複雑なニュアンスの香りから、香水作りには重宝
カーネーションとは
母の日に贈る花として日本でも馴染み深いカーネーション。その可憐な姿から、もちろん母の日以外にも観賞用・ギフト用として広く親しまれていますね。母の日にカーネーションを贈るのは20世紀初頭にアンナ・ジャービス亡き母を追悼するために白いカーネーションを用いたことが始まりと言われています。現在は赤いカーネションを贈るのが主流になっており、花言葉も“母の愛・母への愛”と母の日にちなんだものが知られています。逆に起源とされる白いカーネションや黄色・濃い赤・まだら模様などは、花言葉の中に不吉な言葉があることから避けたほうが良いとも言われているそう。
カーネーションは原産地である地中海沿岸地域で古くから愛され続けてきた、歴史ある花でもあります。古代ギリシア時代には既に栽培されており観賞用のほか香料・食用としても用いられたのではないかと考えられています。ギリシャ神話では美しい女性が生まれ変わった花とされているそうですし、キリスト教の中でもイエス・キリストの処刑時に聖母マリアが落とした涙から咲いた花という伝説もあります。またイスラム世界でもバラ・チューリップと共に愛好され、アラベスク模様の中にも使われているそうです。
現代日本では恋愛運アップの花とも言われ、特に女性に好まれているカーネーション。香料としてもどちらかというと女性向けの商品に用いられることが多いように思います。ちなみにカーネーションアブソリュートの原料として用いられるのは香料用品種ではなく、観賞用としても親しまれている花。…と言うとカーネーションオイルも入手しやすいように思いますが、採油率が0.02~0.03%と極めて低いため非常に高価で希少な存在。甘みのあるフローラル感・クローブのようなスパイシー感・草のようなグリーン感を併せ持つ、濃厚な香りは香水業界からも高く評価されています。そのほか高級石鹸や化粧品の香り付けなどにも用いられており、小売としての流通はあまりありません。
カーネーションオイルはアブソリュート(溶剤抽出)ですし、高価で流通も少ないことからアロマテラピーなどでの利用はほとんど行われていません。そのため情報が少なく作用や効果については不明点が多いと言われており、欧米でも芳香を楽しむ用途で用いられることがほとんど。日本ではアロマテラピーそのものが特定の効果を標榜するものとして認められていませんので大きな違いはありませんが、皮膚刺激などの心配が高いので芳香浴・フレグランス作りなど以外には使わないようにしましょう。
基本データ
- 通称
- カーネーション アブソリュート(Carnation Abs.)
- 別名
- 麝香瞿麦(ジャコウナデシコ)、和蘭石竹(オランダセキチク)、和蘭撫子(オランダナデシコ)
- 学名
- Dianthus caryophyllus
- 科名/種類
- ナデシコ科ナデシコ属/多年草
- 主産地
- エジプト、フランス
- 抽出部位
- 花
- 抽出方法
- 溶剤抽出法
- 色
- 濃いオレンジ~茶色
- 粘性
- 高め
- ノート
- ミドルノート
- 香り度合い
- 強い
- 代表成分
- 脂肪酸類、安息香酸ベンジル、サリチル酸ベンジル、リナロール、シトロネロール
- おすすめ
- 芳香浴
フローラル調だが、グリーン感やスパイシーさを含む濃厚な香り
こんなお悩みにオススメ
【精神面】
- ストレス・神経疲労
- 不安・緊張・憂鬱感
- リフレッシュしたい
- 気分を高めたい
【肉体面】
- 食欲不振・消化不良
- お腹が張っている時に
- ストレス性の不調に
- 虫除けとして
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カーネーションに期待される効果・効能
心への作用
生花よりも主張が強いため好き嫌いは分かれますが、とても複雑ながら芳醇で温かみのあるカーネーションの香りは気分をスッキリとさせることでストレスを緩和する働きが期待されています。ストレスを軽減したり気持ちの切り替えを助けることで、気持ちの落ち込みや不安・緊張・疲労感などを癒やしてくれる香りとされています。また結果として気持ちを高めることに繋がるためか、催淫・興奮剤として役立つという説もあります。
体への作用
カーネーションの香りは消化器系に働きかけ食欲を高めたり、消化不良の改善をサポートする働きがあるとされています。腹部膨満感(お腹にたまったガス)の軽減にも良いと言われています。ただし消化器系へのサポートが期待される成分の含有比はさほど高くありません。どちらかと言うと精神的な“癒やし”によるストレス軽減用と考えたほうが無難でしょう。
その他作用
虫除けに
安息香酸ベンジルやオイゲノールを含むことから虫除け効果があると考えられています。非常に高価な精油(アブソリュート)ですからカーネーションオイルを使って虫除けを作るというのは現実的ではありませんが、香水やルームフレグランス作りなどの際に+αの要素として考慮してみても良いかもしれません。
カーネーションの利用について
相性の良い香り
フローラル系・柑橘系との相性が良いとされています。香水業界では「香り全体を引き締め奥行きを出す」と言われいるそうですし、どの系統とも比較的ブレンドしやすいのでいつものブレンドに少量加えてみるという使い方もオススメです。
【カーネーションのブレンド例】
- 気分を高めたい⇒レモン、グレープフルーツ、チュベローズ
- 安心感が欲しい⇒ゼラニウム、ベチバー、サンダルウッド
- 胃腸の不快感軽減に⇒オレンジ、コリアンダー、パチュリ
- 女性らしい香り作り⇒ローズ、イランイラン、クラリセージ
カーネーション・アブソリュートの注意点
- 妊娠中・授乳中の利用は避けましょう。
- 皮膚刺激が強いため肌への利用は控えましょう。
- アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
- 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。