ホワイトチャンパカ/マグノリアとは
フローラルな香りから女性を中心に一部で根強い人気があり、香水や石鹸などにも使われているホワイトチャンパカ。呼び名の通りモクレン科オガタマノキ属に分類される常緑高木で、チャンパカ(キンコウボク/学名Michelia champaca)の近縁種です。断定はされていないもののチャンパカとミケリア・モンタナ(Michelia montana)の交雑種と考えられていますから、かなり種として近い存在と言えますね。和名も黄色~黄褐色の花をつけるチャンパカを“金”に見立てて金厚朴と呼ぶのに対し、白い花を付けるホワイトチャンパカは“銀”に見立てて銀厚朴(ギンコウボク)と呼ばれています。ギンコウボクの木は日本で沖縄県でのみ見ることが出来ると言われていますが、実は新宿御苑ほか植物園でも植えられているところがありますよ。
呼び名や種子名の由来ともなっている白い花と、生花の状態でも強く香るフルーティーな香りがホワイトチャンパカの特徴。原産地であるアジアの熱帯・亜熱帯地域ではその香りから観葉植物としても人気があり、中国では茶葉にホワイトチャンパカの香りを移した「白蘭花茶」も愛されているそう。中国では花を薬用利用していそうですし、エッセンシャルオイルも民間医薬のような形で利用している地域もあるようですが、世界的に見るとホワイトチャンパカの精油は香水・化粧品類などの“香料”として使われることが多い存在。
フローラル調の香水をはじめ、室内芳香剤・フレグランスキャンドル・石鹸類・入浴剤・ヘアケア製品など用途は様々。反面アロマテラピーなどの自然療法で使われることは少なく、何らかの効果を期待してよりも心地よい香りを楽しむために利用されることが主体となっています。成分・伝統的使用法などから期待されている作用はありますが、過度な期待は避けたほうが良いでしょう。
マグノリアオイルについて
マグノリアという名称で日本でもいくつか精油(エッセンシャルオイル)・アブソリュートが販売されていますが、実際に香りを確かめずにインターネットなどで購入すると予想と全く違う香りのオイルが届くことがあります。これはマグノリアという名称はモクレン科モクレン属の属名Magnoliaをそのままカタカナにしたものであり、広義ではモクレン属に含まれる植物の総称として使われているため。このため泰山木(タイサンボク/学名:Magnolia grandiflora)や木蓮(モクレン/学名:Magnolia liliflora)などもマグノリアに含まれます。
対してホワイトチャンパカ(ギンコウボク)は一般的にはオガタマノキ属と別属に分類されていますが、オガタマノキ属をモクレン属に統合する見方もあるためこちらもマグノリアオイルで間違いはありません。稀にではありますが、同じ理由からチャンパカもマグノリアオイルとして販売されていることもあります。こうした別種の植物から抽出されたオイルがすべて“マグノリアオイル”として販売されている状態のため、香りにもかなりバラツキがあると言われています。花を原料とするのは同じですが、抽出方法としても水蒸気蒸留と溶剤抽出がありますね。余談ですが花からではなく葉から抽出されたマグノリアリーフと呼ばれる精油もあります。
マグノリアフラワーと呼ばれるオイルのうち、泰山木や木蓮からはアブソリュート、ホワイトチャンパカからは水蒸気蒸留で抽出されることが多いとは言われていますが、それ以外の方法で抽出されたものもありますので学名・抽出法をしっかりと確認してから購入するのが確実でしょう。ちなみに泰山木や木蓮を原料としたものはグリーン感のある上品なフローラル調の香りでお値段やや高め、ホワイトチャンパカ(ギンコウボク)はフルーティーさの強いエキゾチックなフローラル調の香りで価格はややお安めと言われています。ホワイトチャンパカは交雑種と考えられているだけに、チャンパカと似た印象がある香りです。
基本データ
- 通称
- ホワイトチャンパカ(white champaca)
- 別名
- マグノリア(Magnolia)、ホワイトマグノリアフラワー(White Magnolia Flower)、銀厚朴(ギンコウボク)、白玉蘭(ハクギョクラン)
- 学名
- michelia alba(Magnolia × alba)
- 科名/種類
- モクレン科オガタマノキ属/常緑高木
- 主産地
- 中国、インドネシア、インド、フィリピンなど
- 抽出部位
- 花
- 抽出方法
- 水蒸気蒸留法
- 色
- 淡黄色~淡黄緑色
- ノート
- トップ~ミドルノート
- 香り度合い
- 中くらい
- 代表成分
- リナロール、DL-2-メチル酪酸メチル、β-エレメン、β-カリオフィレン、メチルオイゲノール、trans-α-ベルガモテン、β-オシメンなど
- おすすめ
- 芳香浴・アロマバス・マッサージ・スキンケア・ヘアケア
シャンパンのようなフルーティーフローラル感の中にグリーンさを含む香り
こんなお悩みにオススメ
【精神面】
- ストレス・疲労感
- イライラ・不安・緊張
- 気持ちの落ち込み
- 自分に自身が持てない
- 前向きになりたい時に
【肉体面】
- ストレス性の不調に
- 風邪・インフルエンザ予防
- 咳・痰・気管支炎に
- 更年期障害・PMS軽減に
- ニキビ予防に
- 年齢が気になる肌に
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ホワイトチャンパカ/マグノリアに期待される効果・効能
心への作用
ホワイトチャンパカの精油もチャンパカ精油と同様に、気持ちを落ち着けてリラックスを促す働きが期待されています。製造社や産地により異なる可能性はありますが、精油成分の半分以上の割合でリナロールが含まれているため、成分的に見ても鎮静作用や抗不安作用などメンタル面のサポートに役立ってくれると考えられます。ストレスが多く疲労感を感じている時や、神経が張り詰めてイライラしたり不安になっている時に香らせると良さそうですね。
リゾート地を連想するようなフルーティーかつフローラルな香りは心に高揚感をもたらすという説もあり、落ち込んだ心の回復を促す働きも期待されています。前向きさやエネルギーを取り戻したい時や、自信喪失気味の時にも適した香りと言われていますよ。催淫作用(媚薬効果)を持つ精油として性欲不信などの改善に用いられるのも、ストレス軽減やメンタルサポートに起因している部分が大きいようです。
体への作用
ホワイトチャンパカ精油の主成分と言えるリナロールは精神面のサポートのほか、抗菌・抗ウィルス作用を持つとされている成分でもあります。免疫力を高める働きが期待できるとする説もあり、風邪やインフルエンザなどの感染症予防に役立つと考えられています。ホワイトチャンパカ全体としては抗アレルギー・抗炎症作用を持つと言う説もあり、アジアの伝統医療でも風邪による喉や鼻の不調・鼻炎・慢性気管支炎などのケアに利用されてきたと伝えられています。加えてリナロールによる鎮静作用からストレスに起因する不調全般、特にストレスによる影響を受けやすい胃腸トラブルの軽減にも効果が期待されています。
そのほか女性ホルモン(エストロゲン)様作用を持つ・生殖器強壮作用を持つとする説もあります。精神面への働きと合わせて女性のサポートに適した精油とされ、更年期障害やPMS(月経前症候群)に伴う精神的不快感の軽減などに用いられることもあります。成分的にもネロールやゲラニオールなどホルモンへの働きかけを持つ可能性のあるものが含まれてはいますが、含有量としては微量なのでホルモン様作用についてはあまり期待はしないほうが良いでしょう。念の為に妊娠中の方や授乳中の方、小さいお子さんが居る場面での使用は避けてください。
その他作用
肌への働きかけ
水蒸気蒸留されたホワイトチャンパカ・マグノリアフラワー精油はスキンケアに対しても高い効果が期待できる精油としても注目されています。リナロールは抗菌・抗真菌作用があるためニキビ予防効果が期待でき、香りによるメンタルサポートと合わせてストレス性の肌荒れ・ニキビの予防にも役立つと考えられます。
またリナロールは肌に対しても鎮静効果があるとされていることから、肌タイプを選ばずに使用できる精油との声もあるそう。収斂作用を持つとされることと合わせて特に成熟肌のケアに適しているとも言われています。ただし皮膚感作物質であるしているメーカーもありますし、日本では使用者が少なく安全性については分かっていません。初めて使用する場合は注意が必要です。低濃度に希釈して、皮膚の厚い部分からパッチテストを行うようにして下さい。
ホワイトチャンパカ/マグノリアの利用について
相性の良い香り
柑橘系・ハーバル系の精油と比較的組み合わせやすい香りです。オリエンタル調の濃厚な香りがお好きな方であればフローラル系・オリエンタル系の香りとブレンドすると更に奥行きが出ますよ。
【ホワイトチャンパカのブレンド例】
- ストレスケアに⇒ローズ、ベルガモット、カモミール、柚子
- 前向きになりたい⇒グレープフルーツ、チュベローズ、レモン
- 女性のサポートに⇒ゼラニウム、イランイラン、クラリーセージ
- 成熟肌のケアに⇒パチュリー、サンダルウッド、ローズウッド
ホワイトチャンパカ精油の注意点
- 妊娠中・授乳中の方・小さいお子さんへの使用は避けましょう。
- アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
- 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。