アトピーほかアレルギー性の症状軽減に期待
タナセタム/ブルータンジーとは
タナセタムはモロッコなどで栽培されているキク科植物で、ブルータンジーと呼ばれていますが花自体は黄色をしています。“ブルー”の由来は成分にカマズレン(アズレン誘導体)を含むことで精油がインクのような濃い青色をしているためで、その色・作用から同じくキク科で青色の精油の代表格でもある「ジャーマンカモミール」とよく比較される存在でもあります。香りはさほど似ておらず、カモミールジャーマンとローマンを混ぜて濃縮したような印象です。
タナセタムは属名をそのまま呼び名として用いたもので、精油(エッセンシャルオイル)が採油されている近縁種の代表としては「コモンタンジー(学名Tanacetum vulgare)」があります。鎮痛や免疫刺激作用などがあるとされていますが、刺激性や毒性が強いためアロマテラピーではほぼ利用されません。そのほかフィーバーフュー(学名Tanacetum parthenium、和名ナツシロギク)も同属の近縁種にあたりますが、こちらは精油ではなくハーブティーなどの利用が主となります。そのほかにモロッコタンジーもしくはモロカンタンジーと呼ばれることもありますが、こちらもワイルドカモミール(Chamaemelum mixtum)の別名としての方がよく使われているためあまり使いません。
同属の中で精油として一般的に利用されているのはブルータンジーですから、精油の場合は単に「タナセタム」と読んだ場合でもブルータンジーのことを一般的には指します。コモンタンジーやフィーバーフューをタナセタムと呼ぶことはほとんどありません。ただし園芸植物としては上記を含む同属種をまとめてタナセタムもしくはタンジーが使われています。
タナセタム精油は5mlで10,000円ほどと非常に高価な部類に属し、流通も少ないためメジャーな存在ではありません。しかし近年アトピー性皮膚炎を始めとしたアレルギー性疾患にお悩みの方が増えてくるなかで注目されるようになってきた存在とも言われています。香りも非常に濃厚で、原液のまま嗅ぐと気分が悪くなったり酔いそうになる方もいらっしゃるようです。皮膚トラブルのケアをメインに利用されている精油ですが、使い始めの時は肌と合うか・香りが合うかに注意して低濃度から使いはじめるようにしてください。
基本データ
- 通称
- タナセタム(Tanacetum)
- 別名
- ブルータンジー(Blue Tansy)、Moroccan Blue Chamomile
- 学名
- Tanacetum annuum
- 科名/種類
- キク科ヨモギギク属/多年草
- 主産地
- モロッコ
- 抽出部位
- 全草(葉・花房)
- 抽出方法
- 水蒸気蒸留法
- 色
- 濃い青緑色
- ノート
- ミドルノート
- 香り度合い
- 強め
- 代表成分
- カンファー、サビネン、カマズレン、α-フェランドレン、ミルセン 、β-ピネンなど
- おすすめ
- 芳香浴・アロマバス・マッサージ・スキンケア
フルーティーさを含む、濃厚で甘いハーブ調の香り
こんなお悩みにオススメ
【精神面】
- 神経疲労・ストレス
- 不安・緊張・イライラ
- リフレッシュ用に
- リラックスしたい
- やる気を高めたい
- 冷静さが欲しい方
【肉体面】
- 花粉症や喘息の緩和
- 喉の不調があるときに
- 風邪予防・初期症状ケア
- 筋肉痛のケアに
- 関節炎・リウマチの緩和
- アレルギー・皮膚炎症ケア
- 皮膚の痒みの緩和
- 傷や炎症の治癒促進用に
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タナセタム/ブルータンジーに期待される効果・効能
心への作用
タナセタムの香りにはリラックス作用があるとされています。神経性の緊張やストレスを緩和することで、不安や緊張・イライラなどを和らげて心に安らぎを与えてくれるでしょう。負の感情がわだかまっている時などに適しています。
様々な芳香成分を含んでいますが、含有率の高い成分がジュニパーベリーなどに含まれているのと同じサビネン、次いでカンファーとなっていることからリフレッシュ効果や集中力向上効果なども期待できます。単にゆったりとリラックスするだけではなく、冷静さや前向きさが欲しい時にも役立ってくれるかもしれません。
体への作用
ブルータンジーと呼ばれる所以でもある青色の精油成分「カマズレン」の持つ抗アレルギー作用から、花粉症や喘息などのアレルギー症状緩和に有効とされています。カンファーには去痰・粘膜除去作用が、サビネンには抗菌抗ウイルス・免疫強化作用があるとされていますから相乗効果が期待できますし、風邪などアレルギー以外の呼吸器系の不調緩和にも役立ってくれるでしょう。そのほか筋肉痛や関節炎、リウマチなどの緩和に有効とする説もあります。
その他作用
肌への働きかけ
青色の元であるカマズレンには抗炎症・抗アレルギー・抗ヒスタミン作用があります。このためタナセタムもカモミールジャーマンなどと同じくアレルギー性の皮膚炎症緩和に役立つ精油として、アトピー性皮膚炎や虫刺され・湿疹などのケアに利用されています。特に痒みを伴う炎症に利用されることが多いようです。
皮膚組織再生作用もあるため火傷や傷跡のケアなどにも有効とされています。皮膚炎症を抑えつつ治癒・上皮形成を助けてくれる精油として、主にスキンケア用に利用されています。カモミールジャーマンよりもカマズレン含有率が高いとされていますが、タナセタムはかなり高価で利用者・データも少ない精油ですので初めて利用する場合はカモミールジャーマンから入ったほうが無難ではあるでしょう。
タナセタム/ブルータンジーの利用について
相性の良い香り
ハーブ系・ウッディー系の香りと相性が良いとされています。他グループの香りであってもこの2つのニュアンスを含むものであれば比較的ブレンドしやすいでしょう。
【タナセタムのブレンド例】
- リラックスしたい⇒ローズ、アミリス、ブラックスプルース
- リフレッシュ用に⇒スペアミント、バジル、ローズマリー
- 呼吸器系の不調に⇒ペパーミント、パイン、ヒソップ
- 皮膚炎症のケアに⇒パルマローザ、ラベンダー、ゼラニウム
タナセタム精油の注意点
- 乳幼児・妊娠中や授乳中の方・神経系統が弱っている方やてんかんの方は使用を避けましょう。
- キク科植物にアレルギーがある方・内分泌系に疾患のある方は使用に注意が必要です。
- アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
- 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。