ケトン類が多いので取扱には注意
フレンチラベンダーとは
精油としては種子名を使ったストエカスラベンダーやスパニッシュラベンダー、wikipediaではイタリアンラベンダーと、様々な呼び名で呼ばれるフレンチラベンダー。呼び名がたくさんあって分かりにくいですが、これはヨーロッパの地中海沿岸地域を中心に広く自生しているためなのだとか。特徴は花穂の先端に「ウサギの耳のような」と称される二つの花びら(花苞)があることで、他のラベンダーと見分けやすいとも言われています。
フレンチラベンダーは国内流通(小売)が殆どなされていません。というのもまた真正ラベンダーが安全性の高い精油とされているのに対し、フレンチラベンダーはケトン類の含有量が高いため取扱の難しい精油のため。“ラベンダーフランス”などと表記されたフランス産の真正ラベンダーの方が圧倒的に多いものの、稀にフレンチラベンダー(ストエカスラベンダー)も販売されているので購入時には注意するようにして下さい。
ラベンダーの種類について
ラベンダーと呼ばれる精油は数多くしていますが、品種による大きな区分としては
- 真正ラベンダー:Lavandula offinalis/Lavandula angustifolia
- スパイクラベンダー:Lavandula latifolia/Lavandula spica
- フレンチラベンダー/ストエカスラベンダー:Lavandula stoechas
- ラバンジン(ラバンディン)系統:Lavandula hybrida/Lavandula flagrans
の大きく4つに区分されます。
このうちラベンダーとして最もポピュラーなのは香り・作用ともに穏やかで最も扱いやすい種類とされる「真正ラベンダー」で、単にラベンダーと呼ぶ場合はこちらを指すのが一般的です。ラバンジン系統の精油は安価さから真正ラベンダーの代用品・偽和剤として利用されてきましたが、近年は筋肉疲労や関節痛の軽減に優れているとして評価されています。同じく真正ラベンダーの偽和剤として利用されていたスパイクラベンダーも男性的な強い香りや、リフレッシュ効果が高いと考えらることから一つの精油として認められています。
フレンチラベンダーは私達がイメージする「ラベンダー」感が少なく、カンファー感のあるハーブといったフレッシュな香りが特徴。同じラベンダー属というよりは全く別物と言われた方がしっくり来るくらいの違いがあります。植物分類でもラベンダー属は亜種・節と更に細かく分類されていますが、この中で真正ラベンダー・スパイクラベンダー・交雑種であるラバンジンはラヴァンドラ亜種“スパイカ節”になります。対してフレンチラベンダーは”ストエカス節”に区分されていますから、香り・成分の違いも納得ですね。
基本データ
- 通称
- フレンチラベンダー(French Lavender)
- 別名
- ストエカスラベンダー(Stoechas Lavender)、スパニッシュラベンダー(Spanish Lavender)、トップドラベンダー(topped lavender)
- 学名
- Lavandula stoechas
- 科名/種類
- シソ科ラヴァンドラ属/半木本性植物
- 主産地
- ヨーロッパ(スペイン、ポルトガル、フランスなど)
- 抽出部位
- 花
- 抽出方法
- 水蒸気蒸留法
- 色
- –
- ノート
- ミドルノート
- 香り度合い
- 中~やや強い
- 代表成分
- フェンコン、カンファー、δ-3-カレン、1,8-シネオール、α-ピネン
- おすすめ
- 芳香浴(※ごく少量ならばアロマバス・マッサージ)
カンファー感のあるハーバルな香り、ラベンダー感は薄い
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フレンチラベンダーに期待される効果・効能
下記では成分などから期待されている効能をご紹介しますが、フレンチラベンダーは神経毒性のあるケトン類を多く含むため専門家以外は使用をしないほうが良いという見解も多い精油です。痩身目的での需要が高まっているとも言われていますが使用する場合は知識のあるセラピストに施術してもらう・ホームケアで利用する場合もアトバイスして頂いて使用することをお勧めします。
心への作用
フレンチラベンダーは鎮静作用に優れた真正ラベンダーとは逆に、刺激作用によって気持ちを高めて前向きさを与える・心を強く持たせる働きがあると考えられています。香りとしてもツンとするようなカンファー感がありますから、リフレッシュ用や気合を入れ直して頑張りたい時に適した印象ですね。
体への作用
フレンチラベンダーは殺菌・抗菌作用やケトン類による粘液溶解・去痰作用などが期待できることから、風邪予防や咳・気管支炎などの呼吸器系トラブルの改善に有効と考えられています。また循環器系への刺激作用や利尿作用があるとも言われており、むくみ対策や肥満予防などへの効果も期待されています。
しかしケトン類は有益な働きがある反面、毒性物質でもありますからデイリー使いに適しているとは言えないでしょう。自己判断で使用する場合は、抗菌用として少量をタンスやクローゼットに入れる程度にしておくと確実です。
その他作用
皮膚利用について
フレンチラベンダーに多く含まれているフェンコンやカンファーなどのケトン類は胆汁分泌促進や脂肪溶解作用などがあると考えられていることから、ダイエット効果が期待されている成分でもあります。サロンによっては痩身マッサージなどに取り入れているところもあるそうですし、欧米では自己マッサージやバスオイルとして使っている方もいらっしゃるようですが、セルフケア用としての使用はお勧めできません。
フレンチラベンダー精油は真正ラベンダーとは異なり肌に直接付けることは出来ませんし、また適度に希釈した場合でも炎症を起こす可能性もあります。成分的にみると抗炎症作用や治癒促進などにも効果が期待できることになると言われていますが、同じような作用が期待されており使用しやすい真正ラベンダーやカモミール・ジャーマンなどを使うようにしましょう。
フレンチラベンダーの利用について
相性の良い香り
柑橘系の香りと相性が良く、ハーブ系もしくはハーバル感の強いフローラル系・樹木系の香りとも組み合わせやすい香りです。
【フレンチラベンダーのブレンド例】
- リフレッシュ・強壮⇒パルマローザ、パイン、ベルガモット
- 風邪予防・空気浄化⇒ローズマリー、スパニッシュセージ
- 冷え・むくみケアに⇒レモン、柚子、ゼラニウム
- 防虫・消臭剤として⇒シトロネラ、コリアンダー
フレンチラベンダー精油の注意点
- 妊娠中・授乳中の方、小さいお子さんへの利用は出来ません。
- 持病のある方は医師に相談のうえ利用して下さい。
- 神経毒性のある成分を含むため、多量・長期間の連続使用は避けましょう。
- アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
- 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。