アロマ情報~D長屋~ https://d-nagaya.com 心と体の「だるさ」に嬉しい精油と雑学 Tue, 23 Nov 2021 16:26:32 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=6.4.3 ホワイトチャンパカ/マグノリア精油アロマ・エッセンシャルオイルと期待される効果効能紹介 https://d-nagaya.com/aroma/post-3317/ Tue, 27 Nov 2018 08:25:58 +0000 https://d-nagaya.com/?p=3317

リゾートのような華やかな香り

Magnolia alba

ホワイトチャンパカ/マグノリアとは

フローラルな香りから女性を中心に一部で根強い人気があり、香水や石鹸などにも使われているホワイトチャンパカ。呼び名の通りモクレン科オガタマノキ属に分類される常緑高木で、チャンパカ(キンコウボク/学名Michelia champaca)の近縁種です。断定はされていないもののチャンパカとミケリア・モンタナ(Michelia montana)の交雑種と考えられていますから、かなり種として近い存在と言えますね。和名も黄色~黄褐色の花をつけるチャンパカを“金”に見立てて金厚朴と呼ぶのに対し、白い花を付けるホワイトチャンパカは“銀”に見立てて銀厚朴(ギンコウボク)と呼ばれています。ギンコウボクの木は日本で沖縄県でのみ見ることが出来ると言われていますが、実は新宿御苑ほか植物園でも植えられているところがありますよ。

呼び名や種子名の由来ともなっている白い花と、生花の状態でも強く香るフルーティーな香りがホワイトチャンパカの特徴。原産地であるアジアの熱帯・亜熱帯地域ではその香りから観葉植物としても人気があり、中国では茶葉にホワイトチャンパカの香りを移した「白蘭花茶」も愛されているそう。中国では花を薬用利用していそうですし、エッセンシャルオイルも民間医薬のような形で利用している地域もあるようですが、世界的に見るとホワイトチャンパカの精油は香水・化粧品類などの“香料”として使われることが多い存在。

フローラル調の香水をはじめ、室内芳香剤・フレグランスキャンドル・石鹸類・入浴剤・ヘアケア製品など用途は様々。反面アロマテラピーなどの自然療法で使われることは少なく、何らかの効果を期待してよりも心地よい香りを楽しむために利用されることが主体となっています。成分・伝統的使用法などから期待されている作用はありますが、過度な期待は避けたほうが良いでしょう。

マグノリアオイルについて

マグノリアという名称で日本でもいくつか精油(エッセンシャルオイル)・アブソリュートが販売されていますが、実際に香りを確かめずにインターネットなどで購入すると予想と全く違う香りのオイルが届くことがあります。これはマグノリアという名称はモクレン科モクレン属の属名Magnoliaをそのままカタカナにしたものであり、広義ではモクレン属に含まれる植物の総称として使われているため。このため泰山木(タイサンボク/学名:Magnolia grandiflora)や木蓮(モクレン/学名:Magnolia liliflora)などもマグノリアに含まれます。

対してホワイトチャンパカ(ギンコウボク)は一般的にはオガタマノキ属と別属に分類されていますが、オガタマノキ属をモクレン属に統合する見方もあるためこちらもマグノリアオイルで間違いはありません。稀にではありますが、同じ理由からチャンパカもマグノリアオイルとして販売されていることもあります。こうした別種の植物から抽出されたオイルがすべて“マグノリアオイル”として販売されている状態のため、香りにもかなりバラツキがあると言われています。花を原料とするのは同じですが、抽出方法としても水蒸気蒸留と溶剤抽出がありますね。余談ですが花からではなく葉から抽出されたマグノリアリーフと呼ばれる精油もあります。

マグノリアフラワーと呼ばれるオイルのうち、泰山木や木蓮からはアブソリュート、ホワイトチャンパカからは水蒸気蒸留で抽出されることが多いとは言われていますが、それ以外の方法で抽出されたものもありますので学名・抽出法をしっかりと確認してから購入するのが確実でしょう。ちなみに泰山木や木蓮を原料としたものはグリーン感のある上品なフローラル調の香りでお値段やや高め、ホワイトチャンパカ(ギンコウボク)はフルーティーさの強いエキゾチックなフローラル調の香りで価格はややお安めと言われています。ホワイトチャンパカは交雑種と考えられているだけに、チャンパカと似た印象がある香りです。

基本データ

通称
ホワイトチャンパカ(white champaca)
別名
マグノリア(Magnolia)、ホワイトマグノリアフラワー(White Magnolia Flower)、銀厚朴(ギンコウボク)、白玉蘭(ハクギョクラン)
学名
michelia alba(Magnolia × alba)
科名/種類
モクレン科オガタマノキ属/常緑高木
主産地
中国、インドネシア、インド、フィリピンなど
抽出部位
抽出方法
水蒸気蒸留法
淡黄色~淡黄緑色
ノート
トップ~ミドルノート
香り度合い
中くらい
代表成分
リナロール、DL-2-メチル酪酸メチル、β-エレメン、β-カリオフィレン、メチルオイゲノール、trans-α-ベルガモテン、β-オシメンなど
おすすめ
芳香浴・アロマバス・マッサージ・スキンケア・ヘアケア

シャンパンのようなフルーティーフローラル感の中にグリーンさを含む香り

こんなお悩みにオススメ

【精神面】

  • ストレス・疲労感
  • イライラ・不安・緊張
  • 気持ちの落ち込み
  • 自分に自身が持てない
  • 前向きになりたい時に

【肉体面】

  • ストレス性の不調に
  • 風邪・インフルエンザ予防
  • 咳・痰・気管支炎に
  • 更年期障害・PMS軽減に
  • ニキビ予防に
  • 年齢が気になる肌に

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ホワイトチャンパカ/マグノリアに期待される効果・効能

心への作用

ホワイトチャンパカの精油もチャンパカ精油と同様に、気持ちを落ち着けてリラックスを促す働きが期待されています。製造社や産地により異なる可能性はありますが、精油成分の半分以上の割合でリナロールが含まれているため、成分的に見ても鎮静作用や抗不安作用などメンタル面のサポートに役立ってくれると考えられます。ストレスが多く疲労感を感じている時や、神経が張り詰めてイライラしたり不安になっている時に香らせると良さそうですね。

リゾート地を連想するようなフルーティーかつフローラルな香りは心に高揚感をもたらすという説もあり、落ち込んだ心の回復を促す働きも期待されています。前向きさやエネルギーを取り戻したい時や、自信喪失気味の時にも適した香りと言われていますよ。催淫作用(媚薬効果)を持つ精油として性欲不信などの改善に用いられるのも、ストレス軽減やメンタルサポートに起因している部分が大きいようです。

体への作用

ホワイトチャンパカ精油の主成分と言えるリナロールは精神面のサポートのほか、抗菌・抗ウィルス作用を持つとされている成分でもあります。免疫力を高める働きが期待できるとする説もあり、風邪やインフルエンザなどの感染症予防に役立つと考えられています。ホワイトチャンパカ全体としては抗アレルギー・抗炎症作用を持つと言う説もあり、アジアの伝統医療でも風邪による喉や鼻の不調・鼻炎・慢性気管支炎などのケアに利用されてきたと伝えられています。加えてリナロールによる鎮静作用からストレスに起因する不調全般、特にストレスによる影響を受けやすい胃腸トラブルの軽減にも効果が期待されています。

そのほか女性ホルモン(エストロゲン)様作用を持つ・生殖器強壮作用を持つとする説もあります。精神面への働きと合わせて女性のサポートに適した精油とされ、更年期障害やPMS(月経前症候群)に伴う精神的不快感の軽減などに用いられることもあります。成分的にもネロールやゲラニオールなどホルモンへの働きかけを持つ可能性のあるものが含まれてはいますが、含有量としては微量なのでホルモン様作用についてはあまり期待はしないほうが良いでしょう。念の為に妊娠中の方や授乳中の方、小さいお子さんが居る場面での使用は避けてください。

その他作用

肌への働きかけ

水蒸気蒸留されたホワイトチャンパカ・マグノリアフラワー精油はスキンケアに対しても高い効果が期待できる精油としても注目されています。リナロールは抗菌・抗真菌作用があるためニキビ予防効果が期待でき、香りによるメンタルサポートと合わせてストレス性の肌荒れ・ニキビの予防にも役立つと考えられます。

またリナロールは肌に対しても鎮静効果があるとされていることから、肌タイプを選ばずに使用できる精油との声もあるそう。収斂作用を持つとされることと合わせて特に成熟肌のケアに適しているとも言われています。ただし皮膚感作物質であるしているメーカーもありますし、日本では使用者が少なく安全性については分かっていません。初めて使用する場合は注意が必要です。低濃度に希釈して、皮膚の厚い部分からパッチテストを行うようにして下さい。

ホワイトチャンパカ/マグノリアの利用について

相性の良い香り

柑橘系・ハーバル系の精油と比較的組み合わせやすい香りです。オリエンタル調の濃厚な香りがお好きな方であればフローラル系・オリエンタル系の香りとブレンドすると更に奥行きが出ますよ。

【ホワイトチャンパカのブレンド例】

ホワイトチャンパカ精油の注意点

  • 妊娠中・授乳中の方・小さいお子さんへの使用は避けましょう。
  • アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
  • 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。

参考元:Magnolia Essential Oil

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パロサント精油アロマ・エッセンシャルオイルと期待される効果効能紹介 https://d-nagaya.com/aroma/post-3282/ Sun, 28 Oct 2018 08:37:10 +0000 https://d-nagaya.com/?p=3282

浄化用としても注目される「聖なる木」

パロサントイメージ

パロサントとは

浄化作用を持つ「聖なる木」と称され、ホワイトセージと同様にスピリチュアルな方面での需要が高まっているパロサント。精油の流通は多くありませんが、香木やパロサントチップ・パウダーなどはリラクゼーションショップやパワーストーン販売店などで見かけることもあります。賛否が分かれる「浄化」や「良い精霊(妖精)を呼ぶ」という点についてはさておき、甘く濃厚な香りがあること・虫除け効果が期待できることから芳香剤兼インテリアのような形で使われていることもあるようです。お守り代わりに身に着けていたら蚊に刺されにくくなったという、冗談のような体験をされた方もいらっしゃるそうですよ。

パロサントは中南米が原産の樹木で、植物としてはフランキンセンスミルラなどと同じくカンラン科に分類されています。また木材としては日に当てると緑がかった色になることから“緑壇”とも呼ばれていますが、こちらはユソウボク(学名:Guaiacum officinale/リグナムバイタとも)のことを指す場合もあるため注意が必要。非常に耐久性が高いことに加え、木目が美しく光沢があることからパロサントは木材としても高く評価されているそう。高級調度品やステッキなどをはじめ、ギター・カスタネットなどの楽器類にも使われています。

ちなみに日本でも使われている“パロ・サント(Palo Santo)”という名称は、神の木もしくは神聖な樹木(Holy Wood)を意味するスペイン語で、教会の薫香として用いられたことが由来と言われています。またパロサントはラテンアメリカの先住民達の間では何世紀もの間シャーマンによる儀式や治療に利用されており、古代インカ帝国には既に利用されていたとも伝えられています。先住民の間でパロサントの芳香や薫香は悪霊=家庭内や自分の周りの悪いエネルギーを洗い流し、幸運を呼び込むものと考えられていました。現在でもアマゾン川流域で伝統的に行われているシャーマンの幻覚剤“アヤワスカ”を使った浄化の儀式において、場を清めるための香としてパロサントが焚かれているそう。

日本でも呼び名の直訳である「聖なる木」以外に中米の「幸運を呼ぶ樹木」として紹介されることが多いのも、こうした伝統的用途が関係していると考えられます。中東から地中海沿岸地域で重宝されてきたフランキンセンスに対してパロサントは南米原産の樹木であり、香りや伝統的用途も似た印象があることからよく対比されますね。しかし樹脂部分を香料として用いるフランキンセンスやミルラとは異なり、パロサントは木部が利用されており精油も木材から抽出されています。パロサント精油は化粧品や香水などにも利用されており、ヴェルサーチ(Versace)やザ・ディファレント・カンパニー(THE DIFFERENT COMPANY)などの香水にもパロサント香調のものがありますね。

木材として、香料原料として広く使われているパロサントですが、実は生育が遅く乱獲による絶滅が危惧されている種でもありまる。現在ワシントン条約によって伐採規制が設けられており、生きている木は切らずに倒木・枝などを利用するのが主となっていますが年々規制が厳しくなってきていることもあり「幻の香木」とも呼ばれています。原料に対して数%しかとれない精油もまた稀少な存在となっていますから、香りを楽しみたい場合はウッドチップやミストスプレーなどの商品を選んだほうが入手はしやすいでしょう。

基本データ

通称
パロサント(Palo Santo)
別名
ホーリーウッド(Holy Wood)
学名
Bursera graveolens
科名/種類
カンラン科ブルセラ属/広葉樹
主産地
南米(ペルー、ボリビア、エクアドル、メキシコなど)
抽出部位
木部(心材部)
抽出方法
水蒸気蒸留法
淡黄色
ノート
トップ~ミドルノート
香り度合い
強め
代表成分
リモネン、α-テルピネオール、カルボン、trans-カルベオール、ビサボレン、ジュネオール、ビザボール、ゲルマクレンDなど
おすすめ
芳香浴・アロマバス・ハウスキーピング・防虫

甘くウッディーな香りの中に、柑橘系のような爽やかさを含む香り

こんなお悩みにオススメ

【精神面】

  • ストレス・不安
  • 気持ちが落ち着かない
  • 寝付きが良くない
  • 創造力を高めたい
  • 心をクリアにしたい
  • 瞑想のサポートに

【肉体面】

  • 風邪・インフルエンザ予防
  • 喘息・気管支炎
  • アレルギー軽減
  • 神経痛や関節痛の軽減に
  • 胃腸の痛みなどの軽減に
  • お部屋の空気浄化・虫除けに

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パロサントに期待される効果・効能

心への作用

パロサント精油の精油成分は全体の約7割がモノテルペン類で、最も多く含まれているのはリモネンとなっています。香りの中にどことなく柑橘系をイメージさせるような香気があるのもリモネンを含むためだと言われていますよ。リモネンは鎮静・リラックス効果が期待されている成分ですし、気分をスッキリさせる覚醒作用を持つ可能性もあると考えられています。このためパロサントの香りにもストレスや不安を和らげる働きが期待されており、不眠軽減に良いとする説もあります。香りのイメージとしても甘く温かみのあるウッディー系なので、リラックスしたいシーンに合いやすいですね。

また負の感情をクリアにしたい時や、瞑想用としてもパロサント精油の香りは取り入れられています。エクアドルやペルーの先住民達はパロサントの香りは創造性を高める働きを持つと信じていたため、現在でもクリエイティブな発想が欲しい時に取り入れる方もいらっしゃるようです。単にリラックス用として香らせるというよりは、浄化作用を持つ「聖なる木」としての伝統的用途と合わせて心(魂)の浄化・グラウンディングなどのスピリチュアルな目的のために使われることが多い精油と言えるかもしれません。

体への作用

パロサント精油の主成分であるリモネンや次いで含有量の多いα-テルピネオールなどモノテルペン類は抗菌・抗ウィルス作用が報告されている成分でもあります。加えてリモネンはマウスを使った実験報告で免疫調節機能を持つ可能性が示唆されていますし、α-テルピネオールは抗炎症作用や抗アレルギー作用があるのではないかと考えられています。こうした働きからパロサントの精油は風邪やインフルエンザなどの感染症予防や、呼吸器系の不調・アレルギー症状軽減に効果が期待されています。

そのほか抗炎症作用が期待できることから神経痛や関節炎・筋肉痛の痛み軽減に、また頭痛や胃腸の痛み軽減にも利用されているようです。中米のシャーマンもパルサントを気管支炎や“痛み”がある場合の治療に用いていたと伝えられていますよ。成分的に見てもリモネンは消化吸収促進作用・胃粘膜保護作用など胃腸機能系への働きかけが見られたという報告がある成分ですし、鎮静作用から痛みの軽減に繋がる可能性もあるでしょう。ポピュラーな精油のように多用されていたり、研究が進められているものではありませんので未解明な部分が多いですが、パロサント精油にも何らかの健康サポート効果はあるのではないかと考えられます。

その他作用

皮膚利用について

パロサント精油は抗酸化物質を多く含むこと、収斂作用や抗炎症作用が期待できることから海外ではスキンケア用としても使われている精油です。アンチエイジング(老化予防)に良いという説もありますが、皮膚に対して刺激性があるという指摘もあります。

日本でもキャリアオイルで希釈して筋肉痛などに対するマッサージ用として使用されていることがありますが、肌の弱い方は注意して利用すべき精油。バスオイルとして利用されることもありますがこちらも肌への刺激となる可能性がありますので、敏感肌の方であればウッドチップなどを使用してみるか、使用を避けることをおすすめします。

お部屋の浄化・防虫に

パロサントは木片であっても精油であってもかなり強めの香りがあります。この香りには昆虫忌避作用があるとしてパロサントの樹木が自生している中南米では虫除けとして木を置いたり香のように焚く習慣があり、日本でも虫除け、特に蚊よけに役立つと言われています。好き嫌いは別れますが、甘めの香りが好きな方であれば芳香剤としても役立ってくれるでしょう。

成分的に見てもリラックス効果や抗菌・抗ウィルス作用が期待できますから、お部屋に置いておくことで空気を整えて風邪予防に、イライラや不安を鎮めてリラックスをサポートしてくれる可能性もあります。パロサントは産地において古くから悪霊や不幸・否定的な思考を追い払い幸運をもたらしてくれる「聖なる木」として愛されてきた存在。その一端にはこうした精神面・肉体面の健康をサポートしてくれる働きがあったのかもしれません。

パロサントの利用について

相性の良い香り

樹木系・樹脂系の香りと相性が良いとされています。柑橘系のオイルともブレンドしやすく香りに軽さを加えることが出来ますよ。焼き菓子や焦げた砂糖などと形容されるようにパロサントは甘さの強い濃厚な香りですから、少しキツすぎると感じたときはサッパリ系の精油とブレンドして使うのがオススメです。

【パロサントのブレンド例】

パロサント精油の注意点

  • 妊娠中・授乳中の方・小さいお子さんへの使用は避けましょう。
  • 猫にとって有害な物質が含まれている可能性が指摘されています。
  • 高濃度の使用は頭痛や吐き気を起こす原因となる場合があります。
  • アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
  • 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。

参考元:A Definitive Guide To Using Palo Santo Essential Oils/Uses & Benefits of Palo Santo Essential Oil

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ウィンターセイボリー精油アロマ・エッセンシャルオイルと期待される効果効能紹介 https://d-nagaya.com/aroma/post-3245/ Fri, 28 Sep 2018 08:52:36 +0000 https://d-nagaya.com/?p=3245

単発的な免疫力サポートとして期待

ウィンターセイボリー

ウィンターセイボリーとは

フレンチやドイツ料理に使われるスパイスの一つであるセイボリー。日本では一般家庭に広く普及しているとは良いがない食材ではありますが、ドイツほかヨーロッパの国々では「豆のハーブ」とも呼ばれ煮込みなどの豆料理・サラダ豆を茹でる時の香り付けとして利用することも知られています。南フランスの代表的なミックスハーブ“ブーケガルニ”に使われていることもありますね。名前や乾燥した葉という見た目とは少し離れた、スパイシーかつ少し苦味のある香りに驚いたという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

セイボリーはシソ科キダチハッカ属に分類されるハーブの総称で、同じくシソ科植物であるタイムローズマリーなどに似たグリーンかつフレッシュな香りを持つことが特徴。セイボリーと呼ばれるキダチハッカ属の植物には約30の種があることが認められていますが、このうちハーブ・香辛料として用いられているのはサマーセイボリー(学名:Satureja hortensis)とウィンターセイボリー(学名:Satureja montana)の二種が主。サマーセイボリーはピンク系色の花を、ウィンターセイボリーは白い花を咲かせることが特徴とされています。ちなみにフランス語呼びの“ハリエット”や和名とされている“キダチハッカ”は、どれか特定の種を指す言葉ではなく広義でのセイボリー(Savory)と同じくキダチハッカ属の植物全体を指す言葉として使われているので注意が必要です。

料理用スパイスとしては香味が柔らめのサマーセイボリーの方が広く使われています。単に「セイボリー」と表記されているものは一般的にサマーセイボリーであるとも言われていますよ。精油の場合も同様にサマーセイボリーの方が香気が柔らかく、好き嫌いわ別れずに使いやすいと言われていますが、特に日本の場合はウィンターセイボリーの方が多く流通しています。これはサマーセイボリーが一年草であるのに対して、ウィンターセイボリーは多年草で一年を通して収穫できるという利点があることも関係しているかも知れません。

ウィンターセイボリーはヨーロッパ南部から北アフリカにかけて分布する植物。サマーセイボリーとウインターセイボリーの区分がはっきりしていない部分もありますが、セイボリーは紀元前から古代ギリシアやローマなどで利用されていたと考えられています。属名Saturejaもギリシア神話に登場する半身半獣の精霊“サテュロス(Satyros)”が由来とされており、欲情の塊とも称されるサテュロスが媚薬として使っていた草と考えられていたそう。古代ローマでも精力剤として利用されていたという説がありますし、消化を助けてくれるハーブとしても大切にされていたと伝えられています。現在「豆のハーブ」として利用されているのも豆と相性が良いだけではなく、食後にお腹の張るのを抑えるために組み合わせていたという見解もありますよ。

また少しツンとする独特の香気・殺菌消毒作用を持つことから、胡椒が高値で取引されていた時代には代用品として使われることもあったようです。ウィンターセイボリーの精油はスパイスとしてよりも更に濃厚な、消毒薬など薬品を連想させるようなツンとした香りが特徴とされています。この独特の香気の元となるカルバクロールやパラシメン・チモールなどのフェノール類を多く含むこともあり、アロマテラピーではほとんど利用されていません。フェノール類の働きから優れた殺菌・消毒作用を持つ精油として扱われることもありますが、刺激が強い精油でもありますから使用には注意が必要です。

基本データ

通称
ウィンターセイボリー(Winter Savory)
別名
サリエット(Sariette)、キダチハッカ(木立薄荷)、マウンテンセボリー(Mountain savory)
学名
Satureja montana
科名/種類
シソ科キダチハッカ属/多年草
主産地
フランス、ハンガリー、スペイン、モロッコ、アルバニアなど
抽出部位
全草(葉、茎)
抽出方法
水蒸気蒸留法
ほぼ無色~淡黄色
ノート
トップ~ミドルノート
香り度合い
中〜高め
代表成分
カルバクロール、パラシメン、α-テルピネン、リモネン、リナロール、α-テルピネオール、テルピネン-4-オールなど
おすすめ
芳香浴

ツンと鼻に残る薬品のような印象を持つ、癖のあるハーブ系の香り

こんなお悩みにオススメ

【精神面】

  • 無気力・倦怠感
  • 気分が重い・だるい
  • 前向きになりたい
  • アクティブになりたい
  • リフレッシュしたい

【肉体面】

  • お腹の調子が悪い
  • リウマチ・関節炎
  • 風邪・インフルエンザ予防に
  • 風邪の初期症状ケアに
  • 免疫低下が気になる時に

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ウィンターセイボリーに期待される効果・効能

心への作用

あまり心のサポートとして利用されることはない精油ですが、時に胡椒の香りにも例えられるウィンターセイボリーの刺激的な香りは神経・精神に対する刺激作用があるのではないかとも言われています。このため脳を活性化することで気持ちをポジディブにする・アクティブさを与えてくれる働きが期待され、「心身のバイタリティーを高める」香りと称されることもあります。

香りの系統としても清涼感や刺激感がありアクティブタイム向きではありますから、前向きに何かに取り組みたいときや自発的に行動したいと感じている時に良いかも知れません。気力が萎えてしまったり、気分が重い・だるいと感じている時に適しているでしょう。フェノール類が多く含まれていることも考慮すると、ずっと香らせるのではなく活力剤・気付け薬のような感覚で短期間のみ利用するのがおすすめです。古くは古代ローマで精力剤として使われていたというのも、媚薬的効能があるというよりは活力を高めることに起因しているようです。

体への作用

産地やメーカーにより比率は異なりますが、ウィンターセイボリー精油の主成分と言えるのはカルバクロールやチモールなどのフェノール類となっています。チモールやカルバクロールはオレガノやタイムの香りの成分としても知られており、サマーセイボリーよりウィンターセイボリーの方が鼻の奥に刺さるような刺激感が強いのもカルバクロールなどの含有量が高いためと言われています。カルバクロールやチモールなどのフェノール類は刺激性・毒性が指摘されるため注意が必要な成分ではありますが、非常に強力な殺菌・消毒作用を持つことが認められています。

またカルバクロールは消化促進作用や駆風作用など消化器系への働きかけを持つとも考えられ、胃もたれや下痢・鼓脹(お腹のハリ)・便秘など胃腸の不調軽減にも効果が期待されています。フェノール類に次いで含有量が多いとされるパラシメンは鎮痛作用を持つとされる成分のため合わせて腹痛などの軽減に役立つ可能性もありますし、リウマチや関節炎などの痛み軽減にも有効とされていますよ。

風邪などの感染症予防にも

ウィンターセイボリー精油の主成分であるカルバクロールやチモールは優れた殺菌・抗菌・抗ウィルス作用を持つ成分。加えてカルバクロールは免疫力向上作用・チモールは抗炎症作用を持つ可能性も報告されており、風邪などの感染症予防や初期症状ケアに役立つと考えられています。ウィンターセイボリーにはパラシメンやα-テルピネンなど抗菌作用や消毒作用が期待されるモノテルペン炭化水素類も含まれていますから、相乗して風邪やインフルエンザ予防に役立ってくれるでしょう。研究では精油の中でも高い抗菌作用を持つという報告もなされています。

その他作用

皮膚利用について

フェノール類が優れた抗菌・抗真菌作用や抗炎症作用を持つと考えられることから、ウィンターセイボリーの精油もニキビや水虫(白癬)・ヘルペスなどの皮膚炎症に良いとは考えられています。欧米では瘢痕形成作用を持つ精油として、火傷や咬傷・膿瘍などのケアに用いられることもあるそう。

ただしフェノール類は皮膚刺激性が高く、皮膚につけるとヒリヒリとした熱感を感じたり接触性皮膚炎などの炎症を起こす危険性が高い存在でもあります。このため日本国内では「皮膚利用を避けるべき精油」という見解が主力となっており、使用する場合も極少量をラベンダーなどの精油に加えた上で低濃度に希釈することが推奨されています。ウィンターセイボリーよりも皮膚刺激性が低いとされている精油でも、ティーツリーなど抗菌作用や抗炎症作用が期待できる精油はありますから自己判断での皮膚利用は避けるようにした方が確率でしょう。

ウィンターセイボリーの利用について

相性の良い香り

柑橘系との相性が非常によく、ハーブ系やウッディー系の香りとも比較的組み合わせやすいでしょう。ただし香りが強く独特のため、ウィンターセイボリーの量が多すぎると何系統の香りであっても調和しません。ブレンド時には少量ずつ加えるようにすると失敗しにくいです。

【ウィンターセイボリーのブレンド例】

ウィンターセイボリー精油の注意点

  • 妊娠中・授乳中の方、小さいお子さんがいらっしゃる場合は利用出来ません。
  • 刺激が強く神経毒性を持つ可能性もありますので、高濃度・長期間の使用を避けましょう。
  • 皮膚刺激性の高い精油です。芳香浴の場合でも敏感肌の方は注意が必要です。
  • アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
  • 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。
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アガーウッド(沈香/伽羅)精油アロマ・エッセンシャルオイルと期待される効果効能紹介 https://d-nagaya.com/aroma/post-3205/ Wed, 29 Aug 2018 09:03:51 +0000 https://d-nagaya.com/?p=3205

古代から珍重された”香りのダイヤモンド”

SZ Shenzhen Museum exhibit Aquilaria agallocha 沉香木 Agilawood 沉香屬 Aquilaria Nov 2017 IX1 02

アガーウッド/沈香とは

心と身体を浄化するとも称されるオリエンタルな香りから、世界中で愛されているアガーウッド。香水やインド系ショップのお香などでもよく見かける名前ですね。アガーウッドと言うと聞き馴染みのない植物のように感じますが、日本では“沈香”もしくは高品質の沈香を指す“伽羅”と呼ばれている樹木のことです。白檀と並んで香木やお香としてもよく使われており、香道になくてはならない存在でもあります。近年はスピリチュアルな面での働きかけが期待できるとして、瞑想用のお香やパワーストーンの浄化用などにも使われています。

沈香や伽羅の原料となるのは熱帯アジア原産の、ジンチョウゲ科ジンコウ属の常緑高木です。特定の種のみを利用しているわけではなく、ジンコウ属のうち15種類くらいが香料として利用できるくらいアガーウッド(沈香)を産生することが認められています。特にインドで多く見られる学名Aquilaria agallochaが有名ですが、シャム沈香と呼ばれるインドシナ半島産のAquilaria crassnaは甘さがある・インドネシア産のタニ沈香Aquilaria malaccensisは少しビターで辛味のある香りがあるとも言われています。これは香道で「六国五味」と呼ばれる沈香の産地等による分類で表現されているもので、最上級とされる伽羅は五味(甘・酸・辛・苦・鹹)に通じる奥深い香りを持つものを指すそうです。

沈香(伽羅)は日本で古くから高級香木として重宝されてきた存在で、推古天皇には推古天皇の時代には流れ着いた沈香木が宮廷に献上されたということが『日本書紀』に書かれています。また正倉院には天下第一の名香と謳われる沈香の香木“蘭奢待(黄熟香)”が納められていることも知られていますね。仏教でもニルヴァーナへと導く香りであるとして重宝されたそうですし、アラビアではかつて王族以外の使用が認められていなかったことから”香りのダイヤモンド”と呼ばれていたそう。キリスト教と関わりが深い香料としては没薬や乳香が知られていますが、イエスの遺体を亜麻布(聖骸布)で包んだ際に「没薬と沈香を混ぜた物」を身体に塗ったという記述がありますよ。

現在でもアガーウッドは世界中で高級品として扱われており、精油も「最も稀少かつ最も高価なエッセンシャルオイル」とも称される存在。これは乱獲によって樹木が減少しているという問題だけではなく、沈香樹は元々芳香を持つ樹木ではなく時間をかけて一部が芳香を持つように変化することも関係しています。沈香樹は風雨や害虫・病気などによる刺激があると、自分自身を守るためにその部位に樹脂を分泌する性質があります。その分泌され蓄積した樹脂は、時間をかけてバクテリアや胞子などによって分解・変質されることで香気物質となるそう。香料として利用出来るようになるまでには樹脂の蓄積と変性という工程が必要なため、沈香樹全体のうち“沈香”を採取できる部分は1%以下であるとも言われています。ちなみに沈香という呼び名は「沈水香木」=水に浮くほど軽かった木に樹脂が沈着することで比重が増して水に沈むようになることが由来。

沈香は種・産地だけではなく、同じ木から採取されたものでも香りには微妙な差異が生じるそうですよ。近年は植林が行われている他、幹に人工的に傷をつけ地中に埋めるなどして作られている沈香もありますが、それでも大量生産向きとは言い難く高価になるのも納得ですね。アガーウッドの精油は高価であることに加えて、香り・粘性が強いことから原液ではなくオイルやエタノールなどで希釈したものも販売されています。天然物・人口生産物でも価格は大きく異なりますし、同じ木が原料でも香りが異なると言われるように芳香も様々。香木にしろ精油にしろ、なるべく香りを確かめて納得できるものを購入することをお勧めします。

基本データ

通称
アガーウッド(Agarwood)
別名
沈香(ジンコウ)、伽羅(キャラ)、アロエウッド(aloeswood)、イーグルウッド(Eaglewood)、ガハル(Gaharu)、ウードオイル(Oud oil)
学名
Aquilaria agallochaなど
科名/種類
ジンチョウゲ科ジンコウ属/常緑高木
主産地
インド、ラオス、ベトナム、インドネシア
抽出部位
木部(芯材)
抽出方法
水蒸気蒸留法
黄色~濃い琥珀色
粘性
高い
ノート
ベースノート
香り度合い
強い
代表成分
アガロール、アガロスピロール、クスノール、エレモール、ジジンコー、ジンコホール
など
おすすめ
芳香浴

温かみのあるバルサミック感を含んだ、深く濃厚な木の香り

こんなお悩みにオススメ

【精神面】

  • ストレス・神経疲労
  • 気持ちの落ち込み・不安
  • 気持ちを落ち着けたい
  • 心をクリアに保ちたい
  • 自分を見つめ直したい
  • 寝付きが悪いと感じる

【肉体面】

  • 気管支炎・喘息の軽減に
  • 風邪予防や初期症状ケアに
  • 花粉症を緩和したい
  • 胃腸機能のサポートに
  • 関節炎などの痛みに
  • 心身をデトックスしたい

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アガーウッド/沈香に期待される効果・効能

下記ではアガーウッドが持つとされている作用についてご紹介しますが、アロマテラピーではほぼ利用されていない精油で作用についてはハッキリ分かっていないものが大半です。また香りが異なる=精油成分にも差異があると考えられますので、基本的には香りを楽しむものとしてご利用ください。

心への作用

日本人であればお寺を連想するようなアガーウッドのスモーキーな木の香りは、鎮静作用やリラックス効果があると考えられています。精油ではありませんが沈香そのものはアーユルヴェーダや漢方でも生薬として使われており、香りによる鎮静作用から精神安定や不眠に良いとされています。またスピリチュアルな面では心や魂を浄化するなどの働きが信じられていることもあり、鎮静作用と合わせてストレス対策として効果が期待されています。媚薬効果があると言われているのも、ストレス性の精力減退の軽減に良いという点が大きいようです。

アガーウッドは独特の強く奥深い香りですが、どこか温かく繊細さを持ち合わせていると感じる方も多いと言われています。気持ちを落ち着けたいときだけではなく、瞑想時や自分と向き合いたい時の香りとしても適しているかも知れません。また香りを嗅ぐことで脳のα波が増加するという報告もあるそうですから、日頃のストレスでリラックスタイムも気が休まらないと感じている方・寝ようとすると不安や嫌なことばかりが浮かんでくる方のサポートととしても期待できるでしょう。

体への作用

伝統医学や民間療法でアガーウッドオイルは強壮作用や気の流れを促す作用を持つとして、気管支炎や喘息など呼吸器系の不調の緩和に利用されることがあるようです。抗菌作用を持つことと合わせて、発熱・痰絡みなど風邪の諸症状軽減にも良いとされています。近年は抗炎症作用や抗アレルギー作用を持つオイルとして、花粉症などによるアレルギー性のくしゃみ・目のかゆみ・鼻水などの軽減用にも注目されているようです。そのほか抗炎症作用から関節炎やリウマチの痛み軽減に良い、東アジアを中心に利用されてきた歴史から胃痛や食欲不振・吐き気などの軽減に有効とする説もあります。

また利尿作用・毒素排出を促すデトックス効果があるという見解もあり、心だけではなく身体を浄化してくれるオイルとして利用されることもあるそう。ただしアガーウッド(沈香)の精油は稀少かつ効果な存在で、自然療法としてよりも香料用として用いられることの多い存在。実験報告などのデータは多くありませんので、こうした働きについての有効性は分かっていません。作用については生薬として内服した場合の効能も一部混ざっている可能性も否めませんし、日本では基本的に“雑貨”として扱われているものですから過度な期待は避けましょう。

その他作用

皮膚利用について

アガーウッドオイルはアーユルヴェーダの中で皮膚の痒み・痛みをはじめとする皮膚疾患のケアにも利用されています。抗菌作用からニキビの予防や消毒に良いとする説もあり、国によっては石鹸やクリームなどのスキンケア用品に配合されていることもあるそう。ただし日本で使用されることはほとんど無く、皮膚刺激性などについても分かっていませんので自己判断の利用は避けたほうが良いでしょう。

参考元:Agarwood Oil
11 Amazing Benefits of Agarwood Essential Oil

アガーウッド/沈香の利用について

相性の良い香り

フローラル系や樹木系の精油と相性が良いとされています。香りが濃厚なので、重いと感じる場合は柑橘系とのブレンドもおすすめです。

【アガーウッドのブレンド例】

アガーウッド精油の注意点

  • 妊娠中・授乳中の方、小さいお子さんがいらっしゃる場合は利用を避けましょう。
  • 持病のある方や薬を服用中の方は医師に相談してから使用してください。
  • アガーウッド精油は使用データが少なく、副作用などについても判明していない部分が多くあると考えられます。禁忌とされていなくとも濃度・頻度などに注意して使用するようにしましょう。
  • アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
  • 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。
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ランタナ精油アロマ・エッセンシャルオイルと期待される効果効能紹介 https://d-nagaya.com/aroma/post-3177/ Fri, 03 Aug 2018 08:36:23 +0000 https://d-nagaya.com/?p=3177

今後の研究が期待される、特徴的な香りの精油

ランタナ(シチヘンゲ)

ランタナとは

日本では香料と言うよりも観賞用・園芸用植物として知られているランタナ。和名で“七変化(シチヘンゲ)”と呼ばれているように、同じ茎から違う色の花を咲かせること・咲いてからも徐々に色が変化していくことが特徴とされていますよ。花の色も白・黄色・オレンジ・ピンクなど色とりどりで華やかですね。上記の写真のように小さな花が密生して咲きますがそこでもグラデーションのように色が異なること・開花時期が長いことなどもあり観賞用としても人気があります。世界的にも“Most Beautiful Flowers In The World(世界で最も美しい花)”と称されるほど高く評価されています。

植物としてはクマツヅラ科シチヘンゲ属に分類される常緑小低木で、同じ科の植物にはレモンバーベナがあります。ランタナは熱帯アメリカが原産の植物なので暑さには強いですが、気候が異なる日本では“常緑”ではなく秋~冬頃に落葉します。原産は中南米とされていますが生命力が強く、現在は世界50カ国以上で帰化植物として定着しています。江戸時代末期に渡来したと言われている日本でも、小笠原諸島や沖縄諸島など暖かい地域に分布していることが確認されているそう。特に熱帯・亜熱帯地域での野生化が著しく、各地の生態系を乱したり作物の生長を低下させることから“世界の侵略的外来種ワースト100”にも選定されています。

アメリカ大陸からランタナが広がったのは、17世紀頃にオランダの探検家がヨーロッパに持ち帰ったことがきっかけと言われています。原産地である中南米ではランタナの花を装飾品として利用していたほか湿疹や痒みなど皮膚の問題に対する民間薬として利用していたとも伝えられていますが、ヨーロッパでは主に観賞用として栽培されたそう。様々な色を見せるランタナの花に当時の人々魅了されたのではないでしょうか。ちなみに原産地も同じエリアでヨーロッパに伝えられたのも同時期だったと言わるレモンバーベナは香料としても重宝されましたが、ランタナは独特の香りからか香料原料として使われるようになったのはごく最近です。

ランタナの花の香り自体は甘くパウダリーな香りで、蝶・蜜を食べる鳥などが寄ってくることでも知られています。が、ランタナの花や葉などから採油された精油は、可憐な花のイメージとは違いウッディー系もしくはスパイシー系に分類される個性的な香りです。お花の精油というよりも香辛料が原料と言われた方が納得できるような、独特の香りで少しツンと鼻の奥が刺激されるような印象があります。調香の際もフローラル系だけではなくハーバルもしくはアンバーベースの香りを作るときに使われることが多いそう。ちなみに精油としての歴史が浅いこと・毒性のあるケトン類が含まれていることからアロマテラピーではほとんど使われません。

基本データ

通称
ランタナ(Lantana)
別名
シチヘンゲ(七変化)、コモン・ランタナ(Common lantana)、big-sage、tickberry
学名
Lantana camara
科名/種類
クマツヅラ科シチヘンゲ属/常緑小低木
主産地
マダガスカル、インド、ブラジル、エチオピアなど
抽出部位
花(葉・小枝を含むものも有)
抽出方法
水蒸気蒸留法
無色〜淡黄色
ノート
トップ~ミドルノート
香り度合い
代表成分
タバノン、β-カリオフィレン、サビネン、α-フムレン、δ-カジネンなど
(※産地によって成分・成分比率が大きく変わると言われています)
おすすめ
芳香浴・防虫

ウッティーな香りの奥に少しスパイシーさ・刺激を含む、薬草のような香り

こんなお悩みにオススメ

【精神面】

  • ストレス・神経疲労
  • リラックスしたい
  • 心のバランスが乱れている

【肉体面】

  • 風邪・インフルエンザ予防に
  • 咳や気管支炎の軽減に
  • 虫除け・防虫剤として

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ランタナに期待される効果・効能

心への作用

メンタル面のサポートとして用いられることはほとんどありませんが、ランタナのウッディーかるスパイシーな香りは心に安心感を与えて精神安定をサポートしてくれるのではないかと考えられています。成分的にもβ-カリオフィレンやα-ピネンなど神経をリラックスさせる働きが期待されているものが含まれていますので、ランタナの香りが好きな方であればリラックスタイムの演出を手助けしてくれる可能性もあるかも知れません。ただし主成分であるタバノン(Tabanone)はケトン類に分類される芳香成分で多量・長期間の使用は神経毒性を持つ危険性がありますので、デイリーな使用は避けたほうが良いでしょう。

体への作用

アロマテラピーではほとんど用いられることがないランタナ精油ですが、近年は優れた抗菌作用や抗炎症・抗アレルギー作用を持つ可能性が報告されたことから一部で注目されています。そのほか伝統医学的利用も合わせて風邪やインフルエンザの予防や呼吸器炎症のケアに良い・リンパ強壮作用や静脈強壮作用がある・ケトン類が肝臓を刺激することからダイエットに役立つなどの説もあります。

また2015年の『Journal of Scientific and Research Publications』に掲載された研究論文ではサルモネラ菌や大腸菌に対する有効性が、2011年の『Journal of Ethnopharmacology』掲載のラットを使った実験では抗腫瘍作用・抗発癌性を持つ可能性も示唆されています。使用の歴史が浅くまだ研究が不十分なこと・ケトン類などによる毒性の問題があることもあり利用の段階には至っていないようですが、今後の研究に期待されているハーブ・エッセンシャルオイルの一つとも称されています。

その他作用

皮膚利用について

ランタナは抗菌作用が高いことが報告されていること、抗炎症作用や瘢痕形成作用が期待できることから一部の国では虫刺されや傷のケアなどに利用されることがあるようです。日本でもそういった働きが紹介されることがありますが、皮膚刺激性が指摘される成分を含んでいること・肌に対する影響もハッキリとは分かってないことから、自己判断で利用は避けることをお勧めします。

虫除け・防虫剤として

ランタナの精油が持つ効果として最も信憑性が高いのは、防虫作用があるという点かもしれません。2010年にインドで行われた実験ではLantana camaraのエッセンシャルオイルに殺虫活性があり、特に蚊に対して有効であることが報告されています。この研究報告では合成殺虫剤の補助に役立つ可能性も示唆されており、マラリア予防などに対しても役立つのではないかと考えられているそう。ケトン類含有量の問題もありますから自分の肌・衣服に対する虫除けスプレーとしての使用はおすすめできませんが、お部屋の窓枠・ドア枠周りなどの蚊よけとして役立つ可能性はあるでしょう。

ランタナの利用について

相性の良い香り

スパイス系の精油とブレンドしやすい香りです。似た印象のあるハーブ系・ハーバル調寄りのフローラル系の香りとも組み合わせやすいでしょう。

【ランタナのブレンド例】

ランタナ精油の注意点

  • ケトン類を含むため妊娠中・授乳中の方、お子さん、てんかんなどの疾患のある方は利用を避けましょう。
  • 高濃度・長時間の使用は避けましょう。
  • ランタナ精油は使用データが少なく、副作用などについても判明していない部分が多くあると考えられます。禁忌とされていなくとも濃度・頻度などに注意して使用するようにしましょう。
  • アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
  • 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。
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シラントロ/コリアンダーリーフ精油アロマ・エッセンシャルオイルと期待される効果効能紹介 https://d-nagaya.com/aroma/post-3145/ Wed, 18 Jul 2018 08:33:57 +0000 https://d-nagaya.com/?p=3145

パクチー好きにも注目される新進気鋭の精油

コリアンダーリーフ(パクチー)

シラントロ/コリアンダーリーフとは

タイ料理をはじめとしたアジアン・エスニック料理に使われる香草として、日本でも広く知られているパクチー。青々しいハーバルな香りではありますが別名“カメムシソウ”とも呼ばれるように独特のクセがあり、ハマる人はドハマリする・無理な人は絶対に無理というほど好き嫌いがくっきりと分かれる香草の一つ。タイ料理から認知度が高まったこともあり東南アジアの食材のようにも感じますが、ヨーロッパやメキシコなどでも食べられています。ただしパクチーが山盛りになっていたり、パクチーがメインとなる料理を食べるのは日本だけだそう。近年では日本にパクチー愛好家と称すべき人々も少なくありませんし、それだけ特徴ある風味には中毒性があると言えるかも知れません。

薬味・香草として日本人に強烈なインパクトを与え続けるパクチーですが、カレーにも使われている香辛料“コリアンダー”と同じセリ科コエンドロ属の植物を指しています。種としても学名Coriandrum sativumと同じものが使われているのですが、特に葉部分についてはコリアンダーリーフ・コエンドロ・シラントロ・パクチー・シャンツァイなど様々な呼び方をされていて少し紛らわしい部分もありますね。これは日本に各国の呼び名が伝わり、使用する料理などによって呼び方が変わることがあるため。英語ではカレーのスパイスとして使われるコリアンダーの果実はコリアンダーシード・葉はコリアンダーリーフと呼ばれており、単に“coriander”と言った場合は果実や葉を乾燥した香辛料全般を指すこともあります。

対して日本では主に生葉を指すときに使う“パクチー”という呼び方はタイ語由来で、香菜(シャンツァイ)は中国語・コエンドロ(coentro)はポルトガル語・シラントロ(cilantro)はスペイン語となっています。コリアンダーを原料とする精油の場合でもコリアンダーシード・コリアンダーリーフと呼び分ける以外に、コリアンダーシードを原料とした精油をコリアンダー、葉を原料とした精油についてはシラントロ(シラントロ・リーフ)と呼び分けられることもあります。メーカーによっても表記方法は変わってくるので使用部位を確認することをお勧めしますが、単に「コリアンダー」と表記されているものはコリアンダーシードの精油であるのが一般的となっています。

コリアンダーは3500年以上前のテーベの医学書にも記録があることから、歴史あるハーブの一つにも数えられる存在。コリアンダーシードだけではなく葉(シラントロ)についても古代エジプトやギリシア・ローマなどでは薬草として用いられていたのではないかと考えられています。ちなみにコリアンダーやコエンドロなどという各国での呼称や属名の由来は「カメムシ」であると紹介されることもありますが、これは説の一つで断定されたものではないそう。直接的な語源はコリアンダーを意味する古代ギリシア語koriannon(もしくはラテン語のcoriandrum)で、その言葉の成り立ちの段階として南京虫を意味するギリシア語“koris”から変化した・キャラウェイまたはクミンを意味する“karon”から派生したなどの説があります。

古代エジプトでは「幸福をもたらすスパイス」とされていたとも言われていますし、ポルトガルなどではシエントロ(コリアンダーリーフ)が郷土料理にも利用されています。薬や食材として利用していたと考えられますから、南京虫を語源としていたという説よりもキャラウェイなど他の香辛料の名前をもじった名称で呼ばれていたと考えた方がしっくりくる気もしますね。嫌いな方はパクチー香りがする精油と言うだけで鳥肌モノかも知れませんが、パクチーよりも柔らかめでスッキリとした香りもまたクセになる方が少ないないそう。ただし精油としての歴史は新しくアロマテラピーとしては利用されていませんし、データも少ないので使用には注意が必要です。また料理の香り付けとして利用できる精油と紹介されていることもありますが、食用できるのはdoTERRA社など一部のメーカーで“食品添加物”とされているものに限ります。日本で主に販売されている“雑貨”扱いの精油は内服できませんので注意しましょう。

基本データ

通称
コリアンダー・リーフ(Coriander leaf)
別名
シラントロ・リーフ(Cilantro leaf)、パクチー、香菜(シャンツァイ)、中国パセリ、コエンドロなど
学名
Coriandrum sativum
科名/種類
セリ科コエンドロ属/一年草
主産地
エジプト、アメリカ
抽出部位
抽出方法
水蒸気蒸留法
ほぼ無色~淡黄色
ノート
トップ~ミドルノート
香り度合い
中くらい
代表成分
trans-2-デセナール、リナロール、他デカナール(デシルアルデヒド)やノナナールなどのアルデヒド類
おすすめ
芳香浴・ハウスキーピング

パクチーよりも柔らかい印象の、柑橘系っぽさを含む爽やかな香り

こんなお悩みにオススメ

【精神面】

  • ストレスが多いと感じる
  • 精神的に疲れている
  • 気持ちの落ち込み・無気力
  • イライラ・不安・緊張

【肉体面】

  • 食欲不振・消化不良
  • 消化機能のサポートに
  • 風邪・インフルエンザ予防に
  • デトックスを心がけている

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シラントロ/コリアンダーリーフに期待される効果・効能

心への作用

使用の歴史が浅くハッキリとは分かっていない部分も多いと言われていますが、シラントロ(コリアンダーリーフ)の香りはストレスの軽減に役立つと考えられています。含有量こそコリアンダーシードに劣りますが、シラントロ精油にもモノテルペンアルコール類のリナロールが含まれています。リナロールは鎮静作用や抗不安作用などが期待されている成分で、ストレス性の神経症状や気持ちの落ち込みを軽減する働きがあると考えられています。

このためシラントロ精油もストレス性の緩和・気持ちを落ち着け感情バランスの乱れを軽減する働きが期待されています。精神的に疲れている・イライラしやすいと感じがちな方にも適しているかも知れません。ただし食材としてのパクチー同様に好き嫌いが分かれる香りですから、好みで無い方が無理をして使う必要はないでしょう。一般的に使用されているコリアンダーシードの方が香りとしては親しみやすく、同様にメンタルバランスを整える働きが期待されています。

体への作用

こちらも詳細は分かっていませんが、コリアンダーシードと同じく消化器系のサポートや免疫機能を高める働きが期待できると言われています。また体内の重金属(水銀)の排出促進に役立つという説があることから、シラントロ精油はデトックスをサポートしてくれる精油としても注目されています。こちらについてはパクチーの中に含まれるデセナールなどいくつかの精油成分に有害物質・化学物質の解毒や排泄を促す作用を持つ可能性があることがTVで紹介され話題となったようです。

その他作用

皮膚利用について

海外では痛みの軽減や肌の鎮静に役立つ可能性があるとされているシラントロ(コリアンダーリーフ)精油ですが、アルデヒド類を多く含むことから皮膚刺激性があると考えられます。使用されてからの歴史が浅い精油であり副作用やトラブルなどの報告も少ないため、自己判断での皮膚利用は避けることをお勧めします。

シラントロ/コリアンダーリーフ精油の利用について

相性の良い香り

柑橘系の精油と相性がよく、ハーバル系・軽めのスパイス系の精油ともブレンドされます。相性が良いだけではなく柑橘系の精油にシラントロを少量加えるようにすると独特の香りが中和され、柑橘系の香りに奥行きが出ますよ。

【シラントロ/のブレンド例】

シラントロ/精油の注意点

  • 妊娠中・授乳中の方、小さいお子さんへの利用は避けましょう。
  • 持病のある方や薬を服用中の方は医師に相談してから使用してください。
  • 皮膚を刺激する可能性があります。
  • シラントロ精油は使用データが少なく、副作用などについても判明していない部分が多くあると考えられます。禁忌とされていなくとも濃度・頻度などに注意して使用するようにしましょう。
  • アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
  • 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。
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ブラックバーチ/スイートバーチ精油アロマ・エッセンシャルオイルと期待される効果効能紹介 https://d-nagaya.com/aroma/post-3118/ Sun, 01 Jul 2018 04:15:47 +0000 https://d-nagaya.com/?p=3118

消炎鎮痛に良いとされるが、使用は避けるべき

ブラックバーチ(スイートバーチ)とは

ブラックバーチ、もしくは単にバーチオイルと呼ばれる精油は、ウィンターグリーンと共に使用に注意が必要な精油として紹介されることの多い存在。ブラックバーチの精油が要注意精油とされるのは精油成分のうち約95~99%を“サリチル酸メチル”という成分が占めているため。よくセットで紹介されるウィンターグリーンの精油と同等以上にサリチル酸メチル含有量が高い=毒性・刺激性が高いため、アロマテラピーでは使用されません。バーチと共に要注意精油とされており使用自体避けるべき・専門家の監修がない場合の使用を避けることが推奨されていることからも、その作用や刺激性の高さがうかがえますね。

ブラックバーチは“バーチ”が付く通り、カバノキ科カバノキ属に分類される樹木です。学名はBetula lenta、カナダ南部からアメリカ北東部にかけてのエリアが原産とされる白樺やカンバの仲間の植物です。バーチもしくはブラックバーチやスイートバーチという呼び方が定着していますが、和名はアメリカミズメ。その他にもチェリーバーチ・マホガニーバーチ・アメリカンブラックバーチなど様々な呼称があるため全て別種のように思いがちですが、全て同じブラックバーチのことを指しているんですね。

ブラックバーチは北米では一般的に見かける樹木で、木材として内装や家具などをはじめ製紙用パルプにも利用されています。またアメリカの先住民族であるチェロキー族は風邪や胃の病気の際に、強壮剤のような感覚でブラックバーチの樹皮から煮出していたお茶を飲んでいたとも伝えられています。そのほか種や葉などの伝統医術の中で用いられていたという話もあるようですから、民間医薬の一つのような感覚だったのかも知れません。サリチル酸メチルの効能についても経験的に知られ鎮痛にも用いられていたそうですし、化学合成技術が確立するまでの間はサリチル酸メチルの抽出・ウィンターグリーンの採取源として需要が高かったのだとか。現在でもアロマテラピーでは使用されませんが、ガムや歯磨き粉、男性用香水などには用いられることがあります。

ちなみに同じくカバノキ属に分類される植物を原料とする精油、通称「バーチオイル」と呼ばれるものは原料植物の違いからホワイトバーチ(シルバーバーチ/学名:Betula platyphylla)、イエローバーチ(学名:Betula alleghaniensis)、ブラックバーチ(スイートバーチ/学名:Betula lenta)の三種類があります。どのバーチオイルも刺激があり要注意と言える存在ですが、この三つの中ではセルライトケア・痩身マッサージ用としても注目を集めたホワイトバーチが比較的使いやすい精油とされています。逆に最も扱いが難しいのがブラックバーチで、利用法によっては高い有効性を持つものの毒性の高い精油とされています。

一昔前までは取り扱いの難しさからバーチオイル(ブラックバーチ精油)は一般向けとしての流通はほとんどされていませんでしたが、近年インターネット店舗の普及などの関係もあり日本国内でも見かけるエッセンシャルオイルとなっています。欧米では有資格者にしか販売しないというメーカーもあるようですが、日本では“雑貨”扱いのため普通に購入できるのも良し悪しかも知れません。当サイトでは知識としてブラックバーチやサリチル酸メチルに期待される働きを紹介していますが、使用を推奨するものではありません。安全性についての懸念も多い精油ですから、ウィンターグリーンと共に自己判断での使用は避けるべき精油と考えて下さい。

基本データ

通称
ブラックバーチ(Black birch)
別名
Sweet birch(スイートバーチ)、Cherry birch(チェリーバーチ)、アメリカミズメ、レンタカンバ
学名
Betula lenta
科名/種類
カバノキ科カバノキ属/落葉高木
主産地
アメリカ、カナダ、ロシア
抽出部位
樹皮(木部を含めたものも有)
抽出方法
水蒸気蒸留法
ほぼ無色~淡黄色
(※まれに赤みを帯びたものもあるようです)
ノート
トップ~ミドルノート
香り度合い
強い
代表成分
サリチル酸メチル、サリチル酸エチル、オイゲノール
おすすめ
基本的には使用を避ける。

ウィンターグリーンに似た、甘さのある湿布薬系の香り

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こんなお悩みにオススメ

【精神面】

  • リフレッシュに
  • 心の疲労感・倦怠感に
  • 気持ちを落ち着けたい
  • 前向きになりたい

【肉体面】

  • 神経痛・関節炎・リウマチ
  • 筋肉痛・肩こり・腰痛
  • 血行不良・血行不良性の頭痛など
  • むくみ軽減・デトックス

ブラックバーチに期待される効果・効能

心への作用

ブラックバーチオイルは心のサポートに用いられることは少ない精油です。しかし微かな甘さを含んだ強い清涼感のある爽香りは、疲れた心のリフレッシュにも役立つと言われています。また涼やかな香りから心をクールダウンさせてくれるという説・強壮や抗鬱作用があり気持ちを前向きにしたい時に役立つという説もあります。ただしサリチル酸メチルが大半を占めている芳香浴には適さないとされていますし、心への作用についてもハッキリしたことは分かっていません。

某湿布薬を連想させるような香りのため好き嫌いはありますが、メンズコロンなどにも使われているように他の精油と組み合わせると良いアクセントになってくれる存在でもあります。推奨されているマッサージや湿布などの使用法については取り扱いが難しいですし、芳香浴には適さない精油ですので、アロマスプレーや香水作りが目的で購入される方もいらっしゃるそう。香りの印象としては通学・出勤前などにも適していそうですね。

体への作用

ブラックバーチオイルの精油成分のほぼ全てを占めているサリチル酸メチルは、湿布やアスピリン様成分と紹介されることもあるように鎮痛作用や抗炎症作用を持つことが認められています。頭痛などの痛み健和効果が期待されていますし、血管拡張作用もあるため特に坐骨神経痛や神経痛・関節炎・リウマチ・筋肉痛・肩こり・腰痛など血行不良により生じる、もしくは悪化するタイプの痛み軽減に優れた働きを持つと考えられています。

こうした目的で使用される場合は、芳香浴ではなくマッサージや湿布・バスアロマとしてなど希釈して皮膚に直接塗布するような方法が取られます。ウィンターグリーンと同様にブラックバーチも皮膚刺激が高い精油ですので、必ず低濃度に希釈して利用するようにしてください。最大濃度は5%・1%未満に希釈して利用するなど諸説ありますが、バスアロマとして利用する場合は浴槽いっぱいのお湯に1~2滴程度、マッサージ用の場合は10mlのキャリアオイルに対して1滴(0.05ml=0.5%)くらいの量で使うことをお勧めします。

そのほか腎臓機能を助けることで尿量を増やし結石を予防する・利尿効果に繋がることから血行促進と合わせてむくみ軽減・解毒(デトックス)に良いという説もあります。血行促進作用や消毒作用があることから風邪の予防やケアなどにも用いられる場合があるそうですが、これらのサポートとしてであれば別の精油をメインに使ったほうが確実でしょう。むくみやデトックス目的であればジュニパーベリー、風邪予防であればティーツリーなどを使用したほうが安全性が高いです。

その他作用

皮膚利用について

Floracopeiaさんなど海外のサイトでは、ブラックバーチオイルは収斂作用を持つ精油として毛穴対策やシワ・たるみ予防に良いと紹介されています。海外では数世紀に渡り皮膚の引き締め剤として使用されてきた歴史もあるのだとか。そのほか消毒作用がありニキビケアや頭皮のケア・抜け毛予防のヘアリンスとしてなども使用されているようですが、皮膚刺激・感作作用も指摘されているため使用には注意が必要です。

ブラックバーチの利用について

相性の良い香り

同系統のスッキリとした印象がある柑橘系・ハーブ系の精油とよく合います。樹木系の香りともブレンドしやすい精油ですが、刺激や毒性が懸念されていること・香りが強いこともありますので、ブレンド時にはごく少量を加える程度にしておきましょう。

【ブラックバーチのブレンド例】

ブラックバーチ精油の注意点

  • 自己判断での使用はおすすめできません。
  • 妊娠中・授乳中の方・お子さんへの使用はできません。
  • アスピリンアレルギーの方、疾患のある方・医薬品を服用中の方も利用を避けましょう。
  • 高濃度・長期間の使用は厳禁です。
  • アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
  • 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。
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ホーリーバジル/トゥルシー精油アロマ・エッセンシャルオイルと期待される効果効能紹介 https://d-nagaya.com/aroma/post-3087/ Fri, 15 Jun 2018 09:19:08 +0000 https://d-nagaya.com/?p=3087

アーユルヴェーダで利用される、聖なるハーブ

ホーリーバジル(トゥルシー)

ホーリーバジル(トゥルシー)とは

神聖なハーブ・万能のハーブとして紹介されることもあるホーリーバジル。インドの伝統医術アーユルヴェーダで用いられるハーブとしても紹介される事の多い植物ですし、近年はストレスへの抵抗力を高めてくれるアダプトゲンの一つとしても注目されている存在です。料理用ハーブやハーブティーなどで見かけたことのある方もいらっしゃるのではないでしょうか。タイ料理でお馴染みの「ガパオ」というのも、基本的にはホーリーバジルのことを指しています。スイートバジルの代用品として使われることもあるそうですが、日本ではむしろホーリーバジル(ガパオ)の代用品としてスイートバジルを使うことの方が多いかも知れません。

風味以外にアダプトゲンやメディカルハーブとして自然療法派の方を中心に注目されているホーリーバジルですが、植物としてはシソ科のうち学名をOcimum tenuiflorumという種とされています。一般的に料理に使われているバジル(スイートバジル/O.basilicum)とは別種で、紫がかった花をつけること・茎葉に軟毛があることが特徴とされています。茎の色は赤が多いですが緑色のものもあり、葉の色については緑色の「ラクシュミー・トゥルシー 」と、紫色をした「クリシュナ・トゥルシー」の2タイプがあるそうです。

ホーリーバジルの原産地はアジアからオーストラリアにかけての熱帯地域と考えられており、インドを中心に紀元前から大切にされてきたハーブです。アーユルヴェーダでは癒やしのパワーを持つ“不老不死の霊薬”と考えられていた時期もあるそう。またヒンドゥー教においても重要な役割を持つ存在で、神に捧げる聖なる植物・女神の化身として扱われていると言われています。インドでは「ホーリーバジルを植えている家には病気や不幸が入って来られない」「ホーリーバジルの葉を毎日食べると医者いらず」などの言葉もあり、現在でも寺院に植えられているほか、お庭に植えている家庭も少なくないそうです。ヨーロッパでのセージに近い感覚かも知れませんね。

ホーリーバジルは別名トゥルシーとも呼ばれますが、これはホーリーバジルの他にヒンディー語に倣った「Tulsi(トゥルシー)」もしくはサンスクリット語の「Tulasi(トゥラシー)」の音を拾ったもの。この呼び方は“比類なきもの”を意味するそうで、呼び名からも大切にされてきた存在であることがうかがえますね。英名のホーリーバジルという呼称も、インドで神聖な植物として扱われていたことから命名されたと言われています。和名でもバジルをメボウキと呼ぶのに対し、ホーリーバジルはカミメボウキ(神目箒)と呼ばれていますよ。

日本では21世紀に入るまでほとんど知られていないハーブでしたが、近年ホーリーバジルはエスニック料理の調味料・健康食品として注目されるようになっています。そのきっかけはもだま工房さんによると2006年のワールド・ツアーで日本を訪れた“抱きしめる聖人”の聖女アマチが「地球を浄化するために、トゥルシーを世界に広めよう」という活動を行ったことがきっかけだったと言われています。そこからトゥルシーを植えるプロジェクト・普及が進行し、アーユルヴェーダで使われるハーブとしても注目されることになったそう。最近ではこのプロジェクトとは関係なく、使いたいけれど手軽に入手できるものではないため家庭菜園で栽培にチャレンジしている方も少なくないようです。

基本データ

通称
ホーリーバジル(Holy basil)
別名
Sacred Basil(セイクリッドバジル)、Tulsi(トゥルシー/トゥラシー)、ガパオ(Gaprao)、カミメボウキ(神目箒)
学名
Ocimum tenuiflorum
(Syn.Ocimum sanctum)
科名/種類
シソ科メボウキ属/多年草(※日本では一年草扱い)
主産地
インド、ネパール
抽出部位
花、葉
抽出方法
水蒸気蒸留法
淡黄色~淡黄緑色
ノート
トップ~ミドルノート
香り度合い
強め
代表成分
オイゲノール、β-カリオフィレン、α-フムレン、ゲルマクレンD、リナロール
おすすめ
芳香浴・アロマバス・マッサージ・防虫

ほのかに甘さがある、スパイシーで濃厚なハーバル調の香り

こんなお悩みにオススメ

【精神面】

  • ストレス・神経疲労
  • 心身共にぐったりしている
  • 気持ちを明るくしたい
  • 集中力を高めたい
  • 心のバランスを整えたい
  • 直感力が欲しい

【肉体面】

  • 消化不良・吐き気に
  • ストレス性胃腸トラブルに
  • 歯痛や関節炎などの緩和に
  • 冷え・むくみの軽減に
  • 風邪・インフルエンザ予防
  • 防虫・防カビ剤の代わりに

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ホーリーバジルに期待される効果・効能

心への作用

ホーリーバジルの主成分はオイゲノールで、精油成分全体の半分以上をフェノール類のオイゲノールが占めています。クローブのような香りがすると称されるのもオイゲノール含有量が高いことが大きいでしょう。オイゲノールは鎮痛作用や防虫作用などが紹介されることの多い成分ですが、精神的・肉体的なストレスや疲労感を軽減する働きも期待されています。また脳神経を刺激することで気分を高揚させたり、集中力や記憶力を高める作用があるという説もあります。

こうしたオイゲノールの働きからホーリーバジルの精油は心身をリラックスさせバランスを整えたり、ストレスへの抵抗力を高める働きが期待されています。ストレス性の疲労やぐったり感を感じている方にも適していそうですね。アダプトゲン(ストレスへの抵抗力を高める)ハーブとされるのも、オイゲノールを始めとする精油成分の働きが大きく関係していると考えられています。またアーユルヴェーダでは第六チャクラ(第三の目)を開き直感力を高める・セルフコントロールをサポートするとも言われているそうですよ。

体への作用

ホーリーバジルの主成分であるオイゲノールは心身のストレスを和らげるほか、加温作用や消化促進作用を持つと考えられている成分です。このため消化不良や冷えに起因する腹痛などの胃腸の不調、神経性の胃痛などストレス性のトラブルの緩和効果が期待できるでしょう。オイゲノールは制吐作用や鎮痛作用を持つとも言われていますから、胃腸系トラブル全般に役立ってくれる可能性がありますね。

またオイゲノールには鎮痛作用以外に神経麻痺・局所麻酔作用を持つという説もあり、歯痛・頭痛・関節炎・リウマチなどの痛み軽減にも役立つと考えられえています。体を温めてくれる働きもあるので、特に冷えによって悪化している関節炎・リウマチ・月経痛などの痛みの緩和に効果が期待できるでしょう。発汗促進作用や利尿作用を持ち、むくみや冷え性の軽減・デトックス・肥満予防に良いという説もあるようです。

風邪などの感染症予防にも

オイゲノールは高い抗菌・抗ウイルス作用を持つことや、免疫賦活作用を持つ可能性があることも報告されています。このため体を温める作用(加温作用)との相乗効果で、風邪やインフルエンザを始めとする感染症予防にもホーリーバジルは役立つと考えられています。オイゲノールはそのほか軽度の感染症(バクテリア性大腸炎など)にも有効性が示唆されている成分ですから、インドで「家にホーリーバジルを植えていると病気や不幸が入って来ない」と言われているのもまんざら迷信ではないのかも知れません。

その他作用

皮膚利用について

ホーリーバジル精油はオイゲノールによる抗炎症作用や鎮痛作用が期待できるため、希釈して関節炎やリウマチなどの局所的マッサージに取り入れると良いと言われています。また抗菌・抗真菌作用からニキビ予防や水虫ケアに良いという説もありますが、皮膚感作性がある精油でもあるため使用には注意が必要です。利用する場合は0.5%以内に希釈して、パッチテストを行って下さい。粘膜周りには使用しないようにします。

防虫・防カビ

オイゲノールは抗菌作用だけに加えて抗カビ特性というカビの繁殖を抑える働きもあり、優れた昆虫忌避作用を持つ成分でもあります。このためお部屋やタンスに香らせておくと衣服などを虫やカビ臭さから守ってくれると考えられます。ゴキブリ避けとしての有効性も報告されているので、クローゼットの香りにも適しているでしょう、特に虫や湿度が気になる梅雨時期~夏に良さそうですね。ただしクローブなど他のオイゲノールを含む精油でも同様の作用が期待できますから、あえて流通量の少ないホーリーバジルが使われることはあまりありません。

ホーリーバジルの利用について

相性の良い香り

柑橘系の香りと相性がよく、フローラル系やハーブ系の精油とも比較的よく合います。またバルサム感のあるウッディー系オイルとも組み合わせやすいと言われていますが、そのタイプとブレンドするにしろ香りが強めなので少量ずつ加えるようにすると良いでしょう。

【ホーリーバジルのブレンド例】

ホーリーバジル精油の注意点

  • 妊娠中・授乳中の方、小さいお子さんへの使用は出来ません。
  • 疾患のある方・医薬品を服用中の方は使用を避けましょう。
  • 敏感肌の方の場合は皮膚への刺激となる可能性があります。
  • アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
  • 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。
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モミ(トドマツ)精油アロマ・エッセンシャルオイルと期待される効果効能紹介 https://d-nagaya.com/aroma/post-3030/ Wed, 30 May 2018 08:38:47 +0000 https://d-nagaya.com/?p=3030

北海道発の和製油として注目される

Abies sachalinensis1

モミ(トドマツ)とは

近年“和精油”の一つとして取り扱うお店が増えてきたモミ。モミというのはマツ科モミ属の樹木の総称で、日本で植物として単にモミと言った場合は本州から屋久島まで広く分布しているモミ(学名:Abies firma)を指すのが一般的です。しかし和精油でモミとして流通しているものは、前記のモミ以外に北海道~サハリン島(樺太島)に分布するトドマツ(学名:Abies sachalinensis)を原料としたものも使われています。モミ精油=トドマツ精油として販売しているところもありますし、地域・ショップによっても異なりますが流通量もトドマツの精油のほうが多いかもしれません。

呼び名がトドマツと“松”がついておりマツ属(Pinus)の植物のようにも感じますが、トドマツもモミ属に分類される植物。余談ですがエゾマツと言われている植物も分類上はマツ属ではなくトウヒ属(Picea)に分類されるので、常直針葉樹・松っぽい樹木であるということで命名されたのかもしれません。どちらも北海道の針葉樹林の主要樹種とされていますし、北海道では庭木として・建築材料や家具などにも利用されています。トドマツの場合は白っぽい色が好まれたことから卒塔婆やお棺などに使われていたこともあるのだとか。

モミ系精油の種類について

モミ属の植物は世界に約40種あると言われており、精油原料として利用されている樹木も複数存在しています。世界的にはモミ属の樹木(針葉)から採油されたオイルを総称して「アビエスオイル」と呼ぶこともありますが、香料としてはアメリカ大陸産のバルサムファー(学名:Abies balsamea)・ヨーロッパ原産のシルバーファー(学名:Abies alba)の2種、もしくはロシアや東アジア原産のシベリアンファー(学名:Abies balsamea)を加えた3種類がポピュラーな存在となっています。

日本では“モミの木の精油”とアビエスオイルと同様にざっくりと紹介されることもありますが、原材料となる樹木によって含有成分や成分比率が異なるので同じ“モミ”でも香りはバラエティー豊か。例えばバルサムファーであれば甘さのあるさっぱりした森林系の香り・シルバーファーは若干バルサム感があり温かい木の香がすると称されています。

トドマツの精油はほんのりとカンファー感があり、爽やかではあるもののどこか力強さを感じさせる香りと称されています。リモネンが含まれているためか、微かに柑橘系の香りを感じるという方もいらっしゃるそう。ちなみにトドマツは“北海道モミ(HOKKAIDO MOMI)”と紹介されることもありますが、この呼称は北海道上川郡の会社『株式会社フプの森』さんの商標とされています。樹木そのものは松ヤニ臭く、あまり良い香りではないんだとか。

参考元:北海道モミとは | フプの森

基本データ

通称
モミ(Momi/樅)
別名
トドマツ(椴松)、北海道モミ、Sakhalin fir、Todo fir
学名
Abies sachalinensis
科名/種類
マツ科モミ属/常緑高木
主産地
日本(主に北海道)
抽出部位
枝葉
抽出方法
水蒸気蒸留法
ほぼ無色
ノート
トップ~ミドルノート
香り度合い
中くらい
代表成分
カンフェン、ボルニルアセテート、α-ピネン、β-ピネン、リモネン、オシメン、ミルセン
おすすめ
芳香浴・アロマバス・マッサージ・ハウスキーピング

ツンとする樟脳の様な香りを含んだ、スッキリとした森の香り

こんなお悩みにオススメ

【精神面】

  • リラックス・安眠サポート
  • ストレス・神経疲労
  • イライラ・興奮・緊張
  • 気持ちを落ち着けたい
  • 癒やしが欲しい
  • ゆったり寛ぎたい

【肉体面】

  • 風邪・インフルエンザ予防
  • 喉や鼻の不調軽減に
  • 血行不良・冷え性
  • 肩こり・腰痛・筋肉痛
  • 関節痛・リウマチ
  • 消毒・消臭剤代わりに

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モミ(トドマツ)に期待される効果・効能

心への作用

トドマツに限らずモミ属の精油全般において、特徴成分と言えるのがボルニルアセテート(酢酸ボルニル)と呼ばれる成分。松脂系の臭い・ヤニ臭さの元として紹介されることも多くあまり良い香りとは言えない存在ですが、リアルな森っぽさを醸し出しているのはボルニルアセテートのお陰でもあります。またボルニルアセテートは鎮静作用があると考えられていますし、睡眠促進への有効性を持つ可能性も報告されているリラックス成分でもありますよ。

トドマツの精油はボルニルアセテート以外にもα-ピネンやリモネンなど鎮静作用を持つとされる成分が含まれていますし、香りもスッキリとした森の香りなのでリラックスに繋がるでしょう。ストレスが多いと感じる時や気持ち的に疲れている時は森林浴効果による癒やしが期待できます。鎮静成分が多いので緊張・興奮・イライラなど感情コントロールが上手く行かない時にも適していると考えられます。お出かけ前や活動時というよりは、休日や帰宅後のリラックスタイムに適した精油と言えるでしょう。

体への作用

トドマツを含むモミ系精油は殺菌・抗菌作用に優れた存在と考えられています。精油成分の大半を占めているボルニルアセテートにも抗菌効果がありますし、カンフェンを始めとするモノテルペン炭化水素類も抗菌作用・抗ウイルス作用を持つとされています。このため空気を綺麗に保つことで風邪やインフルエンザなどの感染症予防効果が期待されていますし、カンフェンには抗炎症作用も報告されていますから咳・喉の痛み・鼻水など呼吸器系の炎症緩和に繋がる可能性もあります。

そのほかピネンやリモネンなど血行促進作用を持つモノテルペン炭化水素類の含有率が高いため冷え性の軽減や肩こり・腰痛など血液循環不良によって悪化する痛みの緩和に役立つと考えられています。抗炎症作用もあるので筋肉痛や関節痛・リウマチなどの軽減にも効果が期待できるでしょう。

その他作用

皮膚利用について

殺菌・抗菌作用を持つ成分が多く含まれていることから、ニキビや水虫などの皮膚感染症の予防に役立つとされています。ただしモノテルペンの含有率が高いため、皮膚を刺激する可能性があることも否めません。トドマツから採油された精油は使用の歴史が浅くデータが少ない存在でもありますから、自己判断で手作り化粧品などに取り入れるのは避けた方が無難でしょう。使用する場合も、石鹸などの香り付けに少量使う程度にしておくのがオススメです。

お部屋の空気浄化に

シベリアモミなどと同じくモミ(トドマツ)の精油も殺菌・抗菌作用を持つことから、お部屋の空気浄化用としての利用に適していると考えられます。国産精油の中ではお値段も安めの部類なので使い勝手も良いでしょう。そのほか消臭作用が期待できるという説もありますから、クローゼットや押入れなどに芳香剤を兼ねて使ってみても良いかもしれません。

モミ(トドマツ)の利用について

相性の良い香り

樹木系同士のブレンドや柑橘系の精油とブレンドしやすい香りです。

【トドマツのブレンド例】

モミ(トドマツ)精油の注意点

    基本的な精油の利用法を守っている場合は、特に問題はないとされています。

  • 妊娠中・授乳中の方や、小さいお子さんへの使用は控えた方が確実です。
  • 皮膚を刺激をする可能性があるため、敏感肌の方は注意して利用しましょう。
  • アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
  • 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。
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ガランガル精油アロマ・エッセンシャルオイルと期待される効果効能紹介 https://d-nagaya.com/aroma/post-2981/ Mon, 14 May 2018 08:50:50 +0000 https://d-nagaya.com/?p=2981

東南アジアで利用されるショウガの仲間

ガランガル(タイショウガ)

ガランガル(カー/タイショウガ)とは

ガランガルはインドネシアやタイなどで香辛料として用いられているショウガ科の植物で、ショウガとよく似た根茎が主にスパイス・ハーブとして利用されています。日本ではタイ料理ほかエスニック系料理がお好きな方以外には馴染みのない香辛料ですが、タイ料理の普及やタイフェス開催などで少しずつ名前が知られつつあるんだとか。一応和名としては“ナンキョウ”とされていますが、トムヤンクンやトムカーガイなどに入っているものはタイ語の呼び方である「カー」と呼ばれていますし、ショウガのような見た目と風味から「タイショウガ」と呼ぶこともあるので、この2つの呼称のほうが馴染みがある・聞き覚えがあるという方も少なくないかもしれません。

タイ料理だけではなく南アジア~東南アジア全域で日常的に使われているスパイスと紹介されるガランガルですが、実は地域によって様々な種類があり同一のものを指している訳ではないのだそう。ポピュラーなものとしても大ガランガル(Greater galangal)・小ガランガル(Lesser Galangal)の2つが挙げられており、前者がタイ料理の「カー」として利用されているもの。後者は和名をリョウキョウ(学名:Alpinia officinarum)という別種で、呼び名の通りサイズが小さく辛味が強いのが特徴です。そのほか別属・別科の植物も広義ではガランガルに含まれています。ちなみに「ガランガル(galangal)」という呼び方は英語で、語源は諸説ありハッキリしていません。

ガランガルは中国南部や東南アジアあたりのエリアが原産と考えられており、中国では1500年以上前から胃炎や口臭対策に良い生薬として利用されていたと伝えられています。タイやインドネシアでも単なるスパイスとしてだけではなく薬効のある植物と考えられ、お腹の薬として消化促進・腹部膨満感・寄生虫駆除などに利用されていたそう。地域によっては乾燥させたパウダーを外用薬として虫刺されや皮膚病に使ったり、ガランガルとライムの絞り汁を混ぜて強壮剤のように利用したりと、その用途は広かったようです。前記の通りガランガルは複数植物を含む呼称なので小ガランガルや他植物の利用も含まれていると考えられますが、現在も大ガランガルはアジアで民間薬として利用されています。

そんなガランガルを原料とした精油ですが、こちらも日本ではかなりマニアックな存在で取扱も多くありません。ショウガ科植物としてはジンジャーがありますし、ガランガルと同じくハナミョウガ属の月桃(ゲットウ/サンニン)も近年和製油として注目されているので影が薄い・輸入するほどの需要がないという事かもしれません。東南アジアや南アジアで広く利用されていること・精油成分の働きなどから私達の身体へも有益な働きかけが期待されていますが、利用者が少ない=安全性等のデータが少ない精油ですし、刺激が強いことも指摘されていますから注意して利用するようにして下さい。

基本データ

通称
ガランガル(Galangal)
別名
ナンキョウ(南姜/南薑)、タイショウガ、シャムジンジャー、大ガランガル(Greater galangal)、カー
学名
Alpinia galanga
科名/種類
ショウガ科ハナミョウガ属/多年草
主産地
インド、タイ、インドネシア、中国など
抽出部位
根茎
抽出方法
水蒸気蒸留法
淡黄色
ノート
ミドルノート
香り度合い
中~強
代表成分
1,8シネオール、酢酸ゲラニル、酢酸シトロネリル、リナロール、β-ピネン、α-ピネン、β-カリオフィレン、カンフェンなど
おすすめ
芳香浴・マッサージ・スキンケア・ヘアケア

やや甘みのある、ジンジャー様のスパイシーな香り

こんなお悩みにオススメ

【精神面】

  • リフレッシュしたい
  • 神経疲労・疲労感
  • ストレス・プレッシャー
  • 前向きさが欲しい
  • 集中力を高めたい
  • 直感力を高めたい

【肉体面】

  • 風邪予防・初期症状ケア
  • 喉や鼻の不調に
  • 消化不良・食欲不振
  • 血行不良・冷え性
  • 疲労回復・筋肉痛
  • 関節炎・リウマチ

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ガランガルに期待される効果・効能

心への作用

ガランガル精油の香りは全体的にスッキリめな印象ですが、ウッディーさ・甘さ・スパイシーさと様々な要素を含んでいます。精油成分としてもスッキリとした香りを持つ1,8シネオール、甘い香気がある酢酸ゲラニルやリナロールなど様々な成分が含まれています。精神面への働きかけを期待してガランガル精油が用いられることは少ないですが、これらの成分による働きかけから気持ちを前向きにする手助けをしてくれるのではないかと考えられています。

スパイシーで刺激的な香りはリフレッシュに繋がりますし、リナロールなど抗うつ・抗不安作用が期待される成分も含まれています。ストレス性の神経疲労・プレッシャーを感じていたりネガティブになっている時にも適しているでしょう。 Lotus Garden Botanicalsさんのページでは媚薬的な働きを持つ可能性や、直感力を高める可能性などもあると書かれています。ジンジャーや月桃精油も集中力や記憶力を高める働きが期待されていますから、仕事中や勉強中など活動時の香りに取り入れてみても良いかもしれません。

体への作用

ガランガル精油の主成分はオキシド類(酸化物類)に分類される1,8-シネオールです。1,8-シネオールは抗菌・抗ウィルス作用があると考えられており、免疫力調整や抗炎症作用もあることから呼吸器系トラブルに対して優れた効果があるとされている成分。ユーカリの代表成分で別名“ユーカリプトール”とも呼ばれています。この1,8-シネオールを多く含むことから、ガランガル精油も風邪予防や呼吸器系の不調軽減に繋がると考えられます。

またガランガルは伝統医療の中で消化器系の不調改善に取り入れられてきた植物でもあり、精油として利用した場合も食欲不振・消化不良・吐き気・鼓腸(腹部膨満感)などの軽減に良いとされています。他ショウガ科精油と同様に血液循環促進や体を温める働きを持つという説もありますから、そちらからもお腹の調子を整える事に繋がっているのかもしれませんね。血行促進作用や抗炎症作用から筋肉痛・疲労回復促進や、関節炎・リウマチのなどの軽減にも効果が期待されています。

その他作用

皮膚利用について

ガランガルは1,8-シネオールなどの働きから、皮膚に対しても抗菌・抗ウィルス作用や抗炎症作用を持つと考えられています。伝統的には皮膚感染症のケアなどにも用いられるのだとか。そのほか傷や炎症の回復を早めるという説もありますが、皮膚刺激性を持つ成分が多いので使用は避けたほうが良いでしょう。マッサージオイルなどに利用する場合も低濃度に希釈し、皮膚の厚い部分からパッチテストを行うようにして下さい。

ガランガルの利用について

相性の良い香り

柑橘系・スパイス系の精油と相性が良いとされていますが、そのほかの系統とも組み合わせやすい香りです。

【ガランガルのブレンド例】

ガランガル精油の注意点

  • 妊娠中・授乳中の方、小さいお子さんへの利用は避けましょう。
  • 皮膚刺激があるため、芳香浴の場合でも敏感肌の方は注意して使用してください。
  • アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
  • 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。
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ロベージ/ラベージ/ラベッジルート精油アロマ・エッセンシャルオイルと期待される効果効能紹介 https://d-nagaya.com/aroma/post-2942/ Sat, 21 Apr 2018 09:27:28 +0000 https://d-nagaya.com/?p=2942

ヨーロッパではポピュラーなハーブ

ロベージ(ラベッジ)とは

ロベージは日本では馴染みのないハーブの一つで、英名“Lovage”からラベージやラベッジなど人によって呼び方も様々な存在。植物としてはセリ科に分類されており、全体的な見た目もフェンネルやコリアンダーなど同科の植物と似た印象があります。原産地はヨーロッパ説・アジア説南西部・地中海東部説など諸説あり分かっていません。原産地として有力なヨーロッパではポピュラーなハーブの一つとされており、葉・茎・種・根とほぼ全てがハーブもしくは食材として利用されています。ヨーロッパでは食品・アルコール類やタバコをはじめ石鹸や化粧品類などの“香り”としてもポピュラーで、他のハーブを紹介する時の引き合いとしても使われるほどだとか。

ロベージは古代ギリシアやローマでは既にスパイスとして利用されていたと伝えられており、古代ローマの料理レシピ集『Apicius(アピシウス)』にも記述が見られます。また古代ギリシアの医者であり、薬理学と薬草学の父とも言われるディオスコリデスも用いていたと言われています。
12世紀には中世ドイツのベネディクト会系女子修道院長でドイツ薬草学の祖とされるヒルデガルト・フォン・ビンゲン(聖ヒルデガルト)が咳・腹痛などの軽減に良いハーブとして勧めたとも伝えられています。その関係か中世では修道院の薬草園でよく栽培されていたことから「修道院のハーブ」と呼ばれることもあるのだとか。そのほか中世には種子が媚薬の材料として使われていたことから「愛のパセリ(Love Parsley)」とも呼ばれていたそうですよ。

食材としてロベージの茎部分はセロリに似た風味・食感があるため野菜としてサラダやピクルスなどに使われています。葉はセロリやフェヌグリークの葉に似た風味でハーブ・香味野菜の感覚でとしてスープなどに、種子はスパイスとしてパンやお菓子などの風味付けに利用されています。根も野菜として利用されそのまま、もしくはすりおろしてサラダにして食べられています。またハーブティーとしても古くから重宝されており、ラベージルートの根を使ったハーブコーヒーなども作られています。ヨーロッパの自然療法や民間療法の中でロベージティーは消化促進剤や利尿剤として用いられることもあるようです。

精油の場合は根から抽出されるもの・葉や種子から抽出されるものと、大きく2つの系統があります。流通しているものとしては根を原料としたもののほうがポピュラーなため、特に日本では単に「ロベージ(ラベージ)精油」と言った場合には根を原料とする精油を指すのが一般的。ただし区分するために“ロベージルート”と呼び分ける場合もあります。ちなみに葉・種子を原料とする精油は根よりも劣るという見解が強いですが、香りはロベージルートよりもライトで甘めなので好みにもよるでしょう。
ロベージの精油は基本的に赤みがかった黄色から赤褐色系の色をしていますが、蒸留したての精油は綺麗なパープルの色をしているそうです。酸化が早いので消費者の手に届く頃には褐色系の色になっているのだとか。

基本データ

通称
ロベージ(Lovage)
別名
ラベージ、ラビッジ、ラベッジ、ロベージルート
学名
Levisticum officinale
科名/種類
セリ科レビスティクム属/多年草
主産地
ドイツ、フランス、ハンガリー
抽出部位
根部
抽出方法
水蒸気蒸留法
琥珀色~オリーブ色
ノート
ベースノート
香り度合い
強い
代表成分
フタリド類(リグスティライド、ブチリデンフタライド)、ペンチルシクロヘキサディエン、β-フェランドレン、β-ピネン、α-ピネン、リモネン、ミルセンなど
おすすめ
芳香浴・アロマバス・マッサージ

アンジェリカやセロリに似た、重く甘いハーバル調の香り

こんなお悩みにオススメ

【精神面】

  • ストレス・緊張・疲労感
  • 無気力感・憂鬱感
  • 気持ちの落ち込みに
  • リラックスしたい時に
  • 前向きになりたい時に

【肉体面】

  • 消化不良・胃もたれ
  • お腹のハリ・便秘
  • デトックスサポートに
  • 月経不順・生理痛軽減
  • 筋肉痛・リウマチの緩和

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ロベージ(ラベッジ)に期待される効果・効能

心への作用

重めの香りのため好き嫌いは分かれるものの、ローベジの温かみのある香りには鎮静作用があるとされており、気持ちを安定させる働きが期待されています。ストレスや緊張を和らげてくれると考えられることから精神面での疲労感や無気力感などの軽減にも役立ってくれるでしょう。また気持ちを落ち着けることで前向きさを摂り戻るサポートをしてくれるとも言われていますから、ネガティブになっている時や気持ちが落ち込んで憂鬱な時に香らせてみても良いかもしれません。そのほか催淫作用を持つ精油の一つにも数えられており、愛情を持ちたい・感じたい時に良いという説もありますよ。

体への作用

古くから消化を助けるハーブとして用いられてきた歴史もあり、ロベージは精油としても消化機能のサポートに優れた存在と考えられています。健胃・消化促進をはじめ緩下作用や駆風作用があるとされていますから、胃もたれ軽減のほかお腹の張りがある時・便秘気味の時に用いられることもあるようです。

また肝臓の働きを助ける・解毒機能を高めるという説があることや利尿作用も期待できるので、むくみ対策やデトックスサポートとしても取り入れられています。解毒機能を高めることで血液を綺麗に保つ=浄血作用がある精油として、血圧降下や痛風予防などの効果も期待されています。

女性のサポートにも

ローベジ(ラベッジ)は同じセリ科に分類される生薬の当帰(トウキ)や川芎(センキュウ)と近い働きも持つと称されることもあります。芳香成分としても当帰や川芎と同じく鎮痛や鎮痙作用を持つと考えられるリグスチリド(リグスティライド)やブチリデンフタリドなどのフタリド類が含まれており、生理痛を始めとする月経困難症の軽減に効果が期待されています。通経作用を持つ精油とされているため妊娠中の利用は出来ませんが、月経不順の緩和に繋がる可能性もあるでしょう。

その他作用

皮膚利用について

ローベジ精油は殺菌消毒作用や防腐作用があることからヨーロッパでは石鹸類などに加えられているようです。またセロリシードオイルよりもフタライド類を多く含むため抗色素沈着作用・美白効果があるとする説もありますが、光毒性があることや皮膚を刺激する可能性があるため使用には注意が必要。日本ではスキンケアなどに用いられることはほぼありません。

鎮痛・鎮痙作用などから筋肉痛やリウマチなどの痛みの緩和に有効とされており、温湿布やマッサージなどに用いられている程度です。低濃度に希釈して用いる場合でも肌が弱い方・体力が落ちていたり月のリズムなどで肌が敏感になっている場合などは炎症を起こす可能性があるため、注意して使用しましょう。

ロベージ(ラベッジ)の利用について

相性の良い香り

ローベジ精油は当サイトではハーブ系に分類していますが、香りの印象からスパイス系に分類されることもある存在。ブレンド相性としても似た印象を持つスパイス系との相性が良いとされています。また香りの強いフローラル系やハーブ系の香りとも比較的組み合わせやすいでしょう。ローベジ精油は香りがかなり強いため、ブレンド時には少量ずつ使うようにすると失敗しにくいです。

【ロベージのブレンド例】

ロベージ精油の注意点

  • 妊娠中・授乳中は使用できません。
  • 光毒性があるとされる精油のため、使用後は紫外線を避けましょう。
  • 敏感肌の方は刺激となる場合があるため使用に注意が必要です。
  • アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
  • 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。
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バルサムペルー精油アロマ・エッセンシャルオイルと期待される効果効能紹介 https://d-nagaya.com/aroma/post-2909/ Thu, 05 Apr 2018 08:38:25 +0000 https://d-nagaya.com/?p=2909

バニラのような甘い香りが特徴

Balsamum peruvianum2

バルサムペルーとは

バニラを連想させる温かく甘い香りが特徴的なバルサム・ペルー。原料となるのは中南米で育つマメ科のペルーバルサム(学名:Myroxylon balsamum var.pereirae)という樹木で、香料・精油原料として利用されるのは主に樹脂。名称からペルー特産のような印象も受けますが実は「ペルー」というのは誤称だそう。中南米をスペインが支配していた時代にペルーのリマ辺りで収集してヨーロッパへと出荷されていたため、ペルー産という扱いになったと言われています。

バルサムペルーは同じく中南米に自生する近縁種トルーバルサム(Myroxylon balsamum var.balsamum)と共に、古くから中央~南アメリカで生活していた人々に用いられてきました。先住民たちはバルサムノキ属の樹脂を傷や皮膚病のケアからリウマチ軽減・ダニ対策・風邪や気管支炎などの呼吸器系の症状緩和に利用してきたと伝えられています。17世紀にはドイツ薬局方にも収載され、ヨーロッパでも傷の治療などに取り入れられるようになります。

現在でもバルサムペルー樹脂から抽出される精油もしくは抽出物はヨーロッパで傷やかぶれ用の軟膏に配合され、医薬品にも使われているそう。そのほか甘くスモーキーな香りから清涼飲料やアルコール飲料類・お菓子などに食品香料として用いられていますし、オリエンタル調の香水・石鹸や化粧品類・脱臭芳香剤などの香料としても広く使われています。

採油は蒸留装置内の圧力を下げることで沸点を下げ蒸留する真空蒸留もしくは減圧蒸留で抽出されているものが一般的。200mmHg以下の圧力下であれば真空蒸留・200mmHg以上の場合には減圧蒸留と呼ばれています。ちなみに“分子蒸留”と呼ばれるのは真空蒸留よりもさら圧力が下がった状態(0.1Pa以下)で行う高真空蒸留のこと。圧力が下がるほど沸点が下がる=低い温度で蒸留が行われるため成分の損失・化学変化を起こしにくいことがメリットとして挙げられています。そのほか木部から水蒸気蒸留で得られた精油もありますが、品質が落ちると評されています。

バルサム系精油の種類について

バルサムというのは粘稠性の樹脂全般を指す言葉ため、バルサム樹脂を採取することが出来る樹木というのは非常に多くの数が存在しています。精油でも名称に「バルサム」と付けられているのもはいくつかありますが、比較的ポピュラーなものとしてはバルサムキ属に属すバルサム・ペルーとバルサム・トルー、同科別属のバルサムコパイバ、マツ科のバルサムモミ(カナディアンファー)などが挙げられます。このうちバルサムモミは一般的に枝葉が原料のため、香りとしてはバルサムではなく爽やかな印象のウッディー系。同科で樹脂を原料とするコパイバも軽い甘さを持ちつつウッディー寄りの香りとなっています。このように名前に同じ“バルサム”が付いていても香りや成分には大きな違いがあるため注意が必要です。

種としては非常に近いバルサムペルーとバルサムトルーは香りも似た傾向にありますが、トルーバルサムはややフローラル感のあるライトな甘さ・ペルーバルサムはよりバニラ感のあるお菓子っぽい香りと称されています。また似たような作用を持つとされる2つですが、トルーバルサムは呼吸器系・ペルーバルサムは皮膚炎症に良いという見解もあります。ただしどちらの精油も皮膚刺激性が高く感作性がある・接触性アレルギーを起こしやすいことが指摘されています。皮膚に対する有効性も報告されていますが、皮膚に触れるような利用には注意が必要。敏感肌・アレルギー体質の方であれば芳香浴や手作り香水として使用する場合も注意したほうが良いでしょう。

基本データ

通称
バルサムペルー(Balsam of Peru)
別名
ペルーバルサム(Peru balsams)、ブラックバルサム(Black Balsam)
学名
Myroxylon balsamum var.pereirae
(Myroxylon pereirae)
科名/種類
マメ科バルサムノキ属/高木
主産地
アメリカ合衆国、エルサルバドル
抽出部位
天然樹脂
抽出方法
真空蒸留法/溶剤抽出法
(※木部・樹皮を水蒸気蒸留したものも有)
淡めの琥珀色~赤褐色
粘性
高い
ノート
ベースノート
香り度合い
中~やや強め
代表成分
安息香酸ベンジル、桂皮酸ベンジル、ベンゾイン酸ベンジル、ネロリドール、ファルネソール、バニリン
おすすめ
芳香浴・アロマバス・マッサージ・スキンケア・ヘアケア

温かみのあるスモーキーさを含む、バニラに似た甘い香り

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こんなお悩みにオススメ

【精神面】

  • ストレス・神経疲労
  • 緊張・不安・イライラ
  • 気持ちの落ち込み
  • リラックスしたい時に
  • 心のバランスを整えたい
  • 前向きになりたい時に

【肉体面】

  • 咳・風邪のひきはじめに
  • 気管支炎や喘息の緩和に
  • リウマチなどの軽減に
  • 傷・ひび割れのケアに
  • 水虫・疥癬などの皮膚感染症予防

バルサムペルーに期待される効果・効能

心への作用

温かく甘いパルサムペルーの香りは不安や緊張を和らげることで、心を穏やかに保つサポートをしてくれると考えられています。精神的なストレスによる疲労感やイライラ・気持ちの落ち込みを軽減し、前向きさを取り戻す手助けにもなってくれるでしょう。香りとしても成分としてもベンゾインに近い感覚の精油と言われており、高い鎮静作用が期待されていますから瞑想用にも使えそうですね。不眠対策に良いという説もあります。

体への作用

バルサムペルーもバルサムトルーと同様に消毒・去痰・抗炎症作用などがあると考えられています。古くは中南米の先住民が風邪や気管支炎などの呼吸器系に用いていたとも言われ、現在でも呼吸器系のケアに役立つ精油とされています。また抗炎症作用を持つとされる成分を含むことに加え、身体の各器官を刺激・覚醒させるという見解もあることから関節リウマチなどの慢性疾患の軽減や低血圧の改善サポートに用いられることもあるようです。

その他作用

皮膚利用について

バルサムペルーは優れた癒傷・瘢痕形成作用を持つと考えられ、軟膏などの成分にも配合されています。この働きから切り傷・擦り傷をはじめ、床ずれ・オムツかぶれ・乾燥肌・肌のひび割れケアなど様々な用途で用いられています。加えて抗細菌・抗真菌作用があるとされており、安息香酸ベンジルの割合が高いことから抗寄生虫作用も高いと考えられています。このためシラミやダニ対策・ヒゼンダニによる疥癬などの皮膚疾患軽減にも効果が期待されていますし、白癬(水虫など)やマラセチア対策に繋がる可能性もあるでしょう。

バルサムペルーオイルは皮膚を清潔に保つサポートをしてくれる他、酸化防止・防腐作用もあるため手作り石鹸・自然派コスメなどに加えられることもあります。皮膚に対して様々な働きが期待されている精油ですが、上記でもご紹介したとおり感作性(アレルギー誘発性)があり刺激も強い精油とされています。バルサムペルーの利用が多い欧米では接触皮膚炎についての報告も多く、欧州委員会他いくつかの機関から注意喚起もなされているようです。いきなり希釈したオイルを皮膚・炎症部位に利用すると炎症を悪化させてしまう可能性もありますので、しっかりとパッチテストを行った上で利用するようにしましょう。

バルサムペルーの利用について

相性の良い香り

オリエンタル系の香りとの相性が非常に良い精油です。そのほかフローラル系やスパイス系などとも組み合わせやすく、揮発保留剤としてもブレンドに使われています。

【バルサムペルーのブレンド例】

バルサムペルー精油の注意点

  • 妊娠中・授乳中の使用は避けましょう。
  • 刺激・感作性ともに強いと考えられている精油ですから、体調を確認しつつ低希釈で使用しましょう。芳香浴として利用しても精油成分が皮膚に付くことでアレルギーを起こす場合があります。
  • アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
  • 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。
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コウヤマキ(高野槇)精油アロマ・エッセンシャルオイルと期待される効果効能紹介 https://d-nagaya.com/aroma/post-2869/ Wed, 21 Mar 2018 08:05:38 +0000 https://d-nagaya.com/?p=2869

高野山の霊木とも言われる、日本固有種

Sciadopitys verticillata 8zz

コウヤマキ(高野槇)とは

フレッシュな森林系の香りを持つ、国産精油として注目されているコウヤマキ。樹木としては和歌山県にある真言宗の総本山“高野山”の周辺に多く生えていることが知られており、コウヤマキ(高野槙/高野槇)という呼称も高野山に由来しています。ヒノキ・サワラ・アスナロ・ネズコと共に「木曽五木」としても有名ですね。
コウヤマキは植物分類でかつてはスギ科に分類されていたこともあるそうですが、現在ではコウヤマキ科に独立して扱われ一科一属一種とされています。コウヤマキは別名ホンマキ(本槙/本槇)とも呼ばれているため近縁種があるように感じますが、一般的に“マキ”と呼ばれているのはマキ科のイヌマキという種なので全く別物。

現在でこそ日本固有種とも呼ばれるコウヤマキですが、かつては北半球に多く分布していたと考えられています。しかし北米やヨーロッパなどでは新第三紀~更新世にかけて絶滅し、現在では日本と済州島のみ残存していると言われています。このためイチョウとともに生きた化石と称されることもあります。絶滅を免れた日本では古くから木材として利用されており、『日本書記』や『古事記』などの文献では杉・ヒノキ・クスノキ・コウヤマキが日本で最初に生まれた樹木として登場しています。伝説ではコウヤマキがスサノオノミコトのお尻の毛から変化して出来た樹木とされているのだとか。余談ですこの伝説ではがスサノオの髭は杉・胸毛がヒノキ・眉毛がクスノキにと、全ての樹木は彼の体毛から出来たとされています。

またスサノオは「スギとクスノキは舟に、ヒノキは神殿に、コウヤマキは棺に使うように」と言ったとされており、実際に古墳からもコウヤマキを木棺材として用いたものが出土しています。もちろん棺以外にも建材として広く利用されてきた樹木で、現在でも腐りにくい性質から湯船材・橋梁材として高く評価されています。そのほか高野山では霊木とされており、周辺地域では花の代わりにお墓・仏前の“お供え”として用いられることもあるそう。また近年では大阪歯科大学からコウヤマキ抽出物に殺菌作用があることが報告されており、オーラルケア用品にも使われています。

霊木として愛され、また様々な用途があるコウヤマキですが、個体数が激減していることから地域によっては準絶滅危惧種として指定されています。精油の原料は枝葉のため木を切り倒す訳ではありませんが、1kgから1mlと採油率が低いこともあり希少な精油とされています。このため同じ和アロマでもヒノキなどと比べると流通量や知名度は劣りますが、日本の航空会社がファーストクラス用のおしぼりの香り付けに使ったとTVで報じられたことなどから注目が高まっているようです。香りとしてはクロモジヒノキなどの森林系和アロマの中でもシャープな印象が強く、フレッシュでありながらも芯の太さを感じます。

基本データ

通称
コウヤマキ(高野槇/Kouyamaki)
別名
本槙(ホンマキ)、Japanese Umbrella-pine
学名
Sciadopitys verticillata
科名/種類
コウヤマキ科コウヤマキ属/常緑針葉樹
主産地
日本(和歌山県)
抽出部位
葉、枝
抽出方法
水蒸気蒸留法
ほぼ無色~淡黄色
ノート
ミドルノート
香り度合い
中くらい
代表成分
α-ピネン、リモネン、ミルセン、β-カリオフィレン、セドロール、セドレンなど
おすすめ
芳香浴・アロマバス・マッサージ

フレッシュさと奥行き感を持ち合わせた、荘厳な森の香り

こんなお悩みにオススメ

【精神面】

  • ストレス・緊張
  • イライラ・興奮
  • 神経疲労・疲労感
  • 心を強く持ちたい
  • 気持ちを落ち着けたい
  • リラックスしたい
  • 眠りのサポートに

【肉体面】

  • ストレス性の不調に
  • 食欲不振・消化不良
  • 血行不良・むくみ
  • 冷え・冷えによる痛み軽減
  • 肉体疲労・筋肉痛軽減
  • 免疫力アップ・風邪予防
  • デオドラント(消臭)に

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コウヤマキに期待される効果・効能

心への作用

コウヤマキ精油の主成分はヒノキなどと同じくモノテルペン炭化水素類のα-ピネンで、比率としては7割近くとヒノキ以上のα-ピネンを含んでいると考えられています。α-ピネンは森林浴効果を持つと称されている成分であり、リフレッシュ効果や強壮効果が期待されています。このためコウヤマキの精油は鎮静・強壮作用によってイライラや興奮を鎮め、心を落ち着けてくれる働きがあると考えられています。精神的な緊張やストレスが多いなぁと感じる時、心が疲れていると感じている時のサポートとして役立ってくれるでしょう。

香りも好き嫌いの少ないスッキリとしたウッディー系で、和精油でもあるだけに懐かしさがありホッとする香りでもありますね。またメーカーによって成分分析表に記載されているもの・されていないものがありますが、セドロールという成分も自律神経系に作用し肉体・精神ともにリラックス状態を作り出すサポートをしてくれると考えられています。嗅ぐことで脳波のα波の増加が見られたという報告もなされていますから、リラックスタイムやお休み時の香りとして取り入れてみても良いでしょう。

体への作用

ストレスサポートとして高い効果が期待されるため、コウヤマキは心因性の不調軽減に役立つと考えられています。セドロールも嗅ぐと心拍数・呼吸数・血圧を低下させる働きがあるのではという説がありますから、精神面に起因する動機や高血圧などの緩和に繋がる可能性もありそうですね。また若干ではありますが健胃・消化促進・整腸など胃腸機能サポートに役立つとされるリモネンも含まれていますから、消化不良・胸のつっかえ感・食欲不振などの軽減にも効果が期待できるでしょう。

加えてコウヤマキ成分の主成分と言えるα-ピネンは血行促進や鬱滞除去作用があるとされている成分。このため血液循環を促すことで冷え性やむくみの軽減、血行不良によって悪化する腰痛や神経痛などの痛みの緩和に役立つと考えられます。α-ピネンには強壮作用も期待できることから、血行促進と合わせて肉体面の疲労回復を促す働きも期待できるでしょう。そのほかα-ピネンには抗菌作用や免疫機能賦活作用を持つ可能性も報告されているため、風邪やインフルエンザ予防としても期待されています。

その他作用

皮膚利用について

コウヤマキ精油はスキンケアなど用いられることはほぼありません。抗菌作用・消臭作用が期待出来ることからデオドラント用としてアロマバスなどに加えると良いと言われています。ただし主成分であるα-ピネンは皮膚への刺激性が強いことが指摘されている成分のため使用には注意が必要。お湯に精油を垂らすのではなく、湯船の外に小皿を置くなどした方が無難でしょう。敏感肌の方の場合では蒸気でも皮膚に刺激を感じる場合がありますので、使用量や濃度に特に注意して下さい。

コウヤマキの利用について

相性の良い香り

ウッディー系と相性がよく、ブレンドすることでより“森”っぽさのある深い香りを楽しむことが出来ます。そのほか柑橘系全般とも相性がよく、ハーブ系とも比較的組み合わせやすいでしょう。

【コウヤマキのブレンド例】

コウヤマキ精油の注意点

  • 妊娠中・授乳中の方、小さいお子さんへの使用は避けましょう。
  • 高濃度での使用は皮膚を刺激する場合があるため肌の弱い方は使用に注意が必要です。
  • アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
  • 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。
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カナンガ精油アロマ・エッセンシャルオイルと期待される効果効能紹介 https://d-nagaya.com/aroma/post-2830/ Mon, 05 Mar 2018 08:53:21 +0000 https://d-nagaya.com/?p=2830

イランイランの仲間で、香りも似ている

カナンガ

カナンガとは

カナンガはアジアの熱帯地域に分布する樹木。学名はCananga odorata var. macrophyllaとされており、植物分類ではイランイラン(Cananga odorata var. genuina)と非常に近い存在です。違いは「var.(変種名)」だけですから、感覚としてはタンジェリンとマンダリン程度の違いと言えます。カナンガとイランイランは樹木や花などの外見も見分けがつかない程似ていると言われていますし、香りも非常にイランイランに近いとされています。ただし濃厚に甘いイランイランに対し、カナンガは若干草や木を感じさせるような香りを含んでいることが特徴です。

この香りからカナンガの精油はイランイランと比べると繊細さに欠けるとされ、イランイランの下のランクという扱いをされることが多い存在。価格面でもイランイランよりも安いため量販品の“イランイランの香り”のフレグランスオイル・芳香商品などに代替え品として使われることもあるようです。また通常学名は属名+種小名で表記されるだけであり、香りも似ているためカナンガ精油をイランイラン精油として販売しているメーカーもあるそう。
逆に品質の劣っている・3級以下のグレードが低いイランイラン精油をカナンガオイルとして売っていることもあると言われています。こうした状況から販売されているイランイラン精油やカナンガ精油が表記通りの原材料から採油されているかは微妙な所、という指摘も多いようです。

イランイランよりも劣る・安価であるとマイナスのイメージを持たれがちなカナンガですが、実のところ香りの好みは人それぞれ。イランイランの独特な甘さが重くて苦手な方の場合は、カナンガの香りの方が心地よく感じるというケースも少なくないようです。カナンガは甘めでも甘ったるくなりすぎないという特徴から、男性用香水などに用いられることもあるそう。イランイランにしろカナンガにしろ商品名の表記については悪い噂が少なくない精油ですから、実際に自分の鼻で香ってみて好みに合うものを購入されるのが確実でしょう。

ちなみに香りが違うことからも分かるように、精油の成分比率もイランイランとカナンガは若干異なります。イランイランは製造者やグレードによって精油成分の含有率が大きく異なるため一概には言えませんが、カナンガオイルはβ-カリオフィレンが多い傾向にあります。カナンガはイランイランの下位版として扱われていた関係もあり、アロマテラピーなどではほとんど扱われない精油です。そのため期待できる働きについては分かっていない部分が多いとされていますが、微量成分を含めると100種類以上の芳香成分を含んでいることから何らかのメリットが有るのではないかという見解もあります。

基本データ

通称
カナンガ(Cananga)
別名
学名
Cananga odorata var. macrophylla
科名/種類
バンレイシ科イランイランノキ属/高木
主産地
インドネシア(ジャワ島)、フィリピン、マダガスカル
抽出部位
抽出方法
水蒸気蒸留法
淡黄緑色~オレンジ色
ノート
ベース~ミドルノート
香り度合い
中~強め
代表成分
β-カリオフィレン、ゲルマクレンD、リナロール、リモネン、酢酸ゲラニル、酢酸ベンジル、ベンジルアルコール、ファルネソールなど
おすすめ
芳香浴・アロマバス・マッサージ・スキンケア・ヘアケア

イランイランとよく似ているが、少しグリーン感・ウッディ感を含む香り

こんなお悩みにオススメ

【精神面】

  • ストレス・神経疲労
  • 緊張・不安・イライラ
  • 気持ちの落ち込み・憂鬱感
  • 情緒不安定な時に
  • 気持ちを明るくしたい
  • 心を強く持ちたい

【肉体面】

  • ストレス性の不調に
  • 動悸・高血圧・過呼吸
  • 風邪などの予防に
  • PMS・更年期障害軽減
  • 虫刺され・かゆみ軽減
  • 脂性肌ケア・抜け毛予防

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カナンガに期待される効果・効能

心への作用

イランイランと似た香りを持つカナンガの精油も、ストレスや不安・気持ちの落ち込みなどのサポートとして役立ってくれるのではないかと考えられています。成分的に見ても主成分であるβ-カリオフィレンは不安を和らげる作用(抗不安作用)が高いことが報告されていますし、鎮静作用や神経バランス回復作用が期待できるモノテルペンアルコール類やエステル類も含まれています。このためカナンガ精油も心が疲れてしまった時や緊張している時に、穏やかな気持ちになることで心を安定させる手助けをしてくれるのではないかと考えられています。

また精神を高揚させる働きが期待される酢酸ベンジルなどを含むことから、落ち込んでしまった心を盛り上げてくれる働きも期待されています。神経疲労で無気力感や抑うつっぽい状態になっている時にも役立ってくれそうですね。イランイラン同様にストレスやイライラなどの軽減・落ち込んだ気持ちを前向きに切り替える手助けなど、幅広い心の不調サポートに役立つと考えられています。

体への作用

神経系に優れた鎮静作用を発揮すると考えられることから、動悸・頻脈・息切れ・過呼吸・高血圧などの軽減に役立つのではないかと言われています。ストレス性の不調軽減にも役立ってくれるでしょう。また原産地の民間医療では感染症の治療に用いられてきた歴史があること、成分的にも抗菌・抗ウィルス作用が期待できることから風邪や呼吸器系の不調に役立つのではないかという説もあります。

そのほかカナンガの精油成分の中でも含有率の高いβ-カリオフィレンは女性ホルモン変動による精神的不安を和らげる働きがあるとも言われています。精神面での働きかけと合わせてPMS(月経前症候群)や更年期障害によるイライラほか精神面の諸症状軽減にも効果が期待できるでしょう。

催淫作用について

カナンガの香りにもイランイランと同じく催淫作用があると言われています。理由としてはイランイランと同じく天然ジャスミン香の主成分で「ジャスミンのような甘い香り」の元となる“酢酸ベンジル(ベンジルアセテート)”という成分を含むため。この酢酸ベンジルの甘い芳香は一種のフェロモンとして働くことが報告されていることから、性的な興奮を高めるのではないかと期待されています。メンタル面のサポートと合わせて性的行為に不安やコンプレックスがある方に良いかもしれません。

その他作用

肌・髪への働きかけ

抗菌作用やβ-カリオフィレンによる抗炎症作用から、カナンガ精油は虫刺されのケアに役立つと言われています。また肌に対しては皮脂分泌調整や皮膚の強壮作用が期待されており、スキンケアにも用いられることがあるそう。イランイランと同様に頭皮に対しても皮脂バランスを整える働きや刺激・強壮作用が期待できる精油とされており、髪を綺麗に保ったり抜け毛を予防する為にヘアケアに用いられることもあります。

ただしカナンガ精油も皮膚感作性(アレルギー反応誘発性)があることが指摘されています。敏感肌の方は利用を避けるようにし、かふれを起こしたことのない方であっても必ず低濃度希釈・パッチテストを行うようにしてください。皮膚利用の場合は最大でも0.8%以下に希釈することが推奨されています。

カナンガの利用について

相性の良い香り

フローラル系・樹木系の香りと相性が良いとされています。柑橘系の香りとも組み合わせやすい香りです。

【カナンガのブレンド例】

カナンガ精油の注意点

  • 妊娠中・授乳中の方、小さいお子さんへの使用は避けましょう。
  • 過度の使用で頭痛や吐き気を起こす場合があります。使用量・使用時間にご注意ください。
  • 感作作用(皮膚刺激性)があるため肌の弱い方は使用に注意が必要です。
  • アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
  • 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。
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ターメリック精油アロマ・エッセンシャルオイルと期待される効果効能紹介 https://d-nagaya.com/aroma/post-2801/ Sat, 17 Feb 2018 07:46:24 +0000 https://d-nagaya.com/?p=2801

肝臓・胃腸サポートやスキンケアに期待

ターメリック(秋ウコン)

ターメリック(秋ウコン)とは

クミンカルダモンと共にカレーの材料として、またお酒を飲む方のお供として、精油以外でも目にする機会の多いウコン。原産地とされるインドでは紀元前から栽培が行われており、インドの伝統医学であるアーユルヴェーダでも重要視されてきたと伝えられています。中国でも古くから漢方の生薬として取り入れられており、日本でも室町時代頃には既に沖縄県(琉球王国)で栽培され生薬として用いられていたと考えられています。明治維新頃になるまでは万能薬として高値で取引されていたそうですよ。現在では万能薬や医薬品という感覚こそないものの、ポリフェノール「クルクミン」による肝臓の保護・回復効果をはじめ、アンチエイジングやアルツハイマー型認知症の予防など様々な働きが研究されている植物です。

スパイスや健康食品として親しまれているウコンですが、このうち一般的に香辛料の「ターメリック」として使われているものはウコンもしくは秋ウコンと呼ばれるもので、学名はC. longa。それ以外にも同じくウコン属に属し「ウコン」と呼ばれる近縁種は50種以上あるとも言われていますが、主なものはウコン(ターメリック)・春ウコンとも呼ばれるキョウオウ(姜黄/学名:C. aromatica) ・紫ウコンもしくはガジュツ(莪朮)との3種類と言えるでしょう。
春ウコンは刺激が強くスパイスとしての利用には適していないとされていますが、クルクミンと精油成分のバランスが良く健康効果が期待できるとしてサプリメントなどの健康食品に良く用いられています。クルクミンによる黄色が強いことから黄ウコンとも呼ばれています。紫ウコンはさらに苦味が強いく、芳香健胃作用ほか様々な働きがあると考えられ生薬として用いられています。

こうした風味の問題などもあり、単に「ウコン」もしくは「ターメリック」という場合は秋ウコン(C. longa)を指すことが多くなっています。精油(エッセンシャルオイル)でもキョウオウやガジュツを原料としたものもありますが、こちらは一般にほとんど流通していません。ターメリック精油は一般的に秋ウコンを原料とした物を指します。日本では精油の飲用が禁止されていますからターメリック精油を使う場合はウコン茶やサプリメントのようにクルクミンによる肝機能回復効果などについては疑問視されていますが、ターメロンなどには胆汁分泌を助ける働きが期待されていることから肝臓サポートに役立つのではないかと考えられています。
ただしカンファーなどのケトン類を含むことや、1%以下の様々な微量成分が含まれていることから刺激性・毒性・感作作用などが指摘されている精油でもあります。スパイスとしてはポピュラーですが精油としてはマイナーな存在で国内での利用データが少ないこともあり使用には注意が必要な部類と言えます。

基本データ

通称
ターメリック(Turmeric)
別名
ウコン(鬱金/欝金)
学名
Curcuma longa
科名/種類
ショウガ科ウコン属/多年草
主産地
インド、インドネシア、ベトナム、中国
抽出部位
根茎
抽出方法
水蒸気蒸留法
淡黄色~黄色
ノート
ベース~ミドルノート
香り度合い
やや強め
代表成分
ターメロン/ツルメロン類(ar-Turmerone, α-Turmeronolなど)、クルクメン、アトラトネン、α-ジンジベレン、シオネール
おすすめ
芳香浴・アロマバス・マッサージ・スキンケア

少しカレーを連想させる、スパイシーさとウッディー感のある温かい香り

こんなお悩みにオススメ

【精神面】

  • ストレス・神経疲労
  • 不安・緊張・心配
  • 気持ちの落ち込みに
  • 集中力を高めたい
  • 心の状態を整えたい
  • 脳機能を維持したい

【肉体面】

  • 肝臓サポート・二日酔い対策
  • 食欲不振・胃腸の不調に
  • 神経痛や関節痛の軽減に
  • 血行不良・冷え・むくみ
  • シワ・傷跡のケアに
  • 肌のアンチエイジングに

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ターメリック(秋ウコン)に期待される効果・効能

心への作用

ターメリック精油は刺激・強壮作用があるとされており、感情コントロールを助けてくれるのではないかと考えられています。ストレスや精神的な疲労から起こる気持ちの落ち込み・抑うつ症状の軽減に役立つと言われています。悩み事や心配で押しつぶされそうな時のサポートに良い精油とも言われていますよ。

また若干の刺激作用があるので集中力や記憶力向上に役立つとする説もあります。実験ではウコンオイルに含まれるターメロン類にミクログリアの活性化阻害作用がある可能性も報告されており、パーキンソンやアルツハイマー病の予防・改善に繋がるのではないかという説もあるようです。

体への作用

ターメリック精油の主成分と言えるターメロン類に胆汁分泌促進作用が期待されていることから、肝機能・解毒機能の向上に役立つのではないかと言われています。付随して消化器系の働きも良くなると考えられますし、ジンジベレンには消化促進作用もあるので合わせて消化器系の活発化にも効果が期待できるでしょう。食欲不振や消化不良のほか、二日酔いの気分の悪さ・腹部膨満感(お腹のハリ)・腹痛・胃痙攣などの緩和にも良いとされています。

また鎮痛・抗炎症作用を持つとされており関節痛・神経痛・リウマチ・筋肉痛など胃腸以外の幅広い“痛み”軽減にも有効とされています。心臓機能を促すことで血液循環を良くするという説もあり、血行促進からも冷え性や冷え・血行不良に起因する肩こりや頭痛などの痛み軽減効果が期待されています。肝臓機能サポートと合わせてむくみ軽減やデトックスに良いとも言われています。

そのほか抗菌作用や抗真菌作用があることから風邪予防に良い・免疫力向上に役立つとする説もありますが、ターメリック精油は刺激が強く毒性もある精油のためデイリー使いには適さないでしょう。

その他作用

肌への働きかけ

ウコン(ターメリック)はインドで古くから肌のケアに取り入れられており、現在でも石鹸や保湿クリームなどの化粧品原料としてもポピュラーな存在と言われています。創傷治癒や抗酸化作用が期待できることからシワなどを予防し美肌を保持する、肌のアンチエイジングをサポートしてくれると考えられています。抗炎症作用を持つとされていることと合わせて肌荒れにも良いと言われていますが、感作作用を持つ精油でもありますので逆に皮膚炎症を起こす危険性もあります。肌へ用いる場合は極低濃度希釈、かつ段階的なパッチテストをしっかりと行うようにしましょう。

ターメリック(秋ウコン)の利用について

相性の良い香り

スパイス系との相性が良いとされています。柑橘系や樹木系の香りとも比較的ブレンドしやすいでしょう。

【ターメリックのブレンド例】

ターメリック精油の注意点

  • 妊娠中・授乳中の方、小さいお子さんへの使用はできません。
  • てんかん他持病がある方も使用を避けましょう。
  • 毒性・刺激性がある精油とされています。希釈濃度に注意し、長時間の使用を控えましょう。
  • 皮膚刺激性が指摘されていますので、敏感肌の方は特に注意が必要です。
  • アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
  • 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。
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ホップ精油アロマ・エッセンシャルオイルと期待される効果効能紹介 https://d-nagaya.com/aroma/post-2767/ Sat, 03 Feb 2018 08:00:48 +0000 https://d-nagaya.com/?p=2767

不眠対策に期待されるが、不明点も多い

ホップ

ホップとは

ビールの原材料であり、独特の苦味・香りにも欠かせない存在として知られるホップ。風味の決めてとしてだけではなく、抗菌作用や防腐作用によってビールの保存期間を長くという役割も持っています。そんなホップの原産地は西アジア、黒海とカスピ海に挟まれた地域ではないかと考えられています。シュメール文明期には既に野生のポップと大麦を使って自然発酵させたビールに近い飲料を作っていたのではないかとする説もあるそうですよ。

ポップとビール作りの技法はシュメールからバビロニアを経由してエジプトに伝わり、古代エジプトでもビールが飲まれていたことが分かっています。現在のような嗜好品としてだけではなく、薬として医療の中でも活用されておりお金の代用にも使えたのだとか。“目には目を”で有名な『ハムラビ法典』でもビールに関わる法が記載されていると言われていますから、紀元前に栄えた古代文明では広くホップやホップを使って作ったビールの存在が知られていたと考えられます。ただしローマやギリシアでは大麦の栽培に適していなかったこともあり、ヨーロッパでビールが普及するようになるのは8世紀頃ドイツでホップ栽培が大々的に行われるようになってからと言われています。

ヨーロッパでのビール普及当初はヤロウクラリセージなどの薬草や香草を使用したグルートビールと呼ばれるものが主流でしたが、14世紀頃になるとポップの苦味や保存性の高さが評価され、現在のようにビールと言えばホップという状態になっていきます。また中世ヨーロッパのハーブ辞典ではホップの鎮静効果が記されていますし、インドのアーユルヴェーダや中国の漢方でも生薬として用いられていたと言われていますから、薬用植物としての需要もあったと考えられます。現在でもハーブティーやサプリメントなどの健康食品に利用されていますし、ドイツのコミッションEでも鎮静効果が認められています。鎮静作用のほか抗酸化作用・ホルモン様作用が期待できることから、更年期障害など女性領域での不調にも取り入れられていますね。

対してホップのエッセンシャルオイル(精油)は日本では非常にマイナーな精油。かなりマニアックな品揃えの専門店以外ではほぼ見かけることはありません。欧米では様々な効果が期待され取り入れられているようですが、ホップ精油はミルセンやフムレンが主成分であることは分かっているものの、微量成分を含めると100種類以上の香気成分が含まれていると言われており、まだまだ未解明な部分も多いのだそう。刺激性・感作作用についても曖昧な部分があることは否めませんから、注意して使用したほうが良いでしょう。

基本データ

通称
ホップ(Hops)
別名
セイヨウカラハナソウ(西洋唐花草)
学名
Humulus lupulus
科名/種類
アサ科カラハナソウ属/性多年草
主産地
ハンガリー、フランス、ドイツ
抽出部位
毬花
抽出方法
水蒸気蒸留法
淡黄色~オレンジ色
ノート
ミドルノール
香り度合い
中くらい
代表成分
β-ミルセン、フムレン、α-カリオフィレン、リナロール、メチルノニルケトンなど
おすすめ
芳香浴・アロマバス(※ごく少量で)

乾いた草をベースに甘さとスパイシーさを加えた様な、独特の香り

こんなお悩みにオススメ

【精神面】

  • ストレス・神経疲労
  • イライラ・ヒステリー
  • 情緒不安定
  • 寝付きが悪い

【肉体面】

  • ストレス性の不調
  • 胃腸トラブル緩和
  • 頭痛・生理痛の軽減
  • 風邪予防

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ホップに期待される効果・効能

心への作用

ホップの香りは高い鎮静作用があると考えられており、脳は計測の実験でもリラックス効果が見られたという報告がなされているようです。このためホップは気持ちを落ち着かせることに優れた精油としてストレスや神経疲労の軽減のほか、イライラしやすいなと感じている時にも適しているでしょう。気分が揺れ動きやすい方に適した精油とする見解もあります。

また成分的に見るとリナロールやゲラニオールなど抗うつ・抗不安作用が期待できる成分も含まれていることから気持ちが落ち込みがちな時に良いとする説もあります。ただし鎮静効果が高いことなどから“鬱症状がある人・鎮静剤を服用している人は使用を避けるべき”としている文献もありますので、サンダルウッドと同様に気持ちの落ち込みが強い方は使用を控えたほうが確実でしょう。

不眠対策にも期待

ホップの精油は高い鎮痛作用を持つことから不眠対策としても取り入れられています。特に心因性・ストレス性の不眠に高い効果が期待されており、枕元に香らせるようにすると深い睡眠を得られるとも言われています。有効性が報告された実験でセットで使われていたこともあり、バレリアンと組み合わせて使われることが多いようです。ただし過剰に使用すると鬱症状を引き起こす可能性があることも指摘されていますから、デイリー使いは避けたほうが良いでしょう。

体への作用

精神面への鎮静作用からストレス性の諸症状軽減に役立つとされています。消化機能系への働きかけもあると考えられていますから、特に神経性の食欲不振・消化不良・胃痛・腹痛などに効果が期待できるでしょう。また神経系への鎮静のほか鎮痛作用も期待できることから頭痛の軽減、神経痛や関節痛などの軽減に取り入れられることもあるようです。そのほか抗菌・消毒作用を持つ成分が多いこと、抗炎症作用を持つとする説があることから風邪予防や咳のケアなどにも効果が期待されています。

女性の体への働きかけについて

ホップの精油は鎮痛作用があることから生理痛の軽減にも用いられています。精神面への働きかけと合わせてホルモンバランスの乱れによるイライラやヒステリーの軽減などにも有効とされていますが、ハーブとして利用した場合のようなホルモン様作用(エストロゲン様作用)があるのか否かについては意見が分かれており、はっきりしません。オイルの場合はエストロゲン作用作用を持たないとする説もありますが、妊娠中・授乳中・ホルモン依存性疾患のある方の使用を禁忌としている文献も多いので該当する方は使用を避けましょう。

その他作用

皮膚利用について

抗炎症作用と皮膚軟化があるとされ、湿疹や皮膚炎症のケアに用いされることがあるようです。しかし感作作用があることも認められており、皮膚刺激性の強い精油であるとも言われていますから使用はおすすめできません。

ホップの利用について

相性の良い香り

柑橘系の精油と相性がよく、スパイス系やハーブ系の香りとも比較的組み合わせやすいでしょう。

【ホップのブレンド例】

ホップ精油の注意点

  • うつ症状のある方・医薬品を服用中の方は使用を避けましょう。
  • 妊娠中・授乳中の方や疾患のある方は使用を避けましょう。
  • 刺激性・感作作用があるため注意が必要です。敏感肌の方は特に使用濃度に気をつけるようにして下さい。
  • アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
  • 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。
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ラブラドルティ精油アロマ・エッセンシャルオイルと期待される効果効能紹介 https://d-nagaya.com/aroma/post-2745/ Fri, 19 Jan 2018 08:49:00 +0000 https://d-nagaya.com/?p=2745

薬草っぽい、ほろ苦い香りが特徴

USFWS ledum groenlandicum (23831237005)

ラブラドルティとは

日本人としては全く聞き覚えのないラブラドルティはツツジ科の樹木で、分布域としてはブラックスプルースと同じく北米から北極圏にかけてのエリアとされています。エッセンシャルオイルの主産地はカナダですが、初めて発見・報告されたのがグリーンランドであったことからグリーンランドモスとも呼ばれています。樹木なのにモス(蘚苔類)が付けられているのは、寒い地域では地を這うように広がっていくためだとか。

原産地である北アメリカに古くから住んでいたネイティブ・アメリカンの人々は古くからラブラドルティを薬草として利用してきたと伝えられており、風邪や呼吸器系の不調ほか様々なことにラブラドルティを煮出した“お茶”を飲んでいたそう。このことからインディアンティーと呼ばれることもあります。余談ですがラブラドルティという呼び名は日本でハーブ名のように使われていますが、英語では「Labrador Tea」になり本来はハーブティーの名前なのだそう。

ネイティブアメリカンやイヌイットの人々はお茶として飲むだけではなく、虫刺されや皮膚炎症に使う外用薬のような感覚でも利用していたそうですし、虫除けやネズミ除けにもとしても使っていたそうです。また独立戦争の際に「マーシュ・ティー」と呼ばれるお茶の代用品として広く取り入れられていたそうですが、ツツジ科植物に含まれる“グラヤノトキシン”という毒性成分が含まれているため飲みすぎるとめまい・嘔吐・痙攣などの中毒症状を引き起こす危険性があることも報告されています。

精油の場合はお茶のような危険性は無いと言われていますが、ラブラドルティは超が付くほどマイナーな精油。安全性・毒性等についてのデータがあまりなく解明されていない点が多いため、妊娠中・授乳中の方や小さいお子さん・持病のある方は使用しないほうが良い精油に数えられています。同様の理由から長期間・継続的な利用や、高濃度・広範囲での使用も避けるべきでしょう。またテルペノイドのレドール(Ledol)という成分に毒性があり麻痺・痙攣などの中毒症状を引き起こす可能性も指摘されています。個性的な香りですから手作り香水を作る場合などには良いでしょうが、特に目的がない場合は利用を控えたほうが確実です。

基本データ

通称
ラブラドルティ(Labrador tea)
別名
グリーンランドモス(Greenland Moss)、グリーンランドティー(Greenland Tea)
学名
Rhododendron groenlandicum
(Ledum groenlandicum)
科名/種類
ツツジ科ツツジ属(イソツツジ属)/常緑低木
主産地
カナダ、グリーンランド
抽出部位
葉、小枝
抽出方法
水蒸気蒸留法
淡黄色~黄緑色
ノート
トップ~ミドルノート
香り度合い
中くらい
代表成分
リモネン、サビネン、β-セリネン、α-ピネン、そのほか酢酸エステル類
おすすめ
芳香浴

ほろ苦さを感じさせる、スパイシーで染み透るような香り

こんなお悩みにオススメ

【精神面】

  • ストレス・神経疲労
  • イライラ・情緒不安定
  • 心を落ち着けたい時
  • 寝付きが悪いと感じる

【肉体面】

  • 肝臓サポートに
  • 循環が悪いと感じる時に
  • 風邪・インフルエンザ予防
  • 免疫を整えたい

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ラブラドルティに期待される効果・効能

心への作用

ラブラドルティの香りは鎮静作用や神経強壮作用があると考えられており、リラックス効果や精神的ストレスへの抵抗力アップなどに役立つと考えられています。成分的に見てもリラックス効果が報告されているリモネン、強壮作用を持つとされるα-ピネンなどモノテルペン炭化水素類の割合が多くなっていますから、気持ちを落ち着ける働きが期待できます。

このためイライラしやすいなど感情コントロールが上手く行かない時、精神的な疲労感がある時のサポートに良いと言われています。そのほか心身の緊張を緩めてくれることから不眠症軽減に役立つのではないかという説もあります。メンタル面のサポートとしてはベルガモットと非常に相性が良いと言われています。

体への作用

ハッキリ分かっていない点も多いようですが、肝臓の強壮作用や鬱血・鬱滞除去作用があるのではないかと考えられているようです。また拡散すると免疫系の刺激・強壮に役立つとする説もあり、成分的に抗菌作用や抗ウィルス作用が期待できることと合わせて風邪・インフルエンザなどの感染症予防にも役立つと言われています。

ただし作用が非常に強く、毒性を持つ可能性も指摘されている精油ですから使用濃度には注意が必要。肝臓や循環系のサポートを期待する場合はジュニパーベリー、免疫機能サポートとしてであればティーツリーなどポピュラーな精油を使うようにしたほうが無難です。ラブラドルティは高価な精油でもありますので、リスクを犯してあえて健康サポートに取り入れる必要はないでしょう。

その他作用

皮膚利用について

ラブラドルティの精油は皮膚刺激・感作性についても未知な部分が多いため、一般家庭でスキンケア用として利用されることはほとんどどありません。Living Libationsなどの海外サイトではフェイシャルスチームに使うなど、肌に対して何らかの有用な作用を持つと考えられる記述も見られますが、使用は避けたほうが良いでしょう。

ラブラドルティの利用について

相性の良い香り

柑橘系の香りと相性が良いとされています。ハーブ系やウッディー系など似たニュアンスを持つ香りとも組み合わせやすいでしょう。

【ラブラドルティのブレンド例】

ラブラドルティ精油の注意点

  • 妊娠中・授乳中の方、小さいお子さんへの使用は避けましょう。
  • てんかん、持病がある方や医薬品を服用中の方は医師に確認の上利用して下さい。
  • 高濃度・長期間の使用は避けましょう。
  • アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
  • 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。
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オレンジ・ビター精油アロマ・エッセンシャルオイルと期待される効果効能紹介 https://d-nagaya.com/aroma/post-2707/ Fri, 05 Jan 2018 08:47:34 +0000 https://d-nagaya.com/?p=2707

メリットもあるが、使用は注意が必要

"ビターオレンジ/

オレンジビターとは

オレンジビターは私達が普段食べているオレンジ(スイートオレンジ Citrus sinensis)とは別の種の柑橘類です。呼び名の通り苦味や酸味が強く果物として食べるには適さないため、果実はマーマレードにするか調味料として用いることが多く、日本ではポン酢の材料などにも使われています。精油の場合もオレンジスイートよりも苦さを感じさせる渋めの香りがあり、オレンジスイートグレープフルーツオイルをブレンドしたような香りと称されることもあります。人によってはカクテルなどを連想される香りかもしれませんね。

オレンジの原種と考えられるのはインド東部のヒマラヤ山脈からアッサム地方に自生していた柑橘類ですが、ビターオレンジとして確立したのは中国ではないかと考えられています。日本には奈良時代に中国から伝わり、新旧代々の果実が同時になる果実=子孫繁栄の縁起物として大切にされてきました。また生薬として用いられてきた存在でもあり、スイートオレンジ系の果皮を陳皮(チンピ)と呼ぶのに対して、ビターオレンジの果皮は橙皮(トウヒ)と呼ばれています。また未熟な果実を乾燥したものも枳実(キジツ)という呼び名で生薬として利用されています。

ビターオレンジの木からは果実を原料とした精油はオレンジビターの他に花からはネロリが、葉や枝からはプチグレンと三種類の精油が採油されます。このうちネロリプチグレンは広く用いられていますが、オレンジビターの精油はアロマテラピーとしては毒性が高いことから一般家庭での使用には適さないとされています。少し前までは流通もほとんどなかったそうですが、様々なお店で精油の取扱が増えたこと・インターネットで気軽に精油を買えるようになったことなどから見かける機会が増えています。近年は和精油の一つとして“橙(だいだい)”オイルが販売されていることもありますが、これもビターオレンジの一種ですね。

とは言えオレンジビターの精油はフロクマリン類による光毒性(光感作作用)が強いこと・毒性が指摘されるケトン類などを若干含むことから扱いが難しいとされている精油であることに変わりはありません。日本で精油は雑貨扱いのため気軽に購入できますが、使用におけるトラブルは自己責任となりますから販売社の注意事項などをきちんと読むようにしましょう。光毒性の心配がない水蒸気蒸留(フロクマリン類フリー)精油もありますが、主成分のリモネンにも皮膚刺激がありますから肌への刺激がないという訳ではありません。

基本データ

通称
オレンジビター(Bitter orange)
別名
ビターオレンジ、ダイダイ(橙)
学名
Citrus aurantium
科名/種類
ミカン科ミカン属/常緑低木
主産地
イタリア、スペイン、チュニジア、ブラジルなど
抽出部位
果皮
抽出方法
圧搾法(※水蒸気蒸留も有)
黄緑色~濃オレンジ色
ノート
トップノート
香り度合い
中くらい
代表成分
リモネン、ミルセン、β-ピネン
(微量のリナロールなどのモノテルペンアルコール類、アルデヒド、ケトン、ラクトンなどを含む)
おすすめ
芳香浴

オレンジスイートよりも苦味があり深い香り

こんなお悩みにオススメ

【精神面】

  • 気持ちの落ち込み・抑鬱
  • ストレス・精神疲労
  • 不安・緊張・神経過敏
  • ネガティブ思考の切り替え
  • リフレッシュしたい時に
  • 前向きになりたい

【肉体面】

  • 食欲不振・消化不良
  • 下痢・便秘・腹部膨満感
  • 胃痛・過敏性腸症候群
  • むくみ軽減・デトックス
  • 風邪・インフルエンザ予防
  • (脂性肌・ニキビ予防)

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オレンジビターに期待される効果・効能

心への作用

オレンジビターもオレンジスイートと同じく主成分はリモネンで、精油成分のうち90%以上をリモネンが占めています。加えて酢酸リナリルやリナロールなど高い鎮静効果が期待できる成分も若干ではありますが含まれていますから、オレンジスイートよりもメンタル面のサポートには高い効果があるのではないかと考えられています。

オレンジスイートはネガティブな感情を一掃して気分を明るく前向きにしてくれる「ハッピーな香り」と称されますが、オレンジビターも同様に気持ちを明るくする作用が期待されています。リモネンを筆頭に鎮静作用を持つ成分も多いのでストレスや神経疲労の軽減・イライラ対策などにも役立ってくれるでしょう。リフレッシュしたい時や、気持ちを楽に持って柔軟に物事を捉えたい時にも適していると言われています。

体への作用

オレンジビターの主成分であるリモネンは健胃・消化促進・整腸など胃腸機能サポートに役立つと考えられています。血行促進作用や唾液分泌を高めることで食欲増進効果も期待できますから、食欲不振・消化不良・便秘・下痢・お腹の張りなど幅広い胃腸トラブルの緩和に役立ってくれるでしょう。精神面への働きかけと合わせて特にストレス等に起因する胃腸不調に高い効果が期待されており、神経性の胃痛・消化不良・胸のつっかえ感などの軽減に有効とされています。

また血液やリンパ液の循環を促してくれる働きを持つと考えられることから、むくみ軽減・デトックスなどの効果も期待されています。そのほかリモネンには抗菌・抗ウィルス作用や、免疫細胞の働きを正常に整え免疫力を高める働きも報告されているため、風邪やインフルエンザ予防にも役立つと考えられます。ただしオレンジビターは光毒性・毒性が指摘されている精油ですから、デイリー使いとしてはオレンジスイートの方が適しているでしょう。

その他作用

皮膚利用について

成分的には血液・リンパの循環を良くすることで発汗促進・老廃物排出促進(デトックス)に役立つと考えられており、むくみ改善やセルライトケアなどに有効と言われています。また抗菌作用があることや皮脂分泌調整作用を持つとも言われており、脂性肌のケアやニキビ予防によいとする説もあります。

しかしオレンジビターの精油はフロクマリンフリーのものを除き基本的には光毒性が高いとされていますし、皮膚刺激性もある精油のためスキンケアやマッサージへの利用はお勧めできません。むくみ対策のマッサージであればオレンジスイート、脂性肌・ニキビケアに関してはプチグレンを使うようにしたほうが無難でしょう。

オレンジビターの利用について

相性の良い香り

柑橘系同士とは非常に相性がよく、そのほかの系統ともブレンドしやすい香りと言えます。

【ビターオレンジのブレンド例】

オレンジビター精油の注意点

  • 妊娠中・授乳中の方、小さいお子さんへの使用は避けましょう。
  • 持病がある方は医師に確認の上利用して下さい。
  • 光毒性を持つ精油のため、使用後は紫外線を避けてください。
  • 芳香浴として利用した場合でも皮膚を刺激する可能性があります。特に敏感肌の方は使用に注意が必要です。
  • 酸化が早く香りも抜けやすいため、開封後は早め(長くても半年以内)に使い切るようにしましょう。
  • アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
  • 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。
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アジョワン精油アロマ・エッセンシャルオイルと期待される効果効能紹介 https://d-nagaya.com/aroma/post-2683/ Sun, 24 Dec 2017 05:58:07 +0000 https://d-nagaya.com/?p=2683

フェノール類含有量が高いため取扱注意

アジョワン

アジョワンとは

クミンキャラウェイなどと同じ、セリ科のスパイスであるアジョワン。香辛料として用いられる果実(種子)部分の見た目も非常によく似ています。アジョワンは日本はもとより世界的にもメジャーな香辛料ではありません。しかし原産地とされるインドではカレー料理を始めとしてインド料理にも多用され、知らない人のほうが少ないポピュラーなスパイスと言われています。インドのミックススパイス“ガラムマサラ”を作る時に加える方も多いのだとか。

またアジョワンは薬用としても用いられており、アーユルヴェーダを代表するハーブの1つにも数えられています。インドでは民間薬(家庭薬)としても親しまれ、胃腸トラブルに良いハーブとしてお腹の不調や二日酔いの時などにも使われているそう。また口腔ケア用品の成分としても用いられ、クミンと同じように食後の口中清涼剤・ガム代わりに噛む方もいらっしゃるようです。かつては殺菌・防腐作用が高いことから精油を防腐剤として利用していたとも言われています。

芳香はスパイシーさとハーバルさを併せ持つような香りで、タイムに近いと称されています。料理用ハーブとしてはタイムセロリシードなどの代用品として用いられることもあるそう。しかし精油の場合はツンと染み透るような刺激感・どこか苦さを感じる芳香からタイムよりも薬箱や湿布などを連想される方も少ないくないようです。好き嫌いが分かれるスパイス系の精油の中でもひときわ個性的な存在です。

アジョワン精油(エッセンシャルオイル)はモチールなどのフェノール類含有量が高いことから、アロマテラピーではほとんど用いられていません。刺激性・毒性が高いと考えられる精油でもありますから、芳香を楽しむためであっても使用には注意が必要となります。ただし悪いことだけではなく殺菌・抗ウィルス作用の高さから感染症予防などには高い効果を持つとも考えられています。系統としてはタイム・チモールオレガノなどに近いでしょう。取扱が難しい精油ですから、この香りがたまらなく好きという方以外はあえて利用する必要はありません。

基本データ

通称
アジョワン(Ajowan)
別名
Carom Seeds(カロムシード)、ワイルドセロリシード
学名
Trachyspermum ammi
科名/種類
セリ科Trachyspermum属/一年草
主産地
インド、インドネシア、スペイン、エジプト
抽出部位
種子(果実)
抽出方法
水蒸気蒸留法
黄色~オレンジ色
ノート
トップ~ミドルノート
香り度合い
強い
代表成分
モチール、γ-テルピネン、p-サイメン、パラシメン、カルバクロール
おすすめ
芳香浴、ごく低濃度でアロマバス

ツンとしたスパイシーさを含む、爽やかなハーバル調の香り

こんなお悩みにオススメ

【精神面】

  • 気持ちをしっかり持ちたい
  • 無気力・気持ちの落ち込み
  • 前向きさがほしい
  • ストレス・神経疲労に

【肉体面】

  • 風邪・インフルエンザ予防
  • 喉や鼻の不快感・不調に
  • 肉体疲労・筋肉痛
  • 関節痛・リウマチ緩和

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アジョワンに期待される効果・効能

心への作用

スパイシーで強烈なアジョワンの香りは刺激・覚醒作用があるとされ、気持ちを高めたい時や前向きさを取り戻したい時のサポートに役立つのではないかと考えられています。無気力な時や、新しいことに挑戦する勇気がほしい時などにも適しているでしょう。そのほか気持ちを落ち着ける働きがある・催淫作用があるとする説もあり、精神的ストレスや緊張対策としても期待されているようです。

体への作用

アジョワン精油の代表成分はフェノール類のチモールで、産地や製造社によっても異なりますが多いものでは全体の50%程度を占めています。フェノール類は皮膚刺激や長期使用で肝毒性を起こすなどの難点もありますが、強い殺菌効果と抗真菌・抗ウィルス作用を持つ成分でもあります。次いで含有量の多いパラシメン(Paracymene/P-シメンやp-サイメンとも)やγ-テルピネンも抗菌・抗真菌活性が報告されている成分ですから、相乗して風邪やインフルエンザなどの感染症予防、呼吸器系の不調緩和に効果が期待されています。

またパラシメンは鎮痛作用や抗リウマチ作用などを持つとも言われています。チモールにも鎮痛作用が、γ-テルピネンには抗炎症作用が期待されていますから、相乗して関節痛や神経痛・筋肉痛などの軽減にも役立つと考えられています。刺激性や毒性の問題から利用時は広範囲・長時間の使用を避け低濃度に希釈して用いるなど細心の注意が必要とされる精油ではありますが、芳香浴のほか1~2滴をバスオイルとして浴槽のお湯に混ぜて使うと良いとする説もあります。

その他作用

皮膚利用について

アジョワン精油はフェノール類含有率が高い=皮膚刺激性・腐食性が高いと考えられるため、皮膚利用に用いられることはほぼありません。チモールやパラシメンなどを含むことから筋肉・関節などの痛みを軽減させる働きが強いと考えられており、筋肉痛や関節痛などのケアに有効とされています。また洗浄作用が強いことからニキビ予防に有効とする説などもありますが、スキンケアやマッサージなどでの利用は避けましょう。安全性の高い精油を選ぶようにした方が確実です。

アジョワンの利用について

相性の良い香り

柑橘系・スパイス系の精油と相性が良いとされています。香り・作用(刺激)共に強い精油ですから、ブレンドオイルに1滴落とす程度でも十分でしょう。

【アジョワンのブレンド例】

アジョワン精油の注意点

  • 妊娠中・授乳中の方、お子様への使用は避けましょう。
  • 敏感肌の方の場合は芳香浴でも肌・粘膜に刺激を感じる可能性があります。
  • 皮膚利用はお勧めできません。使用する場合は低濃度に希釈し、パッチテストを行いましょう。
  • アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
  • 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。
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ダグラスファー精油アロマ・エッセンシャルオイルと期待される効果効能紹介 https://d-nagaya.com/aroma/post-2657/ Tue, 12 Dec 2017 10:09:50 +0000 https://d-nagaya.com/?p=2657

樹木系の中でもクリアで甘みのある香り

Pseudotsuga menziesii cone Port Townsend

ダグラスファー(米松)とは

ダグラスファーは和名で米松(ベイマツ)とも呼ばれる北米原産の樹木で、成長すると樹高50m以上・直径1~5mと非常に大きくなります。耐久性や加工性が良く安定性の高い木材として、住宅用建材として日本でも大量に輸入されています。精油としてはあまりポピュラーではありませんので、ベイマツという呼び名の方に馴染みがある方の方が多いかもしれません。

アメリカ大陸に分布するダブラスファーは1700年台後半に発見され、1826年に植物学者のDouglas博士によって分類されたとされています。呼称も博士にちなんだものだとか。ただし北米大陸に古くから住んでいたインディオ達はこの樹木を古くから利用していたと伝えられており、火をつける燃料として、葉や樹皮は民間医薬として用いられていたそうです。

呼称としてはダグラス“ファー”もしくは米“マツ”と呼ばれていますが、マツ科にこそ分類されるもののモミ(Abies)属でも、マツ(Pinus)属でもないトガサワラ属に分類されています。余談ですがトガサワラ属の属名pseudotsugaは「ツガモドキ/ツガの偽物」という意味なのだとか。日本語で最も正確な名称はアメリカトガサワラになりますが、トガサワラ自体があまり知られた存在ではないのでダグラスファーやベイマツというイメージしやすい名称が使われるようになったそうです。

これらのことからモミ系精油とされるアメリカ大陸産のバルサムファー(Abies balsamea)・ヨーロッパ原産のシルバーファー(Abies alba)とダグラスファーは、名前こそ似ているものの全くの別種であると言えるでしょう。精油成分や香りには似た部分もありますが、ダグラスファーは軽さがありまろやかと称されています。ファー系の精油よりも、フルーティーな甘みを感じさせるヘムロック・スプルースに似た印象を持たれる方も少なくないようです。

基本データ

通称
ダグラスファー(Douglas Fir)
別名
ベイマツ(米松)、アメリカトガサワラ、オレゴンパイン、コロンビアパイン
学名
Pseudotsuga menziesii
科名/種類
マツ科トガサワラ属/常緑針葉樹
主産地
カナダ、ニュージーランド、フランス
抽出部位
枝、針葉
抽出方法
水蒸気蒸留法
ほぼ無色
ノート
ミドル~トップノート
香り度合い
中くらい
代表成分
β-ピネン、α-ピネン、サビネン、カンフェン、リモネン、カレン
おすすめ
芳香浴・アロマバス・マッサージ・ハウスキーピング

ウッディーさの奥にレモン様の香りを持つ、甘く爽やかな香り

こんなお悩みにオススメ

【精神面】

  • ストレス・神経疲労
  • リフレッシュに
  • 集中力アップに
  • 気持ちを落ち着けたい
  • 前向きになりたい
  • 感覚を高めたい

【肉体面】

  • 肉体疲労・筋肉痛
  • 関節痛・リウマチ緩和
  • 血行不良・冷え性
  • 風邪・インフルエンザ予防
  • 呼吸器系の不調に
  • お部屋の空気浄化に

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ダグラスファーに期待される効果・効能

心への作用

ダグラスファーの持つ爽やかな森をイメージさせる香りは、心を癒やし前向きになるための手伝いをしてくれると考えられています。成分的にもダグラスファーの精油の主成分はピネン類(β-ピネン、α-ピネン)であり強壮作用が期待できますから、神経系や肉体面ともに疲労回復やストレス軽減などのサポートに役立つと考えられます。特にα-ピネンは森林浴効果を持つとも称される、メンタルサポート効果が期待されている成分でもあります。

またシャープすぎない香りなので気持ちを落ち着けて思考をまとめたり、集中力を高めたい時にも適しているでしょう。ネイティブアメリカン達はダグラスファーのお茶を感覚の活性化・鋭敏化に使っていたという説もあります。ストレスを和らげてくれる働きがあるのでリラックスタイムにも使えますが、就寝前というよりは休日の日中・仕事中のリフレッシュタイムなどに適した香りと言えそうですね。

体への作用

ピネンやリモネンなど血行促進作用を持つモノテルペン炭化水素類の含有率が高いため関節痛・リウマチなど血液循環不良によって悪化する痛みの緩和に役立つと考えられています。冷え性の軽減にも役立ってくれるでしょう。加えてピネン類の強壮作用から疲労回復にも良いとされています。皮膚刺激があるので使用には注意が必要ですが、肩こりや筋肉痛などのマッサージオイル・温湿布などに用いられることもあります。

またα-ピネンには免疫機能賦活作用が報告されていますし、ダグラスファーには抗菌・抗ウィルス作用を持つと考えられるサビネンなどの成分も多いため風邪やインフルエンザ予防にも効果が期待されています。血液循環を促すことは身体を温めることにも繋がりますから、冷え性や風邪の初期症状ケアにも役立ってくれるでしょう。そのほか咳・気管支炎・喘息などの呼吸器系の不調改善に有効とされています。

その他作用

皮膚利用について

皮膚刺激があると考えられること・日本での使用データが少ないことなどからダグラスファーの皮膚利用はあまり行われていません。作用としては肌を洗浄する働きがあるとされており、欧米ではボディウォッシュやソープ類に微量加えて利用することもあるようです。

空気の清浄剤として

ダグラスファーはピネンやサビネンなど抗菌・抗ウィルス作用を保つ成分を含むため、デュフューザーなどで拡散すると直接的に空気をキレイにしてくれると考えられます。また香りを嗅ぐことで体、特に呼吸器の強壮にも役立ってくれるでしょう。香りそのものもクリアな印象を与えるものですので、お部屋の空気を清々しいイメージに保ってくれるでしょう。

ダグラスファーの利用について

相性の良い香り

ウッディー系同士のブレンドや柑橘系との相性が良い精油です。またレモンを思わせる香りが含まれていることから、スパイス系の精油とも組み合わせやすいと言われています。

【ダグラスファーのブレンド例】

ダグラスファー精油の注意点

  • 妊娠中・授乳中の使用は避けましょう。
  • 皮膚刺激性があります。特に敏感肌の方は使用に注意が必要です。
  • アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
  • 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。
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タイム・チモール精油アロマ・エッセンシャルオイルと期待される効果効能紹介 https://d-nagaya.com/aroma/post-2632/ Fri, 01 Dec 2017 08:52:46 +0000 https://d-nagaya.com/?p=2632

強力な抗感染剤と称されるが毒性・刺激性も

タイム

タイム・チモールとは

バジルオレガノローズマリーなどと並び、世界的に知られたハーブの一つと言えるタイム。古代エジプトやギリシアでも既に利用されてきたことが分かっており、薬草としても人類が最も古くから利用してきたものの一つにも数えられています。紀元前から殺菌・防腐用として用いられていたそうですし、憂鬱を払うことから“勇気をもたらす”存在としても大切にされていたのだとか。

タイムという呼び名は広義ではイブキジャコウソウ属(Thymus)の植物の総称として使われており、Thymusに属す植物は世界中には約350種類以上あるとも言われています。ただし日本で単に“タイム”と呼ぶ場合はコモンタイム(タチジャコウソウ、T. vulgaris)を指すのが一般的です。タイム・チモールも種として見るとこのコモンタイムを原料としていますが、呼び名の通りフェノール類のチモールを多く含むことが特徴です。製造社等により成分含有量には差がありますが、タイム・チモールのチモール含有量は概ね30%~60%強となっています。

刺激が強く毒性のある成分が含まれているため一般での使用に適さない、と称されるレッドタイム(再蒸留せずコモンタイムから直接抽出したもの)とフェノール類含有率はほぼ同等と考えられます。また再蒸留もしくは再精留の有り無しではなく、フェノール類の量が多いタイム系精油をまとめて“レッドタイム”としている場合もあるそうです。どちらにせよ皮膚刺激性・腐食性が高いことが指摘されていますので使用には注意が必要です。

タイム精油の種類について

タイム系統の精油は一般にあまり流通していないものも含めると10種類と非常に多くの種類がありますが、系統としては大きく2つに分けることが出来ます。一つ目はコモンタイム(Thymus vulgaris)を原料とした精油で、抽出方法が異なるもの・同種ではあるものの生育環境により成分の含有率が異なる植物を原料とした“ケモタイプ”と呼ばれる精油です。もう一つは同属別種の植物を原料としたもので、レモンタイムタイムマストキナなどがこちらに該当します。

コモンタイム(Thymus vulgaris)が原料ではあるものの、含有成分が大きく異なる“ケモタイプ精油”としては

の5種類があります(※タイム・カルバクロールを入れて6種類とする説も有)。それぞれ呼び名として使われている成分含有が高いことが特徴で、精油成分の含有成分・含有比率が異なるため香りにも違いがあります。前半の3つは比較的作用が穏やかで使いやすい精油ですが、フェノール類を多く含むチモール・カルバクロールタイプは皮膚刺激性・肝毒性があるので取扱に注意が必要とされています。またコモンタイム(ホワイトタイム)やタイム・パラシメンもチモールとカルバクロールの含有率が高めになっていますので、特別な目的や理由がない限り使用は控えたほうが無難でしょう。

基本データ

通称
タイム・チモール(Thyme Thymol)
別名
立麝香草(タチジャコウソウ)
学名
Thymus vulgaris ct.Thymol
科名/種類
シソ科イブキジャコウソウ属/小低木
主産地
スペイン、ドイツ、南アフリカ
抽出部位
全草
抽出方法
水蒸気蒸留法
淡黄色~琥珀色
ノート
トップ~ミドルノート
香り度合い
強め
代表成分
チモール、パラシメン、γ-テルピネン、リナロール、カルバクロール
おすすめ
芳香浴、ごく低濃度でアロマバス・マッサージ

タイムを濃縮したような、鮮烈なハーバル調の香り

こんなお悩みにオススメ

【精神面】

  • 気持ちを強く保ちたい
  • 憂鬱感を和らげたい
  • やる気を出したい
  • ストレス耐性を高めたい

【肉体面】

  • 風邪・インフルエンザ対策
  • 感染性疾患の予防に
  • リウマチ・関節痛・神経痛
  • 筋肉痛の軽減・回復促進

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タイム・チモールに期待される効果・効能

心への作用

精神面のサポート効果を期待して用いられることの少ないタイム・チモールですが、神経を刺激することで精神強壮・高揚作用をもたらすとする説もあります。このことからストレス対策や抗うつなどの効果が期待されており、バジルと組み合わせるとより高い抗うつ効果を持つという見解もあるようです。

体への作用

タイム・チモールは刺激性や毒性の問題から使用には細心の注意が必要とされる精油であり、利用時は広範囲・長時間の使用を避ける、必ず10%以下に希釈して用いるなど様々な条件があります。ご家庭での利用などにはあまりお勧めできない精油ですが使い方によっては役立つ面もあり、特に感染症対策としては非常に高い効果が期待できるとも言われています。

これは代表成分であるフェノール類のチモールが高い殺菌・抗菌作用を持つと考えられているため。数ある精油の中でも最上級の抗菌性を持つも言われており、抗真菌・抗ウィルス作用も期待できることからタイム・チモールは“強力な抗感染剤”とも称されています。またチモールは抗酸化作用に優れているという報告もありますし、高い鎮痛作用を持つとされるパラシメンも含まれているのでリウマチ・関節痛・神経痛・筋肉痛などのケアにも有効とされています。

その他作用

皮膚利用について

チモールやパラシメンなどを含むことから筋肉・関節などの痛みを軽減させる働きが強いと考えられており、筋肉痛や関節痛などのケアに有効とされています。しかしフェノール類含有率の高いタイム・モチールは皮膚刺激性・腐食性が高いと考えられるため、皮膚利用への使用はお勧めできません。低濃度に希釈して用いる場合の皮膚利用は禁忌とされていませんが、安全性の高い精油を選ぶようにした方が確実です。

タイム・チモールの利用について

相性の良い香り

柑橘系・ハーブ系と相性が良いとされています。タイム・チモールは香りも作用も強烈な精油ですから、ブレンド時には少量ずつ加えるようにしてください。

【タイム・チモールのブレンド例】

タイム・チモール精油の注意点

  • 妊娠中・授乳中の方、お子様への使用は避けましょう。
  • 敏感肌の方の場合は芳香浴でも肌・粘膜に刺激を感じる可能性があります。
  • 皮膚利用はお勧めできません。使用する場合は低濃度に希釈し、パッチテストを行いましょう。
  • アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
  • 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。
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タイム・パラシメン精油アロマ・エッセンシャルオイルと期待される効果効能紹介 https://d-nagaya.com/aroma/post-2611/ Thu, 23 Nov 2017 02:06:46 +0000 https://d-nagaya.com/?p=2611

鎮痛・抗感染作用が期待される

タイム

タイム・パラシメンとは

タイムは世界各地で用いられている芳香性植物でもあり、350以上の種類があるとも言われています。特にブーケ・ガルニなどフランス料理でよく使われていますし、日本でも肉・魚料理に取り入れられています。キッチンハーブの一つとして栽培されている方も少なくないでしょう。古い時代には風味付けだけではなく、殺菌・防腐用という実用的な意味合いでも重要な存在であったと考えられています。

広義ではタイムと言う言葉はイブキジャコウソウ属(Thymus)に属す植物の総称として用いられていますが、日本で単に“タイム”と呼ぶ場合はコモンタイム(タチジャコウソウ、T. vulgaris)を指すのが一般的です。タイム・パラシメンもこのコモンタイムを原料としていますが、呼び名の通り「パラシメン」という成分の含有比率が高くなっていることが特徴です。パラシメン(Paracymene)は読み方の違いからP-シメンやp-サイメンとも表記されることがある成分で、シトラス様の甘さ・爽やかさを持つと言われています。

このためタイム・パラシメンは他タイム系精油よりもサッパリとした甘さを持つと表現されており、微かにスパイシーさも含む香りであることから男女を選ばず好まれやすい芳香と称されています。ブレンド用としても使いやすい香りですが、フェノール類を含むことから使用には注意が必要な部類となります。香料・芳香浴に利用する場合でも皮膚を刺激する可能性がありますので、特に敏感肌の方は注意して用いるようにしましょう。

タイム精油の種類について

タイム系統の精油は一般にあまり流通していないものも含めると10種類と非常に多くの種類がありますが、系統としては大きく2つに分けることが出来ます。一つ目はコモンタイム(Thymus vulgaris)を原料とした精油で、抽出方法が異なるもの・同種ではあるものの生育環境により成分の含有率が異なる植物を原料とした“ケモタイプ”と呼ばれる精油です。もう一つは同属別種の植物を原料としたもので、レモンタイムタイムマストキナなどがこちらに該当します。

コモンタイム(Thymus vulgaris)が原料ではあるものの、含有成分が大きく異なる“ケモタイプ精油”としては

の5種類があります(※タイム・カルバクロールを入れて6種類とする説も有)。それぞれ呼び名として使われている成分含有が高いことが特徴で、精油成分の含有成分・含有比率が異なるため香りにも違いがあります。前半の3つは比較的作用が穏やかで使いやすい精油ですが、フェノール類を多く含むチモール・カルバクロールタイプは皮膚刺激性・肝毒性があるので取扱に注意が必要とされています。またコモンタイム(ホワイトタイム)やタイム・パラシメンもチモールとカルバクロールの含有率が高めになっていますので、特別な目的や理由がない限り使用は控えたほうが無難でしょう。

基本データ

通称
タイム・パラシメン(Thyme Paracymene)
別名
立麝香草(タチジャコウソウ)
学名
Thymus vulgaris ct.Paracymene
科名/種類
シソ科イブキジャコウソウ属/小低木
主産地
スペイン
抽出部位
花、茎葉
抽出方法
水蒸気蒸留法
無色~淡黄色
ノート
トップ~ミドルノート
香り度合い
中~やや強め
代表成分
パラシメン、γ-テルピネン、チモール、カルバクロール、ツヤノール
おすすめ
芳香浴、ごく低濃度でアロマバス・マッサージ

ハーバル調の中にフルーティーさを含む、爽やかな香り

こんなお悩みにオススメ

【精神面】

    特になし。

【肉体面】

  • リウマチ・関節痛
  • 神経痛・筋肉痛
  • 風邪・感染症予防

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タイム・パラシメンに期待される効果・効能

心への作用

精神面のサポート効果を期待して用いられることはほとんどありません。

体への作用

タイム・パラシメンの特徴成分であるパラシメンはモノテルペン炭化水素類に分類される成分で、鎮痛作用や抗リウマチ作用などが期待されています。関節痛や神経痛・筋肉痛などの軽減にも役立つと考えられています。

またタイム・パラシメンはフェノール類(チモール、カルバクロール)の含有率が~50%程度と、かなり高めになっています。フェノール類は皮膚刺激や長期使用で肝毒性を起こすなどの難点もありますが、強い殺菌効果と抗ウイルス作用を持つ成分でもあります。パラシメンにも抗菌・抗真菌活性が報告されていますから、相乗して風邪・インフルエンザなどの感染症予防にも高い効果が期待できます。

その他作用

皮膚利用について

タイム・パラシメンは皮膚を荒らす可能性がある精油に数えられており、広範囲に使用しないこと・低濃度に希釈して用いるよう注意喚起されています。その反面パラシメンには経皮通過により強い鎮痛効果をもたらすと考えられていることから、低濃度に希釈して筋肉痛や関節痛などのケアに取り入れるケースもあるようです。

協会によって精油希釈濃度の基準は異なりますが、どの精油であっても皮膚に直接触れるような両方を行う場合は概ね1%以下に希釈することが推奨されています。タイム・パラシメンは皮膚刺激性が高いとされる精油ですから、用いる場合にはそれよりも低濃度に希釈して用いると良いでしょう。初めて使用する際や敏感肌の方は特に注意が必要です。

タイム・パラシメンの利用について

相性の良い香り

柑橘系・スパイス系・ハーブ系の香りと比較的相性が良いでしょう。刺激性・毒性があるとされる精油ですから、ブレンドのアクセントに少量加えて用いると無難です。

【タイム・パラシメンのブレンド例】

タイム・パラシメン精油の注意点

  • 妊娠中・授乳中の方、お子様への使用は避けましょう。
  • 皮膚利用の際は低濃度に希釈し、パッチテストを行いましょう。
  • 敏感肌の方の場合は芳香浴でも肌・粘膜に刺激を感じる可能性があります。
  • アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
  • 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。
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タイム・ツヤノール精油アロマ・エッセンシャルオイルと期待される効果効能紹介 https://d-nagaya.com/aroma/post-2581/ Fri, 10 Nov 2017 08:39:08 +0000 https://d-nagaya.com/?p=2581

感染症予防などに効果が期待される

タイム

タイム・ツヤノールとは

バジルやオレガノ・ローズマリーなどと並び、料理によく利用されるハーブの一つであるタイム。薬草としても人類が最も古くから利用してきたものの一つに数えられるほど歴史が古く、紀元前から殺菌・防腐用として用いられていた事がわかっています。エジプトのミイラ作りにも利用されたそうですし、ペストが蔓延していた中世のヨーロッパでは感染防止用としても重宝されていたのだと伝えられています。

広義ではタイムと言う言葉はイブキジャコウソウ属(Thymus)に属す植物の総称で、世界中には約350種類のタイムがあると言われています。日本で単に“タイム”と呼ぶ場合はコモンタイム(タチジャコウソウ、T. vulgaris)を指すのが一般的です。タイム・ツヤノールもこのコモンタイムを原料としていますが、呼び名の通りホワイトタイムなどの精油よりも「ツヤノール」という成分を多く含むことが特徴。

製造社(メーカー)・産地等によりツヤノールをはじめとする成分含有量には差がありますが、刺激性・毒性が強いとされるフェノール類をほとんど含んでいませんので作用が比較的穏やかで使用しやすい精油と考えられています。パッチテスト等は必要ですが、適切に希釈すれば皮膚利用も可能とされています。香りはミントのような爽やかさとほのかな甘さがあり、ユニセックスにTPOを選ばす利用できる点も評価されているそう。爽やかな香りに加え、抗菌・抗ウィルス作用が高いことから気分も空気もスッキリさせたい時に適しています。

タイム精油の種類について

タイム系統の精油は一般にあまり流通していないものも含めると10種類と非常に多くの種類がありますが、系統としては大きく2つに分けることが出来ます。一つ目はコモンタイム(Thymus vulgaris)を原料とした精油で、抽出方法が異なるもの・同種ではあるものの生育環境により成分の含有率が異なる植物を原料とした“ケモタイプ”と呼ばれる精油です。もう一つは同属別種の植物を原料としたもので、レモンタイムタイムマストキナなどがこちらに該当します。

コモンタイム(Thymus vulgaris)が原料ではあるものの、含有成分が大きく異なる“ケモタイプ精油”としては

の5種類があります(※タイム・カルバクロールを入れて6種類とする説も有)。それぞれ呼び名として使われている成分含有が高いことが特徴で、精油成分の含有成分・含有比率が異なるため香りにも違いがあります。前半の3つは比較的作用が穏やかで使いやすい精油ですが、フェノール類を多く含むチモール・カルバクロールタイプは皮膚刺激性・肝毒性があるので取扱に注意が必要とされています。またコモンタイム(ホワイトタイム)やタイム・パラシメンもチモールとカルバクロールの含有率が高めになっていますので、特別な目的や理由がない限り使用は控えたほうが無難でしょう。

基本データ

通称
タイム・ツヤノール(Thyme Thujanol)
別名
立麝香草(タチジャコウソウ)
学名
Thymus vulgaris ct.Thujanol
科名/種類
シソ科イブキジャコウソウ属/小低木
主産地
フランス
抽出部位
茎葉、花
抽出方法
水蒸気蒸留法
ほぼ無色~黄色
ノート
トップノート
香り度合い
中~強め
代表成分
trans-ツヤノール、cis-ツヤノール、テルピネン4オール、y-テルピネン、β-ミルセン、リナロール
おすすめ
芳香浴・アロマバス・マッサージ

ミントっぽい清涼感を持つ、爽やかな香り

こんなお悩みにオススメ

【精神面】

  • ストレス・神経疲労
  • 無気力・やる気低下
  • リフレッシュしたい
  • 気持ちを整えたい
  • メンタルの強壮に
  • ストレス抵抗力が欲しい

【肉体面】

  • 風邪・インフルエンザ予防
  • 咳・気管支炎に
  • 肝臓機能サポート
  • 血行促進・疲労回復に
  • ニキビ・マラセチア毛包炎
  • 水虫ほか皮膚感染症予防に

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タイム・ツヤノールに期待される効果・効能

心への作用

タイム・ツヤノールはタイムとミントをブレンドしたような爽やかな香りを持つことから、リフレッシュしたい時に適した精油であると考えられています。成分的には鎮静作用や副交感神経強壮作用が期待されるテルピネン-4-オール、鎮静・抗不安作用を持つとされるリナロールなども含まれていますから、ストレス対策にも効果が期待できるでしょう。

精神的・肉体的な疲労からやる気が低下してしまっている時や、無気力状態になっている時にも適した香りであると考えられています。また鎮静作用や副交感神経の強壮によって自律神経やメンタル面のバランスを整える働きも期待できます。気分をすっきりさせて精神的な強さが欲しい時・頑張りすぎて疲れてしまった時にも役立ってくれそうです。

体への作用

タイム・ツヤノールの特徴成分とされるツヤノールを筆頭に抗感染症作用や免疫強壮作用などが期待されるモノテルペンアルコール類を多く含んでいるため、抗菌・抗真菌・抗ウィルス作用または殺菌・殺真菌・殺ウィルス作用が高い精油と考えられています。このため風邪やインフルエンザ予防に有効とされていますし、テルピネン-4-オールなど抗炎症作用を持つとされる成分も含んでいることから喉の痛みや気管支炎の軽減サポートに良いとも言われています。

またtrans-ツヤノール、cis-ツヤノールは肝臓強壮作用が期待されており、肝臓の不調や二日酔いケアなどにも有効とされています。肝臓機能の働きを高めることでダイエットのサポートにも効果が期待できるかもしれません。そのほか強肝作用に加えて強壮作用や循環促進作用を持つ成分も含まれているため、疲労回復や血行改善・冷え性軽減のサポートに役立つという説もあります。

その他作用

肌への働きかけ

抗菌・抗真菌・抗ウィルス作用(殺菌・殺真菌・殺ウィルス作用)が高いとされるタイム・ツヤノールは、ニキビや水虫(白癬)・マラセチア毛包炎などの皮膚感染症対策にも効果が期待されています。クラミジアなどの性感染症に対しても有効性が期待されているようです。

そのほか抗炎症作用や免疫系を整える働きからアトピー性皮膚炎やアレルギー性皮膚炎などの軽減に有効とする説もあります。とは言えタイム・ツヤノールは皮膚刺激性は低いとされているものの、アレルギーを起こす原因にならないという訳ではありません。肌が弱い方や炎症を起こしている部分への利用は避け、しっかりとパッチテストを行ったうえで利用するようにしましょう。

タイム・ツヤノールの利用について

相性の良い香り

ユーカリ系やミント系など清涼感の強いハーブ系精油との相性が良いとされています。そのほかウッディー系やレモン様の香りを持つ精油ともブレンドしやすいでしょう。

【タイム・ツヤノールのブレンド例】

タイム・ツヤノール精油の注意点

  • 妊娠中・授乳中の方、お子様への使用は避けましょう。
  • アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
  • 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。
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タイム・ゲラニオール精油アロマ・エッセンシャルオイルと期待される効果効能紹介 https://d-nagaya.com/aroma/post-2556/ Fri, 27 Oct 2017 08:31:58 +0000 https://d-nagaya.com/?p=2556

ストレスケアや抗菌用に期待

タイム

タイム・ゲラニオールとは

調理に使うハーブとしてもお馴染みのタイム。現代でもフレンチのブーケ・ガルニを筆頭に各地の料理にも用いられていますし、古代から食べ物に風味を加える存在として用いられていたとも言われています。また薬草としても最も古くから用いられてきたものの一つに数えられており、食事を作る際に使われたのも風味付けだけではなく抗菌用も兼ねていたのだとか。

日本で単に“タイム”と呼ばれて利用されているのはコモンタイム(タチジャコウソウ、T. vulgaris)ですが、タイムという言葉はイブキジャコウソウ属(Thymus)に分類される植物の総称のため、世界中には約350種と非常に多くの種類が認められています。タイム・ゲラニオールの精油はコモンタイムを原料としていますが、呼び名の通り「ゲラニオール」という成分が半分以上を占めることが特徴とされています。

ゲラニオールは“バラ様の香り”を持つとされる芳香成分のため、ハーバル感が強いタイム系精油の中で甘さやフローラルさを強く感じられる存在でもあります。またタイム・リナロールと同様にリラックス効果も期待されていること、タイム系の中では刺激性が低い部類とされていることから、お部屋の芳香剤や香水作りなどにも取り入れやすい精油と言えるでしょう。フローラル調の香りが好きな方・女性に好まれやすい香りとも言われています。パッチテスト等は必要ですが、適切に希釈すれば皮膚利用も可能とされています。

タイム精油の種類について

タイム系統の精油は一般にあまり流通していないものも含めると10種類と非常に多くの種類がありますが、系統としては大きく2つに分けることが出来ます。一つ目はコモンタイム(Thymus vulgaris)を原料とした精油で、抽出方法が異なるもの・同種ではあるものの生育環境により成分の含有率が異なる植物を原料とした“ケモタイプ”と呼ばれる精油です。もう一つは同属別種の植物を原料としたもので、レモンタイムタイムマストキナなどがこちらに該当します。

コモンタイム(Thymus vulgaris)が原料ではあるものの、含有成分が大きく異なる“ケモタイプ精油”としては

の5種類があります(※タイム・カルバクロールを入れて6種類とする説も有)。それぞれ呼び名として使われている成分含有が高いことが特徴で、精油成分の含有成分・含有比率が異なるため香りにも違いがあります。前半の3つは比較的作用が穏やかで使いやすい精油ですが、フェノール類を多く含むチモール・カルバクロールタイプは皮膚刺激性・肝毒性があるので取扱に注意が必要とされています。またコモンタイム(ホワイトタイム)やタイム・パラシメンもチモールとカルバクロールの含有率が高めになっていますので、特別な目的や理由がない限り使用は控えたほうが無難でしょう。

基本データ

通称
タイム・ゲラニオール(Thyme Geraniol)
別名
立麝香草(タチジャコウソウ)
学名
Thymus vulgaris ct.Geraniol
科名/種類
シソ科イブキジャコウソウ属/小低木
主産地
フランス
抽出部位
茎葉、花
抽出方法
水蒸気蒸留法
ほぼ無色~黄色
ノート
トップ~ミドルノート
香り度合い
やや強め
代表成分
ゲラニオール、酢酸ゲラニル、リナロール、β-カリオフィレン、ネロール
おすすめ
芳香浴・アロマバス・マッサージ・スキンケア

ゼラニウムに似た、ハーバルさの中にローズ感のある香り

こんなお悩みにオススメ

【精神面】

  • 不安・気持ちの落ち込み
  • ストレス・神経疲労
  • 気持ちを高めたい
  • 集中力を高めたい
  • 気持ちを整えたい
  • 前向きさがほしい

【肉体面】

  • 感染症予防に
  • 風邪の初期症状軽減に
  • 女性のサポートに
  • 毛穴開き・皮膚のたるみに
  • ニキビ・水虫対策に
  • 空気浄化・虫よけ剤として

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タイム・ゲラニオールに期待される効果・効能

心への作用

タイム・ゲラニオールの特徴成分とされバラっぽい印象を与える成分でもあるゲラニオールは、抗うつ作用や抗不安が期待されている成分です。そのほかに含まれている酢酸ゲラニル(ゲラニルアセテート)やリナロールなどの働きと合わせて、神経系の強壮や集中力・記憶力向上などにも効果が期待されています。

成分比率は異なりますが、成分から見る系統としてはパルマローザに近いでしょう。メンタルバランスを整えるサポートとしても効果が期待できます。フローラル感のある華やかな香りですから、リラックスタイムを満喫して気分を高めたい・仕切り直したいという場面でも役立ってくれそうです。

体への作用

ゲラニオールはモノテルペンアルコール類の中でも強い抗菌作用を持つと考えられている成分で、抗菌・抗ウィルス作用も期待できます。このためタイム・ゲラニオールは風邪をはじめとする感染症予防に役立つ精油と考えられており、風邪による喉の痛みや鼻水など呼吸器系の症状軽減にも効果が期待されています。柔らかさのある香りですから、芳香剤を兼ねてお部屋に香らせるのにも適していますね。

そのほかゲラニオールにはホルモンバランスを整える・子宮強壮作用など、女性の身体に対する働きかけが期待で居るという説もあります。女性ホルモン(エストロゲン)の分泌への関与についてはハッキリしていない点もありますが、精神面への働きと合わせて更年期障害やPMS(月経前症候群)のサポートにも役立つのでは無いかと考えられています。

その他作用

肌への働きかけ

タイム・ゲラニオールは皮膚強壮や収斂作用があると考えられており、皮脂分泌の抑制や肌の引き締めなどに有効とされています。また抗菌作用・抗真菌作用が期待できる精油でもありますから、ニキビ予防やケア・水虫などの皮膚感染症対策としても効果が期待できるでしょう。

空間浄化・虫除けに

タイム・ゲラニオールの特徴成分であるゲラニオールは防虫作用があり、特に蚊が嫌う香りであると言われています。このため精油を希釈してスプレーにしたり、お部屋に香らせることで虫除け効果が期待されています。抗菌・抗ウィルス作用も期待できますから、虫除けだけではなくお部屋の空気を綺麗に保ってくれるという点でも役立ってくれるでしょう。

タイム・ゲラニオールの利用について

相性の良い香り

フローラル系との相性が非常に良く、さっぱりした印象のあるハーブ系やウッディー系の香りともブレンドしやすです。

【タイム・ゲラニオールのブレンド例】

タイム・ゲラニオール精油の注意点

  • 妊娠中の使用は避けましょう。
  • アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
  • 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。
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レモンティーツリー精油アロマ・エッセンシャルオイルと期待される効果効能紹介 https://d-nagaya.com/aroma/post-2500/ Sat, 14 Oct 2017 04:03:24 +0000 http://d-nagaya.com/?p=2500

虫除けに役立つ、甘いレモンのような香り

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レモンティーツリーとは

レモンティートリーは呼び名の通り、葉からレモンに似た爽やかな香りを放つフトモモ科の樹木。オーストラリア系精油の一つとしても注目されています。外見がティーツリーに似ていることとレモンのような香りから“レモンティツリー”と呼ばれるようになったと言われていますが、ラベンダーティーツリー(ロザリーナ)などがティーツリーと同じメラレウカ(Melaleuca)属であるのに対し、レモンティーツリーは別属に分類される樹木でからさほど近い種ではありません。植物としては同属のマヌカ Leptospermum scoparium の方が近いと言えるでしょう。花もマヌカやギョリュウバイにより似ていると表現されます。

レモンティツリーの葉はそのままでもレモンのような香りを持つのでハーブティーをブレンドする際のフレーバーとしても利用されています。香りの良さだけではなく可愛らしい花・枝先と葉先が赤く色付く点なども評価され、園芸植物としての人気も高まっているそうです。精油も虫除けスプレー作りなどに取り入れられていますが、木として植えていても虫除けになることから原産国オーストラリアでは生け垣用などにも人気があるのだとか。

防虫作用以外に期待されている作用としては抗菌・抗ウィルスなどがあり、ティーツリーを筆頭とするフトモモ科精油と概ね同じとなっています。ただし成分的にはシトラールやシトロネラールの含有率が高く、期待される働きもそちらに起因しています。成分的にも香りの印象としても、フトモモ科の中ではレモンマートルに最も似ていると言えるかもしれません。

成分が違いますのでどちらが優れているとは言い難いですが、少し甘みがある柑橘系のようなスッキリとした香りからユーカリやティーツリーなど消毒液を連想させる香りの精油よりも使いやすいという見解が多いようです。よりレモン感が強い爽快感のある香りが好きであればレモンマートル、甘酸っぱい柑橘類のようなフルーティーさを求めるのであればレモンティツリーが適しているとも言われています。

基本データ

通称
レモンティーツリー(Lemon Tea Tree)
別名
レモンセンテッドティートリー(Lemon scented teatree)
学名
Leptospermum petersonii
科名/種類
フトモモ科ギョリュウバイ属/常緑低木
主産地
オーストラリア、南アフリカ
抽出部位
葉(※小枝や樹皮を含むものも有)
抽出方法
水蒸気蒸留法
無色~淡黄色
ノート
トップ~ミドルノート
香り度合い
中~強め
代表成分
シトラール、シトロネラール、シトロネロール、ゲラニオール、ピネン
おすすめ
芳香浴・アロマバス・マッサージ

ふんわりした甘さを含む、レモン様の爽やかな香り

こんなお悩みにオススメ

【精神面】

  • ストレス・緊張
  • 神経疲労・憂鬱感
  • リフレッシュしたい
  • 思考をクリアにしたい
  • 集中力を高めたい

【肉体面】

  • 風邪予防・喉の不調に
  • 血行不良・冷え性
  • 肩こり・腰痛・筋肉痛
  • 関節痛・リウマチ
  • 虫除け剤として

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レモンティーツリーに期待される効果・効能

心への作用

レモンティーツリーの精油成分の中で最も含有率が高いのは“シトラール”というゲラニアールとネラールを合わせた成分で、強いレモンのような香りの元となっている成分でもあります。このシトラール主体の非常にスッキリとした爽やかな香りはリフレッシュに役立つと考えられていますし、鎮静作用があるとも言われていますからストレスや緊張を緩和して気持ちを落ち着けたい時にも適しているでしょう。

精神的な負荷の軽減や気持ちの落ち込みを軽減するなど精神安定的な働きも期待されていますし、好き嫌いが少なくTPOを選ばない香りでもありますから、かなり活動できる幅は広いと考えられます。思考をクリアにしたり、集中力を高めるなどのサポートにも繋がるでしょう。

体への作用

レモンティーツリーに多く含まれているシトラール、次いで含有率の高いシロトネラールも抗菌作用や抗炎症作用が高いと考えられています。そのためレモンティツリーは風邪予防や咳の緩和など呼吸器系の不調軽減に有効なのではないかと考えられています。また抗真菌性も高いと考えられており、カンジダやアスペルギルスに対して有効性が見られたという報告もなされています。ちなみに原産であるオーストラリアでも古くはレモンティーツリーの葉を感染症のケアに利用していたそうです。

そのほかシトラールは血管弛緩作用を持つという報告もなされており、血行不良による冷え性・筋肉の強張りから起こる痛み(肩こり・腰痛・筋肉痛など)の緩和にも効果が期待されています。シトラールもシトロネラールも鎮痛作用を持つ成分とされていますから、抗炎症作用と合わせてリウマチによる痛みの軽減に良いという説もあります。

その他作用

消臭・虫除けとして

レモンティーツリーの主成分であるシトラールとシトロネロールは昆虫忌避作用があるとされています。この二つのアルデヒド類は特に蚊除け効果が高いと言われており、レモングラスなどが虫除けに有効とされるのも同じ成分を含んでいることに由来しています。レモンティーツリーは香りが柔らかいこともあり、虫除け兼の室内芳香剤・アロマスプレーとして取り入れられています。デオドランドにも役立つそうです。

ただしアルデヒド類は皮膚刺激性があることも指摘されていますから、肌に直接スプレーしたい場合には注意が必要です。小さいお子さんへの使用や、アレルギーがある方や肌や弱い方は避けたほうが確実でしょう。またシトラールの皮膚刺激性はモノテルペン系炭化水素(リモネンやピネンなど)と組み合わせると弱められるとも言われていますので、少し肌に付いてしまった場合を考えてブレンドしてみるのもおすすめです。

皮膚利用について

アボリジニの人々はレモンティーツリーの葉を火傷や傷・感染症のケアに用いていたと伝えられています。現在でも抗菌・抗真菌作用などに優れている=皮膚を清潔に保ちニキビ予防などに役立つと考えられており、水虫や水イボなどの皮膚感染症の予防やケアに良いという説もあります。柑橘類を原料とした精油のように光毒性の心配もありませんし、香りが良いこともあって石鹸の香料などにも用いられています。

しかしシトラールなどのアルデヒド類には皮膚刺激性がありますから、あえてレモンティーツリーを使用するメリットは少ないと言えるでしょう。肌への使用は1%以下、顔であれば0.5%以下の低濃度希釈が推奨されていますが、それでもお子さんや敏感肌の方であれば炎症の原因となる危険性もあります。マッサージやバスアロマとしても使える精油とはされていますが、使用する場合はきちんとパッチテストを行ってから、希釈濃度に注意して用いるようにして下さい。

レモンティーツリーの利用について

相性の良い香り

ウッディー系の香りとの相性がよく、ミント類を筆頭としたハーブ系や香りが似ている柑橘系とも比較的ブレンドしやすいでしょう。

【レモンティーツリーのブレンド例】

レモンティーツリー精油の注意点

  • 皮膚を刺激する可能性があるため敏感肌の方は使用に注意が必要です。
  • 妊娠中・授乳中の使用は控えましょう。
  • アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
  • 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。
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ブルーサイプレス精油アロマ・エッセンシャルオイルと期待される効果効能紹介 https://d-nagaya.com/aroma/post-2379/ Tue, 26 Sep 2017 08:40:58 +0000 http://d-nagaya.com/?p=2379

アズレン誘導体を含む樹木系として注目

ブルーサイプレス

ブルーサイプレスとは

ブルーサイプレスは主にオーストラリアの北端部に生息するヒノキ科樹木から作られる精油です。呼び名はグアイアズレン(Guaiazulene/ガイアズレンとも)と呼ばれる、カモミール・ジャーマンなどに含まれているカマズレンと同じ“アズレン誘導体”を含み、青色をしていることに由来します。この色は樹木自体の特徴ではないためブルーサイプレスと呼ぶのは基本的には精油のみ。樹木そのものはノーザンサイプレスパインやオーストラリアヒノキと呼ばれています。ちなみに木材としても内装から外装まで幅広く利用されており、シロアリに強いこと・ハードサイプレスとも呼ばれるように硬度が高いことからオーストラリアではよく利用されているそう。

原産国であるオーストラリアの原住民たちは古くからこの木を燃やして虫除けにしたり、鎮痛剤や洗浄剤として利用していたと伝えられています。香料(精油)としてブルーサイプレスが世界的に有名になったのは、2000年開催のシドニーオリンピック「シドニー五輪の香り」として採用されたことがきっかけだったと言われています。その前の1996年にアトランタオリンピックでアスリート達が使用していたブルーサイプレスとグレープフルーツをミックスしたアロマスプレーが好評だったため、シドニーオリンピックで正式に採用されることとなったのだとか。

またブルーサイプレスはアズレン誘導体を含む樹木系唯一の精油としても注目を集めています。しかし需要に対して生産量が少ないこと・見た目を美しく保つためなどから、色素化合物が添加された偽和精油が多いことも指摘されています。ちなみに長期間置いておいても色が変化しない精油は偽和の可能性が高いのだとか。本物のブルーサイプレスの流通量はかなり少ないと推測されますから、皮膚利用を考えている方であれば別の精油を選んだほうが確実かもしれません。

参照:真正ブルーサイプレスの入手

サイプレスの種類について

ブルーサイプレスやノーザンサイプレスパインなど“サイプレス”が付きますが、精油として一般的に用いられるサイプレス(イトスギ)とはヒノキ科であるものの別属になります。同じくヒノキ科で“属”が異なる精油原料植物としてはヒノキシダーウッド・バージニア(レッドシダー)がありますし、抽出部位が異なりますがジュニパーもヒノキ科ですから、サイプレスと特に近い存在であるとは考えないほうが良いでしょう。香りとしてもサイプレスが軽めで爽やかな印象であるのに対し、ブルーサイプレスは甘さやスバイシーさを含む芳醇な印象で「サンダルウッドに雰囲気が似ている」と称されることもあります。

基本データ

通称
ブルーサイプレス(Blue Cypress)
別名
ABCオイル(Australian Blue Cypress oil)、Northern Cypress Pine(ノーザンサイプレスパイン)、オーストラリアヒノキ、豪州桧(ゴウシュウヒノキ)
学名
Callitris intratropica
科名/種類
ヒノキ科カリトリス属/針葉樹
主産地
オーストラリア
抽出部位
木部、樹皮
抽出方法
水蒸気蒸留法
緑がかった青色
粘性
高い
ノート
ベースノート
香り度合い
代表成分
グアイオール、グアイアズレン、カマズレン、ブルネソール、セリネン、ミルテン酸
おすすめ
芳香浴・アロマバス・マッサージ・スキンケア

微かにハチミツのような甘さを感じるウッディーな香り

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こんなお悩みにオススメ

【心身のサポート】

  • ストレス・神経疲労
  • 情緒不安定・不眠
  • 咳・喉の痛み
  • 花粉症の軽減
  • 風邪・インフルエンザ予防

【皮膚のケア】

  • 傷・火傷のケア
  • 肌荒れ・乾燥対策
  • 筋肉痛の緩和に
  • 関節痛・リウマチ
  • 虫除け・虫刺されケア

ブルーサイプレスに期待される効果・効能

心への作用

ブルーサイプレスの香りはストレスや神経の緊張を解きほぐすサポートをしてくれると言われています。情緒不安定さや神経性の不眠の軽減効果が期待されており、安心感がほしい時に適している・頭を冷やすことで思考をクリアにすると言う説もあります。

体への作用

ブルーサイプレスの代表成分であるアズレン誘導体(グアイアズレンなど)には抗ウィルス作用や抗炎症作用・抗アレルギー作用に優れているとされています。そのためブルーサイブレスを拡散することで喉の痛みや咳などの炎症軽減、花粉症の症状軽減など呼吸器系の不調に効果的と考えられています。風邪やインフルエンザなど呼吸器感染症の予防やケアにも役立ってくれるでしょう。

その他作用

皮膚への働きかけ

ブルーサイプレスの“ブルー(青色)”の元となっているアズレン誘導体(ガイアズレンやカマズレン)は抗アレルギー・抗ヒスタミン・抗炎症作用などが報告されています。またカモミール・ジャーマンと同じく皮膚組織の再生を促す働きを持つと考えられるため、ニキビ・傷・火傷などの治癒促進にも効果が期待されています。

日本では流通・使用例も少ないためハッキリとは分かっていませんが、欧米では皮膚に潤いを与える働きがあるとも言われているそうです。また紫外線吸収作用を持つとして日焼け止めや化粧品類にも取り入れられています。抗炎症作用から肌荒れ・皮膚炎症のケアにも役立つと考えられますが、人によっては炎症を起こす可能性もありますので必ずパッチテストを行うようにしましょう。

筋肉痛ケア・虫除けに

アズレン誘導体(ガイアズレンやカマズレン)は抗炎症作用を持つことから、マッサージオイルに加えて利用することで筋肉痛や関節痛・リウマチなどの痛みを軽減する働きも期待されています。そのほか虫除けや虫刺されのケアにも有効とされていますが、ブルーサイプレスは希少で価格も高めの精油ですからラベンダーやティトリーなど別の精油を使ったほうが現実的でしょう。

ブルーサイプレスの利用について

相性の良い香り

柑橘系全般と相性がよく、フローラル系や樹木系とも比較的ブレンドしやすい香りです。

【ブルーサイプレスのブレンド例】

ブルーサイプレス精油の注意点

  • 妊娠中・授乳中の使用は避けましょう。
  • ペット、特に猫に有毒である可能性があると言われています。ペットを飼われている方は使用を避けるか獣医に相談の上で利用するようにしましょう。
  • アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
  • 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。
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ヒバ/アスナロ精油アロマ・エッセンシャルオイルと期待される効果効能紹介 https://d-nagaya.com/aroma/post-2334/ Wed, 13 Sep 2017 07:47:38 +0000 http://d-nagaya.com/?p=2334

高い抗菌・防虫作用が注目される和精油

ヒバ(アスナロ)

ヒバとは

日本では古くから馴染みのある樹木の一つであるヒバ。ヒノキ科アスナロ属に分類されていおり、図鑑などでは“アスナロ(翌檜)”という呼び名のほうが主に使われています。「明日はヒノキになろう」が“アスナロ”という呼び名の語源になったという俗説もある通り、外見はヒノキによく似ていていますが基本的にはやや小型なのだとか。古来から日本の人々に親しまれてきたため、その他にもアスヒ(明日檜)・ツガルヒノキ・クサマキなど地域によって様々な呼び名で呼ばれています。

ヒバ(アスナロ)は九州から北海道南部まで分布していますが、北方型と南方型の2タイプに大きく分けれられています。南方型と呼ばれるのは木曽地方などに分布しているもので、ヒノキ・サワラ・コウヤマキ・ネズコと共に「木曽五木」にも数えられています。
対して北方型は青森周辺に分布しているもの。従来のアスナロとの違いが認められており、アスナロ属の一変種としてヒノキアスナロ(檜翌檜/学名:Thujopsis dolabrata var. hondae)と命名されています。このことから南方型のものをアスナロ、北方型をヒバもしくはヒノキアスナロと呼び分けることも多いようです。

ちなみに青森県内で産出される木材は“青森ヒバ”と呼ばれており、木曽ヒノキ・秋田スギと共に日本三大美林とされています。木材としては見た目の優美さこそヒノキにやや劣ると言われているものの、ヒバは古くから耐久性や耐水性・抗菌性などに優れた存在であると認められていました。特に東北ではヒバ材を使った建造物が多く、中尊寺金色堂も全体の9割以上が青森ヒバで作られているのだそう。

近年はヒバに含まれる「ヒノキチオール」という精油成分が低毒性かつ幅広い抗菌作用を持つことが報告されています。ヒノキチオールという名前からヒノキに多く含まれているように感じますが、ヒノキから発見されたために命名されたもののヒノキにはあまり含まれていません。精油類の中では“青森ひば油”にヒノキチオールが最も多く含まれていると言われています。このためヒノキチオールを含むヒバ精油は化粧品や医薬品などに配合されているほか、近年は加工食品にも取り入れられているそうです。

基本データ

通称
ヒバ(Hiba)
別名
アスナロ(翌檜)、アスヒ(明日檜)
北方型(Thujopsis dolabrata var. hondae):青森ヒバ、ヒノキアスナロ(檜翌檜)
学名
Thujopsis dolabrata
科名/種類
ヒノキ科アスナロ属/常緑針葉樹
主産地
日本(主に青森県)
抽出部位
木部
抽出方法
水蒸気蒸留法
黄色
ノート
ベースノート
香り度合い
中~強
代表成分
ツヨプセン、ヒノキチオール、β-ドラブリン、キュプレネン、セドロール
おすすめ
芳香浴・アロマバス・マッサージ・スキンケア

ヒノキ材に似た、フレッシュな森林調の香り

こんなお悩みにオススメ

【心身のサポート】

  • ストレス・神経疲労
  • イライラ・緊張・不安
  • 気持ちを落ち着けたい
  • 寝付きが悪い時に
  • ストレス性の不調に
  • 血行不良による諸症状に

【ハウスキーピング】

  • カビ予防に
  • 雑菌の抑制に
  • 消臭剤として
  • 蚊・ゴキブリ避けに
  • シロアリ対策に
  • 靴・衣服の保護に

ヒバ油に期待される効果・効能

心への作用

フレッシュな樹木の香りを持つヒバ油。好き嫌いが分かれるほどしっかりとした、木(森)そのものと言いたいような香りは心を落ち着かせる働きがあると考えられています。ストレスを和らげる働きがあるとの報告もなされており、ストレスや神経の興奮から起こる不眠の軽減にも効果が期待されています。イライラしていたり不安ある時などは、森林浴をするような感覚で心の緊張や疲労を軽減してくれそうですね。

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体・皮膚への作用

ヒバ精油は呼吸器系や胃腸などのケアに用いられることはありませんが、気持ちを落ち着かせてストレスを緩和することで胃痛など心因性の不調の軽減に役立つと考えられます。また鬱滞除去作用や血行促進作用が期待できるという説もあり、冷え性やむくみ・コリが気になる方にも取り入れられているようです。バスオイルとして使うとお湯の抗菌・湯上がりの保温効果も期待できるので一石二鳥とも言われています。

皮膚のケアにも期待

高い抗菌作用や肌に対しての保湿作用があるとされ、お肌のケア用としてもヒバ油は注目されています。肌を清潔に保ちつつ乾燥を予防する働きが期待出来ますから、ニキビケアなどにも役立ってくれるでしょう。頭皮のかゆみやベタつきなどが気になる方にも良さそうです。

そのほかアトピー性皮膚炎の悪化原因となる菌類の繁殖抑制にもなることから、アトピー軽減用として利用する方もいらっしゃるようです。ただしヒバ精油には皮膚刺激性があることも指摘されていますので使用濃度には注意が必要です。皮膚に付ける場合は必ず希釈してパッチテストを行ってから利用するようにしましょう。

その他作用

抗菌・消臭剤として

ヒバの精油に含まれているヒノキチオールなどの成分は様々なカビや雑菌に対して殺菌性・抗菌性を持つことが分かっています。黄色ブドウ球菌やインフルエンザウィルスの増殖抑制、クラミジア・トラコマチスに対する抗菌活性なども報告されているそうです。このためヒバ油はお部屋の空気や水回りの環境を清潔に整える働きが期待されており、ハウスキーピングに役立つ精油として注目されています。

また優れた抗菌作用から悪臭の元となる雑菌の繁殖抑制にも役立つと考えられますし、たばこやアンモニアなどの臭いに対しての脱臭・消臭にも有効とされています。カビや臭いが気になる梅雨時期をはじめ、スニーカーやカーペットなどこまめには洗えないものの抗菌・消臭剤としても役立ちます。脇や足など身体にスプレーしても良いのだとか。加齢臭のデオドラントに役立つという説もあります。

防虫剤として

古くからヒバ材は防虫に優れた材木であることが知られており、ヒバで作られた家は蚊が入ってこない・シロアリ被害が少ないなどと言われてきました。実験でもヒバの香りにはシロアリに対する殺虫性や蚊やゴキブリに対する忌避作用があることが報告されています。特にゴキブリについては忌避率100%なんていう報告もあるそうで、実際100%となるかはさておき高い昆虫忌避作用が期待できると言われています。

ゴキブリがよく出没する水回りや生ゴミ入れ・物陰など、蚊の侵入経路となる玄関や窓などに、とヒバ油を染み込ませたコットンを置いたりスプレーしてみると良いでしょう。またダニやノミなどほとんどの“害虫”と呼ばれる虫に対して忌避作用があるとされていますから、靴箱やタンス・クローゼットなどの隅に入れておくのもお勧め。抗菌や消臭にもなりますし、男女問わず違和感なく使えるウッディな香りも嬉しいですね。

ヒバ油の利用について

相性の良い香り

同じ樹木系と組み合わせやすい香りです。軽めのハーブ系やスパイス系の香りとも比較的ブレンドしやすいでしょう。

【ヒバのブレンド例】

ヒバ精油の注意点

  • 妊娠中・授乳中の方は使用出来ません。
  • 肌を刺激する可能性があるため、特に敏感肌の方は使用に注意が必要です。
  • アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
  • 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。
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フレンチラベンダー精油アロマ・エッセンシャルオイルと期待される効果効能紹介 https://d-nagaya.com/aroma/post-2307/ Tue, 29 Aug 2017 08:55:21 +0000 http://d-nagaya.com/?p=2307

ケトン類が多いので取扱には注意

フレンチラベンダー(ストエカスラベンダー)

フレンチラベンダーとは

精油としては種子名を使ったストエカスラベンダーやスパニッシュラベンダー、wikipediaではイタリアンラベンダーと、様々な呼び名で呼ばれるフレンチラベンダー。呼び名がたくさんあって分かりにくいですが、これはヨーロッパの地中海沿岸地域を中心に広く自生しているためなのだとか。特徴は花穂の先端に「ウサギの耳のような」と称される二つの花びら(花苞)があることで、他のラベンダーと見分けやすいとも言われています。

フレンチラベンダーは国内流通(小売)が殆どなされていません。というのもまた真正ラベンダーが安全性の高い精油とされているのに対し、フレンチラベンダーはケトン類の含有量が高いため取扱の難しい精油のため。“ラベンダーフランス”などと表記されたフランス産の真正ラベンダーの方が圧倒的に多いものの、稀にフレンチラベンダー(ストエカスラベンダー)も販売されているので購入時には注意するようにして下さい。

ラベンダーの種類について

ラベンダーと呼ばれる精油は数多くしていますが、品種による大きな区分としては

の大きく4つに区分されます。

このうちラベンダーとして最もポピュラーなのは香り・作用ともに穏やかで最も扱いやすい種類とされる「真正ラベンダー」で、単にラベンダーと呼ぶ場合はこちらを指すのが一般的です。ラバンジン系統の精油は安価さから真正ラベンダーの代用品・偽和剤として利用されてきましたが、近年は筋肉疲労や関節痛の軽減に優れているとして評価されています。同じく真正ラベンダーの偽和剤として利用されていたスパイクラベンダーも男性的な強い香りや、リフレッシュ効果が高いと考えらることから一つの精油として認められています。

フレンチラベンダーは私達がイメージする「ラベンダー」感が少なく、カンファー感のあるハーブといったフレッシュな香りが特徴。同じラベンダー属というよりは全く別物と言われた方がしっくり来るくらいの違いがあります。植物分類でもラベンダー属は亜種・節と更に細かく分類されていますが、この中で真正ラベンダー・スパイクラベンダー・交雑種であるラバンジンはラヴァンドラ亜種“スパイカ節”になります。対してフレンチラベンダーは”ストエカス節”に区分されていますから、香り・成分の違いも納得ですね。

基本データ

通称
フレンチラベンダー(French Lavender)
別名
ストエカスラベンダー(Stoechas Lavender)、スパニッシュラベンダー(Spanish Lavender)、トップドラベンダー(topped lavender)
学名
Lavandula stoechas
科名/種類
シソ科ラヴァンドラ属/半木本性植物
主産地
ヨーロッパ(スペイン、ポルトガル、フランスなど)
抽出部位
抽出方法
水蒸気蒸留法
ノート
ミドルノート
香り度合い
中~やや強い
代表成分
フェンコン、カンファー、δ-3-カレン、1,8-シネオール、α-ピネン
おすすめ
芳香浴(※ごく少量ならばアロマバス・マッサージ)

カンファー感のあるハーバルな香り、ラベンダー感は薄い

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フレンチラベンダーに期待される効果・効能

下記では成分などから期待されている効能をご紹介しますが、フレンチラベンダーは神経毒性のあるケトン類を多く含むため専門家以外は使用をしないほうが良いという見解も多い精油です。痩身目的での需要が高まっているとも言われていますが使用する場合は知識のあるセラピストに施術してもらう・ホームケアで利用する場合もアトバイスして頂いて使用することをお勧めします。

心への作用

フレンチラベンダーは鎮静作用に優れた真正ラベンダーとは逆に、刺激作用によって気持ちを高めて前向きさを与える・心を強く持たせる働きがあると考えられています。香りとしてもツンとするようなカンファー感がありますから、リフレッシュ用や気合を入れ直して頑張りたい時に適した印象ですね。

体への作用

フレンチラベンダーは殺菌・抗菌作用やケトン類による粘液溶解・去痰作用などが期待できることから、風邪予防や咳・気管支炎などの呼吸器系トラブルの改善に有効と考えられています。また循環器系への刺激作用や利尿作用があるとも言われており、むくみ対策や肥満予防などへの効果も期待されています。

しかしケトン類は有益な働きがある反面、毒性物質でもありますからデイリー使いに適しているとは言えないでしょう。自己判断で使用する場合は、抗菌用として少量をタンスやクローゼットに入れる程度にしておくと確実です。

その他作用

皮膚利用について

フレンチラベンダーに多く含まれているフェンコンやカンファーなどのケトン類は胆汁分泌促進や脂肪溶解作用などがあると考えられていることから、ダイエット効果が期待されている成分でもあります。サロンによっては痩身マッサージなどに取り入れているところもあるそうですし、欧米では自己マッサージやバスオイルとして使っている方もいらっしゃるようですが、セルフケア用としての使用はお勧めできません。

フレンチラベンダー精油は真正ラベンダーとは異なり肌に直接付けることは出来ませんし、また適度に希釈した場合でも炎症を起こす可能性もあります。成分的にみると抗炎症作用や治癒促進などにも効果が期待できることになると言われていますが、同じような作用が期待されており使用しやすい真正ラベンダーカモミール・ジャーマンなどを使うようにしましょう。

フレンチラベンダーの利用について

相性の良い香り

柑橘系の香りと相性が良く、ハーブ系もしくはハーバル感の強いフローラル系・樹木系の香りとも組み合わせやすい香りです。

【フレンチラベンダーのブレンド例】

フレンチラベンダー精油の注意点

  • 妊娠中・授乳中の方、小さいお子さんへの利用は出来ません。
  • 持病のある方は医師に相談のうえ利用して下さい。
  • 神経毒性のある成分を含むため、多量・長期間の連続使用は避けましょう。
  • アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
  • 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。
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レモンタイム精油アロマ・エッセンシャルオイルと期待される効果効能紹介 https://d-nagaya.com/aroma/post-2273/ Thu, 17 Aug 2017 08:57:57 +0000 http://d-nagaya.com/?p=2273

タイム系精油の中では穏やかな部類とされる

レモンタイム

レモンタイムとは

レモンのような爽やかな香りを持つタイムとして、ハーブティーやポプリなどに使われているレモンタイム。もちろん料理用としても肉や魚などの臭み消しから、デザート類まで幅広く使われています。栽培も比較的簡単でベランダや室内でも育てれること、ピンク系の花が可愛らしく観賞用としても人気がありますね。
欧米では自然療法の一環として薬効を期待してハーブティーを飲む他、ハーブピローや口腔洗浄剤などにも活用されています。またレモン系の香りとは称されますが、レモンのように強烈ではなく柔らかい香りであることから料理に合わせやすく、香水用ほか香料としても重宝されているようです。

レモンタイムは名前の通り、植物としてはタイム(イブキジャコウソウ属)の一種です。かつてはコモンタイム(Thymus vulgaris)の変種、もしくはブロードリーフタイム(Thymus pulegioides)との交雑種などと考えられていましたが、近年はDNA検査の結果などから固有の種であるとの説が有力となっているそうです。学名の表記にThymus x citriodorusThymus vulgaris ct citral・Thymus serpyllum citriodorumなどバラツキがあるのもそのためなのだとか。ハーブ苗として時折売られているゴールデンレモンタイムやシルバークィーンタイムなどもレモンタイムの品種です。

レモンタイムの植物そのもの・ハーブティーやポプリなどに使うドライハーブは日本国内でも流通していますが、精油はほとんど出回っていません。海外ではコモンタイムよりもやや作用が穏やかということで、代替品や皮膚利用により適した精油として注目されているようです。
ただしレモンライム精油にも毒性があるという報告もなされていますので、長期間・高濃度の使用は避けたほうが無難でしょう。無理をして海外などから取り寄せるよりは、ホワイトタイムやタイム・リナロールなどタイム系精油の中で安全とされているもの少量にレモンもしくはレモン様の香りを持つハーブをブレンドして使う方がおすすめではあります。

基本データ

通称
レモンタイム(Lemon Thyme)
別名
シトラスタイム(Citrus thyme)
学名
Thymus citriodorus
科名/種類
シソ科イブキジャコウソウ属/常緑小低木
主産地
スペイン、フランス、アメリカ
抽出部位
花、葉
抽出方法
水蒸気蒸留法
ほぼ無色~淡い黄色
ノート
トップノート
香り度合い
中~強
代表成分
1,8-シネオール、リナロール、カンファー、カンフェン、リモネン、ボルネオール、チモール
おすすめ
芳香浴・アロマバス・マッサージ・スキンケア・ヘアケア

タイムを軽くしたようなハーバル調に、レモン系の爽やかさを含む香り

こんなお悩みにオススメ

【精神面】

  • ストレス・神経疲労
  • 緊張・不安・興奮
  • 気分をスッキリさせたい
  • 精神的に強くなりたい
  • 気持ちを落ち着かせたい
  • やる気を高めたい

【肉体面】

  • 咳・呼吸器系の不調に
  • 風邪・インフルエンザ予防
  • 筋肉痛・コリ予防に
  • 消化器系の促進に
  • 虫刺されのケアに

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レモンタイムに期待される効果・効能

心への作用

レモンタイムのスッキリとした香りはリフレッシュして気分を切り替えたい時に適した香りと言われています。基本的にはコモンタイムやワイルドタイムと同じ性質があるとも言われていますから、精神面での強壮作用ややる気アップなどの効果も期待できるでしょう。また成分的には鎮静・抗不安作用が期待できるリナロールなども含まれていますので、気持ちを落ち着けたいと時にも適していると考えられます。

体への作用

ハーブ療法の中でレモンタイムは咳や咽頭炎・喘息など呼吸器系の不調軽減に取り入れられているハーブです。精油も抗菌作用や抗炎症作用が期待できる1.8-シネオール・シトラールなどを含んでいることから、同様に呼吸器系のサポートに有効と考えられています。抗ウイルス作用や免疫力調整効果があるとされる成分でもありますので、風邪やインフルエンザ予防にも効果が期待できるでしょう。

そのほか他のタイム系精油と同様に消化サポートに良い、キャリアオイルで希釈して運動前または運動後のマッサージとして使うと筋肉や関節の強張りを解すのに良いという説もあります。

その他作用

肌への働きかけ

レモンタイム精油は殺菌・消毒作用や抗炎症作用が期待できる精油として、ニキビや虫刺されのケアに取り入れられています。特に虫刺されの消毒兼かゆみ止めとして使われることが多いのだとか。

ただし感作作用(アレルギー)を引き起こす可能性のあるシトラールなどの成分も含まれているので、皮膚利用には注意が必要です。日本ではほとんど流通しておらず、使用している方も少ない精油ですから敏感肌ではないという方でも十分に注意しましょう。

レモンタイムの利用について

相性の良い香り

樹木系・ハーブ系の香りと相性が良いとされます。

【レモンタイムのブレンド例】

レモンタイム精油の注意点

  • 妊娠中・授乳中の方、持病がある方は使用を避けましょう。
  • 高濃度・長時間の使用は控えて下さい。
  • 敏感肌の方は芳香浴であっても刺激となる場合がありますので、濃度に注意して使用して下さい。
  • アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
  • 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。
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チャンパカ(金香木)アブソリュートアロマ・エッセンシャルオイルと期待される効果効能紹介 https://d-nagaya.com/aroma/post-2226/ Sat, 05 Aug 2017 02:01:42 +0000 http://d-nagaya.com/?p=2226

アジアンリゾートのような甘く濃密な香り

チャンパカ(金香木)

チャンパカ(金香木)とは

チャンパカはモクレン科の植物で、そのままの状態でもエキゾチックで甘い香りを漂わせており、チュベローズ(月下香)などと同じく夜になると香りが強くなるとも言われています。香りが良いことや見た目の可愛らしさなどから芳香剤兼装飾品としても用いられており、インドネシアやバリに旅行に行ったことのある方だと懐かしい気持ちになることもあるのだとか。和名はキンコウボクと言い、香料原料となる花は黄色~黄褐色色で、近縁種には花が白いギンコウボク(Michelia ×alba/ホワイトチャンパカ)もあります。漢字表記の場合、植物としては“金厚朴”と書く方がポピュラーなようですが、精油ほか香料としては“金香木”の方が好んで使われています。

チャンパカの原産地は東南アジアやインドあたりのエリアと考えられています。インドではヒンドゥー教で富と繁栄を司るとされる女神クシュミーの化身とされており、チャンパカそのものが富のシンボルして珍重されていたと伝えられています。インドのほか東南アジアでも「聖なる木」として大切にしている地域が多く、寺院に植えられていたり、神様への供物として用いられているそうです。またインドや中国では伝統医療においても根・樹皮・花が薬として使われています。

チャンパカの香りはアジアンな印象の甘く濃厚なフローラル調ですが、どことなく深みがあり精油・香水というよりは“お香”のイメージに近いと表現されることもあります。インドではその蠱惑的な香りから天然の媚薬とも言われていたそうですし、かつて“世界一高価な香水”という宣伝文句で売り出されたJean Patouの『Joy』にもジャスミン・ローズ・イランイラン・チュベローズと共に用いられているそう。

そこから香りの良さが注目されるようになり、現在では世界的に香水原料として重宝される存在となっています。アブソリュートでもありますし、価格的にも高価であるためアロマテラピーなどで利用されることはほとんど無く“香りを楽しむ”ために用いるのが主ですが、メンタル面のサポートにも役立つのではないかと考えられています。

基本データ

通称
チャンパカ(Champaka Abs.)
別名
キンコウボク(金香木/金厚朴)、Joy Perfume Tree
学名
Michelia champaca
科名/種類
モクレン科オガタマノキ属/常緑高木
主産地
インド
抽出部位
抽出方法
溶剤抽出法(アブソリュート)
オレンジ~赤褐色
ノート
トップ~ミドルノート
香り度合い
中~強め
代表成分
リナロール、フェネチルアルコール、アンスラニル酸メチル、インドール、酢酸ベンジル、オイゲノール、ネロリドール、安息香酸
おすすめ
芳香浴
(※ごく少量でアロマバス・スキンケア・ヘアケア)

エキゾチックな印象を与える、甘く華やかなフローラル調の香り

こんなお悩みにオススメ

【精神面】

  • ストレス・神経疲労
  • 不安・緊張・興奮
  • 精神的に疲れている時に
  • ゆったりしたい時に
  • 抑鬱気味の時に

【肉体面】

  • 風邪・発熱
  • 呼吸器系の不調
  • 頭痛・偏頭痛
  • 生理不順・無月経
  • 更年期障害・PMS

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チャンパカ(金香木)に期待される効果・効能

心への作用

チャンパカのエキゾチックで濃厚な香りは気持ちを落ち着けたり、リラックスさせる働きがあると考えられています。成分的にも鎮静作用や抗不安作用に優れるとされるリナロールの比率が高くなっていますので、ストレス対策や精神的な疲労感軽減に効果が期待できるでしょう。

アジアのリゾートを思わせるような香りは気持ちを開放・高揚させることにも役立つという説もありますから、気分が落ち込んでしまっている時のサポートにも適していると考えられています。かつて催淫作用があるとして媚薬として用いられていたのも、気持ちを整えて開放させる働きがあるためと言われています。

体への作用

チャンパカオイルは去痰・解熱作用などがあると言われています。成分的に見ても抗菌・抗ウイルス作用や免疫調整作用があるとされるリナロールやオイゲノールなどが含まれていますから、風邪・インフルエンザなどの感染症予防や初期症状ケアに役立つのではないかと考えられています。そのほかリナロールは鎮痛作用があるとされており、鎮静作用と合わせてストレス性の頭痛や偏頭痛緩和にも取り入れられています。

また女性ホルモン(エストロゲン)作用を持つネロリドールを含などを含むことから、通経作用など女性ホルモンのバランスを整える働きがあるとする説もあります。リナロールなどによる精神的なサポートと合わせて更年期障害や月経前症候群(PMS)などの精神的不調の軽減にも効果が期待できるでしょう。

その他作用

肌への働きかけ

チャンパカオイルは収斂・エモリエント(皮膚軟化)作用があるとされており、スキンケアや化粧品原料としても取り入れられています。ニキビや皮膚炎証のケアに良い・ターンオーバー促進に役立つという説もありますが、肌への刺激が強くアレルギー反応を起こす原因にもなりかねませんので皮膚利用は避けることをおすすめします。

チャンパカ(金香木)の利用について

相性の良い香り

フローラル系の香りと非常に相性がよく、それ以外でもフローラル感やオリエンタル感のある香りとであれば組み合わせやすいでしょう。しっかりとした香りを持つオイルですから、入れすぎないように注意して下さい。

【チャンパカのブレンド例】

チャンパカ・アブソリュートの注意点

  • 妊娠中・授乳中の使用は避けましょう。
  • 敏感肌の方は芳香浴であっても刺激となる場合がありますので、濃度に注意して使用して下さい。
  • アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
  • 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。
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シダーウッド・テキサス精油アロマ・エッセンシャルオイルと期待される効果効能紹介 https://d-nagaya.com/aroma/post-2198/ Mon, 24 Jul 2017 08:24:09 +0000 http://d-nagaya.com/?p=2198

敏感肌の方は使用には注意が必要

Juniperus ashei pollencones

シダーウッド・テキサスとは

シダーウッド・テキサスはアメリカ大陸に自生するヒノキ科ビャクシン属の樹木で、植物としてはシダー(ヒマラヤスギ)よりもジュニパーに近い存在です。ニューメキシコあたりに住んでいたネイティブ・アメリカンの人々が医薬品として用いていたという伝承もありますが、現在では花粉症のアレルゲンとしてあまり良くない印象を持っている方が多いのだとか。アメリカ南西部から中央アメリカ一帯にかけて分布していますが、精油の生産の大半はテキサスで行われています。

古くは電柱などの建設に利用されていたそうですが、現在は木材としては柔らかく割れやすいという難点から、建材としてはほとんど利用されていません。精油原料としての需要が大部分を占めているそうです。精油は琥珀色で粘土の高い単蒸留もの・ほとんど透明でサラリとした精留(精密蒸留)ものの2タイプがありますが、一般的に流注しているのは精留ものがほとんどのようです。

シダーウッドの種類について

厳密には「シダー」という呼び名はマツ科ヒマラヤスギ(Cedrus)属を総称する言葉ですが、針葉樹の呼び名としてそれ以外の樹木にも使われています。精油として用いられるものの中ではシダーウッド・アトラス(ホワイトシダー)やシダーウッド・ヒマラヤンなどがCedrus属に分類される正真正銘のシダー、対してシダーウッド・バージニアやシダーウッド・テキサスなどはヒノキ科ビャクシン(Juniperus)属と分類上はあまり近くない種類ですね。また同じくヒノキ科でも別属のスギ(Cryptomeria)属に分類される日本の“杉”もジャパニーズ・シダーウッドという呼称で販売されています。

同じ様に名前に“シダーウッド”が付けられていますが分類上は別科・別属という植物も多いので、シダー系精油はモミ系精油などよりも更に香りの印象や成分がなどが異なっています。日本で単に「シダー」や「シダーウッド」と呼ぶ場合は、ポピュラーであるとされるシダーウッドアトラスのことを指すケースが多いようですが、購入時は名称だけではなく学名も確認するようにした方が安心でしょう。

シダーウッド・テキサスは板材のような乾燥した木の香りをベースにほのかな甘さ・バルサミック感がある、落ち着いていてどことなく男性的な印象の香り。印象としてはシダーウッド・バージニアンに似ており、代替用にも用いられているようです。ただし刺激の強い精油で一般家庭での利用は避けた方が良いとも言われている存在ですから、使用濃度などには注意が必要です。使用に不安がある方はシダー系精油の中で最も安全とされるシダーウッド・アトラスを使うようにしましょう。成分や香りの印象は異なりますが、期待される作用としてはほぼ同一と言われています。

基本データ

通称
シダーウッド・テキサス(Cedarwood Texas)
別名
テキサス杉、マウンテンシダー(Mountain Cedar)
学名
Juniperus ashei
科名/種類
ヒノキ科ビャクシン属/針葉樹
主産地
アメリカ、メキシコ
抽出部位
木部
抽出方法
水蒸気蒸留法
ほぼ無色~淡黄色(精留もの)
ノート
ベースノート
香り度合い
強い
代表成分
セドロール、セドレン、ツジョン、ツヨプセン、カリオフィレン
おすすめ
芳香浴

バルサム感を含む、甘さのある乾燥した木材のような木の香り

こんなお悩みにオススメ

【精神面】

  • ストレス・緊張
  • 神経疲労・無気力
  • 不安・憂鬱・イライラ
  • 気持ちを落ち着かせたい
  • 自身を持ちたい

【肉体面】

  • 咳・痰・喉の不快感
  • 鼻水・鼻詰まり
  • 気管支炎の緩和に
  • 風邪の初期症状に
  • 関節痛・リウマチに

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シダーウッド・テキサスに期待される効果・効能

心への作用

シダーウッド・テキサスもシダーウッド・バージニアンと同様に鎮静作用があると考えられており、ストレスや緊張による精神疲労の軽減に効果が期待されています。人により好き嫌いは分かれますが、温かみのあるウッディー調の香りは心を落ち着けたり、ネガティブな感情を和らげるのにも役立ってくれるでしょう。無気力・自信喪失時の時に良いとも言われています。

体への作用

去痰・粘液溶解作用などが期待できることから、咳・痰・鼻水などをはじめ気管支炎や副鼻腔炎など幅広い呼吸器系トラブルの軽減に取り入れられているようです。風邪による呼吸器系の不調や、花粉症ケアにも効果が期待されています。

そのほかシダーウッド・テキサスは循環器系を刺激し、鬱血を除去する作用があるとも言われています。神経系を鎮静する働きと合わせて関節炎、リウマチ、痔などの軽減に良いとする説もあるそうです。

その他作用

肌への働きかけ

皮脂分泌調整作用や抗炎症作用があるとされ、脂性肌やにきび・ふけ・乾癬ほか皮膚炎症ケアに有効と言われています。ただし皮膚刺激を引き起こすことがありますので、皮膚に直接つける形での使用は避けたほうが確実でしょう。

シダーウッド・テキサスの利用について

相性の良い香り

樹木系や甘さがさほど強くないオリエンタル系の香りと比較的ブレンドしやすいです。

【シダーウッド・テキサスのブレンド例】

シダーウッド・テキサス精油の注意点

  • 妊娠中の利用は出来ません。授乳中も避けた方が良いでしょう。
  • 敏感肌の方は芳香浴であっても刺激となる場合がありますので、濃度に注意して使用して下さい。
  • アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
  • 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。
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シベリアモミ/シベリアンファー精油アロマ・エッセンシャルオイルと期待される効果効能紹介 https://d-nagaya.com/aroma/post-2139/ Mon, 10 Jul 2017 07:02:21 +0000 http://d-nagaya.com/?p=2139

風邪予防に使われてきた「森のお医者さん」

Пихта сибирская

シベリアモミ(シベリアンファー)とは

シベリアモミは名前の通りシベリア原産の樹木で、ロシア・中国・トルコ・モンゴル域に分布しています。ロシアでは“伝統療法の万能薬”とも呼ばれ、森のお医者さんなんていう別名も付けられているそうです。私たちに最も馴染みのあるシベリアモミの紹介としては「クリスマスツリー」ではないでしょうか。諸説ありますが、シベリアモミは殺菌作用があることから冬場に風邪予防も兼ねて飾られており、後に飾り付けをしたクリスマスツリーを置くことがメインになったという説もあります。

ただしクリスマスツリーとして使われている木の起源や種類については諸説ありますし、使われているもの全てがシベリアモミという訳ではありません。北ヨーロッパでよく見られるシルバーファーを始めとした様々なモミ科の樹木が利用されています。また“ファー(fir tree)”というのもモミ属の樹木の総称ですし、ファーニードルというもの針状の葉を指す言葉厳密にどれかの品種を指す言葉ではありません。

モミ系精油の種類について

精油原料として利用されている樹木もモミ属には数多く存在しており、モミ属の樹木(針葉)から採油されたオイルを総称して「アビエスオイル」と呼ぶこともあります。このうち香料としてはアメリカ大陸産のバルサムファー(学名:Abies balsamea)・ヨーロッパ原産のシルバーファー(学名:Abies alba)の2種が高く評価されており、日本でアビエスオイルはシベリアファーが使われている事が多いようです。

モミ属の精油は同じ呼び名で流通しているものもありますが、もちろん原料によって芳香成分・香りには差があります。メジャーなところで言うとバルサムファーは甘みのある爽やか系、シルバーファーは若干バルサム感があり温かい印象があると言われています。そのほかグランディスモミ(Abies grandis)はクリスマスツリーに最も近い香り、近年和精油として注目されているトドマツ(学名:Abies sachalinensis)は爽やかで力強い香りと称されています。これら精油は全て“モミの木の精油”として販売されていることもありますから、に入った香りがある場合などは商品名だけではなく学名を確認するようにすると失敗が少ないでしょう。

シベリアファーはややカンファー感があり、ファー系精油の中でもスッキリ感が強い部類であると称されています。そのため香料としては特にメンズコロンやシェービングクリームなどの男性用化粧品に使われることが多いとも言われています。海外では香りそのものと実益を兼ねて、お部屋のリフレッシュナー用としても人気があるようです。

基本データ

通称
シベリアモミ(Siberian fir)
別名
シベリアンファー、シベリアマツ、Fir needle(ファーニードル)
学名
Abies sibirica
科名/種類
マツ科モミ属/常緑針葉樹
主産地
ロシア
抽出部位
球果(※葉を使う場合も有)
抽出方法
水蒸気蒸留法
ほぼ無色~淡黄色
ノート
ミドルノート
香り度合い
中くらい
代表成分
α-ピネン、リモネン、カンフェン、酢酸ボルニル、δ-3-カレン、β-フェランドレン
おすすめ
芳香浴・アロマバス

ほのかに甘さとスパイシーさを含む、サッパリとした森林調の香り

こんなお悩みにオススメ

【精神面】

  • ストレス・神経疲労
  • 緊張・不安・興奮
  • 気持ちを落ち着かせたい
  • メンタル強化のサポートに
  • 仕事中のリフレッシュに
  • 寝付きが悪いと感じる

【肉体面】

  • 風邪・インフルエンザ予防
  • 呼吸器系の不調緩和に
  • 筋肉痛・関節痛・リウマチ
  • 血行不良・冷え性
  • 殺菌・消毒剤として
  • 消臭剤代わりに

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シベリアモミ(シベリアンファー)に期待される効果・効能

心への作用

シベリアモミの精油成分としては他モミ系の精油と同様に、森林浴効果や強壮効果が期待できるα-ピネン・鎮静・リラックス効果があるリモネンなどの含有率が高くなっています。また松脂系の臭いで森林系っぽい香りを構成するために重要な成分とされる酢酸ボルニル(ボルニルアセテート)も鎮静作用があると考えられていますし、睡眠促進への有効性についても報告されています。

こうした精油成分を含んでいることとから、シベリアモミの精油は気持ちを落ち着ける働きがあると考えられています。ストレスや緊張・興奮などを緩和して、メンタルバランスを整えるサポートをしてくれるでしょう。加えてスッキリとした香りはリフレッシュにも役立ちますし、ピネン類には強壮作用も期待されていますから、オンオフを問わずストレス対策としても役立ってくれそうですね。

体への作用

「風邪予防に飾ったことがクリスマスツリーの起源」という説もあるように、シベリアモミは高い殺菌作用と消毒作用があると考えられています。殺菌・抗菌作用を持つ成分が多く含まれていますし、α-ピネンやリモネンなど免疫力向上効果が期待されている成分の比率が高いので風邪・インフルエンザ予防に役立ってくれるでしょう。気管支炎など呼吸器系の炎症緩和にも効果が期待されています。

そのほかピネンやリモネンなどのモノテルペン炭化水素類は血行促進作用を持つことで、疲労回復や冷え性の軽減にも有効とされています。加えて酢酸ボルニル(ボルニルアセテート)は緊張緩和や消炎・鎮痛に働きかけるとされていますから、相乗して筋肉痛や関節痛・リウマチなど血液循環不良によって悪化する痛みの緩和にも効果が期待できるでしょう。

その他作用

肌への働きかけ

殺菌・消毒作用があることからニキビなどの肌トラブルや、水虫のケア・傷の消毒などに利用されています。肌を柔らかく保つ作用もあるとされロシアではお顔のスキンケアにも使われているそうですが、モノテルペンの含有率が高く皮膚刺激性が高いことも指摘されています。希釈濃度を守り、使用する場合も石鹸などの香り付けに少量使う程度にしておくと無難でしょう。

お部屋の空気浄化に

シベリアモミはサッパリとした香りと、殺菌・消毒作用が高いことから空気浄化用としてよく使われている精油です。消臭作用や防虫作用もあるとされていますので、お部屋の香り作りだけではなく水回りやゴミ箱などに試してみても良いでしょう。冬場に紹介されることの多い香りですが、夏場のクローゼット内消臭などにも適しています。

シベリアモミ(シベリアンファー)の利用について

相性の良い香り

柑橘系やサッパリとしたハーブ系の香りとブレンドしやすい香りです。似た印象のあるウッディー系の香りを組み合わせると香りに奥行きが出ます。

【シベリアモミのブレンド例】

シベリアモミ精油の注意点

  • 妊娠中・授乳中の使用は避けましょう。
  • 皮膚刺激の可能性があります。特に敏感肌の方は使用に注意が必要です。
  • アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
  • 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。
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イニュラ精油アロマ・エッセンシャルオイルと期待される効果効能紹介 https://d-nagaya.com/aroma/post-2119/ Thu, 29 Jun 2017 08:56:48 +0000 http://d-nagaya.com/?p=2119

鼻詰まりや花粉症ケアとして注目

イニュラとは

イニュラの原産はアジアと考えられていますが、ヨーロッパでよく使われているハーブでデイジーに似た黄色い花を付けます。キク科に分類される植物で同属の植物は90種類以上あります。どの種かはハッキリしていませんが、古代ギリシアやローマでは既に薬用ハーブとして用いられていたとも伝えられています。ただしハーブとしては近縁種であるエレキャンペーン(学名:Inula helenium/生薬名:土木香)の方がメジャーな存在と言えますし、中世以降も薬用目的ではこちらが使われていたことが多いようです。

ハーブ療法で使われることもあるエレキャンペーンも同じくオグルマ(Inula)属の植物であることから、主に精油の原料として用いられているInula graveolensは“スイートイニュラ”と呼んで区別されることもあります。また花はフローラル調というよりも樟脳に近い香りを持つことから、カンファーイニュラと呼ばれることもあります。
精油もややカンファーっぽさが強く、薬品・救急箱の匂いを連想される方も多いようです。ユーカリに近いとも称されるようにスッキリとしたシャーブな印象が強いですが、ややまろやかで、奥の方に甘さやフローラル感を感じられる香りです。日本で特に香料としては聞き馴染みのない名前ですが、近年は花粉症対策効果が期待できる精油として取り上げられる機会が増え、徐々に流通量が増えているようです。

イニュラ精油は産地によって成分が若干異なります。日本で多く流通しているものはフランス(コルシカ島)のものは酢酸ボルニル・ボルネオールが主成分となりますが、ギリシア産のものはepi-a-cadinolという成分の比率が高いと言われています。またイニュラオイルは黄色っぽいものと緑色っぽいものがありますが、これは植物や成分の違いではなく蒸留器具の材質の違いによるものと言われています。ステンレス蒸留器で蒸留した場合は黄緑色に、銅製の蒸留器を使った場合は反応を起こして近い青みがかったエメラルドグリーン色になるのだとか。

基本データ

通称
イニュラ(Inula)
別名
イヌラ、スイートイニュラ(Inula Sweet)、カンファーイニュラ(Camphor Inula)
学名
Inula graveolens
科名/種類
キク科オグルマ属/一年草
主産地
フランス、コルシカ島、ブルガリア、モロッコ
抽出部位
全草(花、茎、葉)
抽出方法
水蒸気蒸留法
淡黄緑色~青緑色
ノート
ミドル~トップノート
香り度合い
中~強め
代表成分
酢酸ボルニル、ボルネオール、カンフェン、β-カリオフィレン、β-ピネン、リモネン
おすすめ
芳香浴・アロマバス・マッサージ・スキンケア・ヘアケア

カンファー系のシャープさと甘さをもつ、さっぱりしたハーブ調の香り

こんなお悩みにオススメ

【精神面】

  • ストレス・緊張
  • イライラ・怒り
  • 不安・情緒不安定
  • 気持ちを落ち着けたい

【肉体面】

  • 鼻詰まり・咳・痰
  • 気管支炎・喘息
  • 風邪・花粉症ケア
  • 動悸・不整脈

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イニュラに期待される効果・効能

心への作用

その香りからリフレッシュ用という印象のあるイニュラですが、作用としては鎮静作用があると考えられています。心のバランスが崩れてイライラしやすい時や不安感がある時に良いとも言われています。シャープでスッキリとした香りですから、仕事中のストレス対策用にも取り入れやすいでしょう。

体への作用

イニュラ精油は油はアロマテラピーにおいて最も強い粘液溶解作用を持つとも言われ、呼吸器系のケアに高い効果が期待されています。粘膜溶解作用から鼻詰まりを和らげて呼吸を楽にする・痰が絡むのを改善する働きが期待できる他、抗菌・抗ウィルス作用や免疫力向上にも有効されるため風邪による鼻や喉のトラブルなど幅広い“呼吸器の不調・不快感”軽減に取り入れられています。加えて抗炎症作用も期待されていることから、風邪や花粉症などのアレルギーに伴う頭痛や耳痛にも良いと言われています。

そのほか心拍数と整えることで不整脈や動悸を改善する・アセチルコリンエステラーゼ(AChE)阻害活性阻害作用からアルツハイマー型認知症予防に役立つのではないかという説もあるようです。

その他作用

肌への働きかけ

抗炎症作用が期待できると言われています。また殺菌作用があることに加え、皮脂を溶解させる働きがあるとして海外ではニキビケアに用いられることもあるようです。ただし皮膚刺激が強いため使用には注意が必要な精油でもありますから、アレルギー体質の方や敏感肌の方は直接肌に付けるような利用は避けましょう。

イニュラの利用について

相性の良い香り

柑橘系・ハーブ系との相性が良いとされていますが、比較的香りの系統を選ばずにブレンドできる香りです。

【イニュラのブレンド例】

イニュラ精油の注意点

  • 妊娠中・授乳中の方、お子様への利用は避けましょう。
  • キク科植物にアレルギーがある方・敏感肌の方は使用に注意が必要です。
  • アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
  • 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。
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シナモンバーク精油アロマ・エッセンシャルオイルと期待される効果効能紹介 https://d-nagaya.com/aroma/post-2056/ Tue, 13 Jun 2017 07:18:26 +0000 http://d-nagaya.com/?p=2056

心身が温まる甘くスパイシーな香り

シナモンバーク

シナモンバークとは

スパイシーさを含む独特の甘い香りでシナモンコーヒーやお菓子などの風味付けとして、私達にも馴染みのあるスパイスであるシナモン。普段スパイスとして利用している“シナモン”はシナモンの木の樹皮をはがして乾燥させたもので、その香り高さから「スパイスの王様」とも呼ばれ世界中で利用されています。近年は甘く暖かい香りだけではなく血管の若返りに良い・冷え性に良いと報じられることもあり、健康や美容のために取り入れるという方も増えているようです。

シナモンは世界最古のスパイスの1つとされており、紀元前4000年ごろからエジプトでミイラの防腐剤として用いられていたと考えられています。不死鳥(フェニックス)はミルラとシナモンを燃やした火から蘇るという伝説もあるそうですし、古代ギリシャでは深い愛情を示す贈り物として用いられていたのだとか。インドではクローブ・カルダモンと共にカレーには欠かせない3大スパイスの1つとしてや宗教用の薫香として、漢方では桂皮(ケイヒ)や肉桂(ニッケイ)の名で生薬としてと、広い地域で様々に使われてきた存在です。

シナモンの種類について

シナモンは大きくセイロンタイプ(C. verum)とカッシアタイプ(C. sieboldii)の二つがあります。また採油こそほとんどど行われていませんが、一般的にニッキもしくは肉桂(ニッケイ)と呼ばれているものはC. sieboldiという別種になります。シナモン精油自体がややマイナーな存在ですが、その中でもシナモンバークとカッシアシナモンは流通も少なく、一般的に用いられることはほとんどありません。またこの2つはアルデヒドを高濃度で含み刺激が強いことから、使用を避けるべきとしているアロマテラピー書籍も存在します。

特にカッシアシナモンはシナモンバークよりもアルデヒド濃度が高いこと・長期間の継続利用で毒性(肝機能障害)の危険があるクマリン類を含んでいるため、取り扱いが非常に難しい精油とされています。このため精油としてはセイロンシナモンが主流であり、シナモンリーフ・シナモンバーク共に特に表記のない場合はセイロンシナモンから採油されたものというのが慣例となっています。ただし外国製品や安値のものの場合はシナモンカッシアを使っている場合も有りますので、念のため原料を確認するようにすると確実でしょう。
またシナモンリーフも当サイトでは皮膚利用を避けたほうが良い精油としてご紹介しておりますが、シナモンバークやカッシアは更に皮膚刺激が強いと考えられます。芳香浴や手作り香水に利用する場合も肌につかないように注意してください。

基本データ

通称
シナモンバーク(Cinnamon bark)
別名
セイロンシナモン、セイロンニッケイ(錫蘭肉桂)、桂皮(ケイヒ)
学名
Cinnamomum verum
(Cinnamomum zeylanicum)
科名/種類
クスノキ科ニッケイ属/常緑高木
主産地
スリランカ、インドネシア、マダガスカル、インド
抽出部位
樹皮
抽出方法
水蒸気蒸留法
黄色~琥珀色
ノート
ベース~ミドルノート
香り度合い
強い
代表成分
シンナムアルヒド、シンナミルアセテート、オイゲノール、β-カリオフィレン、リナロール
おすすめ
芳香浴

甘くスパイシーな香りで、シナモンリーフよりも甘さがある

こんなお悩みにオススメ

【精神面】

  • ストレス・神経疲労
  • 無気力・無感動
  • 気持ちの落ち込みに
  • やる気が欲しい時に
  • 前向きになりたい時に
  • 孤独感・人間関係の不安

【肉体面】

  • 血行不良・冷え性
  • 腹痛・下痢・消化不調
  • お腹の調子が悪い時に
  • 風邪予防・ケアに
  • 関節痛・神経痛・リウマチ
  • 生理痛の軽減に
  • 殺菌・防カビ・虫除け

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シナモンバークに期待される効果・効能

心への作用

シナモンバークのスパイシーかつ甘い香りは、心に活力を与えたり気分を高揚させる方向に働くと考えられています。ストレスや疲労などでネガティブになってしまっている時や、何事に対しても興味がわかない・やる気が起きない時などに適していると言えるでしょう。また気持ちを高めることに加え、温かみのある香りは孤独感や疎外感を癒やすとも言われています。人間関係のストレスがある方のサポートとしても役立ってくれそうですね。

体への作用

シナモンの香りは血行を促し体を温める働きや、消化機能をサポートする働きがあるとされています。このため冷え性や風邪のケアなどに取り入れられることが多く、また胃腸の冷えから起こる腹痛・消化不良・下痢・食欲不振などの消化器トラブルの軽減効果も期待されています。刺激が強く安易に使えない精油ですが、反面抗菌作用なども強いと考えられており、風邪予防や呼吸器系の不調軽減にも効果が期待されています。

血液循環を促すことから関節痛・神経痛・リウマチ・生理痛など、冷えによって痛みが悪化する不調の軽減にも有効とされています。ハッキリとはわかっていませんが免疫システムの刺激作用がある・抗炎症作用がある・アルツハイマー型認知症の予防に役立つなどの説もあり、そのほかにも様々な効果が期待されています。

その他作用

お部屋を綺麗に保つ

シナモンバーク精油の主成分であるシンナムアルヒドは殺菌・殺虫剤の原料としても利用されている成分です。オイゲノールも抗菌・抗カビ特性に優れているとされていますので、殺菌・防カビ・虫除けとハウスキーピングに嬉しい効果が期待できるでしょう。ただしシンナムアルデヒドはイヌやネコなどの動物を追い払う成分としても用いられているので、ペットを買われている方は注意しましょう。

シナモンの香りが好きな方であれば使わない季節の洋服をしまう時などに、香りを染み込ませたコットンなどを入れておくようにしても良いでしょう。常時焚くのはおすすめできませんが、定期的に香らせることで室内除菌やカビ予防にもなりますよ。

シナモンバークの利用について

相性の良い香り

同じスパイス系の香りと相性がよく、柑橘系の香りとも比較的ブレンドしやすいです。また少量加えると香りに甘さを加えることが出来ますから、濃度に注意すれば大抵の香りと組み合わせることが出来るでしょう。

【シナモンバークのブレンド例】

シナモンバークの注意点

  • 妊娠中や授乳中の方、小さいお子さんへの使用はできません。
  • 芳香浴の場合も皮膚につかないように注意し、高濃度・長時間の使用を避けましょう。
  • 頭痛や吐き気などの副作用を起こす可能性があります。体調に異変を感じたら即座に利用を中止して下さい。特に心臓疾患のある方・高血圧の方は注意が必要です。
  • アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
  • 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。
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キンモクセイ・アブソリュートアロマ・エッセンシャルオイルと期待される効果効能紹介 https://d-nagaya.com/aroma/post-2040/ Thu, 01 Jun 2017 08:17:26 +0000 http://d-nagaya.com/?p=2040

食欲抑制効果が報告され話題に

金木犀(キンモクセイ)

キンモクセイ(金木犀)とは

小さなオレンジ色の花が特徴的なキンモクセイ(金木犀)、日本でも庭木や街路樹として見かける植物です。秋の風物詩の一つとも言われる通りキンモクセイの香りがすると秋だなぁと感じたり、子供の頃の思い出が蘇って懐かしい気持ちになる方もいらっしゃるのではないでしょうか。かつてはトイレの芳香剤によく使われていたので年代によってはトイレを連想して苦笑…なんてこともあるかもしれませんが、トイレの芳香剤として知られている香りは合成香料によるもの。本物の花を原料としたキンモクセイ・アブソリュートはもっと深みがあり、フルティーさやスパイシーさを含む奥深い香りです。

日本でもお馴染みのキンモクセイですが原産地は中国南部とされており、日本に伝わったのは江戸時代とさほど古い時代ではありません。日本では専ら観賞用ですが、中国ではお茶に混ぜて桂花茶にする・砂糖漬けにする・蜜煮にして香味料(桂花醤)を作るなど食品方面でも秘匿使われている存在です。また鮮やかなオレンジ色の花から、卵などを金木犀の花に見立てて桂花○○と命名された料理も多いのだそう。中国では単なる鑑賞用としてではなく食用できる庭木・ハーブの一種のような感覚で植えられていたのかもしれません。

一般的にキンモクセイ=桂花(ケイカ)と呼ばれていますが、中国名の桂花と言うのは私達が想像する「キンモクセイ」だけではなくOsmanthus fragransに属する変種・品種の総称として用いられています。日本で一般的に呼ばれる(狭義の)キンモクセイというのはO. f. var. aurantiacusという変種の一つで、厳密にこちらのみを指す場合は“丹桂”の方が正確のようです。

ちなみにキンモクセイがあるのならギンモクセイ(銀木犀)もあるのでは?と思ったことのある方もいらっしゃるかと思いますが、ギンモクセイはO. f. var. fragrans、一般的にモクセイと言われる白い花を付ける種類が該当します。キンモクセイの属名Osmanthusはギリシア語で香り+花、fragransは香りを持つ植物であることを意味していると言われています。変種名として使われているaurantiacusは橙黄色を意味しているのだとか。オレンジ色で匂いがする花と実に分かりやすい命名ですね。

三大香木の一つにも数えられているキンモクセイですが、精油(アブソリュート)はメジャーとは言えない存在。きちんと抽出されたキンモクセイ精油も他アブソリュート同様に高価で流通も少ないですが、無水エタノールにキンモクセイの花を浸して2~3ヶ月密閉しておくことで香料を手作りすることも出来るそう。秋を楽しむルームフレグランスに使う程度であれば時期に花を集めて作ってみても良いかもしれません。

キンモクセイアブソリュートの場合は道ばたで香ってくるものに近い甘い花の香りで、日本人にとってはノスタルジックな印象もあります。独特な香りでもありますので好き嫌いは分かれますが、男女どちらの香水原料にも用いられていますし、芳香剤・化粧品の香料としても使われていますよ。

基本データ

通称
金木犀(キンモクセイAbs.)
別名
Osmanthus(オスマンサス)、丹桂、桂花
学名
Osmanthus fragrans
科名/種類
モクセイ科モクセイ属/常緑小高木樹
主産地
中国
抽出部位
抽出方法
揮発性有機溶剤抽出法(アブソリュート)
琥珀色~濃茶色
ノート
ミドルノート
香り度合い
中〜強
代表成分
リナロール、オイゲノール、ゲラニオール、β-イオノン、リナロールオキシド、パルミチン酸エステル、リノレン酸エチル、サリチル酸エチル
おすすめ
芳香浴

甘いフローラル調の中にスパイシーさを含む、キンモクセイの香り

こんなお悩みにオススメ

【精神面】

  • ストレス・神経疲労
  • 不安・緊張・イライラ
  • 気持ちの落ち込みに
  • リラックスしたい時に
  • 癒やしが欲しい時に
  • 安眠のサポートに

【肉体面】

  • 胃痛・胃炎の緩和
  • 関節炎・リウマチ
  • お腹の調子が悪い
  • 食欲を抑えたい方
  • ダイエット中の方
  • 皮膚炎緩和(※芳香浴)

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キンモクセイに期待される効果・効能

心への作用

フルーティーフローラルの中にスパイスを加えたような濃厚で奥深いキンモクセイの香りには、心を落ち着かせる働きがあると考えられています。ストレスや緊張・不安・イライラなどを軽減して心を癒やし、心地よりリラックスタイムをサポートしてくれると言われています。

成分としてはリナロールやゲラニオールが含まれていますから、鎮静作用のほか抗うつ・抗不安など気分の落ち込みを軽減するような働きも期待できます。特に甘めの香りがお好きな方であればストレス対策や、リラックスタイムの演出に役立ってくれるでしょう。リラックス効果の高さから安眠効果も期待できると言われています。

体への作用

キンモクセイの香りには鎮静・抗炎症作用があるとされ、キンモクセイの香りを嗅ぐ(芳香浴をする)と胃痛や胃炎・関節炎などの緩和に役立つのと考えられています。精神的なリラックス作用も期待できますから、特に神経性の症状軽減に効果が期待できるでしょう。そのほか整腸作用が期待できる・便秘に良いという説もあるようです。

また“キンモクセイの香りは食欲を促す物質(オレキシン)を減少させる”という報告がなされ、マウスに香りを嗅がせる実験では10日ほどで体重減少がみられたことが発表されています。この実験結果から近年キンモクセイの香りは食欲を抑えダイエットサポートにも役立つのではないかと注目されています。

その他作用

肌への働きかけ

キンモクセイは甘い香りや少量でも強い芳香を持つことから、手作りコスメの香料としても使われています。ただしスキンケア効果を期待して塗布利用されることはほとんどありませんし、皮膚に対する抗炎症作用が期待できるというのも芳香浴の場合のことですから過剰に添加しないように注意しましょう。

キンモクセイの利用について

相性の良い香り

柑橘系の香りと相性がよく、フローラル系とも比較的ブレンドしやすい香りです。

【キンモクセイのブレンド例】

キンモクセイ・アブソリュートの注意点

  • 妊娠中や授乳中の方は使用できません。
  • 低血圧の方は使用量(濃度)や使用時間に注意が必要です。
  • 冷所で保存すると固形化する可能性があります。
  • アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
  • 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。
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フランジュパニ(プルメリア)・アブソリュートアロマ・エッセンシャルオイルと期待される効果効能紹介 https://d-nagaya.com/aroma/post-2011/ Fri, 19 May 2017 08:58:59 +0000 http://d-nagaya.com/?p=2011

上品で華やかな、南国調の香り

フランジュパニ(プルメリア)

フランジュパニとは

フランジュパニは別名“プルメリア”とも呼ばれる、熱帯地域によく見られる花樹です。香料として用いられるものとは別種になりますが、プルメリアはハワイやタヒチなどの島々で花のレイを作ったり、髪飾りとして使われることも多い花。特にハワイではハイビスカスと並んで愛されている花で、ハワイ系商品パッケージのイラストやファブリック類の図案としてもお馴染みの存在です。花びらが5枚で白い楕円形・中央が黄色いものがよく知られていますが、赤・ピンク・黄色など実は様々な色と種類があり、観賞用としても広く栽培されています。

プルメリアはインドソケイ属の植物全体を指す言葉で300以上の種類が含まれますが、香料原料としてはシロバナインドソケイと呼ばれるPlumeria albaを用いるのが一般的です。プルメリアという属名・呼び名はフランスの植物学者シャルル・プリュミエにちなんで命名されたもので、フランジュパニという呼び名はプルメリアの精油が16世紀にイタリアのフランジュパニ公爵が革手袋の香り付けに作らせた香りと似ていたためと言われています。ネーロラの公妃の「ネロリの手袋」と似たお話ですね。このためか植物としてはプルメリア、香料(精油)としてはフランジュパニと呼び分ける方も多いようです。

フランジュパニはモチーフとしても愛されている可愛らしい外見と、生花の状態でもジャスミンに似た甘くフローラルな香りを持つことが特徴。見た目と香りの優美さから香料を抽出出来るようになるずっと以前から、インドやカンボジアなどでも神々への捧げ物として宗教儀式に使用されてきたそうです。溶剤抽出などの技術が確立してくると上品な花の香りから香水や石鹸・化粧品類などの香り付け用に需要が高くなります。ハワイアンコスメなどにもよく使われていますね。

天然フランジュパニ精油(アブソリュート)は希少で高価な存在ですし、数が少ないことから他精油や合成香料を組み合わせて香りを作った商品を“フランジュパニ”と呼ぶこともあるそうなので、購入時には注意するようにしたほうが良いでしょう。またアブソリュート(溶剤抽出)であること・流通量が少ないことなどからアロマテラピーなど自然療法での利用はほとんどなされません。下記では成分などから期待されている効果をご紹介しますが、気持ちが華やぐようなフローラルな香りですから空間演出や手作り香水など「自分へのご褒美として香りを楽しむ」感覚で用いるのがおすすめです。

基本データ

通称
フランジュパニ(Frangipani Abs.)
別名
プルメリア(Plumeria)、シロバナインドソケイ(白花印度素馨)
学名
Plumeria alba
科名/種類
キョウチクトウ科インドソケイ属/常緑小灌木
主産地
インド、コモロ諸島、インドネシア
抽出部位
抽出方法
揮発性有機溶剤抽出法(アブソリュート)
オレンジ~琥珀色
ノート
ベース~ミドル
香り度合い
中~強
代表成分
吉草酸エチル、サリチル酸エチル、ネロリドール、リナロール、ゲラニオール、安息香酸、サリチル酸
おすすめ
芳香浴

南国を連想させる華やかさを持つ、甘く深い花の香り

こんなお悩みにオススメ

【精神面】

  • ストレス・神経疲労
  • 落ち込み・抑圧感
  • 気持ちを明るくしたい
  • 癒やしが欲しい
  • 幸せな気分になりたい

【肉体面】

  • 血行不良・冷え性
  • 頭痛・歯痛など
  • アレルギー軽減
  • 月経トラブル
  • 更年期障害・PMS
  • 夜の演出に

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フランジュパニに期待される効果・効能

心への作用

フランジュパニの深みのあるフローラルな香りは、落ち込んだ心を癒すと言われています。成分としても高い鎮静作用を持つとされるリナロールやネロリドールなどが含まれていますので、神経の興奮を鎮めて気持ちを落ち着かせる働きが期待できるでしょう。また非常に華やかで明るい印象の香りであることから、気持ちを開放・高揚させることで多幸感をもたらすとも考えられています。ストレスが溜まっているなと感じている方や、頑張った自分へのご褒美としても役立ってくれそうですね。

体への作用

フランジュパニは血行を促す働きがあると考えられており、冷え性の軽減に効果が期待されています。ただし血圧降下作用もあるため、低血圧気味の方は使用に注意が必要です。そのほか鎮痛作用やアレルギー作用なども期待されているため、芳香浴として利用することで花粉症などのアレルギーや頭痛・歯痛の軽減に良いとする説もあります。

また女性ホルモン用作用があるとされるネロリドールなどを含むことから、女性ホルモンのバランスを整える働きも期待されています。精神的な面でも気持ちを落ち着けてリラックスさせる・落ち込んでしまった心の回復をサポートする働きが期待できますから、相乗して更年期障害や生理前(PMS)などの精神的トラブルの緩和に取り入れてみても良いでしょう。催淫作用があるとも言われていますので夜のムード作にも役立ってくれるかもしれません。

その他作用

肌への働きかけ

スキンケア効果を期待して塗布利用されることはほとんどありません。乾燥による肌トラブル軽減に役立つという説もありますが、肌への使用はごく少量を香料として加える程度にした方が無難でしょう。

フランジュパニの利用について

相性の良い香り

フローラル系の香りと特に相性が良いとされています。そのほかフローラル寄りのハーブ系、オリエンタル系の香りとも比較的ブレンドしやすいでしょう。

【フランジュパニのブレンド例】

フランジュパニ・アブソリュートの注意点

  • 妊娠中や授乳中の方は使用できません。
  • 低血圧の方は使用量(濃度)や使用時間に注意が必要です。
  • 冷所で保存すると固形化する可能性があります。
  • アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
  • 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。
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タジェット(マリーゴールド)精油アロマ・エッセンシャルオイルと期待される効果効能紹介 https://d-nagaya.com/aroma/post-1995/ Sun, 07 May 2017 08:06:25 +0000 http://d-nagaya.com/?p=1995

殺菌・殺虫などに役立つと考えられている

タジェット(マリーゴールド)

タジェット(マリーゴールド)とは

タジェットというと馴染みのない植物のように感じがちですが、これは属名をそのまま使っているためで、Tagetes(コウオウソウ)属の植物は通常マリーゴールドと呼ばれています。日本でも花壇や鉢植えでよく見かける、黄色やオレンジの花としてお馴染みの植物ですね。見た目が明るい印象であること・丈夫で育てやすいことに加え、防虫や除虫に役立つコンパニオンプランツとしても用いられているため目にする機会が多いのだとか。

タジェット=マリーゴールトですが、ハーブとしてよく使われるポットマリーゴールドとも呼ばれる「カレンデュラ(Calendula officinalis)」とは全く別の植物になるため注意が必要です。カレンデュラの浸出油もキャリアオイルとして用いられていますが、同じ「オイル」でも製法・使い方が大きく異なりますので注意が必要です。カレンデュラの精油も存在しないというわけではないようですが、一般向けに市販されていることはほぼ無いそうです。
どちらも膚修復促進や炎症軽減など期待されており紛らわしいですが、カレンデュラオイル(浸出油)と異なりタジェット精油は低濃度希釈が必要です。また毒性や刺激性の問題から取扱に注意が必要で、専門家の指示がない限りは使わない方が良いとする説もあるようなので購入時には注意するようにしましょう。

ちなみに精油で「タジェット」と呼ばれるものはメキシカンマリーゴールドと(Tagetes minuta/Tagetes tenuifolia)やフレンチマリーゴールド(Tagetes patulaya/Tagetes glandulifera)などTagetes属の植物が何種か使われています。植物分類上は別種ですが、成分や香りなどが近いことからまとめられているそうです。このうち日本で流通しているのはTagetes minutaの精油が多いようで、自然派化粧品・バス用品メーカーの『Lush(ラッシュ)』さんもこちらを取り入れているようです。

もちろん他のメーカーの化粧品類でもタジェット精油(オザキソウ花油)は利用されています。柑橘系とハーブ系を合わせたような香りは香水原料としても用いられており、精油ではなくアブソリュートも香料として使われているそう。インドではサンダルウッドと組み合わせた香水もよく用いられているようです。重く主張が強い香りのため好き嫌いも分かれますし、希釈して少量使うと比較的親しみやすく独特のフルーティーさが楽しめます。
ただし取扱が難しい精油ですので、初心者の方であれば無理をして取り入れる必要は全くありません。芳香利用でも濃度が濃いと悪影響を及ぼす危険性がありますから、香りが好きという方であっても注意して使うようにしましょう。

基本データ

通称
タジェット(Tagetes)
別名
タジェティーズ、マリーゴールド(Marigold)
学名
Tagetes patula/Tagetes minuta/Tagetes glandulifera
科名/種類
キク科コウオウソウ(マンジュギク)属/一年草
主産地
エジプト、インド、フランス
抽出部位
花、葉
抽出方法
水蒸気蒸留法(※溶剤抽出も有)
黄色~オレンジ色
ノート
トップ~ミドルノート
香り度合い
中~強い
代表成分
タジェトン、trans-β-オシメン、吉草酸、リモネン
おすすめ
芳香浴・スキンケア(※使用に注意が必要)

濃いハーブ調の中に柑橘系のフルーティーさが加わった、強く重い香り

こんなお悩みにオススメ

【精神面】

  • ストレス・神経疲労
  • 不安・パニック
  • イライラ・ヒステリー
  • 気持ちを落ち着けたい
  • リラックスしたい

【肉体面】

  • 咳・気管支炎
  • 下痢の緩和
  • 風邪予防
  • タコ・魚の目ケア
  • 虫除けとして

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タジェットに期待される効果・効能

心への作用

タジェットの香りには鎮静作用があると考えられています。ストレスや精神的な疲れ・不安を和らげることでリラックス効果が期待できるほか、パニック・怒り・ヒステリーなど感情的になっている状態を落ち着けるのにも適していると言われています。気持ちを落ち着けることで意識をクリアにする働きも期待できますね。

体への作用

あまり身体の調子をサポートするような目的で使われることはありませんが、鎮静・鎮痙作用があるとされているため痙攣性の咳や下痢の緩和に良いと考えられています。そのほか抗菌・消毒作用から風邪予防に、月経促進作用による月経不順・無月経の緩和などに良いとする説もあります。

その他作用

肌への働きかけ

抗菌・抗真菌作用や皮膚(角質)軟化作用が期待できることから、タコや魚の目のケアに良いと射されています。また第一次世界大戦事には怪我の治療や感染症予防に取り入れられていたこともあり、傷の手当(傷口の消毒)に良いとする説もあります。

※化粧品に使われていることや、乾燥肌や皮膚炎症に良いとする説もありスキンケア向きの精油と思われがちですが、タジェットは作用が強く皮膚感作性や光毒性(光感作性)があることから気軽に利用できる精油ではありません。タジェット精油を含む商品を使わずご自身で利用する場合は、使用時には低濃度に希釈してパッチテストを必ず行いましょう。お顔など皮膚が薄い部分への利用は控えることをおすすめします。

虫除けとして

タジェットは伝統的に殺虫剤としても用いられており、精油の場合も蚊・ハエ・ノミ・ゴキブリなどに対する虫除け剤として役立つと言われています。作用が強い精油ですので小さいお子様や妊娠中の方などがいるご家庭には適しませんが、芳香剤を兼ねて玄関や収納奥などに香らせると良いでしょう。光毒性があるため外出時の虫除けスプレーなど肌に付きそうなものには使わないほうが無難です。

タジェットの利用について

相性の良い香り

軽めの印象を持つ柑橘系・樹木系の香りと比較的組み合わせやすいです。タジェット精油は作用だけではなく香りも強いのでごく少量を加える程度、少し物足りないくらいで丁度良いでしょう。

【タジェットのブレンド例】

タジェット精油の注意点

  • 妊娠中・授乳中の方、お子様への利用は出来ません。
  • 大量または長期間の使用は避けましょう。
  • 肌が弱い方・アレルギーのある方は皮膚利用を避けてください。
  • 光毒性があるため、使用後は直射日光などの紫外線を避けましょう。
  • アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
  • 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。
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カーネーション・アブソリュートアロマ・エッセンシャルオイルと期待される効果効能紹介 https://d-nagaya.com/aroma/post-1980/ Tue, 25 Apr 2017 08:30:57 +0000 http://d-nagaya.com/?p=1980

複雑なニュアンスの香りから、香水作りには重宝

カーネーション

カーネーションとは

母の日に贈る花として日本でも馴染み深いカーネーション。その可憐な姿から、もちろん母の日以外にも観賞用・ギフト用として広く親しまれていますね。母の日にカーネーションを贈るのは20世紀初頭にアンナ・ジャービス亡き母を追悼するために白いカーネーションを用いたことが始まりと言われています。現在は赤いカーネションを贈るのが主流になっており、花言葉も“母の愛・母への愛”と母の日にちなんだものが知られています。逆に起源とされる白いカーネションや黄色・濃い赤・まだら模様などは、花言葉の中に不吉な言葉があることから避けたほうが良いとも言われているそう。

カーネーションは原産地である地中海沿岸地域で古くから愛され続けてきた、歴史ある花でもあります。古代ギリシア時代には既に栽培されており観賞用のほか香料・食用としても用いられたのではないかと考えられています。ギリシャ神話では美しい女性が生まれ変わった花とされているそうですし、キリスト教の中でもイエス・キリストの処刑時に聖母マリアが落とした涙から咲いた花という伝説もあります。またイスラム世界でもバラ・チューリップと共に愛好され、アラベスク模様の中にも使われているそうです。

現代日本では恋愛運アップの花とも言われ、特に女性に好まれているカーネーション。香料としてもどちらかというと女性向けの商品に用いられることが多いように思います。ちなみにカーネーションアブソリュートの原料として用いられるのは香料用品種ではなく、観賞用としても親しまれている花。…と言うとカーネーションオイルも入手しやすいように思いますが、採油率が0.02~0.03%と極めて低いため非常に高価で希少な存在。甘みのあるフローラル感・クローブのようなスパイシー感・草のようなグリーン感を併せ持つ、濃厚な香りは香水業界からも高く評価されています。そのほか高級石鹸や化粧品の香り付けなどにも用いられており、小売としての流通はあまりありません。

カーネーションオイルはアブソリュート(溶剤抽出)ですし、高価で流通も少ないことからアロマテラピーなどでの利用はほとんど行われていません。そのため情報が少なく作用や効果については不明点が多いと言われており、欧米でも芳香を楽しむ用途で用いられることがほとんど。日本ではアロマテラピーそのものが特定の効果を標榜するものとして認められていませんので大きな違いはありませんが、皮膚刺激などの心配が高いので芳香浴・フレグランス作りなど以外には使わないようにしましょう。

基本データ

通称
カーネーション アブソリュート(Carnation Abs.)
別名
麝香瞿麦(ジャコウナデシコ)、和蘭石竹(オランダセキチク)、和蘭撫子(オランダナデシコ)
学名
Dianthus caryophyllus
科名/種類
ナデシコ科ナデシコ属/多年草
主産地
エジプト、フランス
抽出部位
抽出方法
溶剤抽出法
濃いオレンジ~茶色
粘性
高め
ノート
ミドルノート
香り度合い
強い
代表成分
脂肪酸類、安息香酸ベンジル、サリチル酸ベンジル、リナロール、シトロネロール
おすすめ
芳香浴

フローラル調だが、グリーン感やスパイシーさを含む濃厚な香り

こんなお悩みにオススメ

【精神面】

  • ストレス・神経疲労
  • 不安・緊張・憂鬱感
  • リフレッシュしたい
  • 気分を高めたい

【肉体面】

  • 食欲不振・消化不良
  • お腹が張っている時に
  • ストレス性の不調に
  • 虫除けとして

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カーネーションに期待される効果・効能

心への作用

生花よりも主張が強いため好き嫌いは分かれますが、とても複雑ながら芳醇で温かみのあるカーネーションの香りは気分をスッキリとさせることでストレスを緩和する働きが期待されています。ストレスを軽減したり気持ちの切り替えを助けることで、気持ちの落ち込みや不安・緊張・疲労感などを癒やしてくれる香りとされています。また結果として気持ちを高めることに繋がるためか、催淫・興奮剤として役立つという説もあります。

体への作用

カーネーションの香りは消化器系に働きかけ食欲を高めたり、消化不良の改善をサポートする働きがあるとされています。腹部膨満感(お腹にたまったガス)の軽減にも良いと言われています。ただし消化器系へのサポートが期待される成分の含有比はさほど高くありません。どちらかと言うと精神的な“癒やし”によるストレス軽減用と考えたほうが無難でしょう。

その他作用

虫除けに

安息香酸ベンジルやオイゲノールを含むことから虫除け効果があると考えられています。非常に高価な精油(アブソリュート)ですからカーネーションオイルを使って虫除けを作るというのは現実的ではありませんが、香水やルームフレグランス作りなどの際に+αの要素として考慮してみても良いかもしれません。

カーネーションの利用について

相性の良い香り

フローラル系・柑橘系との相性が良いとされています。香水業界では「香り全体を引き締め奥行きを出す」と言われいるそうですし、どの系統とも比較的ブレンドしやすいのでいつものブレンドに少量加えてみるという使い方もオススメです。

【カーネーションのブレンド例】

カーネーション・アブソリュートの注意点

  • 妊娠中・授乳中の利用は避けましょう。
  • 皮膚刺激が強いため肌への利用は控えましょう。
  • アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
  • 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。
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カヤ(榧)精油アロマ・エッセンシャルオイルと期待される効果効能紹介 https://d-nagaya.com/aroma/post-1959/ Wed, 12 Apr 2017 08:22:06 +0000 http://d-nagaya.com/?p=1959

クセのない香りで心地よい空間作りに

Torreya nucifera kz1

カヤ(榧)とは

日本や朝鮮半島に自生する樹木カヤ。国内では東北から屋久島までとかなり広い範囲に分布しています。万正寺の大カヤや金剛院の千年ガヤなど天然記念物に指定されているものもあり、日本を代表する樹木の一つと言っても過言ではない存在でしょう。日本のカヤは本榧とも呼ばれるTorreya nuciferaやその変種のチャボガヤ・コツブガヤなどですが、同属の樹木としてはシナガヤ(Torreya grandis)、アメリカガヤ(Torreya californica)などがあります。外見としてはイヌガヤやモミの木などと似ていますが、カヤは葉先が割れず触れると痛いほど葉先が鋭く尖っていることが特徴です。

カヤの木は成木になるまで300年と言われるほど成長が遅く、生育が困難なことから数は減少傾向にあります。カヤ材は淡黄色で光沢があり見た目が美しいこと・湿気に強いことなどからかつては建築材や船舶材としても用いられていました。近年は資源の減少から建材として用いられることは少なく“最高級の碁盤・将棋盤”の材料であるというのが最もよく知られているのではないでしょうか。カヤ材の碁盤を使うと肩が凝りにくい、なんていう話もあるそうです。

種子の中に含まれている“仁”は縄文時代から食用とされてきたと言われています。アク抜きや炒るなどの工程が要りますが現在でもカヤは食用とされていますし、山梨県では「かやあめ」という板状の飴も売られているようです。漢方でも種子は榧実(ヒジツ)という名前で、消化器系の不調便秘や虫下しなどに役立つ生薬としても用いられていました。

また昔は仮種皮を絞って“かや油”を抽出し、食用や照明用・整髪用としても利用していました。そのほか語源は「蚊遣り」に由来するとも言われるように、根や枝葉を虫除けとして焚かれていたこともあるそう。現在でこそ希少な木と言われていますが、昔は身近な植物として様々に用いられていたことがうかがえますね。

近年和アロマの一つとして注目される“カヤ精油”はカヤの果実部分を原料としており、樹木系ではなく軽くスッキリとした柑橘系の香りが特徴。柑橘系の香りの中に森林感や和の印象を感じる、どこか奥深い香りが人気です。カヤ精油の生産数は少なく価格的にも高価な部類に入りますが、人気も高く売り切れていることも多いようです。メーカーさんによってはカヤの香水を販売されているところもありますし、好き嫌いの少ない爽やかな香りで、柑橘系ですが香りの持ちも良いので手作り香水・ルームフレグランス作りなどにも重宝しそうですね。

基本データ

通称
カヤ(榧)
別名
本榧(ホンガヤ)、Japanese torreya
学名
Torreya nucifera
科名/種類
イチイ科カヤ属/常緑針葉樹
主産地
日本(高地県)
抽出部位
果実
抽出方法
水蒸気蒸留法
淡黄緑~淡黄色
ノート
ミドルノート
香り度合い
中~強め
代表成分
d-リモネン、α-ピネン、δ-カジネン、β-ミルセン、β-カリオフィレン、α-テルピノレン
おすすめ
芳香浴・アロマバス

レモンと柚子を合わせたような、さっぱりとした柑橘系の香り

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こんなお悩みにオススメ

【精神面】

  • ストレス・神経疲労
  • イライラ・緊張・不安
  • リラックスしたい時
  • リフレッシュ用に
  • 気持ちをゆったり持ちたい
  • 思考を切り替えたい時

【肉体面】

  • 食欲不振・消化不良
  • 便秘気味の方
  • 胃腸の調子が悪い
  • 血行不良・冷え性
  • 免疫力アップ・風邪予防
  • 疲労感が抜けない方

カヤ(榧)に期待される効果・効能

心への作用

カヤ精油の主成分は、柑橘系の精油成分としてお馴染みの“リモネン”です。リモネンは鎮静作用がある成分と考えられていますし、体内に吸収されると脳内で“α波”が出るという報告もなされています。次いで含有量が多いα-ピネンも鎮静作用があると考えられており、森林浴効果がある香りとも言われることのある存在。このことからカヤ精油は鎮静作用やリラックス効果が期待できると考えられています。

香りそのものも柑橘系でさっぱりとしていますから、気持ちをリフレッシュさせるという点でも効果が期待できるでしょう。ストレスや不安・イライラなど気持ちが張り詰めてしまっている時に適していると考えられます。リフレッシュ作用などから集中力を高めたい時に良いとする説もありますが、仕事や勉強中というよりもリラックスタイム・趣味の時間などに取り入れるのがオススメです。

体への作用

血行促進や胃腸機能サポートに良いとされるリモネンを多く含むことから、カヤの香りは食欲不振や消化不良など消化器系トラブルに役立つと考えられます。カヤの種子(榧実)は生薬として便秘改善に取り入れられていたようですが、精油の場合もリモネンには蠕動運動促進作用があるとされていますから便通サポートにも効果が期待出来るでしょう。

また含有率が高いリモネン・α-ピネン共に血行を促す働きが期待されている成分で、抗菌・抗ウィルス作用や免疫力向上作用が報告されています。このため血行不良に起因する冷え性の軽減や、風邪予防などにも効果が期待できます。鎮静・リラックス効果と合わせて疲労回復のサポートにも役立ってくれそうですね。

カヤ(榧)の利用について

相性の良い香り

柑橘系の香りと非常に相性がよく、樹木系やハーブ系の香りともブレンドしやすいです。

【カヤのブレンド例】

カヤ精油の注意点

  • 妊娠中・授乳中の方は利用を避けましょう。
  • 肌への直接利用は避け、芳香浴の場合も敏感肌の方は注意して使用するようにしてください。
  • アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
  • 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。
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タイムマストキナ/スパニッシュマジョラム精油アロマ・エッセンシャルオイルと期待される効果効能紹介 https://d-nagaya.com/aroma/post-1934/ Thu, 30 Mar 2017 08:46:11 +0000 http://d-nagaya.com/?p=1934

風邪予防や花粉症軽減効果が期待される

Thymus mastichina 2

タイムマストキナとは

タイムマストキナはスペインが原産の、小さな白い花を球状に咲かせる30cm~60cm程度の常緑性の低木です。別名でスパニッシュマジョラムやワイルドマジョラムなどとも呼ばれおり、様々なハーブ・精油と混同されやすい存在。タイムマージョラムも大分類では“シソ科ハーブ”ですが、マージョラムがハナハッカ属であるのに対しタイムはイブキジャコウソウ属の植物。タイム・マストキナは学名をそのまま呼んだ呼称ですので、Thymus=イブキジャコウソウ属の植物ということになります。

スパニッシュマジョラムという呼称はスペイン原産でマジョラムに近い香りが特徴的なためのようです。定義でのタイム(コモンタイム/タチジャコウソウ)は良く言えば重厚・悪く言うと薬臭い香りですが、タイムマストキナの香りは比較的甘めで軽さがあります。香りが異なりますから精油の成分としてもタイムとは大きく異なります。しかしスイートマジョラムと成分が近いかというと、マジョラムとも異なりますしタイム系精油で皮膚刺激の恐れもあるため注意が必要です。

日本ではタイムマストキナもしくはスパニッシュマジョラムと明記した上で販売されていることが多いですが、外国産精油では「Marjoram」とだけ大きく表記され、別所にSpanishや(Thymus mastichina)などと記載されているものも多くあります。ちなみに“ワイルドマジョラム”は一般的にオレガノを指す場合に用いられています。芳香を楽しむだけではなく香りの効果を期待する・化粧品などの原料として用いる場合であれば購入時にしっかりと確認するようにしましょう。

タイムマキストナは原産地スペインではハーブの一つとして用いられ、ハーブティーとして利用したり肉料理や煮込み料理などに様々な郷土料理にも使われているそう。葉そのものに強い香りがあり、乾燥しても香りが残ることからポプリなどにも用いられています。精油も消臭剤や口腔洗浄剤などの原料として用いられています。日本ではあまり一般的ではありませんが、香りに甘みがあり比較的穏やかなこと・1.8シネオールが含まれていることから空気リフレッシュ剤として用いられることが多いようです。

基本データ

通称
タイムマストキナ(Thyme Mastichina)
別名
マスティックタイム、スパニッシュマジョラム(Spanish Marjoram)
学名
Thymus mastichina
科名/種類
シソ科イブキジャコウソウ属/常緑低木
主産地
スペイン、ポルトガル、エジプト
抽出部位
花と葉
抽出方法
水蒸気蒸留抽出法
ほぼ無色~淡い黄色
ノート
ミドルノート
香り度合い
代表成分
1.8シネオール、リナロール、テルピノレン、α-テルピネオール、α-ピネン、リモネン
おすすめ
芳香浴

甘さのあるハーバルな香り、軽くツンするスパイシーさを含む

こんなお悩みにオススメ

【精神面】

  • ストレス・緊張
  • 興奮・イライラ
  • リフレッシュしたい
  • リラックスしたい
  • 寝起きが悪い・憂鬱な朝

【肉体面】

  • 風邪・インフルエンザ予防
  • 喉の不快感・痰
  • 咳・気管支炎
  • 花粉症の軽減に
  • お部屋の空気浄化

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タイムマストキナに期待される効果・効能

心への作用

タイムマストキナの軽い香りは気持ちを軽くしてリフレッシュを助けてくれる働きがあると考えられています。またリナロールなど鎮静作用を持つ成分も含んでいることから、興奮や緊張を落ちるけることで心をリラックスさせる働きも期待されています。リラックス・リフレッシュ両方の働きが期待できる精油ですから、朝の目覚めサポートから就寝サポートまで幅広く用いることが出来るでしょう。イライラしやすいなと感じている時や、精神的な疲労感を感じている時にも適しています。

体への作用

タイムマストキナの精油成分のうち半分以上の比率を占める1.8シネオールは、ユーカリ系精油の代表成分でもあり抗菌・抗ウィルス作用や去痰作用・抗炎症作用などがあると考えられています。こうした働きから呼吸器系トラブルの軽減に有効とされており、風邪やインフルエンザの予防や気管支炎の軽減などにも取り入れられています。去痰・抗炎症作用から喉の不快感がある場合などにも役立ってくれそうですね。また近年は呼吸器粘膜の炎症を抑える働き・免疫調整作用(免疫細胞の働きを整える)が期待できることから、花粉症の軽減としても注目されています。

そのほかタイムマストキナには鬱血除去作用や鎮痙作用があるとする説もあり、筋肉痛や月経痛の緩和にも用いられているようです。ただし皮膚刺激性があるためマッサージオイルに希釈して用いるなど、直接肌に付けるような利用方法は避けたほうが無難です。

その他作用

お部屋の空気浄化に

抗菌・抗ウィルス作用や免疫力調整作用が期待できることから、タイムマキストナの精油をルームフレグランス代わりに香らせることでお部屋の空気を綺麗にする・風邪やインフルエンザを予防することに繋がると考えられています。香り自体も軽めで少し甘みがあるため、TOPを選ばずに活用できるというのもメリットですね。お部屋の空気を整備するという点では、レモングラスなど虫除け効果が期待できる精油と組み合わせて使うと一石二鳥でしょう。

タイムマストキナの利用について

相性の良い香り

ハーブ系・柑橘系の香りと相性が良いとされていますが、比較的香りの系統を選ばずにブレンドすることが出来るでしょう。スッキリとした印象の香り同士でブレンドすると失敗しにくいです。

【タイムマストキナのブレンド例】

タイムマストキナ精油の注意点

  • 妊娠中(特に妊娠初期)の利用は控えましょう。
  • 敏感肌の方は使用に注意が必要です。
  • アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
  • 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。
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レーバントスタイラックス(蘇合香)精油アロマ・エッセンシャルオイルと期待される効果効能紹介 https://d-nagaya.com/aroma/post-1907/ Wed, 15 Mar 2017 08:20:15 +0000 http://d-nagaya.com/?p=1907

保留剤を兼ねてブレンド用にも

Liquidambar orientalis arboretum Breuil 1

レーバントスタイラックスとは

スタイラックスはフウ属の樹木から分泌される樹液を原料とした精油です。単にスタイラックスと記されることもありますが、Styrax属の植物と区分するため「Levant styrax(レーバントスタイラックス/レバントスチラックス)」とも呼ばれています。レーバントスタイラックスは小アジアが原産ですが、アメリカ原産の近縁種モミジバフウ(学名Liquidambar styraciflua)の樹脂からもスタイラックもしくはアメリカンスタイラックス精油が生産されています。

スタイラックスは「蘇合香(ソゴウコウ)」として紹介されることもあります。これに対して蘇合香モドキ・偽物と表現する方もいらっしゃいますが、wikipediaによれば“基源となる植物は歴史的に変遷しており、一種ではない”との事。雅楽曲「蘇合香」の元となったとされるアショーカ王を治した蘇合香は菖蒲に似ているとされていますから全く別の植物と推測されていますし、中世まではセイヨウエゴノキ(Styrax officinal)の樹脂を蘇合香と呼んでいました。こちらはエゴノキ(Styrax)属に属していますから、植物としてはベンゾイン/安息香に近いですね。16世紀以降は安価なレーバントスタイラックス樹脂が主流となっています。

スタイラックスの香りは、琥珀やハチミツを連想させるようなアンバーかつ甘い香り。軽く焦げたお菓子やバニラなどを思い浮かべる方もいらっしゃるかもしれません。香りとしてはベンゾインよりも少しクセがあり、オポパナックス(スイートミルラ)に近いとも言われています。独特の甘い香りから食品や飲料の香り付けとしても広く用いられていますし、香料・揮発保留剤として香水業界でも利用されています。甘めの香りがお好きな方であれば、手作り香水や芳香剤作りにも重宝するでしょう。

スタイラックス=フウ属樹木の樹脂は各原産地で伝統医療で樹脂が用いられてきたとは伝えられているのものの、医学的実験などはほとんど行われていないようです。香りの成分などから期待できる効果は挙げられていますが“香りを楽しむ”ことをメインに取り入れてみてください。アロマテラピー全体がそうですが医学的なものではありませんし、特にマイナーな精油についてはデータも少ないので注意が必要です。

基本データ

通称
スタイラックス(Styrax)
別名
スチラックス、レーバントスタイラックス(Levant styrax)、蘇合香(そごうこう)、Sweet Gum(スイートガム)、Storax(ストラックス)など
学名
Liquidamber orientals
科名/種類
フウ科(マンサク科)フウ属/落葉樹
主産地
トルコ、ギリシア(ロードス島)
抽出部位
樹脂
抽出方法
水蒸気蒸留法
(※溶剤抽出されたアブソリュートも有)
淡黄色もしくは淡黄緑色
ノート
ベースノート
香り度合い
中~強
代表成分
スチレン、安息香酸、ケイ皮酸、α-ピネン、β-カリオフィレン、バニリン
おすすめ
芳香浴

バルサム調の中に、カラメルのような甘さを含む香り

こんなお悩みにオススメ

【精神面】

  • ストレス・神経疲労
  • 不安・緊張・イライラ
  • リラックスしたい

【肉体面】

  • 喉の不快感がある時に
  • 咳・気管支炎の軽減に
  • 風邪のひきはじめに

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レーバントスタイラックスに期待される効果・効能

心への作用

華やかな甘さとバルサミック感を併せ持つスタイラックスの香りは、ストレスや不安を和らげ、気持ちを落ち着かせる働きがあると考えられています。イライラしている時・神経的に張り詰めて寝付き悪い時などにも、リラックス状態へと導く働きが期待できます。

体への作用

スタイラックスは伝統医療の中で咳・気管支炎など喉の不調緩和に取り入れられてきた存在です。成分的にも抗菌作用や去痰作用があると考えられており、精油としても呼吸器系の痛みや炎症軽減に効果が期待されています。風邪のひき始めや喉がイガイガする時などに、いつもの精油にプラスして香らせてみると良いかもしれません。

その他作用

皮膚利用について

スタイラックス精油は殺菌・消毒作用があると考えられており、海外では化粧品にも配合されているそうですが、感作性(皮膚刺激性)があることが指摘されています。IFRAでは“0.6%を超えてはならない”と規定しています。このことから極低濃度であれば問題ないという見解もありますが、マッサージオイルや自作コスメなど皮膚に直接付くような利用方は避けたほうが良いでしょう。

香り付けに利用するのであれば、似た香りを持ち、日本でも皮膚利用を行っている方が一定数以上いるミルラやベンゾインなどを使うと良いでしょう。ただしこちらも全ての方に合うものではありませんので、必ず低濃度希釈・パッチテストを行うようにしてください。

レーバントスタイラックスの利用について

相性の良い香り

ハーブ系・フローラル系の香りと相性が良いとされています。少量でも強い香りを持ちますし、揮発性も低く香りが持続しますので多量に加えないように注意しましょう。

【スタイラックスのブレンド例】

スタイラックス精油の注意点

  • 敏感肌の方は芳香浴の場合でも使用量に注意が必要です。
  • 高濃度での利用、集中量が必要なシーンでの利用は避けましょう。
  • 禁忌ではありませんが、妊娠中・授乳中の使用は控えた方が無難です。
  • アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
  • 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。
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スパニッシュセージ/ラベンダーセージ精油アロマ・エッセンシャルオイルと期待される効果効能紹介 https://d-nagaya.com/aroma/post-1885/ Wed, 01 Mar 2017 08:54:43 +0000 http://d-nagaya.com/?p=1885

活動時にも適したスッキリとした香り

Salvia lavandulifolia 1

スパニッシュセージ(ラベンダーセージ)とは

スパニッシュセージはスペインから南フランスにかけての地域が原産とされているセージの一種で、コモンセージ(S. officinalisよりも花・葉は小ぶりですが強い香りを持っています。ヨーロッパではコモンセージと共にハーブ・香料原料などによく利用されています。特に名前にも付けられているとおり原産地であるスペインではこちらの方をよく使い、料理に使うセージと言えばスパニッシュセージなのだとか。またスペインでは自然療法・民間療法においてラベンダーに変わる万能ハーブとしても活用されてきたそうです。

日本では単に「セージ」と呼ぶ場合はコモンセージを指すことが多いですし、アロマテラピーなどではクラリセージの利用率が高いため、ハーブとしても精油としてもややマイナーな存在になるかもしれません。スパニッシュセージは香りがラベンターに似ているとして「ラベンダーセージ」という別名も付けられています。学名(種子名)にも“lavandulifolia”が使われていますね。

ただし日本で園芸植物として流通している「ラベンダーセージ」は、香りではなく花の形状がラベンダーに似ている“Salvia cv. Indigo Spires(サルビア インディゴスパイヤー)”という品種の可能性が高いでしょう。インディゴスパイヤーはブルーサルビア(S.farinacea)の園芸品種で、英名ではIndigo spires sageと呼ばれています。日本ではラベンダーセージとしてこちらが定着しているため、Salvia lavandulifoliaはスパニッシュセージと呼んで区分するのが一般的となっています。

ラベンダーに似た香りを持つとも言われているスパニッシュセージですが、真正ラベンダーの香りの様なフローラル感はほとんどありません。スパイクラベンダーやスパニッシュラベンダーなどに似た、少しツンとしたシャープな香りです。スパイクラベンダーの代用品や偽和剤として利用されることもあるようです。そのほかローズマリーに似た香りと称されることもあります。

日本ではさほど馴染みのないハーブですが、スパニッシュセージの精油は香水・石鹸などのバス用品、食品・飲料類など様々に活用されています。刺激製はさほど高くないと考えられていますので、コモンセージの精油よりは扱いやすい精油です。清涼感のあるシャープな香りでクセもないため、清潔感や爽やかさを演出したい時のブレンド用としても役立ってくれるでしょう。

基本データ

通称
スパニッシュセージ(Spanish sage)
別名
ラベンダーセージ(Lavender sage)
学名
Salvia lavandulifolia
科名/種類
シソ科サルビア属/小低木
主産地
スペイン、フランス
抽出部位
葉(※花・茎など地上部全体を使うものも有)
抽出方法
水蒸気蒸留法
無色~淡黄色
ノート
ミドル~トップノート
香り度合い
中~強め
代表成分
1.8シネオール、カンファー、カンフェン、α-ピネン、β-ピネン、リモネン
おすすめ
芳香浴

ややカンファー感を含む、爽やかなハーブ調の香り

こんなお悩みにオススメ

【精神面】

  • ストレス・神経疲労
  • 緊張・興奮時に
  • 気持ちの落ち込みに
  • リフレッシュしたい
  • やる気がでない時
  • 集中力が欲しい時

【肉体面】

  • 風邪予防や初期症状時
  • 喉や鼻の不調に
  • 花粉症の軽減に
  • 血行不良・むくみ
  • 関節痛・神経痛の軽減
  • ニキビ・傷のケアに

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スパニッシュセージ(ラベンダーセージ)に期待される効果・効能

心への作用

スパニッシュセージは1,8-シネオールとカンファーの含有量が高く、スッキリとした清涼感ある香りが特徴的です。このため頭をスッキリとさせることでリフレッシュ用に役立つと考えられています。集中力や記憶力向上に役立つという説もあるようです。

加えてα-ピネンやリモネンなど鎮静・リラックス作用が期待される成分もスパニッシュセージには含まれています。リフレッシュと合わせて神経疲労や緊張・興奮の緩和、ストレス軽減などにも取り入れられています。精神的に疲れてしまってやる気が出ない時・気分が落ち込んでいる時などに、立ち直るためのサポート役として香らせてみても良いでしょう。

体への作用

スパニッシュセージに比較的多く含まれている「1,8-シネオール」は抗菌・抗ウィルス作用や抗炎症作用があるとされ、風邪やインフルエンザ予防をはじめ喉の不調や花粉症軽減など呼吸器系のトラブル軽減に効果が期待されています。

またケトン類に含まれるカンファーも多用すると神経毒性があるため注意が必要とされる一方、強心作用による血行促進効果や鎮痛・消炎作用などがあると考えられています。この働きから血行不良による肩こりや腰痛などの筋肉のこわばり・痛み、関節痛・神経痛・リウマチなどの緩和に役立つと言われています。1,8-シネオールの働きと相乗して風邪の初期症状ケアなどにも効果が期待できるでしょう。そのほか利尿作用があり、むくみの軽減に良いとも言われています。

女性の体への働きかけ

スパニッシュセージもクラリーセージコモンセージと同じく、通経作用があり月経不順や無月経の改善に役立つという説もあります。ただし精油の成分分析表上は通経作用を持つと考えられる成分が含まれていない、もしくは微量である可能性が高いのであまり期待はしないほうが良いでしょう。妊娠中・授乳中の利用がNGとされるのはケトン(カンファー)の含有が高いことが大きいと考えられます。

その他作用

肌への働きかけ

抗菌・抗炎症作用があるとされており、切り傷などの手当や、ニキビ・湿疹などの肌トラブル緩和に役立つと考えられています。ただし皮膚刺激性は低いとは言われているものの、カンファーなどを含んでいますから特に理由がない限りは皮膚利用を避けた方が確実でしょう

スパニッシュセージ(ラベンダーセージ)の利用について

相性の良い香り

ハーブ系、ウッティー系の香りと相性が良いとされています。スパニッシュセージと似た、爽やかな印象のある精油同士でブレンドすると失敗しにくいでしょう。

【スパニッシュセージのブレンド例】

スパニッシュセージ精油の注意点

  • 妊娠中・授乳中の方、癲癇の方は使用を避けましょう。
  • 使用量や使用時間は控えめに設定するようにしてください。
  • アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
  • 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。
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トルーバルサム精油アロマ・エッセンシャルオイルと期待される効果効能紹介 https://d-nagaya.com/aroma/post-1870/ Tue, 14 Feb 2017 08:01:27 +0000 http://d-nagaya.com/?p=1870

甘くスパイシーな香りはブレンド用にも

トルーバルサム(Tolu Balsam)

トルーバルサムとは

クローブシナモン・バニラを合わせてスモークしたような、独特かつ複雑な甘く香ばしい香りを持つトルーバルサム。精油としての流通は国内ではほとんど無くマイナーかつマニアックな存在ですが、その甘く温かい香りから香水や化粧品、お菓子や飲料の香り付けなどにも利用されています。古くから呼吸器系トラブルに良い存在として利用されていたため咳止めシロップ・のど飴などにも配合されていますし、欧米では皮膚軟膏や石鹸・シャンプーなどにもよく使われているそう。香りを嗅いでみると、なんとなく懐かしいような印象を持たれる方もいらっしゃるかもしれません。

原料となる樹脂を産出するトルーバルサムは中南米に自生する樹木です。同じくバルサムノキ属に属します。近縁種とされる存在にはペルーバルサム(Myroxylon balsamum var. pereirae)もあり、こちらも香料・精油として利用されています。古くから中央~南アメリカで生活していた先住民の人々はバルサムノキ属の樹脂を関節炎や傷のケア、風邪や気管支炎・喘息などの呼吸器系の症状緩和に利用してきたと伝えられています。樹脂だけではなく木全体を薬として利用されており、部族によっては頭痛のケアや脇の消臭用などにも利用していたそうですよ。

コロンブスのアメリカ大陸到達後はヨーロッパへも紹介されるようになり、抗寄生虫性、抗菌・抗真菌性が高いことが注目されます。17世紀にはドイツ薬局方にも収載され創傷・潰瘍のケアなどに利用されるようになります。現在でもトル―バルサムやペルーバルサムは皮膚発疹の自然治癒剤として利用されているそうですが、反面、皮膚刺激性が高く感作性がある・接触性アレルギーを起こしやすいという指摘もなされています。

トルーバルサムは呼吸器系・ペルーバルサムは皮膚炎症に良いとも言われていますが、この二つはどちらも似たような用途で利用されており、トルーバルサムも“傷のケアに良い”と言われています。しかしアレルギーを起こす可能性がありますので使用には注意が必要です。芳香浴や手作り香水として使用する場合も注意したほうが良いでしょう。香りの印象としてはトルーバルサムはややフローラル感のあるライトな甘さ・ペルーバルサムはよりバニラ感のあるお菓子っぽい香りと言われています。

バルサム系精油の種類について

バルサムというのは本来粘稠性の樹脂全般を指します。バルサム樹脂がとれる樹木というのは沢山存在していますが、精油としてはバルサムキ属の上記二つと、同じくマメ科のコパイバ、マツ科のバルサムモミ(カナディアンファー)などが“バルサム”と呼ばれています。コパイバは軽い甘さを持ちつつウッディー寄りの香りですし、カナディアンファーはバルサムと付きますが枝葉を原料としており爽やかなウッディー系の香りと、名前に同じ“バルサム”が付いていてもかなり香り・成分には差があります。目的の香りを確かめてから選ぶようにしてください。

基本データ

通称
トルーバルサム(Tolu Balsam)
別名
バルサムトルー
学名
Myroxylon balsamum var.balsamum
Myroxylon toluiferum
科名/種類
マメ科バルサムノキ属/高木
主産地
コロンビア、ベネズエラ、キューバ、エルサルバドル
抽出部位
樹脂
抽出方法
水蒸気蒸留法
淡黄色~茶色
ノート
ベースノート
香り度合い
中~やや強め
代表成分
桂皮酸ベンジル、安息香酸ベンジル、ファルネソール、オイゲノール、バニリン
おすすめ
芳香浴

バニラとベンゾイルを混ぜたような、甘苦くスパイシーな香り

こんなお悩みにオススメ

【精神面】

  • ストレス・神経疲労
  • 情緒不安定な時に
  • リラックス・安らぎ用に
  • 自分と向き合いたい
  • インスピレーションが欲しい

【肉体面】

  • 咳・風邪のひきはじめに
  • 気管支炎や喘息の軽減に
  • 喉の不快感がある時に
  • 傷・ひび割れのケアに
  • 水虫・疥癬などのケアに

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トルーバルサムに期待される効果・効能

心への作用

バルサムトルーの香りには鎮静効果があるとされており、ストレス・情緒不安定さの緩和に役立つと考えられています。心を落ち着けて安らぎを与えてくれるほか軽い刺激作用を持つとする説もあり、自分と向き合いたい時や、思考が煮詰まっている時などにも役立つと言われています。

ただし香り自体も甘く陶酔感があるものですので、仕事中などアクティブなシーンよりもリラックスタイムの演出に適しているでしょう。アメリカ大陸の先住民の中にはシャーマン・預言者の様な人々が意識を高めるために使う事もあったそうですし、現在でも瞑想やヨガを行う際の香りとして取り入れられています。

体への作用

咳止めや痰切りシロップとして利用されているように、バルサムトルーは消毒・去痰・鎮咳・抗炎症作用などがあると考えられています。咳・咽頭炎・気管支炎など呼吸器系の炎症全般に有効とされていますし、消毒作用と合わせて風邪のひきはじめの喉の不快感などの軽減にも役立ってくれるでしょう

その他作用

肌への働きかけ

感作性(アレルギー誘発性)があるため使用には注意が必要ですが、バルサムトルーの精油は傷や皮膚炎症の治癒を促す働きがあるとされています。切り傷・擦り傷などのほか褥瘡(床ずれ)やオムツかぶれ、乾燥肌やかかとなど肌のひび割れケアにも適していると言われていますが、より炎症を悪化させてしまう可能性もありますのでしっかりとパッチテストを行った上で利用するようにしてください。

またバルサムトルーは古くから抗細菌(バクテリア)・抗真菌(カビ)・抗寄生虫などの作用があると考えられてきた存在で、白癬(水虫など)や疥癬による皮膚感染症の改善にも利用されます。頭皮のかゆみ・フケの緩和に良いとしてシャンプーやヘアトニックなどにも配合されているものもありますが、どういった利用しろ注意が必要な精油であることを心がけて利用してください。

トルーバルサムの利用について

相性の良い香り

オリエンタル系、スパイス系、フローラル系の香りと組み合わせやすいと言われています。トルーバルサム自体が様々なニュアンスを持つ香りですから、似た印象の香りであれば失敗しにくいでしょう。

【バルサム・トルーのブレンド例】

トルーバルサム精油の注意点

  • 妊娠中・授乳中の使用は控えましょう。
  • 刺激・感作性ともに強いと考えられている精油ですから、体調を確認しつつ低希釈で使用しましょう。芳香浴として利用しても精油成分が皮膚に付くことでアレルギーを起こす場合があります。
  • アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
  • 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。
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ダバナ精油アロマ・エッセンシャルオイルと期待される効果効能紹介 https://d-nagaya.com/aroma/post-1856/ Wed, 01 Feb 2017 08:47:36 +0000 http://d-nagaya.com/?p=1856

フルーティーな香りを持つ、インド伝統ハーブ

DavanaEssOil

ダバナとは

ダバナは南インド原産の一年生植物で、植物分類上はヨモギの近縁種に当たります。植物の外見からは青々しいハーバルな香りを連想しますが、ダバナ精油は洋酒(リキュール・ワイン)に例えられるようにフルーティーな香りがします。インドのハーブというとスパイス感やオリエンタル感を連想しがちですが、いい意味で期待を裏切ってくれる香りとも言えるでしょう。

日本ではさほど知名度が高くありませんが、ダバナ油はその陶酔感のある高級リキュールのような香りから香水原料として世界中で利用されています。また香水以外にも食品・飲料類やタバコ、各種化粧品など様々な業界で天然香料として高く評価されている存在です。

ダバナはインドの伝統的なハーブの一つにも数えられている存在で、伝統医学アーユルヴェーダでも抑鬱・抗不安薬や粘液溶解薬のような形で利用されてきたと言われています。また宗教的にも神聖な植物と考えられており、産地である南インドではダバナの花をヒンドゥー教の3柱の主神の中の1人“シヴァ神”への供え物として利用しているそうです。

ダバナを蒸留し精油を得るということはは1920年台から行われていたそうですが、大規模な商業栽培・精油生産は1960年代後半にアメリカとヨーロッパの香水業界でダバナ油が注目を浴びてからと言われています。かつて合成香料が持て囃された時期もありましだが、この数十年間ほどは“天然香料”需要が高まっていることもあり、ダバナ精油は南インドの一大産業と言えるほどになっているのだとか。

現在でも香水原料としての需要が高く、フルーティーで芳醇な香りを持つことだけではなく、皮膚に付くことで人によって異なった芳香を放つ=その人だけのオリジナティーある香りになるとも言われているそう。国内で精油の流通は非常に少ないですし、価格も決して安いとは言えないためデイリーに香らせるタイプの精油とは言い難い存在です。しかし特有の甘くしっとりとした香りは病み付きになる方も多い存在ですから、オリジナル香水やとっておきの日の香りとして取り入れてみても良いでしょう。ブレンド幅が広く、少量加えるだけで香りに高級感と華やかさを演出することが出来ます。

基本データ

通称
ダバナ(Davana)
別名
ダヴァナ、ダウナ、ダバナム(Davanam)
学名
Artemisia pallens
科名/種類
キク科ヨモギ(アルテミシア)属/一年草
主産地
インド
抽出部位
全草
抽出方法
水蒸気蒸留法
淡黄色・黄緑色~オレンジ色
ノート
ミドルノート
香り度合い
強い
代表成分
ダバノン、ダバナエーテル、リナロール、桂皮酸エチル、桂皮メチル、酢酸ゲラニル
おすすめ
芳香浴・(※ごく少量で)マッサージ

ドライフルーツや洋酒を連想させる、甘くフルーティーな香り

こんなお悩みにオススメ

【精神面】

  • 情緒不安定な時に
  • ストレス・精神疲労
  • 神経過敏・不安
  • 抑うつ感・憂鬱感
  • 気持ちを高めたい時に
  • セクシーさの演出に

【肉体面】

  • 咳・痰・気管支炎などに
  • 風邪予防や症状緩和に
  • 月経トラブル・更年期障害
  • 女性ホルモンの乱れに
  • 皮膚の健康維持に

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ダバナに期待される効果・効能

心への作用

ダバナの香りは神経や精神のバランスを整え、気持ちを落ち着かせる働きがあると考えられています。感情バランスを整える働きから神経過敏・不安・抑うつ状態などの改善サポートに利用されていますし、神経系強壮にも役立つと言われていますのでストレス軽減やストレス耐性アップなどの働きも期待できるでしょう。

概ね鎮静作用が高いと見られているダバナですが、一部では興奮作用を保つとする説もあり催淫作用(媚薬効果)があるとも言われているようです。香りの印象としてもフルーティーではありますが、フレッシュな果実というよりは熟しきった果実・お酒のような香りで官能的な印象もありますから、夜のムード作りなどにも違和感は無いでしょう。精神面に起因する性的トラブルがある場合などにも役立ってくれるかもしれません。

体への作用

ダバナ精油は去痰(粘液溶解)作用や鎮痙作用があり、痰が絡む時や咳・気管支炎など呼吸器系の不調緩和に有効とされています。加えて抗菌・抗ウイルス作用が報告されており、風邪やインフルエンザなどの感染症予防や回復促進にも効果が期待されています。そのほか内分泌系の刺激作用がある・鬱血除去作用がある・血圧降下作用があるという説もあります。

その他作用

肌への働きかけ

感作性(アレルギー誘発性)があるため使用には注意が必要ですが、ダバナ精油は血行促進作用があると考えられており、乾燥肌や肌荒れの改善に役立つと言われています。皮脂分泌を調整するという説もあります。また抗菌・抗真菌作用があるため、消毒用として創傷や切傷のケアにも利用されています。

ダバナの利用について

相性の良い香り

どの系統の香りとも比較的ブレンドしやすいですが、特にフローラル系・ハーブ系の香りとはブレンドしやすいでしょう。甘み・香りの強さが気になる時はサッパリした印象のハーブ系やレモンをメインに香りを組み立ててみてください。

【ダバナのブレンド例】

ダバナ精油の注意点

  • 神経毒性のあるケトン類含有が多いため妊娠中・授乳中の女性、てんかん患者、乳幼児への使用はできません。
  • 刺激・感作性ともに強いと考えられている精油ですから、体調を確認しつつ低希釈で使用しましょう。芳香浴として利用しても精油成分が皮膚に付くことでアレルギーを起こす場合があります。
  • アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
  • 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。
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スパイクラベンダー精油アロマ・エッセンシャルオイルと期待される効果効能紹介 https://d-nagaya.com/aroma/post-1829/ Wed, 18 Jan 2017 08:33:20 +0000 http://d-nagaya.com/?p=1829

リフレッシュ効果や呼吸器系のサポートが期待

スパイクラベンダー

スパイクラベンダーとは

スパイクラベンダーはラヴァンドラ属の植物で、外見は真正ラベンダーとよく似ていますが背丈がやや高い・葉の幅が広く大きい・花が小さく淡い色をしていることが特徴とされています。種子名の“latifolia”も広い+葉を意味するラテン語が語源で、英語ではBroadleaved lavender・日本語では広葉(ヒロハ)ラベンダーとも呼ばれています。時に「男のラベンダー(male lavender)」と呼ばれることもありますが、これは生育条件的に他のラベンダーよりも強靭であるためとも、クッキリとした香りが男性らしいからとも言われています。

ラベンダー属の植物は古くからヨーロッパ各地で盛んに利用されていましたが、中世頃までは真正ラベンダーとスパイクラベンダーは区分されていなかったそう。ラベンダーは古代ローマ人が芳香剤・石鹸・料理用ハーブなどに活用していたこと、洗剤などに使われていたため“洗う”を意味するラテン語(lavo/lavare)が語源になったという説などが知られていますが、古代では区別されていなかった可能性が高いのでスパイクラベンダーも使われていたのかもしれませんね。

スパイクラベンダーと聞くと、ラベンダーの粗悪品のような印象を抱かれる方もいるようです。確かにスパイクラベンダーはカンファーの香りを含むことから香りとしては劣ると評価さることが多いですし採油率が高く安価であることから真正ラベンダーの偽和剤として利用されている事もあります。ただし近年はスパイクラベンダー香り・ラベンダーとは異なる身体への働きかけがあると考えられ、ラバンジンなどと同じくしっかりとした精油の種類として認められています。メーカーにもよりますが数ml単位の小売であれば、そこまで大きな価格差もありません。ちなみに同じスパイクラベンダーでも、フランス産のものは香りが強いもののやや柔らかい印象・スペイン産のものはカンファー感が強くよりクッキリした印象のものが多いとも言われています。

ラベンダーの種類について

ラベンダーと呼ばれる精油は数多くしていますが、品種による大きな区分としては

の大きく4つに区分されます。

このうち一般的にハーブ・精油として「ラベンダー」と呼ばれているのは真正ラベンダーで、フローラル感のある穏やかで優しい香りを持ちます。フレンチラベンダーはカンファー感が強くよりフレッシュな香りが特徴とされています。スパイクラベンダーもカンファーを含み清涼感がありますが、ラベンダーっぽさも残っているという中間的な位置付け。“真正ラベンダーの香りを強くハッキリとさせた”ような感じと称される事もあります。

植物分類ではラベンダー属を亜種・節と更に細かく分類します。この分類では真正ラベンダー・スパイクラベンダー・交雑種であるラバンジンはラヴァンドラ亜種スパイカ節とかなり近い存在とされていますが、フレンチラベンダーはストエカス節という別節に区分されています。香り・成分の違いもそう考えると納得ですね。

基本データ

通称
スパイクラベンダー(Spike Lavender)
別名
ラベンダー・スピカ(Lavender spica)、広葉ラベンダー(Broadleaved lavender)
学名
Lavandula latifolia
Lavandula spica
科名/種類
シソ科ラヴァンドラ属/半木本性植物
主産地
フランス、スペイン、イタリアなど
抽出部位
花(※葉・茎など全草を使う場合も有)
抽出方法
水蒸気蒸留法
ほぼ無色~淡い黄色
ノート
トップノート
香り度合い
ラベンダー類の中では強い
代表成分
リナロール、カンファー、酢酸リナリル、テルピネン-4-オール、酢酸ラバンデュリル、、1,8-シネオール
おすすめ
芳香浴・アロマバス・マッサージ・スキンケア・ヘアケア

フレッシュでシャープな、クッキリとしたハーブ調の香り

こんなお悩みにオススメ

【精神面】

  • リフレッシュ用に
  • ストレス・不安
  • イライラ・緊張
  • 気持ちを落ち着けたい
  • 神経疲労・落ち込み時
  • 気持ちを切り替えたい
  • 気分をスッキリさせたい

【肉体面】

  • 咳・喉の痛みに
  • 気管支炎・喘息の軽減
  • 風邪・インフルエンザ予防
  • 風邪の初期症状ケアに
  • 肩こり・腰痛・筋肉痛
  • 関節痛・神経痛・リウマチ
  • 皮膚炎症のケア
  • 虫除け・空気浄化

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スパイクラベンダーに期待される効果・効能

心への作用

ラベンダーの香りはリラックスという印象がありますが、カンファーを含みシャープな香りを持つスパイクラベンダーは気分をスッキリとさせるリフレッシュ効果に優れていると考えられています。ただし神経系の鎮静や抗うつへの働きかけが期待されるリナロールも真正ラベンダーと同等以上の比率で含まれていますから、ストレスや神経疲労の緩和などにも役立ってくれるでしょう。

スパイクラベンダーも神経性の緊張や興奮を落ち着ける・不安を和らげるなどの働きが期待できますが、真正ラベンダーと比較した場合はそうしたリラックス面の働きはやや劣るとされています。ゆったりとリラックスしたいときや眠りのサポートよりは、頭や気分が重い・イマイチやる気が出ないけれど仕事や勉強をしないと…というような活動時のリフレッシュ&ストレス軽減に合う精油と言えます。

体への作用

スパイクラベンダーの精油成分のうち約半分を抗菌・抗ウィルス作用が期待されるリナロールが占め、抗菌・抗ウィルス作用や抗炎症・免疫力亢進作用などが期待されている1,8-シネオールも若干含んでいます。このため風邪やインフルエンザの予防や、咳や喉の痛みなど呼吸器系への働きかけに優れていると考えられています。気管支炎や喘息の軽減にも有効とされています。

またカンファー(ケトン類)も刺激性や神経毒性などのマイナスイメージを持たれがちですが、強心作用による血行促進効果や鎮痛・消炎作用など有用な働きもあると考えられています。この働きから血行不良による肩こりや腰痛などの筋肉のこわばり、関節痛・神経痛・リウマチなどの痛み軽減用としても効果が期待されています。

その他作用

肌への働きかけ

殺菌消毒作用や抗炎症作用があるため、ニキビや湿疹・吹き出物などのケアに役立つと考えられています。虫刺されの痒み緩和、日焼け後のケアなどにも役立ってくれるでしょう。水虫予防や頭皮のかゆみ・フケなどにも良いと考えられています。そのほか皮膚細胞の成長を促す働きがあるという説もあり、傷跡や火傷痕のケアなどにも利用されています。

スパイクラベンダーに感作作用は無いと言われていますが、真正ラベンダー精油よりも刺激性は高いと考えられます。原液塗布は出来ませんので希釈濃度に注意し、いきなり顔など皮膚の薄い部分や炎症部位に塗らないようにしましょう。成分的に特に皮膚利用に向いている精油ではありませんので、手作りコスメなどへの利用がメインであれば真正ラベンダーの利用をおすすめします。

天然の防虫剤に

防虫作用があるとされるカンファーとリナロールの含有率が高いスパイクラベンダーは、お部屋やタンスの虫除けとしても役立つと考えられています。お好みに合わせて防虫作用があるとされる他精油と組み合わせることで相乗効果が期待できますし、抗菌・デオドラントにも役立ってくれるのでお部屋の空気浄化にも繋がります。

スパイクラベンダーの利用について

相性の良い香り

香りが強いため量に注意が必要ですが、香りとしては様々な系統と合わせやすい存在です。特に柑橘系・ハーブ系もしくはハーブ寄りのフローラル系と相性が良いです。

【スパイクラベンダーのブレンド例】

スパイクラベンダー精油の注意点

  • 妊娠中・授乳中の方、癲癇の方は使用を避けましょう。
  • 高濃度での利用は刺激性があるため、使用量に注意が必要です。
  • アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
  • 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。
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ヘムロックスプルース/ツガ精油アロマ・エッセンシャルオイルと期待される効果効能紹介 https://d-nagaya.com/aroma/post-1810/ Wed, 04 Jan 2017 07:33:57 +0000 http://d-nagaya.com/?p=1810

精神安定や血行不良・風邪予防などにも

Tsuga-sieboldii-foliage

ヘムロックスプルース(ツガ)とは

日本ではマニアック寄りのスプルース系の精油ですが、比較的よく見かける精油としては近年アトピー性皮膚炎などの皮膚炎症抑制・甲状腺機能への働きかけなどが期待されるブラックスプルース(黒唐檜)と、このヘムロックスプルースの2つが挙げられるでしょう。加えてホワイトスプルース/カナダトウヒ(Picea glauca)を加えた三種が流通の大半を占めています。

ヘムロックスプルースも他2つと同じく北アメリカが原産の針葉樹で、見た目はクリスマスツリー(モミの木)によく似ています。本来“スプルース(spruce)”というのはマツ科トウヒ(Picea)属を表す言葉ですが、実はヘムロックスプルースはマツ科ツガ(Tsuga)属に分類されています。そのためか単に“ツガ精油”もしくは“カナディアン・ツガ”と呼ばれることもあります。ツガの方が日本人としては親しみもありますね。

北アメリカのネイティブアメリカンの人々はブラックスプルースを宗教儀式や傷・筋肉の痛み緩和に使われていたと言われています。対してヘムロックスプルースは風邪をひいた時に加熱してスチームバスを作り呼吸器系の不調に使った・内部樹皮をお茶にして発汗解熱剤のような感覚で飲んでいたと伝えられています。
ブラックスプルース(黒唐檜)が爽やかさ・静かな森などの印象を与えるのに対し、ヘムロックスプルースは明るく開放的な森・クリスマスなどの楽しいイメージを連想させるとも言われています。単に香りを比較した場合でもブラックスプルースは濃密でリアルな森の香りですが、ヘムロックスプルースはフルーティーさや爽やかさが強いことが特徴。親しみやすく、好き嫌いがさほど激しくない香りであると言えるでしょう。

日本では一部の方が取り入れている程度ですが、アメリカでは甘さと爽やかさのバランスが良いこと・殺菌効果があることから、ルームスプレーや洗剤・石鹸などのバス用品に配合されていることも多いようです。原産地であるアメリカやカナダでは精油の利用も多いようですし、木材としても加工がしやすく汎用性が高ことから広く使われています。近縁種にはウェスタンヘムロック(米ツガ Tsuga heterophylla)がありますが精油成分にはかなり差があり、どちらかと言うとマツ科トガサワラ属のダグラスファー(米松 Pseudotsuga menziesii)に近いと言われています。

基本データ

通称
ヘムロック・スプルース(Hemlock Spruce)
別名
カナダツガ、カナディアンヘムロック(Canadian Hemlock)、コモン・ヘムロック(Common Hemlock)、アマバラスファー
学名
Tsuga canadensis
科名/種類
マツ科ツガ属/常緑針葉樹
主産地
カナダ、アメリカ
抽出部位
葉、小枝
抽出方法
水蒸気蒸留法
ほぼ無色~淡黄色
ノート
ベース~ミドルノート
香り度合い
やや強め
代表成分
酢酸ボルニル、α-ピネン、カンフェン、リモネン、トリシクレン、ミルセン
おすすめ
芳香浴、マッサージ(※ごく少量で)

フルーティーな甘さとバルサミック感のある、明るい森の香り

こんなお悩みにオススメ

【精神面】

  • ストレス・神経疲労
  • 緊張・イライラ・憂鬱
  • 情緒不安定さを感じる
  • 不安が頭を離れない時
  • 閉塞感や鬱屈感がある
  • 明るい気持ちになりたい
  • ゆったりしたい時

【肉体面】

  • 血行不良・冷え性
  • 筋肉痛・筋肉の強張り
  • 疲労・慢性疲労の軽減
  • 関節痛・リウマチ緩和
  • 風邪・インフルエンザ予防
  • 気管支炎や喘息の緩和に
  • 呼吸機能の強壮に

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ヘムロックスプルース(ツガ)に期待される効果・効能

心への作用

ヘムロックスプルースの精油には様々な芳香成分が含まれていますが、最も多く含まれているのは“松葉”の香り成分でもある酢酸ボルニル(ボルニルアセテート)です。ややクセがあるので人によっては好みは分かれますが、酢酸ボルニルは低用量で使用した場合に自律神経系を弛緩させる働きがあることが報告されています。次いで含有率が高いのが森林浴効果や強壮などに役立つとされるα-ピネンで、この2つの成分含有率はブラックスプリュースよりも高い傾向にあります。

酢酸ボルニルが自律神経の緊張を解してくれること、α-ピネンが体全体を強壮しつつ気分をリフレッシュさせてくれることから精神状態を安定させる作用があると考えられています。さほど量は多くありませんが鎮静作用のあるリモネンなども含まれていますから、相乗して神経系や気持ちのバランスを整える働きが期待できるでしょう。ストレスなどで気分が憂鬱になっている時や不安が頭から離れない・イライラする時などに役立つ精油とされています。また心を落ち着ける働きと心を開放させる働きがあるとして、瞑想やグラウンディングワークなどスピリチュアルな面でも取り入れられているようです。

体への作用

α-ピネンなどモノテルペン炭化水素類の働きで血行促進効果が期待できること・心拍を整える働きが期待される酢酸ボルニルを含むことなどから、ヘムロックスプルースは冷え性や循環不全の改善に役立つと考えられています。α-ピネンには体を整える働きもありますから疲労・慢性疲労の改善にも効果が期待でいるでしょう。
加えて抗菌・抗ウィルス作用や抗炎症作用があるとされるカンフェンを含んでいますから、相乗して筋肉痛や関節痛・リウマチによるの痛みの緩和、風邪やインフルエンザの予防・回復促進にも取り入れられています。

ネイティブアメリカンは古くから風邪や咳・気管支炎・喘息などの呼吸器系の不調改善に利用していたと伝えられていますし、現在でも去痰・鎮咳・鎮痙作用がある精油として呼吸器トラブル全般に有効とされています。体液循環を整える働きや抗炎症作用が期待できるため、花粉症やアレルギー性鼻炎などのアレルギー緩和にも効果が期待されています。

その他作用

空気浄化剤として

ヘムロックスプルースは抗菌・抗ウィルス作用があるのでデュフューザーなどで拡散すると直接的に空気をキレイにしてくれると考えられます。また香りを嗅ぐことで体、特に呼吸器の強壮にも役立ってくれるでしょう。ルームフレグランス感覚で利用すると風邪やインフルエンザなどの感染症予防効果も期待できます。血液・体液の循環を整える働きも期待できますし、清潔感と暖かさのある森の香りですから、特に冷えやインフルエンザの流行などが気になる冬場におすすめです。

ヘムロックスプルース(ツガ)の利用について

相性の良い香り

あまり相手を選ばない香りですが、同系統のウッディー系や樹脂系とブレンとしやすいです。爽やかさのあるハーブ・フローラル系とも合うでしょう。

【ヘムロックスプルースのブレンド例】

ヘムロックスプルース精油の注意点

  • 妊娠中・授乳中の女性、乳幼児への使用は避けましょう。
  • アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
  • 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。
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カラミント精油アロマ・エッセンシャルオイルと期待される効果効能紹介 https://d-nagaya.com/aroma/post-1794/ Tue, 20 Dec 2016 07:08:19 +0000 http://d-nagaya.com/?p=1794

スッキリした香りは胃の不快感にも

Calamintha officinalis 1

カラミントとは

スッキリとしてシャープな香りを持つカラミント。香りとしてはペパーミントやペニーロイヤルなどをブレンドしたような印象ですが、植物としてはシソ科カラミント属に分類されます。ペパーミントやスペアミントなどのハッカ(Mentha)属の近縁種ではありませんが、似た芳香を持つことから“美しい”と“ハッカ”を意味するギリシア語を合成したCalaminthaと名付けられたと言われています。代用品として利用されるC. nepetaはレッサーカラミント(lesser calamint)と呼ばれています。

カラミント属の植物は7~10月まで小さな白に近い淡色の花を沢山咲かせ、ミント系の涼やかな香りを放つことから園芸用(観賞用)としても人気があります。花の色は様々にありますがベーシックな白もしくは薄紫タイプは他の植物とも違和感なく馴染んでくれますし、花期が長いこと・耐寒性があり戸外でも冬を越せることなど栽培時のメリットもあります。そのままでもふんわりとした香りがありますが、より香り立たせたい時は葉を手で揉むと良いそうです。バスハーブなどにする場合は成分が強い精油よりも生葉の方が気軽に使えるかもしれませんね。

精油はさほど流通量がありませんが、カラミント自体は外見・香りが良いことからポプリにしたり、若葉を料理やアイスティーの風味付などにも利用されています。古くは強壮剤としても利用されていたと言われていますし、17世紀のハーバリストであるニコラス・カルペッパーも胃腸の痙攣や痛み・息切れ・神経症状を和らげる働きがある薬草と考えていたようです。現在でも植物療法では情緒不安定さや不眠の緩和・風邪・筋肉痛やリウマチ・神経性の消化器トラブルなどに処方されています。

少し変わったところではカラミントの香りには猫が好む成分が含まれているとして、アメリカでは山猫狩りなどにも利用されているそうです。ちなみに同じくシソ科植物のイヌハッカ(Nepeta cataria)もキャットニップもしくはキャットミントという別名のほかカラミントと呼ばれることもあります。イヌハッカも料理の香り付けやハーブティーなどに利用されている存在で精油も製造されています。精油・ハーブとしては“キャットニップ”と呼ばれることが大半なので混同する心配はさほどありませんが、種などを買う場合は学名を確認したほうが無難でしょう。

基本データ

通称
カラミント(calamint)
別名
カラミンサ、コモンカラミント
学名
Calamintha officinalis
Calamintha nepeta
科名/種類
シソ科カラミント属/多年草
主産地
フランス、スロベニア、ユーゴスラビア、ポーランド
抽出部位
全草(地上部)
抽出方法
水蒸気蒸留法
ノート
ミドルノート
香り度合い
中~強
代表成分
リモネン、メントン、ピペリトン、プレゴン、ピペリテノン、α-ピネン
おすすめ
芳香浴

カンファーのようなシャープさを含む、ミントに似た香り

こんなお悩みにオススメ

【精神面】

  • ストレス・神経疲労
  • 不安・神経過敏
  • イライラ・興奮
  • 寝付きが悪い
  • リフレッシュ用に
  • 気持ちを強く持ちたい

【肉体面】

  • 胃もたれ・胸焼け
  • 食欲不振・消化不良
  • 神経性の腹痛や胃痛
  • 風邪・悪寒時のケア
  • 筋肉痛・リウマチ
  • 関節炎や関節の痛み

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カラミントに期待される効果・効能

心への作用

産地等により成分に差はありますが、カラミントの精油成分の中で含有比率が高いのは主にケトン類の「メントン」とモノテルペン炭化水素類の「リモネン」です。そのほかピネン類なども若干含まれているため神経の鎮静・強壮に役立つと考えられており、不安・イライラ・神経過敏や不眠症軽減に役立つとされています。また非常にシャープでスッキリとしたカラミントの香りはリフレッシュ用としても役立ってくれるでしょう。ストレスによる不調全般に効果が期待できます。

体への作用

カラミントの主成分であるメントンは神経毒性と堕胎作用があるため扱いに注意が必要な成分ですが、胆汁分泌を促進することで消化を助ける作用もあります。このため少量で利用すると胃もたれ・胸焼けや食欲不振、消化不良などの胃腸トラブルの緩和に役立つと考えられています。胆汁は脂肪を乳化させ消化を助ける作用があるので、特に脂っぽいものが苦手な方に良いでしょう。鎮痙作用や鎮静作用と合わせてストレスなど精神的な問題に起因する消化器系の不調軽減にも有効とされています。

そのほか発汗・解熱作用や抗菌・抗真菌・抗ヒスタミン作用なども期待できるため、風邪や悪寒がするときのケア、筋肉痛やリウマチ・関節痛などの軽減用としても取り入れられているようです。風邪のひき始めや治りかけで関節が痛むような時にも適しているでしょう。

カラミントの利用について

相性の良い香り

爽やかさのある香りのため、ブレンドも似た印象のあるハーブ系や柑橘系と組み合わせやすいです。

【カラミントのブレンド例】

カラミント精油の注意点

  • 神経毒性のあるケトン類含有が多いため妊娠中・授乳中の女性、てんかん患者、乳幼児への使用はできません。
  • 高濃度での使用は毒性を生じる可能性があります。使用量に注意しましょう。
  • アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
  • 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。
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和ハッカ/コーンミント精油アロマ・エッセンシャルオイルと期待される効果効能紹介 https://d-nagaya.com/aroma/post-1778/ Fri, 09 Dec 2016 08:41:52 +0000 http://d-nagaya.com/?p=1778

ヒンヤリ感が話題の、親しみある日本ミント

和ハッカ/コーンミント

和ハッカ/コーンミントとは

日本のハーブの一つである薄荷(ハッカ)。ハッカという言葉はハッカ属全体の総称としても利用されていますが、日本で「ハッカ」もしくはハッカ油と呼ぶ場合は和ハッカを指すのが一般的です。あまりハーブやアロマなどに興味が無くても「ハッカの香り」というと思い浮かぶ方が多いと思いますし、ハッカ飴をはじめとした昔ながらのお菓子類やお祭りなどを思い出して懐かしい気持ちになる方もいらっしゃるのではないでしょうか?

ミントと呼ばれる植物は100種類以上あると言われていますが、和ハッカはペパーミントスペアミントと並んで“3大ミント”と呼ばれるほどメジャーな存在。エッセンシャルオイルもこの3つにベルガモットミントを加えた四種がミント系精油として流通しています。

ちなみに和ハッカはかつてヨウシュハッカ(Mentha arvensis)の変種としてMentha arvensis subsp. piperascensという学名が一般的でしたが、現在は別種として扱うMentha canadensisという学名を使うのが主流のようです。国外では和ハッカのことを主にJapanese peppermint(和種薄荷)と呼んでおり、コーンミントという呼び名はヨウシュハッカを示す時に利用される言葉と区分されているようですが、日本国内では現在も精油の表記としては学名・別名ともにヨウシュハッカの一種という扱いが多いようです。

和ハッカは中国から東南アジアが原産で、日本には今から2000年以上前には中国から伝わったと考えられています。平安時代には食材とされていたそうですが、室町頃になると生薬として扱われることが増え小規模な栽培も行われていたとする説もあります。ただし本格的な栽培は1800年台の半ばに岡山県で行われたのが初とされており、その後新潟や山形へと北上・北海道でもハッカ栽培が行われるようになります。

この栽培の本格化や全国的な広がりは水蒸気蒸留の技術が本格的に導入されて、精油を作ることが出来るようになったためなのだとか。ハッカ油は日本の貴重な輸出品の一つとして、最盛期は世界生産量の70%を占めたほど全国的に栽培が盛んになります。しかし戦争に伴う国の統制・戦後にはアジア圏で安価なハッカが生産されたことや合成ハッカの登場などの影響から、生産は衰退し現在は北海道の一部地域で国内生産の大半を生産されています。

和ハッカの特徴としてはミント類の中でもl-メントール含有量が多いことで、ペパーミントと比較した場合最大で1.5倍程度程度になると言われています。そのため「クールミント」という別名が付けられるほどハッカ系の精油の中でも特に清涼感が強く、またメントールに起因するリフレッシュ効果や冷感作用なども高いと考えられています。2010年頃からハッカ油の使い方・活用方法が取り上げられる機会が増えたことで、その万能性が注目されています。また原料から国産の「和アロマ」が人気を集めるようになり、需要は高まっている存在と言えるでしょう。

基本データ

通称
和ハッカ(和種薄荷)
別名
日本薄荷、ジャパニーズペパーミント(Japanese peppermint)、クールミント(Cool Mint)、コーンミント(Corn mint)
学名
Mentha arvensis(Mentha canadensis)
科名/種類
シソ科ハッカ属/多年草
主産地
日本(主に北海道)、インド、ネパール、中国
抽出部位
全草
抽出方法
水蒸気蒸留法
ほぼ無色~淡い黄色
ノート
トップノート
香り度合い
強い
代表成分
l-メントール、l-メントン、イソメントン、ネオメントン、酢酸メンチル、リモネン、1,8-シネオール
おすすめ
芳香浴・入浴・マッサージ・スキンケア・ヘアケア

ペパーミントよりも甘みがなく、スッキリとした清涼感あふれる香り

こんなお悩みにオススメ

【精神面】

  • 気分をシャッキリさせたい
  • 眠気覚まし・集中力アップ
  • リフレッシュしたい時に
  • 疲労・情緒不安定な時に
  • ストレス対策として
  • イライラ・ショック時に
  • 気持ちを前向きにしたい

【肉体面】

  • 消化不良・胃もたれ
  • 胸焼け・吐き気
  • 二日酔い・乗り物酔い緩和
  • 筋肉痛や肩こりの緩和に
  • 喉や鼻の不調に
  • 風邪・インフルエンザ予防
  • ニキビや痒みのケアに
  • 体臭予防・暑さ対策に
  • 抗菌・虫よけ剤代わりに

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和ハッカ/コーンミントに期待される効果・効能

心への作用

和ハッカの香りは極めてシャープでキリリとした印象があります。人によっては清涼感が強すぎると感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、この香りは気付け薬のような形でも働くと考えられています。眠気覚ましなどにも役立ってくれますし、脳を活性化させて集中力を向上させるという説もありますので仕事・勉強中にもうってつけの香りと言えますね。

またメントールというとリフレッシュという印象が強いですが、神経・精神への鎮静作用があるとされ精神安定に役立つと言われています。そのため和ハッカの香りもイライラやショックなどを和らげる働き・ストレスや疲労などで落ち込んだ気分をリフレッシュして気持ちを前向きにする両方の働きが期待でき、心のバランスを整えるのに役立つと考えられます。

体への作用

メントールは胃腸の働きをサポートする成分として医薬品などにも利用されており、消化不良・胸焼け・吐き気などの軽減をはじめ、二日酔いや乗り物酔いの気分の悪さ緩和にも役立つ言われています。和ハッカにはメントール以外に胃腸サポート効果があるとされるリモネンなども含まれていますから、相乗して消化器系の不調改善効果が期待できます。

そのほかに鎮痙・鎮痛作用があることから筋肉痛や肩こり・腰痛・神経痛などの緩和にも利用されています。またメントールは抗菌・抗真菌作用や血管収斂作用があるため、風邪やインフルエンザの予防やケア・呼吸器系の不調緩和にも効果が期待できると言われています。スースーとした香りですから花粉症などで鼻詰まりが起きて頭がぼんやりしている時などにも役立ってくれます。ただし過剰に摂取・吸引すると呼吸器や胃の粘膜を傷つける可能性も示唆されていますから、高濃度で長時間利用するのは控えた方が良いでしょう。

その他作用

スキンケア・体臭予防に

和ハッカは殺菌・抗炎症作用や痒みを抑える働きに優れているとされています。石鹸・ジャンプーなどに利用されているのも爽やかさを出すだけではなく、肌を清潔に保つ働きを兼ねているのだとか。そのためニキビや毛穴の黒ずみ・角栓などのケアに適していると考えられていますし、抗真菌作用もあることから水虫・爪水虫(白癬)をはじめ、マラセチア菌と皮脂が反応して起こる脂漏性皮膚炎のケアなどにも効果が期待されています。

加えてメントールには消臭作用もありますから、ローションなどに0.5%以下くらいの濃度で加えておくとニキビ予防と体臭予防を同時に行うことが出来ます。刺激性がありますので、パッチテストをした後はボディ用から利用を始めると良いでしょう。

暑さ対策・入浴剤として

近年夏になるとミント系を使った暑さ対策グッズが多く流通していますし、薬局の片隅などで売られていた“ハッカ油”も大々的に注目を集める商品となりました。冷涼感ある香りも勿論ですが、メントールには「冷感作用」と呼ばれる冷感受容体というタンパク質を刺激する働きがあるため、皮膚につくと冷たく感じるというのも大きなメリットとなっていますね。

メントールの冷感作用は実際に体を冷やしているわけではなく、いわば脳を騙しているような状態です。そのためオフィス内での冷えが気になる方なども安心して利用することが出来ますし、入浴剤として利用するとお風呂上がりは涼しく爽快なのにしっかりと体が温まるという優れもの。この入浴剤はミント風呂とも呼ばれているようにペパーミントなどでも同じことが出来ますが、入手しやすさ・原料から国産のものが多いことなどもあり“ハッカ油”を使う方が多いようです。

抗菌・消臭・虫よけ剤として

ニキビや体臭予防だけではなく、メントールはお部屋の抗菌・消臭用としても活用することが出来ます。和ハッカ精油やハッカ油を希釈すると抗菌酢ブレーを自作することで出来ますし、清涼系の香りが好きな方であればレモンなどを加えることでフレグランスと兼任としても使えます。

メントールには昆虫忌避性もあり、ミント類でも最も高いメントール含有量を持つ和ハッカは虫除けにも利用されています。蚊などをはじめゴキブリ避けとしても高い効果が期待されており、台所やゴミ箱など虫が集まりやすいところやゴキブリが潜みそうな棚下・隙間などにスプレーしている方も多いそう。ただしハッカ油を使う場合は「ポリスチレン(PS)」を溶かす性質があるので、かけるものの材質を確認してから利用してください。

和ハッカ/コーンミントの利用について

相性の良い香り

柑橘系とブレンドしやすい香りです。ハーブ系・樹木系でも印象の似ているサッパリ系の香りであれば比較的組み合わせやすいでしょう。

【和ハッカのブレンド例】

和ハッカ/コーンミント精油の注意点

  • 妊娠中・授乳中の方、小さいお子さんは使用できません。
  • 皮膚への刺激が強いため使用量に注意し、敏感肌の方は事前にパッチテストを行いましょう。目の周りへの使用は避けてください。
  • アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
  • 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。
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アンブレットシード/ムスクシード精油アロマ・エッセンシャルオイルと期待される効果効能紹介 https://d-nagaya.com/aroma/post-1758/ Thu, 24 Nov 2016 04:47:11 +0000 http://d-nagaya.com/?p=1758

女性ホルモンのサポートも期待

アンブレットシード(Abelmoschus moschatus)

アンブレットシードとは

アンブレットは熱帯アジアが原産の植物で、日本でも南西諸島に自生しています。ムスクシードやジャコウアオイという別名のある通り種子が“麝香(ムスク)”に似た香りを放ちます。属名のAbelmoschusも香りの父という言葉が由来とされてますし、属名moschatusはそのまま「ムスクの香りがする」という意味なのだとか。ジャコウアオイやムスクマロウという別名の通りハーブティーとして利用されるマーシューマロウと比較的近い種類になります。同じくアオイ科の植物にはハイビスカスもあり花の形状などは似ていますが、アンブレットは花の中心が紫色をしています。

原産地であるアジアにおいて、アンブレットシードはスパイスとしても長く利用されてきました。アラブではコーヒの香り付けなどにも利用されていますし、若芽は野菜感覚で食用とする地域もあるようです。また中医学やアーユルヴェーダでは生薬としても利用されているようです。現在はアフリカなど他の熱帯諸国でも広く栽培されており、エジプトでは口臭予防などにも活用されています。また麝香の代用品感覚で利用されることが多いため、アンブレットシードオイルは香水や化粧品などでも重宝されている存在です。そのほか地域によってはスパイスとしても利用されているものですし、お酒を始めとした飲料類やお菓子などのフレーバーとしても使われているそう。精油の場合は芳香用というよりも手作り香水を作るために購入される殻が多いようです。

本来麝香(ムスク)と言うのは雄のジャコウジの腹部にある“香嚢”を切り取ったものを原料としていましが、麝香採取のためにジャコウジカが大量に殺され絶滅の危機に瀕しています。1979年からはワシントン条約によって商業目的の国際取引は原則禁止されたこともあり、麝香様の香りを持つものもしくは合成ムスクが使用されています。ちなみに麝香様の香りを持つものは動物が多く、幻のコーヒー“コピ・ルアク”で知られるジャコウネコなども麝香様香料採取の犠牲になっています。そのため現在はアンブレットシードが天然由来、かつ動物保護にも役立つ植物性のムスク香料として利用されています。

ムスク系ですから原液で香りを嗅いでしまうとかなり獣臭く鼻につきますが、希釈するとベビーパウダーのような懐かしい印象を持つ方も多いようです。ただしアニマルノートが苦手な方は好きになれない香りと称することもあるので、好き嫌いはやや分かれるところかもしれません。エッセンシャルオイル・アブソリュート共に非常に高価な部類でもありますから、香りのメインに使うよりは微かに存在が分かる程度に利用すると無難でしょう。

基本データ

通称
アンブレットシード(Ambrette seed)
別名
ムスクシード(Musk seed)、ムスクマロウ(Musk Mallow)、トロロアオイモドキ、ジャコウアオイ、ニオイトロロアオイ、リュウキュウトロロアオイ
学名
Abelmoschus moschatus
科名/種類
アオイ科トロロアオイ属/常緑低木
主産地
西インド諸島、中国、インドネシア、マダガスカル、アフリカなど
抽出部位
種子
抽出方法
水蒸気蒸留法(溶剤抽出されたものも有)
黄色~琥珀色
ノート
ミドル~ベースノート
香り度合い
強め
代表成分
酢酸ファネシル、アンブレッドライド、ファネソール、酢酸ドデジル
おすすめ
芳香浴

甘さと粉っぽさを持つ、重く陶酔感のある麝香(ムスク)の香り

こんなお悩みにオススメ

【精神面】

  • ストレス・神経疲労
  • 緊張・不安・神経過敏
  • 気持ちの落ち込み
  • 気持ちを落ち着けたい
  • 前向きになりたい
  • セクシーさの表現に

【肉体面】

  • ストレス性の不調に
  • 疲労・筋肉痛の改善
  • 痙攣性の腹痛・下痢
  • 更年期障害の軽減に
  • PMSの軽減に
  • 乾燥肌や老化予防(芳香浴)

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アンブレットシードに期待される効果・効能

心への作用

アンブレットシードの香りは鎮静効果を持つとされ、神経系の興奮を落ち着けることで神経過敏や過緊張・ストレス・不安などの緩和に役立つと考えられています。また刺激を与えることで気分を盛り上げる働きもあるため、気持ちが落ち込みがちで抑鬱っぽいと感じる時にも利用することが出来ます。

アンブレットシードは刺激だけではなく性欲を強く刺激する催淫作用がある香りともされています。古くから麝香(ムスク)は女性の魅力を引き立たせる媚薬として利用されてきた存在ですから、ムスク系の陶酔感ある香りを持つアンブレットシードもセクシーさを印象付ける香りとも言えそうです。

体への作用

ストレス軽減に役立つほか血液循環を良くする・強壮作用もあると考えられ、ストレス性の不調全般や体全体の疲労回復などに有効とされています。また鎮痙・鎮痛作用もあるため筋肉痛の軽減、痙攣性の腹痛・下痢の緩和などにも効果が期待できるでしょう。

女性の体への働きかけ

日本メナード化粧品株式会社によってアンブレット・シードオイルの香りを嗅ぐ前後の唾液中のエストロゲン濃度を測定した際、アンブレットシードの香りを嗅いだ後はエストロゲン分泌が上昇(120~150%)していることが報告されました。同検証ではラベンダーやローズなどに変化が見られなかったことも報告されていたこともあり、アンブレッドシードのエストロゲン分泌促進作用が一部で注目されています。

エストロゲンは更年期障害改善や骨粗鬆症予防、PMS(月経前症候群)の軽減などホルモンバランスの変動に伴う不調の改善効果が期待されています。また美肌のホルモンと言われているようにコラーゲンやセラミドを増やすことで肌のハリや潤いを保持する。女性らしい体のライン保持やバストアップなどにも役立つと考えられています。このためアンブレットシードは女性の美と健康サポートにも役立つのではないかと期待されています。

その他作用

皮膚利用について

抗炎症作用や血行促進作用があると言われていおり、エジプトではアンブレットを牛乳と混ぜて痒み止めに利用することもあるそうです。アンブレットを配合した化粧品も販売されていますが、手作りコスメなどへの精油の利用はデータが少ないためおすすめできません。アンブレットシードの精油は高価でレアな部類に入りますから、スキンケア・マッサージ用としては別の精油を利用する・香り付けとして使う程度が良いと思います。

アンブレットシードの利用について

相性の良い香り

オリエンタル系、フローラル系の香りと相性が良いとされています。香りの重さが気になる方は柑橘系の精油を加えることで軽さを出すことが出来ますし、保留剤として香りを長持ちさせる働きもあります。

【アンブレットシードのブレンド例】

アンブレットシード精油の注意点

  • 特に禁忌事項はないとしている文献もありますが、エストロゲン分泌を高める働きが報告されていますので、妊娠中の方・エストロゲン依存性疾患がある方やホルモン療法を受けている方は使用を控えた方が無難です。
  • アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
  • 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。
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バルサムファー/カナディアンファー精油アロマ・エッセンシャルオイルと期待される効果効能紹介 https://d-nagaya.com/aroma/post-1739/ Fri, 11 Nov 2016 09:18:55 +0000 http://d-nagaya.com/?p=1739

風邪・インフルエンザ予防にも役立つ木の香り

バルサムファー/カナディアンファー

バルサムファーとは

バルサムファーの原料となるバルサムモミ(カナディアンファー)は北米原産のモミ属針葉樹で、カナダに多く見られることが知られていますがアメリカ北部にも自生しています。アメリカ北部のインディオたちはバルサムファーの樹脂を医薬品として・木を家屋や船などの建材として利用した他、宗教儀礼などにも利用していたそうです。また精油は主に枝・葉を水蒸気蒸留したものが利用されますが、樹皮から樹脂を取り出したものから抽出される場合もあります。合成樹脂が定着する以前、光学ガラスやレンズの接合にも利用されていました。
ちなみにクリスマスツリーは“モミの木”を利用しますが、バルサムモミはモミの中でも背が高く形が良いことから“クリスマスツリー用として最も人気のあるモミの木”とも言われているそうです。聖書に登場する「ギリアド・バルサム」として紹介されることもありますが、こちらはCopaifera opabalsamumという別種(コパイバの一種)とする説が有力です。

バルサムファーやカナディアンバルサムなど呼び名に“バルサム”が付き・種子名もbalsameaとなっていますが、これはバルサムのような香りを持つことに起因しています。樹脂は松脂に近い香りを持つとされていますが、アロマ(芳香用)としては葉や枝から採油されたもの精油が主に利用されています。葉枝を原料とする精油はスッキリとしてウッディー系の中でもクセがなく、爽やかで好き嫌いのない香りのため男性用・ユニセックスの香水原料としてもよく利用されています。また洗剤や石鹸などの化粧品、一部飲料などの食品にも利用されています。バルサムという呼び名から身構えてしまう方も居るようですが、苦手意識を持つことなく取り入れて頂きたい精油です。

モミの木の精油について

モミ属には精油原料として利用されている樹木が数多く存在しますが、アメリカ大陸産のバルサムファー、ヨーロッパ原産のシルバーファー(学名Abies alba)の2種が香料としては高く評価されています。モミ属の樹木(針葉)から採油されたオイルを総称して「アビエスオイル」と呼ぶこともありますが、日本でアビエスオイルというとシベリアファー(学名Abies sibirica)のことを指す言葉として使う事が多いようです。

モミ属の精油にはこういった呼び名の混同がありますが、原料によって芳香成分・香りには差があります。気に入った香りがある場合などは、商品名だけではなく学名を確認するようにすると失敗が少ないでしょう。メジャーなところで言うとバルサムファーは甘みのある爽やか系、シルバーファーは若干バルサム感があり温かい印象、シベリアファーはカンファー感がありスッキリ感の強い香りとされています。

基本データ

通称
バルサムファー(Balsam Fir)
別名
バルサムモミ、カナディアンファー(Canadian balsam)、バルサムカナダ(Balsam Canada)、イースタンファー(eastern fir)、ブラクテッド・バルサムファー(bracted balsam fir)
学名
Abies balsamea
科名/種類
マツ科モミ属/常緑針葉樹
主産地
カナダ(ケベック州、ノバスコシア州)、アメリカ(ニューイングランド)
抽出部位
枝葉
抽出方法
水蒸気蒸留法
ほぼ無色
ノート
ミドルノート
香り度合い
中くらい
代表成分
β-ピネン、α-ピネン、β-フェランドレン、リモネン、カンフェン、δ-3-カレン、リナロール
おすすめ
芳香浴・アロマバス・マッサージ

パインニードルに似た、スッキリと爽やかな森林の香り

こんなお悩みにオススメ

【精神面】

  • ストレス・神経疲労
  • 過緊張・不安・抑鬱
  • 抑圧感・情緒不安定
  • 無気力・無感動
  • リフレッシュしたい
  • 前向きになりたい
  • 集中力を高めたい

【肉体面】

  • 咳・痰・喉の痛み
  • 気管支炎・喘息
  • 風邪・インフルエンザ予防
  • むくみ・泌尿器感染症
  • 筋肉痛・肩こり・腰痛
  • 関節炎・リウマチの緩和
  • 皮膚炎症・外傷の回復促進

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バルサムファーに期待される効果・効能

心への作用

バルサムファーの爽やかな森の香りは高いリラックスやリフレッシュ効果があるとされています。清々しい香りで頭をクリアにすることで集中力向上や気持ちの高揚・前向きさを取り戻すなどの働きも期待できるでしょう。心のざわめきや頭のモヤモヤ感を振り払うのに適した精油と言われています。

成分的に見ても森林浴効果や強壮効果が期待できるα-ピネン、鎮静・リラックス効果があるリモネンなどを含んでいるためストレス軽減やストレス耐性アップなどの働きが期待できるでしょう。心の負担を軽くすることでストレス性の神経疲労や神経過敏、緊張・不安・無気力・気持ちの落ち込みなどの情緒不安定さの改善にも役立つとされています。自分の感情や気持ちを押し殺してしまう方・ストレスを溜め込みやすい方にも適しているでしょう。

体への作用

ピネンなどモノテルペン炭化水素類の働きから抗菌・免疫力向上に優れた効果があるとされています。去痰・鎮咳作用と合わせて咳・痰絡み・のどの痛みの改善、喘息や気管支炎の緩和などに利用されています。またα-ピネンやリモネンには血行促進作用がありますから、体液循環を改善する=巡りを良くする働きも期待できます。免疫力向上や抗菌作用と合わせて風邪やインフルエンザ予防・治癒促進にも役立ってくれるでしょう。

そのほか血液・リンパ液の循環を改善し利尿効果が期待できること、抗菌作用があることから膀胱炎などの泌尿器炎症緩和にも利用されています。巡り改善のほか鎮痛作用もあると考えられるためリウマチ・関節炎・筋肉痛などの痛みの軽減用としても利用できます。

その他作用

肌への働きかけ

抗菌作用や創傷治癒作用があるとされ、火傷や傷跡の手当に役立つとされています。北米のインディオも樹脂(オレオレジン)を外傷の手当に利用していたと伝えられており、痔などの手当にも利用できるそうです。

ただし現在はスキンケア用として利用されることはあまりなく、皮膚に直接触れるような利用法としては風邪予防や血行促進用としてのバスオイル・筋肉痛などの痛み緩和やむくみ対策のマッサージオイルとしての利用が主となっています。刺激があるとする説もありますので、希釈濃度等には注意して利用してください。

バルサムファーの利用について

相性の良い香り

樹木系・樹脂系の精油と相性が良いとされています。柑橘系やハーブ系のさっぱりした香りのものともブレンドしやすいでしょう。

【バルサムファーのブレンド例】

バルサムファー精油の注意点

    基本的な精油の利用法を守っている場合は特に注意や禁忌事項はありません。
  • アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
  • 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。
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バルサムコパイバ精油アロマ・エッセンシャルオイルと期待される効果効能紹介 https://d-nagaya.com/aroma/post-1721/ Sun, 30 Oct 2016 09:06:01 +0000 http://d-nagaya.com/?p=1721

アレルギー対策が期待される、アマゾンの秘宝

バルサムコパイバ(Balsam Copaiba)

バルサムコパイバとは

コパイバはブラジルなど南米、南アフリカなど熱帯地域に自生しているマメ科コパイフェラ属の樹木の総称です。南アメリカで生活していたインディオ達は、古くから貴重な薬用植物として木の中心部にある樹液を利用してきたと伝えられています。16世紀にはヨーロッパへも伝えられ、1625年にイエズス会の修道士によってその薬用効果が記録されています。ヨーロッパでも数百年前から泌尿器系・気管支系の諸症状や下痢の治療などに利用されてきた存在です。コパイバ樹液はその汎用性の高さから「天然の秘薬(万能薬)」や「アマゾンの秘宝」とも呼ばれているそう。

現在でもブラジルやペルーの民間療法ではコパイバの樹脂は喉の痛み・胃炎・排尿トラブル・気管支炎など様々な症状の改善に役立つ存在として内服・外用両方で利用されています。また科学的な分析・研究からもコパイバの樹脂や精油には抗炎症・抗腫瘍・防腐効果などが認められています。1996には胃潰瘍治療の制酸剤としての有効性なども報告されており、現在はガン予防効果などについても研究が行われているようです。毒性が低く安全性の高いことから、アメリカの食品医薬品局(FDA)などはコパイバオイルを食品添加物としても認めています。サプリメントタイプなど経口摂取用のものも販売されていますが、精油の飲用は出来ませんので注意するようにしましょう。

またコパイバには抗菌・抗炎症作用があることやエモリエント特性があることから、石鹸やクリームなどの化粧品に香料を兼ねて配合されることも多いようです。樹脂から採油される精油ではありますが印象としてはハーブ系とウッディー系のブレンドのような感覚で、スパイシーさとナッツのような香ばしさを含んでいます。温かみのある複雑な香りは様々な香りとブレンドしやすく、コパイバ精油自体にも様々な作用が期待できるため、日本ではあまりメジャーではありませんが世界的に見て需要の伸びている精油の一つにも数えられています。

コパイバの種類は十種類以上ありますが、copaifera officinalisの中でも5弁の赤紫の花を付けるマリマリ種(コパイバ・マリマリ)と呼ばれるものが最も上質とされているようです。主に精油原料として利用されるのはcopaifera officinalisですが、ほかCopaifer属の樹脂や樹液も“コパイバ”として精油や化粧品・ワニス原料などに利用されています。

基本データ

通称
バルサムコパイバ(Balsam Copaiba)
別名
コパイババルサムノキ、Copaiba(コパイバ、コパイーバ、カパイバ)
学名
Copaifera spp.
科名/種類
マメ科コパイフェラ属/高木
主産地
ブラジル、ベネズエラ、コロンビア、ペルー
抽出部位
樹脂
抽出方法
水蒸気蒸留法
ほぼ無色~淡黄色もしくは黄緑色
ノート
ベース~ミドルノート
香り度合い
中~やや強い
代表成分
β-カリオフィレン、α-カリオフィレン、他セスキテルペン類など
おすすめ
芳香浴・アロマバス・マッサージ・スキンケア

甘めのウッディーさに、胡椒のようなスパーシーさを含む香り

こんなお悩みにオススメ

【精神面】

  • ストレス・不安・ショック
  • イライラ・ヒステリー
  • 抑鬱・気持ちの落ち込み
  • PMSや更年期の神経症状
  • 神経疲労の緩和に
  • リフレッシュ用として
  • 気持ちを落ち着けたい
  • 集中力を高めたい

【肉体面】

  • 咳・気管支炎・喘息
  • 花粉症・アレルギー性鼻炎
  • 風邪・インフルエンザ予防
  • 筋肉痛・肩こり・腰痛
  • 関節炎・リウマチの緩和
  • むくみ・泌尿器感染症
  • 皮膚炎症・外傷の回復促進
  • 脂性肌・ニキビ予防に
  • 肌のエイジングケアに

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バルサムコパイバに期待される効果・効能

心への作用

コパイバ精油の主成分であるβ-カリオフィレンは不安を和らげる作用(抗不安作用)が高いことが報告されています。アドレナリン分泌を抑制することで神経をリラックスさせる働きも認められており、ストレスの緩和や怒り・不安・ヒステリー・ショック状態など神経の過剰な興奮を和らげる働きが期待されています。

このためコパイバ精油はストレスの軽減に役立つ精油と考えられています。心の負担を緩和することで集中力や創造力向上に効果的である・神経疲労の回復やリフレッシュにも役立つとする説もあります。また近年はβ-カリオフィレンがホルモンバランスに伴う精神面の不調緩和に有効であると考えられていますから、コパイバ精油もPMS(月経前症候群)や更年期障害に伴うイライラ・抑うつ症状など“情緒不安定さ”の緩和に効果が期待されています。

体への作用

古くから呼吸器系不調の改善に利用されてきた通り、コパイバ精油は呼吸器系トラブルに対して高い効果が期待されています。主成分のβ-カリオフィレンは抗炎症作用や免疫賦活作用があるとされていますから、花粉症やアレルギー性鼻炎、喘息・気管支炎などの軽減にも有効とされています。加えて殺菌作用もありますので風邪やインフルエンザ予防としても役立ってくれるでしょう。

またβ-カリオフィレンは痛みの信号を遮断する「CB2」と呼ばれる特殊なたんぱく質を活性化することで鎮痛作用を持つことも認められています。そのほか血管拡張作用によって血行促進効果も期待されていますから、筋肉痛や肩こり・腰痛・関節痛・リウマチ痛などの緩和にも役立つと考えられています。

そのほかコパイバは伝統的に腎臓結石や尿路感染症などの緩和にも利用されてきた存在でもありますし、コパイバ精油も殺菌消毒作用のほか利尿作用があるとする説もありますから、膀胱炎のケアやむくみの改善などにも効果が期待できます。

その他作用

肌への働きかけ

コパイバはスキンケアに高い効果が期待できる精油として注目を集めている精油でもあります。β-カリオフィレンによる抗炎症作用があるため皮膚炎症の改善効果が期待できますし、古くから火傷・切り傷など外傷の手当にも利用されてきました。オーストラリアでのティーツリーが、南米のコパイバと言えるかもしれません。

エモリエント効果(皮膚に潤いと柔軟性を保つ働き)があるため、肌の若々しさを保つエイジングケア用や乾燥肌の保湿ケア用としても利用されています。抗炎症作用に加えて殺菌・消毒作用や収斂作用があることから脂性肌・ニキビ予防などにも効果が期待できます。皮膚刺激がありますので敏感肌の方は注意が必要ですが、年齢肌・脂性肌・乾燥肌と幅広いタイプの肌ケアに役立ってくれるでしょう。

バルサムコパイバの利用について

相性の良い香り

樹木系・柑橘系とブレンドしやすい香りとされていますが、他タイプの精油とでも濃度に注意すれば組み合わせやすいでしょう。香りの持続時間が長いので保留剤としても役立ちます。

【バルサムコパイバのブレンド例】

バルサムコパイバ精油の注意点

  • 妊娠中・授乳中の方は使用を避けましょう。
  • 高濃度もしくは長時間の使用は吐き気・下痢を引き起こす可能性があります。
  • 皮膚刺激があるため肌へ利用する際は注意が必要です。
  • アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
  • 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。
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ブラックスプルース精油アロマ・エッセンシャルオイルと期待される効果効能紹介 https://d-nagaya.com/aroma/post-1708/ Thu, 20 Oct 2016 08:47:26 +0000 http://d-nagaya.com/?p=1708

アトピー性皮膚炎ケアとして注目度上昇中

ブラックスプルースとは

ブラックスプルースは北アメリカが原産のマツ科トウヒ属の樹木で、和名を黒唐檜(クロトウヒ)と言います。北海道などに分布しているエゾマツ・山中湖湖畔のハリモミなどの近縁種に当たります、外見は形状としてはクリスマスツリーの“モミの木”とよく似ています。アラスカの永久凍土上にもブラックスプルースの林があるほど耐寒性が非常に高く、北の樹木限界線はクロトウヒの北部限界線とも言われているそう。樹木自体は北米大陸東部に広く分布していますが主産地はカナダで、パルプ資源や外食産業用の箸などの原料としても使われているそうです。

日本でブラックスプルースの精油はあまり知られてておらずマイナーな精油と言われていましたが、近年アトピー性皮膚炎などの皮膚炎症抑制効果が期待できる精油・副腎機能を高め甲状腺機能亢進症(バセドウ病)のケア効果が期待できる精油として知名度が高まっています。その他にも精神面へのサポートや風邪・インフルエンザ予防など様々な点で役立つと考えられていますし、価格的にもさほど効果でないので取り入れやすい精油でもあります。精油は医薬品ではありませんから全ての方が期待した効果を得られるというわけではありませんが、ウッディー系の香りが好きな方や精油を使って化粧品を作っている方は機会があれば取り入れてみても良いかもしれません。

スプルース系精油の種類について

精油として利用される同属としてはシルバーファー(ヨーロッパトウヒ、Abies alba)が代表的ですが、欧州唐檜/ドイツトウヒなどと呼ばれるPicea adiesや、同じくアメリカ原産でホワイトスプルース/カナダトウヒなどと呼ばれるPicea glaucaなどもあります。しかし一日本で流通している“スプルース”と呼ばれる精油は場合には、マツ科ツガ属に分類されるヘムロック・スプルース(ツガ/学名Tsuga canadensis)とブラック・スプルースの2つが主要となっています。

ヘムロックスプルースが明るさ・楽しいクリスマスなどを連想する香りと言われるのに対し、ブラックスプルースは爽やかさ・静かな森の印象と称されることもあります。ブラックスプルースの方が良く言うとリアルな森の香りがしますが、自然のエネルギー感や開放感があり、自然と体の緊張がほぐれるような香りでもあります。かつてネイティブアメリカンの人々が傷や筋肉の痛みを癒す薬としてのほか、神様と交わるための儀式に利用していたと言うのも納得ですね。ただし複雑かつ濃密な香りのため好き嫌いの別れるところでもあります。

基本データ

通称
ブラックスプルース(Black spruce)
別名
黒唐檜(クロトウヒ)、spruce pine、bog spruce、swamp spruce
学名
Picea mariana
科名/種類
マツ科トウヒ属/常緑針葉樹
主産地
カナダ
抽出部位
針葉
抽出方法
水蒸気蒸留法
ほぼ無色
ノート
トップ~ミドノート
香り度合い
中~やや強い
代表成分
酢酸ボルニル、α-ピネン、δ-3-カレン、カンフェン、リモネン
おすすめ
芳香浴・アロマバス・マッサージ・スキンケア

パインやモミ(ファーオイル)に似た、深く力強い森の香り

こんなお悩みにオススメ

【精神面】

  • ストレス・神経疲労
  • 不安・焦燥感・神経過敏
  • イライラ・情緒不安定
  • 開放感が欲しい時に
  • リラックスしたい時に
  • 気持ちを落ち着けたい
  • 癒やしがほしい時に

【肉体面】

  • 喉の調子が悪い時に
  • 気管支炎や喘息の緩和に
  • 風邪・インフルエンザ予防
  • 関節痛・神経痛・リウマチ
  • 肩こり・腰痛・筋肉痛
  • アトピー性皮膚炎の軽減に
  • 乾燥性のかゆみや湿疹に

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ブラックスプルースに期待される効果・効能

心への作用

ブラックスプルースの主成分である酢酸ボルニル(ボルニルアセテート)は「松葉の匂い」とも言われている成分で、実はマツ科の代表的な精油であるパインニードルよりも含有量は高くなっています。次に含有量が多いα-ピネンもまた森を感じさせる芳香成分ですから、この2つによって“深い森の中”と称されるしっとりとした香りを楽しみ、癒され感や開放感を味わえると考えられています。

α-ピネンは森林浴効果や強壮効果が期待できる成分とされていますし、酢酸ボルニルも低用量であれば自律神経系を弛緩させる働きが見られたことが九州大学によって報告されています。このためブラックスプルースの香りはストレスや不安などを感じている神経の強張りをほぐし、深いリラックス効果を与えてくれると考えられています。心を強く持たせる働きも期待できますから、焦燥感やイライラに苛まれて神経過敏や情緒不安定と感じている時や、勉強や仕事の頑張り時などにも役立ってくれそうです。

体への作用

ブラックスプルースの精油は去痰・鎮咳・鎮痙作用があり呼吸器の強壮・改善に役立つとされています。気管支炎や喘息の軽減などにも有効とされていますし、空咳・痰が絡むなどなんとなく喉の調子が良くない時にも役立ってくれるでしょう。加えて抗菌・抗真菌・抗ウィルス作用や免疫力調整作用などもあるとされ、風邪やインフルエンザ予防としても活用されています。

また鎮痛作用があるとされているため関節炎・リウマチ・神経痛などの痛みを軽減する効果も期待されていますにも有効とされています。α-ピネンには血行促進・鬱滞除去作用なども期待されていますので、筋肉痛の回復促進や肩こり・腰痛など血行不良に起因する痛みの緩和にも効果が期待できるでしょう。

こんな説も…

酢酸ボルニルには脈拍を安定させる作用がるため不整脈の緩和、精神面の働きと合わせてあがり症などにも効果が期待されています。また副腎皮質を刺激する作用があり、甲状腺の機能を安定させることでバセドウ病や橋本病などの甲状腺系の疾患に対しても役立つのではないかとする説もあります。

その他作用

肌への働きかけ

近年ブラックスプルースとヨーロッパアカマツ(パイン)は優れた抗炎症作用を持つことから、ステロイドに代わってアトピー性皮膚炎やアレルギー性の皮膚炎症による炎症・痒みを抑えてくれるのではないかとして注目されています。これは強力な抗アレルギー作用がある副腎皮質ステロイドホルモンの一種「コーチゾン(コルチゾン)」に似た働き(コルチゾン様作用)を持つためとされており、ステロイド剤のように副作用の心配差少ないとされています。

この働きが話題となったことや皮膚の乾燥予防にも役立つと言われていることから、乾燥性アトピー性皮膚炎・乾燥性皮膚炎による痒み・湿疹などの改善にも効果が期待されています。手作りのローションや入浴剤用としてブラックスプルース精油を取り入れる方が増えているようですが、精油そのものがアレルゲンとなる可能性もありますので必ず低希釈からパッチテストを行いつつ利用するようにしてください。目・粘膜の周りへの使用はできません。

ブラックスプルースの利用について

相性の良い香り

柑橘系・ウッディー系の香りと相性が良いとされています。ブラックスプルースの香り自体に好みがありますが、受け入れられるようであればバルサム系やハーブ系の香りとも比較的ブレンドしやすいでしょう。

【ブラックスプルースのブレンド例】

ブラックスプルース精油の注意点

  • 妊娠中の方は利用を控えましょう。
  • アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
  • 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。
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レモンマートル精油アロマ・エッセンシャルオイルと期待される効果効能紹介 https://d-nagaya.com/aroma/post-1696/ Sun, 09 Oct 2016 05:59:13 +0000 http://d-nagaya.com/?p=1696

レモン様のクッキリとした香りが特徴

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レモンマートルとは

レモンマートルはユーカリやティートリーと同じ、オーストラリアが原産のフトモモ科樹木です。レモンマートルと呼ばれていますが、植物分類上はマートル(Myrtus communis)がギンバイカ属であるのに対し、レモンマートルはバクホウシア属なので同じフトモモ科ではありますが近縁種や変種というわけではありません。また名前やレモン様の香りを持つ・同じくオーストラリアが原産であることからレモンユーカリ(ユーカリ・シトリオドラ Corymbia citriodora)レモンティーツリー(Leptospermum petersonii)などとも混同されますが、こちらも別の植物になります。

レモンマートルの“レモンよりもレモンらしい香り”は、レモンのような香りの元となる芳香成分「シトラール」によります。ちなみにレモンバームレモングラスなどのハーブもシトラールを含むため“レモン”の香り感じる事ができます。柑橘類のレモンはシトラールの含有率が5~10%なのに対し、レモンバームは約60%・レモングラス80~85%程度、レモンマートルは90%以上(最大で98%程度)と極めて高くなっています。このためレモンハーブの女王と呼ばれるように、よりクッキリとした「レモンの香り」を感じることが出来ます。

原産地オーストラリアではアボリジニの方々は古くからレモンマートルを香辛料と薬草の両方に利用していました。薬草としても優れた働きがあると考えられており「森の治療薬」とも呼ばれていたようですし、肌に良いハーブとして美容面でも利用していたそうです。
現在もレモンマートルの精油は抗菌性を持つことが認められており、石鹸やシャンプーなどの化粧品に香料・抗菌剤としても活用されています。また古くから自然療法で使われていたこと、美容に良いことからアジアでも美容製品用として需要が高まっているようです。レモングラスをよく使う地域も多いですから、親しみやすい香りでもあったのかもしれません。

食用についてもアボリジニ伝統食材“ブッシュ・タッカー(ブッシュフード)”の香料類を代表する一つとして数えられています。雑味のないフレッシュなレモンの香りがする香辛料・ハーブティーとしてオーストラリア以外でも広く利用されています。特にレモン果汁を使うと酸味が付きますが、レモンマートルの葉には酸味がなく、新芽であれば甘みもあるそう。この特性からレモンマートルやオイルはアイスクリームやチーズケーキなど乳製品や製菓原料など酸味を付けたくない時に活用されているようです。

基本データ

通称
レモンマートル(lemon myrtle)
別名
レモンハニーマートル、レモンアイアンウッド
学名
Backhousia citriodora
科名/種類
フトモモ科バクホウシア属/常緑樹
主産地
オーストリア
抽出部位
葉(※枝を含む場合も有)
抽出方法
水蒸気蒸留法
黄色~オレンジ色
ノート
トップ~ミドルノート
香り度合い
中くらい
代表成分
シトラール、シトロネロールなど
おすすめ
芳香浴(※低濃度希釈でアロマバス・マッサージ・スキンケアにも)

レモンを強くしたようなサッパリ感の中に、甘さを含む香り

こんなお悩みにオススメ

【精神面】

  • 頭がすっきりしない
  • 眠気・集中力低下時に
  • 気持ちを切り替えたい
  • リラックスしたい
  • やる気が欲しい
  • 夏バテなどの不快感に

【肉体面】

  • 風邪・インフルエンザ予防
  • 免疫力低下が気になる
  • 血行不良・冷え性
  • 肩こり・腰痛・筋肉痛
  • 水虫などの皮膚炎症ケア
  • 肌の血行促進
  • 脂性肌・ニキビ予防

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レモンマートルに期待される効果・効能

心への作用

レモンマートルの精油成分の大半を占めているシトラールは非常にスッキリとした香りを持ち、リフレッシュ効果が高いと考えられています。また鎮静作用がありますので、気持ちを落ちつかせリラックスさせる働きもあります。こうした作用からレモンマートルの香りは精神安定や気持ちの切り替えなどに役立つとされる他、結果として集中力ややる気を高めることにも繋がるのではないかと考えられています。

精油・成分の作用は置いておくとしても、レモンマートルの強いレモン香は多くの方がリフレッシュ感やシャッキリ感を感じるのではないかと思います。眠気覚ましや、夏バテで気分もぐったりしているような時にも役立ってくれるでしょう。程良いリラックス効果もありますので、かなりオールマイティーに利用できる香りと言えます。

体への作用

高い抗菌作用をはじめ、抗炎症や免疫力を向上させる効果あると考えられています。このためレモンマートルは風邪やインフルエンザの予防・ヘルペスなど免疫力低下によって発症する病気の予防などに有効とされています。

またシトラールは血管弛緩作用を持つという報告もなされており、血行不良による冷え性・筋肉の強張りから起こる痛み(肩こり・腰痛・筋肉痛など)の緩和にも効果が期待されています。免疫力向上効果と合わせて季節の変わり目などに体調を崩しやすい・風邪をひきやすい方にも適しているでしょう。

その他作用

肌への働きかけ

アボリジニの人々が美容用として利用していたレモンマートルですが、精油の場合はシトラール含有量が高いため刺激性も高く、皮膚に付けると炎症・肌荒れを引き起こしてしまう可能性があります。肌への使用は1%以下、顔であれば0.5%以下の低濃度に希釈することで、肌への刺激を抑えて有用な働きを生かせるとされています。

期待される効果としては、殺菌消毒や抗ウィルス・抗炎症作用から水虫や水イボなどの皮膚感染症の予防改善、皮膚を軽く刺激して血行を促すことで肌を血色よく艶ややな状態に保つとされています。そのほか収れん作用があるとする説もあり、脂性肌やニキビ予防、肌の毛穴や小じわを目立ちにくくするなどの働きも期待されています。

ただし小さいお子さんへの皮膚への利用(アロマバスを含む)は避けるようにしましょう。大人が希釈した精油を使う場合も、目や目の周り・唇ほか粘膜部分への利用は出来ませんので注意してください。レモンマートルには柑橘系に見られるフロクマリン類を含まず光毒性がありませんので、紫外線に対する心配はありません。

レモンマートルの利用について

相性の良い香り

レモンと同じようにどの精油ともブレンドしやすい香りです。特にハーブ系や樹木系と組み合わせて利用されることが多いです。

【レモンマートルのブレンド例】

レモンマートル精油の注意点

  • 妊娠中・授乳中の方、小さいお子さんへの使用はできません。
  • 必ず低濃度に希釈し、敏感肌の方は特に注意して利用しましょう。
  • アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
  • 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。
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ロザリーナ/ラベンダーティトリー精油アロマ・エッセンシャルオイルと期待される効果効能紹介 https://d-nagaya.com/aroma/post-1675/ Thu, 29 Sep 2016 08:31:46 +0000 http://d-nagaya.com/?p=1675

風邪・花粉症など呼吸器系ケアに期待

Melaleuca ericifolia 2c

ロザリーナ/ラベンダーティトリーとは

ロザリーナもしくはラベンターティートリーと呼ばれているオイルは、オーストラリア原産のティートリーの近種種(フトモモ科メラレウカ属)から採油された精油です。原産地であるオーストラリア大陸で古くから生活していたアボリジニの人々は、樹皮から繊維をとって布や屋根などに、花の蜜を飲み物などに、葉は薬用として広く利用していたと考えられています。

「ラベンダーティートリー」という名称からラベンダーティートリーのブレンドオイルと思われる方もいるそうですが、リナロールという成分を含み“ラベンダーに近い成分・香りを持つティーツリー”という意味で命名されています。フローラルな香りを持つリナロールに少し刺激のある清涼感(1.8-シネオール)が加わることでラベンダーに近い香りになっているそう。

ロザリーナは1797年にイギリスの植物学者によって報告され、1900年前半になると蒸留されたロザリーナ精油の成分分析などから様々な作用も報告されるようになります。アロマテラピー的な利用については21世紀に入ってからと歴史は浅く、日本でもメジャーとは言えない存在で流通量もさほど多くはありません。しかし近年ティーツリーやユーカリを筆頭として注目されているオーストラリア系精油の一つであり、神経の鎮静・リラックスなど精神面で高い効果が期待できることからロザリーナ(ラベンダーティートリー)も注目を集める用になっています。

またシャープさが強く“薬箱っぽい香り”と称されるティーツリーよりもマイルドで、フローラル感が強く華やかな印象があることから香りそのものについても高く評価されています。お部屋でルームフレグランス代わり使用しやすいく、特に女性の場合は服に香りがついてもあまり違和感がないのも嬉しい所。そのままでも心地良い香りを持つロザリーナですが、ブレンドすることでよりフローラルな香りを引き出すことが出来ます。ローズオイルの代用として使えるとも言われるほどで、手作り香水・芳香剤作りにおいても便利な存在として利用されています。

基本データ

通称
ロザリーナ(Rosalina)
別名
ラベンダーティトリー(Lavender Tea Tree)、スワンプ・ペーパーバーグ(Swamp Paperbark)
学名
Melaleuca ericifolia
科名/種類
フトモモ科メラレウカ(メラルーカ)属/常緑樹
主産地
オーストラリア
抽出部位
葉、枝
抽出方法
水蒸気蒸留法
淡黄色~薄オレンジ色
ノート
トップ~ミドルノート
香り度合い
中くらい
代表成分
リナロール、1.8-シネオール、α-ピネンなど
おすすめ
芳香浴・入浴・マッサージ・スキンケア・ヘアケア

ラベンダーに似たフローラルさの中に、スパイシーな清涼感を含む

こんなお悩みにオススメ

【精神面】

  • ストレス・神経疲労
  • 神経過敏・イライラ
  • 不安・緊張
  • 寝付きが悪い時
  • 安眠したいとき
  • 気持ちを落ち着けたい
  • リラックスしたい時

【肉体面】

  • 風邪・インフルエンザ予防
  • 喉・鼻の炎症や痛みの緩和
  • 花粉症・鼻炎・鼻詰まり
  • ストレス性の胃痛など
  • 自律神経の乱れに
  • 肌トラブルのケアに
  • 殺菌成分として

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ロザリーナ/ラベンダーティトリーに期待される効果・効能

心への作用

ロザリーナのフローラルな香りの元とも言われている「リナロール」は、ラベンダーやベルガモットなどにも含まれているモノテルペンアルコール類の一種で、優れた鎮静・抗不安作用を持つと考えられています。ロザリーナはこのリナロールを全体の35~40%とラベンダーとほぼ同じくらいの割合で含有しています。

ただしラベンダーやベルガモットなどは「酢酸リナリル」というエステル類も共に含まれています。この成分自体にも鎮静作用がありますし、体内で加水分解されリナロールに変化すると考えられています。そのため酢酸リナリルとリナロールの合計が最大で80%程度になる真正ラベンターや、70%になるベルガモットなどとリナロール含有がほぼ同率であることだけで「同等の精神安定効果」があるとは考えにくいと言えるでしょう。

とは言ってもリナロールも心を落ち着ける働きは十分に期待できますから、リラックス用として役立ってくれるでしょう。ストレスによる神経過敏や不安・緊張・イライラ感などの緩和にも活躍してくれます。神経が張り詰めて目が冴えて寝付けない・何度も目が覚めてしまう時の安眠対策としても利用できます。逆に集中したい時には不向きとも言われていますので、リラックスタイム用としての使用がオススメです。

体への作用

リナロールには抗菌・抗ウイルス作用がありますし、ロザリーナの精油にはユーカリなどに含まれている「1.8-シネオール」という成分も含まれています。1.8-シネオールは抗菌・抗ウイルス作用のほか去痰作用や抗炎症作用・免疫調整作用などがあり、風邪やインフルエンザの予防や呼吸器系トラブルの緩和に利用されています。

このためロザリーナの精油は風邪やインフルエンザの予防や鼻・喉の不調緩和、花粉症の症状軽減などに役立つ精油と言われています。加えて近年はリナロールに鎮痛作用があるとの報告もなされていますから、相乗して喉の痛みの緩和に効果が期待できるでしょう。

そのほか鎮静作用によってリラックスすることで自律神経のバランスを整え、自律神経系の乱れ・ストレスに起因する胃腸トラブルや頭痛などの緩和にも効果が期待されています。自律神経が整うことからも循環系の改善が見込めるため血行促進・冷えの改善に良いとする説もあります。

その他作用

肌への働きかけ

抗菌・抗真菌作用や抗炎症作用から肌トラブルの改善に有効と考えられています。アクネ菌によるニキビや白癬菌による水虫の予防・緩和のほかヘルペス、虫刺されのケアなどにも役立つと言われています。また頭皮に使うことでフケの予防に良いとされています。

>空気浄化・殺菌用に

風邪予防や呼吸器系の不調に有効とされていること、フローラル系よりで穏やかな香りであることから、ロザリーナはルームフレグランス兼空気清浄用としての利用が高まっています。そのほか抗菌・抗真菌作用に優れていることから手作り石鹸の原料としてもよく使われているようです。

ロザリーナ/ラベンダーティトリーの利用について

相性の良い香り

比較的どのタイプの精油ともブレンドしやすいですが、ハーブ系・ウッディー系・柑橘系と特に相性が良いと言われています。

【ロザリーナのブレンド例】

ロザリーナ精油の注意点

  • 妊娠中や授乳中の方は、使用を避けましょう。
  • リナロールには血圧降下作用があるため、低血圧の方は使用量に注意してください。
  • アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
  • 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。
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シルバーファー/ヨーロッパモミ精油アロマ・エッセンシャルオイルと期待される効果効能紹介 https://d-nagaya.com/aroma/post-1658/ Sun, 18 Sep 2016 08:07:19 +0000 http://d-nagaya.com/?p=1658

精神的疲労や風邪予防など幅広く

シルバーファー/ヨーロッパモミ

シルバーファー/ヨーロッパモミとは

シルバーファーは北ヨーロッパが原産とされる、樹高45~55m程度の高木です。灰色に近い色味をした樹皮がまっすぐに伸びるのが特徴で、樹齢とともに樹皮の割れ目が大きくなっていきます。シルバーファーと呼ばれているのは樹皮の色が銀色っぽいためとする説と、針状葉の裏側に白い線があり見上げると銀色に見えるからとする説があるようです。小枝や葉から精油(エッセンシャルオイル)を採油する以外に、加工性の良い木材、クリスマスツリー用の木としても利用されています。また樹脂はワニスや絵の具などの溶剤に使われる「テレビン油」の原料としてもよく知られています。

同じモミ属の木の中には精油原料となるものが多く存在していますが、ヨーロッパ原産のシルバーファーと、アメリカ原産の“バルサムファー”もしくは“カナディアンバルサム”と呼ばれている「バルサムモミ Abies balsameaの2つが香料として高く評価されているようです。この2つはヨーロッパとアメリカ大陸それぞれにおいて古い時代に医薬品代わりに利用されていたと言われています。

その他にグランドファー(学名Abies grandis)やシベリアファー(学名Abies sibirica)も香料源として採油が行われており、シベリアファーを別名シルバーファーとしている書籍・商品もあります。またホワイトファーという名称は植物的には学名Abies concolor、コロラドモミと呼ばれている種を指しますが、精油の場合はシルバーファー(Abies alba)の商品名として利用されることも多いようです。モミ属の精油にはこういった呼び名の混同が見られますから、購入時には学名を確認したほうが良いでしょう。ちなみに「ダグラスファー」と呼ばれているものは同じマツ科でもトガサワラ属(Pseudotsuga属)に属すので厳密には“Fir(モミ)”ではありません。

日本でシルバーファーはそこまでメジャーな精油ではありませんが、温かみと爽やかさのバランスが取れたウッディー系の香りですし、注意事項も特になしとされている使いやすい精油の一つです。流通数は多くありませんが価格も安いため、ルームフレグランス・消臭剤などデイリーな芳香用としても取り入れやすい存在と言えます。ウッティー系の香りが好きな方や、定番の香り以外を開拓してみたい方に特にオススメです。

基本データ

通称
シルバーファー(Silver Fir)
別名
ヨーロッパモミ(欧羅巴樅)、ヨーロッパファー(European fir)、シルバーファーニードル、ヨーロピアンシルバーパイン
学名
Abies alba
マツ科モミ属/常緑針葉樹
主産地
バルカン半島~スイスまでのヨーロッパ中央部
抽出部位
枝・葉・球芽
抽出方法
水蒸気蒸留法
無職~淡い黄色
ノート
ミドル~トップノート
香り度合い
中くらい
代表成分
α-ピネン、β-ピネン、リモネン、カンフェン、酢酸ボルニル、サンテンなど
おすすめ
芳香浴、マッサージ(※少量・低濃度で)

森林浴の爽やかの中に、温かみのあるバルサム感を含む香り

こんなお悩みにオススメ

【精神面】

  • 疲労・緊張・ストレス
  • 神経衰弱・神経過敏
  • 不安症・神経質傾向の方
  • 精神的に振り回されやすい
  • 情緒不安定気味の方
  • リフレッシュ用に
  • 前向きになりたい

【肉体面】

  • 筋肉痛のケアに
  • 関節炎・リウマチの緩和
  • 冷え性・血行不良に
  • 喉・鼻の不調に
  • 喘息・気管支炎の緩和
  • 風邪・インフルエンザ予防
  • お部屋の消臭・虫よけに

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シルバーファー/ヨーロッパモミに期待される効果・効能

心への作用

森林を感じさせるシルバーファーの香りは高いリフレッシュ効果が期待できますし、成分的に見てもリモネンとα-ピネンが高いですから、リラックス・精神面の強壮などに役立つと考えられます。適度なリラックス効果も期待できますが、どちらかと言うと頑張りたい時・活動時に向いています。

ストレスや神経疲労・緊張などによって起こる神経衰弱や神経過敏(気持ちの落ち込み、ネガティブ思考、イライラ、不安など)がある方に適していると言われており、感情のバランスをとったり、心を振り回されにくくなるようにサポートしてくれるでしょう。特に感じやすい方や神経質気味の方にオススメです。

体への作用

ピネンやリモネンなど血行促進作用を持つモノテルペン炭化水素類の含有率が高いため筋肉痛や関節痛・リウマチなど血液循環不良によって悪化する痛みの緩和に役立つと考えられています。鎮痛・抗炎症作用があるとする書籍もありますので直接的な痛みの緩和にも効果が期待できます。また血行を良くする働きから冷え性やセルライト予防などにも役立つと考えられており、トリートメントオイルなどにも成分の一つとして利用されています。

そのほか抗菌・抗ウイルス作用、去痰・鎮咳作用などがあるとされており、風邪やインフルエンザの予防、咳・痰・鼻炎など呼吸器系に不快感がある場合などにも利用されています。喘息や気管支炎などの緩和にも効果が期待できます。

その他作用

消臭・防虫剤として

シルバーファー精油は抗菌・防虫・消臭などにも役立つことからルームスプレーや虫除け剤などにも利用できます。抗菌・抗ウィルス作用で風邪などの予防にも役立ってくれますし、落ち着いたウッディー系の香りで男女問わず取り入れやすいのも魅力です。

皮膚利用について

皮膚刺激が強いためスキンケア用としての利用はおすすめできません。トリートメントオイルとして利用する場合にも希釈濃度に注意し、事前にパッチテストを行うようにしましょう。

シルバーファー/ヨーロッパモミの利用について

相性の良い香り

ウッディー系同士でのブレンド相性がよく、ハーブ系・柑橘系とも比較的ブレンドしやすい香りです。

【シルバーファーのブレンド例】

シルバーファー精油の注意点

    基本的な精油の利用法を守っている場合は、特に問題はないとされています。

  • 皮膚刺激性がありますのでマッサージオイルに加える場合はごく少量にしましょう。
  • アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
  • 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。
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タナセタム/ブルータンジー精油アロマ・エッセンシャルオイルと期待される効果効能紹介 https://d-nagaya.com/aroma/post-1644/ Wed, 07 Sep 2016 09:03:55 +0000 http://d-nagaya.com/?p=1644

アトピーほかアレルギー性の症状軽減に期待

BlueTansyEssentialOil

タナセタム/ブルータンジーとは

タナセタムはモロッコなどで栽培されているキク科植物で、ブルータンジーと呼ばれていますが花自体は黄色をしています。“ブルー”の由来は成分にカマズレン(アズレン誘導体)を含むことで精油がインクのような濃い青色をしているためで、その色・作用から同じくキク科で青色の精油の代表格でもある「ジャーマンカモミール」とよく比較される存在でもあります。香りはさほど似ておらず、カモミールジャーマンとローマンを混ぜて濃縮したような印象です。

タナセタムは属名をそのまま呼び名として用いたもので、精油(エッセンシャルオイル)が採油されている近縁種の代表としては「コモンタンジー(学名Tanacetum vulgare)」があります。鎮痛や免疫刺激作用などがあるとされていますが、刺激性や毒性が強いためアロマテラピーではほぼ利用されません。そのほかフィーバーフュー(学名Tanacetum parthenium、和名ナツシロギク)も同属の近縁種にあたりますが、こちらは精油ではなくハーブティーなどの利用が主となります。そのほかにモロッコタンジーもしくはモロカンタンジーと呼ばれることもありますが、こちらもワイルドカモミール(Chamaemelum mixtum)の別名としての方がよく使われているためあまり使いません。

同属の中で精油として一般的に利用されているのはブルータンジーですから、精油の場合は単に「タナセタム」と読んだ場合でもブルータンジーのことを一般的には指します。コモンタンジーやフィーバーフューをタナセタムと呼ぶことはほとんどありません。ただし園芸植物としては上記を含む同属種をまとめてタナセタムもしくはタンジーが使われています。

タナセタム精油は5mlで10,000円ほどと非常に高価な部類に属し、流通も少ないためメジャーな存在ではありません。しかし近年アトピー性皮膚炎を始めとしたアレルギー性疾患にお悩みの方が増えてくるなかで注目されるようになってきた存在とも言われています。香りも非常に濃厚で、原液のまま嗅ぐと気分が悪くなったり酔いそうになる方もいらっしゃるようです。皮膚トラブルのケアをメインに利用されている精油ですが、使い始めの時は肌と合うか・香りが合うかに注意して低濃度から使いはじめるようにしてください。

基本データ

通称
タナセタム(Tanacetum)
別名
ブルータンジー(Blue Tansy)、Moroccan Blue Chamomile
学名
Tanacetum annuum
科名/種類
キク科ヨモギギク属/多年草
主産地
モロッコ
抽出部位
全草(葉・花房)
抽出方法
水蒸気蒸留法
濃い青緑色
ノート
ミドルノート
香り度合い
強め
代表成分
カンファー、サビネン、カマズレン、α-フェランドレン、ミルセン 、β-ピネンなど
おすすめ
芳香浴・アロマバス・マッサージ・スキンケア

フルーティーさを含む、濃厚で甘いハーブ調の香り

こんなお悩みにオススメ

【精神面】

  • 神経疲労・ストレス
  • 不安・緊張・イライラ
  • リフレッシュ用に
  • リラックスしたい
  • やる気を高めたい
  • 冷静さが欲しい方

【肉体面】

  • 花粉症や喘息の緩和
  • 喉の不調があるときに
  • 風邪予防・初期症状ケア
  • 筋肉痛のケアに
  • 関節炎・リウマチの緩和
  • アレルギー・皮膚炎症ケア
  • 皮膚の痒みの緩和
  • 傷や炎症の治癒促進用に

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タナセタム/ブルータンジーに期待される効果・効能

心への作用

タナセタムの香りにはリラックス作用があるとされています。神経性の緊張やストレスを緩和することで、不安や緊張・イライラなどを和らげて心に安らぎを与えてくれるでしょう。負の感情がわだかまっている時などに適しています。

様々な芳香成分を含んでいますが、含有率の高い成分がジュニパーベリーなどに含まれているのと同じサビネン、次いでカンファーとなっていることからリフレッシュ効果や集中力向上効果なども期待できます。単にゆったりとリラックスするだけではなく、冷静さや前向きさが欲しい時にも役立ってくれるかもしれません。

体への作用

ブルータンジーと呼ばれる所以でもある青色の精油成分「カマズレン」の持つ抗アレルギー作用から、花粉症や喘息などのアレルギー症状緩和に有効とされています。カンファーには去痰・粘膜除去作用が、サビネンには抗菌抗ウイルス・免疫強化作用があるとされていますから相乗効果が期待できますし、風邪などアレルギー以外の呼吸器系の不調緩和にも役立ってくれるでしょう。そのほか筋肉痛や関節炎、リウマチなどの緩和に有効とする説もあります。

その他作用

肌への働きかけ

青色の元であるカマズレンには抗炎症・抗アレルギー・抗ヒスタミン作用があります。このためタナセタムもカモミールジャーマンなどと同じくアレルギー性の皮膚炎症緩和に役立つ精油として、アトピー性皮膚炎や虫刺され・湿疹などのケアに利用されています。特に痒みを伴う炎症に利用されることが多いようです。

皮膚組織再生作用もあるため火傷や傷跡のケアなどにも有効とされています。皮膚炎症を抑えつつ治癒・上皮形成を助けてくれる精油として、主にスキンケア用に利用されています。カモミールジャーマンよりもカマズレン含有率が高いとされていますが、タナセタムはかなり高価で利用者・データも少ない精油ですので初めて利用する場合はカモミールジャーマンから入ったほうが無難ではあるでしょう。

タナセタム/ブルータンジーの利用について

相性の良い香り

ハーブ系・ウッディー系の香りと相性が良いとされています。他グループの香りであってもこの2つのニュアンスを含むものであれば比較的ブレンドしやすいでしょう。

【タナセタムのブレンド例】

タナセタム精油の注意点

  • 乳幼児・妊娠中や授乳中の方・神経系統が弱っている方やてんかんの方は使用を避けましょう。
  • キク科植物にアレルギーがある方・内分泌系に疾患のある方は使用に注意が必要です。
  • アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
  • 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。
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アミリス精油アロマ・エッセンシャルオイルと期待される効果効能紹介 https://d-nagaya.com/aroma/post-1621/ Fri, 26 Aug 2016 08:47:19 +0000 http://d-nagaya.com/?p=1621

サンダルウッドと近い香り・働きが期待

アミリス(西インディアン・サンダルウッド)

アミリスとは

アミリスはハイチなど中南米原産のミカン科の植物です。原産地であるハイチでは、油分を多く含みよく燃えることから「キャンドル・ウッド(Torch woods)」と呼ばれ松明として利用されてきました。そのほか殺菌作用があることが知られ、傷の手当などにも利用されていたと言われています。1920年代頃からヨーロッパに木材が輸出されるようになります。アミリスという名前はギリシア語で強烈な香りを意味する“amyron”が由来になったと言われており、その芳香から香料原料としての採油が行われるようになります。採油用としては樹齢30年上のものが良いとされています。

アミリスはウッディさの中に甘みのある香りを持つため、サンダルウッドに似た香りと称されています。そのため東インド諸島に生育するサンダルウッド(白檀)に対して、南北アメリカ大陸の間にある西インド諸島に見られる「ウェスト・インディアン・サンダルウッド」もしくは貧乏人のサンダルウッドとも呼ばれています。ただしサンダルウッドはビャクダン科の植物、アミリスはミカン科の植物ですから種は全く異なります。
サンダルウッドの偽和剤としても使われることもあるアミリスの香りですが嗅ぎ比べるとかなり違いがあり、木の香りにカラメルソースを薄めたような、焦げ感と甘さを含んでいます。人によって「深みがない」「爽やか・あっさりしていて使いやすい」「焦げ臭さが気になる」など評価は様々で、好き嫌いが別れるところでしょう。

アミリスはベースノートでありながら香りがライトで主張が強くないこともあり、香水の保留剤として主に利用されています。爽やかさと落ち着きを感じさせるウッディ調のため男性用香水にも利用されていますし、石鹸などの化粧品用の香りづけなどにも利用されています。しかし高級油であるサンダルウッドの代替品・保留剤としての使用が多く、アロマテラピーではあまり使用されないため作用についてはまだハッキリとしていない部分が多くあります。サンダルウッドに似た特性を持つとする考えが一般的なようです。

基本データ

通称
アミリス(Amyris)
別名
キャンドル・ウッド、West indian sandalwood(西インディアン・サンダルウッド)
学名
Amyris balsamifera
科名/種類
ミカン科アミリス属/常緑低木
主産地
ハイチ、ジャマイカ、西インド諸島
抽出部位
木部・枝
抽出方法
水蒸気蒸留法
淡い黄色
粘性
中~やや高い
ノート
ベースノート
香り度合い
中くらい
代表成分
カジノール、カジネン、カリオフィレンなど
おすすめ
芳香浴・(ごく少量で)スキンケア

甘さとスモーキーさを含む、軽めの樹木の香り

こんなお悩みにオススメ

【精神面】

  • ストレス・神経過敏
  • 緊張・興奮・不安
  • 精神的な落ち着かなさ
  • 不眠・寝付きが悪い
  • 情緒不安定な時に
  • 心に余裕が欲しい時に

【肉体面】

  • 咳・気管支炎
  • 風邪・インフルエンザ予防
  • 高血圧予防・緩和
  • 筋肉痛の回復促進
  • むくみ・静脈瘤
  • 乾燥肌・角質化のケアに

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アミリスに期待される効果・効能

心への作用

アミリスの香りはリラックス効果に優れていると考えられており、海外ではストレス軽減用として取り入れられているようです。鎮静作用によって神経の緊張を和らげるとされており、ピリピリと神経が張り詰めているような緊張を解きほぐして、神経過敏・不安・緊張・興奮などの状態を緩和してくれるでしょう。気持ちを鎮めて心(感情)のバランスを調和させるとして瞑想用の香りとしても利用されています。心のザワツキやもやもや感があって落ち着かない時や、精神面に起因するストレス性不眠症の緩和にも効果が期待できます。

そのほかに性的緊張を和らげることで催淫作用を持つ・心をクリアにすることで創造性と想像力を向上させるとする説もあります。サンダルウッドは鎮静作用が強すぎて抑鬱の方には適さないと言われていますが、アミリスの場合は軽度の抑鬱(気持ちの落ち込み)の緩和にも適していると考えられています。

体への作用

去痰・鎮痙・消炎作用があり、咳や気管支炎など胸部の不調緩和に有効とされています。また殺菌抗菌作用を持つとされるカジノールが含まれているため風邪やインフルエンザなどの予防、風邪による呼吸器系の不調緩和にも効果が期待できるでしょう。

そのほか鎮静・血圧降下作用があるとされるカジネンの働きや、弛緩・リラックス作用から循環器系のサポートにも役立つとされています。高血圧症やむくみ・静脈瘤の緩和、筋肉痛の回復促進などにも役立つと考えられています。

その他作用

肌への働きかけ

エモリエント作用・皮膚再生促進作用があるとされ、乾燥肌や成熟肌に利用されています。シワや乾燥・角質化などのケアに効果が期待できるでしょう。そのほか消炎作用があり炎症を起こした肌の鎮静・緩和にも有効とされています。

アミリス精油は刺激性等はなく肌への利用にも適していると考えられていますが、肌への使用(特に日本国内における)データが少ないこと、エッセンシャルオイル(精油)の信頼度などの問題から肌への使用には注意が必要です。必ず低濃度からパッチテストを行った上で利用するようにしてください。

アミリスの利用について

相性の良い香り

ウッディー系の香りと相性がよく、ハーブ系やバルサム系の香りともブレンドしやすいです。さほど強い香りではありませんので、香りが飛びやすい精油の保留剤として少量加えるのもおすすめです。

【アミリスのブレンド例】

アミリス精油の注意点

  • 妊娠中、授乳中の使用は控えましょう。
  • アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
  • 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。
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クベブ/キュベブ精油アロマ・エッセンシャルオイルと期待される効果効能紹介 https://d-nagaya.com/aroma/post-1589/ Tue, 16 Aug 2016 08:27:45 +0000 http://d-nagaya.com/?p=1589

伝統的に呼吸器系トラブルに用いられてきた

クベブ/キュベブ

クベブ(キュベブ)とは

クベブはジャワ島が原産のコショウ科の植物で、東南アジアやインドなどアジアの亜熱帯~熱帯地方に分布しています。コーヒー農場などで副収入用に栽培されているものもあるそうですが、自生しているものを採取していることが多いようです。植物としてはブラックペッパー(胡椒)に非常に近い存在で外見もよく似ていることからジャワペッパーとも呼ばれていますが、辛味が少ないためペッパーの増量剤として混ぜられていることもあるそう。またクベブは花柄が付いたまま利用されるため“テイルドペッパー”とも呼ばれています。

インドの伝統医学であるアーユルヴェーダではクベブをうがい薬をはじめとした口腔および歯科疾患・咳・口臭・声がれなどの治療薬として利用していたと伝えられています。また性的快感の増進や妊娠率を高めるなどの働きがあると考えられ、媚薬のような形でも利用さていたようです。
中国医学においても生薬“蓽澄茄(ひっちょうか)”として漢方薬等にも利用されています。クスノキ科のリツェアクベバ(メイチャン)の果実も蓽澄茄として利用されることがありますが、元々は中国へクベブが伝わった際に形状や気味が似ていたため代用品として利用された名残ではないかと考えられています。

アジアを挟んで西側、ヨーロッパでも中世には防腐作用を持つスパイスとして重宝されたほか、健胃・利尿作用があるとしハーブとしてや悪魔祓いなどにも使われていたと言われています。アラブ人によってアフリカへも伝えられ、モンゴルのミックススパイス“ラセラヌー”などにも配合されています。香辛料として利用する場合はブラップペッパーよりもオールスパイス感覚で利用されることが多いようです。

日本ではあまり馴染みのない存在ですが、一般に植物としての名称にはヒッチョウカやクベバ、精油としての名称にはクベブもしくはキュベブと呼ぶことが多いようです。精油は刺激が強く感作作用を起こす可能性があるためアロマテラピーとして利用されることはあまりありません。しかしウッディー調とスパイス調を併せ持った渋みのある香りが一部の方には好まれており、[ジョン バルベイトス]ビンテージなどの香水にも利用されています。

基本データ

通称
クベブ(Cubeb)
別名
キュベブ、クベバ、畢澄茄(ヒッチョウカ)
学名
Piper cubeba
科名/種類
コショウ科コショウ属/蔓性低木
主産地
インドネシア、スマトラ、ボルネオ
抽出部位
果実
抽出方法
水蒸気蒸留法
淡黄色~淡緑色
ノート
トップノート
香り度合い
 -
代表成分
キュベネン、サビネン、カリオフィレン、カジネンなど
おすすめ
芳香浴

ウッディーさとスパイシーさが絡んだ、温かみのある香り

こんなお悩みにオススメ

【精神面】

  • ストレスの緩和に
  • 気持ちの落ち込みに
  • 精神疲労・無気力に
  • 感情が冷めている時に
  • リラックスしたい時に

【肉体面】

  • 咳・喉の痛み・声がれ
  • 気管支炎・喘息
  • 風邪・インフルエンザ予防
  • 膀胱炎・尿道炎
  • むくみ・お腹のハリに
  • 消化不良・吐き気

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クベブ(キュベブ)に期待される効果・効能

心への作用

クベブの精油は精神的・心理的効果は分かっていない部分が多いですが、リラックス効果があるとされています。植物的にも構成成分的にもブラックペッパーと似ていますし、強壮作用を持つとされる芳香成分サビネンを含むことから、心を温めて活力を取り戻すのに役立つのではないかと考えられています。

体への作用

クベブは伝統的に咳・喉の痛み・声がれなど呼吸器系トラブルの緩和に利用されてきた歴史を持ちます。精油も咳止め薬の材料として利用されており、殺菌・抗菌作用や去痰・鎮痙作用などが期待できます。喘息や気管支炎の緩和にも有効とされていますし、風邪予防・初期症状ケアとしても効果が期待できるでしょう。

そのほかに利尿作用があることから、殺菌作用と合わせて膀胱炎や尿道炎などの尿路感染症ケアにも有効とされています。サビネンには鬱滞除去作用がありますからむくみの緩和などにも効果が期待できますし、胡椒と同じスパイス系であることから消化促進作用によって消化不良や吐き気・腹部膨満感などの緩和に有効とする説もあります。

その他作用

肌への働きかけ

抗炎症作用と収れん作用があるとされ、肌トラブルの緩和や毛穴の開きなどに有効とされています。しかし刺激が強いこと、感作作用を持つ可能性があること、偽和が多いことなどから皮膚へ直接塗布するような利用法はおすすめできません。クベバを使う必要性が特にない場合は安全性が高い使用データの多いものを利用するようにした方が良いでしょう。

クベブ(キュベブ)の利用について

相性の良い香り

スパイス系の香りと相性が良いとされています。

【クベブのブレンド例】

クベブ精油の注意点

  • 刺激・感作作用がある可能性があるオイルのため、使用には注意が必要です。
  • 妊娠中や授乳中、著しく体力が低下している場合は使用を避けましょう。
  • アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
  • 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。
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マヌカ精油アロマ・エッセンシャルオイルと期待される効果効能紹介 https://d-nagaya.com/aroma/post-1572/ Sat, 06 Aug 2016 04:04:42 +0000 http://d-nagaya.com/?p=1572

殺菌効果が注目、ニュージーランドの癒しの木

マヌカ(檉柳梅)

マヌカとは

マヌカはオーストリアやニュジーランドを中心に分布するフトモモ科の常緑低木です。和名はギョリュウバイ(御柳梅)と付けられていますが、姿が似ているために命名されただけで御柳とも梅とも植物分類上は離れた存在です。英語ではティーツリーとも呼ばれていますが、アロマテラピーで一般的に使われている“ティーツリー(Melaleuca alternifolia)”とは別種のため、マヌカと呼ぶか「ニュジーランドティーツリー(New Zealand teatree)」と区別が付くそうに呼ぶことが多いそうです。

原産地であるニュージーランドではマオリ族が古くからマヌカの樹液や葉を薬草茶や外用薬として利用していました。マヌカ(Manuka)という名前もマオリ語では「復活の木」や「癒しの木」を意味する言葉なのだそう。ジェームズ・クック船長が体調を崩した仲間の乗務員に、マオリ族からもらったマヌカの葉を煎じて飲ませたエピソードも知られていますね。近年はマヌカの花から作られる蜂蜜“マヌカハニー”がスーパーフードの1つとして人気を集めています。

マヌカハニーは栄養価の高さも勿論ですが、殺菌力が高い蜂蜜としても胃腸トラブルの予防・改善に対しても効果が期待されています。葉から採油される精油(マヌカオイル)もまた抗菌・抗ウィルス作用に優れた効果が報告されており、今度利用・人気が高まっていくと予想されている精油の1つでも有ります。抗菌・殺菌力が同科であるティーツリーよりも高いという報告もありますし、消毒薬っぽいシャープな香りが苦手な方でも親しみやすい、甘さを含んだ穏やかな香りも好まれています。単体だとややクセがありますがブレンドしやすい香りでもありますので、殺菌を兼ねたルームフレグランスなどにも応用できます。

基本データ

通称
マヌカ(Manuka)
別名
檉柳梅(ギョリュウバイ)、ネズモドキ、New Zealand teatree
学名
Leptospermum scoparium
科名/種類
フトモモ科ギョリュウバイ属/常緑低木
主産地
ニュージーランド
抽出部位
抽出方法
水蒸気蒸留法
淡黄色
粘性
低め
ノート
トップ~ミドルノート
香り度合い
中くらい
代表成分
レプトスペルモン、カラマネン、リオフィレン、ゲラニオール、ピネンなど
おすすめ
芳香浴・アロマバス・マッサージ・スキンケア・ヘアケア

ウッディさと甘さの中に土の香を含む、ハーバルで優しい香り

こんなお悩みにオススメ

【精神面】

  • ストレスが気になる
  • 神経疲労・お疲れ感に
  • リラックスしたい
  • 気持ちを落ち着けたい

【肉体面】

  • 喉の痛み・咳
  • 風邪・インフルエンザ予防
  • 花粉症の症状緩和
  • 筋肉痛や関節痛に
  • ニキビ・脂性肌
  • 湿疹・虫刺され
  • 水虫など真菌性皮膚炎
  • アトピーの痒み緩和

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マヌカに期待される効果・効能

心への作用

穏やかな香りで心を落ち着かせ、癒やしを与えてくれるでしょう。リフレッシュにも適しているとする説もありますが、主に鎮静に向いた香りですので、ストレスの緩和や精神疲労の回復などの効果が期待されています。

体への作用

マヌカ精油の中で主成分といえるのが殺菌・抗炎症作用を持つレプトスペルモン(Leptospermone)で、そのほかにトランス-カラメネン・イソプトスペルモン・フラペソンなど様々な成分を含んでいます。ティーツリーと横並びで紹介されることが多いですが、成分構成は全く異なっています。またマヌカの場合は主成分とされるレプトスペルモン含有率も15~25%くらいです。

マヌカ精油の働きとしては抗菌・抗真菌・抗ウィルス・抗炎症・抗アレルギー作用が挙げられます。これらの働きかけから喉の痛み・咳などの呼吸器系の不調や風邪のひきはじめのケアとしてよく利用されてます。風邪やインフルエンザの予防をはじめ、花粉症・喘息対策としても人気が高まっています。

また鎮痛・抗炎症作用があることから筋肉痛や腰痛などの筋肉のこわばり、関節痛の緩和としても利用されています。こちらは芳香浴よりも希釈してマッサージオイルとした方が高い効果が期待できるでしょう。

その他作用

肌への働きかけ

抗菌・殺菌作用や皮脂分泌抑制作用に優れていることから、脂性肌やニキビのケア、頭皮トラブル用として利用されています。抗菌・抗真菌性の高さからマラセチア毛包炎(脂漏性皮膚炎)・水虫・ヘルペスなどの改善にも取り入れられています。またマヌカは“天然の抗ヒスタミン剤”とも言われており、虫刺されアトピー性皮膚炎によるかゆみの改善にも効果が期待されています。皮膚トラブル全般に役立つ精油と言えるでしょう。

マヌカオイルもティーツリーやラベンダーなどと同様に、局所的にであれば原液塗布することが出来る精油とされています。パッチテストで問題がなければニキビ・虫刺され・水虫などに綿棒で直接つける方法を採っている方もいらっしゃるようです。市販されているマヌカオイルは予め希釈されたものが多いのでそのまま利用できますが、原液を購入した場合は炎症を起こす可能性も否めませんので注意して利用するようにしてください。

虫よけ・空気清浄に

抗菌・抗ウィルス作用があることや炎症抑制効果が期待できること、熟れた果物のような甘みのある香りから、マヌカ精油はお部屋の空気浄化用としても人気を集めています。風邪やインフルエンザが心配な冬~花粉症シーズンには特に役立ってくれそうです。

またレプトスペルモンはノミ・ダニ避け効果が期待できる成分です。水で希釈してスプレーにしておくと便利ですし、ペットにスプレーすることも出来るそうです。

マヌカの利用について

相性の良い香り

ハーブ系の香りと相性が良いですが、フローラル系やウッディー系などとも合わせやすい香りです。甘さが気になる場合は柑橘系のオイルとブレンドすると使いやすくなります。

【マヌカのブレンド例】

マヌカ精油の注意点

    基本的な精油の利用法を守っている場合は安全に利用できる精油とされています。ただし妊娠中・授乳中の使用についてはデータが少ないので使用を控えたほうが無難です。
  • アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
  • 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。
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オークモス・アブソリュートアロマ・エッセンシャルオイルと期待される効果効能紹介 https://d-nagaya.com/aroma/post-1553/ Sat, 23 Jul 2016 04:46:20 +0000 http://d-nagaya.com/?p=1553

自然の懐の深さを感じる独特の香り

Evernia prunastri1

オークモスとは

オークモスは蘚苔類を表す“モス(moss)”が付きますが、菌類と藻類の複合体である“地衣類”に分類されており日本で見る苔とは形状が異なります。またオークの和訳の問題で“樫の木に生える苔”と認識されがちですが、ブナ科ナラ属の植物に垂れ下がるようにして着生しています。花や樹木などのように香料原料というイメージが無いかもしれませんが、香料素材としてはポピュラーな存在です。ちなみにオークモス以外に、同じサルオガセ科で松や杉などに着生するツリーモス(シダーモス)も香料素材として利用されています。

オークモスは採取されたあと水を含ませ、溶剤抽出法で抽出されるアブソリュートです。そのためアロマテラピー用としてはほとんど利用されず、主に高級香水の芳香成分・揮発保留剤として利用されています。シプレ調香水のベースとして欠かせない存在とも言われており、ゲランの“Mitsouko(ミツコ)”やアイスバーグ(ICEBERG)パルファムなどにもオークモスが利用されています。ただし現在は色が濃いことや、湿った森・土・海を連想させる複雑な香りからオークモスを押すような配合は少ないそう。

そのほかにお香としても利用されており、しっとりとした苔っぽさのある香りはお寺や和室などの「和」のイメージとも調和します。好き嫌いはかなり別れますが、クラシックな印象を与えつつ生命力を感じさせる力強さから男性用・ユニセックス用の香料として活用できます。かなり独特で強い香りですが他の香りとの馴染みが良う、精油のブレンドにオークモスを加える事で「香水らしい」香りになるとも言われていますので、自作香水・芳香剤作りなどに活用してみても良いかもしれません。

基本データ

通称
オークモス(Oak moss Abs.)
別名
角叉苔(ツノマタゴケ)、トリーモス
学名
Evernia prunastri
科名/種類
サルオガセ科ヤマヒコノリ属/地衣類
主産地
フランス、モロッコ、ハンガリー、アメリカ
抽出部位
全草(苔部分)
抽出方法
溶剤抽出法(アブソリュート)
深緑色~濃茶色
粘性
高い
ノート
ベースノート
香り度合い
中くらい
代表成分
アトラノリン、イベルニック酸、ヒマトメイト酸メチル、ウスニン酸など
おすすめ
芳香浴

グリーンさと土臭さを持つ、やや湿った印象の香り

こんなお悩みにオススメ

【精神面】

  • ストレス・神経疲労
  • 不安・プレッシャー
  • 気持ちを落ち着けたい
  • 自分を見つめ直したい

【肉体面】

  • 咳・痰がからむ時
  • 喘息・気管支炎
  • ストレス性の不調
  • 性的な気力が無いとき

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オークモスに期待される効果・効能

心への作用

鎮静作用があり、心を落ち着け安定させてくれると言われています。ストレス・不安・プレッシャーなどを排除し自分自身をしっかりと見つめ直したい時に役立つとされており、人間関係の悩みがあるときに役立つとも言われています。

体への作用

北米の先住民達はオークモスを”Lung of oak(オークの肺)”と呼び、伝統的に呼吸器系の不調に対して利用してきたと伝えられています。現在でも去痰作用・殺菌消毒作用があると考えられており、咳・喘息・気管支炎など呼吸器系の不調改善に有効とされています。

そのほかストレス性の諸症状緩和に対しても効果が期待されています。催淫作用があるとする説もあり、疲労やストレス性の不感症などの緩和にも役立つと言われています。

その他作用

皮膚利用について

消炎・消毒作用があるとする説もありますが、皮膚感作性が非常に強いため肌に付ける使用法は避けるようにしてください。芳香浴として利用する場合も敏感肌の方の場合は刺激になる場合がありますので、濃度・拡散方法に注意するようにしてください。

オークモスの利用について

相性の良い香り

どの系統の精油とも組み合わせやすい存在ですが、特に柑橘系・樹木系と相性が良いと言われています。

【オークモスのブレンド例】

オークモス・アブソリュートの注意点

  • 高濃度での使用は出来ません。
  • 妊娠中・授乳中の方は使用を避けましょう。
  • てんかん・神経疾患のある方は使用を避けましょう。
  • アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
  • 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。
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オールスパイスの精油アロマ・エッセンシャルオイルと期待される効果効能紹介 https://d-nagaya.com/aroma/post-1532/ Tue, 12 Jul 2016 09:26:15 +0000 http://d-nagaya.com/?p=1532

元気になる? 甘くスパイシーな香り

オールスパイス(百味胡椒)

オールスパイスとは

肉料理を筆頭に、スープやシチュー、ソース、ピクルス、焼き菓子など幅広く利用できるスパイスとして日本でも知られているオールスパイス。その名前や香りからミックススパイスと勘違いされがちですが単一スパイスです。スパイスとして利用される果実部分は5mm~1cmほどの暗褐色をした球体で、胡椒(ペッパー)とよく似ているとしてジャマイカンペッパーとも呼ばれています。

オールスパイスの原産地は南北アメリカ大陸に挟まれた西インド諸島で、マヤ族の人々は2世紀頃からオールスパイスを調味料や王族の遺体防腐剤などに利用していたと考えられています。1570年代にスペインの探検家がこの存在を知り、16世紀後半から17世紀初めにヨーロッパへ持ち込まれます。中世ヨーロッパで重用されたブラックペッパーナツメグシナモンクローブの4大スパイスのうちブラックペッパーを除く3つのスパイスの香りが含まれていることから「オールスパイス」と命名されました。東洋で使われる百味胡椒や三香子という呼び名もこれに倣っています。

精油は葉から採油された精油・果実から採油された精油の2種類があります。一般的にオールスパイスとして流通しているものは葉の精油が多く、果実部分のみの精油は「オールスパイスベリー」と呼び分けられることも多いです。セクシーでニュアンス感のある香りを持つオールスパイスの精油は男性用フレグランスをはじめ、性別を選ばす化粧品やアロマキャンドルキャンドルの香り付けなどにも利用されています。スパイス系でクセがある香りですから好き嫌いは別れますが、ユニセックスで利用できることや、比較的ブレンドしやすいというメリットもあります。スパイス系の香り、個性的な香りが好きな方はブレンドに加えてみると面白いかもしれません。

基本データ

通称
オールスパイス(Allspice)
別名
百味胡椒(ヒャクミコショウ)、三香子(サンコウシ/サンシャンズ)、ジャマイカンペッパー
学名
Pimenta dioica
Pimenta officinalis
科名/種類
フトモモ科オールスパイス(ピメント)属/常緑高木
主産地
中南米(ジャマイカ、メキシコなど)
抽出部位
葉、果実
抽出方法
水蒸気蒸留法
オレンジ~赤茶色
ノート
ミドル~トップノート
香り度合い
中~強い
代表成分
オイゲノール、メチルオイゲノール、カリオフィレン、α-フェランドレン
おすすめ
芳香浴・アロマバス・マッサージ

スパイシーさの中に甘みと温かみを含む、深みある香り

こんなお悩みにオススメ

【精神面】

  • 緊張・不安・ストレス
  • 神経疲労・無気力
  • 気持ちの落ち込み
  • 心の癒しが欲しい
  • リフレッシュしたい
  • やる気・気力アップに

【肉体面】

  • 風邪予防・初期症状ケア
  • 冷え性・血行不良
  • 咳・気管支炎
  • 食欲不振・吐き気・胃痛
  • 消化不良・腹部膨満感
  • 頭痛・歯痛
  • リウマチ・関節痛
  • 虫除け・防カビ

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オールスパイスに期待される効果・効能

オールスパイスの精油はクローブなどにも含まれている「オイゲノール」というフェノール類が主成分となっています。クローブを上回る含有率で、特にオールスパイスの葉から採油された精油はオイゲノールの含有率が非常に高いことが特徴です。

心への作用

リラックス効果とリフレッシュ効果が期待でき、緊張やストレスを和らげる働きがあると言われています。気分を高揚する働きもあるので神経疲労や疲労による抑うつ・無気力感などを緩和して気持ちを活性化させる手助けをしてくれるでしょう。気力を充実させ、現状への満足感を感じされせる香りです。

体への作用

オールスパイスはオイゲノールの働きによる抗菌・抗ウイルス作用や、血液循環を改善して体を温める働きがあると考えられています。冷え性や悪寒がするような場合のケアに適していますし、咳や気管支炎など呼吸器系の不調の緩和にも役立つとされています。これらの働きから風邪の予防や初期症状のケアにも利用されます。

また多くのスパイス系精油と同様に消化器系への働きかけに優れているとされ、吐き気・食欲不振・消化不良・腹部膨満感(お腹がガスで張っている状態)などの改善に効果的と考えられています。
加えて鎮痛・鎮痙作用があり、胃痛や腹痛をはじめ頭痛、歯痛など局所的な痛みの緩和にも有効とされています。また体を温める作用と合わせて冷えで痛みの悪化する関節炎やリウマチの痛みの緩和にも効果が期待できるでしょう。

その他作用

皮膚利用について

オイゲノールは刺激が強いため、オールスパイスの精油はあまりトリートメント(マッサージ)やスキンケアなどには利用されません。特に敏感肌の方は避けたほうが無難です。期待できる効果としては血行促進による肌のくすみ改善・冷えやむくみの緩和などが考えられます。

防カビ・防虫剤として

オイゲノールは抗菌作用や抗カビ特性(カビの繁殖を抑える働き)、昆虫忌避性があります。特にゴキブリが嫌う香りとも言われていますので、オールスパイスの精油をつけたコットンなどを水回りや物入れ・クローゼットの奥などに入れておくとゴキブリ避けにもなりますし、衛生維持の面でも役立ってくれるでしょう。

オールスパイスの利用について

相性の良い香り

柑橘系の香りと相性がよく、スパイス系やオリエンタル系の香りともブレンドしやすいでしょう。

【オールスパイスのブレンド例】

オールスパイス精油の注意点

  • 妊娠中・授乳中の方は使用を控えましょう。
  • 皮膚刺激があるため使用量・希釈濃度には注意が必要です。肌へ使用する場合はパッチテストを行うようにしてください。
  • アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
  • 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。
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ホワイトバーチ精油アロマ・エッセンシャルオイルと期待される効果効能紹介 https://d-nagaya.com/aroma/post-1524/ Sat, 02 Jul 2016 07:31:45 +0000 http://d-nagaya.com/?p=1524

むくみ対策など美容面でも期待

ホワイトバーチ(欧州白樺)

ホワイトバーチとは

バーチオイルは原料植物によってBetula platyphylla(ホワイトバーチ/シルバーバーチ)、Betula alleghaniensis(イエローバーチ)、Betula lenta(スイートバーチ/ブラックバーチ)の大きく3つに分類されます。どのバーチオイルも刺激があり要注意とされていますが、ホワイトバーチがその中では刺激性が低いためよく利用されます。逆にスイートバーチオイルはサリチル酸メチル含有率が98%と非常に高く、ウィンターグリーンと同等以上に使用には注意が必要とされていますので、購入時には学名を確認するようにしましょう。余談ですが日本に自生している“白樺”は学名Betula platyphylla var. japonicaという日本産変種です。

刺激・毒性の問題からホワイトバーチの精油はアロマテラピーなどではあまり利用されてきませんでした。しかし近年は血行促進・老廃物排泄促進に役立つとして白樺エキスがセルライトマッサージオイルなどに配合されていることから、精油も美容用として注目されています。ただしバーチオイルの中では安全とされていても、毒性や皮膚刺激の強い精油のため使用に注意が必要です。効果を期待して高濃度で使用することは避けましょう。

流通している精油の多くは木部(樹皮)から天然タールを抽出し、それを水蒸気蒸留したタールオイルです。スモーキーさが強く皮革・燻製と称される香りを持ちます。ヨーロッパではホワイトバーチタールが皮膚疾患などに処方されることもあるようです。若芽を水蒸気蒸留して得た精油はメントール感が強い香りで、こちらの方がセルライトケアにも適していると言われていますが、ほとんど流通していません。

基本データ

通称
ホワイトバーチ(White birch)
別名
欧州白樺、樺の木、シルバーバーチ
学名
Betula pendula
(Betula albaBetula platyphylla)
科名/種類
カバノキ科カバノキ属/落葉樹
主産地
ドイツ、ロシア、フィンランド、スウェーデン
抽出部位
樹皮(もしくは若芽)
抽出方法
水蒸気蒸留法
淡黄色
粘性
ノート
ベース~ミドルノート
香り度合い
中~強
代表成分
ベチュレノール
おすすめ
芳香浴・(※ごく少量で)マッサージ・スキンケア・ヘアケア

グリーンさとウッディーさの中に燻製のような香りを含む

こんなお悩みにオススメ

【精神面】

  • ストレス・神経疲労
  • やる気が出ない
  • 倦怠感・無気力
  • 自分を鼓舞したい時に
  • 前向きさがほしい時に

【肉体面】

  • 筋肉痛や筋肉のコリに
  • 関節痛・リウマチ緩和
  • むくみ・セルライトケア
  • デトックス促進
  • 肌の乾燥・炎症ケア
  • くすみ・ハリのない肌に
  • 育毛促進・抜け毛予防

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ホワイトバーチに期待される効果・効能

心への作用

ホワイトバーチは主に肉体面のケアに利用される精油ですが、独特の強い香りは神経を刺激することで精神の鼓舞・強壮に役立つと考えられています。この香りが心地よく感じる方はストレスや疲労が溜まっている可能性が高いという説もあります。

クールな香りは気分をシャッキリとさせ、気持ちが落ち込んでいる時や無気力状態の時に元気や明るさを取り戻す手助けになると言われています。単体の場合はTPOや好みを選びますから、活動時のアロマや香水に“隠し味(隠し香)”のような感覚で入れると使いやすいでしょう。

体への作用

ホワイトバーチの精油は湿布や鎮痛剤に利用される成分である「サリチル酸メチル」を多く含んでいることから、筋肉痛や肩こりなどの筋肉の強張り、関節炎・リウマチなどの痛み緩和に有効とされています。キャリアオイルに低濃度に希釈しマッサージに利用したり、湿布として痛みのある部分に直接当てるとより効果的でしょう。

発汗、利尿、血液浄化作用などもあるためむくみ・下肢静脈瘤のケアなどにも利用されています。循環を整えることで老廃物の排泄を促す働きが期待できるとして、セルライトケアや痩身マッサージ用としても注目されています。

その他作用

肌への働きかけ

消毒・抗菌作用や保湿作用があるとされ、湿疹や皮膚炎症のケアに利用されています。収斂作用もあるので脂性肌・ニキビケアなどにも効果が期待できるでしょう。また循環系を整えることで肌のくすみ緩和やハリの回復、育毛促進・抜け毛予防などにも役立つと考えられています。

※皮膚刺激が強いため、マッサージ・スキンケアに用いる場合は希釈濃度に注意が必要です。肌に合わない・濃度が高すぎる場合は逆に炎症を起こす可能性がありますので、低濃度に希釈しパッチテストを行ってください。

ホワイトバーチの利用について

相性の良い香り

ウッディー系の香りとブレンドしやすいです。独特の香りが気になる方は柑橘系やオリエンタル系などと組み合わせると良いでしょう。

【ホワイトバーチのブレンド例】

ホワイトバーチ精油の注意点

  • 妊娠中の利用は避けましょう。
  • 皮膚刺激が強いため、低濃度に希釈して利用してください。使い始めは1%未満にし、慣れてきても量を増やし過ぎないように心がけましょう。敏感肌の方は特に注意が必要です。
  • アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
  • 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。
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スパイクナード精油アロマ・エッセンシャルオイルと期待される効果効能紹介 https://d-nagaya.com/aroma/post-1509/ Wed, 22 Jun 2016 09:07:44 +0000 http://d-nagaya.com/?p=1509

聖書の“ナルドの香油”とも言われる

spikenardEssentialOil

スパイクナードとは

スパイクナードはヒマラヤ辺りの高度3000-5000mの山地に自生する高山植物で、バレリアンと近縁種です。ハーブとしてはスパイクナードもしくはナード(ナルド)と呼ぶのが一般的ですが、漢方では甘松もしくは寛葉甘松と呼ばれ芳香性健胃薬として利用されていますし、アーユルヴェーダではジャタマンシーと呼び不眠緩和などに利用されています。そのほか粉末化したものはお香・線香の原料としても利用されています。

スパイクナードは古代エジプトやギリシア時代から利用されていた、非常に古い歴史を持つ精油の一つです。キリスト教の新約聖書において、最後の晩餐の前にマグダラのマリアがイエス・キリストの足を拭う際に使った「ナルドの香油(ナルデの香油)」としてもよく知られています。ただしイエスに注がれた“ナルドの精油”はスパイクナード精油とする説が通説となっていますが、ラベンダー(スパイクラベンダー)であったのではないかとする説もあります。
ちなみにマグダラのマリアがこの精油を購入した価格は“一年分の賃金”と言われていますから、スパイクナードであれば非常に高価な精油であったと考えられます。現代でもスパイクナードの聖油は高価な部類に属しますし、一部の終末医療において穏やかな死を迎える聖油としても利用されているそうです。

神秘的な精油であるスパイクナードですが、その香りはかなり重く個性的で好き嫌いが別れる香りと言えます。好き嫌いの別れる精油の代表格としてベチバーがありますが、スパイクナードはそれを上回るクセの強さ。ベチバーやパチュリーのような土臭さがベースですが、ウッディ調・甘いスパイス調・アニマル調を含むと表現される複雑な香りで、原液の香りを嗅いだ場合は不快感を覚える方のほうが多いかもしれません。香りを確認してからの購入をおすすめする精油と言えますし、単品使いよりも少量ずつブレンド用として使ってみてるのが無難ではあります。

基本データ

通称
スパイクナード(Spikenard)
別名
ナルド、甘松香(カンショウコウ)、インディアンバレリアンルート、ジャタマンシー
学名
Nardostachys jatamansi
科名/種類
オミナエシ科ナルドスタキス属/多年草
主産地
インド、チベット、ネパール
抽出部位
抽出方法
水蒸気蒸留法
黄色~濃琥珀色
粘性
ノート
ベースノート
香り度合い
強い
代表成分
α-パチュレン、β-グルジョネン、1-ハイドロキシアリストロレネロン、パチュリアルコール
おすすめ
芳香浴・入浴・マッサージ・スキンケア・ヘアケア

スモーキーな土の香りに、木・スパイスなどの要素を含む濃厚な香り

こんなお悩みにオススメ

【精神面】

  • 緊張・ストレス
  • イライラ・ヒステリー
  • 不安・恐怖・悲しみ
  • 感情コントロールに
  • 気持ちを落ち着かせたい
  • 地に足を付け安定したい
  • 自分をしっかり持ちたい
  • 自分を見つめ直したい
  • 安眠のサポートに

【肉体面】

  • 心因性の不調全般に
  • 消化不良・下痢
  • 便秘・お腹の張り
  • 動悸・不整脈
  • 血行不良・貧血
  • 冷え性・むくみ
  • 月経不順・生理痛
  • 保湿・エイジングケア

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スパイクナードに期待される効果・効能

心への作用

スパイクナードの精油は鎮静作用に優れた精油とされています。不安・緊張・ストレスなど自分で認知しているものは勿論のこと、心の奥底にある恐れや怒り・悲しみなどを開放して根底から気持ちを安定させる働きがあると考えられています。自分でも原因がはっきりしないイライラやヒステリー、精神面に起因する不眠対策としても役立ってくれるでしょう。

グラウンディング(グラウディング)作用が高い精油としてスピリチュアルな面からもスパイクナードの精油は支持されています。グラウンディングというのは地に足を付けることで、感覚のバランスを取ってしっかりと安定して存在するための基盤とされています。浮足立って自分を見失ってしまう方にも適していると言われており、まさに香り通り「どっしりとした揺るぎなさ」を与えてくれる精油と言えそうですね。自分と向き合いたい時や瞑想用の香りとしてもオススメです。

体への作用

精神面への鎮静・安定に優れる精油とされているため、胃痛・頭痛・消化不良や下痢など神経性の不調全般に効果が期待されています。心臓の強壮作用もあるとされており、不整脈や動悸の予防・緩和にも役立つと考えられています。

そのほかに血液を補う・血行促進作用があると考えられることから貧血や血行不良などにも利用されています。合わせて利尿作用がありますので、循環が悪い方・冷え性の方にも適していますし、消化促進作用や鎮痙作用も有りますので、血流改善と合わせて便秘と下痢両方の改善にも効果が期待できます。

女性の体への働きかけ

スパイクナードは卵巣機能刺激作用によって月経促進に役立つと言われていますし、血行促進や鎮静鎮痙作用もありますので月経不順や生理痛など女性特有の月のトラブルの緩和にも効果が期待できます。気持ちを安定させる働きもありますから月経前症候群(PMS)の諸症状緩和にも役立ってくれかもしれません。

その他作用

皮膚・頭髪への働きかけ

スパイクナード精油は古くはムガル帝国において肌の若返り用に、チベットでは髪に艶を与える髪油として利用されてきた歴史を持ちます。白髪・薄毛予防に役立つとする説もあります。

現在スパイクナードの精油は皮膚利用は避けたほうが良いとする説、保湿・抗炎症作用があり皮膚炎症や乾燥肌・年齢肌のケアに有効とする説に分かれています。また利尿・解毒作用があることからマッサージオイルに希釈することでセルライトケアなどに役立つとも言われています。避けたほうが良いとする説もありますから、使用する場合はパッチテストをした後、低濃度でボディ用で試すなど細かく段階を踏んでいくと無難でしょう。炎症がある場合の長波お勧めできません。

スパイクナードの利用について

相性の良い香り

スパイクナードの精油は既にブレンドされたような様々なニュアンスを含み、ハーブ系やオリエンタル系など書籍によって香りによる分類も異なります。そのためどの系統の香りとも比較的組み合わせやすい香りと言えますが、特にオリエンタル系と相性が良いとされています。香りが気になる方はフローラル系・柑橘系の精油に揮発保留剤として少量入れると使いやすいでしょう。

【スパイクナードのブレンド例】

スパイクナード精油の注意点

  • 妊娠中・授乳中の使用は避けましょう。
  • 鎮静作用が強いため高濃度・長時間の使用や、集中力が必要なシーンでの利用は控えましょう。
  • アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
  • 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。
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カボス精油アロマ・エッセンシャルオイルと期待される効果効能紹介 https://d-nagaya.com/aroma/post-1502/ Sun, 12 Jun 2016 07:32:33 +0000 http://d-nagaya.com/?p=1502

爽やでどこか優しい和の精油

カボス(香母酢)

カボス(香母酢)とは

日本人にとっては柚子・酢橘と並んで馴染み深い柑橘類であるカボス。全てミカン属の香酸柑橘類と近縁種で似た形状をしており、特にスダチとカボスは区別が付きにくいという方もいらっしゃるのではないでしょうか? スダチは1個が概ね50g以下と小ぶりなサイズなのに対し、カボスは1個が100~150gとサイズが大きいのが最もわかりやすいポイント。カボスの果皮は緑色のイメージが強いですが、熟すと黄色くなります。未完熟の状態のほうが香りが良いため緑色のうちに収穫・採油が行われています。香りとしてはメーカー等により違いがあるかもしれませんが、スダチがシャープな酸味を持つのに対し、カボスはやや丸みのあるフルーティーな印象と言われています。

ちなみにカボスの主産地は大分県で、江戸時代(1695年)に医師の河野宗弦氏が京都から苗木を持ち帰ったことが栽培の始まりと言われています。ただし大分県臼杵市には樹齢200年程の古木が存在していますが、他の地域には古木がないことから大分県が原産なのではないかとする説もあるようです。“香母酢”という漢字は当て字だそう。

カボスの精油は果皮を圧搾して採油されています。カボスに限らずほとんどの柑橘類に言えることですが芳香成分は果皮の方に豊富に含まれており、食事・飲み物に香味として利用する場合も果皮を下にした形で絞ったほうがしっかりと香りを出すことが出来ますよ。
和精油として製造が行われるようになったのはごく最近。そのためアロマテラピーでの使用実績が少ないためハッキリとしていない点もありますが、含有している芳香成分からリラックスなどに役立つと考えられています。

基本データ

通称
カボス(Kabosu)
別名
香母酢、臭橙
学名
Citrus sphaerocarpa
科名/種類
ミカン科ミカン属/常緑高木
主産地
日本
抽出部位
果皮
抽出方法
圧搾法(※稀に水蒸気蒸留も有)
黄色~赤茶色
ノート
トップノート
香り度合い
弱~中
代表成分
リモネン、ミルセン、γ-テルピネン、α-ピネン、β-ファルネセン
おすすめ
芳香浴・アロマバス

上品な酸味のある、爽やかで懐かしい香り

こんなお悩みにオススメ

【精神面】

  • イライラ・神経過敏
  • ストレス・緊張
  • 気持ちを落ち着かせたい
  • リラックスしたい
  • 穏やかなリフレッシュに

【肉体面】

  • 血行不良・冷え性
  • 風邪予防
  • 疲労回復
  • 食欲不振・消化不良
  • 冷えから起こる便秘

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カボスに期待される効果・効能

心への作用

カボスの香りの主成分はリモネンで、その他にピネン・テルペンなどの精油成分も含んでいます。これらの成分の働きから心を落ち着かせる鎮静・リラックス効果があるとされ、イライラや興奮・神経過敏などの緩和に役立つと考えられています。

神経の興奮を鎮めることでストレスや神経疲労の緩和などに効果が期待できます。すっきりした香りですが神経を冴えさせ過ぎないためシーンを選ばないリフレッシュ用としても利用できますし、おやすみ前の香りとしても活用できます。

体への作用

リモネンやピネンには血行促進作用があることから、カボスの香りは冷え性の緩和に役立つと考えられています。抗菌作用もありますので風邪の予防にも役立ちますし、血流の改善から代謝促進にも繋がるため疲労回復などにも効果が期待されています。

またリモネンは胃腸の蠕動運動を促すことで消化機能をサポートする働きがありますから、消化不良や食欲が無い時などにも役立つと考えられます。血行促進と合わせて便秘の緩和などにも効果が期待できるでしょう。

その他作用

皮膚使用への働きかけ

カボス精油は皮膚刺激が強いため、肌に直接付けるような利用は避けたほうが無難とされています。成分的には抗菌・抗炎症作用や抜け毛予防などに有効と考えられます。

カボスの利用について

相性の良い香り

柑橘系・ハーブ系の香りと相性が良いとされていますが、クセが少ないので比較的どの系統ともブレンドしやすいでしょう。

【カボスのブレンド例】

カボス精油の注意点

  • 妊娠中・授乳中の使用は避けましょう。
  • 光毒性があるので皮膚付いた場合は紫外線を避けましょう。
  • 香りが変化しやすいので冷暗所で保管してください。
  • アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
  • 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。
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ミモザ・アブソリュートアロマ・エッセンシャルオイルと期待される効果効能紹介 https://d-nagaya.com/aroma/post-1492/ Fri, 03 Jun 2016 08:43:35 +0000 http://d-nagaya.com/?p=1492

花屋さんの様なフローラル×グリーン調

ミモザアカシア

ミモザとは

パウダリーでふんわりと甘い上品な香りに加え、揮発保留性が高いため高級石鹸・香水などの香料としてもよく使われている存在です。安価なものであってミモザ調の香りが使われていますから、ミモザの香りと聞いて全くイメージが浮かばない方であっても「どこかで嗅いだことがある」香りとして受け入れやすい香りであると思います。万人受けするグリーンさを含んだ上品なフローラル調の香りで、香料としても定番であるミモザですが、その歴史は比較的新しいと言えます。

というのもミモザの原産はオーストラリア。19世紀初頭に観賞用としてヨーロッパに持ち込まれてから、大々的な利用が始まったため歴史が新しい香料に数えられています。香料原料として利用されるミモザ(Acacia dealbata)はマメ科アカシア属に分類されていますが、マメ科オジギソウ属の属名も“Mimosa”。この紛らわしい呼び名は姿が似ているため伝来当時イギリスでオジギソウと混同され、そのまま定着してしまったと言われています。日本でも明治時代に混同した状態で伝えられたと考えられており、その影響からアカシア属をミモザと呼ぶようになったそう。Acacia dealbataの和名も「房アカシア」とされています。

世界に知られた時期が遅かったと言われるミモザですが、南フランスでは春の訪れを感じる「ミモザ祭り」がありますし、イタリアでは3月8日を「女性の日(ミモザの日)」として男性が女性に感謝を込めて花を贈り家事などから開放する習慣があるのだそう。短い間でもヨーロッパに定着し、親しまれていることが伺えますね。ちなみにジャンパンをオレンジジュースでステアしたカルテル「ミモザ」はミモザの黄色い花と色が似ていたために命名されたと言われています。ミモザサラダも同様に卵の黄身を花い見立てているそう。このあたりからもミモザの愛され度が伝わってくるような気がします。

ミモザはアブソリュートでも少量しか採油できないため高価な精油に属します。精油として一般に販売されているものは粘度の関係から10~30%くらいの濃度に希釈されたものが多いため際立って高価とは感じないかもしれませんが、アロマオイルとして安価で売られ希釈のパーセンテージが明記されていないものは「ミモザ(類似)の香り」である可能性が高いため注意が必要です。精油の場合もアロマテラピー的な利用というよりは、香水やフレグランススプレーなどの利用が主となるでしょう。香りが強いうえ持続時間も長いですのでベースとして少量加える程度の利用が金銭的にも実用的にも適しています。

基本データ

通称
ミモザ(Mimosa Abs.)
別名
ミモサ、フサアカシア、ミモザアカシア
学名
Acacia dealbata
科名/種類
マメ科アカシア属/常緑高木
主産地
フランス、イタリア、モロッコ、オーストラリア
抽出部位
花、小枝
抽出方法
溶剤抽出法(アブソリュート)
黄色~オレンジ
粘性
高い
ノート
ミドル~ベースノート
香り度合い
強い
代表成分
ベンジルアルコール、アニスアルデヒド、パルミチン酸(※フランス産)
おすすめ
芳香浴、(※ごく少量で)アロマバス・スキンケア・ヘアケア

パウダリー・グリーン感を合わせ持つ、濃厚な花の香り

こんなお悩みにオススメ

【精神面】

  • 不安・緊張・ショック
  • 神経疲労・無気力
  • イライラ・神経過敏
  • 気持ちの落ち込み・抑うつ

【肉体面】

  • ストレス性の不調全般
  • ストレス性の肌荒れ
  • 脂性肌やニキビ肌に

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ミモザに期待される効果・効能

心への作用

ミモザの香りはイメージそのまま、心を落ち着かせて安心感を与える香りと言われています。鎮静作用と抗鬱作用があり、不安・緊張・ショック・ストレスなどによる神経性の不調の緩和に役立つとされています。神経疲労による気持ちの落ち込み、無気力感などの回復にも役立ってくれるでしょう。

催淫作用があるとされ、性欲を高める・冷感症やインポテンツの緩和に良いとする説もありますが、こちらの働きについても精神的な癒やしや安心感に由来するところが大きいと考えられます。精神的な疲労感などでその気になれない場合などに適しているでしょう。

体への作用

神経を落ち着かせ明るい気持ちに導く働きから、胃痛や過敏性腸症候群などストレス性の不調の緩和に役立つのではないかと考えられています。

その他作用

肌への働きかけ

皮脂分泌調整作用に優れているため脂性肌・ニキビケアに主に用いられています。そのほかに皮膚を柔らかくする・新陳代謝(ターンオーバー)を促進するとする説もあり、芳香によるストレス緩和作用と合わせて、肌トラブルの緩和などにも効果が期待されています。

ただし精油として販売されているものはアブソリュートですし、濃度の高さによっては(特に敏感肌の方は)逆に炎症を起こしてしまう可能性もあります。肌へ使用したい場合はミモザエキスなどを配合した化粧品を購入されたほうが安全でしょう。利用する場合は自己責任となりますから、使用量に注意ししっかりとパッチテストを行いましょう。

ミモザの利用について

相性の良い香り

柑橘系との相性がよく、フローラル系もしくはフローラルよりハーブ系の香りとも比較的ブレンドしやすい香りです。香りが非常に強く、持続力も高い精油ですから使用量には注意しましょう。

【ミモザのブレンド例】

ミモザ・アブソリュートの注意点

  • 妊娠中・授乳中の使用は控えましょう。
  • 粘度が高く低温で固まりやすい性質があります。使いやすいように希釈して販売されているものであっても分離する事がありますが、成分・品質に問題はありません。手のひらで温めながら振って混ぜて利用してください。
  • アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
  • 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。
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ガルバナム精油アロマ・エッセンシャルオイルと期待される効果効能紹介 https://d-nagaya.com/aroma/post-1476/ Mon, 23 May 2016 08:23:40 +0000 http://d-nagaya.com/?p=1476

モーセも利用したとされる、神秘的な香り

ガルバナム精油

ガルバナムとは

アロマというよりは香水原料として利用されることの多いガルバナム。シャネルやプラダ、エスティ・ローダーなどの有名香水にも利用されており、オリエンタル系の保留剤に欠かせない存在とも言われています。ガルバナム精油は土や樹木のような趣を含み、樹木系アロマが清々しい“森林浴”の香りであるなら、ガルバナムの香りは“森の地面に寝ている”とでも称すと良いでしょうか。

バルサミックさ・グリーンさ・ベチバーのようなスモーキーな土の香り、シナモンのような甘くスパイシーさが入り混じった複雑で個性的な香りを持ちます。単体もしくはガルバナムをメインに使うとかなり好き嫌いが別れますが、様々なニュアンスを持つ香りのためどの精油ともブレンドしやすいというメリットがあります。香水のように他の精油とのブレンドに利用することでクセが弱まり、互いの良さを引き立てると言われています。

現在も香料として親しまれていますが、カルバナムは長い歴史を持つ香料の1つでもあります。紀元前3400年頃の文章を書き写したとされる古代エジプトの医学書『エーベルス・パピルス』にも没薬(ミルラ)や肉桂(シナモン)等とともに記述されているそうです。防腐作用があることが知られ遺体をミイラに加工するときに用いられていましたし、化粧品のような形でも利用されていたと言われています。

旧約聖書の出エジプト記で祭壇の作りや儀式形式の指示を受ける場面にも『主はモーセに仰せられた。あなたは香料、すなわちナタフ香(スチラックス/蘇合香)、シェヘレト香(オニカ/シケレテ香)、ヘルベナ香(ガルバナム/楓子香)、純粋の乳香の香料を取りなさい。おのおの同じ量でなければならない。』という記述があります。その後の記述ではこの配合で作った香を自分の楽しみのために使うことは禁じられています。この記述からも分かるように瞑想用・聖油用など宗教儀礼においてもガルバナムは非常に重要視されていました。現在でもスピリチュアルな香りとして瞑想用・自分の内に秘めたパワーを高めるために利用する方もいらっしゃるようです。

基本データ

通称
ガルバナム(Galbanum)
別名
ヘルベナ香、楓子香(フウシコウ)
学名
Ferula galbaniflua
科名/種類
セリ科オオウイキョウ属/多年草
主産地
イラン、イスラエル、トルコ、シリア
抽出部位
レジン、樹脂
抽出方法
水蒸気蒸留法
ほぼ無色~オリーブ色
粘性
低め
ノート
トップ~ミドルノート
香り度合い
強い
代表成分
β-ピネン、α-ピネン、ミルセン、カジネン、カジノール、β-フェランドレン
おすすめ
芳香浴・アロマバス・マッサージ・スキンケア・ヘアケア

グリーンさの中に土の香りやバルサミックさを含む香り

こんなお悩みにオススメ

【精神面】

  • 不安・緊張・激情
  • ストレス・神経疲労
  • 不眠気味の時に
  • 心のバランスを取りたい
  • 感情のコントロールに
  • 精神状態をリセットしたい

【肉体面】

  • 風邪の初期症状・咳
  • 喘息・気管支炎
  • 消化不良・腹部膨張感
  • 頭痛・筋肉痛などの緩和
  • 関節炎・リウマチ・神経痛
  • 循環不全・むくみ
  • 生理痛・月経不順
  • PMS・更年期障害
  • ニキビ予防
  • 肌のエイジングケア
  • 妊娠線や傷跡のケア

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ガルバナムに期待される効果・効能

心への作用

ガルバナムの精油はピネン(α-ピネン、β-ピネン)が主成分であり、神経の昂ぶり緩和して気持ちを落ち着けるとされています。不安・緊張・ストレスや神経性疲労の緩和、感情の乱れをコントロール出来ない時などに役立ってくれるでしょうし、ピネン系には強壮作用もあるとされていますから、精神的立ち直るための手助けをしてくれるとも考えられます。

神経がささくれている・心のバランスが取れない・精神的に疲れたと感じている時に合うでしょう。また古くから瞑想用の香りとして用いられてきた香りですから、心を静かにして自分を見つめ直したい時にも適していると考えられています。軽い催眠作用があるとする説もありますから、日中・活動時の香りというよりはリラックスタイムや就寝時向き、心を静かにして気持ちをリセットさせ明日へと向かうための香りと言えるでしょう。

体への作用

肉体面への働きとしてはサイプレスなどにも含まれるδ-3-カレンという鎮咳作用をのある成分を含み、抗菌作用や免疫向上作用を持つ成分も含まれていることからガルバナムは風邪・咳・喘息・気管支炎などの緩和に有効とされています。そのほか消化不良、腹部膨張感など消化器系の不調緩和にも役立つとされています。

またピネン、δ-3-カレン共に抗炎症・鬱滞除去作用がありますし、体内の巡りを整えることで痛みを緩和させると考えられるため、頭痛・筋肉痛・関節炎・リウマチ・神経痛などの緩和にも利用されています。腎臓機能を高める働きが期待されているβ-ミルセンの働きと相乗して、むくみ緩和にも効果が期待できるでしょう。

女性の体への働きかけ

ガルバナムには女性ホルモン様作用があると考えられており、月経痛・生理不順・PMS(月経前症候群)・更年期障害など女性ホルモンのバランスの乱れによって起こる女性特有の不調緩和にも良いと言われています。ホルモンバランスを整えることに加え、不安定な気持ちを安定させる働きがありますから、特にイライラや不安など精神面の不調を伴う際に役立ってくれるでしょう。ホットフラッシュの緩和に良いとする説もあります。

その他作用

肌への働きかけ

ガルバナムには皮膚を柔らかくする作用があり、シワや角質化が気になる年齢肌のエイジングケアなどに有効とされています。抗菌作用や抗炎症作用、瘢痕形成作用などもあるとされており、ニキビや吹き出物の予防改善・妊娠線や傷跡のケア用としても用いられています。ただし若干の皮膚刺激性を持つとされる精油でもありますから、肌のケアとして利用する場合には事前にパッチテストをしっかり行うようにしましょう。

ガルバナムの利用について

相性の良い香り

当サイトでは原料からも樹脂系に分類していますが、書籍・サイトによってガルバナムはオリエンタル系に分類されることもあります。また森林の香りと称されることが多い香りを持つため、似た系統であるオリエンタル系・ウッディー系の香りとのブレンドは安定しています。柑橘系やフローラル系とも合わせやすく、あまり相手を選ばない香りと言えます。

【ガルバナムのブレンド例】

ガルバナム精油の注意点

  • 妊娠中は使用を控えましょう。
  • 稀に皮膚刺激を感じる事があります。特に敏感肌の方は使用に注意が必要です。
  • アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
  • 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。
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セントジョーンズワート精油アロマ・エッセンシャルオイルと期待される効果効能紹介 https://d-nagaya.com/aroma/post-1464/ Wed, 11 May 2016 09:16:49 +0000 http://d-nagaya.com/?p=1464

マニアックだけど癖になる? 癒し系精油

セントジョーンズワート/セイヨウオトギリソウ

セントジョーンズワートとは

欧米を中心にハッピーハーブなどの別名でも呼ばれて親しまれているセントジョーンズワート。日本でも内服サプリメントやハーブティーが販売されていますから、ご存じの方も多いのではないでしょうか?
植物としては黄色い小ぶりの花を持つ多年草で、葉や花に黒い斑点(油点)があります。この油点からは赤い色素が出ることから洗礼者ヨハネの斬首で流れ出た血の象徴とされており、聖ヨハネの日である6月24日頃に花が咲くこともあって「聖ヨハネの草」セントジョーンズワートと命名されたそうです。

セントジョーンズワートはヨーロッパから中央アジアに自生し、古くは痛み止めや傷・火傷などに良い薬草として用いられてたそうです。中世頃になると「悪霊を追い払う薬草」として、当時は悪魔・悪霊のせいであると考えられていた精神・神経性疾患の治療に用いられる様になります。魔除けのお守りとして玄関や窓に吊るされるほどだったそう。諸説ありますが属名の“Hypericum”も「hyper(上に)」+「eikon(像)」もしくは「icon(聖画)」で悪魔よけに使われていることに由来していると考えられています。和名はオトギリソウ(H. erectum)を元にセイヨウオトギリソウと付けられました。この弟切草という呼び名は“秘密にしていた鷹の傷薬(弟切草)を他人に漏らしてしまった弟を兄が切り殺した”という伝説が元となっています。

一時期は根拠なき民間療法・咒いの類と考えられた時期もあるようですが、1980年代にドイツの研究者がうつ病に対しての有効性を発表し、1990年代には様々な臨床試験によって抗鬱効果が認められるようになります。セントジョンズワートに含まれているヒペリシンやヒペルフォリンという成分がセロトニン分泌量の正常化に有効であることが報告されていおり、現在ハーブ療法の先進国のドイツでは軽度のうつ病患者に医師から処方される存在でもあります。

外用としてはキャリアオイルとして販売されているセントジョーンズワートの花などを植物油に浸した浸出油が最もメジャーな存在で、そのほか芳香蒸留水もあります。花から水蒸気蒸留で抽出される精油は採油率が低いく高価なこともあり、あまり流通していません。海外の民間療法では精油を飲むという方法もあるようですが、日本では認められていないため経口摂取したい場合はハーブティー・サプリメントなどを利用してください。

基本データ

通称
セントジョーンズワート(St John’s wort)
別名
西洋弟切草(セイヨウオトギリソウ)、ハイペリカム、ヒプレカム
学名
Hypericum Perforatum
科名/種類
オトギリソウ科オトギリソウ属/多年草
主産地
フランス、イギリス
抽出部位
花(葉を含むものもあり)
抽出方法
水蒸気蒸留法
淡黄色~淡オレンジ
(キャリアオイルは琥珀色~赤色)
ノート
ミドルノート
香り度合い
中~やや強い
代表成分
α-ピネン、ゲルマクレンD、β-カリオフィレン、β-ピネン、カジネン、ミルセン
おすすめ
芳香浴・アロマバス・マッサージ・ヘアケア

やや甘さを含む、深く渋いハーブ調の香り

こんなお悩みにオススメ

【精神面】

  • 気持ちを立て直す
  • 緊張・神経性疲労
  • 精神面の強壮
  • 女性特有の不安定さに

【肉体面】

  • 緊張性の頭痛
  • 筋肉痛・肩こり
  • 関節痛・神経痛
  • 月経不順・更年期障害
  • 外傷・火傷の回復促進

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セントジョーンズワートに期待される効果・効能

心への作用

セントジョーンワートの精油には、森林浴効果(リフレッシュ・癒し・強壮)があるとされるα-ピネン、鎮静作用を含むゲルマクレンDなどの成分が含まれています。このため気持ちをクリアにして元気を取り戻す手助けをする、ストレスによる緊張・疲労を緩和すると考ええられています。憂鬱な気持ちを切り替えるのにも役立ってくれるでしょう。

またセントジョーンワートに含まれているβ-カリオフィレンという精油成分は、女性ホルモンの血中濃度変動期における不安症状の緩和に有効と考えられています。このため生理前の不快症状(PMS:月経前症候群)や、更年期障害におけるイライラ・不安・落ち込みなど精神的不調緩和に効果が期待できます。

※ハーブの薬効成分とされるヒペリシンなどを含むためうつ症状や不眠症の改善に有効とする説もありますが、ヒペリシンは暗赤色の天然色素であり芳香成分ではないため、香りを楽しむことで内服と同様の抗うつ作用があるかについては疑問です。

体への作用

鎮痙・鎮痛作用があるとされ、頭痛や筋肉痛、関節痛、神経痛、リウマチなどの痛みの緩和に用いられています。また鎮静作用によって緊張から起こる頭痛などの緩和にも有効とされ、ゲルマクレンDには生理周期を安定させたり月経を促す働き(通経作用)があることから更年期障害の緩和にも効果が期待されています。

その他作用

肌への働きかけ

皮脂分泌を調整する作用に優れていると考えられていることからオイリー肌・乾燥肌などのケアに、治癒力を高める働きから切り傷・火傷などに有効と考えられています。含有成分から抗炎症作用が期待できるという説もあります。

※皮膚へ直接利用する場合は精油ではなくセントジョーンズワートオイル(浸出油)を利用する方がメジャーです。精油の場合は価格が高価であることに加え、使用データも少ないためスキンケア的な利用を目的とする場合はキャリアオイル用のものの利用がおすすめです。

セントジョーンズワートの利用について

相性の良い香り

フローラル系・柑橘系の香りと比較的ブレンドしやすいと言われています

【セントジョーンズワートのブレンド例】

セントジョーンズワート精油の注意点

  • 妊娠中・授乳中の使用はできません。
  • 光毒性を起こす可能性がありますので、肌に付くような使用をした後は紫外線を避けるようにしましょう。
  • 血液凝固阻止薬・免疫抑制薬をはじめとする、様々な医薬品との相互作用が報告されています。持病のある方・医薬品を服用中の方は使用を避けるか、かかりつけの医師に相談してください。
  • アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
  • 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。
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リンデン・アブソリュートアロマ・エッセンシャルオイルと期待される効果効能紹介 https://d-nagaya.com/aroma/post-1443/ Sun, 01 May 2016 05:38:27 +0000 http://d-nagaya.com/?p=1443

幸福感をくれる、贅沢で芳醇な香り

リンデン(ライムツリー/セイヨウシナノキシ)

リンデンとは

西洋菩提樹や西洋シナノキとも呼ばれるリンデンはシナノキ科の落葉樹で、フユボダイジュ(Tilia cordata) とナツボダイジュ(Tilia platyphyllos)の自然交配種です。ちなみに釈迦が悟りを開いた木といわれる仏教三大聖樹の“菩提樹”はインドボダイジュ(Ficus religiosa)というクワ科の樹木で全く別の植物です。

仏教の聖樹ではありませんが、リンデンもヨーロッパでリンデンは千の用途を持つ木」と呼ばれ古代から神聖な木とされてきました。ゲルマン人は民族を象徴する植物としていましたし、ゲルマンの戦士は木材を盾に利用したとも言われています。中世には“自由の象徴”としても愛され、現在もヨーロッパでは街路樹や庭木として見ることができます。

リンデンは香料としての利用よりもハーブティー原料として知られた存在です。フランスを筆頭にヨーロッパでは古くから利用されており、17世紀のハーバリストとして有名なニコラス・カルペッパーも「リンデンの花は頭と神経の鎮静、めまい、卒中、動悸」などに役立つと考えていたのだとか。現在も神経疲労や不眠、消化不良などの緩和に取り入れられています。またハーブとして以外にもリンデンフラワー(ライムフラワー)は蜜源として、樹皮は繊維として木材は楽器や木彫材などに利用されます。

リンデンはアブソリュートのためアロマテラピーで利用されることは少なく、主な用途としては香料として香水や化粧品に配合されています。芳醇かつ繊細なフローラルの香りからジャスミンやローズと並ぶ芳香と言われることもあります。リンデンの場合はどこかグリーンさやフルーティーさを含んだような甘すぎない香りなので、男性用香水にも嫌味なく馴染みます。ただし高価な部類に入るため偽和・合成品が多いためエッセンシャルオイル(精油分)を購入時には信頼できるところから購入するなど注意が必要です。

基本データ

通称
リンデン(Linden Abs.)
別名
西洋科の木(セイヨウシナノキシ)、西洋菩提樹(セイヨウボダイジュ)、リンデンバウム、ライムツリー、ライムブロッサム、ティユル
学名
Tilia cordata
Tilla europase
科名/種類
シナノキ科シナノキ属/落葉高木
主産地
ヨーロッパ(主にフランス)
抽出部位
抽出方法
揮発性有機溶剤抽出法(アブソリュート)
淡黄色~オレンジ(コンクリートは深緑)
粘性
やや高い
ノート
ベースノート
香り度合い
代表成分
ファルネソール、ゲラニオール
おすすめ
芳香浴・アロマバス

グリーンさと甘さを併せ持つ、繊細で芳醇な花の香り

こんなお悩みにオススメ

【精神面】

  • 緊張・不安・ストレス
  • 経疲労時・神経過敏
  • 不眠・寝つきが悪い
  • リラックスしたい
  • 心を落ち着けたい

【肉体面】

  • ストレス性の不調に
  • 消化不良・腹部膨満感
  • 呼吸器系の不調
  • 風邪などによる発熱時
  • 頭痛・偏頭痛

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リンデンに期待される効果・効能

心への作用

リラックス(鎮静)や不眠解消に用いられるリンデンフラワーティーと同様に、精油もリラックス効果に優れていると言われています。緊張・不安・ストレスによる神経疲労時や、神経過敏になっている時に適していますし、幸福感を感じられる香りとも言われています。

ストレスや心配事を抱えて寝付けないときや、眠りが浅く目が覚めてしまうような時の安眠サポートも期待出来ます。ベットサイドの香りはもちろん、アロマバスやリビングでリラックスタイムを演出する香りとして、ゆったり出来る時に香りを楽しんでみてください。

体への作用

消化不良腹部膨満感など消化器系の不調や、呼吸器系の不調に良いと言われています。発汗・利尿作用があるとする説もあり、風邪やインフルエンザによる発熱時や悪寒がする時に用いられることもあります。また鎮静作用からリンデンの香りは頭痛・偏頭痛の痛みを緩和させる働き、ストレス性の不調の改善にも役立つと考えられています。

その他作用

肌・頭皮への働きかけ

リンデン自体は植物美容分野で様々な働きが注目されているハーブですが、精油の利用についてはデータが少なく、皮膚刺激性も指摘されていますから、自分で肌に使用するのは避けたほうが良いでしょう。

ハーブとしてエモリエント(肌を柔軟化する)作用や穏やかな収斂作用が報告されており、肌に潤いを与え、肌のキメを整える働きがあると考えられます。美白・くすみの改善・消炎などにも効果が期待されているそうです。頭皮の状態を整え、毛髪の成長を促すとして育毛剤などにも配合されています。

リンデンの利用について

相性の良い香り

フローラル系やオリエンタル系の香りとブレンドしやすいです。

【リンデンのブレンド例】

リンデン・アブソリュートの注意点

  • 妊娠中・授乳中の方は使用を控えましょう。
  • 皮膚刺激があるため使用量・希釈濃度には注意が必要です。肌へ使用する場合はパッチテストを行うようにしてください。
  • アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
  • 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。
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紫蘇/シソ精油アロマ・エッセンシャルオイルと期待される効果効能紹介 https://d-nagaya.com/aroma/post-1432/ Tue, 26 Apr 2016 08:46:58 +0000 http://d-nagaya.com/?p=1432

ホッとする和のハーブ、風邪予防にも

紫蘇(シソ/Shiso)

紫蘇(シソ)とは

日本人にとって馴染み深いハーブであるシソは、エゴマ(Perilla frutescens var. frutescens)とは同種の変種という非常に近い植物です。原産地は中国南部から東南アジアにかけての地域で、アジア全域で見るとシソ系統派・エゴマ系統派・両方を好むと地域・国によって好みに違いがあるとされ、日本はシソ派、韓国はエゴマ派と言われています。基本品種はチリメンジソ(縮緬紫蘇)f. crispaで、そのほか赤紫蘇f. purpurea、青紫蘇f. viridis、縮緬紫蘇、斑紫蘇f. roseaなどがあります。

紫蘇(シソ)という名前の由来は“蟹を食べ過ぎてお腹を壊した若者たちに後漢末期の名医「華佗」が紫色の草の茎と葉を煎じた薬を処方し治した”ことに由来しています。この紫色の草は当時、紫舒(ヅスウ、舒は気分を良くするという意味があるそう)と呼ばれていましたが、時間とともに変化して紫蘇になったと言われています。中国医学では葉を「蘇葉」、熟した果実を「蘇子」と呼び、葉は不眠症・神経痛などに、種は咳・便秘などに利用します。

日本では香味野菜や香辛料、梅干などの着色料としてなどと、目立たない存在でありつつも和食を支える名脇役的な存在。そのほか種子から摂れる紫蘇油は近年の健康ブーム・オイルブームで注目されていますが、香りを楽しむために利用する精油は「葉部」から採油されたものを用いています。シソ精油は紫蘇の生葉の香りを濃縮した香りを持ち、日本人にとってはノスタルジックでホッとする香り言えます。ヒノキユズカボスなどと並ぶ日本を代表する和精油・国産アロマの1つです。

基本データ

通称
紫蘇/シソ(Shiso)
別名
赤紫蘇(Red Shiso)、青紫蘇/大葉(Green Shiso)、蘇葉(ソヨウ)
学名
Perilla frutescens var. crispa
科名/種類
シソ科/一年草
主産地
日本、中国
抽出部位
抽出方法
水蒸気蒸留法
淡黄色~薄オレンジ色
粘性
ノート
ミドル~トップノート
香り度合い
弱~中
代表成分
ぺリラアルデヒド、リモネン、β-カリオフィレン、α-ピネン、β-ピネン、シソオール、リナロール
おすすめ
芳香浴

日本人には馴染みのある、シソの葉そのままの爽やかな香り

こんなお悩みにオススメ

【精神面】

  • ストレス・神経疲労
  • 緊張・不安・興奮
  • 気持ちの落ち込みに
  • リラックスしたい時に
  • 元気が出ない時に

【肉体面】

  • 食欲不振・消化不良
  • 血行不良・冷え性
  • 肩こり・神経痛
  • 咳・痰絡み・鼻水
  • 風邪などの感染症予防

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紫蘇(シソ)に期待される効果・効能

心への作用

シソ精油にはリモネンが含まれているため、鎮静・リラックス効果が期待出来ます。ストレス・緊張による憂鬱感や緊張を和らげて気持ちを落ち着かせ、元気や前向きさを取り戻す手助けをしてくれるでしょう。

文化的に馴染みある香りで(シソが嫌いな方で無ければ)懐かしいような・ほっと安心出来る懐かしい香りでもあります。精神的に疲れているときなどに適しています。

体への作用

シソの精油の主成分で独特なシソの香りの元となっている「ペリルアルデヒド」は胃液の分泌を促進し食欲を出させる働き(健胃作用)があり、リモネンにも胃腸の蠕動運動促進作用があります。このことからシソの香りは胃腸の機能向上に役立つ精油であると考えられています。リモネンの血行促進作用による冷え性・肩こり・腰痛などの緩和にも効果が期待出来ます。

また去痰作用や鎮咳作用があるとされ、風邪の初期症状をはじめとする喉・鼻の不快感改善にも有効と考えられています。近年シソ本体にアレルギー抑制効果が報告されており、精油でも抗アレルギー効果が得られるとする説もありますが、精油にはルテオリン・ロズマリン酸・α-リノレン酸などの有効成分はほとんど含まれていないため信憑性は低いと考えられます。

その他作用

お部屋の空気清浄に

シソ精油の主成分ペリルアルデヒドには優れた抗菌作用が認められていますし、リモネンにも抗菌・抗ウィルス作用があるとされていますから風邪などの感染症予防に高い効果が期待出来ます。

皮膚利用について

成分から見た働きとしてはむくみ緩和・抗菌などが考えられています。しかしアルデヒド類が多く皮膚刺激が強いため、スキンケア・マッサージなど直接皮膚に触れるような使用はあまりなされません。

肌に付けるような形としては手作り化粧品で原料(香料)としての利用程度が一般的ですが、敏感肌の方は利用しないほうが無難です。同様にアロマバスとしての利用も注意が必要です。心配な方は浴槽に混ぜず、コットンに染みさせたものを置くなどして香りだけを楽しむようにしましょう。

紫蘇(シソ)の利用について

相性の良い香り

ハーブ系とブレンドしやすい香りです。フローラル系、柑橘系とも比較的よく合うでしょう。

【紫蘇のブレンド例】

シソ精油の注意点

  • 妊娠中・授乳中の方は使用を避けましょう。
  • 皮膚刺激が強い精油のため、肌への使用はおすすめできません。
  • アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
  • 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。
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ラブダナム/シストローズ精油アロマ・エッセンシャルオイルと期待される効果効能紹介 https://d-nagaya.com/aroma/post-1405/ Fri, 15 Apr 2016 08:53:17 +0000 http://d-nagaya.com/?p=1405

世界最古の天然芳香剤とも

ラブダナム/シストローズ

ラブダナム/シストローズとは

シストローズは地中海沿岸地域が原産と考えられており、葉や枝から多量の芳香樹脂を分泌する芳香植物です。植物全体はシストローズ、この樹脂をラブダナムと呼び分けるのが一般的です。ラブダナムは特殊な製法や多量の原料を必要とせずに採集でき、かつ強烈な香りを持つことから古代から使用されており“世界最古の天然芳香剤”とも言われています。

古代には儀式や祭式などの宗教的なシーンで利用されることも多かったと考えられています。聖書に記されている没薬は現在私たちが知るミルラではなく、ラブダナムのことだったとする説もあるようです。薬用植物として赤痢・カタル・下痢・月経促進などにも利用されていました。中世頃には慢性皮膚疾患などにも利用されたほか、石鹸や化粧品などの香り付けにも使われていたようです。

現在でもラブダナムはスキンケアに優れた働きを持つオイルとして、香り付け+抗菌・収斂などの目的で化粧品に利用されています。個人で利用する場合は純粋に香りを楽しむというより、手作りコスメ用の方が需要が高いかもしれません。そのほか食品や香水原料・揮発保留剤などにも利用されています。ちなみにロッククローズという別名でも呼ばれていますが、フラワーエッセンス(バッチフラワーレメディ)で利用されるロックローズはHelianthemum nummulariumという別種を使用しています。

一口に“ラブダナム”もしくは“シストローズ”と言っても、製造工程の違いで4つに分かれます。大きな違いとしては第一段階として葉と小枝から天然ゴム(クルードガム)を作るか否か。更にこの天然ゴムを溶剤抽出したレジノイド、水蒸気蒸留した精油(エッセンシャルオイル)に分かれます。また乾燥させた枝葉から直接蒸留した精油(エッセンシャルオイル)、溶剤抽出したアブソリュート(厳密に言えばレジノイド)もありますから、選ぶ際にやや分かりにくい存在と言えるでしょう。ラブダナム、シストローズ、ロックローズなど呼び名が沢山あるのですが、名称によって製法などが分かるような統一はされていません。

基本データ

通称
ラブダナム(Labdanum)
別名
シストローズ(Ciste rose)、ロックローズ(Rock Rose)、シスタス、オニカ
学名
Cistus ladanifer
科名/種類
ハンニチバナ科ゴジアオイ属/常緑樹
主産地
スペイン、ポルトガル、フランス
抽出部位
樹脂・小枝・葉
抽出方法
水蒸気蒸留法もしくは揮発性有機溶剤抽出法
水蒸気蒸留:オレンジよりの黄色~琥珀色
溶剤抽出:緑がかったオリーブ~琥珀色
粘性
高い
溶剤抽出(アブソリュート/レジノイド)は半固形
ノート
ベースノート
香り度合い
強い
代表成分
α-ピネン、カンフェン、リモネン、酢酸ボルニル、リナロール、ゲラニオール他多数
おすすめ
芳香浴・アロマバス・マッサージ・スキンケア

スモーキーさの中に甘みを含む、強くて重厚な香り

こんなお悩みにオススメ

【精神面】

  • ストレス・緊張・不安
  • 気持ちを落ち着かせたい
  • 神経疲労・無気力
  • 冷静さが欲しい時に
  • 自律神経の乱れに
  • 自分と向き合いたい時に
  • 寝つきが悪い時に

【肉体面】

  • 風邪の初期症状に
  • 咳・気管支炎・鼻炎
  • 関節痛・リウマチ
  • 冷え性・筋肉のコリ
  • 脂性肌・ニキビ予防
  • 肌のエイジングケア
  • シミ・ニキビ跡・妊娠線ケア

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ラブダナム/シストローズに期待される効果・効能

ラブダナムには170種類以上もの精油成分が含まれており、産地・製造により各成分含有率に差が生じます。また非常に多くの成分を含んでいるため“微量”含まれる成分の働きについては書籍等で紹介されているもの・ないものがあります。

心への作用

気持ちを落ち着かせることで精神状態を安定させる働きに優れているとされ、ストレス・不安・緊張などの緩和に用いられます。鎮静効果によってリラックス(副交感神経活発化)することで自律神経を整える働きが期待されているほか、意識の深いレベルで心を癒す・慰めるとも言われていますのでストレスで気分が滅入っているときや無気力時、神経疲労時などにも適しているでしょう。

ラブダナムの香りは封じられた記憶や潜在意識と向き合うのに適していると考えられており、古代から宗教的な儀式や祭式の薫香として利用されてきました。ラブダナムは現在も瞑想用の香りとして使われているほか、不眠対策の香りとしても利用されています。

体への作用

鎮咳・去痰・消毒・抗炎症などの作用が考えられることから、ラブダナムは咳・気管支炎・鼻水など呼吸器系の不調、風邪のケアに有効とされています。リンパ系の強壮作用があるとする説もあり免疫力の向上(正常化)にも効果が期待されています。

また緊張を緩める働きによって自律神経を整える、血液・リンパ循環を良くして体を温め、体の強張りを解すとも言われています。そのため関節炎やリウマチの痛みを和らげる・肩こりなど筋肉のコリの緩和にも利用されています。ストレス性の胃腸トラブルの緩和などにも役立ってくれるでしょう。

女性の体への働きかけ

ラブダナムはネロールやゲラニオールなど女性ホルモン分泌に関わる成分を微量含むことから、若干の通経作用・ホルモンバランスを調整作用があると考えられています。月経不順や月経痛、月経前症候群(PMS)、更年期障害の緩和に有効とする説もあります。書籍等によっては妊娠中も利用できるとするものもありますから働きは弱いと考えられますが、念のため影響を受けやすい状態の時は使用を避ける方が無難でしょう。

その他作用

肌への働きかけ

ラブダナムは殺菌・抗菌作用、収斂作用があるとされているため、脂性肌やニキビ予防に役立つってくれます。また収斂作用に加え瘢痕形成作用が期待できることから、皮膚の再生を促す・肌代謝を向上させるなど働きもあると考えられています。肌の老化やシワ・たるみの予防改善、傷・ニキビ跡・妊娠線のケアなどに効果が期待できるでしょう。

ラブダナム/シストローズの利用について

相性の良い香り

強力な香りを持つためブレンドはやや困難です。ハーブ系・柑橘系・オリエンタル系との相性が比較的良いとされていますが、香りの系統よりもバランス(ブレンド比率)や好みが重要になってくるでしょう。

【ラブダナムのブレンド例】

ラブダナム精油の注意点

  • 妊娠中・授乳中の方は使用を避けましょう。
  • 精油の色が濃いため、衣服などに付かないように注意してください。
  • アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
  • 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。
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パセリシード精油アロマ・エッセンシャルオイルと期待される効果効能紹介 https://d-nagaya.com/aroma/post-1374/ Sat, 02 Apr 2016 08:38:53 +0000 http://d-nagaya.com/?p=1374

高い利尿効果・デトック効果が期待

パセリシード(Parsley seed)

パセリ(パセリシード)とは

パセリは地中海地方原産のセリ科の植物です。古代エジプトでは既にパセリの利尿効果などが知られており、泌尿器系の薬として用いられていたと伝えられています。古代ギリシアでパセリは名誉と喜びの象徴であったそうですが、逆にローマでは妊婦がパセリを食べると子供の体が弱くなるとして敬遠されていた時期もあるそう。食用・薬用としての他、宗教的な儀式用にもよく用いられていたそうです。

時間の経過とともにローマ人もパセリを食するようになり、9世紀頃にはフランスやイギリスなどにも徐々に広まっていきます。17世紀までヨーロッパ全土で栽培されるメジャーな存在になったそう。
日本にも18世紀にオランダから伝えられますが、日本では現在に至るまで主に料理の付け合せ・彩りを添える存在となっており、料理についてくるパセリを食べるという方はごく少数。硬い歯ごたえや独特の青臭さ・苦味などから敬遠されやすい存在ですが、近年は健康効果が高いことが認知され、スムージーの材料やサラダ野菜としてなど食事に取り入れる方も増えています。

パセリから採油される精油は種子から採油したパセリ・シードと、全草から採油されたパセリ・リーフの2つがあります。男性用のオーデコロンや石鹸などの化粧品、洗剤などにも配合されていますが、どちらも若干の刺激性・毒性があるためアロマテラピーで用いられることはほとんどありません。芳香浴以外に入浴やマッサージ、ヘアケアなどにも利用できますが、どの場合も低濃度で利用するよう注意してください。

基本データ

通称
パセリ・シード(Parsley seed)
別名
オランダゼリ(和蘭芹)、パースレー、旱芹菜
学名
Petroselinum crispum
科名/種類
セリ科/多年草
主産地
フランス、オランダ、ハンガリー、ドイツ
抽出部位
種子
抽出方法
水蒸気蒸留法
黄色~琥珀色
ノート
ミドルノート
香り度合い
中~強
代表成分
ミリスチシン、α-ピネン、β-ピネン、アピオール
おすすめ
芳香浴

スパイシーで温かみのある、やや刺激的なハーブ系の香り

こんなお悩みにオススメ

【精神面】

  • イライラ・興奮
  • ストレス・緊張
  • 神経疲労・神経過敏
  • リラックスしたいとき
  • 気持ちを落ち着けたい
  • 冷静さを取り戻したい

【肉体面】

  • むくみ・便秘
  • 尿道感染症・膀胱炎
  • 消化不良・腹部膨満感
  • デトックス(毒素排出)
  • 関節炎・神経痛緩和に
  • 月経不順・更年期障害
  • 頭皮ケア・育毛

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パセリシードに期待される効果・効能

心への作用

パセリの精油は鎮静効果があると考えられています。神経が張り詰めていることで起こるイライラ・興奮・緊張などを落ち着けて気持ちを安定させる働きが期待出来ます。

ストレスや神経疲労などによって疲れきった心をリラックスさせてくれるため、一旦頭を冷やしたいときのクールダウン・リセット剤としても適した香りであると言われています。イライラしやすい・頭に血がのぼりやすいタイプの方に良いでしょう。

体への作用

パセリ・シードは高い利尿効果を持つとされ、むくみやセルライトなど水分・毒素滞留の改善に優れた精油とされています。また利尿作用に加えて抗菌作用があることから、膀胱炎や尿路感染症の改善にも有効とされています。健胃、消化促進、駆風、緩下作用と消化器官への働きかけもあり、消化不良や腹部膨満感などにも良いと言われています。

緩下作用と利尿作用がありますから、便秘・むくみが多い方に役立ちますし、デトックス(解毒)効果も期待出来ます。滞留を改善し毒素の排出を促すことから関節炎・神経痛・リウマチなどの緩和に用いられることもあります。

女性の体への働きかけ

パセリ精油には女性ホルモンと似た成分が含まれており、月経周期の正常化(無月経・月経不順などの改善)に有効とされています。更年期障害の緩和に有効とする説もあります。

また分娩促進・母乳分泌促進作用もあり、出産時や産後に用いられたこともあるようですが、現在はあまり利用されません。刺激・毒性がありますので専門家の指示がない場合は妊娠中~授乳中の使用はしないようにした方が無難です。

その他作用

肌・頭皮への働きかけ

刺激が強いためスキンケアなどに用いることは少ないですが、収斂作用・抗炎症作用・穏やかな血流刺激作用があると言われています。頭皮の脂っぽさを抑え、血行を促すことから育毛に良いと言われています。

パセリシードの利用について

相性の良い香り

ハーブ系・スパイスの香りと相性がよく、軽めのフローラル系や樹木系とも合わせやすい香りです。刺激が強いため単体よりはブレンドの隠し味(香り)として使うと良いかもしれません。

【パセリシードのブレンド例】

パセリシード精油の注意点

  • 腎疾患・消化性腫瘍がある方は使用を避けてください。
  • 妊娠中・授乳中の方は使用を避けましょう。
  • 使用濃度に注意が必要な精油です。特に皮膚に触れるような利用方法の場合は低濃度を心がけ、敏感肌の方は利用を控えましょう。
  • アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
  • 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。
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キャラウェイシード精油アロマ・エッセンシャルオイルと期待される効果効能紹介 https://d-nagaya.com/aroma/post-1351/ Wed, 23 Mar 2016 08:05:22 +0000 http://d-nagaya.com/?p=1351

神経疲労・ストレス性の胃腸不調に

キャラウェイシード

キャラウェイ(種子)とは

キャラウェイはセリ科の二年草で、スパイスとしては通常「種子」と呼ばれる果実部分を利用しています。同じセリ科のクミンフェンネルと外見がよく似ていますし、特にクミンとは語源も同じためアジア地域では混同されていることが多いそう。また同じくセリ科のディル(イノンド)に関しては日本では同じ「姫茴香」の名で呼ばれるなど、同じセリ科内でなにかと混同されることが多いスパイスです。ちなみにクミンやディル同様、一般的にシード(種子)と呼ばれ香辛料としても利用されている部分は正式には「果実」にあたります。

キャラウェイは古いものではスイスの遺跡(新石器時代、紀元前5,000年頃)からも発見されている、人類との結びつき・歴史が深いハーブです。紀元前1000年頃にフェニキア人の手によってヨーロッパに伝えられ、古代エジプトの墓やシルクロード沿いなどからも発見されていますし、古代エジプト人やローマ人はパン作りの際にも利用していたと考えられています。
食用スパイスとしてだけではなく魔除けや媚薬としてもキャラウェイはよく用いられる存在でした。古くは浄化に用いられるハーブだったようですが、時と共に神聖なものと繋がることから「繋がりを維持する」と信じられるようになり、愛人をつなぎ止める・餌に入れておくと家畜が逃げないなどの伝承へと発展したようです。

現在は葉は生食用やハーブとして、種子は料理・製菓用スパイスとしてのほか、リキュールやカクテルなど酒類の香り付けにも用いられています。精油も歯磨き粉やマウスウォッシュ、化粧品、香水などに利用されています。メーカー等によって多少の差はありますがキャラウェイシードの精油は甘さ・苦味の混じったスパイシーな香りを持つとされています。同じセリ科でもクミンシードは濃厚でスパイシーなムスク系寄り、フェンネルシードは甘さと爽やかさのあるハーブ系寄り、ディルシード精油は爽やかさが強くミントに近いなどそれぞれに特徴があります。スパイスとして知っている香りと精油の香りはイコールではないことが多いので、香りを試してから購入するのがオススメです。

基本データ

通称
キャラウェイ(Caraway)
別名
姫茴香(ヒメウイキョウ)、キャラウェイシード
学名
Carum carvi
科名/種類
セリ科ヒメウイキョウ属/二年草
主産地
ドイツ、オランダ、エジプト、ポーランド、ハンガリー、ロシア
抽出部位
種子(果実)
抽出方法
水蒸気蒸留法
淡黄色~オレンジ色
ノート
トップノート
香り度合い
中~強
代表成分
d-カルボン、リモネン、tカルベオール、α-ピネン、クミンアルデヒド
おすすめ
芳香浴・アロマバス・マッサージ・防虫

スパイシーさが強く、甘さや苦味も含む複雑で強い香り

こんなお悩みにオススメ

【精神面】

  • 情緒不安定・神経疲労
  • イライラ・緊張・興奮
  • 不安・恐怖・無気力
  • 自信喪失・自己不信
  • 安定感が欲しい
  • メンタルを強くしたい

【肉体面】

  • 食欲不振・消化不良
  • 神経性の胃痛・腹痛
  • 腹部膨満感・ゲップ
  • 気管支炎・咳・痰
  • 血行不良・冷え性
  • 月経痛の緩和
  • 虫(ゴキブリ)除けに

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キャラウェイシードに期待される効果・効能

心への作用

キャラウェイ精油の主成分はd-カルボン(ケトン類)とリモネン(モノテルペン炭化水素類)で、共に鎮静作用を持ちます。そのためキャラウェイは精神的な緊張・興奮状態を緩和し、精神安定に役立つ精油と考えられています。

d-カルボンには中枢神経刺激作用(刺激作用)もありますし、微量ながらα-ピネンやサビネンなど強壮作用を持つ成分も含んでいます。それらの成分の働きから気持ちを落ち着ける・リラックスさせる働き以外に、キャラウェイはやる気を高めたり自信や信念の回復などにも役立つ精油とも言われています。自分に自信が持てない人や心配性の方にもオススメです。

体への作用

胃腸の機能サポートに優れた精油とされています。消化不良や腹部膨満感(腸内ガスによるお腹のハリ)などの緩和、精神面への働きと合わせて神経性の消化不良・食欲不振・胃痛・胃痙攣などにも役立ちます。消化器系の不調を幅広くカバーしてくれると言えるでしょう。

リモネンやピネンなどには血行促進効果がありますから、血流を改善して体を温める働きがあると考えられます。若干の通経作用や鎮痙作用があるとする説もありますから冷え性や生理痛など女性に嬉しい働きも期待出来ます。そのほかに鎮痙作用・去痰作用から気管支炎・咳・咽頭炎などの緩和にも用いられることがあります。殺菌消毒作用もありますから風邪の初期症状による喉の不快感にも良いでしょう。

その他作用

皮膚・頭皮への働きかけ

皮膚刺激があることからあまりスキンケアなどに利用されることはありませんが、殺菌消毒・皮膚再生促進・かゆみの緩和などに有効とされています。ニキビや皮膚のかゆみ、頭皮環境の改善などに良いと言われています。
ただし刺激が強いため手作りコスメの原料としてなど、スキンケア面への使用を考える場合は刺激性の少ない精油・利用のデータが多い精油の使用をおすすめします

虫除けとして

キャラウェイに多く含まれているケトン類のカルボンには昆虫忌避作用があります。特にゴキブリが嫌う香りとされ、キャラウェイはゴキブリ避けとしてはナンバーワンとも言われるほど高い効果が期待出来ます。ディフューザーでお部屋に拡散するのは勿論ですが、水回りやクローゼットの隅などに希釈してスプレーしたり、香りをつけたコットンを置いておくなどしても良いでしょう。

キャラウェイシードの利用について

相性の良い香り

スパイス系精油と相性が良く、ハーブ系の香りとも比較的合わせやすいです。キャラウェイ精油の香りが強いため、ブレンド時はごく少量を加えるようにすると失敗しにくいでしょう。

【キャラウェイシードのブレンド例】

キャラウェイシード精油の注意点

  • 妊娠中・授乳中の方、幼児への使用は避けてください。
  • 刺激が強いため少量・短時間での使用がおすすめです。また敏感肌の方は注意が必要です。
  • アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
  • 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。
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ディルシード精油アロマ・エッセンシャルオイルと期待される効果効能紹介 https://d-nagaya.com/aroma/post-1327/ Fri, 11 Mar 2016 08:56:44 +0000 http://d-nagaya.com/?p=1327

メンタル面や不眠のサポートに期待

ディルシードのイメージ

ディルシードとは

ディルはセリ科イノンド属に属する唯一の種で、外見は同じセリ科のフェンネルに非常によく似ています。シダ状の細葉(ディルウィード)は香草としてサラダやマリネに、種子(ディルシード)は香辛料として魚料理やピクルスなどにと、欧米ではハーブとしてもよく利用されている存在です。香りが近いことからキャラウェイの代用品としても用いられており、同じセリ科のフェンネルキャラウェイディルは混合されやすいと言われています。日本でもキャラウェイとディルは同じ「姫茴香」という別名を持ちます。

ディルは西南アジアから中央アジアが原産とされており、石器時代から利用されてきた歴史のあるハーブです。紀元前3000年頃にはヨーロッパやエジプトなどへと伝播し、古代エジプトの医師に用いられていたとも伝えられています。タルムードや新約聖書には10分1税としてディルを収めていたことも記述されています。古くから鎮静効果が知られており、英名のディル(dill)も古代ノルウェー語またはスカンジナビア語で「鎮める/なだめる/穏やかにする」などの意味を持つ”dilla(ジーラ)”という言葉が語源とされています。
日本には江戸時代にスペイン人によって伝えられたと言われていますが、ハーブ・スパイスとしてではなく蒔蘿子(ジラシ)という名で生薬として用いられてきました。漢方では脾腎を温めて健胃・理気の効能があるとされ、主に芳香性健胃薬・駆風薬として用いられています。

精油の場合もディルシードとディルウィードの2つに大きく分かれ、ディルシードはヨーロッパ、ディルウィードはアメリカが主要生産地となっています。一般的に用いられるのはディルシードの方で、フレッシュさのあるハーブ系・スペアミントに例えられる香りを持ちます。ディルウィードは香りが強く、甘さを含んだスパイス系・ナツメグなどに近い香りです。同じセリ科のフェンネルやキャラウェイと比べるとディルシード(種子)・ディルウィード(葉)共に甘さが少なく、清涼感やスパイシーさが強いのが特徴と言われています。

基本データ

通称
ディルシード(Dill seed)
別名
イノンド(時蘿・伊乃牟止)、時蘿子、土茴香
学名
Anethum graveolens
科名/種類
セリ科イノンド属/一年草
主産地
フランス、ハンガリー、スペイン、イギリス、ドイツ他ヨーロッパ諸国
抽出部位
種子
抽出方法
水蒸気蒸留法
ほぼ無色~淡黄色
ノート
トップ~ミドルノート
香り度合い
中くらい
代表成分
d-カルボン、リモネン、α-フェランドレン、オイゲノール
おすすめ
芳香浴・アロマバス・マッサージ

フレッシュでスパイシー、ミントに似たハーブ調の香り

こんなお悩みにオススメ

【精神面】

  • イライラ・怒り・興奮
  • ショック・感情抑圧時
  • ストレス・神経疲労時
  • 不眠気味・眠りが浅い
  • 情緒不安定なときに
  • リフレッシュしたい時

【肉体面】

  • 腹部膨満感・便秘
  • 消化不良・腹痛
  • しゃっくり・筋肉痙攣
  • 頭痛・生理痛
  • 咳・痰・鼻の不快感
  • 喘息・気管支炎

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ディルシードに期待される効果・効能

心への作用

ディルは「鎮める・なだめる」などの意味を持つ”dilla”という言葉が語源とも言われるように、古くから鎮静作用があることで知られていました。精油の成分的にもd-カルボン(ケトン類)とリモネン(モノテルペン炭化水素類)が主成分となっており、この2つが相乗することで高い鎮静効果・精神安定効果をもたらすと考えられています。そのためイライラや怒り、ショック、ストレス、感情的抑圧を感じる時などに、精神的興奮を落ち着ける用途で主に用いられてます。リラックス効果が高いため不眠対策としても用いられます。

またディルに含まれているd-カルボンの中枢神経刺激作用は覚醒の方向でも作用が期待できますので、気持ちをリフレッシュさせる・活力を取り戻す・やる気を起こすなどの働きもあるとされています。

体への作用

消化促進・駆風・腸の蠕運動促進作用があるため消化器系のサポート、特に腸内ガスによるお腹のハリが気になる方や便秘の方によく用いられます。また鎮静作用と抗痙攣作用に優れているため、古くからしゃっくり止めに用いられていました。しゃっくり以外にも喘息・気管支炎そのほか頭痛や筋肉の痙攣の緩和に有効とされています。粘液溶解・去痰作用などもありますので、咳・痰・鼻水・鼻詰まりなど呼吸器系の不快感の緩和にも適しています。

女性の体への働きかけ

ディルには分娩促進・母乳分泌促進作用や通経作用があるとも考えられており、古くは出産を楽にするために用いられていたこともあるようです。ただし現在はケトル類による神経・肝臓毒性などの危険性などから妊娠中や授乳中の使用は控えるべき精油と考えられています。月経促進用として用いられることも一般的にはありません。ただし鎮静・鎮痙作用がありますので生理痛の緩和には役立ってくれる可能性があるでしょう。

その他作用

虫除けとして

キャラウェイに多く含まれているケトン類のカルボンには昆虫忌避作用があり、特にゴキブリが嫌う香りとされています。ゴキブリ避けとしてはナンバーワンとも言われるキャラウェイよりもディル精油は概ねカルボン含有比が高いため、ディフューザーでお部屋に拡散したり、水回りにアロマスプレーをしておくとG避け効果が期待出来ます。

皮膚利用について

希釈してマッサージオイルやアロマバスとしての利用もできますが、刺激が強いためあまり用いられません。肌荒れの改善効果と創傷治癒作用があるほか、冷え・静脈瘤・セルライトなどにも有効と言われています。

ディルシードの利用について

相性の良い香り

柑橘系・ハーブ系の香りと相性がよく、スパイス系の香りとも合わせやすいです。

【ディルシードのブレンド例】

ディルシード精油の注意点

  • 妊娠中・授乳中の方、幼児への使用は避けてください。
  • 刺激が強いため少量・短時間での使用がおすすめです。また敏感肌の方は注意が必要です。
  • アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
  • 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。
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黒文字/クロモジ精油アロマ・エッセンシャルオイルと期待される効果効能紹介 https://d-nagaya.com/aroma/post-1302/ Wed, 24 Feb 2016 09:05:54 +0000 http://d-nagaya.com/?p=1302

ローズウッドに似た香りと作用を持つ和精油

黒文字(クロモジ)とは

クロモジは岩手県以南の本州・四国・九州に自生しているクスノキ科の低木で、若枝の表面に出る黒い斑紋が文字のように見えることが「黒文字」という呼び名の由来。小枝や葉を折ると香気を放つことから「疲れを癒す木」として山間部に暮らす方や登山者にも親しまれています。古くから爪楊枝の材料として重用されてきた樹木でもあり、現在でも高級爪楊枝はクロモジと呼ばれ、和菓子や料亭などで添えられています。クロモジの枝を編んで作った「黒文字垣」も良い香りのすることから茶室の庭に珍重されています。そのほか東北・北越では獲物をクロモジの木の枝に刺し神への供物とする風習もあったようです。

またクロモジは薬用植物としても知られ、皮膚のトラブルに根皮や樹皮を入浴剤として用いたり、煎じたものを患部に塗るなどの民間療法も行われていました。枝は烏樟(ウショウ)・根は釣樟(チョウショウ)と呼ばれ、感冒薬(生薬)としても利用されています。ウショウは神経の興奮を鎮めて安眠に導く・痰や咳の改善・体を温める作用などがあるとされ、薬用養命酒にも配合されています。

黒文字油と呼ばれる精油は明治時代から採油されるようになり、その香りの良さから香水原料や石鹸の香り付けとしての利用、ヨーロッパへの輸出も行われていたようです。一時はほとんど利用されなくなったもの、近年同じくクスノキ科で近年絶滅が危惧されているローズウッドと似た香り・成分・作用を持つことや、ヒノキと並ぶ森林系和精油として注目されています。クロモジ精油は採油率が非常に低いことから高価で希少価値の高い部類に属しますが、近年は国産品という信頼感の高さ・男女問わず好感度の高いシャープすぎない丸みのある香りから人気が高まっています。

基本データ

通称
黒文字(Kuromoji)
別名
クロモンジュ
学名
Lindera umbellata
科名/種類
クスノキ科クロモジ属/落葉低木
主産地
日本
抽出部位
葉、枝
抽出方法
水蒸気蒸留法
淡黄色~黄緑色
ノート
ミドルノート
香り度合い
中ぐらい
代表成分
リナロール、1,8-シネオール、リモネン、α-ピネン、ゲラニオール、酢酸リナリル
おすすめ
芳香浴・アロマバス・マッサージ・スキンケア・ヘアケア

ローズウッドに似た、やや甘みのある森の香り

こんなお悩みにオススメ

【精神面】

  • ストレス・神経疲労
  • 不安・悲しみ・孤独
  • イライラ・落ち込み
  • 寝つきが悪い・眠りが浅い
  • リラクックスしたい時
  • 心が疲れているとき

【肉体面】

  • 血行不良・冷え性
  • 肩こり・腰痛
  • 神経痛・関節痛・筋肉痛
  • 風邪・インフルエンザ予防
  • 喉・鼻の不快感に
  • ストレス性の不調に
  • ニキビ・湿疹ケアに
  • 傷・炎症痕のケアに
  • 抜け毛・フケ予防に</li

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黒文字(クロモジ)に期待される効果・効能

心への作用

クロモジ精油はローズウッドと同様リナロールが主成分となっており、そのほかゲラニオール、カルボン、リモネン、α-ピネンなどを含んでいます。リナロールは優れた鎮静・抗不安作用を持ちますし、ゲラニオールには抗うつ作用があるとされています。

これらの成分が複合することで、クロモジの香りはストレスや孤独・悲しみ・不安などによって疲れてしまった心を癒しす働きがあると考えられています。イライラなど興奮状態の時には気持ちを落ち着けてくれるでしょう。リラックス効果に非常に優れていることから、神経疲労の回復や安眠などにも用いられています。

体への作用

クロモジ精油は血行を促進し体を温める作用があると考えられ、冷え性・肩こり・腰痛・神経痛・リウマチ・関節痛などの緩和改善に用いられます。精神面への働きかけに優れていることから、ストレス性の不調・自律神経の乱れの緩和(副交感神経の活性化)などにも役立ってくれるでしょう。

また抗菌・抗ウィルス作用や免疫力を高める働きがあるとされており、体を温める働きと合わせて風邪やインフルエンザ予防にも有効とされています。鎮咳・粘液溶解・抗喘息作用などがあるとも言われていますので、呼吸器系の不調にも改善効果が期待できます。

その他作用

肌への働きかけ

肌に対しては保湿作用と抗炎症作用があり、ニキビ・湿疹・虫刺されなどの改善に有効とされています。またティーツリーの4倍の抗真菌作用があると報告されており、白癬菌などへの薬理活性も研究されていますから、水虫など真菌性の皮膚炎症ケアにも効果が期待されています。

瘢痕形成作用や新陳代謝促進効果なども期待されており、炎症・傷の回復を早めたり、傷傷痕を残しにくくするためのケアに用いられることもあるようです。新陳代謝促進や保湿作用から肌のハリや透明感の維持など、美肌作りに役立つ精油・化粧品原料としても注目されています。

頭皮への働きかけ

クロモジ精油は脱毛予防(育毛効果)やフケ予防に有効とされており、デオドラント作用もありますのでヘアケア用としてもよく用いられています。

黒文字(クロモジ)の利用について

相性の良い香り

樹木系の香りと相性がよく、ハーブ系・柑橘系の香りとも比較的合わせやすいでしょう。

【クロモジのブレンド例】

クロモジ精油の注意点

  • 妊娠中・授乳中の方、乳幼児への使用は避けましょう。
  • 低血圧の方は濃度・使用時間に注意が必要です。
  • アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
  • 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。
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柚子/ユズ精油アロマ・エッセンシャルオイルと期待される効果効能紹介 https://d-nagaya.com/aroma/post-1283/ Wed, 10 Feb 2016 09:11:04 +0000 http://d-nagaya.com/?p=1283

温めてくれるような、和みの柑橘系

本柚子(Yuzu)

柚子(ゆず)とは

日本発の和精油の一つで、様々な効能から近年海外からも注目されているユズの精油。柚子は中国原産ですが日本でも奈良時代頃から栽培が行われていたと伝えられています。柑橘類の中で最も耐寒性があることもあり、日本全国で古くから親しまれてきた歴史ある柑橘類と言えます。日本料理では香味・酸味を加える調味料として欠かせない存在でもあり、果皮も七味唐辛子や柚子胡椒などスパイス・薬味として利用されていることから和食の必需品の1つとも言えます。海外でも呼び名として和名の「Yuzu」が一般的に用いられているのだとか。

柚子といえば冬至の「柚子湯」を連想する方も多いのではないでしょうか。柚子は古来より邪気を払う果物と考えられており、元々は病を引き起こす「邪気」を追い払い冬を健康に過ごせるようにするためだったそう。そんな影響もあってか柚子の花言葉は「健康美」です。近年でも柚子の香りの良さに加え、体を温める働きもあることから「柚子の香り」の入浴剤などが多く販売されていますね。

食べ物から入浴まで、様々な形で親しみのある柚子。特に私たち日本人にとって柚子の香りはオレンジ・スイートと並ぶほどに好き嫌いがないと言われており、TPOを選ばすに香らせられる精油でもあります。香りの働きだけではなく、文化的にもどこかホッとして緊張が緩むような暖かさを感じる香りです。精油を入浴時に利用しても“柚子湯”効果が期待できますが、アロマバスやマッサージオイルとして肌につけるような利用をする場合は水蒸気蒸留法の精油を用いたほうが安全性は高いと言われています。ちなみに香り楽しむ場合は果皮から採油された精油が、柚子の種子から採れる「ユズシードオイル(柚子種子油)」は化粧品油・キャリアオイルとして利用されています。

基本データ

通称
柚子(Yuzu)
別名
本柚子(ホンユズ)、酸密柑(スミカン)
学名
Citrus junos
科名/種類
ミカン科ミカン属/常緑小高木
主産地
日本
抽出部位
果皮
抽出方法
圧搾法・水蒸気蒸留法
圧搾法:濃い黄色~オレンジ色
水蒸気蒸留法:無色~淡黄色
ノート
トップノート
香り度合い
中~強め
代表成分
リモネン、γ-テルピネン、β-フェランドレン、ミルセン、α-ピネン、リナロール
おすすめ
芳香浴・アロマバス・マッサージ・スキンケア・ヘアケア

柑橘系の爽やかさと微かな苦味を持つ、ユズの香り

こんなお悩みにオススメ

【精神面】

  • イライラ・怒り
  • 不安・優柔不断
  • 気持ちの落ち込み
  • ストレス・神経疲労
  • 気分を明るくしたい
  • 一息入れたい時に
  • リラックスタイムに

【肉体面】

  • 血行不良・冷え性
  • むくみ・便秘
  • 自律神経失調気味の時
  • 風邪・インフルエンザ予防
  • 悪寒・熱っぽい時に
  • 体調がスッキリしない
  • 肌・頭皮の乾燥に

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柚子(ゆず)に期待される効果・効能

心への作用

ユズ精油にはリモネンが6~7割以上と多く含まれています。リモネンの鎮静作用からリラックス効果が期待できますし、同様に鎮静作用を持つシトラールや森林浴・強壮効果があるとされるα-ピネンなども含まれています。相乗して精神面へのサポートが期待できるでしょう。イライラや怒りなどの感情を落ち着けるのはもちろんのこと、心を穏やかに癒すことでストレスや不安・気分の落ち込みを和らげ、前向きさや元気を取り戻すサポートにも役立つと考えられています。

また不安や自信のなさから決断が出来ない・鈍っている時にも良いと言われています。シャープで爽やかなことからリフレッシュ用としても活用されますが、ユズ精油は刺激を与えてシャッキリと覚醒させるわけではなく、気持ちを明るくしたり和ませる香りです。ベルガモットなどに近くリラックス効果の方が高いため、リラックスタイムや就寝時などゆったりしたい時に特にオススメです。

体への作用

リモネンやα-ピネンなど血行促進作用が期待できる成分の含有量が高いことがユズ精油の特徴と言えます。血行促進作用によって体を温める働きに加え発汗・利尿作用もありますので、むくみやすい方、冷え性の方に適しています。そのほかにユズ精油は抗菌・抗ウイルス作用や免疫力を高める働きもあり、風邪やインフルエンザの予防にも用いられます。体を温める働きや発汗作用がありますので初期症状(発熱)時のケアなどにも効果が期待出来ます。

加えてリモネンには胃腸の蠕動運動促進作用がありますので食欲不振や便秘の解消にも効果が期待出来ます。ユズ精油は女性の悩みに多い「冷え・むくみ・便秘」の予防や緩和に役立つと言えます、また直接的な女性ホルモンへの働きかけはありませんがリラックス効果や体を温める働きがあるほか、自律神経を整える働きがあるとされていますので生理前・生理中のイライラや体調不良の緩和にも役立ってくれるでしょう。

その他作用

肌への働きかけ

スキンケアなどに用いられることは少ないですが、殺菌作用と保湿作用が期待出来ます。頭皮のフケ予防やボディクリーム・オイルに香り付も兼ねてユズ精油をブレンドするのがオススメです。

圧搾法で採油されたユズ精油は光毒性があるとする説もありますし、皮膚刺激も強いのでアロマバスにしろマッサージ用にしろ肌への使用を考えている場合は水蒸気蒸留法で採油された精油を選ぶようにすると良いでしょう。流通量は少ないですが水蒸気蒸留法のものは光毒性がなく、比較的皮膚刺激も少ないとされていますので、手作りコスメの香り付けなどがメインの場合はこちらを購入するのもオススメです。

柚子(ゆず)の利用について

相性の良い香り

香りの系統を問わずブレンドしやすい香りです。特に柑橘系全般とは失敗がなく、フローラル系やオリエンタル系もほとんどの香りとマッチします。

【ユズのブレンド例】

ユズ精油の注意点

  • 高濃度での使用は皮膚刺激を起こす可能性があります。
  • 開封後は直射日光を避け、半年以内に使い切るようにしましょう。
  • 諸説ありますが圧搾法で採油された精油を肌に使用したあとは紫外線を避けるようにしたほうが無難です。
  • アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
  • 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。
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バイオレット/スミレ・アブソリュートアロマ・エッセンシャルオイルと期待される効果効能紹介 https://d-nagaya.com/aroma/post-1278/ Wed, 03 Feb 2016 08:47:04 +0000 http://d-nagaya.com/?p=1278

ストレス・不眠解消や呼吸器系の不調に

バイオレット(ニオイスミレ)

バイオレット(ニオイスミレ)とは

ヨーロッパからアジアにかけての地域で古くから古くからハーブ(薬草)や食材、化粧品・入浴剤として利用されてきた歴史のあるバイオレット。日本ですみれ色が紫色を指すように、英語バイオレット(Violet)は表す言葉としても利用されます。イタリア語やフランス語でも同様で、属名の「Viola」もスミレやすみれ色(紫)を表しています。

日本で「スミレ(バイオレット)の香り」という表記は芳香商品などの表現としてメジャーではないですが、西洋ではローズラベンダーと並ぶ香料として親しまれきた歴史を持ちます。古くは古代ギリシアでは豊穣の象徴と考えられていたほか、花の香りの鎮静効果も知られており、興奮を落ち着けるときや就寝用にも活用していたようです。アテネの紋章に用いられていたという説もあります。
またフランス王妃マリーアントワネットやハプスブルク家王妃エリザベート、ナポレオン(と最初の妻ジョセフィーヌ)が愛した花としてもスミレは有名でそ。そのほかニオイスミレは永遠の愛や思いやりのシンボルとして装飾図案にも利用されていますし、食用花としても使われていますのでヨーロッパでは何かと馴染み深い存在なのでしょう。

ニオイスミレは室内に置く場合、生花一輪でも部屋中に香りが漂うと言われるほど強い香りを持っています。香料用としては花・葉の両方から採油が行われています。花だけを用いたものはバイオレットフラワー・葉だけを用いたものはバイオレッドリーフと呼び、それぞれ香りが異なります。花から香りを抽出したバイオレッドアブソリューは採油できる量が少なく、高価で貴重な精油の1つに数えられています。

基本データ

通称
バイオレット(Violet Abs.)
別名
匂菫(ニオイスミレ)、スイートバイオレット
学名
Viola odorata
科名/種類
スミレ科/多年草
主産地
フランス、イタリア、エジプト、中国
抽出部位
花・葉
抽出方法
溶剤抽出法(アブソリュート)
バイオレットフラワー:黄緑色
バイオレットリーフ :黒っぽい緑色
粘性
中~高め
ノート
ミドルノート
香り度合い
強い
代表成分
ベンジルアルコール、パルミチン酸、リナロール、ノナジエナール
おすすめ
芳香浴、手作り香水

フラワーは濃厚なスミレの香り、
リーフはグリーンさが強く微かに甘いスミレが香る

こんなお悩みにオススメ

【精神面】

  • ストレス・神経疲労
  • イライラ・興奮
  • 不安・緊張・落ち込み
  • 情緒不安定な時に
  • 不眠の改善に
  • 心に癒しが欲しい

【肉体面】

  • 頭痛・偏頭痛
  • 二日酔いに
  • 冷え・むくみ
  • リウマチ・痛風
  • 気管支炎・咳・痰
  • 性的なお悩みに
  • ニキビ・湿疹・痒み

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バイオレット(ニオイスミレ)に期待される効果・効能

心への作用

バイオレットの香りは鎮静作用が強く、怒り・イライラを鎮めるのに高い効果を発揮すると考えられています。感情のコントロールが難しいときに気持ちを落ち着け、自分を取り戻す手助けをしてくれる香りとも言われていますよ。

またストレスや不安・緊張などによる気持ちの落ち込みや神経性疲労などに対しても、バイオレットはリラックス状態に導くことで心を癒すと考えられています。精神的な不安定さや興奮などから起こる不眠に対しても有効と考えられており、不眠症の改善にも利用されます。

体への作用

穏やかな鎮静・鎮痛作用と精神面へのリラックス効果から頭痛・偏頭痛・めまいなどの改善が期待出来ます。二日酔いのときにも役立つと言われています。また利尿・発汗・循環器系刺激作用などもあるため冷え、むくみ、痛風、リウマチなどの緩和にも効果が期待できるでしょう。

そのほかに催淫作用があり、性衝動を回復させて性的障害の改善に役立つとも言われています。

呼吸器系の不調軽減にも

バイオレット(スミレ)は中世の民間医薬として呼吸器疾患に利用されてきた歴史を持ちます。咳や痰を落ち着けさせる働きがあると考えられ、抗炎症作用と合わせて気管支炎、咳、痰絡み、喉の不快感など口内・呼吸器系のトラブルに幅広く有効とされています。

その他作用

肌への働きかけ

抗炎症作用と跡を残さないように傷の治りを促す働きがあり、ニキビ・湿疹・痒みなどの改善に有効とされています。また収斂作用から開いた毛穴のケアに良いとする説もあります。…とは言われているものの、肌への直接使用は刺激があるためお勧めできません。芳香浴として利用しても効果が期待できると言われていますので、直接的に塗りこむのは避けたほうが確実でしょう。

バイオレット(ニオイスミレ)の利用について

相性の良い香り

柑橘系・フローラル系の香りとの相性がよく、甘めのハーブ系ともよく合います。高価なうえ香りが強いオイルですので、ブレンドする場合は少量ずつ利用しましょう。

【バイオレットのブレンド例】

バイオレット・アブソリュートの注意点

  • 妊娠中・授乳中の使用は控えましょう。
  • 皮膚刺激を受ける場合があるため、肌へ使用する場合は注意して利用してください。
  • アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
  • 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。
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チュベローズ/月下香アブソリュートアロマ・エッセンシャルオイルと期待される効果効能紹介 https://d-nagaya.com/aroma/post-1251/ Fri, 22 Jan 2016 08:59:20 +0000 http://d-nagaya.com/?p=1251

心にも優しい、清楚かつ魅惑的な香り

tuberosa

チュベローズ(月下香)とは

チュベローズはメキシコが原産のリュウゼツラン亜科の多年草(球根植物)で、ローズと付きますがバラとは全く違う種になります。抽出した精油を香水として利用するためにヨーロッパで品種改良が行われた、世界中の温暖な地域で栽培されるようになりました。ハワイではレイや宗教行事用に、バリ島では「スダップマラム」と呼びウェルカムフラワーとして利用されています。

チュベローズはインドやマレーシア辺りでは高価なアブソリュートととしてよく知られているジャスミンと同様「夜の女王」とも呼ばれているようです。ジャスミンは夜に強い芳香を放つため・チュベローズは月夜の晩に咲いた花の香りが特に素晴らしいため、と理由は若干異なっています。同じく中国の「晩香玉」や台湾の「月下香」という呼び名も、月夜の晩に咲いた花は特に濃厚な香りを放つと言われていることが由来。

チューベローズ精油の大半はアブソリュートのためアロマテラピーではほとんど利用されませんが、うっとりするような香りはネガティブさを取り除くとも言われています。主に香水の原料として用いられますが、芳香浴に利用することもあり、成分的に見ると有用な働きかけも期待できるとする説もあります。
フローラルさと甘さが強く濃厚でエキゾチックな香りがチュベローズの特徴ですが、1800kgの花からわずか500gのアブソリュートしか抽出できないと言われるほどチュベローズ精油は貴重です。10mlで5万円前後の値がつくためフローラル系最高価とも言われています。日常的に惜しげなく使うには高級ですが、ブレンドしてお好みの香りを作りたい時や甘く幸せな気分を味わいたい時に役立つ「とっておきの香り」と言えるでしょう。

基本データ

通称
チュベローズ(Tuberose Abs.)
別名
チューベローズ、月下香(ゲッカコウ)、スダップマラム、晩香玉(ワンシャンユイ)
学名
Polianthes tuberosa
科名/種類
リュウゼツラン亜科(ゲッカコウ属)/多年草
主産地
インド、エジプト、インドネシア、台湾
抽出部位
抽出方法
溶剤抽出法(アブソリュート)
※稀に水蒸気蒸留法のものも有
濃い赤茶色
ノート
ミドル~トップノート
香り度合い
中~強
代表成分
安息香酸ベンジル、サリチル酸メチル、安息香酸メチル、α-テルピネオール、リナロール、オイゲノール、ジャスミンラクトン
おすすめ
芳香浴、手作り香水

完熟したブドウのような、甘く濃厚でフルーティーな香り

こんなお悩みにオススメ

【精神面】

  • ストレス・神経疲労
  • 不安・気分の落ち込みに
  • リラックスしたい
  • 前向きになりたい
  • 頭をスッキリさせたい

【肉体面】

  • 神経性の不調全般
  • 喉の不快感や痰
  • 血行不良・冷え性
  • 恋人と過ごす夜に
  • 肌の保湿・保護
  • アンチエイジング

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チュベローズに期待される効果・効能

心への作用

甘く濃厚ながらくどすぎない、特に女性がうっとりとしてしまうチュベローズの香りは高いリラックス効果があると言われています。対人関係や不安など精神面でのストレスを和らげて気持ちを楽にする働きがあり、明るい気持ちや前向きさを取り戻すために力を貸してくれるでしょう。

フローラル系の香りには珍しく、チュベローズは頭をスッキリとクリアにして頭の計算能力などを高める働きもあると言われています。お仕事用の香水などにも適した香りと言えます。

体への作用

鎮静作用が高く、神経系や呼吸器系の不調や炎症の緩和に有効とされています。血液の循環も良くする作用があり、体を温める働きもあると言われていますので冷え性の方にも適しています。

またチュベローズはリラックス効果が高い香りなので、血液循環促進と合わせてストレス性の胃痛や下痢など神経性胃腸トラブルの改善にも効果が期待できるでしょう。そのほかマウスを使った久留米大学の実験では、高圧ストレスにより低下した免疫機能の回復にチュベローズの香りは高い効果があったことが報告されています。

セクシーさのアピールにも

チュベローズの香りは「マスカット」などとも称されるように甘く濃厚な香りがありますが、ホワイトフローラルとも言える清楚さ・奥ゆかしさも兼ね備えており、フローラル系の香りに多く見られる催淫作用もあると考えられています。

中世には「花の香りの中で最もセクシー」という説や、チュベローズの畑を横切ると欲望が抑えられなくなるため恋人同士の夜間通行禁止令もあったようです。ちなみにチュベローズ花言葉もまた危険な楽しみ・火遊びなど。イランイランほど濃厚濃密な香りではないので、さり気なくセクシーさを取り入れた香水を作りたい時などに使いやすい香りです。

その他作用

肌への働きかけ

チュベローズから抽出される「チュベローズ多糖体」と呼ばれる成分は保湿効果・肌の保護作用、アンチエイジング効果があると言われています。ただしアブソリュートの場合は肌への直接使用は刺激があるためお勧めできません。芳香浴として利用しても効果が期待できると言われていますので、直接的に塗りこむのは避けましょう。

チュベローズの利用について

相性の良い香り

フローラル系・オリエンタル系の香りとの相性が良いとされています。
香りが強いためブレンド時は少量の利用が適していますが、揮発性が高く香りの持続時間が短いのでベースノートの香りとブレンドして利用すると良いでしょう。

【チュベローズのブレンド例】

チュベローズ精油の注意点

  • 妊娠中・授乳中の使用、長時間の使用は控えましょう。
  • 低温状態では固まる性質があります。
  • アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
  • 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。
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【アロマ】セロリシード精油-植物の特徴・期待される効果効能とは? https://d-nagaya.com/aroma/post-1237/ Thu, 07 Jan 2016 09:01:52 +0000 http://d-nagaya.com/?p=1237

ストレス・安眠対策に

甘くスパイシーで、温かみのある香りが特徴のセロリシード。青っぽいセロリの香りとは異なりいくつかの精油をブレンドして作ったような複雑な香りです。古くから生薬として使われてきた関係もありストレスケアや安眠サポート、消化器サポートやデトックスなど様々な目的で使用されている存在でもありますよ。ただし芳香吸引による人に対しての有効性は研究が行われていません。デリケートな時期の使用に注意が必要な精油でもあるので、効能を過信せずに使用しましょう。

セロリシード(Celery seed)のアロマ解説

セロリシードとは

セロリシードの特徴・歴史

独特の芳香から好き嫌いが分かれ、子どもの嫌う野菜としても良く名前の挙がるセロリシード。呼び名の通りセロリシードは普段私たちが野菜として食べている“セロリ”の種子部分。ゴマのようにそのまま食べることはありませんが、香辛料としてスープやピクルスなどに使用されています。セロリシードを買ってお料理に使うという方は多くないかもしれませんが、市販のシーズニングの類などには使用されています。よりセロリシードの香りを感じられるセロリシード粉末と食塩を混ぜ合わせた「セロリソルト」もハマる人はハマる風味ですね。

セロリシードから抽出されたセロリシードオイルは、野菜としてのセロリに通じつ部分もありつつセロリとは異なる不思議な香り。人によっては「セロリの香りを濃縮した感じ」と表現されることもありますが、セロリほどセリ科の香草感はなく、どことなくスパイシーでビター。土っぽさもあり、個人的には野菜としてのセロリの香りよりもパチュリに近い印象です。セロリシードの精油は石鹸や香水・化粧品などの香料としても利用されています。ちなみに、セロリシード(種子)ではなく葉から採油される精油もありますが、こちらは刺激性や光毒性が高いと考えられているためあまり流通していません。

セロリはヨーロッパから中近東にかけての冷涼な地域が原産とされるセリ科植物。多くの日本人にとってはあまり馴染みのない食材(香辛料)であるセロリシードですが、古くから香辛料としてだけではなくハーブティーや民間医薬としても使用されてきた歴史ある存在。古代には野菜のように茎を食べるのではなく、葉と種子のみが利用されていたのだそう。古代ギリシアではすでにセロリシードを整腸剤や強壮剤感覚で取り入れたようですし、古代ローマの学者アウルス・コルネリウス・ケルススも“セロリの種子には鎮痛効果がある”と書き記しています[1]。

古代ギリシアやローマでは種子を香辛料として使用することはほぼなく、ハーブ(生薬)もしくは香料という扱いだったようです。また、強壮効果があると考えられたためか、男性が強精剤として使用したり媚薬として使われていた時期もあったと伝えられています。その他にセロリシードはその強い芳香から遺体の臭い消しに使われたのではないか、魔除けに役立つ・不運をもたらすと信じられていたなどの伝承もあります。

原産地よりも東のインドや中国でも生薬として取り入れられ、現在はセロリシードの生産がヨーロッパよりも多いほど。地域によっては伝統的に緊張や睡眠を促進するための鎮静剤、痛風や関節炎・リウマチの治療にと、ありとあらゆる用途で使われている[2]と言っても過言でもありません。

ちなみにセロリの茎部分を野菜として食べるようになったのは17世紀以降。フランスで食用文化が始まり、ヨーロッパ・アメリカへと広まっていたと考えられています。日本へは江戸時代にオランダ船から伝播し「オランダ三つ葉」と呼ばれたものの、独特の香りから好まれませんでした。日本人がセロリを食べるようになったのは食生活が洋風化した昭和中期以降、家庭でも使われる野菜として普及したのは昭和末期~平成に入った頃ですね。

香料原料データ

通称
セロリシード(Celery seed)
別名
セルリー、オランダ三葉(オランダミツバ)、清正人参
学名
Apium graveolens
科名/種類
セリ科オランダミツバ属/一年草もしくは二年草
主産地
インド、中国、オランダ、ハンガリー、フランスなど
抽出部位
種子
抽出方法
水蒸気蒸留法
クリーム色~淡オレンジ色
ノート
ミドルノート
香り度合い
中くらい~強め
精油成分
リモネン、セリネン、3-n-ブチルフタリド、セダノリド、α-フェランドレン、フタリド類、アルデヒド類
おすすめ
芳香浴・アロマバス・マッサージ・スキンケア

フレッシュさの奥にビターさもある、スパイシーで温かい香り

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セロリシードに期待される働き・効能

精神面への作用と効果

アロマテラピーなどの自然療法や伝統医療において、セロリシードは鎮静作用によって興奮を落ち着けてくれる存在として扱われています。精油も中枢神経系に働きかけで自然な鎮静剤として機能することで、気持ちを落ち着けてリラックス状態を作るサポートが得意だと考えられています[2]。鎮静作用の高さから睡眠導入をサポートする香りとしても利用されているほか、神経系に対しての強壮作用を持つという説もありますから、精神のバランスを整えて前向きになりたいときに香らせてみても良いかもしれません。

成分的に見ると、セロリシードオイルの主成分は柑橘系精油に多く含まれているd-リモネン。2012年『Pharmacology Biochemistry and Behavior』に掲載された実験では、リモネンの吸入によってマウスに抗不安薬様効果が見られたことが報告されており、アロマテラピーで抗ストレス剤および抗不安剤のような役割を果たす可能性が示唆されています[4]。精油成分の95%以上がリモネンであるオレンジスイートの精油などもストレス対策や不眠軽減に効果が期待されていますから、セロリシードも同様にメンタルサポートに役立つ可能性はありそうですね。

肉体面への作用と効果

古代ギリシア時代から整腸作用を持つハーブとして活用されていたと伝えられるセロリシード。現在でもアジアの伝統医療を中心に消化補助剤・整腸剤・抗鼓腸薬として使用され[2]ており、精油もまた消化促進・整腸・駆風作用などお腹の調子を整える働きを持つと考えられています。セロリシード精油の主成分であるリモネンも消化器系へのサポートが期待されている成分。エビデンスとして紹介される研究は動物実験かつ投与によるもののため、人間が芳香を吸引した際の有効性は分かっていませんが、リラックス効果が期待できることと合わせて消化器系のサポートに役立つ可能性もあるでしょう。

また、セロリシードに含まれているフタリド類は肝臓保護や腎臓の働きを高める可能性があることも報告されています。こうした研究もまだ有効性が認められる段階ではなく、かつ製剤の投与によって行われているため芳香吸引での有効性は不明です。伝統的にセロリシードが利尿剤として用いられてきた背景もあってか利尿作用を持つ精油・血液を綺麗にする働きがある精油という説もあります。このためむくみの改善やデトックス(老廃物の排泄)サポートとして用いられたり、老廃物の排泄を促すことから尿酸の排出を助け関節炎を軽減するのではないかと期待する声もあり、関節痛・神経痛・リウマチ・痛風などの緩和マッサージに使用されることもあります。

しかし、セロリシードの効能とされるものの大半は有効性が分かっていません。疾患がある・不快症状が重い場合は医療機関で適切な診療と治療を受けるようにしましょう。

女性の体への働きかけ

セロリシードは子宮刺激作用がある精油にカテゴライズされることもあります。この働きによってセロリシードは通経作用(月経促進作用)を持つ→無月経や生理不順の改善に役立つのではないかと期待されています。しかしセロリシードのどの成分が子宮刺激作用を持つのかは説明されておらず、調べた限り海外のメディアでこうした説明はほとんどなされていません。研究データも調べた限り見つかりませんでしたので民間療法の一つと言ったところでしょう。

また乳作用(母乳の出を良くする)働きがあると紹介されていることもありますが、授乳中の使用について十分なデータはなく書籍によっては授乳中の使用を禁忌としているものもあります。女性の体への働きかけについてはエビデンスも安全性評価もありませんから、妊娠中や授乳中は自己判断での使用を避けましょう。

その他に期待される作用

肌への働きかけ

セロリシードオイルは“メラニン色素の沈着を防ぐ働き(美白効果)”を持ち、シミ・ソバカスのケアに役立つ精油として一部で注目されていた時期があります。この美白効果はフタリド類の働きによるものと紹介されていますが、調べた限りセロリシード精油を塗布することでメラニン色素の生成や沈着が軽減されたという研究論文はありませんでした。

フタリド誘導体のLigustilide(リグスチリド)、セロリシードにも含まれているフタリド化合物のSedanolide(セダノリド)にメラニン産生を抑制する働きを持つ可能性が報告され、その流れで美白効果説が出たのではないかと推測します。美白精油と評される一方で、セロリシードオイルは光毒性と皮膚感作を持つ可能性が指摘されている精油でもありますから、安易な使用は避けた方が確実です。使用する場合は低濃度希釈でパッチテストを行い、使用後は紫外線を避ける・異常があったらすぐに使用を中止するようにしましょう。

セロリシードが利用されるシーンまとめ

【精神面】

  • ストレス・神経疲労
  • イライラ・ヒステリー
  • 不安・緊張・落ち着かない
  • 心のバランスを整えたい
  • リラックスしたい
  • 眠りの質を高めたい

【肉体面】

  • 消化不良・腹部膨満感
  • 食欲不振・胸やけ
  • ストレス性の胃痛・腹痛
  • 関節痛・神経痛・リウマチの緩和
  • むくみ・セルライト対策
  • デトックスサポート

セロリシードの利用と注意点について

相性の良い香り

柑橘系、ハーブ系もしくはハーブ系に近い香りのフローラル系と相性が良いとされています。さほど系統を選ばず、ブレンドしやすい香りです。

セロリシードのブレンド例

セロリシード精油の注意点

  • 妊娠中・授乳中の方、小さいお子さんへの使用は避けましょう。
  • 光毒性のある精油のため肌への使用には注意が必要。皮膚を刺激する可能性もあるため皮膚利用は控えた方が確実です。
  • 疾患がある方・投薬治療中の方は医師に確認してから利用して下さい。
  • アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
  • 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。

参考元

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【アロマ】クミン/クミンシード精油-植物の特徴・期待される効果効能とは? https://d-nagaya.com/aroma/post-1224/ Mon, 28 Dec 2015 08:32:02 +0000 http://d-nagaya.com/?p=1224

精神面での疲労回復や強壮に

カレー香りの元というイメージの強いクミン。精油はスパイスとしてのクミンとは少し印象の違う、スパイシーでムスクっぽさもある香りです。紀元前から人々に薬として使用されてきた歴史があり現在でも各地の伝統医療で使用されているためか、精油も様々な効能が囁かれています。ただし芳香吸引で得られる効果についてのエビデンスはほとんどありませんから過信は禁物、香りが好きならば取り入れてみる程度にしましょう。

クミン(Cumin)

クミン(クミンシード)とは

クミンの特徴・歴史

ターメリックなどとともにカレースパイスとして日本でもお馴染みのクミン。カレーの独特の芳香の中心的スパイスと紹介されることもあるので「カレーそのままの香り」を想像してしまいますが、スパイス単体での芳香はカレーよりも漢方薬に近い印象。さらに不思議なことに精油は“カレー感”がほとんどなく、甘さとスパイシーさを持ったムスク寄りの香りになります。万人受けする香りではありませんが、オリエンタル調で温もりのあるセクシーな香り。リキュールを筆頭とした食品類や化粧品や香水などに香料としてクミン精油が使われているのも納得ですね。

そんな不思議な性質のスパイス、クミンはセリ科クミン属に分類される植物。香辛料として一般的な縦長の“クミンシード”は果実に該当する部分で、茎や葉などの部分は同じせり科のニンジンと似ています。セリ科には芳香性植物が多く含まれており、特にキャラウェイシードフェンネルとは果実(種子)部分の外見もよく似ていますね。香辛料としての芳香であれば、甘い印象の強いフェンネルやアニスに比べてクミンはスパイシー寄り。クミンの精油となると雰囲気が変わり、別でフェロモン香水に近い印象の香りになるのは不思議ですね。

カレーの関係からかインドのスパイスというイメージのあるクミンですが、実は東地中海沿岸地域が原産と考えられています。人がクミンを使用してきた歴史は5,000年以上も前まで遡ることから「歴史上最も古くから栽培されているスパイスの1つ」と称されることもあるほど。紀元前16世紀頃に古代エジプトで記されたとされる医学書『エーベルス・パピルス』や『旧約聖書』など古代の書物にもクミンと思われる記述があり、古代エジプト(エジプト新王国)で使用されていたことも報告されている[1]ようです。

地中海エリアで栄えた古代エジプト・ギリシア・ローマでクミンは香辛料として使われたほか、医薬品のような感覚でも用いられていたと考えられています。また、中世ヨーロッパでクミンは魔術的な力を持つと信じられていたと伝えられています。クミンは恋人の心変わりを防ぐ働きがあると信じられ、男女関係における「貞操」を象徴するスパイスとされていた時期もあったのだとか。結婚式でクミンを運ぶと夫婦円満が続く、戦場へ行く兵士の妻は浮気を防ぐためにクミン入りのパン持たせたなどの伝承もありますよ[1]。

とはいえ中世後期頃にはスペインなどの一部地域を除きヨーロッパで香辛料として使われることが減っていき、現在では「エスニック料理のスパイス」という印象が強い食材となったようです。

香料原料データ

通称
クミン(Cumin)
別名
クミンシード(Cuminseed)、馬芹(ウマゼリ/バキン)
学名
Cuminum cyminum
科名/種類
セリ科kクミン属/一年草もしくは二年草
主産地
エジプト、スペイン、フランス、インド、モロッコなど
抽出部位
果実(一般的に種子と呼ばれる部分)
抽出方法
水蒸気蒸留法
淡黄緑色~やや褐色寄りの黄色
ノート
ミドル~トップノート
香り度合い
強め
精油成分
クミンアルデヒド、y-テルピネン、β-ピネン、サフラナール、パラシメン(p-シメン)など
おすすめ
芳香浴(ごく低濃度でアロマバス・マッサージ)

スパイシーで温かみのある、濃厚なムスク調の香り

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クミン精油に期待される働き・効能

精神面への作用と効果

スパイシーで強いクミンの香りは植物療法上では神経・精神に対しての強壮効果を持つと考えられており、無気力な時や神経疲労・神経衰弱時のケアに使用されています。強壮だけではなく気分を高揚させる働きを持つという説もあり、気持ちが落ち込んでいるときに香らせるという方も。ストレスや緊張などで精神的に疲れていると感じている時に香らせてみると良いかもしれません。

またクミンは中枢神経系を刺激することで記憶力を高めたり手足の動きをサポートする可能性があるという論文[1]が発表されたことから、お年寄りの見守りアロマとして注目された時期もありました。そのほか精神的に高揚させるだけではなく抗ストレス・リラックス効果があると紹介されていることもありますが、こうした効果のエビデンスとして紹介されている研究は「クミン抽出物の投与」によって行われたもの。芳香を吸引するだけの場合、どのような効果が得られるのかは分かっていません。医薬品的な効能は期待せず、気分にも良い影響があるかもしれない芳香剤の一種と考えておきましょう。

ちなみにクミンシードは催淫作用(性欲を高める働き)を持つ精油の一つにも数えられています。中世ヨーロッパでは浮気防止のスパイスとして扱われていたことを考えるとちょっと不思議ですが、香りの印象は「確かに」と言いたくなるようなムスク系。精神的は部分でのストレスや疲労感軽減効果も期待できるため、仕事などのストレスをベッドまで持ち込んでしまうような場合には良いのかもしれません。好き嫌いはありますがエキゾチックでセクシーな香りですので、ムード作りのアイテムとしても一役買ってくれそうですね。

肉体面への作用と効果

クミンシードは伝統的に消化器をサポートしてくれるハーブ/生薬として、消化不良や腹部膨張感(ガスによるお腹の張り)などの予防改善に使用されてきた歴史があります。現代の研究でも消化酵素の活性を高める可能性があることや、胆汁分泌促進作用を持つ可能性があることが報告[3]されています。肝臓サポートや胆汁分泌促進に役立つ可能があることから、体内毒素の排出促進(デトックス)にも役立つのではないかと期待されています。

こうした伝統的効能と研究発表の結果もあってか、クミンの精油も消化器系のサポート効果が期待されており、軽度の消化不良や胸やけ・食欲不振時などに適した存在として紹介されていることもあります。ただしクミン精油は香りが非常に強いため、クミン精油の香りが苦手な方や高濃度で利用すると逆効果になる可能性も否めません。また、健康メリットを持つ可能性が報告されているのはクミン抽出物やクミン油の投与による結果。精油をつかったマッサージや芳香吸引による効果については未知数ですので過剰な期待は避けましょう。

そのほかに伝統医療の中では鎮痛・鎮痙剤として扱われてきた歴史も[3]あり、自然療法ではクミン精油もまた頭痛・偏頭痛や痙攣性の胃腸の痛み、筋肉痛、関節痛などの痛みの軽減に活用しているようです。こうした作用についても有効性を評価するだけの研究はないことが指摘されていますし、クミンシード精油の芳香吸引や塗布については更に分かっていません。自己判断で取り入れるのは自由ですが、症状が重い場合は医療機関で適切な診療と治療を受けるようにしましょう。

空気清浄・風邪予防にも

大半が伝統医療における効能・摂取することで得られる可能性がある健康メリットをベースに語られる「クミン精油に期待できる作用」ですが、クミンシード精油を使用した実験もあります。多くが抗菌・抗真菌特性についての評価であり、食品媒介細菌およびいくつかの感染性真菌の増殖を制限する可能性があることが示されています。古い時代に胃腸薬のように利用されていたのも食中毒の予防や軽減効果があったから[4]という見解も。自然療法/民間療法においてクミン精油は抗炎症作用と免疫強化作用を持つと信じられていることも合わせて、空気浄化や風邪予防にクミンオイルを焚くという方もいらっしゃいます。

女性の身体への働きかけについて

クミンは伝統医療の中で女性の体を整えたり、時には堕胎のために使用されてきた経緯があります。現在の自然療法でもクミン精油は通経作用(月経促進作用)を持つ精油にカテゴライズされることがあり、月経不順のケア、鎮痛・抗痙攣作用が期待できることと合わせて生理痛の軽減などに利用されています。

2011年『Pharmacognosy Reviews』に掲載されたクミンについてのレビュー[3]ではクミンシードは植物性エストロゲンを含んでいると紹介されていますが、その根拠として示されている研究は“クミンのエタノール抽出物を投与された動物”を使ったもの。精油ではありませんし、精油の芳香だけでエストロゲン様作用や通経作用があるのかは不明です。安全のために妊娠中の使用は避けるべきですが、謳われている効能を鵜呑みにはせずコンディションを整えるサポーター程度の感覚で使用しましょう。

その他に期待される作用

皮膚利用について

クミンシードオイルは光毒性があること・皮膚刺激性が危惧されることから、スキンケアやトリートメントなど皮膚に直接塗布するような形での使用に適した精油とは言えません。抗酸化作用からアンチエイジングに、抗炎症効果がある・乾燥肌のケアに良いとする説もありますが、日本でも利用者が多い別の精油やテスト経て製品化されているものの使用をお勧めします。皮膚に直接付くような使用法でほちいる場合は低濃度使用・パッチテストを行い、使用後の紫外線(直射日光など)を避けるようにしましょう。

クミン精油が利用されるシーンまとめ

【精神面】

  • ストレス・神経疲労
  • 神経衰弱・過敏症
  • 無気力・やる気が出ない
  • 疲労感・倦怠感
  • 気分の落ち込み
  • リラックスしたい

【肉体面】

  • ストレス性の胃痛・腹痛
  • 消化不良・腹部膨張感
  • 胸やけ・食欲不振・夏バテ
  • 頭痛・偏頭痛の軽減
  • 神経痛やリウマチの軽減
  • 空気浄化・風邪予防

クミンシードの利用と注意点について

相性の良い香り

クミン精油はかなり香りが強めの部類で芳香にも独特の癖があります。単体で拡散する場合も、ほかの精油とブレンドするときも少なすぎると思うくらいに少量使用することをお勧めします。ブレンドは比較的ハーブ系・スパイス系の香りと合わせやすいほか、レモンなどと混ぜて使うと癖が和らぎライトな香りになりますよ。

クミンシードのブレンド例

クミン精油の注意点

  • 妊娠中・授乳中の方、小さいお子さんへの使用は避けましょう。
  • 光毒性のある精油のため肌への使用には注意が必要。皮膚を刺激する可能性もあるため皮膚利用は控えた方が確実です。
  • 疾患がある方・投薬治療中の方は医師に確認してから利用して下さい。
  • アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
  • 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。

参考元

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【アロマ】アニス/アニシード精油-植物の特徴・期待される効果効能とは https://d-nagaya.com/aroma/post-1205/ Fri, 18 Dec 2015 08:11:01 +0000 http://d-nagaya.com/?p=1205

女性サポート説もあるが毒性の懸念も

スパイス菓子もしくは漢方シロップを連想させる、スパイシーで甘い香りが特徴のアニス。地中海沿岸地域では古代から用いられてきたハーブの一つで、古代ローマでは食後にアニスをふんだんに使ったスパイスケーキを食べることで消化を助けていたという逸話もあります。精油はアネトールの含有率が高くホルモン様作用による更年期障害軽減などに期待されていますが、刺激性・毒性が高いことも指摘されているため注意が必要。

アニスシード(Aniseed)

アニスシードとは

アニスの特徴・歴史

甘く、どこかオリエンタルな雰囲気も感じさせる香辛料、アニス。アニスシードやアニシードと呼ばれる部分はギリシアの特産品“ウーゾ”を筆頭としたハーブリキュール類の香料、カレーのスパイスやソース類、ケーキやクッキーなどの焼き菓子類と広く利用されています。イギリスには“アニシードボール(aniseed balls)”というアニス油で風味付けされた糖衣菓子がレトロスイーツの一つにも数えられているのだとか。そんなアニスはセリ科ハーブの一つで、ミツバグサ属に分類されています。別属ではありますがフェンネルとは香りも見た目もよく似た存在で、和名ではフェンネルを“茴香”と呼ぶのに対して、アニスことを“西洋茴香”と呼ぶ場合もあります。

両方とも原産地は地中海沿岸=同じ地域だと推測されているものの、アニスは“西洋茴香”とも称されるようにヨーロッパで多く用いられていたスパイス。アニスを使用したレシピを調べると欧州の焼き菓子やパンが多く紹介されています。それなのに香りにオリエンタルな印象を持つのは、アニスシードはスターアニス(八角)や甘草と同じく、独特の甘い芳香を持つアネトールという成分を多く含んでいるため。八角と言えば「入れれば中華っぽくなる」とまで称されるスパイスですから、欧州文化にそこまで馴染みがないと東洋の香りっぽく感じるのでしょう。フェンネルも“茴香”という名前で生薬として使用されていますしね。ちなみにフェンネルはセリ科ですが、八角はシキミ科と全く別物です。

地中海沿岸が原産とされるアニスは、古代エジプトや古代ギリシアなど地中海周辺で栄えた古代文明時代から様々に活用されてきたハーブ/スパイスの一つ。紀元前2000年~1500年頃にはエジプトと中東でアニスの栽培が行われ、当時から料理用と薬用の両方に使用されていたと推測されています。古代エジプトではミイラを作る際の消臭・防腐剤の一つとしてもアニスが使用されており、古代ギリシアでは鎮痛薬・利尿薬・母乳分泌をサポートするハーブとして使われていたそう。古代ギリシア文化を受け継いだ古代ローマ人もアニスを多用し、1世紀に『博物誌』を著した大プリニウスも頭痛緩和・痰切りや扁桃炎の治療に良いハーブとして記録しています。悪夢や邪眼除け(魔除け)の力を持つ植物としてもアニスは使用されていたそうですし、古代から中世まで媚薬的な効果を期待して使用されることも少なくなかったようです。

また、古代ローマ文化とアニスの関わりで外せないのがアニスを使ったスパイスケーキ。当時は消化不良や鼓腸対策として宴会の最後にスパイスケーキを食べる風習があり、アニスは消化を助けるスパイスとして美食を好んだ古代ローマ人達に高く評価されました。優れた働きからアニスは“Solamen intestinorum(腸を慰める者)”という別称まであったのだとか。薬用面でも近世までアニスは消化器系・呼吸器系の不調に利用され、イギリスの“アニシードボール”の原型とも言える砂糖でコーティングしたアニスシードは食後の消化促進剤・口臭対策に使われていたと考えられています。

香料原料データ

通称
アニス(Anise)
別名
アニスシード(anise seed)、アニシード(Aniseed)、西洋茴香(セイヨウウイキョウ)
学名
Pimpinella anisum
科名/種類
セリ科ミツバグサ属/一年草
主産地
ギリシア、スペイン、エジプト、中国など
抽出部位
果実(※種子と呼ばれている部分)
抽出方法
水蒸気蒸留法
淡黄色~琥珀色
粘性
低温だと凝固する事がある
ノート
トップ~ミドルノート
香り度合い
とても強い
精油成分
trans-アネトール、γ-ヒマカレン、アニスアルデヒド、メチルチャビコール(エストラゴール)、リモネン、テルピネン-4-オール、リナロールなど
おすすめ
芳香浴・マッサージ(※敏感肌・常用はNG)

甘草や八角に似た、甘くスパイシーで温かみのあるな香り

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アニス(シード)精油に期待される働き・効能

精神面への作用と効果

アニスシードが持つ独特の甘い香りはフェノールメチルエーテル類に分類されるアネトール(anethole)という芳香成分を主体に形成されています。製品によっても差がありますがアニス精油のアネトール含有量は概ね80%以上となっており、その他にはフェノールエーテル類のメチルチャビコール(エストラゴール)やリモネンなどが含まれています。主成分であるアネトールには鎮静作用が期待されているため、アニス精油も鎮静作用を持つとしてストレスや不安・緊張の緩和に利用されています。気持ちを落ち着かせてリラックスをサポートしてくれるため、寝付きが悪い時のサポーターに役立つという見解もあります。

アニスシードの香りによる精神的メリットを示唆した報告はほとんど存在していませんが、2014年『Phytotherapy Research』にはマウスを使った研究でトランスアネトールが抗不安薬様効果を示したことが発表されています。ちなみに経口摂取ではうつ病の症状軽減に役立つ可能性を示唆した研究報告もありますよ。経口摂取でも有効性が認められている段階ではありませんが、芳香成分による働きかけが関係する可能性・伝統的な用法からメンタルケアにアニスシードを取り入れるセラピストさんもいらっしゃるようです。

また、アロマテラピーでは“気持ちを快活にする(前向きにする)”精油とされ、気持ちが落ち込んでいる時・ストレスや心配事などで疲れて滅入ってしまった時のサポートにも使われています。ただし、アニスシード精油の主成分は神経毒性や肝毒性の指摘されるフェノールエーテル類(アネトール)のため高濃度・長時間の使用は避けましょう。

肉体面への作用と効果

古代ローマでは“Solamen intestinorum(腸を慰める者)”と呼ばれ、消化促進のために使用されていたと伝えられるアニス。アロマテラピーやハーブ療法などの民間療法では、精油についても胃腸機能を向上させ消化吸収を促進する働きを持つとされています。消化不良に対して使用されるだけではなく、鎮痙・鎮痛作用が期待できることから下痢や胃痛・腹痛・過敏性腸症候群(IBS)のケアに使用されることもあります。そのほかに腸に溜まったガスを排出させる働きや便秘解消に役立つという説もあり、日常的な胃腸のありとあらゆる不調ケアにアニス精油は使われていると言っても過言ではない状況です。

2005年『International Journal of Aromatherapy』ではブレンド精油(アニス・フェンネルローマンカモミールペパーミント)の使用により、多数のホスピスケア患者に吐き気症状の改善が見られたという研究報告が掲載されています。このため伝統的な効能と合わせてアニス精油は胸焼けや吐き気の緩和、特に神経性の吐き気や腹痛のケアに使用されています。ただし『International Journal of Aromatherapy』に発表された研究論文では“アロマテラピーによる吐き気改善の可能性”が示唆されているのみで有効性を断定したものではありません。それ以外にアニスの伝統的な伝統的効能の有効性は研究されていますが、アニス精油もしくは抽出物の経口摂取による評価が大半。芳香吸入によって何らかのメリットがあったという研究報告はごく少数です。作用については不明瞭な部分も多いため、取り入れる場合には自身の体調の変化を確認しながら利用しましょう。

消化器系以外に、アニスは咳などの呼吸器系の治療にも使用されてきた歴史もあります。精油も鎮痙作用や去痰作用・抗炎症作用があり咳や痰、喘息、気管支炎などの呼吸器系トラブルのケアに使用されています。モルモット摘出気管鎖による試験ではアニス精油による弛緩作用が観測され、気管支拡張作用によって呼吸を改善させる可能性が示唆されています。抗菌作用や抗ウィルス作用が報告されていることもあり、風邪予防や風邪による症状ケアにも効果が期待されています。そのほか抗炎症作用と弛緩作用を持つ可能性があることから、筋肉痛や関節リウマチ・神経痛などの炎症性不快の緩和マッサージに使用されることもあります。

女性の身体への働きかけも…

アニス精油の主成分であるトランスアネトールは女性ホルモンに似た分子構造を持ち、エストロゲン様作用を持つ可能性が報告されている成分でもあります。このためアニスは女性領域での不調、特にエストロゲンの減少によって起こる更年期障害の緩和に役立つのではないかと注目されています。閉経後女性に及ぶ影響についての研究も行われており、イランで行われた二重盲検臨床試験ではアニス抽出物カプセルを1日3回服用服用したグループに、閉経後の女性のほてりの頻度と重症度の軽減が見られたことが報告されています。また、2006年5月『 International Journal of Pharmacology』にはフェンネル精油の投与でラットの骨量減少が見られたこと・薬理効果に重要な役割をトランスアネトールが果たしている可能性が高いことが発表されています。

こうした報告は“投与”によるものですし、有効性があるかを判断するためにはより多くの研究が必要な段階です。精油を使用した芳香吸引やマッサージによる効果は更に分かっていませんが、トランスアネトールは芳香性成分のためアロマテラピー的利用でも更年期障害による不快感緩和に繋がるのではないかと期待されています。エストロゲン様成分はヒト本来のエストロゲンよりも作用が弱く、エストロゲンが過剰な場合には抑制方向に働く=ホルモンバランスを整えることにも繋がると考えられることから、月経不順や月経前症候群(PMS)、弛緩作用と合わせて生理痛の軽減に使用されることもあります。

その他に期待される作用

皮膚利用について

アニス精油は皮膚刺激性が強いことからスキンケアに使用されることは基本的にありません。成分的に見ると抗菌作用や抗ウィルス作用を持つと考えられること、in vitro試験ではカンジダアルビカンスを含む数種の真菌類に対しても有効であることが認められていることから皮膚感染症の予防に良いのではないかと考えられます。

防虫剤の代わりにも

アニスシードの主成分であるアネトールは昆虫忌避性を持つことが示されている成分。天然成分由来を売りにした防虫剤などに使用されていることもあり、ゴキブリやノミ・ダニに対して優れた忌避効果が期待されています。一時的な使用であればアニス精油をコットンなどに含ませお部屋に置いておいても良いですが、アネトールは毒性が指摘されている成分でもあります。強い香りが苦手・長時間使用したいという場合であれば製品化されたものを使用するか、ハーブ・香辛料として売られているものてポプリやサシェを作った方が安全です。

アニスが利用されるシーンまとめ

【精神面】

  • ストレス・神経疲労
  • 不安・緊張・興奮
  • 気分の落ち込みに
  • 寝付きが悪い時に
  • 明るさが欲しい時に
  • 前向きになりたい時に

【肉体面】

  • 消化不良・腹痛・下痢
  • 胸焼け・吐き気
  • 咳・気管支炎・喘息
  • 筋肉痛・関節炎などの緩和に
  • 更年期障害の軽減に
  • 月経前症候群・月経不順

アニスシードの利用と注意点について

相性の良い香り

人によっては少々鼻につくような甘くスパイシーな香りのアニスシード。一滴での香り自体もかなり強いので、ブレンドに利用する際には少量ずつ使用することをお勧めします。ブレンドしやすいのは柑橘系やスパイス系の香り。ハーブ系の香りともブレンドしやすいように感じますが、フローラル系やカンファー感の強い香りは量を間違えると大変なことになります。

アニスシードのブレンド例

アニス精油の注意点

  • 妊娠中・授乳中の方、小さいお子さんへの使用は避けましょう。
  • 疾患がある方・投薬治療中の方は医師に確認してから利用して下さい。
  • アニスシードの精油は作用が強く、神経毒性や肝毒性の指摘されるフェノールエーテル類が含まれています。低濃度に希釈して利用し、常用は避けましょう。
  • 皮膚刺激性があるため敏感肌の方は注意が必要です。
  • アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
  • 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。

参考元

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【アロマ】ヒソップ精油-植物の特徴・期待される効果効能とは? https://d-nagaya.com/aroma/post-1185/ Wed, 09 Dec 2015 09:13:36 +0000 http://d-nagaya.com/?p=1185

浄化効果が期待される「聖なるハーブ」

ハーブリキュール類の香り付けに使われている程度で、日本では馴染みのないヒソップ。ヨーロッパではかつて薬としても使用され、聖書に登場する“Ezov”と考えられたため「聖なるハーブ」として精神的な部分でも大切にされてきました。研究でも抗菌活性や鎮痙・抗炎症作用が報告されており、自然療法では呼吸器や消化器サポートに取り入れられていますが、ケトン類の含有率が多いため多様は避けるべき精油の一つでもあります。

ヒソップ(Hyssop)

ヒソップとは

ヒソップの特徴・歴史

精油・香料と言うよりも、ハーブとして紹介されることの多いヒソップ。お酒が好きな方ならばハーブリキュールやハーブワインの成分として名前を見かけたことがあるかもしれません。ヒソップの和名は「柳薄荷」で、呼び名の通りハッカに似た甘めで清涼感のある香りが特徴的。個人的には香辛料・食品香料として多く使われているのも納得の、美味しそうな香りだと感じます。あまり人を選ばなさそうな香りであるのに精油の流通が少ないのは、ケトン類ほか刺激性成分が多く含まれており扱いに注意が必要なため。てんかん反応や痙攣発作を起こす危険性が指摘されていることもあり、特に日本ではかなりマニアックな精油です。

私達にとっては馴染みのない植物と言っても過言ではないヒソップですが、ヨーロッパから中東にかけての地域では古くから使用されてきたハーブ。植物としてはシソ科ヤナギハッカ属(Hyssopus)に分類され、種名にofficinalisが付けられているように古くは薬としても使用されてきた歴史があります。古代は医学と宗教の線引が曖昧だった関係もあり、精神的・宗教的な部分でも古くからヒソップは大切にされてきたと考えられています。現在属名や呼称として使用しているヒソップという言葉についても「聖なるハーブ」を意味するヘブライ語もしくはギリシャ語の言葉をそのまま音写したものとされています。

ヒソップが浄化のハーブとして使用されていたという説の元となっているのは聖書の記述。ヘブライ語聖書(旧約聖書)には“Ezov(ヘブライ語でאזוב)”という植物が登場しており、ギリシャ語訳された際にhyssopとなり、ヒソップのことを指すというのが定説になったのだそうです。ちなみに和訳版では“Ezov”はヒソプと訳されています。旧約聖書『詩篇(51:7)』で姦淫と謀殺の罪を犯したダビデ王が“ヒソプをもって私の罪をきよめてください。そうすれば、私はきよくなりましょう”と祈りを捧げる場面もヒソップ=浄化ハーブの歴史としてよく紹介されますね。

また『出エジプト記』では神による初子殺しが行われる際に、ヒソプを生贄として捧げた羊の血に浸して門柱に印をつけたイスラエル人の子どもは殺さないというシーンがあります。そのほか『レビ記』ではハンセン病の治癒に使用されるなど、ヒソプ(Ezov)は要所要所に登場してます。ただし、ヒソップはイスラエル周辺には自生していないという指摘もあります。研究者の間でも様々な見解がありますが、聖書の“Ezov/אזוב”はバイブルヒソップ(Origanum syriacum)もしくはハナハッカ属の植物ではないかとの見解が主流となっています。

ともあれ、聖書が翻訳されてから“Ezov”がヒソップと考えられたことは事実であり、聖なるハーブ」としての象徴性+消毒・消臭などの働きもあることからヒソップは浄化目的で教会のストローイング・ハーブとしても使用されてきました。ストローイングハーブは床に香草を撒き、踏むことで良い香りを拡散して空気を浄化するという方法。教会だけではなく一般家庭でも疫病除け・防虫用として活用されていたそうですし、中世頃には邪眼・魔除けに良いハーブと信じられていたとの逸話もあります。

ちなみにハーブリキュール全体の起源は1世紀頃に古代ローマの大プリニウスが記録したヒソップをワインに加えて作った薬用酒“hyssopites(ヒソポテス)”にあると言われています。おそらく古代~中世頃にはヒソップが薬効を持つハーブとして消化器系や呼吸器系の不調にも多用されていたのでしょう。大プリニウスのレシピをベネディクト会修道士達が再現し、19世紀にそれを復元&アレンジしたものが現在の「ベネディクティン」とされています。

香料原料データ

通称
ヒソップ(Hyssop)
別名
柳薄荷(ヤナギハッカ)
学名
Hyssopus officinalis
(syn.Hyssopus aristatus / Hyssopus angustifoliusなど)
科名/種類
シソ科ヤナギハッカ属/多年草
主産地
フランス、ドイツ、イタリア、ブルガリアなど
抽出部位
全草
抽出方法
水蒸気蒸留法
ほぼ無色~淡オレンジ色
ノート
ミドルノート
香り度合い
中~やや強い
精油成分
ケトン類(カンファー、イソピノカンフォン、ピノカンフォン)、ゲルマクレンD-11-ol、α-ピネン、β-ピネン、カンフェン、スパチュレノール、1,8-シネオールなど
おすすめ
芳香浴・アロマバス・マッサージ・ハウスキーピング

ハッカに似た爽やかさの中に、甘さと苦味を含むハーブ調の香り

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ヒソップ精油に期待される働き・効能

精神面への作用と効果

神経・精神的なサポートを期待してヒソップオイルが使用されることは少なく、人に対してどのような作用を持つのかもほとんど研究されていません民間療法上では鎮静作用を持つ精油にカテゴライズされており、ストレスや不安・緊張・神経性疲労などの緩和に役立つのではないかと考えられています。カンファーなどのケトン類が含まれていることから覚醒・頭脳明晰化に繋がるという説もあり、周囲の環境に飲まれて感情的になったり自分を見失ってしまいやすい方のサポートに適した精油と称されることもあります。ただし、実際の作用や有効性については分かっていません。

また、ヒソップは聖なるハーブもしくは浄化のハーブと信じられてきた歴史があるため、スピリチュアルは方面から心の浄化に役立つのではないかという見解もあります。一部ではネガティブなエネルギーを浄化すると信じられ「魂を浄化し、守護する」香りであると称す方もいらっしゃいます。

魂を観測することは現段階で不可能ですから信仰的な効果としか言えない状況ですが、ヒソップの香りはすーと通るようなハッカに似た清涼感が特徴。冷たすぎない温かみを感じる香りでもありますから、リフレッシュ用としてや気分を落ち着けて冷静さを取り戻したい場面で香らせてみても良いかもしれません。

肉体面への作用と効果

ヒソップは伝統的に去痰・鎮痙作用や殺菌作用に優れたハーブとして、ヨーロッパでは咳や咽頭炎・気管支炎・喘息など様々な呼吸器系の不調に使用されてきた歴史があります。古代ローマで活躍し“薬理学と薬草学の父”とも称されるギリシア医師ディオスコリデスも喘息などの呼吸器症状にヒソップを使用していたと伝えられるほどですから、2,000年以上の歴史があるハーブとも言えますね。現在でも去痰・粘液溶解作用を持ち鎮痙作用によって呼吸器系の痙攣を鎮めると考えられており、風邪による咳や鼻水などの症状から気管支炎・喘息・花粉症などアレルギーの症状のケアに活用されています。

人に対する有効性は認められていませんが、2018年『Journal of Applied Pharmaceutical Science(Vol. 8)』に公開されたヒソップの系統的レビューで動物実験ではヒソップ(Hyssopus officinalis)に抗喘息作用が示されていることが紹介されています。2014年『Experimental and Therapeutic Medicine』に発表されたマウス試験ではヒソップによる免疫調節および抗炎症作用も示されています。そのほかにヒソップのエッセンシャルオイルは優れた抗菌・抗ウィルス作用も報告されているため、風邪やアレルギー性の呼吸器症状緩和・風邪やインフルエンザなど呼吸器感染症の予防にも期待されています。

空気浄化を兼ねたルームアロマとして役立つ精油と考えられますが、ヒソップは神経毒性を持つケトン類が多く含まれている精油。妊娠中の方やお子様がいる・てんかんの方がいる場所での使用は厳禁。それ以外でも長時間拡散させるのは控えたほうが良いでしょう。

また、ヒソップは呼吸器系だけではなく消化器系に対する民間薬としても使われてきました。2002年には摘出モルモット回腸・摘出ウサギ空腸を使って行った実験で、ヒソップ精油とイソピノカンフォンに筋弛緩作用が見られたというイタリアの研究報告も『Planta Medica』に発表されています。この働きから腹痛や下痢の緩和に、子宮収縮を抑制することで生理痛の軽減にも期待されています。ただしこちらも人に対する有効性は認められていません。

関節リウマチなどのケアにも…

ヒソップオイルの持つ鎮痙作用は過剰な筋肉収縮を抑制する=筋弛緩作用にも通じると考えられます。抗炎症作用が期待されていることもあり、ヒソップの精油は筋肉痛や関節リウマチ・神経痛などに対するマッサージにも使用されることがあります。ケトン類は神経毒性が指摘される一方で、優れた鎮静・抗炎症剤という評価もあります。常用はお勧めできませんが、一時的な筋肉痛・関節痛がひどいタイミングなどでセルフマッサージに使用してみても良いかもしれません。

そのほかケトン類は脂肪溶解作用を持つと紹介された関係もあり、痩身マッサージに使用する方もいらっしゃるようです。ただし有効性が認められているものではありませんし、神経毒性の危惧もありますから常陽・多量の使用は避けましょう

その他に期待される作用

肌への働きかけ

ヒソップは抗菌作用に優れているとして古くは切り傷や擦り傷・虫刺されなどのケアに活用されてきました。現在でもカンジダ菌などに対する阻害活性が報告されており、抗菌薬や抗真菌薬のような形で皮膚感染症を予防するのではないかと期待されています。そのほか精油は抗酸化作用・収斂作用・抗炎症作用を持つとされ、ニキビケアや小じわやしわなど皮膚老化対策(アンチエイジング)に良いという説もあります。ただしヒソップの精油自体があまり利用されていないことに加え、皮膚への利用のデータも多いとは言えない状況ですので、ニキビケアならティートリー、スキンケアならラベンダーなどを選んだほうが無難でしょう。

ヒソップが利用されるシーンまとめ

【精神面】

  • ストレス・神経疲労
  • 不安・緊張・イライラ
  • 気持ちを落ち着けたい
  • 冷静さを保ちたい時
  • 気分を入れ替えたい

【肉体面】

  • 咳・鼻水・鼻詰り
  • 花粉症・アレルギー性鼻炎
  • 風邪・インフルエンザ予防
  • 腹痛・下痢・消化不良
  • 筋肉痛・関節炎などの緩和に

ヒソップの利用と注意点について

相性の良い香り

ヒソップの精油は比較的どの香りとも組み合わせやすい存在。同系統のハッカミント類と組み合わせると香りに奥行きが出ます。樹木系や柑橘系の香りとも相性が良いとされています。

ヒソップのブレンド例

ヒソップ精油の注意点

  • 妊娠中・授乳中の方、小さいお子さんへの使用は避けましょう。
  • 中枢神経毒性のあるケトン類を含むため、てんかんの方は使用できません。それ以外でも疾患がある方・投薬治療中の方は医師に確認してから利用して下さい。
  • 低濃度で利用し、利用頻度は少なめにしましょう。
  • アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
  • 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。

参考元

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【アロマ】ラヴィンサラ精油-植物の特徴・期待される効果効能とは? https://d-nagaya.com/aroma/post-1176/ Fri, 27 Nov 2015 08:50:03 +0000 http://d-nagaya.com/?p=1176

1,8-シネオールの含有率が高い

ラヴィンサラは“ラベンサラ”と混同されがちな精油ですが、原料となる植物はマダガスカルに生えているクスノキ。ホーリーフと同じくクスノキのケモタイプ精油であり、学名をCinnamomum camphoraBS 1,8-cineoleと表示されるように1,8-シネオールを多く含むことが特徴です。このため優れた抗菌・抗ウィルス作用が期待されており、風邪が気になる時期のサポーターとしても注目されています。

ラヴィンサラ(Cinnamomum camphora)とは

ラヴィンサラの特徴・歴史

ティツリーやユーカリのような優れた抗菌・抗ウィルス性を持つ精油として注目されているラヴィンサラ。マダガスカルを代表する精油の一つであり、ユーカリに似たツンと染み入るような清涼感が特徴的です。精油名としてはラヴィンサラもしくはラヴィンツァラという呼称がよく使われていますが、実はそういった名前の植物があるわけではありません。ラヴィンサラの学名はCinnamomum camphora、植物分類上は日本でも見かけるクスノキ(カンファーウッド)の一種として扱われています。とは言え、樟脳の元ともなるカンファーの含有量が高いクスノキの香りとラヴィンサラの香りは別物。これはマダガスカルに生育するCinnamomum camphoraは精油成分の組成が異なり、1,8-シネオールが多く含まれているためです。

ラベンサラやラヴィンサラという呼称は、18世紀にマダガスカルの植物を調査していたフランスの植物学者がマダガスカルの言葉“Ravina(葉)”と“tsara(良い)”を組み合わせて作ったもの。明らかにカンファーツリーとは香りが異なるため呼称もカンファーウッドct.シネオールではなく“ラヴィンサラ(Ravintsara)”が採用されたのだと推測されています。しかし、同じくマダガスカル産のクスノキ科樹木の葉を原料とした精油にはラヴィンサラがあり、ラベンサラとラヴィンサラは長らく混同されてきたという歴史もあります。更に日本では“Ravintsara”をラヴィンサラもしくはラヴィンツァラとカタカナ書きにするので、ますます分かりにくいですよね。ラベンサラは学名でラベンサラ・アロマティカ、ラヴィンサラはカンファーウッドct.シネオールなどにしてくれると分かりやすいように感じます。

ラベンサラ精油には「強力なウイルス予防薬」という評価がありますが、成分的に見ると1,8-シネオールが豊富なラヴィンサラのことではないか=混同されていたためラベンサラと言われていたのではないかという見解もあります。ちなみに、ラヴィンサラと同じくC. camphoraのケモタイプ精油としては、台湾や中国南部に分布しリナロールを豊富に含むホーリーフ(芳樟)あります。そのほかC. camphora自体にはボルネオール型とイソボルネオール型もあり計5つのタイプに分けられており、生育環境や土壌によって異なった香りや特性を持つと考えられています。シネオールタイプであるラヴィンサラはカンファーなどのケトン類をほとんど含まないという特徴もありクスノキのケモタイプの中では穏やかな精油と称されています。作用の穏やかさについては諸説ありますが、少なくともラベンサラやカンファーよりは扱いやすいでしょう。

ラヴィンサラとラベンサラの違いについて

ラヴィンサラと名前が似ているラべンサラという精油があります。この2つはどちらもマダガスカルが原産の芳香を持つ樹木を原料としており、呼び名が似通っていることもあって消費者だけではなく生産者・市場の中でも混同され続けてきた歴史がある精油。ラベンサラとラヴィンサラは同じものであるという誤った紹介もなされるほど混乱を極めていました。近年「ラベンサラ」として市場に出回っていた多くの精油が成分的に見て「ラヴィンサラ」であったことが発覚し、学名や商品名の訂正が行われつつありますが統一されたとは言えない状態が続いています。販売者側から出される商品名や学名などの情報を完全に信用できるかというと微妙なところ。

混同されがちな2つの植物ですが、植物分類では

  • ラベンサラ(Ravensara)
    →学名:Ravensara aromatica
  • ラヴィンサラ(Ravintsara)
    →学名:Cinnamomum camphora

と同じクスノキ科には分類されつつも、属名からして違う離れた存在です。

販売されている精油が本当に表記通りのものかを見極めたい場合は、香りを確かめるか成分表を見るのが確実です。ラヴィンサラは1,8-シネオールが多いクスノキのケモタイプ精油ですから、当然1,8-シネオールが多くなりユーカリなどに近い清涼感ある樹木系の香りがします。対してラベンサラは柑橘系の香りを持つリモネン・スパイシーな芳香を持つサビネンの含有率が高く、甘めのフルティー&スパイシーな印象です。この2つは芳香も精油成分も大きく異なることから、人体に対して期待できるメリットも異なると考えられます。どちらも風邪などの感染症予防効果が期待されているほか、ラヴィンサラは花粉症などの軽減に、ラベンサラは精神面のサポートに強い可能性が高いと考えられます。

また、ラヴィンサラはメチルチャビコール(エストラゴール)などの毒性が懸念される成分が含まれていることが分かってきており、安全性という面ではラヴィンサラ/マダガスカル・カンファーウッドの方が高いと考えられています。オキシド類に分類される1,8-cineoleも皮膚刺激性がありますし、ラヴィンサラ精油としても妊娠中や授乳中・子どもに対しての安全性については分かっていません。ラベンサラとラヴィンサラは混同されてきたこともあり、有効性や安全性については分かっていないことが多い存在。謳われている効能を鵜呑みにせず、十分に注意して使用することが必要です。

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香料原料データ

通称
ラヴィンサラ(Ravintsara)
別名
ラヴィンツァラ、マダガスカル・カンファーウッド(Madagascar camphorwood)など
学名
Cinnamomum camphora
※区別のためCinnamomum camphoraBS 1,8-cineoleとも
科名/種類
クスノキ科ニッケイ属/常緑高木
主産地
マダガスカル
抽出部位
葉、枝
抽出方法
水蒸気蒸留法
>ほぼ無色~淡黄色
ノート
トップノート
香り度合い
中~やや強め
精油成分
1,8-シネオール、α-テルピネオール、サビネン、α-ピネン、β-ピネン、テルピネン4オールなど
おすすめ
芳香浴・アロマバス・マッサージ・ハウスキーピング・防虫

ユーカリに似た清涼感を持つウッディーな香り

ラヴィンサラに期待される働き・効能

精神面への作用と効果

ラヴィンサラは成分的に見ると1,8-シネオール(1,8-cineole)というオキシド類を多く含んでいることが特徴。1,8-シネオールは別名“ユーカリプトール”とも呼ばれるようにユーカリに多く含まれている成分でもあるため、ラヴィンサラの精油もクスノキ油よりはユーカリに近い印象の香りとなっています。ラヴィンサラに含まれている1,8-シネオールの比率は精油成分全体のうち概ね50~60%程度で、それ以外にはサビネンやα-ピネンなどのモノテルペン炭化水素類の比率が多くなっています。

ラヴィンサラの主成分と言える1,8-シネオールは抗ウィルス作用や抗炎症作用が注目され多くの研究が行われている成分ですが、ヒト試験で抗不安作用を持つ可能性も示唆されています。2014年『Evidence-Based Complementary and Alternative Medicine』に発表されたランダム化比較試験では1,8-シネオールの吸引が不安の低減に効果的だったことが示されています。α-ピネンも鎮静作用や強壮作用が期待されている成分のため、合わせてストレスや不安の軽減に役立つのではないかと期待されています。

自然療法の中でラヴィンサラの精油はストレスや緊張・不安などで疲れている心身両面に活力を与え、気分が落ち込んでいる状態から前向きになるための手助けをしてくれる精油とも称されています。ラヴィンサラはラベンサラ精油と混同されていた期間が長いためこうした経験的効能についても混同が疑われますし、ラヴィンサラ精油を使用した有効性の評価試験もありません。作用や働きについては分かっていない部分が大半ですが、心身のこわばりをほぐす働きが期待されているのでリラックスタイムに香らせてみても良いかもしれません。

肉体面への作用と効果

ラヴィンサラの主成分である1,8-シネオールは優れた抗菌・抗ウイルス作用を持つと考えられている成分。2019年6月の『Molecules』に発表された精油の抗菌性についてのレビューでは、1,8-シネオールやユーカリ精油にはウイルス・細菌・酵母・糸状菌に対する抗菌活性が報告されいること・インフルエンザウィルスに対しての阻害活性を示したとの報告もあることが紹介されています。こうした評価試験に使用されているのは1,8-シネオールもしくは1,8-シネオールの含有率が70%以上のユーカリ精油ですから、ラヴィンサラの精油組成とは異なります。ユーカリ精油と同等以上の効果が得られるかは定かではありませんが、作用成分と考えられる1,8-シネオールを含んでいることからラヴィンサラも風邪やインフルエンザなどの感染症予防に役立つ可能性があります。

また、1,8-シネオールは抗炎症作用や免疫調整作用が期待されている成分でもあります。このことから免疫機能の低下が気になる時のサポートや花粉症・アレルギー性鼻炎の緩和、喘息・気管支炎・咳など呼吸器系の不調ケアにも役立つのではないかと考えられています。抗炎症作用のほかラヴィンサラには筋肉のこわばりをほぐしリラックスさせる働きがあると信じされていることから、筋肉痛や肩凝り・関節リウマチの緩和にも用いられています。とは言え、1,8-シネオールの炎症誘発性サイトカインのレベル低下・気管支炎や喘息改善への有効性を示唆した報告の多くが蒸気吸引ではなく投与によるもののため、芳香浴でどの程度作用するかは分かっていません。ラヴィンサラの精油についても研究は行われていませんので過度な期待は避けましょう。

その他に期待される作用

皮膚利用について

ラヴィンサラの精油は皮膚刺激性や安全性についての十分な評価がなく、利用者も少ないことからスキンケア目的での利用は基本的になされていません。成分的に見ると高い抗菌作用・抗真菌作用・抗ウィルス作用を持つと考えられる1,8-シネオールが含まれていることから、ニキビ予防や水虫・カンジダなどの皮膚感染症予防に役立つのではないかという見解もあります。そのほかた傷口からの感染症を予防する目的で使用されることもあるようですが、有効性が認められているものではありませんから医薬品の使用をお勧めします。

ラヴィンサラが利用されるシーンまとめ

【精神面】

  • ストレス・神経性疲労
  • 緊張・心身の強張り
  • 不安・気持ちの落ち込み
  • 自信喪失・無気力
  • 前向きさが欲しい時に
  • 気持ちを整えたい時に

【肉体面】

  • 風邪・インフルエンザ予防に
  • 気管支炎の予防に
  • 花粉症・咳呼吸器系の不調に
  • 関節痛・リウマチの軽減に
  • 筋肉痛や肩こりのケアに
  • (水虫・ニキビ予防に)

ラヴィンサラの利用と注意点について

相性の良い香り

やや薬っぽい清涼感が強い程度で香りに極端なクセのないラヴィンサラの精油は、較的どの系統の香りともブレンドしやすい存在です。特に同系統、爽やかな印象があるハーブ系や樹木系の香りであれば違和感なくマッチするでしょう。

ラヴィンサラのブレンド例

ラヴィンサラ精油の注意点

  • 妊娠中・授乳中の方、小さいお子さんへの使用は避けましょう。
  • 疾患がある方・投薬治療中の方は医師に確認してから利用して下さい。
  • 皮膚刺激性があるため敏感肌の方は注意が必要です。
  • アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
  • 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。

参考元

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【アロマ】ラベンサラ精油-植物の特徴・期待される効果効能とは? https://d-nagaya.com/aroma/post-1167/ Wed, 18 Nov 2015 09:34:26 +0000 http://d-nagaya.com/?p=1167

抗ウィルス作用が期待されるが…

マダガスカル精油を代表する一つであり、抗ウィルス作用を持つ可能性がある精油として注目されたラベンサラ。長らくクスノキのケモタイプである“ラヴィンサラ”と混同されてきた歴史があるため成分や作用については不明瞭な部分も多い精油ですが、リモネンやリナロールを含むことからリラックス効果や抗不安作用も期待されています。ただしエストラゴールを含んでいるため、高濃度や長期間の使用は控えたほうが無難。

RavensaraEssentialOil

ラベンサラ(Ravensara aromatica)とは

ラベンサラの特徴・歴史

マダガスカル産精油の一つで、現地では薬としても用いられていたと伝えられるラベンサラ。マダガスカルの人々は店頭的に感染症予防や防腐剤・強壮剤として活用していた他、食べ物の香り付け=香辛料としても使用していたのだとか。精油はユーカリに似たさっぱり感とスパイシーさの中に、フルーティーさも感じる優しめの香り。確かに食べ物の香り付けにも使えそうな印象ではあります。精油としての使用・研究の歴史は新しい部類ですが、抗ウイルス・抗感染症作用が期待できることから注目度が高まっており「今後需要が伸びていく精油」と予測する方もいらっしゃるほど。

そんなラベンサラはクスノキ科ラベンサラ属の樹木の葉から抽出した精油。ラベンサラという呼称はラベンサラ属(Ravensara)に含まれる植物の総称としても使われますが、精油としてはラベンサラ・アロマティカ-Ravensara aromaticaという種から抽出されたものを指すのが一般的です。赤味を帯びた樹皮・緑色の小ぶりな花が特徴とされる樹木で、現地では芳香樹を意味する言葉であるhavozoもしくはhanozo manitraと呼ばれていたそう。ラベンサラやラヴィンサラという言葉は1782年にフランスの植物学者がこの植物を発見し、マダガスカルの言葉“Ravina(葉)”と“tsara(良い)”を組み合わせて命名したと伝えられています。

ちなみに、ラベンサラの樹皮からも精油が生産されていますが、こちらはメチルチャビコール(エストラゴール)の含有率が高いことから使用を避けたほうが良い精油とされています。ラベンサラリーフの精油も若干のエストラゴールが含まれているという分析もあり、妊娠中の方やお子さんがいる家庭での使用は避けるべきという声もあります。ラベンサラの精油が一般に流通するようになったのは1980年代頃からと歴史が浅く、同じくマダガスカル産のラヴィンサラ混同されてきたこともあり、有効性や安全性については分かっていないことが多い存在。謳われている効能を鵜呑みにせず、十分に注意して使用することが必要です。

ラベンサラとラヴィンサラの違いについて

ラベンサラと名前が似ているラヴィンサラという精油があります。この2つはどちらもマダガスカルが原産の芳香を持つ樹木を原料としており、呼び名が似通っていることもあって消費者だけではなく生産者・市場の中でも混同され続けてきた歴史がある精油。ラベンサラとラヴィンサラは同じものであるという誤った紹介もなされるほど混乱を極めていました。近年「ラベンサラ」として市場に出回っていた多くの精油が成分的に見て「ラヴィンサラ」であったことが発覚し、学名や商品名の訂正が行われつつありますが統一されたとは言えない状態が続いています。徐々に別の精油として認識されつつありますが、販売者側から出される商品名や学名などの情報を完全に信用できるかというと微妙なところ。

混同されがちな2つの植物ですが、植物分類では

  • ラベンサラ(Ravensara)
    →学名:Ravensara aromatica
  • ラヴィンサラ(Ravintsara)
    →学名:Cinnamomum camphora

と同じクスノキ科には分類されつつも、属名からして違う離れた存在です。

学名に見覚えがある方もいらっしゃるかも知れませんが、ラヴィンサラと呼ばれている精油の原材料はCinnamomum camphora=日本でもお馴染みのクスノキ(カンファーウッド)なんです。違う名前で呼ばれているのは一般的なクスノキとは異なり、マダガスカル産のものには1,8-シネオールが多く含まれているためと考えられます。樟脳とは違う香りがするため、おそらくカンファーではない呼称が採用されたのでしょう。更に日本では“Ravintsara”をラヴィンサラもしくはラヴィンツァラとカタカナ書きにするので、ますます混同が進んだ部分もあるように感じられます。呼称はどちらも海外で使用されているものが導入されていますが、ラベンサラは学名でラベンサラ・アロマティカラヴィンサラはカンファーウッドct.シネオールというケモタイプ名にするなどしてくれると分かりやすいですよね。

ラベンサラとラヴィンサラはメーカーによる表示名・学名表記についても誤解や産地から誤って伝わっている可能性が指摘されている存在。販売されている精油が本当に表記通りのものかを見極めたい場合は、香りを確かめるか成分表を見るのが確実です。ラヴィンサラは1,8-シネオールが多いクスノキのケモタイプ精油ですから1,8-シネオールが多くなりユーカリなどに近い清涼感ある樹木系の香りがします。対してラベンサラは柑橘系の香りを持つリモネン・スパイシーな芳香を持つサビネンの含有率が高く、どことなく甘めのフルティー&スパイシーな印象この2つは芳香も精油成分も大きく異なることから、人体に対して期待できるメリットも異なると考えられます。どちらも風邪などの感染症予防効果が期待されているほか、ラヴィンサラは花粉症などの軽減に、ラベンサラは精神面のサポートに強い可能性が高いでしょう。

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香料原料データ

通称
ラベンサラ(Ravensara)
別名
ラベンサラアロマティカ、ラバンサラなど
学名
Ravensara aromatica
科名/種類
クスノキ科ラベンサラ属/常緑高木
主産地
マダガスカル、コモロ諸島
抽出部位
抽出方法
水蒸気蒸留法
>ほぼ無色~淡黄色
ノート
トップ~ミドルノート
香り度合い
中くらい
精油成分
リモネン、サビネン、α-ピネン、リナロール、エストラゴール、メチルオイゲノール、ゲルマクレンD、テルピネン4オール、β-カリオフィレンなど
おすすめ
芳香浴・アロマバス・マッサージ・ハウスキーピング

ユーカリ系の爽やかさ+アニスのような甘くスパイシーさを持つ香り

ラベンサラに期待される働き・効能

精神面への作用と効果

ラベンサラの精油は長らくラヴィンサラと混同されてきたため、成分や作用については曖昧な部分も多くあります。『The Healing Trail: Essential Oils of Madagascar』によればラベンサラ精油の中で含有比率の高い成分はリモネン、次いでサビネンとされています。しかし、精油成分の組成についても文献によりかなり違いがあり、リモネンやサビネンが主成分とする説以外にリナロールや酢酸リナリルが主成分であると紹介されていることもあります。各製品に付けられているGC/MS分析分析表を確認してみるしかないでしょう。

リモネンやサビネンはモノテルペン炭化水素類に分類される精油成分で、リモネンの芳香には抗ストレスおよび抗不安作用を持つ可能性が示されています。マウスを使った実験では2002年『Phytomedicine』に鎮静作用と運動弛緩作用を示したことが、2013年『Pharmacology Biochemistry and Behavior』には抗不安薬様効果が見られたことが報告されています。人に対しての有効性についてはより多くの研究が必要な段階ではありますが、アロマテラピーでもリモネンはリラックス作用を持つ成分として扱われていることもあり、リモネンを含むラベンサラ精油もストレスや緊張・神経性の疲労軽減に効果が期待されています。

また、リナロールと酢酸リナリルはラベンダー精油の代表成分とも言える存在で、抗不安・抗うつ作用を持つと考えられています。ラベンサラ精油を使用した研究はありませんが、ラベンダー精油にはリラックス効果や抗不安効果が見られたという報告が多いため同じ成分を含むラベンサラもメンタル面へのメリットは期待できそうです。ラベンサラ精油は抗感染症予防方面で注目されている精油のためメンタルサポートを期待して使用されることは少ないですが、ストレスケアとして役立ってくれる可能性もあります。

肉体面への作用と効果

ラベンサラ(葉)の精油が注目されるようになった理由として、抗菌・抗ウィルス作用を持つ成分が多く含まれていることが挙げられます。ラベンサラに多く含まれているリモネンなどのモノテルペン炭化水素類は抗菌・抗ウィルス作用や抗炎症作用を持つ成分が多いことが特徴とされており、リモネンやα-ピネンには免疫強化に役立つ可能性も示唆されています。リナロールも抗菌・抗ウィルス作用に優れた作用を持つと考えられることから、デュフューザーなどを使ってラバンジン精油を拡散することで風邪やインフルエンザなどの呼吸器感染症予防に役立つ・空気をきれいに保つことに繋がるのではないかと期待されています。

そのほか伝統的利用や含有成分に報告されている作用から、ラベンサラは鎮痛や筋肉の痙攣を抑える働きも期待されており筋肉痛・肩こり・腰痛・関節痛・リウマチ・頭痛・生理痛などの痛みの緩和に使用されることもあります。しかしながら、PubMedやCiNiiで検索した限り、ラベンサラアロマティカの持つ抗菌性やそのほかの作用についての研究論文はほとんど存在していません。2010年『Natural Product Communications(Vol. 5)』に黄色ブドウ球菌や枯草菌・カンジダ菌などに対しての抗菌性を研究したイタリアの研究論文が掲載されている程度。“強力なウイルス予防薬”という評価はラヴィンサラと混同されていた可能性もあります。また、葉を原料とした精油にもエストラゴールが含まれていますから毒性や皮膚刺激性がある危険性もあります。インフルエンザ対策に役立つ精油として紹介されることもありますが、常時精油を焚きっぱなしにするなどの使用は避けたほうが確実でしょう。

その他に期待される作用

皮膚利用について

皮膚刺激性や安全性についての十分な評価がなく、利用者も少ないことからラベンサラの精油がスキンケアに使用されることは基本的にありません。成分的に見た場合は抗菌・抗真菌作用を持つと考えられる成分が多く含まれているため、ニキビや水虫などの皮膚感染症予防に役立つ可能性はあると考えられます。とは言えラベンサラ精油にはエストラゴールやメチルオイゲノールなど皮膚刺激性が懸念される成分も含まれていますから、肌へのメリットを期待して利用する場合は別の精油を使用したほうが良いでしょう。

ラベンサラが利用されるシーンまとめ

【精神面】

  • ストレス・神経性疲労
  • 気持ちの落ち込み
  • 不安・緊張・イライラ
  • リラックスしたい時に
  • 気持ちを落ち着けたい時に

【肉体面】

  • 風邪・インフルエンザ予防
  • お部屋の空気浄化として
  • 関節痛・リウマチの軽減に
  • 筋肉痛や肩こりのケアに
  • (水虫・ニキビ予防に)

ラベンサラの利用と注意点について

相性の良い香り

ラベンサラの精油は独特のスパイシーさが特徴。同系統の印象がある樹木系やハーブ系の香りと相性が良いとされていますが、スパイシー感やバルサム感が鼻につくと感じた時には柑橘系の香りとのブレンドもお勧めです。柑橘系精油に少量加えることでオレンジポマンダーやスパイスケーキのような、親しみやすく美味しそうな香りになるように感じます。

ラベンサラのブレンド例

ラベンサラ精油の注意点

  • 妊娠中・授乳中の方、小さいお子さんへの使用は避けましょう。
  • 疾患がある方・投薬治療中の方は医師に確認してから利用して下さい。
  • 高濃度の使用・長時間の使用は控えましょう。
  • アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
  • 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。

参考元

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【アロマ】ウインターグリーン精油/冬緑油-植物の特徴・期待される効果効能とは? https://d-nagaya.com/aroma/post-1143/ Fri, 30 Oct 2015 08:49:01 +0000 http://d-nagaya.com/?p=1143

刺激・毒性あるため使用には最大限注意

甘いミントのような香りから食品香料としても使われることがあるウィンターグリーンの精油。主成分はサリチル酸メチルという消炎鎮痛成分であることから「湿布のアロマ」と紹介されることもありますが、このサリチル酸メチルは毒性を持つ成分のため使用には注意が必要。適切に使えば筋肉痛やリウマチなどの軽減に役立つ可能性はありますが、専門家以外は使用しないほうが確実な精油の一つです。

ウィンターグリーン

ウィンターグリーンとは

ウィンターグリーンの特徴・歴史

湿布のアロマとして紹介されることもあるウィンターグリーン。湿布の袋を開封した時のような少しツンとする清涼感のある香りもしますが、甘さもあるのでスペアミントなどと似たようなニュアンスもあります。香りの印象としては消毒薬や湿布よりは甘いミント菓子に近く、この甘く爽やかな香りを活かし食品グレードの精油はアメ・ガム・アイスクリームなどのお菓子類の香料としても使われています。大規模な製造の場合は天然精油ではなく合成香料が使われることのほうが多いようですが…。

精油の原料となるウィンターグリーンは、チェッカーベリーとも呼ばれる真っ赤な実が特徴的なツツジ科の植物。一般的にウィンターグリーンとして利用されているのはGaultheria procumbensという種で、別名“アメリカン・ウィンターグリーン(American wintergreen)”や“カナダティー(Canada tea)”とも呼ばれるように北米(北東部)が原産です。ちなみにteaが付くのは古くからネイティブアメリカンやエスキモーの方々が葉を煮出したお茶を飲んでいたため。頭痛・発熱やリウマチなどの痛みを和らげてくれるお茶=現代で言う消炎鎮痛剤として使用していたと伝えられています。そのほか葉を揉むなどして湿布のように使ったり、冬場には実る果実を食べたりもしていたそうですから、生活の一部だったのでしょう。アメリカ大陸に移住した人々にも紅茶の代用品としてウィンターグリーンティーが取り入れられ、現在でもハーブティーの一つとして親しまれています。

ミントっぽい爽やかさと甘さがあるウィンターグリーンの香りは魅力的ですが、アロマテラピーの教本などではバーチホワイトバーチと共に「使用を避けるべき精油」として紹介されていることもあります。これはウィンターグリーンの精油はサリチル酸メチルという非常に強い成分を95%以上含んでおり、毒性・刺激性が高い=取り扱いが難しいため。誤って口にしてしまうと中毒を起こし最悪の場合死に至ることも分かっています。日本では基本的に食用として精油は販売されていませんが、長期間の塗布や吸引でも呼吸困難・胃や腎臓などの内臓機能に障害が起こる可能性が危惧されています。合成サリチル酸メチルが混入された精油があることも指摘されており、そういったものは天然物以上に危険だという指摘も。信頼できる製造元のものを選び、かつ適切に取り扱う必要がある精油だからこそ使用はあまり推奨されないというわけですね。

それほど取り扱いが難しいのにウィンターグリーンの精油が注目されているのは、サリチル酸メチルはアスピリン様作用=抗炎症・解熱鎮痛を持つことが報告されているため。湿布ほか外用消炎鎮痛剤にも消炎鎮痛成分としてサリチル酸メチルが配合されています。このためサリチル酸メチル含有率が高いウィンターグリーンの精油も様々な痛みの緩和、特に筋肉痛やコリ・神経痛の緩和に役立つと注目されているわけです。危険性がある反面期待できる効果も高く、適切に利用すれば合成薬よりも副作用が少ないとの声もあることから、海外ではスポーツをする方やリウマチがある方などがセルフケア用として取り入れているようです。

香料原料データ

通称
ウィンターグリーン(Wintergreen)
別名
姫柑子(ヒメコウジ)、チェッカーベリー(checkerberry)、イースタンティーベリー(eastern teaberry)、ゴーテリア(Gaultheria)など
学名
主にGaultheria procumbens
(アジア産はGaultheria fragmentissimaも)
科名/種類
ツツジ科シラタマノキ属/常緑低木
主産地
カナダ、中国、インド、ネパールなど
抽出部位
葉部
抽出方法
水蒸気蒸留法
ほぼ無色~淡黄色
ノート
トップ~ミドルノート
香り度合い
強い
精油成分
サリチル酸メチル、そのほかリモネンやオイゲノールやなどを微量
おすすめ
マッサージ・湿布・ハウスキーピング

ミントキャンディーと消毒液の中間のような香り

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ウィンターグリーンに期待される働き・効能

精神面への作用と効果

ウィンターグリーンの精油は筋肉痛や関節炎などのケアに使われるのが主。サリチル酸メチルの刺激性・毒性の問題から、アロマランプやディフューザーなどを使用したウィンターグリーンの芳香吸引でも中毒症状を起こす可能性があるため、お部屋にアロマとして香らせておくような使用法には適していません。民間療法の中ではツンとするような刺激感のあるウィンターグリーン精油は心(脳神経)を刺激して高揚作用をもたらす、頭をクリアにしてやる気を呼び起こす香りであると称することもありますが、ずっと香らせっぱなしなのは危険なので止めましょう。手持ちの精油をリフレッシュ用などに活用したい場合は、きちんと希釈した上で短時間香らせる「気付け薬」のような利用法にするの無難です。

肉体面への作用と効果

ウィンターグリーンの精油は主に筋肉痛・関節炎・リウマチ・肩こりなどのケア目的で使用されています。ウィンターグリーン精油の主成分であるエステル類のサリチル酸メチルは鎮痛作用や抗炎症作用を持つことが報告され、市販薬にも使用されています。このためウィンターグリーンの精油もキャリアオイルに希釈してマッサージに利用したり、水で希釈して布を浸し湿布代わりにするなどして筋肉や関節の痛み軽減に取り入れられているわけです。

しかし、サリチル酸メチルの有効性の評価は研究によってバラつきがあることも指摘されていますオックスフォード大学臨床神経科学部のSheena Derry氏によるシステマティック・レビューでは、急性および慢性疼痛へ有効性を示すサリチル酸メチルの研究は古いもしくは結果の定義が不十分であり有効性は不確実であると述べられています。また誤飲すると死に至る可能性があること、2007年にはニューヨーク州に住む17歳の女子高校生がサリチル酸メチルが配合された市販薬の過剰使用によって死亡したことが報じられていることからウィンターグリーン精油の使用を危惧する声も多くなっています。

とは言え通常のサリチル酸メチル配合商品を注意書きを守って使用している場合、アレルギーなどがなければ問題なく使用している方が多いこと・痛みの軽減を感じている方もいらっしゃることから、ウィンターグリーン精油を使用するという方もいらっしゃいます。使用する場合は芳香でも中毒を起こす可能性があること、皮膚から吸収される可能性があることを念頭に置いて低濃度に希釈しましょう。ウィンターグリーンの精油は皮膚刺激性もありますから、1%未満に希釈しての使用が推奨されています。

そのほか

一部のアロマセラピストなどにはウィンターグリーンの精油は消炎鎮痛以外の部分でも役立つと主張する方もいらっしゃいます。おそらく伝統的にネイティブアメリカンの方々が風邪薬のように使用していたこと+消炎作用を持つことから風邪予防や咳・気管支炎などの呼吸器系トラブルに良いという説もあります。そのほかネイティブ・アメリカン時代からの伝統医学的効能からむくみや膀胱炎などの泌尿器トラブル対策、解毒や代謝機能向上に役立つと紹介しているサイトもあります。しかし、上記でも触れたようにほぼサリチル酸メチルで構成されているウィンターグリーンの精油を高濃度もしくは長時間香らせることは、中毒症状を起こす原因となります。作用についても認められているものではありませんから使用は避けましょう。

その他に期待される作用

皮膚利用について

殺菌消毒作用や抗炎症作用を持つと考えられることからニキビや湿疹などのケアに役立つと考えられています。その他にも海外では肌に対する有益性を謳っているサイトがありますが、毒性・皮膚刺激性の高さからスキンケア用としてウィンターグリーン精油を使用することはお勧めできません。

ウィンターグリーンの利用と注意点について

相性の良い香り

ウィンターグリーンの精油は甘いミントのような香りがあり、香り自体もかなり強く感じます。組み合わせる場合は柑橘系や同系統の雰囲気を持つハーブ系・樹木系だと失敗しなさそうです。特ユーカリ系・ミント系とはよく馴染みますが、個人的には使用自体をお勧めしたくない精油ではあります。

ウィンターグリーンのブレンド例

ウィンターグリーン精油の注意点

サリチル酸メチルは一般家庭で独断で扱うには危険のある成分です。上でご紹介した女子高生の死亡事件についても、長期間にわたって皮膚から皮膚から吸収されたことが原因ではないかと考えられています。このため局所的に適用した場合でも拒否反応や毒性が発生する可能性が指摘されていますし、誤飲は死を招きます。特にウィンターグリーンの精油は甘めの香りがする=お子さんの誤飲を招きやすいこともあるので、お子さんがいらっしゃる家庭には置かないほうが良いでしょう。健康な大人であっても吐き気や頭痛・動悸・痙攣などの症状が出た場合は即座に使用を中止し、医療機関で見てもらうようにしましょう。

  • 妊娠中・授乳中方、小さいお子さんへの使用は避けましょう。
  • サリチル酸またはアスピリンアレルギーのある方は使用を避けましょう。
  • 持病・疾患のある方、医薬品を服用している方は医師に相談することをお勧めします。
  • 皮膚刺激性があるため注意が必要です。低濃度に希釈し、必ずパッチテストを行ってから短期的に使用するようにしてください。
  • アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
  • 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。

参考元

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【アロマ】イリス(オリスルート)精油-植物の特徴・期待される効果効能とは? https://d-nagaya.com/aroma/post-1136/ https://d-nagaya.com/aroma/post-1136/#comments Wed, 21 Oct 2015 08:57:39 +0000 http://d-nagaya.com/?p=1136

複雑なのに柔らかい、稀少な高級香料

精油ショップでもなかなかお見かけしないイリスの精油。フローラルやパウダリーと称されるどこか女性らしい香りが特徴的ですが、精油はオリスルートと呼ばれる芳香を持つアヤメ類の“根”から抽出されています。芳香が生まれるには数年間の乾燥・熟成期間が必要なこともあり、稀少かつ高価な存在となっているんですね。香りを楽しむための存在ですが、リラックスやスキンケアに役立つのではないかという説もありますよ。

イリス/アイリス(Iris)

イリス/オリスルートとは

イリス(オリスルート)の特徴・歴史

フローラル感とバルサミック感が入り混じったような、既に完成された香水のように複雑で相反する香りを持つイリスの精油。個人的には貴婦人とか女王など高貴な女性を連想する香りだったりします。香りが強いため希釈濃度によっては「ウッ…」となる場合もありますが、適度な濃度であれば単体でも超高級石鹸もしくは香水と言った風情。香りはバイオレット(スミレ)に近く、バイオレット精油は葉を原料にしたグリーン系の香りなため「スミレの香り」を作りたい時にもイリス精油が使われていいます。優美で複雑な香りはもちろんのこと、揮発性が低く香りの持続時間が長い=保留剤としても役立つ・時間経過とともにパウダリーな香りに変化していくことも、香水や香料として高く評価される所以だとか。

そんな独特で複雑な芳香を持つイリス精油はアヤメ科アヤメ属の植物が原料。ちなみにイリス(Iris)というのはアヤメ属の属名がそのまま使われた呼び名ですから、広義では日本で自生しているアヤメやカキツバタなども含まれています。読み方の違いでアイリスと呼ばれるのも同様ですが、オリスもしくはオリス・オリスルート(Orris Root)という呼び方をされる場合は話が別。根を意味する“Root”が付けられているように、オリスルートという呼び方をする場合は「根部に強い芳香を持ついくつかの種(の根)」を指すことが多くなっています。パウダリーもしくはフローラルと表現したい香りですが、香料は根から抽出されているんですね。

アヤメ属の植物は世界に150種類程あるものの、主に香料用として用いられているのはニオイアヤメ(Iris florentina)、シボリイリス(Iris pallida)、ムラサキイリス(Iris germanica)の3種類だけ。特に特産地であるイタリアのトスカーナ州(フィレンツェ)産の最高級品は「金塊の3倍の価値がある」なんで称されることもあるそうです。種類については諸説ありますが、オリスルートは古代ギリシアやローマの時代から香料として珍重されていたと伝えられる歴史ある香料の一つでもあります。また、中世頃には咳や気管支炎・下痢などに対しての薬として乾燥させたオリスルートを煎じたお茶が使われていたため、修道院の薬草園でも育てられていたそう。16世紀にフィレンツェで生まれたカトリーヌ・ド・メディシスもオリスルートの香りを好んだという逸話がありますから、香料としても人気の存在であり続けたのでしょう。

ところで、イリス(オリスルート)の稀少で高価な精油です。その理由として挙げられるのがイリスの根を収穫するまでに2~3年、収穫した根の皮を向いて2~3年の間乾燥・熟成させる必要があるということ。実は収穫したての根にはフローラルな芳香はなく、ほぼ無臭もしくは土臭いのだとか。熟成によって“イロン(Irone/アイロンとも)”やイオノン(Ionon/ヨノンとも)という香気成分が形成されると、これを粉砕し、水蒸気蒸留を行います。オリスルートを蒸留するとできるのが、イリスコンクリートやオリスバターと呼ばれるバターやワックスのような粘土の高い半固形物体。通常の精油とは異なるため、オリスバター抽出用にカスタマイズされた蒸留器が必要になります。ものすごく手間と時間がかかっていますよね。さらに「1トンのオリスルートから採れる精油(オリスバター)は2キロ」なんて声もあるくらいに採油率も低め。

このためイリスの精油は稀少でありお値段も相応、最高級品であれば1kg1,000万円とも言われるほど高価な精油となっています。ちなみにオリスバターのままで固形で使いにくいため、精油メーカーからはそれを10~15%に希釈したものが販売されていることが多いようです。そのほか溶剤抽出もしくは二酸化炭素抽出によって作られたイリス・アブソリュートも海外サイトでは販売されています。精油の概念にピッタリ合致するとはいえないイレギュラーさや稀少さもあってか、アロマテラピーでイリスが使用されることはほぼありません。健康メリット云々よりも優雅な香りを楽しむための存在と言えるでしょう。

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香料原料データ

通称
イリス(Iris)
別名
アイリス、オリスルート(Orris Root)、オリス・バター(Orris Butter)、菖蒲(アヤメ)など
学名
Iris pallida(ニオイアヤメ)
Iris florentina(シボリイリス)
Iris germanica(ムラサキイリス)
科名/種類
アヤメ科アヤメ属/多年草
主産地
イタリア、フランス、モロッコ、中国など
抽出部位
根部
抽出方法
水蒸気蒸留法
ほぼ無色~淡い黄色
ノート
ベース~ミドルノート
粘性
高い
香り度合い
強い
精油成分
γ-イロン、α-イロン、イオノン、ミリスチン酸、ラウリン酸
おすすめ
芳香浴・アロマバス (スキンケア・ヘアケア)

スミレに似た印象だが、より温かさと力強さを感じられる香り

イリス(オリスルート)に期待される働き・効能

精神面への作用と効果

イリス精油やオリスルート・アブソリュートは「香りを楽しむためのもの」として使われるのが一般的。乾燥オリスルートを粉末化したものは伝統医療の中で生薬として使われることもあり若干の研究が行われているようですが、蒸留しイリスオイルとして販売されているもの・その芳香についての研究はほとんどなく、作用や効果については信憑性が低い伝統医学もしくは自然療法上のものであるという見解もあります。

このため作用秩序や有効性は不明ではありますが、ハーブ療法やアロマテラピーにおいてイリス精油の芳香は鎮静作用があり気持ちをリラックスさせてくれると考えられています。香りとしてもイリスは柔らかく上品なフローラル系、かつどこか土や木々を思わせる温かみのある印象。リラックスや幸福感に繋がるような雰囲気の香りではあります。ストレスで情緒不安定になっている時やネガティブな思いから抜け出せない時に、自分へのご褒美として香らせると明るさを取り戻す手助けをしてくれそうですね。

肉体面への作用と効果

イリスは香りを楽しむことが主体の精油のため、不調の軽減や心身のケアを意識して使用されることはほどありません。しかしオリスルートが伝統医学に用いられることから、その効能とされている呼吸器系のケア・痛みや炎症の軽減に役立つのではないかという方もいらっしゃいます。蒸気にして吸引しやすいことから喘息や気管支炎の緩和に良いとする説もありますが、イリスの代表成分であるイオンやイオノンはケトン類に分類されるため毒性や刺激・感作作用を危惧する声もあります。有益性については不明瞭な部分が多く、長時間の継続使用は避けたほうが無難な精油でもありますから、香りを楽しむ目的でのみ使用することをお勧めします。

その他に期待される作用

肌への働きかけ

オリスルート(乾燥粉末)や抽出物・イリスの精油は美容効果が高いと考えられ、欧米では化粧品類やヘアケア製品に配合されていることもあります。殺菌作用や肌が水分と弾力性を保持するのを助ける働きを持つと考えられているほか、2010年にはカネボウ化粧品から“アイリス精油には抗酸化作用とメラニン色素の生成を抑える美白作用が見られた”という発表もなされています。そのほか抗炎症作用が期待できる・皮膚軟化作用があるなどの説もあり、ニキビなどの皮膚トラブル予防からシミ対策・お肌のエイジングケアなど様々なメリットが紹介されています。

ただしイリス精油は皮膚刺激性が指摘されている精油でもあるため、敏感肌の方・体質と合わない方の場合は逆に炎症誘発物質となってしまう危険もあります。希釈しているもの・オイル化する過程で溶剤を使用しているものは特に注意が必要です。イリス精油自体が稀少で入手しにくい存在でもありますから、手作り石鹸やバスボム作りの際にごく少量を香料として扱うくらいが無難なように思います。スキンケアに使用した場合はイリス(オリスルート)抽出成分を配合の商品を購入したほうが確実でしょう。

イリス精油が利用されるシーンまとめ

【精神面】

  • ストレス・緊張
  • 不安・焦燥感
  • 精神的な疲労感に
  • 気分が落ち込んでいる時に
  • リラックスしたい時に

【肉体面】

  • 咳や軽い痛みの軽減に
  • (乾燥・ゴワゴワ肌に)
  • (ニキビ予防として)
  • (美白・シミ予防に)
  • (肌のアンチエイジングに)

イリス(オリスルート)の利用と注意点について

相性の良い香り

オリスの精油は刺激性の問題から低濃度に希釈し他のオイルと一緒に使用することが推奨されている存在です。単体でも素晴らしい香りがありますが、安全性や価格面などを考えるとブレンドに使うのが最適と言えるかもしれません。相性が良いのは柑橘系やフローラル系、またフローラル感やパウダリー感が強すぎると感じる場合はウッディー系の香りと組み合わせると軽やかになります。

イリスのブレンド例

イリス精油の注意点

  • 妊娠中・授乳中方、小さいお子さんへの使用は避けましょう。
  • アレルギーのある方は使用に注意が必要です。
  • 持病・疾患のある方、医薬品を服用している方は医師に相談することをお勧めします。
  • 皮膚刺激性があるため敏感肌の方は注意が必要です。
  • 多量・高濃度での使用は頭痛や吐き気などを起こす可能性があります。
  • アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
  • 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。

参考元

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https://d-nagaya.com/aroma/post-1136/feed/ 2
【アロマ】リツエアクベバ(メイチャン)精油-植物の特徴・期待される効果効能とは? https://d-nagaya.com/aroma/post-1126/ Mon, 12 Oct 2015 08:21:57 +0000 http://d-nagaya.com/?p=1126

フレッシュな香りで心も空気もキレイに

レモンのような爽やかな香りを持ちメイチャンとも呼ばれているリツエアクベバ。原料はクスノキ科樹木“アオモジ”の果実で、レモングラスと似ていますがリツエアクベバの方がライトで甘めの香りです。主成分シトラールには鎮静作用が報告されており、ストレス対策や安眠サポートにも期待されています。抗菌作用を持つ成分が多いので風邪が気になるシーズンや、部屋の空気作りにも役立ちますよ。

litsea-cubeba

リツエアクベバ(メイチャン)とは

リツエアクベバの特徴・歴史

名前はよく見かけるけれど原料植物の想像がしにくい精油、リツエアクベバ。香りはレモンに近い柑橘系の爽やかさをベースに、グリーン感+ライトなスパイシー感が入り混じったスッキリ系です。好き嫌いも少なそうですし、柑橘系精油よりは香りが飛びにくい・安価であることから精油を取り扱うお店ではよく見かける精油の一つ。個人的に好きな香りだからかも知れませんが、ブレンド用に一本あると便利な精油だと思います。

香りから柑橘類の精油にも思えるリツエアクベバ、実はローレルシナモンと同じクスノキ科樹木の果実が原料。リツエアクベバという「何語なの?」と言いたくなるような呼び名も、学名Litsea cubebaをそのままカタカナにしたものです。読み方の違いからリツェアクベバ、リトセアキュベバ、リツエアクベバ、リトセアキュベブなど様々な表記がなされていますが基本的に同じ言葉です。別名メイチャン(May chang)とも呼ばれており、こちらは中国語由来。中国伝統医学の中でリツェアクベバの様々な部位が喘息や消化不良、頭痛・筋肉痛ほか痛みの治療に用いられてきた歴史があり、欧米ではチャイニーズ・レメディ(中国の治療薬)の一つというイメージもあるそう。果実は生薬“蓽澄茄(ひっちょうか)”として利用されることがありますが、こちらはクベブもしくはキュベブと呼ばれるコショウ科植物の果実が正式なようです。

ちなみにリツエアクベバの原産は中国南部から東南アジアにかけての地域と推測されていますが、日本にも分布しています。精油原料として使われる果実だけではなく枝や葉からもレモン系の芳香を放ち、枝が緑がかった色で“アオモジ(青文字)”と呼ばれている樹木がリツエアクベバなんです。日本でも自生していたり庭木として植えられていたりするので目にしたことのある方もいらっしゃるはず。枝は香りが良いことから和菓子用の楊枝にも使われていたりします。精油の抽出にも使われる果実はスッキリとした香りと辛味を持つことが特徴。食べると辛いことから日本では“ショウガノキ”や“コショウノキ”と呼ばれていたり、中華料理では香辛料感覚で用いられていることから“チャイニーズペッパー”などの呼び名もあります。

1950年代頃から欧米でもリツエアクベバにシトラールが多く含まれていることが注目され、安価なレモンバーム(メリッサ)の代用品としても親しまれてきました。現在もレモングラスと共に天然シトラールの原料として利用されているほか、石鹸やデオドラント剤・香水など様々な分野で使われています。シトラール含有率が高くレモン様の香りを持つことは同じですが、線が太くハーバルな印象のレモングラスに対して、リツエアクベバは甘い印象。レモンキャンディやレモンシャーベットとお菓子に例えられることも多い存在です。

香料原料データ

通称
リツエアクベバ(Litsea cubeba)
別名
メイチャン(May chang)、アオモジ(アオモジ)、アロマティック・リステア(aromatic litsea)、エキゾチックバーベナ(exotic verbena)など
学名
Litsea cubeba
科名/種類
クスノキ科ハマビワ属/低木
主産地
中国、台湾、日本、インドネシアなど
抽出部位
果実
抽出方法
水蒸気蒸留法
ほぼ無色~淡黄色
粘性
低い
ノート
トップ~ミドルノート
香り度合い
中~強め
精油成分
シトラール(ゲラニアール、ネラール)、リモネン、リナロール、α-ピネン、ゲラニオール、シトロネラール、シトロネロールなど
おすすめ
芳香浴・マッサージ・ハウスキーピング・防虫

レモングラスと似た印象のある、スッキリとした香り

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リツエアクベバに期待される働き・効能

精神面への作用と効果

リツェアクベバ(メイチャン)精油は、精油成分のうち70~85%程度がモノテルペンアルデヒド類に分類される芳香成分シトラールとなっています。シトラールはゲラニアールとネラールを合わせて指す呼称で、アロマテラピーでは鎮静作用を持つ成分と考えられています。2002年の『Phytomedicine(Vol 9)』に掲載されたマウスを使った実験でも筋弛緩・睡眠時間延長とバルビツール酸系睡眠時間の増加が見られたと報告されており、鎮静作用と運動弛緩作用を持つのではないかと結論付けられています。このため神経性の不安や精神的な疲労感があるとき、眠りが浅いなと感じている時のサポートにリツエアクベバの香りが役立つのではないかと期待されています。

加えてリツエアクベバにはリモネンやネラール、ゲラニオールなどの精油成分も含まれています。これらの成分にも鎮静作用や抗不安・抗うつ作用を持つ可能性が報告されていることから、総合的に見てリフレッシュや気分の高揚にも役立つという見解もあります。アロマテラピーの書籍では鎮静と高揚の両作用を持ち、やる気を与える・集中力を高める働きに優れている精油として紹介しているものもあります。香りの印象としても爽やかなレモン系の香りはリフレッシュや前向きさのサポートに繋がりそうですよね。高揚作用についてのエビデンスは不明ですし成分比率からも鎮静系寄りであると考えられますが、リツェアクベバはストレス・疲労・精神面の不調に幅広く利用されています。

肉体面への作用と効果

中国で古くから使用されてきた伝統的効能との関係もあり、リツェアクベバ(メイチャン)は消化器系のサポートが得意な精油と考えられています。成分的にもシトラールには鎮静作用以外に抗炎症作用や鎮痛作用が期待されていますし、シトラールに次いで含有率の高いリモネンも消化器系への働きかけが期待されている成分。このため現代の中国医学とは縁のない方々も消化器系の不調、消化不良や胃もたれなどのケアに取り入れています。腸の蠕動運動を促進させ駆風作用を持つという説もありますから、鼓腸とそれに起因する不快感・便秘気味の方はお腹のマッサージに取り入れてみても良いかもしれません。

リツエアクベバに期待されている健康メリットとしては、呼吸器系のケアも挙げられます。アルデヒド類は抗炎症作用や抗菌・抗真菌作用を持つ成分として扱われており、シトラールも優れた抗菌・抗真菌作用があると考えられています。リツエアクベバ精油は鎮痛・鎮痙作用が期待されている精油でもありますから、発作的な咳などの症状を抑えて呼吸をしやすくする手助けをしてくれると考えられているわけです。ただし呼吸器系症状に関しての研究はほとんどなされていません。ハーブやアロマは個人差もありますから、体質を見ながら自分の体に有益かを判断し、症状が重い場合は医師の診断と治療を受けるようにしましょう。

空気浄化用に

リツエアクベバは抗炎症・抗感染作用が期待されるシトラールなどのテルペンアルデヒド類含有率が高い精油。優れた抗菌・抗真菌・抗ウィルス作用を持つと考えられることから、広く香らせることでお部屋の空気の浄化用、風邪やインフルエンザの予防としても用いられています。抗炎症作用が期待できるので花粉症の軽減に役立つ可能性もありますよ。

また、2012年には『PLOS ONE』に“Litsea cubeba種子油の蒸気吸引はNSCLC(非小細胞肺癌)のアポトーシスを誘発する”という研究も掲載されています。可能性段階の話ではありますが肺がん予防・進行阻害に対する有効性が示唆されたということで、スモーカーさんのお宅に適しているのではという声も。リツエアクベバの爽やかなシトラス調の香りで若干の消臭になる可能性もありますし、タバコや香水の匂いと混じっても悪臭になりにくい香りでもあります。精油のお値段としても安い部類ですからルームフレグランス・ナチュラルな抗菌剤感覚でスプレーやデフューザー用に使用してみても良いのではないでしょうか。

その他に期待される作用

皮膚利用について

リツェアクベバ(メイチャン)の精油は抗菌作用を持つ成分が非常に多いこと・収斂作用が期待できることから脂性肌の方やニキビが出来やすい方のスキンケアに適した精油として紹介されることが多い存在。そのほか頭皮や髪の毛の脂っぽさが気になる方、抗真菌作用から水虫などの感染性皮膚疾患予防に取り入られることもあります。また過度の発汗を抑制し、不快な体臭を引き起こす細菌の増殖を抑える働きが期待できることから、体臭予防にも活用されています。

しかし、シトラールは皮膚刺激を起こす危険性のある成分。加えてアルデヒド類は酸化しやすく、酸化することで刺激性物質に変化するという特徴もあります。使い始めは大丈夫であっても、開封してから時間の経っている精油を使用して炎症を起こすという可能性もありますから、スキンケアやマッサージのような皮膚に付けるような利用をする場合は周囲が必要です。お風呂で使用すると刺激や感作を引き起こすリスクが高くなるという指摘もありますから、こまめにパッチテストを行い様子を見ながら使用してください。

お掃除・虫除けにも

リツエアクベバは抗菌・抗真菌作用の高さからお掃除用の消毒剤のような感覚でも使用されています。また、リツエアクベバの主成分であるシトラールは昆虫忌避特性がある、特に蚊の嫌う香りであることが認められています。2006年に『Tropical Biomedicine』にはレモングラス精油を付けていた箇所は蚊に刺された数が少なくなったという実験が掲載されており、その作用をもたらした成分がシトラールとされています。このためシトラールを主成分とする、製品によってはレモングラスよりもシトラール含有率の高いリツェアクベバ(メイチャン)も虫除けアロマとして役立つと考えられるわけです。お掃除用ならティーツリー、蚊よけ用ならペパーミントユーカリなど目的に応じてブレンドしてみると楽しそうです。

リツェアクベバが利用されるシーンまとめ

【精神面】

    • ストレス・精神疲労
    • 不安・緊張・無気力
    • 気持ちが落ち込んでいる
    • 情緒不安定だと感じる
    • 眠りが浅い気がする
    • リフレッシュしたい
    • 前向きになりたい

.

【肉体面】

  • 消化不良・食欲不振
  • 腹部膨満感・便秘
  • 咳・気管支炎・喘息
  • 風邪・インフルエンザ予防
  • 脂性肌・ニキビ予防
  • 水虫予防に
  • 虫除けアロマとして

リツエアクベバ(メイチャン)の利用と注意点について

相性の良い香り

リツエアクベバは癖のないレモンのような香りが特徴の精油。レモン精油と同じく重ためから軽めまでどんな香りとも組み合わせやすい存在ですが、特にハーブ系やフローラル系の香りであれば違和感なくブレンドすることができるでしょう。どことなくシナモンのような甘さ・スパイシーさを含んでいるためスパイス系精油とのブレンド、香りの癖が強すぎると感じる際の緩和用にも役立ちます。

リツェアクベバのブレンド例

 

リツェアクベバ精油の注意点

  • 妊娠中・授乳中の方、小さいお子さんへの利用は避けましょう。
  • 持病のある方は使用前に医師に確認してください。
  • 刺激が強く、芳香浴でも稀に感作作用を起こすことがあります。
  • アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
  • 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。

参考元

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【アロマ】ホーリーフ(芳樟)精油-植物の特徴・期待される効果効能とは? https://d-nagaya.com/aroma/post-1097/ Tue, 06 Oct 2015 11:30:47 +0000 http://d-nagaya.com/?p=1097

環境に優しい、ローズウッドに似た精油

ホーリーフは芳樟と呼ばれるクスノキの変種で、台湾や中国南部と暖かい地域が原産です。リナロールの含有率が高いことからローズウッドの代替え品として注目されており、木を切り倒さなくともリーフ(葉)から精油が抽出できる点も評価されています。精油はフローラル感のある軽いウッディ調で、嫌われることの少ない上品な香り。リナロールの働きからリラックス促進や風邪予防などにも役立つと期待されています。

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ホーリーフ(芳樟)とは

ホーリーフの特徴・歴史

21世紀に入ってから注目度が高まり、国内でも見かける機会が増えてきたホーリーフと呼ばれる精油。リーフという呼び名から想像するグリーンな香りではなく、ウッディさやフローラルさを感じさせる温かい香りが特徴です。香りと成分が近年大量伐採による減少が問題となっているローズウッドと似ていることから、ホーリーフはリナローウッドと共にローズウッドの代用品として使用されています。ホーウッドという木部から抽出された精油もあるのですが、特に主原料が葉=木を傷めること無く原料を確保できるという部分でもホーリーフには注目が寄せられています。合成ではないリナロールの単離にも使われることがあるのだとか。

そんなホーリーフはクスノキ科ニッケイ属に分類される樹木(ホーウッド)の葉です。和名では“芳樟(ホウショウ)”とも呼ばれている、楠(クスノキ/カンファーツリー)の変種もしくは亜変種です。外見上は私達の知るクスノキとほぼ変わらないのですが、強いて言えばクスノキよりも幹や花がやや小ぶりであること・葉縁が波打つことが特徴。ホーウッドは台湾や中国南部に分布していた樹木であり、耐寒性が低いという性質があります。このためか日本には自生していなかった種ですが、現在は日本でも鹿児島県など比較的温暖な一部地方でも見ることが出来るようになっています。

また、葉だけではなく木部もクスノキの特徴と言えるカンファーをほとんど含まず、リナロールを多く含んでいることが特徴と言えます。このため台湾では樟脳の原料としてクスノキを育てていたため、カンファーをほとんど含まない変種=ホーウッドは「臭樟(しゅうしょう)」と呼ばれて嫌われてきたという歴史があります。しかし明治末頃にこの使えない「臭樟」からリナロールが単離出来ることが分かると評価は一転し、香料原として栽培が盛んになって行きました。この時に呼称も嫌な匂いを連想させる「臭樟」ではなく、芳しい香りを持つことを示した「芳樟」に変更されたようです。最近流通し始めた精油のように感じがちですが、リナロールの化学合成が行われるようになるまでホーリーフは高級化粧品用の香料として栽培・採油が行われていた歴史があるんですね。

ローズウッドなどと同じくリナロールの合成方法が確立されると、国内でのホーウッドの栽培は低下して行きました。戦後すぐくらいは芳樟の栽培をしていた県はもっと多かったことが分かっていますが、安価な合成香料に押されて閉業してしまったところも多いそう。現在は一部の天然成分を用いた化粧品や香料などで用いられており、調べてみたかぎり国産芳樟の精油を小売されているのは鹿児島県くらいのようです。原材料の生育から抽出まで完全国産であり、他のエッセンシャルオイルよりも親しんできた歴史も長く、葉を摘み取って抽出するため環境にも優しい。もちろん香りも良い植物ですから、国産精油の製造が盛んになってくれると嬉しいですね。

クスノキの仲間・種類について

クスノキの精油・樟脳と言われると「刺激臭」「おばあちゃんちの箪笥」など、あまり良いイメージを抱かない方が多いのではないでしょうか。樟脳と販売されていたものと天然ホワイトカンファーの香りは個人的には別物ですが、独特な薬品臭いようなツンとした香りはあります。この好き嫌いの別れるツンとした香りの元と言えるがカンファーという成分で、クスノキはカンファーツリーとも呼ばれるほどカンファーが多く含まれていることが特徴。種名もCinnamomum camphoraですしね。

しかし、同じCinnamomum camphoraの中でもカンファーの含有率が低い変種もしくは亜変種が存在しています。その中で精油としてポピュラーなのは、リナロールが多いホーウッド(芳樟/学名:Cinnamomum camphora var Linalool)と、マダガスカル原産で1,8-シネオールを多く含んでいるラヴィンサラ(学名:Cinnamomum camphora BS 1,8-cineole)の2つどちらも基本種であるクスノキの特徴成分カンファーはほとんど含まれていませんし、別の呼称が付けられているので意識しないと仲間の精油だとも思わない存在ですよね。芳樟の分類・学名に関しては現在でも統一されていませんし、産地によって主成分が変わることから精油は成分によってCinnamomum camphoraのケモタイプとして分類しているケースもあるようです。こうした精油は呼称よりも成分・原産地を確認したほうが確実かもしれません。

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香料原料データ

通称
ホーリーフ(Ho Leaf)
別名
ホウショウ(芳樟/Ho-Sho)、Ho Ho-Sho(ホーツリー)など
学名
Cinnamomum camphora Sieb.var.glavescens
(syn.Cinnamomum camphora BS Linalool)
科名/種類
クスノキ科ニッケイ属/常緑高木
主産地
中国、台湾、日本
抽出部位

(木部を使用したものは皮膚刺激・神経毒性の危惧がある)
抽出方法
水蒸気蒸留法
無色~淡黄色
粘性
低い
ノート
トップ~ミドルノート
香り度合い
やや弱め~中くらい
精油成分
リナロール、カンファー、1,8シネオール(そのほかサフロール、リモネン、ネロリドール、ゲラニオールなどを微量含む)
おすすめ
芳香浴・アロマバス・マッサージ・スキンケア・ヘアケア

ライトなウッディ調のなかにフローラルさを含んだ温かい香り

ホーリーフに期待される働き・効能

精神面への作用と効果

ホーリーフ精油の代表成分と言えるのがモノテルペンアルコールの一種、リナロール。製品にもよりますが、多いものでは精油成分のうち80%以上がリナロールというものもあります。リナロールはローズウッドラベンダーにも多く含まれている成分で、フローラルな香りの元でもあります。柔らかく心地良い香りを保つだけではなく、このリナロールは鎮静・抗不安作用が期待されている成分でもあります。ホーリーフやホーウッドの精油や芳香を使用した実験というのはありませんが、1998年『Neurochemical Research』にリナロールが中枢神経系において用量依存的な顕著な鎮静作用を有することを示したという研究報告が掲載されています。

2009年にブラジルの研究所から『Phytomedicine』に発表されたマウスを使った実験では、リナロールの吸引で運動能力を著しく損なうことなく鎮静を誘発するようであるという見解もあります。そのほかにもリナロールには鎮静作用が見られた・ストレスレベルが低下したという報告があることから、リナロールは抗不安薬(不安軽減薬)に類する作用を持つのではないかと期待されています。このことからリナロールを主成分とするホーリーフの精油も気持ちを落ち着け、心のバランスを整える手助けに取り入れられることがあります。

また、リナロールは鎮静・リラックス作用によって睡眠の改善をサポートする働きを持つ可能性がある成分でもあります。2008年『Phytomedicine』に掲載されたブラジルの研究ではリナロール吸引によってマウスに催眠鎮静作用が見られたことが報告されています。そのほか徐波睡眠が増加するなどリナロールによって睡眠の質を高める可能性を示唆した実験報告も多くあることから、リナロールを含むリナローウッドも安眠サポートに役立つという説もありますよ。

肉体面への作用と効果

リナロールはリラクゼーションを促進するだけではなく、炎症と痛みを軽減する働きが期待されています。2002年『Journal of Phytomedicine』にはリナロールに抗炎症剤として優れた作用が見られたことが、2003年の後続研究では鎮痛作用が見られた事が報告されています。痛み信号を脳に伝達する脊髄内の細胞の興奮性を低下させることで麻酔的な鎮痛作用を発揮する可能性を示唆した報告や、筋弛緩作用を持つという見解もあるため、リナロールは様々な痛みの軽減に効果が期待されています。神経系を鎮める働きと合わせて、肩こりや筋肉痛、ストレス性の頭痛や胃痛の緩和などの手助けとしてホーリーフ精油を取り入れる方もいらっしゃるようです。

加えてリナロールは優れた抗菌・抗真菌作用を持つことが報告され、抗ストレス作用によって健康な免疫システムを保持する可能性も示唆されています。若干含まれているカンファーも抗菌作用や鎮痛・抗炎症作用が含まれていることから、風邪予防もしくは、咳・気管支炎・発熱など風邪の初期症状ケアをサポートしてくれる可能性もありそうです。粘液溶解作用があり、風邪の症状だけではなく花粉症の緩和に役立つのではないかという見解もありますよ。

その他に期待される作用

肌への働きかけ

リナロールは化粧品類の香料として使用されているだけではなく、肌に対しても有益な働きが期待されている成分。高い抗菌作用・抗真菌作用を持つと考えられること、抗炎症作用が期待できることからニキビ予防、水虫(白癬)・脂漏性皮膚炎などの真菌性皮膚感染症などのケアに用いる方もいらっしゃいます。また、細胞成長促進・組織再生を促進する作用を持つのではないかという説もあり、リナロールを含む精油は傷跡を目立ちにくくする働きが期待できることから傷跡や火傷跡・妊娠線のケアなどにも活用されていることもあります。そのほか瘢痕形成作用・肌細胞を活発化させる働きからシミやシワの改善などお肌のアンチエイジング・エイジングケアのサポートに繋がるのではないかという説も。

しかしながら、リナロールは皮膚刺激または直接接触時のアレルギー反応を起こす事も報告されています。ホーリーフの精油についても一般的に毒性・刺激・感作性はないと紹介している販売社がある一方で、『The Good Scents Company』の香料データベースでは皮膚刺激を起こす可能性がある精油と紹介しています。ホーリーフの精油は研究がほとんど行われていませんし、昔は化粧品に使われていたとは言え一般人がよく使う精油というわけでもありません。利用のデータが少ないこと・炎症を起こす可能性があることを念頭に置き、しっかりとパッチテストを行ってから利用するようにしてください。

消臭剤として

リナロールやカンファー・1,8シネオールなど抗菌作用をもつ成分を多く含むホーリーフの精油はデオドラントアロマとしても活用できます。雑菌の繁殖を抑えることで悪臭の発生を抑制する他、リナロールはより直接的なデオドラント(消臭)作用も期待され消臭成分として使われることもある存在。お部屋の生活臭や体臭予防にも役立つ可能性があるでしょう。ホーリーフの精油はウッディ&フローラル感がある上品な印象。リラックス促進にも期待できるので、アロマスプレーを作って芳香剤・香水代わりに取り入れてみても良いのではないでしょうか。

ホーリーフが利用されるシーンまとめ

【精神面】

  • ストレス・精神疲労
  • 不安・緊張・抑鬱
  • 情緒不安定なとき
  • 前向きになりたい
  • 寝付きが良くない
  • リラックスしたい

【肉体面】

  • 筋肉痛や肩こり・腰痛に
  • 頭痛や神経痛の軽減に
  • 風邪予防・初期症状ケア
  • 咳・鼻詰り・鼻炎の軽減に
  • お部屋の空気をきれいに
  • 傷跡・妊娠線のケアに

ホーリーフの利用と注意点について

相性の良い香り

フローラル感とウッディ感を併せ持ったホーリーフの香り。柔らかい印象で香り自体もそれほど強くはありませんので、ブレンド相手はさほど選びません。何系の香りともブレンドできますが、特に柑橘系の精油とは相性が抜群。好みにもよりますが、軽い印象のウッディ系やハーブ系とも組み合わせやすいと思います。

ホーリーフのブレンド例

ホーリーフ精油の注意点

  • 妊娠中・授乳中の方、小さいお子さんへの利用は避けましょう。
  • 持病のある方は使用前に医師に確認してください。
  • 稀に主成分がカンファーというホーリーフ精油が販売されているようです。カンファーは刺激が強く扱いが難しい成分のため、購入時は香り・成分表を確認することをお勧めします。
  • アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
  • 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。

参考元

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【アロマ】オレガノ精油-植物の特徴・期待される効果効能とは? https://d-nagaya.com/aroma/post-995/ Fri, 25 Sep 2015 10:46:29 +0000 http://d-nagaya.com/?p=995

優れた抗菌・抗真菌性について研究されている

イタリアンなどの料理に使用するハーブとしてもお馴染みのオレガノ。精油はハーブよりもドライで刺激的な印象があり、刺激性や毒性が強いことから扱いに注意が必要な存在としても紹介されることがあります。しかし主成分であるカルバクロールやチモールというフェノール類には優れた抗菌作用や抗真菌作用が見られたことが報告されており、天然の抗菌座・抗生物質として活用できるか様々な研究が行われています。

オレガノ(Oregano)

オレガノとは

オレガノの特徴・歴史

少し苦味を感じるようなスパイシーさが特徴敵でトマトとの相性も非常に良い香辛料、オレガノ。メキシコやラテンアメリカ、トルコ料理など様々な所で使用されているスパイスで、イタリア料理でもお馴染みの存在。アメリカでは「ピザハーブ」として広まったという逸話もあるほどで、特に南イタリアではよく使われているスパイスのひとつなのだとか。精油の場合はハーブとして感じるオレガノの香りよりも更にドライでスパイシーな印象があり、ハーバル感の中にどことなくブラックペッパーに似た雰囲気も感じます。

植物として見るとオレガノはシソ科ハナハッカ属に分類される多年草で、学名はOriganum vulgare別名ワイルド・マジョラムとも呼ばれるようにマジョラムの近縁種でもあります。オレガノをワイルド・マジョラムと呼ぶ場合には、マジョラムは“スイート・マジョラム”と呼ぶことで区別することもありますよ。また、マジョラムの原産地はキプロスとトルコ南部とされているのに対して、オレガノの原産地はユーラシア大陸南西部・地中海沿岸地域。そのため地中海沿岸に栄えた古代文明でもオレガノは薬草として重宝されてきた歴史があり、古代エジプトではミイラを作る際の防腐剤として使われた・バスハーブとしても人気があったという説もあります。

オレガノの歴史の中で重要視されているのは古代ギリシア。栽培を始めたのは古代ギリシア人であるというのが通説となっており、ギリシアでオレガノは女神アフロディーテによって作られた薬草と信じられていたそう。オレガノという呼び名についてもギリシャ語で山を意味する“oros”と喜びを意味する“ganos”という言葉が語源とされています。オレガノ=山の喜びと紹介されるのはこのためなんですね。古代ギリシアでオレガノはは魂の平穏を祈って墓所に植える植物としても大切にされていたと伝えられていますし、医学の父と呼ばれるヒポクラテスがオレガノを薬用ハーブとして利用したそう。頭痛などに対しての鎮痛剤や消化機能サポートにも古くから活用されていたと考えられていますから、薬用・料理用として、時には宗教でも大切にされていたハーブの一つだと言えますね。

オレガノは古代ギリシアからローマへ、そしてローマの拡大とともにヨーロッパや北アメリカでも栽培・利用されるようになっていきました。古くからハーブ・スパイスとして広く用いられてきた歴史があり、現在はワールドワイドなスパイスとも言えるオレガノですが、実は精油はアロマテラピーの中でポピュラーな存在ではありません。これはオレガノ精油はフェノール類(カルバクロール、チモールなど)の含有性が高く、神経や肝臓に対して負担がかかる恐れがある・皮膚刺激性が高いと考えられるため。アロマテラピー関連の教本では「使用を避けたほうが良い精油」として紹介されていることもあります。

その反面、オレガノ精油は抗菌・抗ウィルス作用や耐性菌に対する有効性が報告され“天然の抗生物質”として注目もされています。ただし前記の通り刺激性が高く毒性が危惧される=扱いが難しいため使用されていなかった経緯のある精油ですから、もしも使用する場合はは希釈濃度や販売元の指導する用法容量・注意事項を順守し、注意して用いるようにしましょう。

香料原料データ

通称
オレガノ(Oregano)
別名
花薄荷(ハナハッカ)、ワイルド・マジョラム(wild marjoram)、オリガナム(Origanum)
学名
Origanum vulgare
科名/種類
シソ科ハナハッカ属/多年草
主産地
イタリア、スペイン、ロシア、エジプト、モロッコなど
抽出部位

(花の咲いた先端部分を含むものも)
抽出方法
水蒸気蒸留法
淡黄色~褐色
粘性
低~中
ノート
ベース~ミドルノート
香り度合い
中くらい
精油成分
カルバクロール、モチール、パラシメン(p-シメン)、y-テルピネン、β-カリオフィレン、α-ピネン、β-ピネン、リナロールなど
おすすめ
芳香浴・アロマバス・マッサージ
(※どれもごく低濃度希釈で使用する)

ドライでスパイシーな印象の、漢方薬を思い浮かべるような香り

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オレガノ精油に期待される働き・効能

精神面への作用と効果

オレガノの精油は精神面・神経機能のサポーターとしての働きを期待して用いられることはほぼ有りません。オレガノのやや苦味のあるスパイシーな香り、微量含まれている成分に期待されている働きから、神経系を刺激して元気さや活力を取り戻す手助けをするのではないかという見解がある程度。神経系を心地よく刺激することで幸福感をもたらす精油として、気分の落ち込みや無気力感・倦怠感があるときに使用されることもあるようです。ストレスや精神疲労を振り払いたい時などに薄っすらと香らせてみても良いかもしれません。

肉体面への作用と効果

オレガノはヨーロッパを中心に、伝統的に健胃・消化促進剤のような感覚で使用されてきたハーブでもあります。このため精油も胃腸機能のサポートに役立つのではないかと考えられ、お腹の調子が良くないときや胃もたれなど消化器系にちょっとした不調がある際に使用されることがあるのだとか。人への有効性については分かっていませんが、動物実験ではオレガノ精油に鎮痛作用が見られたという報告があること・カルバクロールやβ-カリオフィレンには抗炎症作用を持つ可能性が報告されていることから、腹痛や頭痛・生理痛・リウマチ・筋肉痛などの痛み軽減にも効果が期待されています。

ちなみに、オレガノ精油の主成分であるカルバクロールは2002年に“高脂肪食を与えられたマウスの脂肪生成と炎症に関与する遺伝子発現を調節する”という韓国の研究が『The Journal of Nutritional Biochemistry』に掲載されており、肥満予防成分としても注目されている存在。この研究ではカルバクロール添加食事が使用されていますから芳香による有効性は分かっていませんが、研究が進めばオレガノ由来のカルバクロールを配合した機能性食品などが出回るかもしれませんね。とは言え、日本で一般的に流通している精油は飲用NG・雑貨扱いのものですから、ダイエット目的で経口摂取はしないようにしましょう。

風邪などの感染症予防にも

使用が難しいとされているオレガノ精油が高く評価され、注目されるようになった理由としては優れた抗菌・抗ウイルスが報告されているという事が挙げられます。オレガノがハーブとして活用されてきた理由としても、カルバクロールやチモールによって寄生虫や食中毒を防いでくれるという側面があったからではないかという見解もあるほど。研究でも2016年の『Frontiers in Microbiology』にはオレガノエッセンシャルオイルが黄色ブドウ球菌と表皮ブドウ球菌を筆頭とした、多剤耐性株を含む試験したすべての細菌株の増殖を阻害したことが掲載されています。こうした報告は他にもあることから、オレガノ精油の蒸気吸引によって風邪や気管支炎などの呼吸器感染症に役立つのではないかと考えられています。

加えてカルバクロールには抗酸化作用によって白血球活性増作用=免疫力向上効果が期待できること、オレガノ精油全体としては去痰作用や抗炎症作用を持つと考えられることから、咳や喉の痛みなど呼吸器系の不調にも効果が期待されています。ただしオレガノ精油は入手しにくい存在ですし、刺激の強さ・毒性も気になる精油。成分的に見た場合は近縁種であるマージョラムよりもタイムの方がオレガノとの共通点が多いため、刺激性や毒性が気になる場合はタイムやタイム・リナロールを使用してみるという方法もあります。

その他に期待される作用

肌への働きかけ

オレガノ精油に含まれているフェノール類(カルバクロールやチロール)は優れた抗菌・抗真菌・抗ウィルス作用を持つ可能性が報告されている成分。このためニキビや水虫(白癬)・脂漏性湿疹などの真菌性皮膚炎症の予防にも役立つのではないかと期待されています。ブラジルで行われたインビトロ(in vitro)実験ではオレガノ精油が5種類のカンジダ種に対して効果的でだったことが報告されており、オレガノ精油がカンジダ症の治療のための優れた代替品となる可能性を示唆した報告もあります。

またチモールとカルバクロールは強力な抗酸化物質として働くことも認められており、抗酸化作用によるアンチエイジング効果なども期待されています。しかし、オレガノは皮膚刺激性が高く、皮膚や粘膜に炎症を起こす危険性が指摘されている精油でもあります。抗炎症作用を持つという見解もありますが、オレガノ精油自体が炎症誘発物質にもなり得る存在。自己判断での使用は危険な精油の一つでもありますから、どうしても使用したい場合は必ず低濃度希釈に希釈して皮膚の厚い部分からパッチテストを行ってから利用するようにしましょう。敏感肌・アレルギーのあるの方は利用を避けることをお勧めします。

オレガノが利用されるシーンまとめ

【精神面】

  • ストレス・神経疲労
  • 無気力・倦怠感
  • リフレッシュしたい
  • 前向きになりたい
  • 精神面を強くしたい

【肉体面】

  • 風邪・インフルエンザ予防
  • 呼吸器系の不調緩和に
  • 消化器系のサポートに
  • ニキビ・皮膚感染症予防に
  • 水虫・カンジダ対策に

オレガノの利用と注意点について

相性の良い香り

似た印象のある、ハーブ系もしくはスパイス系の香りとブレンドしやすい精油です。ライトな印象のある柑橘系や樹木系の香りとも組み合わせやすいでしょう。

オレガノのブレンド例

オレガノ精油の注意点

  • 妊娠中・授乳中の方、お子様への使用は出来ません。
  • 持病のある方・医薬品を服用中の方は医師に確認の上利用して下さい。
  • 刺激が強い精油のため低濃度に希釈して、短時間のみ使用するようにしましょう。
  • 皮膚・粘膜に炎症を起こす危険性があります。アレルギーを起こす可能性も指摘されていますから、特にシソ科植物にアレルギーのある方は使用を避けましょう。
  • アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
  • 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。

参考元

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【アロマ】オポパナックス/スイートミルラ精油-植物の特徴・期待される効果効能とは? https://d-nagaya.com/aroma/post-980/ Fri, 18 Sep 2015 09:00:16 +0000 http://d-nagaya.com/?p=980

ミルラと似た香り&同様の働きが期待

オポパナックスはミルラと同じカンラン科コンミフォラ属に分類される樹木の樹脂(樹液)が原料。別名「スイートミルラ」とも呼ばれるようにミルラに似た、ミルラよりもややムスク系で甘い印象のある香りが特徴です。ミルラと同じ様な働きを持つのではないかと考えられ、メンタルサポートや瞑想時の香りなどにも使われていますが、作用についての研究は少なく民間療法での言い伝え以上のことは分からないため注意が必要。

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オポパナックス(スイートミルラ)とは

オポパナックスの特徴・歴史

舌を噛みそうなオポパナックスという呼び名、アロマテラピーや精油について興味がある方でもなければ植物なのかさえ怪しい名前ではないでしょうか。その正体はミルラ(没薬)と同じくカンラン科コンミフォラ属(Commiphora)に分類される樹木、もしくはその樹脂のことです。“オポパナックス(Opopanax)”という言葉はラテン語もしくはギリシア語で樹液を意味する“opo”と、Allheal=幅広い治癒力があると思われる植物を意味する“panax”が語源。同じカンラン科にはリナローウッドフランキンセンスなどもありますが、オポパナッックスとミルラは非常に近い種類。別名「スイートミルラ」とも呼ばれるように香りも非常にミルラと似ており、同じような性質・作用を持つと考えられています。

ところでミルラ(没薬)と呼ばれるものは、通常コンミフォラ属のうちCommiphora myrrhaという種の樹脂から収穫されます。オポパナックスの場合、精油の原料としては主にCommiphora erythraeaから採取されたものが使用されていますが、それ以外にもコンミフォラ属のいくつかの種類から採集されている芳香を持つ樹脂がオポパナックスと呼ばれています。さらに、セリ科植物(学名Opoponax chironium)の根部から採油されるオポポナックスという精油もあります。元々オポパナックスはセリ科植物の精油が利用されていたようですが、現在はカンラン科樹脂から抽出された精油のほうがポピュラー。このあたりが“オポパナックス”という精油・香料の紛らわしさの原因という声もあるのだとか。

呼び名の由来が樹脂+万能薬と考えられていることもあって、オポパナックスは古くから薬用としてや宗教儀礼に用いられてきたと推測されています。古代ギリシアやローマではミルラと同じく「聖なる薫香」として扱われてきたのではないか・ソロモン王が愛した芳香であるという見解もありますが、古代の文献でオポパナックスまたはスイートミルラと呼ばれているものは同属別種の樹脂だったという指摘もあり混沌としています。セリ科のOpoponax chironiumもオポパナックスですし、古くはスイートミルラや“Hercules-all-heal”などと呼ばれていたことが分かっていますから、こちらの可能性の方が高そうな印象もありますね。

オポパナックス(Commiphora erythraea)の樹木はソマリアやナミビアなどのアフリカ諸国で多く育てられており、採取された樹脂がヨーロッパに出荷されて精油の蒸留が行われています。抽出されたオポパナックス精油はオリエンタル系香水の原料・揮発保留剤として利用されているほか、お酒などのフレーバーにも使用されています。精油はスイートミルラ=甘い没薬と表現されているように、ミルラよりもシャープやさ薬っぽさの少ない香りが特徴。その分バルサミック感が強く、人によってはプラスチックのような香りと感じることもあるようなので商品・好みによっても印象が大きく異るのかもしれません。また、オポパナックスは日本では流通量の少ないマイナーな精油。偽和、もしくは商品名として「スイートミルラ」と銘打っているだけの場合もあることが指摘されているため注意が必要です。

香料原料データ

通称
オポパナックス(Opopanax)
別名
オポポナックス、スイートミルラ(Sweet Myrrh)、ビサボールミルラ(bisabol myrrh)
学名
Commiphora ssp.
(Commiphora erythraeaCommiphora guidottiiなど)
科名/種類
カンラン科コンミフォラ属(ミルラノキ属)/低木
主産地
ソマリア、ケニア、エチオピアなど
抽出部位
樹脂
抽出方法
水蒸気蒸留法
淡黄色~黄褐色
粘性
中~やや高め
ノート
ベース~ミドルノート
香り度合い
中~強
精油成分
β-オシメン、α-サンタレン、α-ビサボレン、α-ビサボロール、ベルガモテン、サンタロールなど
おすすめ
芳香浴・アロマバス・マッサージ・スキンケア・ヘアケア・湿布

ミルラよりもムスク系の甘さを感じる、バルサミックな香り

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オポパナックス精油に期待される働き・効能

精神面への作用と効果

オポパナックスは香りだけではなくミルラと近い働きが期待されている精油であり、ストレスや不安を和らげることで気持ちを整える手助けをしてくれると考えられています。鎮静作用と刺激高揚作用、両方の作用を持ち合わせることで心のバランスを整え、明るさや前向きさを取り戻す手助けをしてくれる精油の一つに数えられることもありますよ。ストレスや疲労などによって疲れてしまった心の回復に、無気力状態のときや頑張りすぎてしまった後に虚脱感がある時に自分を立て直す手助けとして香らせてみても良いかもしれません。

また、オポパナックスは聖書にある『ソロモンの歌』で歌われている没薬であるという見解があり、儀式の薫香の主要成分の一つとして使用したのではないかという声もあります。カンラン科樹木から採集される芳香性樹脂は古くより宗教的なシーンで用いられてきたことと合わせて、瞑想時の香りとしてや、霊的なパワーを高めたい時にオポパナックスを香らせるという方もいらっしゃるのだとか。スピリチュアルなパワーについては証明できませんし感じ方も人によって異なりますが、何となく神秘的な印象の香りではありますね。

肉体面への作用と効果

産地ソマリアではオポパナックスを伝統的に胃のケアに用いていたと伝えられています。精油も鎮静作用によって筋肉の強張りを和らげる働きが期待できるほか、胃腸を整える働きを持つのではないかと考えられ、食欲不振・胃痛・消化不良・お腹の張り・便秘・下痢など消化器系の不調の緩和に活用される事があります。筋肉を弛緩さる働きがあることから筋肉痛や関節痛の緩和にも取り入れられているようです。

また、呼吸器系の粘膜を乾燥させる作用があるとして咳・気管支炎・のどの痛みなど呼吸器系の症状に役立つという説もあります。オポパナックスもミルラ同様に殺菌消毒作用を持つという声もあり風邪予防をはじめ、歯肉炎・口内炎・歯槽膿漏など口腔・歯茎のトラブル緩和などにも効果が期待されています。しかしオポパナックス(スイートミルラ)精油や抽出物の有効性や作用秩序についての研究はほどんとなく、語られるのは伝統医療・民間療法上の効能というのが現状。過度な期待は避け、香りを楽しむために用いるのが無難でしょう。

その他に期待される作用

皮膚利用について

オポパナックスはミルラと類似した性質・作用を持つと表現されることから、スキンケアにも使用されています。抗菌・抗真菌・消毒作用を持つと考えられることからニキビ予防・水虫(白癬)などの皮膚感染症予防に用いられている他、抗炎症性によって痒みを伴う肌荒れや乾燥肌ケアに良いのではないかという説もあります。昔は傷薬や皮膚軟膏に使われていたそうです。

しかしオポパナックスは皮膚感作性が高いことが指摘されている精油であり、ベルガモットと同じ光毒性のあるフロクマリン類(ベルガモテン)も含まれています。肌の弱い方であれば皮膚炎症を起こす原因ともなりますし、使用後に紫外線を浴びるとそれを吸収して皮膚にダメージを与える恐れがあるのです。オポパナックスの皮膚に対する利点についても研究により可能性が示唆されているものではありませんので、不安がある場合は使用を避けたほうが確実です。個人的にはミルラやフランキンセンスなど使用している方が多い精油を選ぶことをお勧めします。

オポパナックスが利用されるシーンまとめ

【精神面】

  • ストレス・緊張
  • 不安・恐怖感
  • 落ち込み・抑うつ
  • 気力の衰え・無気力
  • 明るい気持ちになりたい
  • 前向きになりたい

【肉体面】

  • 下痢・腹部膨満
  • 胃痛・消化不良
  • 筋肉痛や関節痛
  • 風邪の予防・緩和に
  • 咳・痰・気管支炎
  • 水虫・ニキビ予防に

オポパナックスの利用と注意点について

相性の良い香り

オリエンタルな印象のある濃厚な香りと組み合わせると互いの良さを活かせます。強く濃厚な香りが苦手な場合であればフランキンセンスなど軽めの樹脂系、もしくは樹木系精油とブレンドするとライトな印象になります。

オポパナックスのブレンド例

オポパナックス精油の注意点

  • 妊娠中・授乳中の使用、小さいお子さんへの使用における安全性は断定されていません。
  • 感作作用が指摘されている精油です。低濃度に希釈して使用し、敏感肌の方は芳香浴の場合でも注意して使用してください。
  • 光毒性があります。肌への使用後は直射日光などの紫外線を避けるようにしてください。

オポパナックスの精油は揮発に伴い粘度を増していきます。キャップが固まり開きにくくなりますので、使わない場合でも時折キャップを緩めてあげると良いでしょう。あまり大量に購入せず、少量ずつ買って使用していくのがおすすめです。

  • アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
  • 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。

参考元

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【アロマ】バレリアン精油-植物の特徴・期待される効果効能とは? https://d-nagaya.com/aroma/post-972/ Sat, 12 Sep 2015 07:17:58 +0000 http://d-nagaya.com/?p=972

ストレス・不眠対策に役立つハーブとしても人気

メンタル部分をサポートしてくれる可能性があるハーブとして、サプリメントなどにも使われているバレリアン。精油が抽出されるのもハーブと同じく根(バレリアンルート)からで、ムスクのような土臭いような独特の香りがあります。伝統的な効能+酢酸ボルニルやバレレン酸など神経面への働きかけが報告されている成分が含まれることから、鎮静作用や睡眠促進作用などに現在人のサポートにも期待されています。

バレリアン(Valerian)

バレリアンとは

バレリアンの特徴・歴史

香料原料としてよりも、ハーブティーやサプリメントなどの健康食品原料で目にすることの多いバレリアン。精油(エッセンシャルオイル)はマイナーな部類で、流通はかなり限られています。バレリアンという植物を検索すると、白っぽい小さな花が集まって咲いている画像が出てきます。が、ハーブとして、もしくは香料を抽出するのは“根(バレリアン・ルート)”部分が主。この根はムスクに硫黄を混ぜたような独特な臭いがあります。薬理学と薬草学の父と呼ばれるペダニウス・ディオスコリデスや、古代の最も優れた医学者と言われるガレノスが、根の臭いからバレリアンを「プー(Phu)」と呼んでいたという逸話もあるほど。精油はバレリアンルートそのものよりもムスク感が強めで親しみやすくはありますが、独特の強い芳香は好き嫌いが分かれる部類であることは間違いありません。

植物として見るとバレリアンはヨーロッパ原産、オミナエシ科カノコソウ属に分類される多年草。ハーブや精油抽出に使われているのはValeriana officinalisという種で、諸説ありますが属名や呼び名はラテン語の「valēre(強くある・健康になる)」が語源ではないかというのが通説。種子名officinalisは薬用として用いられてきた歴史がある植物に付けられることが多い言葉ですから、学名からも生薬もしくは薬用ハーブとして利用されてきた植物であるということがうかがえますね。ちなみに、価値や価格を表す英語“value”もバレリアンと同じくラテン語(valēre)が語源。現代イタリア語もValereは価値がある・優れているなどの意味で用いられているそうですから、呼び名や語源部分からだけでも大切に扱われてきたハーブだという事がうかがえますね。

実際の歴史としても、人間はバレリアンを古くから使用してきました。少なくとも古代ギリシャと古代ローマではバレリアンを薬草として用いていたことが分かっており、医学の父と称されるヒポクラテスもバレリアンの性質を著書の中で説明しているそう。ローマ帝国時代のギリシア医学者ガレノスはバレリアンを不眠症の治療薬として処方していたことも分かっています。こうした背景から、古代ギリシアでバレリアンは神経の高ぶりを抑え眠りに導くハーブとして向精神薬・睡眠薬のように用いられていたと考えられています。余談ですが使用された歴史の古さから、聖書に記されているマグダラのマリアがイエス・キリストの足を拭う際に使った「ナルドの香油(ナルデの香油)」はスパイクナードではなくバレリアン香油だという説もあるんだとか。

中世ヨーロッパでは加温・通経・利尿薬としても使用されていたそうで、バレリアンは「オールヒール(全てが治る)」や「神様の睡眠薬」と称されるほど優れた薬効を持つ植物として評価されていました。薬としての有用性だけではなく、当時は精神疾患などは悪魔の仕業という考え方もあったためか、悪魔や魔女除けになる・呪いを払いのける植物であると信じされていたそう。住民を不幸や悪から守るためマジョラムとバレリアンを組み合わせて束にし、家の入口などに吊るすという風習雨もあるのだそうです。現在でもメンタルヘルスのサポートとして自然療法の中で活用されたり、ドイツなどの欧州で伝統的医薬品(THMPD)として承認されているものもありますが、二千年近く昔からバレリアンはずっと精神・神経系の治療に用いられてきたという歴史があるんですね。

香料原料データ

通称
バレリアン(Valerian)
別名
セイヨウカノコソウ(西洋鹿子草)、吉草(きっそう)、バレリアンルート(Valerian root)、common valerian、Vandal Rootなど
学名
Valeriana officinalis
科名/種類
オミナエシ科カノコソウ属/多年草
主産地
中国、インド、ネパール、ベルギー、韓国など
抽出部位
根部
抽出方法
水蒸気蒸留法
(※溶剤抽出されたものも有)
淡黄色~茶褐色
ノート
ベースノート
香り度合い
強め
精油成分
酢酸ボルニル、バレリアノール、バレレナール、バレラノン、イソ吉草酸、イソ吉草酸ミルテニル、α-ピネン、カンフェン、バレレン酸など
おすすめ
芳香浴・アロマバス・マッサージ・スキンケア

土っぽさ・グリーン感・ムスク調の混ざった複雑な香り

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バレリアン精油に期待される働き・効能

精神面への作用と効果

好き嫌いが分かれるバレリアンの独特な芳香を構成している成分の一つに、”森の香り”とも称される酢酸ボルニル(ボルニルアセタート)があります。エステル類に分類される酢酸ボルニルは松の針葉にも含まれている芳香成分で、九州大学農学研究院らの実験では交感神経の活動を低下させて緊張を緩和する働きが見られたことが『AROMA RESEARCH』に掲載されています。加えてバレリアンの特徴成分であるバレレン酸(valerenic acid)にも1980年代から中枢神経抑制作用が見られたという報告が多くなされており、ガンマアミノ酪酸(GABA)を破壊する酵素を阻害する可能性を示唆した研究報告もあります。

バレリアンに含まれている有効成分や作用秩序については断定されていない部分も多いものの、抑制性神経伝達物質であるGABAの分泌を正常に保つのではないかと考えられています。そしてこの作用について芳香成分も関与していると考えられることから、バレリアン精油の芳香を吸引からも鎮静作用や抗不安作用が期待されています。ストレスの緩和・軽減をはじめ、ヒステリー・抑鬱・イライラ・恐怖・焦燥感・落ち着きのなさ・神経過敏など様々な精神的不調の改善に効果が期待されているのはこのため。有効性についてははっきり分かっていませんし、根の持つ独特の強い芳香は好き嫌いが分かれるところではありますが、ストレス社会に生きる現代人の強い味方になってくれる可能性がある精油として注目されています。

不眠対策としても期待

リラックスタイムに相応しい香りとして想像されるタイプの芳香ではないものの、バレリアンはスパイクナードと共に不眠対策に役立つ可能性があるアロマとしても注目されている存在です。商品によって成分比率は異なりますが、バレリアン精油の主成分と言っても良いくらいの割合を占めている酢酸ボルニルには、睡眠促進効果を有する可能性が報告されています。バレレン酸もGABAレベルを一定に保つことで眠りに落ちるまでの時間を短縮す、睡眠の質の改善を手助けする働きが期待されています。

バレリアン精油はストレス対策や精神安定としても期待されている精油ですから、不安や心配事が頭から離れないときや、神経が妙に昂ぶって目が冴えてしまう場面で使用してみても良いかもしれません。快適な眠りをサポートしてくれるアロマとしてはラベンダーマージョラムなどもありますが、精油は薬ではなく効果については個人差も大きいもの。ラベンダーの香りで眠りに入りやすくなったという方もいらっしゃれば、他の精油は駄目だったけれどバレリアンが合うような気がするという方もいらっしゃいます。色々な精油を試してみても良さそうですね。ただし重度の不眠が続く場合は医師に相談するようにしてください。

肉体面への作用と効果

バレリアンの芳香は交感神経の興奮を抑え、気分を落ち着かせる働きが期待されています。精神的サポートに優れた精油であると考えられることから、ストレスや緊張に起因する症状全般に緩和・改善効果が期待出来ます。特にストレスの影響を受けやすい消化器系の不調…腹痛・下痢・消化不良・便秘などの軽減に繋がる可能性があるでしょう。そのほかバレリアンが分泌を正常に保つのではないかと考えられているガンマアミノ酪酸(GABA)は血圧を調節する役割も担っていることから、高血圧の緩和や心臓の健康維持に役立つのではないかという見解もあります。

また、バレリアンは民間医療の中で鎮痛薬もしくは筋弛緩薬として活用されてきたハーブ。精油も鎮痛・鎮痙作用を持つと考えられており、頭痛や偏頭痛・胃痛・生理痛・筋肉痛・肩や首のコリや痛みなど様々な痛みの軽減に取り入れられることがあります。精神面でのサポートと鎮痛・鎮痙作用が期待できることから、バレリアンはPMS(月経前症候群)の諸症状軽減にも注目されていますよ。使用されたのはValeriana officinalisではなく近縁種ですが、2010年『Indian Journal of Experimental Biology』にはバレリアン精油がラットに著しい鎮痛効果をもたらしたことが掲載されており、神経系に直接作用して痛みの信号を遮断している可能性が示唆されています。

その他に期待される作用

皮膚利用について

バレリアンの精油はスキンクリームなどに加えられていることもあり、抗菌特性や保湿作用があると考えられています。そのほかに治癒促進作用があるという見解もあるため湿疹・打撲・乾癬・にきび・傷跡などのケアに活用されていますが、皮膚刺激性が高い精油であるという指摘もあり皮膚炎症の原因となる恐れもあります。日本ではバレリアン精油を皮膚利用した場合における十分なデータもありませんので、肌への使用は避けたほうが無難です。

バレリアンが利用されるシーンまとめ

【精神面】

  • ストレス・精神疲労
  • 緊張・不安・焦燥感
  • ヒステリー・イライラ
  • 落ち着きがない・ソワソワ感
  • 精神的に不安定だと感じる
  • 寝付きが悪い・眠りが浅い
  • リラックスしたい

【肉体面】

  • ストレスに起因する不調に
  • 便秘・下痢・消化不良
  • 胃痛・腹痛・生理痛
  • 頭痛・偏頭痛
  • 筋肉痛・体のコリに
  • PMS(月経前症候群)軽減に
  • 血圧が気になる方に

バレリアンの利用と注意点について

相性の良い香り

バレリアンの精油は香りの系統としてウッディー系に分類するもの、抽出源の系統からハーブ系に分類している文献があります。当サイトではハーブ系に分類していますが、香りの印象はウッティーもしくはバルサム系寄り。ブレンドする場合は似た印象の香りがある樹木系の精油、もしくは香りをライトな印象にしてくれる柑橘系と組み合わせやすいでしょう。香りにはクセがあり芳香自体も強めですので、単体ではなく少量をブレンドした方が使いやすいです。

バレリアンのブレンド例

バレリアン精油の注意点

  • 妊娠中・授乳中の方、小さいお子さんへの使用は避けましょう。
  • 持病のある方・医薬品を服用中の方は医師に確認の上利用して下さい。
  • 高濃度・長時間の使用は頭痛などの副作用を起こす可能性があります。使用量に注意し、長期間の継続利用は避けましょう。
  • アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
  • 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。

参考元

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【アロマ】リナローウッド精油-植物の特徴・期待される効果効能とは? https://d-nagaya.com/aroma/post-964/ Fri, 04 Sep 2015 07:29:58 +0000 http://d-nagaya.com/?p=964

ローズウッドの代用精油として注目

ライトでありつつ華やかなウッディー調の香りを持つリナローウッド。リナロールを多く含むカンラン科樹木から抽出された精油で、絶滅危惧から採油を控えているローズウッドと似た成分構成をしていることから代替品として多く流通するようになりました。リナロールを含むことから鎮静・抗ストレス作用によるメンタルサポートや、風邪予防、スキンケアなどに効果が期待されています。

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リナローウッドとは

リナローウッドの特徴・歴史

大量伐採による減少や絶滅が危惧されているローズウッドの代替え品として近年注目されているリナローウッド。名前の由来ともなっているようにモノテルペンアルコール類の一種である“リナロール(Linalool)”を豊富に含み、ローズウッド同様にフローラル感を強く感じさせる香りが特徴です。ローズウッドと精油成分の比率が似ていることが注目されていますが、香りについてはラベンダー+ウッド系であるとも、レモンジャスミンを混ぜたようなとも称される存在。ローズウッドに酷似しているかと言うと微妙なところでもあります。現在は間違いなくローズウッドだと言える精油の入手が困難なため比較しにくいですが、少なくとも爽やかな印象のあるリナローウッドの香りは嫌われることの少ないタイプだと思います。

原料となるリナローウッドは学名Bursera delpechiana、メキシコ原産のカンラン科ブルセラ属に分類される樹木です。20世紀の初めにインドへと植林されたことでインドでも多く栽培されていますし、工業用リナロール原料・ローズウッドに代わるエッセンシャルオイル原料として中南米でも広く栽培されています。日本では葉もしくは木部から蒸留された精油の流通が主ですが、リナローウッドの果実(果皮)からは「リナロエベリー」と呼ばれる精油が生産されています。これらのオイルはインドのマイソール地方において特産品の香水・石鹸の原料として用いられていることから“インディアンラベンダーオイル”と呼ばれることもあるそう。ただし近縁種のBursera penicillataもインディアン・ラベンダーと呼ばれており、リナロール含有量の多いブルセラ属(Bursera ssp.)抽出精油をまとめて「リナロー油」と呼ぶ場合もあります。

リナローウッドの特徴成分とも言えるリナロールはベルガモット・ラベンダー・スズランなどに似た華やかな印象の芳香を持つ香気成分。香水や芳香剤としてだけではなく、医薬品や工業製品・酒類やアイスクリームなどの食品フレーバーとしてまで幅広く活用されています。1960年代後半にリナロールの合成方法が確立したことでリナロール原料としての需要は減少しましたが、かつてリナローウッドはローズウッドと同じくリナロールの供給源として需要が高かった樹木。酢酸リナリルの供給源としても重要視されており、ベルガモットオイルの代替品もしくは偽和に用いられることもあるそうです。

ローズウッドの減少に伴ってリナローウッド精油を目にする機会が増えていますが、リナローウッドの木部を原料に精油を抽出する場合も樹齢20~30年になったものが切り倒されて使われる事が多いようです。リナローウッドはインドなどへは商業的栽培のために持ち込まれた植物のため減少が問題視されているわけでは有りませんが、木ではなく果実から抽出する「リナロエベリー」であったり、同じくローズウッド代用精油として注目されているものとしては木を伐採せずに採油できるホーリーフの方が環境的には優しいと言えるかもしれません。リナローウッド(木部)も木を伐採するのではなく部分的に使う、生産管理を行っている企業もあるようですが…消費者にはわからない部分が多いのも現実ですね。

香料原料データ

通称
リナローウッド(Linaloe wood)
別名
リナロエウッド、リナロウッド、Mexican Linaloe Tree(メキシカン・リナローツリー)、 Indian lavender(インディアンラベンダー)
学名
Bursera delpechiana
科名/種類
カンラン科ブルセラ属/樹木
主産地
メキシコ、インド、中国、ほか中南米諸国
抽出部位

(木部、果実を含むものも有)
抽出方法
水蒸気蒸留法
無色~淡い黄色
ノート
ミドルノート
香り度合い
やや弱い~中くらい
精油成分
リナロール、α-テルピネオール、酢酸リナリル、ゲラニルアセテート、ゲラニオール、テルピネオール
おすすめ
芳香浴・アロマバス・マッサージ・スキンケア・ヘアケア

甘めでドライなウッディ調の香り、ローズウッドよりもライトと評される

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リナローウッドに期待される働き・効能

精神面への作用と効果

リナローウッド(リナロエウッド)の特徴成分と言えるのが鎮静・抗不安作用を持つとされているリナロール。リナローウッド精油や芳香についての研究は少ないですが、リナロールについては1998年『Neurochemical Research』にリナロールが中枢神経系において用量依存的な顕著な鎮静作用を有することを示したという研究報告が掲載されています。その他にも2時間ストレス誘発拘束したラットにリナロールを吸引させた実験では、リナロール吸引有りのマウスにストレスレベルの低下が見られたなどの報告もあり、リナロールは抗不安薬(不安軽減薬)としての作用を持つ可能性が高いという見解も少なくなりません。

このためリナローウッドの芳香もローズウッドと同様に気持ちを落ち着け、心のバランスを整える手助けをしてくれるのではと期待されています。ストレス・精神的な負担を軽減することで、明るく前向きな気持ちへの切り替えを手助けにも繋がるでしょう。また、リナロールは鎮静・リラックス作用によって睡眠の改善をサポートする働きを持つ可能性がある成分でもあります。2008年『Phytomedicine』に掲載されたブラジルの研究ではリナロール吸引によってマウスに催眠鎮静作用が見られたことが報告されています。そのほか徐波睡眠が増加するなどリナロールによって睡眠の質を高める可能性を示唆した実験報告も多くあることから、リナロールを含むリナローウッドも安眠サポートに役立つのではないかと期待されています。

肉体面への作用と効果

リナローウッドに含まれているリナロールは炎症と痛みを軽減する働きが期待されています。2002年『Journal of Phytomedicine』にはリナロールに抗炎症剤として優れた作用が見られたことが、2003年の後続研究では鎮痛作用が見られた事が報告されています。痛み信号を脳に伝達する脊髄内の細胞の興奮性を低下させることで麻酔的な鎮痛作用を発揮する可能性を示唆した報告や、筋弛緩作用を持つという見解もあるため、リナロールは様々な痛みの軽減に効果が期待されています。

加えてリナロールは優れた抗菌・抗真菌作用を持つことが報告されているほか、抗ストレス作用によって健康な免疫システムを保持する可能性も示唆されています。このためリナローウッドは風邪やインフルエンザなどの感染症予防にも役立つと考えられています。リナロールだけではなく抗炎症作用や鎮咳作用などが期待されるα-テルピネオールも含まれていますから、咳・気管支炎・発熱など風邪の初期症状ケアをサポートしてくれる可能性もありそうですね。リナローウッドは呼吸器の健康をサポートが得意な精油であるという評価もあります。

その他に期待される作用

肌への働きかけ

リナローウッドの精油はスキンケアにも活用されています。リナロールによって高い抗菌作用・抗真菌作用が期待できることからニキビ予防、水虫(白癬)・脂漏性皮膚炎などの真菌性皮膚感染症などのケアにも使用されています。また、細胞成長促進・組織再生を促進する作用を持つのではないかという説もあり、傷跡を目立ちにくくする働きが期待できることから傷跡や火傷跡・妊娠線のケアなどにも活用されています。

肌細胞を活発化させる働きからシミやシワの改善などお肌のアンチエイジング・エイジングケアのサポートにも役立つのではないかと考えられています。乾燥肌と脂性肌両方のバランスを整える精油として紹介されている事もありますが、リナロールは皮膚刺激または直接接触時のアレルギー反応を起こす事も報告されています。炎症を起こしている部位への使用は避け、敏感肌の方は皮膚の厚い部分からしっかりとパッチテストを行うようにすることをお勧めします。特に開封後時間が経って酸化してしまった精油は皮膚炎症の原因になりやすいため注意が必要。

リナローウッドが利用されるシーンまとめ

【精神面】

  • ストレス・精神疲労
  • 不安・気持ちの落ち込み
  • 気分にムラがあると感じる
  • 前向きさになりたい
  • 心に癒やしが欲しい
  • 寝付きが悪いと感じる

【肉体面】

  • 風邪・インフルエンザ予防に
  • 咳・気管支炎などの軽減に
  • 免疫力のサポートに
  • 若々しい肌を保ちたい
  • 傷跡・妊娠線ケアに
  • 乾燥肌・ニキビ予防に

リナローウッドの利用と注意点について

相性の良い香り

リナローウッドの香りはどの系統ともブレンドしやすい香りです。特に似たニュアンスのある軽めのウッディ系や柑橘系の香り、ラベンダーなどハーバルな印象のあるフローラル系の香りとは組み合わせやすいでしょう。イランイランなど甘さが強く濃厚な香りとの組み合わせは好き嫌いが分かれるところかもしれません。

リナローウッドのブレンド例

リナローウッド精油の注意点

  • 妊娠中・授乳中の使用における安全性は断定されていません。

リナローウッドの精油は利用された歴史が浅く、安全性や副作用などについては解明されていない部分も多い精油です。使用者のデータ自体が少ないことも指摘されていますので、体調を確認しながら使用するようにしましょう。

  • アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
  • 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。

参考元

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【アロマ】ローズウッド精油-植物の特徴・期待される効果効能とは? https://d-nagaya.com/aroma/post-952/ Sun, 30 Aug 2015 04:20:05 +0000 http://d-nagaya.com/?p=952

絶滅危惧種、代用品も増加中

ローズウッドは薔薇を思わせるフローラル感を含んだ、甘く柔らかい香りを持つ樹木。その香りの良さから南米では大量伐採が相次ぎ、絶滅が危惧されるところまで数が減少してしまったという歴史もあります。アロマテラピーでは様々な効能が謳われていますが、根拠はほとんどないことも指摘されています。芳香目的であっても、何らかのサポートを期待する場合でも、自然保護のために似た精油の使用を検討する方が増えていますよ。

RosewoodEssentialOil

ローズウッドとは

ローズウッドの特徴・歴史

薔薇を連想させる甘くフローラルな芳香を持つローズウッド。ローズウッドという呼び名をはじめ、フランス語名である「ボワドローズ(Bois de Rose)」やブラジル系ポルトガル語の「パウローサ(pau rosa)」など、とにかく“薔薇(ローズ)”にちなんだ名で呼ばれることが多い植物です。ウッディさも感じさせつつ、フローラルな印象も持ち合わせたマイルドな香りを持つ精油は、香水やアロマテラピー用として高く評価されてきた歴史もあります。現在は入手が困難であり販売されていない店舗も多いですが、それでもアロマテラピー関連の入門書には必ずと行って良いくらいに紹介されている植物の一つですね。

ローズウッドという呼称は数多くの植物に付けられています。バラ科Vauquelinia属に分類される植物の総称としても使用されますし、マメ科ブビンガ属に属す植物も“アフリカンローズウッド”と呼ばれることがあります。またローズウッドの和名は「紫檀(シタン)」とされてはいますが、日本で紫檀と呼んで銘木として利用されている樹木は主にマメ科ツルサイカチ属に分類される樹木。ギターなどの楽器に使われているローズウッドも、こちらのツルサイカチ属の植物が使用されています。その中で香料原料としてはクスノキ科に分類されるAniba rosaeodoraという種を指すのが一般的。他のローズウッドないし紫檀などと呼ばれる植物から精油は抽出されていません。アロマテラピーの本であったり、販売メーカのサイトでは“Aniba rosaeodora (Ducke)”と表記されていることが多いのですが、実際にはAniba parvifloraAniba terminalisなど同属種の樹木から採油されたものも合わせてローズウッドとして流通しているとの見解もあります。

ローズウッド(Aniba rosaeodora)の原産は南米で、その香りの良さに加え高級木材であるマホガニーに似た材質を持つことに注目されたことで初めはフランス領ギアナ(カイエンヌ)からフランスへと輸出が行われました。しかし1920年代になるとローズウッドの大量伐採でギアナ産は激減し、ブラジル産が主要となります。ブラジルでは最盛期の精油生産が年間500トン、木材にすると5万トンもの伐採が行われていたと伝えられています。こうした大量伐採によりブラジルに自生していたローズウッドの数も激減。現在では『ワシントン条約(絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約/CITES)』による規制対象となっています。現在もローズウッドはCITES輸出許可書が必要とされていますし、象牙と同じくらいに取引が難しいと称されることもあります。ブラジル政府としても「ローズウッドを1本伐採するたびに1本植樹しなければいけない」という法律を制定し、乱伐防止・資源回復に努めているそうです。

ちなみに、アロマテラピーもローズウッドの減少に拍車をかけた要因の一つ。ローズウッドはかつて万能精油の一つと言えるほど多用されていた時期もある存在でもあります。1960年代後半にリナロールの合成方法が確立したことでリナロール原料としての需要は減少しましたが、アロマテラピーは合成香料を嫌いますよね。しかし、近年では消費者側としても環境保護の観点からローズウッドの利用を控えようという動きが高まっていますし、メーカー側も商品の入手が困難・極めて高価になることから成分や香りの近いリナローウッド(Bursera delpechiana)ホーリーフ(Cinnamomum camphora)を代用品として勧めることが増えています。今でも販売されているものは偽和・詐称商品の流通が多いという指摘もありますが。筆者も昔「ローズウッド精油(メーカー自称)」の香りは嗅いだことがありますが、本物かは怪しいので下記の香りについては参考程度に。

香料原料データ

通称
ローズウッド(Rosewood)
別名
ボアドローズ(Bois de Rose)、パウローサ(pau-rosa)、シタン(紫檀)、ブラジリアン・ローズウッド(brazilian rosewood)、カイエンヌ油(Cayenne oil)など
学名
Aniba rosaeodora
(syn.Aniba duckei)
科名/種類
クスノキ科アニバ属/常緑高木
主産地
ブラジル、ペルー、ギアナ、コロンビア、エクアドルなど
抽出部位
木部
(※自然保護のため、葉から抽出した精油も有)
抽出方法
水蒸気蒸留法
無色~淡い黄色
粘性
低い
ノート
トップ~ミドルノート
香り度合い
中くらい
精油成分
リナロール、α-テルピネオール、リモネン、1,8-シネオールなど
使用方法
芳香浴・アロマバス・マッサージ・スキンケア・ヘアケア

甘めのウッディー系、微かにスパイシーさを含んだ香り

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ローズウッドに期待される働き・効能

精神面への作用と効果

アロマテラピー業界では万能薬のように謳われていたローズウッド精油ですが、実は伝統医学で用いられたことはほとんどなく、人体への影響については元より科学的・医療的な実験報告の数が少ないことも指摘されています。つまりローズウッドの効能とされているのは、含有成分に期待されている作用、もしくはセラピストやスピリチュアルカウンセラーのような人々が言っていることを加えたもの。信憑性は低いという見解も少なくありませんし、日本では精油は医薬品ではなく雑貨として扱われている存在であることをご了承ください。

ローズウッド精油の主成分はモノテルペンアルコール類のリナロールリナロールは鎮静・抗不安作用が期待されている成分。1998年『Neurochemical Research』に掲載された研究でも、リナロールが中枢神経系において用量依存的な顕著な鎮静作用を有することを示したという報告がなされています。2時間ストレス誘発拘束したラットにを使った実験では、リナロールを吸引したマウスにストレスレベルの低下が見られたことも報告されており、リナロールに抗不安薬(不安軽減薬)としての作用を持つ可能性が示唆されています。

このためリナロールを含むローズウッドの精油も、気持ちを落ち着けて心のバランスを整える手助けをしてくれると考えられています。また、リナロールには鎮静系のl-リナロール、覚醒系のd-リナロールがあると考えられています。ローズウッドについてはd-リナロールが主成分だという説がある一方、l-リナロールとd-リナロールをバランスよく含んでいるからメンタルバランスを整えてくれるのだという説もあり…このあたりも作用や効果の根拠は認められない、と指摘される理由かもしれません。

肉体面への作用と効果

ローズウッドは精神面への働きに優れ、心のバランスを整えてくれる精油として扱われていた歴史があります。そのためストレス性・心因性の不調全般の軽減に役立つと考えられ、ストレス性の胃痛や腹痛などの緩和に使用されてきました。リナロールが鎮静作用を発揮する作用秩序についても「局所麻酔的な作用を持つ」ことを示唆した報告があること、抗痙攣作用や抗炎症作用を持つという説もある事と合わせて、ローズウッドは頭痛や偏頭痛・筋肉痛・坐骨神経痛など様々な“痛み”の軽減にも活用されてきました。この辺りはラベンダーに似ていますね。

そのほかリナロールには抗菌・抗真菌・抗ウイルス作用を持つ可能性を示唆した実験報告もあります。抗炎症作用や鎮痙作用が期待されるα-テルピネオール、抗菌・抗ウイルス作用が報告されているリモネンや1,8-シネオールなどもローズウッドには含まれていますから、合わせて風邪やインフルエンザなどの感染症予防や、咳・気管支炎・発熱などの症状緩和にも役立つ精油とされています。貴重な精油ですしお値段も高価ですから、現在は風邪予防などデイリーにガンガン使われることは無いでしょうけれど。

その他に期待される作用

肌への働きかけ

ローズウッド精油はスキンケアに対しても有用な働きを持つ精油として多用されていた時期があります。脂性肌や乾燥肌などの肌タイプを選ばずに利用できること、細胞の成長促進・組織再生促進作用を持つとされエイジングケア効果が期待出来る精油とされていたので、需要が多かったのだとか。肌のハリや潤いが気になる際のお手入れは勿論のこと、細胞の再生を促すことから傷跡を目立ちにくくする働きが期待できるとして火傷跡・アトピー性皮膚炎のケアにも活用されていたようです。

そのほか抗菌・抗真菌作用があることから、ニキビや湿疹、水虫(白癬)や脂漏性皮膚炎などの真菌性皮膚炎のケアにも効果が期待されています。ただしローズウッドには皮膚刺激性があることも指摘されていますから、炎症を起こしている部位や敏感肌・アトピーの方は注意が必要な精油でもあります。あえて絶滅が危惧されている植物の精油を使用せずとも、ラベンダーネロリなど同様のスキンケア効果が期待されている精油を活用することをお勧めします。

ローズウッドが利用されるシーンまとめ

【精神面】

  • ストレス・精神疲労
  • 不安・緊張・恐怖
  • イライラ・神経過敏
  • 気持ちの落ち込み・無気力感
  • 心のバランスが乱れている
  • 前向きさになりたい時
  • 癒やしが欲しいと感じる時

【肉体面】

  • ストレス性の不調・痛み
  • 筋肉痛・神経痛・関節痛
  • 風邪予防・初期症状ケア
  • 咳・気管支炎の軽減に
  • ニキビ・肌荒れ予防
  • 肌のエイジングケアに
  • 傷跡・妊娠線のケアに

ローズウッドの利用と注意点について

相性の良い香り

ローズウッドはウッディー系+フローラル系という印象の香りを持つ精油。シングルでも複数のオイルをブレンドしたような素晴らしい香りが楽しめますが、ブレンドして利用する場合は似たニュアンスのあるフローラル系もしくは軽めのウッディー系の香りを持つ精油とであれば間違いなくマッチするでしょう。と入っても柑橘系やハーブ系の香りとも相性が良いですし、スパイス系を加えれば良いアクセントになる…と、ほとんどの香りと組み合わせやすい精油ではあります。

ローズウッドのブレンド例

ローズウッド精油の注意点

  • 皮膚刺激を与える可能性があることが指摘されています。
  • 安全性についての根拠が不十分なため、妊娠中・授乳中の方と小さいお子さんへの利用は控えたほうが良いという説もあります。
  • アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
  • 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。

参考元

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【アロマ】ローズマリー・カンファー(ボルネオン)精油-植物の特徴・期待される効果効能とは? https://d-nagaya.com/aroma/post-937/ Fri, 21 Aug 2015 08:46:54 +0000 http://d-nagaya.com/?p=937

筋肉痛や肩こり・関節痛などのケアに

ローズマリーは地中海沿岸地域で古くから大切にされてきたハーブで、古代ギリシアでは記憶力アップのお守りのように使われていたという逸話もあります。精油にはいくつかケモタイプが存在しますが、カンファー(ボルネオン)タイプは1,8-シネオール+カンファーの働きで記憶力や集中力アップに効果が期待されています。また、カンファーには循環促進や抗炎症作用が期待できることから、筋肉や関節の痛みのケアにも活用されていますよ。

ローズマリー・カンファー(Rosemary ct.Camphora)

ローズマリー・カンファーとは

ローズマリーの特徴・歴史

観賞用としても料理用としても親しまれているハーブの一つ、ローズマリー。フレッシュハーブとしてはバジルタイムと並んで認知度の高い存在であり、ウッディーな印象もあるハーバル系の香りは肉や魚の臭み消しにも、パンなどを作る時の風味付けとしても活躍してくれます。風味の良さはもちろんのこと、ポリフェノールが豊富な抗酸化ハーブとしてとして若々しさと健康を願う人々から注目される存在でもあります。ハンガリー王妃が若返ったという伝説のあるローズマリーのチンキ(浸出液)を使った「ハンガリアンウォーター(ハンガリー水)」も、アンチエイジング効果が期待できる“若返りの水”として手作り化粧水レシピなどで紹介されることがありますね。

そんなローズマリーは、名前にローズと付くもののバラ(ローズ)よりもミントマジョラムなどに近い、シソ科マンネンロウ属に分類される低木植物です。原産は地中海沿岸地域で、原産地周辺で栄えた古代エジプトや古代ギリシアなどでは既に重要なハーブとして扱われていたと考えられています。呼び名も「ros marinus(海の露、もしくは雫)」という古典ラテン語が語源。元々はroseではなくros=露を意味する言葉だったものが変化して英名になっているのです。ちなみに和名はマンネンロウ、漢字では万年朗や万年蝋、もしくは中国名そのまま“迷迭香”と書いてマンネンロウと読ませることもあります。元々は常に香りがする植物=万年香(マンネンコウ)と呼ばれていたとの説が主流。経緯については断定されていませんが、誤字もしくは転化したのではないかと考えられていますよ。

ローズマリーが自生していた地中海沿岸地域では、その香りの良さと、体に対してもメリットがあったことから、古くはローズマリを万能薬の一つとして多用していたと考えられています。また、体を癒やしてくれることから神秘的な力を持つ“聖なる木”として大切にしていたという説もありますよ。この考えは悪魔・悪夢がやってくるのを防いでくれるという思考に繋がり、ペストなどの疫病除けに役立つハーブとしても重宝されました。当時は良い香り=邪気を追い払うという思想もありましたしね。キリスト教でも聖母マリアが幼いイエスを抱いてエジプトへ逃れる最中、彼女の着ていた青いマントに触れたことで白かった花が青くなったという伝説があるのだとか。このためローズマリーは「Rose of Mary(聖母マリアのバラ)」とも呼ばれています。

またローズマリーはキリスト教以前から記憶や思い出を象徴する植物と考えられ、頭の働きをよくするハーブとしてギリシアでは試験を受ける学生が髪にローズマリーの花輪を飾る習慣もありました。忘れないという意味を込めて故人へと手向けることも多く、古代エジプトでは王の埋葬時にローズマリーを入れていたようですし、ギリシアやローマでも墓に供える植物として定番だったそう。中世のシェイクスピア作品にも思い出・記憶を象徴する植物としてローズマリーが多用されています。青空文庫に掲載されている坪内逍遙訳『ロミオとヂュリエット』でも、死んでしまったジュリエットを見て取り乱すキャピュレット(ジュリエットの父)に修道僧ロレンスが“さ、涙を乾乾かして、迷迭香を死体に挟ましゃれ”という場面がありますよ。余談ですが、この『ロミオとヂュリエット』は昔に訳されたためか、時代劇のような、ロミオが丁髷を結っていそうな独特の雰囲気があって面白い作品です。迷迭香を挟む=死に水を取るみたなセリフですしね。

ローズマリー精油の種類について

ローズマリーはハーブの中でも1、2を争うと言われるほど美しい花を咲かせることも特徴。このため観賞用としても世界中で広く栽培されており、同じRosemarinus officinalisという種の中でも様々な栽培品種が作られています。園芸用品種も含めると基本的には立性種と匍匐性に大別し、更に高さや花の色などで大まかなグループ分けをすることもあるそう。ただし精油の場合であれば品種は同じであっても育てる土地・遺伝などによって香りは変わってきます。このため精油は品種ではなく含有成分・その比率によってケモタイプとして分類するのが一般的です。

ローズマリーのケモタイプ精油はマイナーなものを含めると6種類前後ありますが、小売されているのはシネオールタイプベルベノンタイプカンファー(ボルネオン)タイプの3種類が主。最もポピュラーなのが、カンファーなどのケトン類の含有量率が低く扱いやすいとされるローズマリー・シネオールです。ベルベノンタイプはシネオールタイプよりも若干ケトン類含有量が多いのですが、肝機能向上・ダイエットやスキンケアに対して高い効果が期待できるという説もあり、美容サポートにも注目されています。カンファータイプは呼び名の通りカンファー含有率が高いため使用に注意は必要ですが、筋肉痛・神経痛の緩和、記憶力ややる気向上など心身のサポートに有益に働く部分もあると考えられています。

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香料原料データ

通称
ローズマリー・カンファー(Rosemary ct.Camphora)
別名
ローズマリー・ボルネオン、迷迭香(マンネンロウ/メイテツコウ)、万年朗(マンネンロウ)
学名
Rosemarinus officinalis(ct.Camphora)
科名/種類
シソ科マンネンロウ属マンネンロウ属(ロスマリヌス属)/常緑性低木
主産地
スペイン、クロアチア、フランスなど
抽出部位
全草(葉・花・茎)
開花時の先端部分のみを使用したものが高品質とも。
抽出方法
水蒸気蒸留法
ほぼ無色~淡い黄色
粘性
ノート
トップ~ミドルノート
香り度合い
中~強め
精油成分
カンファー(ボルネオン)、1,8-シネオール、α-ピネン、カンフェン、リモネン、ボルネオール、β-カリオフィレン、ベルベノンなど
おすすめ
芳香浴・アロマバス・マッサージ・消臭・防虫

カンフル感を強めに感じる、清涼感あるややウッディーな香り

ローズマリー・カンファーに期待される働き・効能

精神面への作用と効果

ローズマリー・カンファーは呼び名の通りケトン類のカンファーを多く含んでいるケモタイプ精油。このためローズマリーのケモタイプ精油の中では樟脳もしくはメンソールに例えられる、薬品系の清涼感が強めに出た香りとなっています。ちなみに、カンファーではなくボルネオンタイプと呼ばれることもありますが、これはカンファーの別名。ボルネオンが正式名称だと紹介されることもありますが、呼称の表記としては“2-Bornanone(2−ボルナノン)”もしくは“Bornan-2-one(ボルナン-2-オン)”となっていますし、スペルも無いので日本だけなのではないかと…。

特徴成分とも言えるカンファーはシャープで覚醒芳香の印象が強い香りですが、、鎮静作用も持ち合わせているという説もあります。ストレスや緊張などで過剰に神経が興奮している時にはリラックス方向に働くことで、イライラや神経過敏のような状態の時のサポーターとしても期待されています。また、クールな香りは脳・交感神経を刺激して頭をスッキリとさせることで認識力や集中力を高めつ働きが期待されています。無気力状態や気分が落ち込んでいて、自分を鼓舞したい時にも役立ってくれそうですね。やりたくないけれど頑張らなくてはいけない仕事・勉強などを頑張る際に選んでみると良いかもしれません。

製品にもよりますがローズマリー・カンファーのカンファー含有率は20%前後。α-ピネンの含有率の方がカンファー含有率よりも高いものもありますし、1,8シネオールを15~20%程度と多く含まれています。1,8シネオールも気分をスッキリとさせて集中力や記憶力を高める働きが、α-ピネンには鎮静作用や神経強壮作用が期待されています。この3成分をほぼ同比率で含んでいるカンファータイプはローズマリーのケモタイプ精油の中で最も集中力・記憶力向上や頭脳疲労回復に優れているという見解もあります。反対に1,8シネオール濃度の高い方が認知能力を向上させるという報告もありますし、カンファータイプの精油については実験報告がほとんどないのが現状です。体調や自分との相性・使用したいシーンなどを考慮して選んでみてください。

肉体面への作用と効果

ケトン類のカンファー(ボルネオン)は刺激性・神経毒性が懸念されるとして使用を控えるべき、注意が必要である精油と表記されていることもありますが、人体に対して有用な働きも報告されている成分です。カンファーはかつて強心剤(カンフル剤)にも利用されている成分で、心臓強壮(鼓動を強める)作用を持つと考えれています。このため血液循環を促すことで低血圧の軽減、血行不良に起因する冷え性や肩こりなどの軽減に効果が期待されています。カンファーには鎮痛作用と抗炎症作用が期待できることも合わせて、筋肉痛・関節痛・リウマチ・神経痛などのケアに用いられることもありますよ。

また、呼吸器系・循環器系に対しての刺激作用を持つとと考えられることから、カンファーを含む精油は鬱血除去薬(充血除去薬)のような形で作用して鼻詰まりを改善する働きも期待されています。ローズマリー・カンファーには去痰・抗炎症・抗菌・抗ウィルス作用など呼吸器系のサポートに役立つとされる1,8シネオールも含まれていますから、合わせて咳・気管支炎などの呼吸器系の不調緩和、風邪予防や初期症状ケアにも活用されています。そのほか循環器系の刺激作用からむくみの緩和、ケトン類の働きから肝胆汁の分泌・排泄促進によるデトックスや脂肪溶解作用が期待できるという説もあります。

とは言え、カンファーには毒性がないという声もある一方で危険性を指摘する書籍・サイトも多くあります。このため用途としては風邪予防などのために高頻度で拡散するよりも、筋肉の疲労・関節や筋肉の痛みをケアするためのマッサージに使用されることが主呼吸器系の不調や風邪っぽい時のケアとしても拡散するのではなく、キャリアオイルで希釈してトリートメントとして使われることが多いようです。様々な有効性を持つ可能性がある一方で、危険性の指摘もある成分だということを念頭に置いて利用してください。

その他に期待される作用

皮膚利用について

カンファーは消炎・鎮痛作用を持つ成分として、かゆみ止めや皮膚炎症ケアの軟膏などにも利用されてきました。その他に抗菌作用や皮脂分泌調整作用が期待できることと合わせてニキビや吹き出物の予防・ケアに使用されることもあります。1,8-シネオールも抗菌作用や皮脂分泌調整作用が期待されていますから、合わせて脂性肌の方やニキビができやすい方に適した精油だという声もあります。

そのほか瘢痕形成作用を持つ・アンチエイジングに役立つという説もありますが、カンファーも1,8-シネオールも皮膚刺激性の高さが指摘されている成分。お顔など皮膚の薄い部分や、敏感になっている箇所に自己判断で使用する場合は炎症を悪化させてしまう可能性もあるため、使用はおすすめできません。スキンケアやヘアケアとして活用する場合は皮膚刺激性が低いとされるローズマリー・ベルベノン、より使用しやすいラベンダーフランキンセンスなどの方が利用者も多く無難ではあるでしょう。

消臭・防虫剤としても

カンファーは日本語で“樟脳(ショウノウ)”とも呼ばれ、衣類の防虫剤の原料にも使われていた成分。現在でもカンファーは衣服につくカツオブシムシやイガなどの虫が嫌う香りとして活用されていますし、衣服を食べる虫だけではなくゴキブリ(チャバネゴキブリ)が忌避するという報告もなされています。

加えてカンファーにも抗菌作用があり、1.8-シネオールも高い抗菌・抗真菌作用が報告されている成分。悪臭の原因の一つとして、温度や湿気などの関係から雑菌が繁殖して悪臭物質を発生させることが挙げられます。洗濯物の生乾き臭やカビ臭が代表的ですし、体臭についても皮脂や垢を雑菌が分解することで発生する悪臭物質によるものが多いとの見解が主流。このため、こうした精油成分が雑菌を繁殖させないようにすることで消臭剤としての機能を持つことに繋がると考えられます。

ローズマリー・カンファーが利用されるシーンまとめ

【精神面】

  • ストレス・神経疲労に
  • 集中力・記憶力を高めたい
  • 気分の落ち込みに
  • 無気力・やる気が出ない時に
  • モチベーションを上げたい
  • 頭をスッキリさせたい
  • 心が不安定になっている時に

【肉体面】

  • 血行不良・低血圧・冷え性
  • 筋肉痛・肩こり・腰痛
  • 関節痛・神経痛・リウマチ
  • 鼻詰まり・喉の痛みや咳に
  • デトックス・肥満予防
  • 脂性肌・ニキビ対策
  • 消臭・防虫用に

ローズマリー・カンファーの利用と注意点について

相性の良い香り

カンファー感を感じさせるホワイトカンファーの精油は、相手を選ばない柑橘系やスッキリした印象のハーブ系精油とブレンドしやすいです。スパイシーさを感じさせるもの同士として軽めのスパイス系、カンファー感やグリーン感を持つ樹木系の香りとも比較的組み合わせやすいでしょう。

ローズマリー・カンファーのブレンド例

ローズマリー・カンファー精油の注意点

  • 妊娠中・授乳中の方、お子さんへの使用は出来ません。
  • てんかん・喘息のある方は使用を避けるか、医師に相談しましょう。
  • 高血圧・肝疾患ほか持病のある方は医師に相談しましょう。
  • 芳香浴の場合でも、高濃度で使用すると肌へ刺激を与える場合があります。
  • アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
  • 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。

参考元

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【アロマ】ローズマリー・ベルベノン精油-植物の特徴・期待される効果効能とは? https://d-nagaya.com/aroma/post-931/ Wed, 19 Aug 2015 07:49:43 +0000 http://d-nagaya.com/?p=931

肥満予防やスキンケア精油として注目

ローズマリーは地中海沿岸地域で古くから用いられていたハーブで、ハンガリー王妃が使った“若返りの水”ハンガリアン・ウォーターの材料としても使用されました。精油にはいくつかケモタイプが存在していますが、ベルベノンタイプはスキンケアやヘアケアが最も得意な精油とも称されています。代表成分のベルベノンには脂肪溶解作用を持つ可能性があると報じられたこともあって、美容サポーターとして注目されています。

ローズマリー・ベルベノン(Rosemary ct.Vervenone)

ローズマリー・ベルベノンとは

ローズマリーの特徴・歴史

キッチンハーブ・スパイスとして日本人にも馴染みのあるハーブの一つ、ローズマリー。バラ(ローズ)よりもミントやマジョラムなどに近いシソ科マンネンロウ属に分類される低木植物で、原産は地中海沿岸地域とされています。分類でも見た目・香りにも近いところが無いのに呼び名にローズが付けられている由来は、古典ラテン語で海辺でも生育出来るローズマリーのことを「ros marinus(海の露、もしくは雫)」と呼んでいたため。バラではなく“雫”が語源であると言えますし、属名のRosemarinusはそのままラテン語の呼び名が採用された形です。地中海性気候でも育ちやすく、「モミの木(針葉樹)に似ている」と称されるスッキリとした香りを持つローズマリーは、古代ローマ帝国時代以前から地中海沿岸地域で親しまれてきた植物です。

古代には万能薬と考えられていたハーブの1つにもローズマリーは数えられますし、記憶を司る“思い出のハーブ”として死者を偲ぶ供え物としても使われ、古代エジプトではファラオと一緒に埋葬されていたことも分かっています。ギリシアにも同じ風習はあったようですし、記憶力を高める=頭の働きを良くするハーブとして学生たちが使用していた・結婚式の誓いに使ったという伝承もあります。古代ローマでは花嫁装束にもローズマリーの小枝や花輪が使われ、新居の庭に根付くと幸せな結婚生活をおくれる・家が繁栄すると信じられていたという説もあります。記憶や思い出に関わるだけではなく、神聖であり幸せを運んできてくれるハーブとしても大切にされていたのかもしれませんね。

キリスト教でもローズマリーにまつわる伝説があり、聖母マリアにちなんで「Rose of Mary(聖母マリアのバラ)」と呼ぶことがあります。元々ローズマリーは白い花を咲かせていたそうですが、ヘロデ大王の幼児虐殺から逃れるべく移動していた際に聖母マリアが青いマントをかけたことで、色が移って青い花を咲かせるようになったと伝えられていますよ。キリスト降誕のシンボルとしても大切にされ、キリストよりも長生きしない=33年経つと枯れてしまうという伝承もあります。ちなみにローズマリーの和名はマンネンロウ、漢字では万年朗や万年蝋、もしくは中国名そのまま“迷迭香”と書いてマンネンロウと読ませることもあります。英名や何らかのエピソードと関係ががあるのかと思いきや、元々は常に香りがする植物=万年香(マンネンコウ)と呼ばれていたとの説が主流。経緯については断定されていませんが、誤字もしくは転化したのではないかと考えられています。

それ以外にも悪魔除け・消毒薬としてペスト対策に使われたなど、ローズマリーに関わる逸話は数多くあります。その中で現在でも女性の心を惹き付ける逸話と言えば“若返りの水”とも称される「ハンガリアンウォーター」のエピソードではないでしょうか。70歳を超え手足の痛みに悩まされていたハンガリー女王エリザベートは、修道女から献上されたローズマリーを漬けた水を献上されます。これを試すと痛みが落ち着いただけではなく、なんと外見までも若々しくなり、ついには隣国の王子にプロポーズされたと伝えられています。このことからローズマリーは若返りの象徴としても女性に重宝され、現在でもスパイス類の中ではセージと並んで際立って高い抗酸化力を持つことが報告されています。化粧水などにも配合されているものがありますね。

ローズマリー精油の種類について

ローズマリーはハーブの中でも1、2を争うと言われるほど美しい花を咲かせることも特徴。このため観賞用としても世界中で広く栽培されており、同じRosemarinus officinalisという種の中でも様々な栽培品種が作られています。園芸用品種も含めると基本的には立性種と匍匐性に大別し、更に高さや花の色などで大まかなグループ分けをすることもあるそう。ただし精油の場合であれば品種は同じであっても育てる土地・遺伝などによって香りは変わってきます。このため精油は品種ではなく含有成分・その比率によってケモタイプとして分類するのが一般的です。

ローズマリーのケモタイプ精油はマイナーなものを含めると6種類前後ありますが、小売されているのはシネオールタイプ・ベルベノンタイプカンファー(ボルネオン)タイプの3種類が主。中でも最もポピュラーなのが、カンファーなどのケトン類の含有量率が低く扱いやすいとされるローズマリー・シネオールです。ベルベノンタイプはシネオールタイプよりも若干ケトン類含有量が多いのですが、肝機能向上・ダイエットやスキンケアに対して高い効果が期待できるという説もあり、美容サポートにも注目されています。カンファータイプは呼び名の通りカンファー含有率が高いため使用に注意は必要ですが、筋肉痛・神経痛の緩和、記憶力ややる気向上など心身のサポートに有益に働く部分もあると考えられています。

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香料原料データ

通称
ローズマリー・ベルベノン(Rosemary ct.Vervenone)
別名
迷迭香(マンネンロウ/メイテツコウ)、万年朗(マンネンロウ)
学名
Rosemarinus officinalis(ct.Vervenone)
科名/種類
シソ科マンネンロウ属(ロスマリヌス属)/常緑性低木
主産地
コルシカ島・フランス、モロッコ、スペイン、チュニジアなど
抽出部位
全草(葉・花・茎)
開花時の先端部分のみを使用したものが高品質とも。
抽出方法
水蒸気蒸留法
ほぼ無色~淡い黄色
粘性
ノート
トップ~ミドルノート
香り度合い
中~強め
精油成分
α-ピネン、ベルベノン、1,8-シネオール、カンファー、カンフェン、リモネンなど
おすすめ
芳香浴・アロマバス・マッサージ・スキンケア・ヘアケア・ハウスキーピング・防虫

ハーブとしてのローズマリーの印象に近い、フレッシュな香り

ローズマリー・ベルベノンに期待される働き・効能

精神面への作用と効果

ローズマリー・ベルベノンはケトン類のベルベノン(verbenone)という成分を多く含んでいることからベルベノンタイプとは呼ばれていますが、最も成分比率が高い成分はベルベノンではなくα-ピネンです。製品によっても差はありますがα-ピネンの含有率は20~30%前後で、ローズマリー系精油の中では最もα-ピネン含有率が高い精油でもあります。α-ピネンは俗に“森林浴効果”と表現される、森林浴をしている時と同じようなリラックス効果とリフレッシュ効果が期待されている成分。神経に対しての強壮作用を持つという説もあり、ストレスが多くお疲れな現代人のサポーターとしても注目されてます。

ローズマリー・ベルベノンはα-ピネン含有率が高いことから、ローズマリー系精油の中ではストレス対策や緊張緩和が得意であると考えられます。イライラ・不安・気持ちの落ち込みを感じている時のサポーターとして役立ってくれるでしょう。脳機能や記憶力アップという面では他のケモタイプよりも弱いと考えられますが、気持ち的に疲れていたり自信を失っている時の癒やしの香りとしては期待できます。また、脳に対する刺激作用を持つとされる1,8-シネオールの含有率が3種のメモタイプ精油の中では最も低いため、リラックスタイムや夜のバスタイムでの使用に適したオイルだという評価もあります。香りとしても三種のケモタイプ精油の中では最もマイルドで、穏やかな印象があります。

肉体面への作用と効果

ローズマリー・ベルベノン精油の主成分とも言えるα-ピネンは、第七の栄養素とされる“ファイトケミカル”の一つとしても注目されている存在。血流改善・胃液の分泌を促すことで食欲を高めるなど様々な働きを持つ可能性が報告されている成分でもあります。また、ベルベノンタイプにも10%程度のカンファーは含まれています。カンファーはケトン類で神経毒性を持つ可能性がある・刺激が強いことから使用に注意が必要という指摘もある成分。しかし、心臓強壮(鼓動を強める)作用を持つことも認められており、低血圧の軽減や脳への血流を増やすことで記憶力を高めるなどのメリットも期待されていますよ。

このためα-ピネンの働きと合わせて血液循環を促し、低血圧や血行不良性の冷え性・肩こり・腰痛などの軽減に繋がる可能性があります。α-ピネンは抗菌・免疫力向上作用を持つ可能性が報告されている成分でもありますから、血液循環を良くして体を温めることと合わせて風邪やインフルエンザ予防にも効果が期待できるでしょう。そのほか利尿効果によるむくみ解消・通経作用による月経不順の改善に役立つという説もあります。

肝臓強壮・ダイエットサポートにも期待

ローズマリー・ベルベノンの特徴成分であるベルベノン(verbenone)はケトン類に分類されます。しかし、ケトン類の中では刺激性や毒性が低いと考えられている成分で、肝機能調整や胆汁分泌促進作用など肝臓機能のサポートに優れた働きが期待されています。二日酔いの軽減や、暴飲暴食が続いた・消化機能が弱っていると感じている時に取り入れることをお勧めしているセラピストさんもいらっしゃるそう。

また、ベルベノンは脂肪溶解作用を持つ成分としても注目されている存在。ローズマリー・ベルベノンの精油には循環器系に対して刺激作用を持つ可能性があるとされているカンファー、血液循環を整えるα-ピネンも含まれていますから、合わせて代謝促進やデトックスにも効果が期待されています。デトックスやセルライトケア・ダイエットのサポートとして、ローズマリー・ベルベノン精油をキャリアオイルで希釈してマッサージに使用してみても良いかも知れませんね。

ただし上記でご紹介したベルベノンの作用については根拠が曖昧で、有効性を示した実験報告などもほとんどありません。民間療法の一種的な扱いとなっていますから、過度な期待は避けましょう。ベルベノンもカンファーもケトン類ですから高血圧やてんかんの方は使用を避ける必要がありますし、肝臓への働きかけを持つ可能性があるため肝臓疾患のある方も使用は厳禁です。

その他に期待される作用

肌・髪への働きかけ

ローズマリー・ベルベノンはスキンケア&ヘアケアに対して、3種のケモタイプ精油の中で最も適した精油であるとの見解が主となっています。これは皮膚刺激性が指摘されている1,8-シネオール含有量が低いということも関係していますが、1,8-シネオールを全く含んでいない訳ではありません。ケトン類にも皮膚刺激を感じる場合がありますから、きちんと低濃度希釈・パッチテストを行って使用してください。

ベルベノンタイプがスキンケアに優れた精油とされる2つ目の理由は、瘢痕形成作用と皮膚組織再生作用が期待できるため。この働きからお肌のシワやハリ低下が気になる際のエイジングケアにも役立つと考えられています。ハンガリーの女王が若返ったという伝説がある「ハンガリアン・ウォーター」に準じた形で精油を希釈してローションを作ることもありますが、その場合はベルベノンタイプが最も期待できそうではありますね。

そのほかα-ピネンやカンファーによる抗菌作用・皮脂分泌調整作用なども期待できますから、他のケモタイプ精油と同様に脂性肌のケアやニキビケアにも役立ってくれるでしょう。瘢痕形成・皮膚組織再生作用からニキビ跡の軽減や肌荒れの回復促進に役立つのではという説もあります。また、頭皮や毛髪についても皮脂分泌を適切に保つ働きが期待できますし、皮膚の代謝・再生を促すことでフケや抜け毛の防止・発毛促進・白髪予防などにも効果が期待されています。

ローズマリー・ベルベノンが利用されるシーンまとめ

【精神面】

  • ストレス・精神疲労
  • イライラ・興奮・緊張
  • 不安・自信喪失・無気力
  • 気分の落ち込み・抑うつ気味
  • 気分の切り替えが上手くいかない
  • リフレッシュしたい
  • 癒しが欲しい
  • ゆったりした気分になりたい

【肉体面】

  • 消化不良・胸焼けに
  • 血行不良・低血圧・冷え性
  • 風邪・インフルエンザ予防
  • 二日酔い・肝臓サポートに
  • むくみ・セルライト対策
  • ダイエットのサポーターに
  • 肌のエイジングケアに
  • 脂性肌・ニキビケアに
  • フケ・白髪・抜け毛予防に

ローズマリー・ベルベノンの利用と注意点について

相性の良い香り

ローズマリー・ベルベノンは3種のケモタイプ精油の中でも、最もフレッシュで刺激感のない香りです。シネオールタイプと同様に相手を選びにくい香りではありますが、特に柑橘系やハーブ系の香りであればブレンドしやすいと思います。ウッディー系やスパイス系など少し強め、アクセントになるような香りとの組み合わせもお勧めです。

ローズマリー・ベルベノンのブレンド例

ローズマリー・ベルベノン精油の注意点

  • 妊娠中・授乳中の方、お子さんへの使用は避けましょう。
  • 高血圧・てんかんのある方は使用を避けるか、医師に相談しましょう。
  • 肝臓疾患や持病のある方も医師に相談してから使用してください。
  • 芳香浴の場合でも、高濃度で使用すると肌へ刺激を与える場合があります。
  • アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
  • 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。

参考元

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【アロマ】ローズマリー・シネオール精油-植物の特徴・期待される効果効能とは? https://d-nagaya.com/aroma/post-926/ Mon, 17 Aug 2015 01:33:09 +0000 http://d-nagaya.com/?p=926

脳機能アップ・感染症予防に期待される

ローズマリーは地中海沿岸地域で古くから神聖なハーブとして大切にされ、ペストなどの疫病対策に使われたという伝承もある植物。精油にはいくつかケモタイプが存在していますが、その中で最もポピュラーとされるのが1,8-シネオールを多く含むシネオールタイプです。1,8-シネオールの働きから呼吸器系のサポートや風邪予防に役立つと考えられているほか、頭の働きを高めてくれるのではという説もありますよ。

ローズマリー・シネオール(Rosemary ct.Cineol)

ローズマリー・シネオールとは

ローズマリーの特徴・歴史

お庭やキッチンに植えるハーブとして、料理に使う香辛料の一つとして日本でも親しまれているローズマリー。特に食用のフレッシュハーブとしてはバジルやタイムと並んで認知度の高い存在ではないでしょうか。名前にローズとは付きますがフローラル調ではなく、ウッディーな印象もあるハーバル系の香りは肉や魚との相性も抜群。臭み消し&香り付けの両方に役立つハーブとして様々な料理に活用されています。また、風味の良さだけではなく、ポリフェノールが豊富な高い抗酸化作用を持つハーブ、神経細胞の保護・維持をサポートしてくれる可能性があるハーブとしても若々しさと健康を願う人々からも注目されていますね。

そんな日本人にとっても馴染みのあるハーブの一つであるローズマリーは、シソ科マンネンロウ属に分類される低木植物バラ(ローズ)よりもミントマジョラムなどに近い植物で、原産は地中海沿岸地域とされています。分類でも見た目・香りにも近いところが無いのに呼び名にローズが付けられている由来は、古典ラテン語で海辺でも生育出来るローズマリーのことを「ros marinus(海の露、もしくは露)」と呼んでいたため。roseではなくros=露という意味の言葉が語源なんですね。属名のRosemarinusはそのままラテン語の呼び名が採用された形です。ローズマリーは生命力が高く地中海性気候で育ちやすい、しかも「モミの木(針葉樹)に似ている」と称されるスッキリとした香りを持つ植物。古典ラテン語が使われていた以前、古代エジプトや古代ギリシアでも使用されていました。

地中海沿岸で栄えた古代文明ではローズマリーを神秘的な力を持つ“聖なる木”として大切にしていたのではないかという説もあります。人々の体を癒やしてくれる万能薬感覚で使用されていたハーブでもありますし、神様に捧げる・悪霊を寄せ付けないために使用することもあったのだとか。また“思い出のハーブ”として死者を偲ぶ供え物としてもローズマリーは使われ、古代エジプトではファラオと一緒に埋葬されていたことも分かっています。キリスト教でも聖母マリアがイエスを抱いてエジプトへ逃れる途中、ローズマリーに青いマントをかけておくと白かった花がマントと同じ青色に変わった・マリアとイエスを覆って追手から隠してくれたなどの伝説があります。こうしたエピソードと聖母マリアのお名前に似ていることからローズマリーは「Rose of Mary(聖母マリアのバラ)」とも称されるようになりました。

こうした用途や伝説が中世には悪魔・悪夢がやってくるのを防いでくれるという考えにも繋がっていったそう。聖なる力で空間を浄化してくれると考えただけではなく、当時は良い香り=邪気を追い払うという思想もありましたしね。経験的にローズマリーは消毒に役立つことが分かっていたという説もありますが。中世~近世ヨーロッパの人々はペストなどの疫病対策にも使用しており、ペストで死亡した人々から盗みを働いていた泥棒達の逸話“Four thieves vinegar(4人の泥棒の酢)”も残っています。彼らは酢にローズマリーを含むハーブ類を加えて作った調合物を塗り、自分たちが感染しないよう対策していたんだとか。そのほか病院で浄化のために焚かれたり、イギリスでは監獄熱の感染予防として利用されていた時期もあります。現在でもローズマリー抽出物には高い抗ウィルス作用が報告されていますし、精油も呼吸器系の不調や感染症予防として使用されています。

ローズマリー精油の種類について

ローズマリーはハーブの中でも1、2を争うと言われるほど美しい花を咲かせることも特徴。このため観賞用としても世界中で広く栽培されており、同じRosemarinus officinalisという種の中でも様々な栽培品種が作られています。園芸用品種も含めると基本的には立性種と匍匐性に大別し、更に高さや花の色などで大まかなグループ分けをすることもあるそう。ただし精油の場合であれば品種は同じであっても育てる土地・遺伝などによって香りは変わってきます。このため精油は品種ではなく含有成分・その比率によってケモタイプとして分類するのが一般的です。

ローズマリーのケモタイプ精油はマイナーなものを含めると6種類前後ありますが、小売されているのはシネオールタイプ・ベルベノンタイプカンファー(ボルネオン)タイプの3種類が主。中でも最もポピュラーなのが、カンファーなどのケトン類の含有量率が低く扱いやすいとされるローズマリー・シネオールベルベノンタイプはシネオールタイプよりも若干ケトン類含有量が多いのですが、肝機能向上・ダイエットやスキンケアに対して高い効果が期待できるという説もあり、美容サポートにも注目されています。カンファータイプは呼び名の通りカンファー含有率が高いため使用に注意は必要ですが、筋肉痛・神経痛の緩和、記憶力ややる気向上など心身のサポートに有益に働く部分もあると考えられています。

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香料原料データ

通称
ローズマリー・シネオール(Rosemary ct.Cineol)
別名
迷迭香(マンネンロウ/メイテツコウ)、万年朗(マンネンロウ)
学名
Rosemarinus officinalis(ct.Cineol)
科名/種類
シソ科マンネンロウ属(ロスマリヌス属)/常緑性低木
主産地
スペイン、モロッコ、チュニジア、フランスなど
抽出部位
全草(葉・花・茎)
開花時の先端部分のみを使用したものが高品質とも。
抽出方法
水蒸気蒸留法
ほぼ無色~淡い黄色
粘性
ノート
トップ~ミドルノート
香り度合い
中~強め
精油成分
1,8-シネオール、カンファー、α-ピネン、カンフェン、β-ピネン、ボルネオール、β-カリオフィレンなど
おすすめ
芳香浴・アロマバス・マッサージ・スキンケア・ヘアケア・ハウスキーピング

スッキリしたカンファー感に甘さの混じった、ハーバルな香り

ローズマリー・シネオールに期待される働き・効能

精神面への作用と効果

ローズマリーは清涼感あるハーバルな香りが特徴で、この爽やかな香りは気分をスッキリとさせて集中力や記憶力を高める手助けとしても活用されています。こうした働きは主に代表成分である1,8-シネオール(ユーカリプトール)の働きであると考えられており、2012年『Therapeutic Advances in Psychopharmacology』には1,8-シネオール濃度が高いほど認知能力と気分の改善能力が高い可能性を示唆した報告もなされています。また、1,8-シネオール(ユーカリプトール)には血管を拡張したり、鼻の通りを良くすることで脳へ血液と酸素を十分に行き渡らせる働きも期待されていますから、香りによる刺激作用と合わせて脳機能を高めて意識をハッキリと冴えさせる・集中力や記憶力を高めるサポートをしてくれるのではないかという説もありますよ。気分がどんよりしているときや寝起きが悪いとき・時差ボケの解消などに使われることもあります。

またローズマリー・シネオールは1,8-シネオールに次いでα-ピネンとカンファーの含有量が多くなっています。カンファーにも脳や神経を刺激して頭をスッキリとさせる働きが期待されていますし、αピネンは鎮静や神経強壮作用が期待されている精油成分。カンファーも鎮静方面に働きリラックスを促すのではないかという説もありますから、ストレスや精神的に疲労感を感じているときに香らせてみても良いかもしれません。お休み前など完全なリラックスタイム向きというよりは、ストレスや緊張で思考がまとまらなかったり、感情に振り回されがちな場面に合う香りのように感じます。無気力なときや自信喪失によって、やる気や前向きさを失いがちな時のサポーターとして香らせてみても良さそうですね。

肉体面への作用と効果

ローズマリー・シネオールに多く含まれている1,8-シネオールは、オキサイド類に分類される精油成分で、別名ユーカリプトールとも呼ばれるようにユーカリの代表成分でもあります。1,8-シネオール(ユーカリプトール)は様々な働きかけを持つ可能性が報告されている芳香成分ですが、中でも去痰・抗炎症・抗菌・抗ウィルス作用に優れ呼吸器系へのサポートに役立つ可能性が高いと考えられています。ローズマリーに報告されている抗菌・抗ウイルス活性についてはカルノシン酸など精油成分以外の部分によるものが多いのですが、精油も1,8-シネオールの働きから呼吸器系ケアに効果が期待されているのです。

ローズマリー系精油の中では1,8-シネオール含有率が最も高いこともあって、ローズマリー・シネオールは他のローズマリー系精油よりも呼吸器系のケアが得意な精油として扱われています。風邪やインフルエンザの予防、喉の不快感や花粉症による鼻炎など呼吸器系のトラブルの予防・軽微な症状のケアに使用したい場合にはシネオールタイプが適しています。α-ピネンにも抗菌作用や免疫力向上作用が期待されていますから、呼吸器ケアを兼ねて香らせたい場合であればカンファー含有率が低め・α-ピネン含有率が高めになっているものを選んでみても良いかもしれません。カンファー含有率が低いほうが心配も少ないですし、香りとしてもマイルドな印象になります。

血行不良・痛み軽減にも期待

カンファータイプのように高含有というわけではありませんが、ローズマリー・シネオールにも10%程度のカンファーは含まれています。カンファーはケトン類で神経毒性を持つ可能性がある・刺激が強いことから使用に注意が必要という指摘もある成分。しかし、心臓強壮(鼓動を強める)作用を持つことも認められており、低血圧の軽減や脳への血流を増やすことで記憶力を高めるなどのメリットが期待されている成分でもあります。血行を促すことから冷え性緩和をはじめ、便秘や消化不良など消化器系トラブルの改善まで様々な働きが期待できるという説もあります。

血行不良に起因する肩こりや腰痛などの改善にも繋がりますし、1,8-シネオールには抗炎症作用作用を持つという説と合わせて神経痛や関節炎のケアとしても使用されています。ローズマリーと言えば“若返りの水”ことハンガリアン・ウォーターの伝承もありますが、ハンガリー王妃は若返りを目的にハンガリアンウォーターを使用したのではなく、元は手足の痛み(おそらくはリウマチ)に悩まされていると聞いた修道女が献上したのだと伝えられていますよ。血行不良や痛みの緩和以外に、利尿効果によるむくみ解消・通経作用による月経不順の改善に役立つという説もあります。

その他に期待される作用

肌・髪への働きかけ

ローズマリー・シネオールの精油は抗菌作用と収れん作用を持ち、脂性肌やニキビケアに役立つと考えられています。脂っぽさを抑えてくれる働きは頭皮のケアとしても注目されており、地肌や髪のベタつきが気になる方を中心にヘアトニックなどに使用されることもあります。皮脂分泌量を適切に保つ・頭皮を清潔に保つ・血行を促す働きが期待できることから、フケや抜け毛などの予防、髪の毛の成長を早める育毛効果も期待されています。円形脱毛症の方を対象に行った実験では、ローズマリーを含むブレンド精油を使用したグループに改善が見られたことも1998年に『Archives of Dermatology』に報告されています。1,8-シネオールは抗菌・消臭作用を持つ成分として扱われていますのでニオイ対策に繋がる可能性もありますね。

ただし1,8-シネオールは消炎作用があるという説もある一方で、皮膚刺激性があるという指摘もあります。体質や使用濃度によっては皮膚を刺激して炎症を起こす原因ともなりますので、使用には注意が必要です。お顔など敏感な部分だけではなく、筋肉痛や関節痛緩和のためのマッサージなどで使用する場合でも低濃度に希釈して利用してください。

消臭・防虫剤としても

ローズマリー・シネオールに多く含まれている1.8-シネオールは抗菌作用が高いことから、消臭作用を持つと考えられています。悪臭の原因の一つとして、温度や湿気などの関係から雑菌が繁殖して悪臭物質を発生させることが挙げられます。洗濯物の生乾き臭やカビ臭が代表的ですし、体臭についても皮脂や垢を雑菌が分解することで発生する悪臭物質によるものが多いと言われています。雑菌を繁殖させないようにすることで消臭剤としての機能を持つことに繋がると考えられます。

加えてカンファーは衣類の防虫剤などにも配合されている、昆虫忌避作用がある芳香成分。衣服につくカツオブシムシやイガなどの虫をはじめ、ゴキブリ(チャバネゴキブリ)が忌避するという報告もあります。ローズマリー精油として見ても2016年の『The journal Parasitology Research』には試験した11の精油の中で蚊に対して最高レベルの忌避性を示したという報告がなされています。消臭剤や手作りの虫除けスプレー作りにも活用できそうですね。

ローズマリー・シネオールが利用されるシーンまとめ

【精神面】

  • 頭をスッキリさせたい
  • リフレッシュしたい
  • 記憶力や集中力を高めたい
  • 脳機能を高めたい
  • ストレス・神経疲労に
  • 自信喪失・無力感がある
  • 考えがまとまらないときに
  • 寝起きが悪いときに

【肉体面】

  • 風邪・インフルエンザ予防に
  • 鼻や喉の調子が悪い時に
  • 血行不良・低血圧・冷え性
  • 肩こり・腰痛・筋肉痛
  • 神経痛・関節痛・リウマチ
  • 脂性肌・ニキビケア
  • フケ・抜け毛予防
  • 育毛・髪の成長促進に

ローズマリー・シネオールの利用と注意点について

相性の良い香り

ローズマリー・シネオールは微かに甘さを含んだハーバル調の香り。個性が強い部類ではありませんのでどの系統の香りともブレンドはしやすいですが、特に柑橘系・ウッディー系の香りとの組み合わせであれば失敗はしにくいでしょう。同じ様にサッパリとした印象を持つハーブ系・スパイス系の香りともブレンドしやすいです。

ローズマリー・シネオールのブレンド例

ローズマリー・シネオール精油の注意点

  • 妊娠中・授乳中の方、お子さんへの使用は避けましょう。
  • てんかん・喘息のある方は使用を避けるか、医師に相談しましょう。
  • 高血圧・持病のある方は医師に相談しましょう。
  • 芳香浴の場合でも、高濃度で使用すると肌へ刺激を与える場合があります。
  • アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
  • 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。

参考元

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【アロマ】ヘリクリサム/イモーテル精油-植物の特徴・期待される効果効能とは? https://d-nagaya.com/aroma/post-917/ Fri, 14 Aug 2015 05:12:25 +0000 http://d-nagaya.com/?p=917

エイジングケアなど皮膚利用に注目

植物としてはカレープラントと呼ばれることも多いヘリクリサム(イモーテル)。花から採油された精油はハチミツに例えられる甘さのある、独特のハーバル調の香りが特徵です。メンタルサポートや呼吸器・消化器ケアなど幅広い効果が期待されていますが、近年はスキンケアに役立つ精油として注目されています。乾燥肌やエイジングケアに用いられているほか、βジオンの働きから打ち身などのケアにも活用されています。

helichrysum

ヘリクリサム(イモーテル)とは

ヘリクリサムの特徴・歴史

独特の甘さを感じさせる香りから、香水、石鹸、化粧品などの香料として用いられることも多いヘリクリサム。ヘリクリサムと言われると全く馴染みのない植物のようにも感じられますが、実は観葉植物として“カレープラント”の名前で販売されているお花。キク科ムギワラギク属に分類される植物で、ちょっとカサカサした感触の小さな黄色い花が密生していることが特徵。カレープラントと言われると覚えのある方もいらっしゃるのではないでしょうか。ちなみに呼び名はカレー料理に使われるからではなく、葉からカレーに似たスパイシーな香りがすることに由来しています。精油は花が原料なので、香りにカレーっぽさはありませんが。

ヘリクリサムはカレープラント以外にイモーテル(Immortelle)やエバーラスティングフラワー(everlasting flower)など様々な呼び方をされています。everlasting flower=永久花というのは、乾燥させても色と花姿が変わりにくい花を総称した呼び名です。Immortelleも直訳すれば不滅や不死を意味する言葉で、同じく乾燥しさせても色・形の変わらない植物を総称の総称として利用される言葉です。条件に当てはまるハナカンザシやカイザイクなども同様の呼び名が使われています。ヘリクリサムという言葉もムギワラギク属(Helichrysum)の属名そのままですからカレープラントのみを指す言葉ではありませんが、香料源として使われる機会が多いことから精油の場合は基本的にカレープラントを指す言葉として使われています。

ヘリクリサム(カレープラント)は南ヨーロッパから北アフリカにかけての地中海沿岸地域が原産。乾燥した岩場や砂地に自生することから、生命力が強いく力のある植物と考えられていたようです。実際は生命力が強いというよりは高温多湿な環境が苦手なだけですが。ともあれ葉がスパイシーな香りを持っていることもあって、古代ギリシアでは料理に利用したり、薬代わりに用いられることがあったと考えられています。現在でもヘリクリサムの若芽や葉は地中海料理でスパイス感覚で使用されています。また、乾燥しても色褪せないという特徵からお墓に供える花として、地域によっては永遠の愛を象徴するものとして花輪を花嫁に捧げる風習があったとも伝えられています。

精油に話を戻しますと、ヘリクリサム精油はその香りを「ウッディーさ+蜂蜜の甘さ」というような例えられ方をする存在。しかしフローラルなハチミツの香りではなく、甘みのあるスパイス・漢方薬の香りと捉える方もいらっしゃいます。香りの感じ方は人それぞれでもありますし、独特の濃厚さから好き嫌い・慣れ不慣れが分かれる精油であるように感じられます。カモミールヤロウよりも柔らかな香りではありますが、採油量が少なく高価な精油でもありますから始めて購入する場合は香りを確認してみることをお勧めします。

香料原料データ

通称
ヘリクリサム(Helichrysum)
別名
イモーテル(Immortelle)、カレープラント(curry plant)、エバーラスティング(Everlasting)、イタリアンストローフラワー(Italian strawflower)
学名
Helichrysum italicum
(syn.Helichrysum angustifolium)
科名/種類
キク科ムギワラギク属/多年草
主産地
フランス、イタリア、スペイン、ユーゴスラビア
抽出部位
花(頭花・花序)
抽出方法
水蒸気蒸留法
(※溶剤抽出されたものも有)
淡黄色~薄オレンジ色
粘性
低~中
ノート
ミドルノート
香り度合い
強め
精油成分
酢酸ネリル、α-ピネン、γ-クルクメン、β-カリオフィレン、リモネン、βジオン(イタリジオン)、リナロール、ネロールなど
おすすめ
芳香浴・アロマバス・マッサージ・スキンケア

スパイシーで濃厚なハーバル調の中に、甘さを加えた香り

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ヘリクリサム(イモーテル)に期待される働き・効能

精神面への作用と効果

ヘリクリサムの精油は濃厚で甘みのあるハーバル調の香りが特徵。好き嫌いが分かれるものの、甘さ・温かさを感じるしっとりとした香りは緊張や感情面での昂ぶりを抑えて、心を穏やかにする手助けをしてくれると考えらられています。成分的に見ても、ヘリクリサムの精油に多く含まれているのは酢酸ネリル(ネリルアセテート)とα-ピネン。酢酸ネリルは鎮静作用を持つとされる成分ですし、α-ピネンは森林浴をしている時と同じようなリラックス効果とリフレッシュ効果が期待されていますよ。

ヘリクリサムの神経・精神面に対しての実験報告は少なく、作用などについては分かっていません。民間療法としては鎮静作用と抗うつ作用が期待できる精油として、ストレス・神経衰弱・精神的な疲労感・気持ちの落ち込みや無気力感がある時に適した香りとして用いられているようです。α-ピネンの森林浴効果からか、トラウマや恐怖心・失敗や後悔を引きずってしまっている時に適した精油という見解もあります。ストレスやマイナス感情が滞っていると感じる時に香らせてみても良いかも知れませんね。

肉体面への作用と効果

ヘリクリサムは地中海沿岸地域の伝統的医学において咳やアレルギー、消化器系の不調を軽減するために用いられていたと伝えられています。料理にカレープラントの葉を使用するのも、風味を良くするだけではなく消化を整える目的があった可能性もありますね。ヘリクリサムが消化器系のサポートとして利用されたのは、酢酸ネリルに鎮静・鎮静作用があること、肝臓を刺激して胆汁分泌を促す可能性があるためではないかと考えられています。鎮痛作用も期待できることから、腹痛やけいれん性の胃痛などの緩和に用いられています。

また、こうした働きはお腹の痛みだけではなく頭痛や筋肉痛の軽減にも役立つ可能性があります。酢酸ネリルやβ-カリオフィレンなどは抗炎症作用が期待できることと合わせて、関節痛や神経痛・リウマチなど様々な痛みの緩和に用いられることもあります。加えて近年はヘリクリサム特有の成分であるβジオン(イタリジオン)に、血腫抑制作用や血液凝固阻害作用が見られたということも報じられ注目されています。血液凝固を抑えることからサラサラ血液を保持してくれる成分として、高血圧や動脈硬化・心疾患の予防への有効性について研究が行われています。血行を良くすることからも血行不良や冷えに起因する痛みの緩和に繋がる可能性がありますね。

風邪予防・呼吸器ケアにも

ヘリクリサムは粘液溶解作用や去痰作用を持つ精油として、呼吸器系のサポートにも取り入れられています。抗炎症作用が期待できる成分も多いことから、花粉症などアレルギー性の症状から、咳・痰・気管支炎などの緩和用として利用されているようです。α-ピネンなど抗菌・抗ウィルス作用や免疫力向上作用が期待できる成分も多いので、風邪やインフルエンザにも一役買ってくれるでしょう。

その他に期待される作用

肌への働きかけ

近年ヘリクリサム(イモーテル)はエイジングケアに役立つ精油として注目されています。刺激が少なく敏感肌の方でも使いやすい部類であると考えられていますし、抗炎症作用と抗酸化作用の両方を持っていると報じられたことで一気にスキンケア精油としての需要が高まったそう。日本でもL’Occitaneさんからヘリクリスムイタリクム花油を配合した“イモーテル ディヴァイン(Immortelle Divine)”ラインが発売された関係もあって、一部の注目を集めた精油と言えます。

ヘリクリサムは肌に対して細胞成長促進・瘢痕形成作用を持つと称され、年齢に伴ったシワや肌のたるみ軽減に取り入れられています、作用秩序などは分かっていませんが、βジオン(イタリジオン)の働きで血液とリンパ液の循環を促すことが大きいのではないかとも言われています。酢酸ネリルには保湿効果が、ネロールには皮膚弾力回復効果が期待されていますから、合わせてお肌をより良い状態へと整えてくれるのでは無いでしょうか。傷や火傷痕を目立たなくするために利用する方もいらっしゃるようです。

そのほか抗炎症作用や殺菌・抗真菌作用を持つ成分が多いことから、ニキビのケアや水虫・カンジタ対策などにも取り入れられています。抗アレルギー作用と合わせて虫刺されやアレルギー性の皮膚炎症・かゆみを伴う乾燥肌のケアにも効果が期待されています。またβジオン(イタリジオン)の血腫抑制作用によって打ち身などの皮下出血やアザの回復促進用に役立つ精油としても取り入れられています。ちなみにβジオンはケトン類に分類されますが、ケトン類の中でも毒性が低い成分。用法用量を守って適切に使用する場合の危険性は低いとされています。

ヘリクリサムが利用されるシーンまとめ

【精神面】

  • ストレス・神経疲労
  • 無気力・疲労感がある時に
  • 不安・気持ちの落ち込みに
  • トラウマや失敗を引きずっている時に
  • 前向きさ・活力が欲しい
  • リラックスしたい
  • ネガティブになりやすい方

【肉体面】

  • 風邪予防・咳や痰の軽減に
  • 神経痛・関節痛・リウマチに
  • お腹の不調・腹痛の軽減に
  • 肌のエイジングケアに
  • 乾燥肌・かゆみのケアに
  • 傷跡・火傷痕を薄くしたい
  • 打ち身など皮下出血の治癒促進に

ヘリクリサム(イモーテル)の利用と注意点について

相性の良い香り

甘さと苦さがある個性的な香りですが、柑橘系の香りは違和感なく馴染みます。ヘリクリサムの香りが重く感じる時にも役立ってくれるでしょう。そのほかオリエンタル系や樹木系の香りとも相性が良いとされていますが、重めの香り同士でブレンドする場合には注意が必要。少量ずつ加えていくようにすると失敗しにくいです。

ヘリクリサムのブレンド例

ヘリクリサム精油の注意点

  • 妊娠中・授乳中の方、お子さんへの使用は避けましょう。
  • キク科アレルギーの方は使用に注意が必要です。
  • 神経系統の弱い方・てんかんのある方は使用を控えるか医師に相談の上で利用してください。
  • 肝臓に疾患のある方・抗血液凝薬などの医薬品を服用中の方は医師に相談しましょう。
  • アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
  • 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。

参考元

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【アロマ】クスノキ/カンファーホワイト精油-植物の特徴・期待される効果効能とは? https://d-nagaya.com/aroma/post-910/ Wed, 12 Aug 2015 08:32:39 +0000 http://d-nagaya.com/?p=910

衣服の防虫剤以外に、鼻詰まりにも…?

地域によっては街路樹としてもお馴染みのクスノキ。英語ではカンファーツリーなどとも呼ばれるように、衣服の防虫剤「樟脳」の原料としても使われていた歴史があります。クスノキ精油もしくはホワイトカンファーとも呼ばれる精油は、樟脳と聞いて想像するツンとする独特な香りは弱めで、ウッディーかつハーバルな印象。防虫以外にも鼻詰まり軽減や風邪予防、関節痛やリウマチなどのケアにも期待されていますよ。

カンファー(クスノキ)

楠(クスノキ/カンファー)とは

クスノキの特徴・歴史

カンファーツリー(camphor tree)という英名のイメージ通り、鼻の奥を刺すようなシャープで清涼感ある香りが特徵のクスノキ。日本人にとっては“樟脳(しょうのう)”という名のほうが印象強いかも知れません。樟脳という言葉は分子式がC10H16Oとなる二環性モノテルペンケトンに含まれる芳香成分を指す言葉ではありますが、かつて樟脳はクスノキの枝葉を水蒸気蒸留することで製造していました。カンフルもしくはカンファーというのも同じ様に芳香成分を指しますが、逆転するような形で原料となるクスノキを指す言葉としても使われるようになったようです。

そんなクスノキ(樟/楠)はシナモンと同じくクスノキ科ニッケイ属に分類される樹木で、ローズウッドの代用として注目されているホーリーフはクスノキの変種もしくは亜変種とされています。それぞれ香りは違いますが、ニッケイ属の植物は世界各地で香料として親しまれている存在と言えますね。そんなニッケイ属の樹木であるクスノキの原産は台湾・中国・ベトナムなど東アジアの温暖な地域と考えられています。

日本でもくすのきは史前帰化植物に数えられるほど古くに渡ってきた存在であり、関東南部以西、特に温暖な九州・四国に多く自生しています。日本では古くから仏像・仏教建設の材料としてクスノキを使用し、防虫剤としても活用してきた歴史があります。木材としてだけではなく伝統医療の中で薬として使用されてきた歴史もあり、抽出されたカンファー(樟脳)が強心剤として利用されていた時期もあります。駄目になってしまったものを蘇生させる手段を「カンフル剤となる」という比喩で表現するのもその名残。ただし現在は強心剤にカンファーは使用されていません。

ちなみにクスノキという名前の由来については、木全体が芳香を放っていることから「臭し(くすし)」が語源とする説、「薬の木」がクスノキになったとする説などがあります。呼び名の由来や樟脳の原料と聞くと、衣服などの防虫剤として利用されていた樟脳の香りを思い出す方もいらっしゃるのではないでしょうか。あの一般的に「樟脳臭い」と嫌われるキツイ香りは、実は樟脳ではなくナフタリンによる刺激臭であることが多いのだとか。天然樟脳やホワイトカンファーの精油はそこまでキツイ香りではないですし、衣類にガッチリと香りが染み付くこと無いと言われていますよ。

ラヴィンサラとクスノキの違い

クスノキの学名はCinnamomum camphoraとされています。精油を購入する際には学名を確認しましょうとはよく言われますが、クスノキの精油はちょっと難しい存在。というのもラヴィンサラと呼ばれている精油も原料を確認すると学名Cinnamomum camphoraと書かれているものがあります。ラヴィンサラはラベンサラ(Ravensara aromatica)と混同されてきた歴史があるため、未だに呼び名と学名がぐちゃぐちゃになっている精油。ラヴィンサラ=Cinnamomum camphoraについても誤表記なのではないかと思いそうになりますが、こちらが正解です。ではラヴィンサラ=クスノキ(カンファー)なのかと言えば、精油の場合は別物と表現したい存在でもあります。

ラヴィンサラとクスノキの精油では成分比率が異なり、香りの印象も異なっています。これは樹木の育つ土地・気候によって芳香成分が異なっているため。ホーリーフの場合は植物としてもクスノキの変種として区分されていますし、リナロールとリモネンが主体で芳香も全く異なるので分かりやすいですね。ラヴィンサラとクスノキについてはケモタイプ精油として扱うという見解もありますが、それぞれ独立した精油として扱われてきた事もあってかクスノキ精油(ホワイトカンファー)、ラヴィンサラ精油という商品名で販売されているのが主となっています。見分けは成分量のカンファー含有率で。

また、精油として一般的に単に「カンファー」と呼んだ場合は再蒸留されたホワイトカンファーのことを指します。そのほかに蒸留する際の温度によってブラウンカンファー、イエローカンファー、ブルーカンファーなどのオイルも抽出されますが、ホワイトカンファー以外のオイルは毒性のあるサフロールという物質が含ませているため使用しません。

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香料原料データ

通称
カンファー・ホワイト(Camphor Whitet)
別名
クスノキ(樟/楠)、カンファーツリー(camphor tree)、カンファーローレル(camphor laurel)、樟脳(カンフル/カンファー)、樟脳油など
学名
Cinnamomum camphora
科名/種類
クスノキ科ニッケイ属/常緑高木
主産地
日本、台湾、中国、インドネシア、マダガスカル
抽出部位
木、枝
抽出方法
水蒸気蒸留法
無色~淡黄色
粘性
低い
ノート
トップノート
香り度合い
強い
精油成分
カンファー、1,8-シネオール、リモネン、α-ピネン、ミルセン、テルピネン4オール、α-テルピネオール、サフロールなど
おすすめ
芳香浴・アロマバス・マッサージ・スキンケア・ヘアケア・消臭・防虫

鼻の奥を刺激するような、シャープで爽快感のある薬品系の香り

楠(カンファー・ホワイト)に期待される働き・効能

精神面への作用と効果

日本のクスノキを原料としたカンファーホワイトは、樟脳もしくはメンソールに例えられる薬品系の清涼感ある香りが特徵です。ブラックペッパーにも通じるスパイシーさのある香りは、脳や神経を刺激して頭をスッキリとさせることで認識力や集中力を高めつ働きが期待されています。無気力状態や気分が落ち込んでいて、自分を鼓舞したい時にも役立ってくれそうですね。

またシャープな印象で刺激的な印象のある香りですが、鎮静作用も持ち合わせているという説もあります。ストレスや緊張などで過剰に神経が興奮している時にはリラックス方向に働くことで、イライラや神経過敏のような状態の時のサポーターとしても期待されています。この働きから精神のバランスを整えるのに適した精油であるという見解もあり、気持ちを安定させてメンタル面での強さを与えてくれる香りとしても用いられています。ただしカンファーはケトン類であり、高濃度や長時間の使用は脳神経に悪影響を与える危険性も指摘されていますから、使用には注意が必要です。

肉体面への作用と効果

カンファーが伝統医療の中で薬として用いられていた理由として、呼吸器系・循環器系に対して刺激作用を持つ可能性が挙げられています。鬱血除去薬(充血除去薬)のような形で作用することで鼻詰まりを改善する働きが期待されていますし、鎮咳・消炎作用を持つと考えられる事と合わせて咳・気管支炎などの呼吸器系の不調緩和にも取り入れられています。ホワイトカンファーの染み透るような香りは気持ち的にもスッキリしますしね。

そのほか血行促進作用によって体を温める・解熱を促すためにも使用されています。ホワイトカンファー全体としてはカンファー以外にも1,8-シネオールやリモネンなど抗菌・抗ウィルス作用が期待できる成分が多く含まれています。呼吸器系のケアや血行促進作用と合わせて風邪やインフルエンザ予防・初期症状ケアにも役立ってくれるでしょう。鼻詰まりや咳のケアにはキャリアオイルに希釈して、胸と背中のマッサージに用いられることが多いようです。

痛み・ストレス性の不調にも

抗炎症作用や鎮痛作用が期待できる精油として、カンファーホワイトは筋肉痛やリウマチ、神経痛、関節炎、肩こり、腰痛、頭痛など様々な痛みの緩和用にも利用されています。精神面への作用から様々な心身症(ストレスや葛藤など心理的要因が原因で起こる肉体的な不調)の緩和を手助けしてくれるという見解もあり、精神的なものに影響する腹痛や下痢・過敏性腸症候群などにも効果が期待されていますよ。過換気症候群や月経前症候群や月経痛などもストレスによって症状が悪化すると考えられていますから、ストレスケアを兼ねて予防・軽減策として取り入れてみても良いかも知れません。

その他に期待される作用

肌への働きかけ

樟脳(カンファー)は消炎・鎮痛作用を持つ成分として、かゆみ止めや皮膚炎症ケアの軟膏などにも利用されてきました。その他に抗菌作用や皮脂分泌調整作用が期待できることと合わせてニキビや吹き出物の予防・ケアに使用されることもあります。伝統的な利用と合わせて火傷や日焼け後の肌のケアにも良いと言われていますが、敏感になっている箇所に自己判断で使用する場合は炎症を悪化させてしまう可能性もあるためお勧めできません。

また2015年にはカンファーに肌のエラスチンおよびコラーゲン産生を増加させる働きによって、傷や紫外線誘発性のしわ治療に対しても有効性を示唆した報告もなされています。この研究は動物実験段階ですし、データが少ないため断定できるものではありませんが、アンチエイジング・エイジングケアに役立つ可能性を持つ成分としても注目されつつあるようです。

防虫剤としても

樟脳(カンファー)は昆虫忌避作用がある成分として、衣類の防虫剤の原料に用いられてきました。古代にクスノキが仏像・仏教建設の材料として利用されていたのも、防虫性が高いためではないかという見解がありますよ。現在でもカンファーは衣服につくカツオブシムシやイガなどの虫が嫌う香りとして活用されていますし、衣服を食べる虫だけではなくゴキブリ(チャバネゴキブリ)が忌避するという報告もなされています。

樟脳と言えば「使っていたな」と分かるくらい衣服に香りが染み付いてしまうのがデメリット。ですが合成されたものではなく天然の樟脳・ホワイトカンファー精油を利用する場合、衣服に香りが染み付いてしまう可能性は低いとされています。スプレーやコットンに染み込ませるなどして衣服の近くで香らせておくと良いでしょう。ゴキブリが出没しやすい衣装箱と衣装箱の間などにも良いかもしれません。

カンファー・ホワイトが利用されるシーンまとめ

【精神面】

  • ストレス・精神疲労
  • 抑鬱・不安・無気力
  • 神経過敏・イライラ
  • ヒステリックになりがち
  • 頭をすっきりさせたい
  • 心を強く持ちたい

【肉体面】

  • 鼻詰まり・咳
  • 風邪予防やケアに
  • 冷え性・血行不良
  • リウマチ・神経痛・関節炎
  • 脂性肌・ニキビ対策に
  • 虫除け・防虫剤として

楠(カンファー・ホワイト)の利用と注意点について

相性の良い香り

クスノキの精油はシャープで清涼感のある香りが特徵のため、同じ様な印象のあるハーブ系・樹木系の香りのものと良く合います。そのほかスパイス系精油や柑橘系もしくはシトラス調の香りともブレンドしやすいでしょう。

カンファー・ホワイトのブレンド例

カンファー・ホワイト精油の注意点

  • 妊娠中・授乳中の方、お子さんへの使用は避けましょう。
  • てんかん・喘息のある方は使用を避けるか、医師に相談しましょう。
  • 高血圧・肝疾患ほか持病のある方は医師に相談しましょう。
  • 使用量が多い場合、痙攣や吐き気を引き起こす場合がありますので注意してください。
  • アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
  • 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。

参考元

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【アロマ】ユーカリ・ディベス/ペパーミントユーカリ精油-植物の特徴・期待される効果効能とは? https://d-nagaya.com/aroma/post-897/ Mon, 10 Aug 2015 04:12:11 +0000 http://d-nagaya.com/?p=897

扱いが難しいものの、メリットも…

ユーカリ・ディベスはペパーミントユーカリとも呼ばれるように、メントール感のある香りが特徴。成分としては約半分をピぺリトンというケトン類が占めており、神経毒性や皮膚刺激性などがあることから使用には注意が必要な部類と言えます。しかしケトン類には脂肪溶解作用を持つ可能性が報じられたため、セルライトケアなどに役立つのではと注目されています。また、気持ちをシャッキリさせたい時のサポーターにも使われていますよ。

ユーカリ・ディベス(ペパーミントユーカリ)とは

ユーカリ・ディベスの特徴

ユーカリと言えばすーっと鼻に抜けるような、人によってはメンタームなどを連想させるような薬品っぽさのある香りが特徴。室内芳香剤や入浴剤などにも使われていることから、名前を聞いて香りをイメージできる方も多いのではないでしょうか。このページで紹介しているユーカリ・ディベス(Eucalyptus dives)の場合も大雑把に表現するならば染み透るような清涼感のある香りですが、ペパーミントユーカリという別名もあるようにミントに似た甘さを感じさせる清涼感ある香りが特徴です。

ユーカリという呼び名は植物分類でフトモモ科ユーカリ属(Eucalyptus)に分類される樹木の総称として使われています。属名の“ユーカリプタス”を短縮して言いやすい形にした言葉がユーカリなんです。原産地はオーストラリアやタスマニア島周辺。ユーカリと言えばオーストラリア特産品というイメージもありますが、ヨーロッパやアメリカ、ハワイなどにも植樹されています。ユーカリの木は成長が早く、根を深く伸ばて地下水を吸い上げてくれる性質があることから、近年は砂漠化地域の緑化対策用として植林されることも多いようです。

ちなみにユーカリ属の樹木は約500種類、変種も含めると1000近くと非常に多くの種類が存在します。香料源(精油の原料)として主に用いられているだけでも約15種類がありますから、一口に「ユーカリ」と言っても芳香成分や香りの印象にはかなりの違いがあります。そんなユーカリ類の中でも一般的に単に「ユーカリ」と言った場合に想像される香りはユーカリ・グロブルス(Eucalyptus globulus)であることが大半。精油としては次いで多く流通しているユーカリ・ラディアータ(Eucalyptus radiata)にも“ブラックペパーミント”という別名があるのですが、香りの印象はユーカリ特有の清涼感を柔らかくフルーティーにしたような印象。

ユーカリ・ディベス(ペパーミントユーカリ)はミントのようなスッキリとしたハーバル感があり、芳香成分もピぺリトンというペパーミント様の香りをもつ成分が主成分となっています。ユーカリの代表成分とも言われる1,8-シネオール(ユーカリプトール)の含有量はかなり少ない事もあって、香りは樹木系というよりもハーブ系寄りの印象です。クセの少ない馴染みある香りから消臭剤・マウスウォッシュなどにも配合されていますよ。ただし同じディベス種を原料としている精油でも、CTシネオール、CTフェランドレンとケモタイプが存在しているため成分は異なる場合があります。

ユーカリ系精油の種類について

ユーカリと呼ばれる樹木は500以上、香料源として使用されているものだけでも片手で数え切れないくらいにユーカリは種類が豊富。そんなユーカリ系精油の中でも最も生産・流通量が多いのがユーカリ・グロブルス(Eucalyptus globulus)で、アロマテラピーで単に「ユーカリ」や「ブルーガム」と呼ぶ場合もグロブルス種を指すのが一般的。カンファー感とも表現される染み入るような強い清涼感+スパイシーさのある香りを持つユーカリがこちらですね。

精油としてユーカリ・グロブルスに次いで良く用いられているのがユーカリ・ラディアータ(Eucalyptus radiata)という種類。別名ブラックペパーミントなどとも呼ばれていますが、香りはグロブルスよりも柔らかく、柑橘系っぽさを含んだフルーティーな印象。香りだけではなく作用も穏やかであると考えられていることから、お子様やお年寄りがいる場合、ルームフレグランスを兼ねて香らせたい場合などにも適しています。

この二種類が流通しているユーカリ精油の大半を締めていますが、レモン系の柑橘系っぽさが強いレモンユーカリ(ユーカリ・シトリオドラ/Eucalyptus citriodora)であったり、スッキリとした香りから消臭剤としても使われるユーカリペパーミント(ユーカリ・ディベス/Eucalyptus dives)などの精油を販売されているお店もあります。レモンユーカリはシトロネラールやシトロネロールが主成分ですし、ユーカリ・ディベスは主成分がピぺリトンとα-フェランドレン。ポピュラーなユーカリ精油2種はどちらも1,8-シネオール(ユーカリプトール)が主成分ですから、香りの印象も特性も別物と言えるでしょう。

そのほかα-ピネン含有量が高いユーカリブルー(ユーカリ・ビコスタータ/Eucalyptus bicostata)、レモンシロップの様な香りがあり作用が穏やかなハニーレモンユーカリ(ユーカリ・スタイゲリアナ/Eucalyptus staigeriana)、ユーカリ・スミシーなどの精油も流通しています。最も流通量の多いグロブルスとラディアータの2種については成分や特性が似ていますが、同じ「ユーカリ」であっても全く成分が異なるものもあります。それぞれ禁忌・注意などが異なりますので購入時は学名を確認するようにした方が良いでしょう。

香料原料データ

通称
ユーカリ・ディベス(Eucalyptus dives)
別名
ユーカリプタス・ダイブス、ペパーミントユーカリ(peppermint eucalyptus)、ユーカリピペリトン(eucalyptus piperitone)、ブロードリーフ・ペパーミント(broad-leaved peppermint)
学名
Eucalyptus dives
科名/種類
フトモモ科ユーカリ属/高木
主産地
オーストラリア、タスマニア、南アフリカ
抽出部位
葉、小枝
抽出方法
水蒸気蒸留法
淡黄色~赤褐色
粘性
低い
ノート
トップノート
香り度合い
中くらい
精油成分
ピぺリトン、α-フェランドレン、α-ツジェン、α-テルピネオール、テルピノーレン、ミルセンなど
おすすめ
芳香浴・マッサージ

グロブルスとペパーミントをブレンドしたような香り

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ユーカリ・ディベスに期待される働き・効能

肉体面への作用と効果

ペパーミントユーカリ(ユーカリ・ディベス)にはグロブルス種やラディアータ種に多く含まれる1,8シネオールはほとんど含まれていません。主成分はピぺリトン(piperitone)というケトン類で、メントールではありませんがペパーミントのような“メントール系の香り”の元となっている成分でもあります。次いで含有量が多いのはモノテルペン炭化水素類に分類されるα-フェランドレンですから、同じユーカリ系精油ではあるものの成分的に見れば全く別物と言えますね。

ピぺリトンはケトン類に分類される成分で神経毒性があるため使用には注意が必要ですが、粘液溶解作用によって痰や鼻詰まり・蓄膿症などの呼吸器トラブルの緩和にも効果が期待されています。α-フェランドレンも鎮咳作用を持つと考えられていることから合わせて咳や気管支炎などのケアに、モノテルペン炭化水素類は全体的に抗ウィルス作用や抗炎症作用を持つとされていることから風邪予防や症状ケアにも役立つのではないかと考えられています。

成分は全く異なっているのに、ユーカリ系精油の一つとして呼吸器系のサポーターとして用いられるのはこのため。ただしグロブルス種やラディアータ種と比較すると実験報告の数が少ないですし、ピぺリトンやα-フェランドレンの働きについても有効性が認められるほどのデータは無いことが指摘されています。日本で精油は効能が認められた医薬品として販売されているわけでもありませんから、過度な期待は避けるようにしましょう。明らかな不調がある場合には自己判断でのケアではなく、医療機関を受診することをお勧めします。

ダイエットサポートにも期待?

毒性があって使用に注意が必要な成分であるケトン類ですが、近年は痩身効果を持つ可能性があることが注目されています。ペパーミントユーカリに含まれているピペリトンにも利尿作用や脂肪溶解作用があるのではないかという説があり、むくみの解消やセルライトの予防に役立つのではないかと期待されています。

ペパーミントユーカリの精油をキャリアオイルで希釈してマッサージに使用することでセルライト除去・ダイエット促進に取り入れる方もいらっしゃいます。…が、こちらも有効性は分かっていませんし、ピペリトンには皮膚刺激性もあります。肌荒れや接触性皮膚炎の原因となってしまう可能性もありますので、試して見る場合には希釈濃度に注意してパッチテストをきちんと行ったうえで取り入れるようにしましょう。

精神面への作用と効果

ペパーミントユーカリ(ユーカリ・ディベス)は呼び名の通り、ペパーミントもしくは薄荷を思わせるような香りが特徴。香りとしても気分をスッキリとリフレッシュさせてくれそうな印象がありますし、成分的に見ても主成分ピペリトンは中枢神経の興奮作用を持つという説があります。このためペパーミントユーカリは心を刺激・活性化することで前向きさとやる気を引き出す香りと表現されています。

スッキリとした香りは煮詰まってしまった時や心が疲れていると感じた時のリフレッシュ用としても役立ってくれますし、モチベーションを低下させたくない時の気付け感覚でも活用できそうですね。リラックス用としては適しませんが、意識をしっかりとさせて集中力を高めたい場面や、一日を乗り切りたい朝などに取り入れてみても良いかも知れません。

その他に期待される作用

皮膚利用について

成分的に見れば抗菌作用や傷の治りを早めて傷跡の修復を促す働き(瘢痕形成作用・癒傷作用)が期待できるとは言われているものの、ケトン類が主成分であり皮膚刺激性が高いことからユーカリ・ディベスはお肌のケア用としては滅多に使用されません。ニキビや傷、タコやウオノメのケアに良いという説もありますが、そうした目的で使用する場合には刺激性の少ない別の精油を選んだほうが良いでしょう。

ユーカリ・ディベスが利用されるシーンまとめ

【精神面】

  • 精神的な疲労感がある
  • 無気力・モチベーション低下時に
  • リフレッシュしたい時に
  • 前向きさ・やる気が欲しい
  • 集中力を高めたい時に

【肉体面】

  • 咳・痰喉の不快感に
  • 鼻水・鼻詰りなどのケアに
  • 風邪予防や初期症状ケアに
  • むくみ予防・セルライト対策に
  • ダイエットのサポートに

ユーカリ・ディベスの利用と注意点について

相性の良い香り

ユーカリ・ディベスはペパーミントユーカリという別名の通り、ミント系のクールな印象が特徴。このため精油は、書籍や販売社によって樹木系ではなくハーブ系に分類されていることもあります。同系統であるハーブ系や樹木系とのブレンド相性は抜群に良いですが、柑橘系の香りやスパイス系とも比較的ブレンドしやすい精油と言えます。

ユーカリ・ディベスのブレンド例

ユーカリ・ディベス精油の注意点

  • 妊娠中・授乳中・小さいお子さんへの使用は避けましょう。
  • 神経系統の弱っている方(お年寄り)、てんかん患者には使用出来ません。
  • 皮膚刺激がある精油のため、芳香浴の場合でも濃度に注意しましょう。
  • アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
  • 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。

参考元

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【アロマ】ユーカリ・シトリオドラ/レモンユーカリ精油-植物の特徴・期待される効果効能とは? https://d-nagaya.com/aroma/post-891/ Sat, 08 Aug 2015 01:19:09 +0000 http://d-nagaya.com/?p=891

蚊よけアロマとしても期待

レモンユーカリとも呼ばれるように、ユーカリと言われて想像する香りとはニュアンスの異なるレモン様の香り持つユーカリ・シトリオドラ。印象としてはシトロネラなどレモン感を持ったハーバル系の香りです。成分でもグロブルスやラディアータとは異なり1,8-シネオールをほとんど含んでいないことが特徴。主成分であるシトロネラールは蚊が嫌う香りであることから虫除けに用いられているほか、呼吸器ケアにも効果が期待されています。

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ユーカリ・シトリオドラ(レモンユーカリ)とは

ユーカリ・シトリオドラの特徴

ユーカリと言えば鼻に抜けるような、人によってはメンタームなどを連想させるような薬品っぽさのある香りが特徴。…ではありますが、ユーカリと付く精油の中には一般的に想像する“ユーカリらしさ”をあまり感じさせないものもあります。ユーカリ・シトリオドラもその一つで、別名レモンユーカリとも呼ばれるようにレモン+カンファーとでも言うべき柑橘感のある香りが特徴です。種子名のシトリオドラも「レモンの(citri)香り(odora)」が由来なんですよ。薬臭さが弱く柑橘系のような爽やかな印象の香りのため、ユーカリ・シトリオドラは石鹸や洗剤、香水の原料など様々な芳香商品にも用いられています。

ユーカリという呼び名は植物分類でフトモモ科ユーカリ属(Eucalyptus)に分類される樹木の総称として使われています。属名の“ユーカリプタス”を短縮して言いやすい形にした言葉がユーカリなんです。ユーカリ属の樹木は約500種類、変種も含めると1000近くと非常に多くの種類が存在します。その中で一般的に単に「ユーカリ」と言った場合に想像される、メンタームなど薬品系の清涼感ある香りはユーカリ・グロブルス(Eucalyptus globulus)であることが大半。精油としては次いで流通量の多いユーカリ・ラディアータ(Eucalyptus radiata)はもう少し柔らかくフルーティーな印象がありますが、ユーカリ特有の清涼感も感じられるので「ユーカリ」と聞いて思い浮かべる香りから大きく外れるほどではありません。

ユーカリ・シトリオドラはユーカリっぽさの薄いレモン様の香りを持つだけではなく、植物としても少し異色の存在。精油メーカーさんの記載としては学名Eucalyptus citriodoraとユーカリ属の樹木の一つとして扱われることが多いですが、植物分類ではCorymbia citriodoraと同じフトモモ科ではありますがコリンビア属に含めるほうが一般的になっているそうです。芳香成分としてもシトロネラールやシトロネロールが主成分で、ユーカリの代表成分とも言われる1,8-シネオール(ユーカリプトール)の含有量はかなり少なめ。このため鼻の奥まで通るようなカンファー感が薄く、レモンシトロネラなどとブレンドしたような印象の香りとなっています。

ユーカリ系精油の種類について

ユーカリと呼ばれる樹木は500以上、香料源として使用されているものだけでも片手で数え切れないくらいにユーカリは種類が豊富。そんなユーカリ系精油の中でも最も生産・流通量が多いのがユーカリ・グロブルス(Eucalyptus globulus)で、アロマテラピーで単に「ユーカリ」や「ブルーガム」と呼ぶ場合もグロブルス種を指すのが一般的。カンファー感とも表現される染み入るような強い清涼感+スパイシーさのある香りを持つユーカリがこちらですね。

精油としてユーカリ・グロブルスに次いで良く用いられているのがユーカリ・ラディアータ(Eucalyptus radiata)という種類。別名ブラックペパーミントなどとも呼ばれていますが、香りはグロブルスよりも柔らかく、柑橘系っぽさを含んだフルーティーな印象。香りだけではなく作用も穏やかであると考えられていることから、お子様やお年寄りがいる場合、ルームフレグランスを兼ねて香らせたい場合などにも適しています。

この二種類が流通しているユーカリ精油の大半を締めていますが、レモン系の柑橘系っぽさが強いレモンユーカリ(ユーカリ・シトリオドラ/Eucalyptus citriodora)であったり、消臭剤としても使われるユーカリペパーミント(ユーカリ・ディベス/Eucalyptus dives)などの精油販売されているお店もあります。レモンユーカリはシトロネラールやシトロネロールが主成分ですし、ユーカリ・ディベスは主成分がピぺリトンとα-フェランドレンで呼び名の通りミント系のシャッキリとした印象があります。

そのほかα-ピネン含有量が高いユーカリブルー(ユーカリ・ビコスタータ/Eucalyptus bicostata)、レモンシロップの様な香りがあり作用が穏やかなハニーレモンユーカリ(ユーカリ・スタイゲリアナ/Eucalyptus staigeriana)、ユーカリ・スミシーなどの精油も流通しています。最も流通量の多いグロブルスとラディアータの2種については成分や特性が似ていますが、同じ「ユーカリ」であっても全く成分が異なるものもあります。それぞれ禁忌・注意などが異なりますので購入時は学名を確認するようにした方が良いでしょう。

香料原料データ

通称
ユーカリ・シトリオドラ(Eucalyptus citriodora)
別名
ユーカリプタス・シトリオドラ、レモンユーカリ(Lemon Eucalyptus)、レモンセンティッドガム(lemon-scented gum)
学名
Corymbia citriodora
(syn.Eucalyptus citriodora)
科名/種類
フトモモ科コリンビア属(ユーカリ属)/高木
主産地
オーストラリア、ブラジル、中国、マダガスカル
抽出部位
葉、小枝
抽出方法
水蒸気蒸留法
無色~淡黄色
粘性
低い
ノート
トップ~ミドルノート
香り度合い
中くらい
精油成分
シトロネラール、シトロネロール、イソプレゴール、1,8-シネオール、ゲラニオール、リナロールなど
おすすめ
芳香浴・マッサージ・スキンケア・ヘアケア・防虫

レモンに似た印象のある、ハーバル感の強い香り

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ユーカリ・シトリオドラに期待される働き・効能

肉体面への作用と効果

レモンユーカリ(ユーカリ・シトリオドラ)の主成分はテルペン系アルデヒド類に分類されるシトロネラールで、含有率は50~80%程度。次いで含有率が高いのはモノテルペンアルコール類のシトロネロールで、グロブルス種やラディアータ種に多く含まれる1,8シネオールはほとんど含まれていません。成分的に見れば全く別タイプの精油であるとも言えます。ただしシトロネラールとシトロネロールも抗菌・抗真菌・抗ウィルス作用があると考えられている成分のため、レモンユーカリも空気浄化や風邪・インフルエンザ予防に役立つと考えられています。

またシトロネラールは抗炎症作用や局所鎮痛作用に優れた成分であるという説がありますし、レモンユーカリは伝統的に幅広い痛みの緩和に使用されてきたそう。ラットを使った実験でも抗炎症性と鎮痛性が見られたという報告がなされていることもあり、キャリアオイルで希釈するなどして塗布することで筋肉痛・腱鞘炎・神経痛・関節痛・リウマチなどの“痛み”緩和にも用いられています。抗炎症作用を持つとされる精油であることから、風邪に伴う発熱や咳などの症状緩和、花粉症・鼻詰まりなどの緩和にも期待されていますよ。

このためレモンユーカリも他のユーカリ類とほぼ同様の用途に用いられています。ただしグロブルス種やラディアータ種と比較すると実験報告の数が少ないですし、グロブルスに報告された働きをレモンユーカリの効能として紹介されているサイトも見受けられます。日本で精油は効能が認められた医薬品として販売されているわけではありませんし、働きについても根拠・データ数が少ないものが大半。心地よい香りを楽しみながら、+αのメリットが期待出来るかもしれない程度に考えておくことをお勧めします。

精神面への作用と効果

呼び名の由来ともなっているようにレモンユーカリ(ユーカリ・シトリオドラ)はレモンもしくは柑橘系を連想させるような、フルーティーかつ爽やかな芳香があります。知らずに香りだけを嗅いだ場合には「ユーカリ」だと感じるよりも、シトロネラのようなレモンっぽさのあるハーブを連想される方もいらっしゃると思います。スッキリとした印象の香りはリフレッシュ用としても活用できますが、シトロネラールには鎮静作用が、シトロネロールには鎮静作用と抗不安作用が期待されています。

このためレモンユーカリの香りは精神が昂ぶっている・イライラしているときなどに気持ちを落ち着ける手助けをしてくれるのではないかと考えられています。有効性についての根拠は少ないですが、ユーカリ類の中ではリラックスタイムに向いた精油として扱われています。ストレスや緊張などによって疲労を感じている時、不安になったり気持ちが落ち込んでいる時に適した精油と表現されることもありますよ。抗菌作用なども期待できますから、リラックスタイムに心のサポートを兼ねて香らせてみても良いでしょう。

その他に期待される作用

肌への使用について

レモンユーカリ(ユーカリ・シトリオドラ)は抗菌・抗真菌作用や抗炎症作用を持つ成分を含んでいることから、ニキビ予防や虫刺されのケア、カンジダや水虫(白癬菌)・脂漏性皮膚炎(マラセチア菌)などの真菌性皮膚炎症のケアに役立つと考えられています。

レモンユーカリは1,8シネオールを含まないことからユーカリ系精油の中では皮膚刺激が低い部類とする説もありますが、シトロネラール(テルペン系アルデヒド類)も皮膚感感作性が強いことが指摘されています。いわば皮膚刺激性のある成分が多い精油ですから、炎症を起こしている部位への使用・敏感肌への使用などは逆に炎症を起こす原因となってしまう危険性もあります。マッサージに使用するにせよ、スキンケアに使用するにせよ、使用には注意が必要な精油であることに違いありません。

虫除け・消臭用としても

レモンユーカリが他のユーカリ系精油よりも優れている働きとして、昆虫忌避性、特に“蚊よけ”としての働きが挙げられます。昆虫忌避性の高い精油としてはシトロネラ精油が挙げられますが、シトロネラの有効成分として主なものもシトロネラール。製品によっても差異はありますがレモンユーカリのシトロネラール含有率は多いものでは80%と、シトロネラの2倍近い量となっています。このため虫除け・蚊よけとしてはレモンユーカリの方が強い効果を発揮してくれると考えられており、化学製品よりも安全性の高いマラリアやデング熱予防策としても注目されています。

ただしシトロネラールは皮膚感感作性が強いことから肌に直接スプレーするような使い方には適していません。シトロネラールやシトロネラールは菌類の繁殖を抑えることで悪臭を抑える働きも期待されていますし、レモンユーカリは消臭作用のある精油にも数えられている存在。香りも柑橘系のニュアンスがあり人を選びませんから、お部屋の芳香剤兼虫除けとして香らせたり、カーテンなどにスプレーするなどして利用してみてください。

レモンユーカリが利用されるシーンまとめ

【精神面】

  • ストレス・緊張
  • イライラ・興奮
  • 不安・落ち込み
  • リラックスしたい
  • リフレッシュしたい
  • 集中力を高めたい
  • 気持ちを落ち着けたい

【肉体面】

  • 喉・鼻の不快感に
  • 風邪予防や初期症状ケアに
  • 筋肉痛・肩こりの緩和に
  • リウマチ・神経痛・関節痛に
  • 水虫予防・虫刺されに
  • 蚊よけアロマとして
  • お部屋の消臭剤として

ユーカリ・シトリオドラの利用と注意点について

相性の良い香り

ユーカリ・シトリオドラはレモンユーカリという別名の通り、レモンのような爽やかな香りが特徴。このため香りによるカテゴライズとして、書籍や販売社によって樹木系ではなく柑橘系精油に分類されていることもあります。ニュアンスの似たハーブ系・樹木系・柑橘系とのブレンドは失敗する危険性が低いです。と言ってもクセのない香りですので相手を選びにくく、重くなりがちなエキゾチック系の香りなどともブレンドしやすいですよ。

ユーカリ・シトリオドラのブレンド例

ユーカリ・シトリオドラ精油の注意点

  • 妊娠中・授乳中の方、小さいお子さんへの使用は避けましょう。
  • 皮膚刺激がある精油のため、芳香浴の場合でも濃度に注意しましょう。
  • 人により、拡散すると目のかゆみを感じることがあることも報告されています。
  • アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
  • 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。

参考元

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【アロマ】ユーカリ・ラディアータ精油-植物の特徴・期待される効果効能とは? https://d-nagaya.com/aroma/post-885/ Thu, 06 Aug 2015 07:21:11 +0000 http://d-nagaya.com/?p=885

グロブルスよりも香り・作用共に穏やか

ユーカリ・ラディアータ(Eucalyptus radiata)は“ユーカリらしさ”を感じるクリアな香りを持つ精油ですが、グロブルスと比べれば香りはマイルドでやや甘い印象。成分的に見ても1,8-シネオール(ユーカリプトール)の含有率が低めになっており、刺激性が弱く扱いやすい精油として親しまれています。気持ちを落ち着けてリラックスさせる働きも期待できますので、花粉症対策や風邪予防を兼ねたルームアロマとしても使いやすい精油ですよ。

ユーカリ・ラディアータ(Eucalyptus radiata)

ユーカリ・ラディアータとは

ユーカリ・ラディアータの特徴・歴史

すーっとした爽やかな香りが特徴的なユーカリ。室内芳香剤や入浴剤などでもお馴染みの香りとなっていますし、鼻に抜けるようなさっぱりとした香りは鼻詰まり・花粉症対策商品などにも使われています。樹木系ともハーブ系とも表現できる香りはティーツリーとも似ていますし、植物としてもユーカリはティツリーなどと同じくフトモモ科に分類されています。フトモモ科のうちユーカリ属(Eucalyptus)に分類される樹木の総称がユーカリで、私達が普通に使っているユーカリという呼び名も属名の“ユーカリプタス”が語源です。

ユーカリの原産地はオーストラリアやタスマニア島周辺。原産地で古くから暮らしてきたオーストラリア先住民族であるアボリジニの人々は薬草としてユーカリを活用してきたと伝えられています。彼らはユーカリの葉を傷薬・創傷の包帯代わりに利用したほか、感染症や発熱時のケア・呼吸器系の不調がある際などにも幅広く利用していたそう。アボリジニの伝統医薬品と言えるかもしれません。ユーカリと言えば香料の印象が強いですが、健康茶(ハーブティー)などにも活用されていますね。

ユーカリ=オーストラリア特産品というイメージもありますが、ヨーロッパやアメリカ、ハワイなどにも植樹されています。ユーカリの木は成長が早く、根を深く伸ばて地下水を吸い上げてくれる性質があることから、近年は砂漠化地域の緑化対策用として植林されることも多いようです。ちなみにユーカリ属の樹木は約500種類、変種も含めると1000近くと非常に多くの種類が存在します。香料源(精油の原料)として主に用いられているだけでも約15種類がありますから、一口に「ユーカリ」と言っても芳香成分や香りの印象にはかなりの違いがありますよ。

一般的に単に「ユーカリ」と言った場合に想像される、メンタームなど薬品系の清涼感ある香りはユーカリ・グロブルス(Eucalyptus globulus)であることが大半。同じユーカリ属の仲間ですがユーカリ・ラディアータ(Eucalyptus radiata)の場合はもっと柔らかい印象。ユーカリ特有の清涼感はあるものの、柑橘やフローラル系に通じるような甘やかなフルーティー感のある香りです。香りだけではなく作用も穏やかで、グロブルスは小さいお子さんの使用を避けるべき精油とされているのに対して、ラディアータはお子さんやお年寄りがいる場合の使用にも適した精油とされています。香りが柔らかくルームフレグランス感覚で使用しやすいことも魅力と言えますね。

ユーカリ系精油の種類について

ユーカリと呼ばれる樹木は500以上、香料源として使用されているものだけでも片手で数え切れないくらいにユーカリは種類が豊富。そんなユーカリ系精油の中でも最も生産・流通量が多いのがユーカリ・グロブルスで、アロマテラピーで単に「ユーカリ」や「ブルーガム」と呼ぶ場合もグロブルス種を指すのが一般的。カンファー感とも表現される染み入るような強い清涼感+スパイシーさのある香りを持つユーカリがこちらですね。

ユーカリ・グロブルスに次いで使用されることの多い精油が、このページで紹介しているユーカリ・ラディアータ。別名ユーカリナローリーフやブラックペパーミントオイルとも呼ばれています。ラディアータ種は“ユーカリらしい清涼感”があるものの、より穏やかで柔らかい香りがあることが特徴。成分組成としてはグロブルス種に近いですが、ケトン類をほとんど含んでいないことがグロブルス種との大きな違いと言えます。このためユーカリ精油に期待される特性を持ちながら、お子さんやお年寄りにも使用できる精油として親しまれています。

この二種類が流通しているユーカリ精油の大半を締めていますが

などの精油販売されているお店もあります。ユーカリ・ラディアータも“ブラックペパーミント”と呼ばれていますが、ペパーミントっぽさはユーカリ・ディベスの方が上でよりシャッキリとした印象があります。呼び名の通りレモンユーカリもラディアータよりも“レモン”っぽい印象が強く、成分としてもシトロネラールやシトロネロールが主と別物。どちらも香料としても優秀で、手作り香水やルームフレグランスなどにも重宝します。

そのほかα-ピネン含有量が高いユーカリブルー(ユーカリ・ビコスタータ/Eucalyptus bicostata)、レモンシロップの様な香りがあり作用が穏やかなハニーレモンユーカリ(ユーカリ・スタイゲリアナ/Eucalyptus staigeriana)、ユーカリ・スミシーなどの精油も流通しています。最も流通量の多いグロブルスとラディアータの2種については成分や特性が似ていますが、同じ「ユーカリ」であっても全く成分が異なるものもあります。それぞれ禁忌・注意などが異なりますので購入時は学名を確認するようにした方が良いでしょう。

香料原料データ

通称
ユーカリ・ラディアータ(Eucalyptus radiata)
別名
ユーカリプタス・ラジアータ、ブラックペパーミント(Black Peppermint)、ユーカリナローリーフ(Narrow-Leaved Eucalyptus)
学名
Eucalyptus radiata
科名/種類
フトモモ科ユーカリ属/高木
主産地
オーストラリア、中国、アメリカ
抽出部位
抽出方法
水蒸気蒸留法
ほぼ無色
粘性
低い
ノート
トップノート
香り度合い
中くらい
精油成分
1,8-シネオール(ユーカリプトール)、α-テルピネオール、リモネン、α-ピネン、テルピネン4オール、ミルセン、γ-テルピネンなど
おすすめ
芳香浴・アロマバス・マッサージ・スキンケア・ヘアケア・消臭・防虫

グロブルスよりもマイルドでフルーティーさもある、クリアな香り

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ユーカリ・ラディアータに期待される働き・効能

肉体面への作用と効果

グロブルスよりは少ないもののユーカリ・ラディアータの精油も、主成分はモノテルペン・オキサイド類の1,8-シネオール(1,8-Cineole)です。1,8-シネオールは特徴的なカンフル感のある芳香の元となっている成分でもありますし、1870年にユーカリオイルの主成分として“ユーカリプトール(eucalyptol)”と命名された歴史もあります。精油成分に占める1,8-シネオールの割合は製品によっても異なりますが、ユーカリ・ラディアータの場合は50%~70%程度。グロブルスが~80%程度ですから、そこまで1,8-シネオール量に極端な差は無いと言えますね。このためユーカリ・ラディアータもグロブルスとほぼ同じ特性・作用を持つ精油として扱われています。

1,8-シネオール(ユーカリプトール)は様々な働きを持つ可能性が報告されている芳香成分で、中でも呼吸器系への働きかけに優れた効果が期待されています。去痰鎮咳作用や抗炎症作用を持つ精油として咳や痰・喉の痛みの軽減に取り入れられているほか、副鼻腔の鬱血を軽減することで鼻の通りを良くする働きも期待されています。また1,8-シネオールは抗菌・抗真菌・抗ウィルス作用が高いと考えられている成分でもあり、インフルエンザウィルスやパラインフルエンザウイルスに対する有効性も報告されています。加えてユーカリオイルは免疫調節効果を有する可能性があることも2008年に『BMC Immunology』に発表されています。

このため気管支炎や喘息の緩和、花粉症対策、風邪予防や初期症状ケアなど呼吸器系の不調に対してユーカリオイルが活用されているというわけです。こうした働きは1,8-シネオールの作用が大きいと考えられていますが、有用性が期待される一方で、1,8-シネオールは刺激性が高いことが指摘されている成分ユーカリ・ラディアータは1,8-シネオールの割合がグロブルスよりも少なく、免疫調整作用や抗感染作用が期待されるα-テルピネオールを含んでいるという特徴があります。このため風邪・インフルエンザなどの予防を兼ねたルームアロマとして使用する場合には、作用も香りも穏やかかなラディアータの方が適していると評価されています。

炎症・痛みの緩和にも期待

ユーカリは呼吸器系トラブルや感染症予防としてだけではなく、消炎鎮痛剤の補助・代替えとしても注目されている精油。これはユーカリに含まれている1,8-シネオール(ユーカリプトール)に抗炎症作用が期待できるため。キャリアオイルで希釈するなどして塗布することで筋肉痛・神経痛・関節痛・リウマチなどの“痛み”のケアにも用いられており、2003年の『Journal of Ethnopharmacology』にはマウスを使った動物実験では中枢性および末梢性の鎮痛作用を有することを示唆する発表もなされています。

2013年には『Evidence-Based Complementary and Alternative Medicine』に全膝関節置換術後の疼痛および炎症反応がユーカリオイルの吸引で緩和されたことも報告されており、痛みや腫れなどの炎症だけではなく疼痛緩和として応用できる可能性があることが示唆されています。こうした研究結果から民間療法上の効能とされてきただけではなく、実際にユーカリオイルには消炎鎮痛作用があるのではないかと注目されています。

ユーカリの持つ作用についてはまだ研究段階ではありますが、慢性的な痛みのセルフケアに取り入れられているのも納得ですね。そのほか副鼻腔の鬱血を軽減して呼吸を楽にすることから、風邪や花粉症に伴う頭痛の軽減に繋がるという説もあります。マッサージや湿布に使われることが多いですが2013年の実験も“吸引”によるものですから、皮膚につけるのが不安であれば少量香らせてみても良いかも知れません。

精神面への作用と効果

ユーカリ・ラディアータはグロブルスよりも含有率は低いものの1,8-シネオール(ユーカリプトール)が主成分。このためグロブルスと同じく血管を拡張したり、鼻の通りを良くすることで脳へ血液と酸素を十分に行き渡らせて、集中力を高める・頭をシャッキリとクリアな状態にする働きも期待されています。また、ユーカリ・ラディアータは1,8-シネオール含有率が低めで、グロブルスにはほとんど含まれていないα-テルピネオールを含んでいるという特徴があります。

このα-テルピネオールは神経強壮作用や催眠作用を持つと考えられている芳香成分ですし、ラディアータにはリモネンやα-ピネンなど鎮静・リラックス効果が期待できる成分も含まれています。香りの印象としてもラディアータはマイルドで、クリアで柔らかい印象があります。このためユーカリ・ラディアータはストレスを軽減して気持ちを落ち着けることが得意な精油と考えられ、リラックスタイムの香りとしても適した存在として評価されています。

同じリフレッシュや集中力向上効果が期待できる精油とはされていますが、グロブルスは活動時に、ラディアータは一段落ついた時の香りとして適していると言えるかも知れません。頑張りすぎて不安定な心理状態になってしまった時や精神疲労を感じている時のサポーターとして役立ってくれそうですね。眠りに誘う働きが期待できるα-テルピネオールを含んでいるため、就寝時の香りとして使用できるのも人気が高いポイントと言えます。

その他に期待される作用

肌への働きかけ

ユーカリ・ラディアータに含まれている1,8-シネオール(ユーカリプトール)は、肌に対しても抗炎症作用や抗菌作用が期待されている成分。抗菌・抗真菌作用が高いことから、ニキビを始め水痘(水ぼうそう)・ヘルペス・水虫・マラセチア毛包炎などの予防やケアに役立つと考えられています。抗炎症作用があるため虫刺されなどによる腫れ・かゆみなどを落ち着けるためにも使用されています。

1,8-シネオールは高い抗菌・抗真菌作用や抗炎症作用が期待されている一方で、皮膚刺激性があることも認められている成分。ユーカリ・ラディアータはグロブルスやスミシーよりも1,8-シネオールの含有率が低く、抗炎症作用をもつα-テルピネオールを含んでいることから、スキンケアやアロマバス・アロマトリートメントなど皮膚に直接精油が触れるような使用にも適していると評されています。ただし1,8-シネオールを含んでいることには違いありませんし、それ以外の精油成分も肌を刺激する可能性があります。きちんと希釈した上でパッチテストを行ってから取り入れるようにしましょう。

また傷の治りを早めて傷跡の修復を促す働き(瘢痕形成作用・癒傷作用)を持つと考えられ、伝統医療や民間療法では切り傷・火傷・湿疹の手当に、ニキビ痕や火傷痕などの修復を促すためにも使用されています。α-テルピネオールには収れん作用が期待されていることと合わせて、脂性肌ニキビ予防などにも適した精油と考えれれていますよ。ャンブーに加えたり、へアトニックとして利用すると頭皮の脂っぽさを抑えフケ予防や抜け毛予防につながる、血行促進作用と合わせて育毛にも一役買ってくれるという説もあります。

消臭・空気清浄にも

ユーカリ・ラディアータの主成分である1.8-シネオールは抗菌作用が高いことから、消臭作用を持つと考えられています。悪臭の原因の一つとして、温度や湿気などの関係から雑菌が繁殖して悪臭物質を発生させることが挙げられます。洗濯物の生乾き臭やカビ臭が代表的ですし、体臭についても皮脂や垢を雑菌が分解することで発生する悪臭物質によるものが多いと言われています。

このため雑菌を繁殖させないようにすることで消臭剤としての機能を持つことに繋がりますし、ユーカリオイルはより直接的な消臭作用を持つという説もあります。デュフーザーで拡散したり、希釈してアロマスプレーを作っておくと風邪予防だけではなく気になるお部屋の匂いも取り除いてくれるでしょう。タバコの臭い消しにも使われていますよ。そのほか昆虫忌避特性(ダニよけ効果)が見られたという報告もありますし、優れた抗菌性はお部屋をクリーンに保つことにも役立ちますから、消臭・抗菌・防虫剤としてハウスキーピングにも役立ってくれるでしょう。

ユーカリ・ラディアータは刺激の強い成分である1.8-シネオール含有率が低いことから“乳幼児や高齢者にも安心して使用できる精油”と紹介されることもあります。確かにグロブルスなどよりは穏やかな精油ではありますが、精油成分のうち約半分を1.8-シネオールが占めています。小さいお子さんへの使用について安全性を疑問視する声もありますから、香らせる場合でも低濃度に希釈して様子を見ながら使用するように注意してください。

ユーカリ・ラディアータが利用されるシーンまとめ

【精神面】

  • ストレス・神経疲労
  • 気持ちが弱っている時に
  • 不安・情緒不安定
  • リフレッシュしたい時に
  • 気持ちをスッキリさせたい
  • 集中力を高めたい時に
  • 前向きになりたい時に
  • リラックスしたい時に

【肉体面】

  • 鼻詰まり・花粉症
  • 咳・痰・気管支炎
  • 風邪・インフルエンザ予防
  • 免疫力を整える手助けに
  • 筋肉痛・神経痛・リウマチ
  • 頭痛・頭のぼんやり感に
  • 脂性肌・ニキビ予防に
  • 頭皮のフケ・かゆみ対策に
  • 部屋の消臭・抗菌用に

ユーカリ・ラディアータの利用と注意点について

相性の良い香り

クリアで柔らかい印象のあるユーカリ・ラディアータは、グロブルスよりもブレンドに使いやすい精油と言えます。特にハーブ系や樹木系の香りとは相性が良いですし、スパイス系や柑橘系と組み合わせても違和感なく馴染みますよ。ごく少量加えることでフローラル系の香りなどを引き立ててくれる存在でもあります。

ユーカリ・ラディアータのブレンド例

ユーカリ・ラディアータ精油の注意点

  • 妊娠中、特に妊娠初期の使用は控えましょう。
    (書籍によっては利用できるとしているものもあります)
  • 皮膚を刺激する可能性があるため、敏感肌の方は注意してください。
  • アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
  • 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。

参考元

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