【アロマ】キャロットシード精油
-植物の特徴・期待される効果効能とは?

【アロマ】キャロットシード精油<br />-植物の特徴・期待される効果効能とは?

スキンケア用としても注目

ワイルドキャロット(ノラニンジン)の種子を原料としたキャロットシードの精油は、漢方薬を連想させる土っぽさとハーバル感が入り混じった香りが特徴。好き嫌いが分かれる香りではありますが、高い抗酸化作用を有することなどが報じられ、スキンケア用精油として注目されています。また特徴成分であるキャトロールには肝機能をサポートしデトックスを促す働きも期待されていますよ。女性の美と健康に嬉しい精油の一つと言えるかもしれません。

キャロットシード(Carrot Seed)

キャロットシードとは

ワイルドキャロットの特徴・歴史

キャロットシードは呼び名の通り「ニンジンの種子」を指す言葉ですが、エッセンシャルオイルとしてはワイルドキャロット(野良人参/学名:Daucus carota)という種の種子を原料としたものを指すのが一般的です。メーカーさんによってはキャロットシードではなく“ワイルドキャロットシード(Wild Carrot seeds)”と記載されているものもありますが、基本的には同じものの事を指しています。ちなみに野菜として私達がよく目にしているニンジン(学名:Daucus carota subsp. sativus)は栽培種であり、ワイルドキャロットは野生種と呼ばれるもの。ワイルドキャロットは食用とされているニンジン類の原種という見解が多いようですが、栽培種が野生化したものだという説もあり、そのルーツは断定されていません。

野菜として食べているニンジンとワイルドキャロットは非常に近い植物。しかし野生種とされているワイルドキャロットは根がほとんど肥大化しません。色も赤ではなく黄白色でひげ根が多いとまさに“根”っぽいビジュアルで、臭いが強く硬く筋張っています。食べられなくはないですが、固くて美味しくないので食用には適さないと表現されていますよ。とは言え紀元前からワイルドキャロットは存在していたと考えられており、古くは葉や種子をハーブのような感覚で利用していたと考えられています。古代ギリシアの医者ディオスコリデスはワイルドキャロットシードを女性の月経誘発剤のように用いていたのではないかという説もありますし、膀胱疾患など尿トラブルに伝統的に使用されてきた歴史もあります。そのほか媚薬効果があると考えられたり、事後に用いる避妊薬・堕胎薬として用いられてきたことも分かっています。

ワイルドキャロットには「アン女王のレース(Queen Anne’s lace)」という可愛らしい呼び名もあり、これは複散形花序と呼ばれる、小さな花が放射状に分岐して割く見た目がレースのように見えることが由来。レース編みの名人であったアン女王が誤って針で指を指してしまい血が一滴落ちてしまったことから、花序の中心部に暗紫色の花が咲いているという逸話もあるそうですよ。と言ってもレースのように見える複散形花序はセリ科植物には多く見られるもので、ワイルドキャロットに限ったものではありません。花の咲き方も、精油の原料となる種子の形状も、パッと見た目にはフェンネルなど他のセリ科植物とよく似ています。

…ですが、香りの話となれば全くの別物。フェンネルキャラウェイなどようなハーブ系の芳香ではなく、もっと土臭いような独特の香りがキャロットシードオイルの特徴。全く別の植物ではありますが、野菜のニンジンよりも高麗人参を連想する漢方薬系の香りです。ルートオイルのような印象が強いですが、キャロットシードですから原料は種子。ちなみにワイルドキャロットの根の部分からも溶剤抽出で採油されたオイルも存在しますが、こちらは食品などの着色などに用いられるもので一般向けの精油としてはほぼ流通していません。キャロットシードの香りは好き嫌いがハッキリと分かれる存在ですし、精油もポピュラーとは言えないものの、近年は抗酸化作用によるアンチエイジング効果が報じられたことから人気が高まっています。

香料原料データ

通称
キャロットシード(Carrot seeds)
別名
ワイルドキャロット(Wild carrot)、ノラニンジン(野良人参)、クイーンアンズレース(Queen Anne’s lace)
学名
Daucus carota
科名/種類
セリ科ニンジン属/1年草
主産地
フランス、ドイツ、エジプト、カナダ、インドなど
抽出部位
乾燥種子
抽出方法
水蒸気蒸留法
淡黄色~琥珀色
粘性
少しある
ノート
ミドルノート
香り度合い
中~強め
精油成分
キャロトール、α-ピネン、β-ビサボレン、カリオフィレン、リモネン、ゲラニオール、オキシド類
おすすめ
芳香浴・アロマバス・マッサージ・スキンケア・ヘアケア

ドライでやや甘い、乾燥した土と草のような香り

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キャロットシードに期待される働き・効能

精神面への作用と効果

キャロットシードは肉体面もしくは皮膚のケアに用いられることが多い精油ですが、精神面についても抗うつ・強壮効果が期待されています。森の中の土とでも表現したいようなドライで甘くスパイシーな芳香は、緊張や不安に押しつぶされそうな時・心を強く持ちたい時にピッタリなのだとか。自然を感じさせる野性味のある香りは感情の開放を助けて、抑圧感やネガティブな感情を和らげてくれるという説もありますよ。ストレスや精神的な疲労感がある時に取り入れてみても良いでしょう。

気持ちを楽にする手助けをしてくれる精油ですから、やらなくてはいけないことがあって煮詰まっている時のお供にも適しています。凝り固まった頭や心をリセットすることで、物事を冷静に、柔軟な思考を持って捉えられるようになるという説もあります。ルートオイルではありませんが、グラウディング効果が期待されている精油と近い印象がありますね。キャロットシードの香りは好き嫌いが分かれるので無理に取り入れる必要はありませんが、お好きな方であればストレス・疲労・抑圧感の多い現代社会のサポーターとして一役買ってくれるかも知れません。

肉体面への作用と効果

キャロットシードオイルは「心身を浄化する精油」の一つに数えられる事もあります。これは精神的なサポートに役立つだけではなく、特徴成分と言えるセスキテルペンアルコール類のキャロトール(carotol/カロトールとも)に肝臓機能を助ける働きが期待されていることが大きいと考えられています。実験ではニンジン種子油抽出物に肝臓保護特性が見られたことも報告されており、肝機能を整えることで体の持つ解毒機能を高める働きが期待されています。

肝臓は体内の老廃物や有毒物質の解毒を行っている器官。身体に不要な物質を尿として排出する腎臓とも連動していることから、肝機能を高めることはデトックス(毒出し)を促進させることにも繋がると考えられます。キャロットシードオイルは利尿作用や循環器系への刺激作用を持つという説もあり、合わせて痛風や関節痛の軽減・むくみ改善に役立つ精油として取り入れられることもあるそう。消化器系に対しても刺激作用があるとして、食欲不振や消化不良のケアにも用いられています。

そのほかキャロトール、α-ピネン、β-カリオフィレンなどの精油成分は抗菌性・抗真菌性を持つことが報告されている成分でもあります。このため風邪や気管支炎・インフルエンザなどウィルス感染症の予防にも注目されています。利尿作用と合わせて膀胱炎や尿道炎などの泌尿器トラブルの予防にも繋がりますから、伝統医療の中での効能も理にかなっているという声もあります。

女性領域での働きについて

ワイルドキャロットの種子はある時は月経促進剤として、ある時は避妊薬のような形で使用されてきた歴史があります。作用秩序や有効性などは分かっていないものの、特徴成分であるキャロトール(carotol)に女性ホルモン様作用があるのではないかという説もあります。キャトロールの働きによって月経周期を整えたり、産後の母乳分泌を促してくれるのではないかという説もあるものの、科学的根拠はなく有効性については分かっていませんホルモン様作用を持つ精油ですから妊娠中・婦人科系の疾患のある方は安全のため使用を避けるべきではありますが、月経トラブルなどの緩和に役立つかは定かではありません。

ただしキャロットシードの精油は女性ホルモン・生殖器系への働きかけだけではなく、赤血球増進作用が期待されている精油でもあります。血管拡張・毛細血管を強壮する働きがあると考えられていることから、血行不良や貧血の軽減を手助けして、間接的に女性領域の不調軽減に繋がる可能性もあります。冷え性やむくみは生理痛や月経不順・PMSの悪化要因にもなりますから、何らかの形で女性の健康をサポートしてくれる精油ではあると考えられます。

その他に期待される作用

肌への働きかけに

近年キャロットシードオイルはスキンケア商品の原料としても注目されている存在です。抗菌作用や収れん作用を持つことから脂性肌・ニキビ予防としても効果が期待できますし、優れた抗酸化特性・皮膚細胞を活性化させて組織の修復を促す可能性があることも報じられシワやシミの予防改善に役立つアンチエイジング成分としてもキャロットシードオイルは期待されています。皮膚を柔らかく保ち潤いを与えてくれるエモリエント剤としての働きを持つという説もあり、乾燥肌やタコ・ウオノメのケアにも取り入れられています。

また赤血球に働きかけることも、顔色を良くしたり、肌に栄養をしっかりと届けることでハリや弾力を高めることに繋がるでしょう。抗炎症作用を有する可能性も報告されており、肌への鎮静剤として湿疹・にきび・乾癬などの緩和にも効果が期待されています。肌トラブルのケアからエイジングケアまで様々は働きが期待されているキャロットシードオイルですが、敏感肌の場合は皮膚を刺激することで接触性皮膚炎などの炎症を起こすケースも報告されています。上記でご紹介したものは可能性段階の話ですし、皮膚に合うかどうかは個人差があります。事前にパッチテストを行い、肌に合わないと感じた場合は使用を控えましょう。

キャロットシードが利用されるシーンまとめ

【精神面】

  • ストレス・精神疲労
  • 不安・緊張・抑圧感
  • 気持ちを強く持ちたい
  • 煮詰まっている時に
  • 情緒不安定と感じる時に
  • 考え方が硬直している時に

【肉体面】

  • デトックスのサポートに
  • 食欲不振・消化不良
  • むくみ・血行不良・貧血気味
  • 痛風・関節痛などの緩和に
  • 風邪・インフルエンザ予防に
  • 肌のエイジングケアに
  • 肌荒れ・ニキビケアに

キャロットシードの利用と注意点について

相性の良い香り

独特の癖があるキャロットシードの精油。ブレンドはやや難しい部類ですが、柑橘系の香りとは良く合います。組み合わせることでライトな印象になりますよ。そのほか軽い印象のあるフローラル系やハーブ系の香りとも組み合わせやすいです。重めの香り同士で組み合わせる時には、各々の精油を少なめに使うと失敗しにくいです。

キャロットシードのブレンド例

キャロットシード精油の注意点

  • 妊娠中の方、小さいお子さんへの使用は避けましょう。
  • 婦人科系疾患・ホルモン依存型疾患がある方は医師に相談のうえ利用してください。
  • 高濃度での使用は皮膚を刺激する可能性があります。
  • 集中力が必要な場面での使用、飲酒前後との使用は控えましょう。
  • アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
  • 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。

参考元