【アロマ】ティーツリー/ティートリー精油
-植物の特徴・期待される効果効能とは?

【アロマ】ティーツリー/ティートリー精油<br />-植物の特徴・期待される効果効能とは?

天然の抗菌剤・ニキビケアにも期待

オーストラリア原産のティーツリーは、優れた抗菌・殺菌作用を持つ消毒剤として利用されてきた歴史があります。現在の研究でもインフルエンザウィルスや白癬菌などに対しての有効性が示され、風邪予防からニキビ・水虫ケアまで様々な目的で活用されている精油。抗炎症作用を示唆した報告もあるため、花粉症などの呼吸器系不調ケアにも注目されています。

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ティーツリー/ティートリーとは

ティーツリーの特徴・歴史

ナチュラルな抗菌・消毒薬のような感覚で、寒くなる時期にはハーバルショップや雑貨店で焚かれていることの多いティーツリー。ミントやカンファーに似た印象のスッキリとした香りもあって、スキンケアやヘアケア商品にも利用されている精油です。馴染みがある方も少なくないのではないでしょうか。

ティーツリーは英語でTea tree。読み方の問題でティートリーやティートゥリーとも表記されます。呼び名を直訳すると“お茶の木”となりますが、紅茶や緑茶の原料となっているチャノキとは全く関係のない植物。フトモモ科メラレウカ属に分類される樹木で、原産はオーストラリアとされています。原産地であるオーストラリアに古くから暮らしてきたアボリジニの人々は、何千年も前から木の葉を砕いたものを寄生虫の防止や感染症や傷などを治す万能薬として用いてきたと伝えられています。

ティーツリー(Tea tree)という呼称は、18世紀にイギリス人海軍士官のキャプテン・クックが命名しました。その由来とされる逸話はいくつかありますが、定説となっているのは、クック船長が初めてオーストラリアに上陸した際に、現地の人々がその葉を使ったお茶を飲んいたためというもの。その他に船員の壊血病を予防のためにお茶にして飲んだ、などの話もあります[1]。

ともあれ、クック船長や同世代を生きた探検家達は、オーストラリアからアボリジニの人々が薬として利用していた不思議な植物を本国へと持ち帰りました。持ち込まれた当初はヨーロッパでは受け入れられず普及しなかったそうですが、徐々に治癒力や防腐作用が認められ、ペニシリンが普及するまでは医療にも用いられました。医療や科学技術が進歩した1920〜1930年代になると各国でティーツリーの成分や効能に付いての研究が行われるようになります。結果ティーツリーには優れた消毒効果を持つことが報告され、第二次世界大戦ではティーツリー油(ティーツリーオイル)がオーストラリア兵の常備薬として使われるまでになりました。

戦後は科学的に合成された殺菌剤の普及によりティーツリーを使うことは少なくなりましたが、1970年代頃から自然療法への関心が高まったこと・水虫など足関係のトラブルに対する有効性を示した研究論文が発表されたことから、再び注目度が高まりました。近年でも抗炎症作用・抗ウイルス作用などが報告され、副作用が比較的少ないことや耐性菌が発生しにくいことからもティーツリーは注目されています。補完・代替医療や医薬品として活用できるかなど、研究・開発が盛んに行われています。

また、ティートリーオイルは殺菌作用やデオドラント作用に優れているとして市販のフケ防止のシャンプー・ニキビ用スキンケア商品・フットクリーム・石鹸・歯磨き粉などにの製品にも幅広く利用されていますよ。アロマテラピーでもラベンダーと並んで使用頻度の高いオイルであり、ラベンダーとティートリーオイルは局部的にであれば原液のまま肌に付けられる精油としても重宝されています。

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ティーツリーの仲間たちも

ティートリーの精油はかなりメジャーなものの、消毒薬のような独特の薬品臭さがあります。病院っぽくてちょっと…という方もいらっしゃるのではないでしょうか。その場合には精油成分や比率などは異なりますが、同じ様な殺菌・抗ウィルス作用が期待出来るメラレウカ属の近縁種カユプテニアウリなどをチョイスするという方もいらっしゃいます。この二つはティーツリーをマイルドにしたような印象で、やや甘さを感じさせる香りが特徵。ラベンダーティートリーとも呼ばれるロザリーナも呼ばれているようにフローラル感が強く、芳香を楽しむという点で利用しやすい精油と言えます。

そのほか、別属にはなりますが同じフトモモ科のマートルも香りに甘さがあり作用が穏やかとされていますし、レモン様の香りを持つレモンティーツリーなどもありますね。近年は同じくフトモモ科のマヌカオイルも高い抗菌・抗ウィルス作用が注目されており、ルームフレグランスとしてブレンドしやすい甘さのある香りから人気が高まっています。余談ですが、クック船長が見たアボリジニのお茶はティーツリーではなくマヌカの葉を煮出したものだったという見解もありますよ。

ティツリーは使用しやすく様々なメリットが期待されている精油ではありますが、医薬品のような効果が認められているものではありません。雑貨として販売されているものですから、こだわり過ぎずに「好きな香り」であるかも選択基準に入れることをお勧めします。

香料原料データ

通称
ティーツリー(Tea tree)
別名
Tea tree(ティートリー/ティートゥリー)、ナローリーフ・ペーパーバーク・ティーツリー(Narrow-leaved Paperbark Tea tree)、メラレウカ(Melaleuca)、ゴセイカユプテ
学名
Melaleuca alternifolia
科名/種類
フトモモ科メラレウカ(メラルーカ)属/常緑樹
主産地
オーストラリア、ニュージーランド
(オーストラリア精油の方が品質規格があり、安定しているため国内流通量が多い)
抽出部位
葉、枝
(葉を原料とした精油のほうが皮膚刺激が少ないとされる)
抽出方法
水蒸気蒸留法
ほぼ無色透明
粘性
低い
ノート
トップノート
香り度合い
強め
精油成分
テルピネン-4-オール、α-テルピネオール、γ-テルピネン、α-テルピネン、1,8-シネオールなど
おすすめ
芳香浴・アロマバス・マッサージ・スキンケア・ヘアケア・ハウスキーピング

清涼感とスパイシーさが混じった、シャープで薬品っぽい香り

ティーツリー精油に期待される働き・効能

精神面への作用と効果

ティーツリーは消毒や肉体面のサポートとして用いられる精油のため、心のサポーターとして取り入れられることは多くありません。明確な根拠はないものの、シャープな香りには頭をスッキリとさせる働きがあり、集中力や記憶力を高める効果が期待されています。また、ティーツリー精油の主成分といえるテルピネン-4-オールにはストレスを軽減したり、気分を高める可能性も示唆されています[2]。ただし、ティーツリーのメンタル面に対する働きかけについてはほとんど研究されていないので、過度な期待は避けたほうが良いでしょう。

肉体面への作用と効果

ティーツリー精油の構成成分であるテルピネン-4-オールや1.8-シネオールは、抗菌・抗ウイルス作用を持つ芳香成分です。こうした成分を多く含むティーツリーオイルは殺菌効果・抗ウイルス作用が極めて高いことが認められており、インフルエンザウイルスや肺炎球菌、大腸菌など身近な病原菌に関しても阻害作用を持つ可能性が示唆されています[3]。天然の消毒剤と称されるのも納得ですね。抗生物質耐性菌が出現しにくい事も、ティーツリーが注目されている理由となっています。

また、テルピネン-4-オールや1.8-シネオールには抗炎症作用もあると考えられています。ティツリーオイルの研究でもサイトカイン(TNF-α)やリポ多糖(LPS)などによる炎症阻害、ヒスタミン誘発性炎症の軽減が報告されています[3]。こうした報告や、伝統医療上の効能と合わせて気管支炎や花粉症ケアとしても効果が期待されています。

アロマテラピーでは咳・喉の痛み・扁桃炎・鼻水・鼻づまり・副鼻腔炎など呼吸器系トラブル全般の軽減にも利用されています[4]。鼻が詰まって頭がぼんやりするような場面では、気分的にもティーツリーの清涼感あるシャープな香りは気分的にも良いですね。風邪やインフルエンザ予防には精油を希釈して拡散する以外に、マスクの内側にスプレーしたり、うがい用のお水に1滴垂らすなどの方法も使われていますよ。

その他に期待される作用

肌への働きかけ

ティートリーオイルは軟膏など、皮膚のケアにも利用されている存在。古くは兵士の水虫対策や傷口の消毒薬にも用いられていたという歴史がありますし、現在でもオーストラリアでは薬箱の常備品というご家庭が多いなんて話もあります。

皮膚に対してティーツリーが多く使われているのは、主に優れた抗菌・抗真菌作用を期待してのこと。戦時中の例のように水虫ケア商品、あとはニキビケア用の石鹸などでもティーツリー精油が配合されたものを見かける機会が多いのではないでしょうか。ティーツリー精油にはニキビや白癬(水虫)以外にもカンジダ、口唇ヘルペス、ふけなど様々な皮膚トラブルに対しての有効性が報告[3]されています。2013年12月の『Journal of Alternative and Complementary Medicine』に掲載されたヒトでの小規模な研究では、傷の治療にティーツリーオイルを追加することで治癒時間が短縮したことも示されています[5]。

抗炎症作用も期待できるため、重い炎症でなければ虫刺されやアトピー性皮膚炎などのかゆみ、日焼け肌のヒリヒリ感などの緩和用としてもティーツリー精油は使用されています。局所的にであれば原液塗布できる精油には数えられているものの、ティーツリーオイルで接触性皮膚炎を起こす可能性があることも認められています。炎症を起こしている部位への使用や、敏感肌・アレルギー体質の方は炎症を悪化させてしまう可能性もありますので使用には注意が必要。いきなり原液・高濃度で使用するのは避け、希釈したものからパッチテストを行うようにしてください。

デオドラント用として

様々な菌に対しての殺菌・抗菌作用を持つことが認められていることから、ティートリーは消臭(デオドラント)にも優れた効果がある精油であると考えられています。体臭を発生させるバクテリア類の活動を抑制することで脇や足の臭いを抑える働きが期待できますし、より直接的な消臭作用も期待されています。ティートリーを希釈してアロマスプレーを作り、靴を履く前に靴下に掛けたり、生理用ナプキンにスプレーするなどの利用法もあります。

そのほかに水拭きする際のバケツやお洗濯用の水にティーツリー精油を数滴混ぜれば、消臭・殺菌効果両方に役立ってくれます。お洗濯のすすぎに使えば生乾き臭・部屋干し臭の抑制に、など家事のお助けグッズとしても優秀。お部屋に拡散させることで空気浄化にも繋がりますから、天然成分にこだわりたい方には心強い味方となってくれそうですね。ちょっと変わった使い方としては、ティーツリーオイルを数滴落とした水で果物や野菜を洗うとカビ予防になるというものも。

口腔ケアにも

ティーツリー精油の持つ優れた殺菌作用や消臭作用は、口腔内を清潔に保つ目的でも使用されています[4]。口腔内のバクテリアの働きを抑えることで歯垢や口臭予防に繋がり、歯石形成抑制作用も期待できることからティートリーを配合した歯磨剤や洗口剤も販売されています。入れ歯のすすぎに使うという方もいらっしゃるのだとか。

ただし日本で精油は“雑貨”として扱われているものがほとんどのため、経口摂取は厳禁。精油を食品として認可し、料理の香り付けなどに使っている欧米諸国でも飲み込むと危険であることが警告されています。口腔ケアや口に入るものにティーツリー精油を使用する場合には飲み込まないように注意し、十分すぎるほどにすすぎを行う必要があります。不安がある場合は、安全性が認められているティーツリー(抽出物)配合商品を購入して利用することを強くお勧めします。

ティーツリーが利用されるシーンまとめ

【精神面】

  • リフレッシュ用として
  • 気分が落ち込んでいる時に
  • ストレス・神経疲労緩和に
  • 前向きさが欲しい時に

【肉体面】

  • 風邪・インフルエンザ予防に
  • 喉の不快感や咳・痰のケアに
  • 鼻炎・鼻詰まり・花粉症に
  • 虫刺され・皮膚のかゆみ緩和に
  • ニキビや水虫(白癬)のケアに
  • 抗菌・消臭剤の代わりに
  • 体臭・口臭予防に

ティーツリーの利用と注意点について

相性の良い香り

消毒薬などを連想させるシャープなティーツリーの香り。ブレンドする場合にはやや相手を選ぶ精油の一つですが、柑橘系の精油とは比較的違和感なく組み合わせることが出来ます。ティーツリーと共通するような清涼感を含んだハーブ系・スパイス系ともブレンドしやすいですが、甘めの香りと組み合わせる場合には使用量に注意が必要です。

ティーツリーのブレンド例

ティーツリー精油の注意点

  • 妊娠中の方、乳幼児やペットへの利用は避けるようにしてください。
  • 小さいお子様に利用する場合は、通常の半分以下の濃度で使用しましょう
  • 抗炎症性が期待される一方、皮膚炎症を起こす可能性もあります。初めて使用する場合は希釈した上でパッチテストを行い、違和感を感じたら即座に使用を中止してください。
  • 疾患がある方・投薬治療中の方は医師に確認してから利用して下さい。
  • アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
  • 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。

参考元