【アロマ】ウインターグリーン精油/冬緑油
-植物の特徴・期待される効果効能とは?

【アロマ】ウインターグリーン精油/冬緑油<br />-植物の特徴・期待される効果効能とは?

刺激・毒性あるため使用には最大限注意

甘いミントのような香りから食品香料としても使われることがあるウィンターグリーンの精油。主成分はサリチル酸メチルという消炎鎮痛成分であることから「湿布のアロマ」と紹介されることもありますが、このサリチル酸メチルは毒性を持つ成分のため使用には注意が必要。適切に使えば筋肉痛やリウマチなどの軽減に役立つ可能性はありますが、専門家以外は使用しないほうが確実な精油の一つです。

ウィンターグリーン

ウィンターグリーンとは

ウィンターグリーンの特徴・歴史

湿布のアロマとして紹介されることもあるウィンターグリーン。湿布の袋を開封した時のような少しツンとする清涼感のある香りもしますが、甘さもあるのでスペアミントなどと似たようなニュアンスもあります。香りの印象としては消毒薬や湿布よりは甘いミント菓子に近く、この甘く爽やかな香りを活かし食品グレードの精油はアメ・ガム・アイスクリームなどのお菓子類の香料としても使われています。大規模な製造の場合は天然精油ではなく合成香料が使われることのほうが多いようですが…。

精油の原料となるウィンターグリーンは、チェッカーベリーとも呼ばれる真っ赤な実が特徴的なツツジ科の植物。一般的にウィンターグリーンとして利用されているのはGaultheria procumbensという種で、別名“アメリカン・ウィンターグリーン(American wintergreen)”や“カナダティー(Canada tea)”とも呼ばれるように北米(北東部)が原産です。ちなみにteaが付くのは古くからネイティブアメリカンやエスキモーの方々が葉を煮出したお茶を飲んでいたため。頭痛・発熱やリウマチなどの痛みを和らげてくれるお茶=現代で言う消炎鎮痛剤として使用していたと伝えられています。そのほか葉を揉むなどして湿布のように使ったり、冬場には実る果実を食べたりもしていたそうですから、生活の一部だったのでしょう。アメリカ大陸に移住した人々にも紅茶の代用品としてウィンターグリーンティーが取り入れられ、現在でもハーブティーの一つとして親しまれています。

ミントっぽい爽やかさと甘さがあるウィンターグリーンの香りは魅力的ですが、アロマテラピーの教本などではバーチホワイトバーチと共に「使用を避けるべき精油」として紹介されていることもあります。これはウィンターグリーンの精油はサリチル酸メチルという非常に強い成分を95%以上含んでおり、毒性・刺激性が高い=取り扱いが難しいため。誤って口にしてしまうと中毒を起こし最悪の場合死に至ることも分かっています。日本では基本的に食用として精油は販売されていませんが、長期間の塗布や吸引でも呼吸困難・胃や腎臓などの内臓機能に障害が起こる可能性が危惧されています。合成サリチル酸メチルが混入された精油があることも指摘されており、そういったものは天然物以上に危険だという指摘も。信頼できる製造元のものを選び、かつ適切に取り扱う必要がある精油だからこそ使用はあまり推奨されないというわけですね。

それほど取り扱いが難しいのにウィンターグリーンの精油が注目されているのは、サリチル酸メチルはアスピリン様作用=抗炎症・解熱鎮痛を持つことが報告されているため。湿布ほか外用消炎鎮痛剤にも消炎鎮痛成分としてサリチル酸メチルが配合されています。このためサリチル酸メチル含有率が高いウィンターグリーンの精油も様々な痛みの緩和、特に筋肉痛やコリ・神経痛の緩和に役立つと注目されているわけです。危険性がある反面期待できる効果も高く、適切に利用すれば合成薬よりも副作用が少ないとの声もあることから、海外ではスポーツをする方やリウマチがある方などがセルフケア用として取り入れているようです。

香料原料データ

通称
ウィンターグリーン(Wintergreen)
別名
姫柑子(ヒメコウジ)、チェッカーベリー(checkerberry)、イースタンティーベリー(eastern teaberry)、ゴーテリア(Gaultheria)など
学名
主にGaultheria procumbens
(アジア産はGaultheria fragmentissimaも)
科名/種類
ツツジ科シラタマノキ属/常緑低木
主産地
カナダ、中国、インド、ネパールなど
抽出部位
葉部
抽出方法
水蒸気蒸留法
ほぼ無色~淡黄色
ノート
トップ~ミドルノート
香り度合い
強い
精油成分
サリチル酸メチル、そのほかリモネンやオイゲノールやなどを微量
おすすめ
マッサージ・湿布・ハウスキーピング

ミントキャンディーと消毒液の中間のような香り

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ウィンターグリーンに期待される働き・効能

精神面への作用と効果

ウィンターグリーンの精油は筋肉痛や関節炎などのケアに使われるのが主。サリチル酸メチルの刺激性・毒性の問題から、アロマランプやディフューザーなどを使用したウィンターグリーンの芳香吸引でも中毒症状を起こす可能性があるため、お部屋にアロマとして香らせておくような使用法には適していません。民間療法の中ではツンとするような刺激感のあるウィンターグリーン精油は心(脳神経)を刺激して高揚作用をもたらす、頭をクリアにしてやる気を呼び起こす香りであると称することもありますが、ずっと香らせっぱなしなのは危険なので止めましょう。手持ちの精油をリフレッシュ用などに活用したい場合は、きちんと希釈した上で短時間香らせる「気付け薬」のような利用法にするの無難です。

肉体面への作用と効果

ウィンターグリーンの精油は主に筋肉痛・関節炎・リウマチ・肩こりなどのケア目的で使用されています。ウィンターグリーン精油の主成分であるエステル類のサリチル酸メチルは鎮痛作用や抗炎症作用を持つことが報告され、市販薬にも使用されています。このためウィンターグリーンの精油もキャリアオイルに希釈してマッサージに利用したり、水で希釈して布を浸し湿布代わりにするなどして筋肉や関節の痛み軽減に取り入れられているわけです。

しかし、サリチル酸メチルの有効性の評価は研究によってバラつきがあることも指摘されていますオックスフォード大学臨床神経科学部のSheena Derry氏によるシステマティック・レビューでは、急性および慢性疼痛へ有効性を示すサリチル酸メチルの研究は古いもしくは結果の定義が不十分であり有効性は不確実であると述べられています。また誤飲すると死に至る可能性があること、2007年にはニューヨーク州に住む17歳の女子高校生がサリチル酸メチルが配合された市販薬の過剰使用によって死亡したことが報じられていることからウィンターグリーン精油の使用を危惧する声も多くなっています。

とは言え通常のサリチル酸メチル配合商品を注意書きを守って使用している場合、アレルギーなどがなければ問題なく使用している方が多いこと・痛みの軽減を感じている方もいらっしゃることから、ウィンターグリーン精油を使用するという方もいらっしゃいます。使用する場合は芳香でも中毒を起こす可能性があること、皮膚から吸収される可能性があることを念頭に置いて低濃度に希釈しましょう。ウィンターグリーンの精油は皮膚刺激性もありますから、1%未満に希釈しての使用が推奨されています。

そのほか

一部のアロマセラピストなどにはウィンターグリーンの精油は消炎鎮痛以外の部分でも役立つと主張する方もいらっしゃいます。おそらく伝統的にネイティブアメリカンの方々が風邪薬のように使用していたこと+消炎作用を持つことから風邪予防や咳・気管支炎などの呼吸器系トラブルに良いという説もあります。そのほかネイティブ・アメリカン時代からの伝統医学的効能からむくみや膀胱炎などの泌尿器トラブル対策、解毒や代謝機能向上に役立つと紹介しているサイトもあります。しかし、上記でも触れたようにほぼサリチル酸メチルで構成されているウィンターグリーンの精油を高濃度もしくは長時間香らせることは、中毒症状を起こす原因となります。作用についても認められているものではありませんから使用は避けましょう。

その他に期待される作用

皮膚利用について

殺菌消毒作用や抗炎症作用を持つと考えられることからニキビや湿疹などのケアに役立つと考えられています。その他にも海外では肌に対する有益性を謳っているサイトがありますが、毒性・皮膚刺激性の高さからスキンケア用としてウィンターグリーン精油を使用することはお勧めできません。

ウィンターグリーンの利用と注意点について

相性の良い香り

ウィンターグリーンの精油は甘いミントのような香りがあり、香り自体もかなり強く感じます。組み合わせる場合は柑橘系や同系統の雰囲気を持つハーブ系・樹木系だと失敗しなさそうです。特ユーカリ系・ミント系とはよく馴染みますが、個人的には使用自体をお勧めしたくない精油ではあります。

ウィンターグリーンのブレンド例

ウィンターグリーン精油の注意点

サリチル酸メチルは一般家庭で独断で扱うには危険のある成分です。上でご紹介した女子高生の死亡事件についても、長期間にわたって皮膚から皮膚から吸収されたことが原因ではないかと考えられています。このため局所的に適用した場合でも拒否反応や毒性が発生する可能性が指摘されていますし、誤飲は死を招きます。特にウィンターグリーンの精油は甘めの香りがする=お子さんの誤飲を招きやすいこともあるので、お子さんがいらっしゃる家庭には置かないほうが良いでしょう。健康な大人であっても吐き気や頭痛・動悸・痙攣などの症状が出た場合は即座に使用を中止し、医療機関で見てもらうようにしましょう。

  • 妊娠中・授乳中方、小さいお子さんへの使用は避けましょう。
  • サリチル酸またはアスピリンアレルギーのある方は使用を避けましょう。
  • 持病・疾患のある方、医薬品を服用している方は医師に相談することをお勧めします。
  • 皮膚刺激性があるため注意が必要です。低濃度に希釈し、必ずパッチテストを行ってから短期的に使用するようにしてください。
  • アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
  • 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。

参考元