薬と考えられていることもあって、オポパナックスは古くから薬用としてや宗教儀礼に用いられてきたと推測されています。古代ギリシアやローマではミルラと同じく「聖なる薫香」として扱われてきたのではないか・ソロモン王が愛した芳香であるという見解もありますが、古代の文献でオポパナックスまたはスイートミルラと呼ばれているものは同属別種の樹脂だったという指摘もあり混沌としています。セリ科のOpoponax chironiumもオポパナックスですし、古くはスイートミルラや“Hercules-all-heal”などと呼ばれていたことが分かっていますから、こちらの可能性の方が高そうな印象もありますね。

オポパナックス(Commiphora erythraea)の樹木はソマリアやナミビアなどのアフリカ諸国で多く育てられており、採取された樹脂がヨーロッパに出荷されて精油の蒸留が行われています。抽出されたオポパナックス精油はオリエンタル系香水の原料・揮発保留剤として利用されているほか、お酒などのフレーバーにも使用されています。精油はスイートミルラ=甘い没薬と表現されているように、ミルラよりもシャープやさ薬っぽさの少ない香りが特徴。その分バルサミック感が強く、人によってはプラスチックのような香りと感じることもあるようなので商品・好みによっても印象が大きく異るのかもしれません。また、オポパナックスは日本では流通量の少ないマイナーな精油。偽和、もしくは商品名として「スイートミルラ」と銘打っているだけの場合もあることが指摘されているため注意が必要です。

香料原料データ

通称
オポパナックス(Opopanax)
別名
オポポナックス、スイートミルラ(Sweet Myrrh)、ビサボールミルラ(bisabol myrrh)
学名
Commiphora ssp.
(Commiphora erythraeaCommiphora guidottiiなど)
科名/種類
カンラン科コンミフォラ属(ミルラノキ属)/低木
主産地
ソマリア、ケニア、エチオピアなど
抽出部位
樹脂
抽出方法
水蒸気蒸留法
淡黄色~黄褐色
粘性
中~やや高め
ノート
ベース~ミドルノート
香り度合い
中~強
精油成分
β-オシメン、α-サンタレン、α-ビサボレン、α-ビサボロール、ベルガモテン、サンタロールなど
おすすめ
芳香浴・アロマバス・マッサージ・スキンケア・ヘアケア・湿布

ミルラよりもムスク系の甘さを感じる、バルサミックな香り

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オポパナックス精油に期待される働き・効能

精神面への作用と効果

オポパナックスは香りだけではなくミルラと近い働きが期待されている精油であり、ストレスや不安を和らげることで気持ちを整える手助けをしてくれると考えられています。鎮静作用と刺激高揚作用、両方の作用を持ち合わせることで心のバランスを整え、明るさや前向きさを取り戻す手助けをしてくれる精油の一つに数えられることもありますよ。ストレスや疲労などによって疲れてしまった心の回復に、無気力状態のときや頑張りすぎてしまった後に虚脱感がある時に自分を立て直す手助けとして香らせてみても良いかもしれません。

また、オポパナックスは聖書にある『ソロモンの歌』で歌われている没薬であるという見解があり、儀式の薫香の主要成分の一つとして使用したのではないかという声もあります。カンラン科樹木から採集される芳香性樹脂は古くより宗教的なシーンで用いられてきたことと合わせて、瞑想時の香りとしてや、霊的なパワーを高めたい時にオポパナックスを香らせるという方もいらっしゃるのだとか。スピリチュアルなパワーについては証明できませんし感じ方も人によって異なりますが、何となく神秘的な印象の香りではありますね。

肉体面への作用と効果

産地ソマリアではオポパナックスを伝統的に胃のケアに用いていたと伝えられています。精油も鎮静作用によって筋肉の強張りを和らげる働きが期待できるほか、胃腸を整える働きを持つのではないかと考えられ、食欲不振・胃痛・消化不良・お腹の張り・便秘・下痢など消化器系の不調の緩和に活用される事があります。筋肉を弛緩さる働きがあることから筋肉痛や関節痛の緩和にも取り入れられているようです。

また、呼吸器系の粘膜を乾燥させる作用があるとして咳・気管支炎・のどの痛みなど呼吸器系の症状に役立つという説もあります。オポパナックスもミルラ同様に殺菌消毒作用を持つという声もあり風邪予防をはじめ、歯肉炎・口内炎・歯槽膿漏など口腔・歯茎のトラブル緩和などにも効果が期待されています。しかしオポパナックス(スイートミルラ)精油や抽出物の有効性や作用秩序についての研究はほどんとなく、語られるのは伝統医療・民間療法上の効能というのが現状。過度な期待は避け、香りを楽しむために用いるのが無難でしょう。

その他に期待される作用

皮膚利用について

オポパナックスはミルラと類似した性質・作用を持つと表現されることから、スキンケアにも使用されています。抗菌・抗真菌・消毒作用を持つと考えられることからニキビ予防・水虫(白癬)などの皮膚感染症予防に用いられている他、抗炎症性によって痒みを伴う肌荒れや乾燥肌ケアに良いのではないかという説もあります。昔は傷薬や皮膚軟膏に使われていたそうです。

しかしオポパナックスは皮膚感作性が高いことが指摘されている精油であり、ベルガモットと同じ光毒性のあるフロクマリン類(ベルガモテン)も含まれています。肌の弱い方であれば皮膚炎症を起こす原因ともなりますし、使用後に紫外線を浴びるとそれを吸収して皮膚にダメージを与える恐れがあるのです。オポパナックスの皮膚に対する利点についても研究により可能性が示唆されているものではありませんので、不安がある場合は使用を避けたほうが確実です。個人的にはミルラやフランキンセンスなど使用している方が多い精油を選ぶことをお勧めします。

オポパナックスが利用されるシーンまとめ

【精神面】

  • ストレス・緊張
  • 不安・恐怖感
  • 落ち込み・抑うつ
  • 気力の衰え・無気力
  • 明るい気持ちになりたい
  • 前向きになりたい

【肉体面】

  • 下痢・腹部膨満
  • 胃痛・消化不良
  • 筋肉痛や関節痛
  • 風邪の予防・緩和に
  • 咳・痰・気管支炎
  • 水虫・ニキビ予防に

オポパナックスの利用と注意点について

相性の良い香り

オリエンタルな印象のある濃厚な香りと組み合わせると互いの良さを活かせます。強く濃厚な香りが苦手な場合であればフランキンセンスなど軽めの樹脂系、もしくは樹木系精油とブレンドするとライトな印象になります。

オポパナックスのブレンド例

オポパナックス精油の注意点

  • 妊娠中・授乳中の使用、小さいお子さんへの使用における安全性は断定されていません。
  • 感作作用が指摘されている精油です。低濃度に希釈して使用し、敏感肌の方は芳香浴の場合でも注意して使用してください。
  • 光毒性があります。肌への使用後は直射日光などの紫外線を避けるようにしてください。

オポパナックスの精油は揮発に伴い粘度を増していきます。キャップが固まり開きにくくなりますので、使わない場合でも時折キャップを緩めてあげると良いでしょう。あまり大量に購入せず、少量ずつ買って使用していくのがおすすめです。

  • アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
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参考元