スパニッシュセージ(ラベンダーセージ)とは
スパニッシュセージはスペインから南フランスにかけての地域が原産とされているセージの一種で、コモンセージ(S. officinalis)よりも花・葉は小ぶりですが強い香りを持っています。ヨーロッパではコモンセージと共にハーブ・香料原料などによく利用されています。特に名前にも付けられているとおり原産地であるスペインではこちらの方をよく使い、料理に使うセージと言えばスパニッシュセージなのだとか。またスペインでは自然療法・民間療法においてラベンダーに変わる万能ハーブとしても活用されてきたそうです。
日本では単に「セージ」と呼ぶ場合はコモンセージを指すことが多いですし、アロマテラピーなどではクラリセージの利用率が高いため、ハーブとしても精油としてもややマイナーな存在になるかもしれません。スパニッシュセージは香りがラベンターに似ているとして「ラベンダーセージ」という別名も付けられています。学名(種子名)にも“lavandulifolia”が使われていますね。
ただし日本で園芸植物として流通している「ラベンダーセージ」は、香りではなく花の形状がラベンダーに似ている“Salvia cv. Indigo Spires(サルビア インディゴスパイヤー)”という品種の可能性が高いでしょう。インディゴスパイヤーはブルーサルビア(S.farinacea)の園芸品種で、英名ではIndigo spires sageと呼ばれています。日本ではラベンダーセージとしてこちらが定着しているため、Salvia lavandulifoliaはスパニッシュセージと呼んで区分するのが一般的となっています。
ラベンダーに似た香りを持つとも言われているスパニッシュセージですが、真正ラベンダーの香りの様なフローラル感はほとんどありません。スパイクラベンダーやスパニッシュラベンダーなどに似た、少しツンとしたシャープな香りです。スパイクラベンダーの代用品や偽和剤として利用されることもあるようです。そのほかローズマリーに似た香りと称されることもあります。
日本ではさほど馴染みのないハーブですが、スパニッシュセージの精油は香水・石鹸などのバス用品、食品・飲料類など様々に活用されています。刺激製はさほど高くないと考えられていますので、コモンセージの精油よりは扱いやすい精油です。清涼感のあるシャープな香りでクセもないため、清潔感や爽やかさを演出したい時のブレンド用としても役立ってくれるでしょう。
基本データ
- 通称
- スパニッシュセージ(Spanish sage)
- 別名
- ラベンダーセージ(Lavender sage)
- 学名
- Salvia lavandulifolia
- 科名/種類
- シソ科サルビア属/小低木
- 主産地
- スペイン、フランス
- 抽出部位
- 葉(※花・茎など地上部全体を使うものも有)
- 抽出方法
- 水蒸気蒸留法
- 色
- 無色~淡黄色
- ノート
- ミドル~トップノート
- 香り度合い
- 中~強め
- 代表成分
- 1.8シネオール、カンファー、カンフェン、α-ピネン、β-ピネン、リモネン
- おすすめ
- 芳香浴
ややカンファー感を含む、爽やかなハーブ調の香り
こんなお悩みにオススメ
【精神面】
- ストレス・神経疲労
- 緊張・興奮時に
- 気持ちの落ち込みに
- リフレッシュしたい
- やる気がでない時
- 集中力が欲しい時
【肉体面】
- 風邪予防や初期症状時
- 喉や鼻の不調に
- 花粉症の軽減に
- 血行不良・むくみ
- 関節痛・神経痛の軽減
- ニキビ・傷のケアに
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スパニッシュセージ(ラベンダーセージ)に期待される効果・効能
心への作用
スパニッシュセージは1,8-シネオールとカンファーの含有量が高く、スッキリとした清涼感ある香りが特徴的です。このため頭をスッキリとさせることでリフレッシュ用に役立つと考えられています。集中力や記憶力向上に役立つという説もあるようです。
加えてα-ピネンやリモネンなど鎮静・リラックス作用が期待される成分もスパニッシュセージには含まれています。リフレッシュと合わせて神経疲労や緊張・興奮の緩和、ストレス軽減などにも取り入れられています。精神的に疲れてしまってやる気が出ない時・気分が落ち込んでいる時などに、立ち直るためのサポート役として香らせてみても良いでしょう。
体への作用
スパニッシュセージに比較的多く含まれている「1,8-シネオール」は抗菌・抗ウィルス作用や抗炎症作用があるとされ、風邪やインフルエンザ予防をはじめ喉の不調や花粉症軽減など呼吸器系のトラブル軽減に効果が期待されています。
またケトン類に含まれるカンファーも多用すると神経毒性があるため注意が必要とされる一方、強心作用による血行促進効果や鎮痛・消炎作用などがあると考えられています。この働きから血行不良による肩こりや腰痛などの筋肉のこわばり・痛み、関節痛・神経痛・リウマチなどの緩和に役立つと言われています。1,8-シネオールの働きと相乗して風邪の初期症状ケアなどにも効果が期待できるでしょう。そのほか利尿作用があり、むくみの軽減に良いとも言われています。
女性の体への働きかけ
スパニッシュセージもクラリーセージやコモンセージと同じく、通経作用があり月経不順や無月経の改善に役立つという説もあります。ただし精油の成分分析表上は通経作用を持つと考えられる成分が含まれていない、もしくは微量である可能性が高いのであまり期待はしないほうが良いでしょう。妊娠中・授乳中の利用がNGとされるのはケトン(カンファー)の含有が高いことが大きいと考えられます。
その他作用
肌への働きかけ
抗菌・抗炎症作用があるとされており、切り傷などの手当や、ニキビ・湿疹などの肌トラブル緩和に役立つと考えられています。ただし皮膚刺激性は低いとは言われているものの、カンファーなどを含んでいますから特に理由がない限りは皮膚利用を避けた方が確実でしょう
スパニッシュセージ(ラベンダーセージ)の利用について
相性の良い香り
ハーブ系、ウッティー系の香りと相性が良いとされています。スパニッシュセージと似た、爽やかな印象のある精油同士でブレンドすると失敗しにくいでしょう。
【スパニッシュセージのブレンド例】
- ストレス対策に⇒ラベンダー、シトロネラ、クラリセージ
- 集中力を高めたい⇒ローズマリー、ラバンジン、レモン
- 風邪予防に⇒ユーカリ、シダーウッド、ロザリーナ
- 血行不良・むくみに⇒ジュニパー、パイン、ヒノキ
スパニッシュセージ精油の注意点
- 妊娠中・授乳中の方、癲癇の方は使用を避けましょう。
- 使用量や使用時間は控えめに設定するようにしてください。
- アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
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