シベリアモミ(シベリアンファー)とは
シベリアモミは名前の通りシベリア原産の樹木で、ロシア・中国・トルコ・モンゴル域に分布しています。ロシアでは“伝統療法の万能薬”とも呼ばれ、森のお医者さんなんていう別名も付けられているそうです。私たちに最も馴染みのあるシベリアモミの紹介としては「クリスマスツリー」ではないでしょうか。諸説ありますが、シベリアモミは殺菌作用があることから冬場に風邪予防も兼ねて飾られており、後に飾り付けをしたクリスマスツリーを置くことがメインになったという説もあります。
ただしクリスマスツリーとして使われている木の起源や種類については諸説ありますし、使われているもの全てがシベリアモミという訳ではありません。北ヨーロッパでよく見られるシルバーファーを始めとした様々なモミ科の樹木が利用されています。また“ファー(fir tree)”というのもモミ属の樹木の総称ですし、ファーニードルというもの針状の葉を指す言葉厳密にどれかの品種を指す言葉ではありません。
モミ系精油の種類について
精油原料として利用されている樹木もモミ属には数多く存在しており、モミ属の樹木(針葉)から採油されたオイルを総称して「アビエスオイル」と呼ぶこともあります。このうち香料としてはアメリカ大陸産のバルサムファー(学名:Abies balsamea)・ヨーロッパ原産のシルバーファー(学名:Abies alba)の2種が高く評価されており、日本でアビエスオイルはシベリアファーが使われている事が多いようです。
モミ属の精油は同じ呼び名で流通しているものもありますが、もちろん原料によって芳香成分・香りには差があります。メジャーなところで言うとバルサムファーは甘みのある爽やか系、シルバーファーは若干バルサム感があり温かい印象があると言われています。そのほかグランディスモミ(Abies grandis)はクリスマスツリーに最も近い香り、近年和精油として注目されているトドマツ(学名:Abies sachalinensis)は爽やかで力強い香りと称されています。これら精油は全て“モミの木の精油”として販売されていることもありますから、に入った香りがある場合などは商品名だけではなく学名を確認するようにすると失敗が少ないでしょう。
シベリアファーはややカンファー感があり、ファー系精油の中でもスッキリ感が強い部類であると称されています。そのため香料としては特にメンズコロンやシェービングクリームなどの男性用化粧品に使われることが多いとも言われています。海外では香りそのものと実益を兼ねて、お部屋のリフレッシュナー用としても人気があるようです。
基本データ
- 通称
- シベリアモミ(Siberian fir)
- 別名
- シベリアンファー、シベリアマツ、Fir needle(ファーニードル)
- 学名
- Abies sibirica
- 科名/種類
- マツ科モミ属/常緑針葉樹
- 主産地
- ロシア
- 抽出部位
- 球果(※葉を使う場合も有)
- 抽出方法
- 水蒸気蒸留法
- 色
- ほぼ無色~淡黄色
- ノート
- ミドルノート
- 香り度合い
- 中くらい
- 代表成分
- α-ピネン、リモネン、カンフェン、酢酸ボルニル、δ-3-カレン、β-フェランドレン
- おすすめ
- 芳香浴・アロマバス
ほのかに甘さとスパイシーさを含む、サッパリとした森林調の香り
こんなお悩みにオススメ
【精神面】
- ストレス・神経疲労
- 緊張・不安・興奮
- 気持ちを落ち着かせたい
- メンタル強化のサポートに
- 仕事中のリフレッシュに
- 寝付きが悪いと感じる
【肉体面】
- 風邪・インフルエンザ予防
- 呼吸器系の不調緩和に
- 筋肉痛・関節痛・リウマチ
- 血行不良・冷え性
- 殺菌・消毒剤として
- 消臭剤代わりに
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シベリアモミ(シベリアンファー)に期待される効果・効能
心への作用
シベリアモミの精油成分としては他モミ系の精油と同様に、森林浴効果や強壮効果が期待できるα-ピネン・鎮静・リラックス効果があるリモネンなどの含有率が高くなっています。また松脂系の臭いで森林系っぽい香りを構成するために重要な成分とされる酢酸ボルニル(ボルニルアセテート)も鎮静作用があると考えられていますし、睡眠促進への有効性についても報告されています。
こうした精油成分を含んでいることとから、シベリアモミの精油は気持ちを落ち着ける働きがあると考えられています。ストレスや緊張・興奮などを緩和して、メンタルバランスを整えるサポートをしてくれるでしょう。加えてスッキリとした香りはリフレッシュにも役立ちますし、ピネン類には強壮作用も期待されていますから、オンオフを問わずストレス対策としても役立ってくれそうですね。
体への作用
「風邪予防に飾ったことがクリスマスツリーの起源」という説もあるように、シベリアモミは高い殺菌作用と消毒作用があると考えられています。殺菌・抗菌作用を持つ成分が多く含まれていますし、α-ピネンやリモネンなど免疫力向上効果が期待されている成分の比率が高いので風邪・インフルエンザ予防に役立ってくれるでしょう。気管支炎など呼吸器系の炎症緩和にも効果が期待されています。
そのほかピネンやリモネンなどのモノテルペン炭化水素類は血行促進作用を持つことで、疲労回復や冷え性の軽減にも有効とされています。加えて酢酸ボルニル(ボルニルアセテート)は緊張緩和や消炎・鎮痛に働きかけるとされていますから、相乗して筋肉痛や関節痛・リウマチなど血液循環不良によって悪化する痛みの緩和にも効果が期待できるでしょう。
その他作用
肌への働きかけ
殺菌・消毒作用があることからニキビなどの肌トラブルや、水虫のケア・傷の消毒などに利用されています。肌を柔らかく保つ作用もあるとされロシアではお顔のスキンケアにも使われているそうですが、モノテルペンの含有率が高く皮膚刺激性が高いことも指摘されています。希釈濃度を守り、使用する場合も石鹸などの香り付けに少量使う程度にしておくと無難でしょう。
お部屋の空気浄化に
シベリアモミはサッパリとした香りと、殺菌・消毒作用が高いことから空気浄化用としてよく使われている精油です。消臭作用や防虫作用もあるとされていますので、お部屋の香り作りだけではなく水回りやゴミ箱などに試してみても良いでしょう。冬場に紹介されることの多い香りですが、夏場のクローゼット内消臭などにも適しています。
シベリアモミ(シベリアンファー)の利用について
相性の良い香り
柑橘系やサッパリとしたハーブ系の香りとブレンドしやすい香りです。似た印象のあるウッディー系の香りを組み合わせると香りに奥行きが出ます。
【シベリアモミのブレンド例】
シベリアモミ精油の注意点
- 妊娠中・授乳中の使用は避けましょう。
- 皮膚刺激の可能性があります。特に敏感肌の方は使用に注意が必要です。
- アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
- 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。