【アロマ】ライム精油
-植物の特徴・期待される効果効能とは?

【アロマ】ライム精油<br />-植物の特徴・期待される効果効能とは?

爽やかな香りでスッキリ気分に

柑橘系特有のサッパリ感と、大人っぽいビター感を併せ持ったライム精油。人を選ばない香りであるだけではなく、系統問わずにどんな精油とでもブレンドしやすいというメリットもあります。精油成分としてはリモネンが主で、リラックス効果や胃腸機能のサポートが期待されています。また、抗炎症作用や抗酸化作用などが期待できることからスキンケアにも利用されています。

ライムのアロマ解説

ライムとは

ライムの特徴・歴史

柑橘系特有の爽やかさも持ちつつ、ビターな風味も特徴的なライム。ポップなフレッシュさが魅力のオレンジやレモンと比べると、どことなく大人っぽい印象があるかもしれません。果物として見るとライムは酸味や苦味があるため調味料感覚で利用するのが主な“香酸柑橘(こうさんかんきつ)類”に分類されています。香酸柑橘類としては世界的にオーソドックスな種類の一つ。ジントニック、モヒート、ギムレット、モスコーミュールなどカクテル類によく使われていますし、お菓子のフレーバーでも見かけます。

ライムの精油も食品・飲料類に活用されていますし、香水や化粧品業界への需要も高いと言われています。爽やかな香りから、特に夏商品の入浴剤やシャンプーなどのバスグッズ類、ボディクリームで「ライムの香り」を見かけることも多いですね。

ライム精油も他の柑橘系精油と同様に果実そのものの香りに近く、精油やアロマという言葉で連想されがちなハーバルな香りが苦手な方でも受け入れやすい存在。酸味と苦味を含んだ複雑なニュアンスでありながら、クセがなく香りも強くありませんので老若男女問わず親しみやすいとも言えます。「ライムの香り」を全面にお知らずのではなく、他精油の香りのクセを弱める、香りに奥行きを出すなどの役割で使用することもあります。

植物分類で見ると、ライムはミカン科ミカン属に属す柑橘類(シトラス類)の一種。同じようにライムと呼ばれていても種類が分かれており、代表的なライムは下記の2系統。

  • ペルシアライム/タヒチライム系統:Citrus ×latifolia
  • キーライム/メキシカンライム系統:Citrus ×aurantifolia

キーライムはメキシカンライムとも呼ばれていますが、原産地はインドから東南アジアにかけての地域。このキーライムと他の柑橘類が交雑することでペルシアライムが誕生したと考えられています。ペルシアで誕生したのではなく、初めて大規模に栽培したのがペルシアだったことが名前の由来。ライムは中東を経由してヨーロッパへ、ヨーロッパからアメリカ大陸・世界中へと広まりました。ペルシアライム系はサイズが大きく種がない・キーライムよりも酸味と苦味が少ないことなどから、食材として販売されている果実の主流となっています[1]。

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しかし、一般に流通している精油の原料を見てみるとキーライム(Citrus ×aurantifolia)が使用されているものが大半。これはキーライムのほうが芳香が強いためと考えられます[1]。ちなみに、「ライムグリーン(Lime green)」という色の表現もあるようにライム=緑色というイメージがありますが、これはライムが未完熟のため。ライムも完熟するとレモンのような黄色になります。未完熟状態で収穫するのは、熟すほど酸味や香りが抜けてしまうためだとか。精油も未完熟状態の果皮から抽出されたものが主です。

ところで、レモンやオレンジなど柑橘系精油の多くは圧搾法で抽出された精油がオーソドックス、流通量が多いですよね。しかし、ライム精油の場合は圧搾法ではなく、水蒸気蒸留法で製造された精油が主[2]。流通している精油の多くが水蒸気蒸留されたものであることから、ライム精油はフラノクマリン(フロクマリン類)による光毒性の心配が少ない=スキンケアにも使いやすい精油と称されることもあります。香りがさほど強くなく爽やかなライム精油は、ブレンド用にも使い勝手が良い存在。初心者から上級者まで広く楽しめる精油とも言えそうです。

香料原料データ

通称
ライム(Lime)
別名
キーライム(Key lime)、メキシカンライム(Mexican lime)
学名
Citrus aurantifolia
科名/種類
ミカン科ミカン属/低木
主産地
アメリカ、キューバ、メキシコ、イタリア
抽出部位
①果皮(未成熟)/②果実全体
抽出方法
①水蒸気蒸留法/②圧搾法

※ライム精油の多くは未完熟の果皮を水蒸気蒸留したものとなっています。

①ほぼ無色~淡黄緑色
粘性
低め
ノート
トップノート
香り度合い
やや弱い~中くらい
精油成分
リモネン、γ-テルピネン、α-テルピネオール、テルピノレン、β-ピネン、α-ピネン、ミルセン
おすすめ
芳香浴・アロマバス・マッサージ・スキンケア・ヘアケア・ハウスキーピング

爽やかなシトラス感にビターさの混じる、シャープな香り

ライム精油に期待される働き・効能

精神面への作用と効果

ライム精油の主成分は柑橘系に多く見られる芳香成分“リモネン”で、芳香成分(揮発性成分)のうち50%程度をリモネンが占めています[3]。リモネンは鎮静・抗ストレス作用が期待されている芳香成分。マウスを使った実験ではリモネンの吸引に寄って抗不安作用が見られたという研究発表も『Pharmacology Biochemistry and Behavior』に掲載されています[4]。人に対する有効性が認められているわけではありませんが、このためリモネンを豊富に含む柑橘系精油は精神的な疲労やストレス症状の軽減に取り入れられています。

とは言え、ライムは他の柑橘系精油と同じく主成分はリモネンですが、レモンオレンジと比べるとリモネン含有率は少なめ。その分、γ-テルピネンやα-テルピネオールなどの含有率が高くなっています。こうしたリモネン以外の芳香成分を含むことや、ライムのシャープでスッキリとした香りの印象から、ライムは“精神をクリアにしし、エネルギーと集中力を高める”手助けをしてくれる精油と称されることも[5]あります。

サッパリとした香りは気分を高めたる・頭をスッキリとリフレッシュさせてくれると感じる方も多いのではないでしょうか。ライムもレモンと同じく就寝時やリラックスタイムよりも、朝や活動時をイメージさせる香りでもあります。心も身体もどんよりしている時のリフレッシュ用、勉強中や仕事中の香りとして取り入れてみても良いでしょう。ライムの香りも爽やかでクセのない柑橘系ですから、ビジネスシーンや男性でも取り入れやすいですね。

肉体面への作用と効果

フレッシュな果物のような香りと、リモネンに消化吸収促進や胃粘膜保護など消化器系サポートが期待できることから、ライム精油は胃腸の調子が良くないときの香りとしても利用されています。スッキリとしたライムの香りは夏バテした時や脂っこい食事のあとの胸やけ・吐き気など、胃の調子が良くない時にも受け入れやすい点もメリットと言えますね。抗不安・抗ストレス効果も期待できるため、精神面に起因する神経性の不調や、過敏性腸症候群の方をサポートする香りとして使われることもあります。

また、ライム精油に含まれているγ-テルピネン、α-テルピネオールには血行促進や鬱滞除去作用など体内の巡りを整える働きが期待されています。こうした作用や抗肥満作用が報じられたことで肥満予防・原料アロマとして注目された時期もありましたが、ライム精油に抗肥満作用がみられたという研究は“マウスにライムエッセンシャルオイルを投与した”という内容[6]。芳香吸引ではありませんし、ライムの香りには胃腸機能・食欲増進効果があるという見解もあります[5]ので、ダイエットサポートとしては期待しないほうが良いでしょう。

風邪予防・呼吸器系ケアにも

ライム精油は風邪やインフルエンザ・気管支炎・喘息・鼻炎の緩和にも使用されています[3][5]。主要成分であるリモネンは抗菌・抗ウィルス作用や、免疫細胞の働きを正常に整え免疫力を高める働きを持つ可能性が報告されている成分。γ-テルピネンとα-テルピネオールも抗炎症作用を持つ可能性が示唆されていますし、ライム精油としても抗菌作用や抗炎症作用が見られたことが報告されています[3]。

ただし、こうした働きについては有効と断定するには根拠となる研究が不足しているのが現状です。民間療法の域は出ないものの、抗菌・抗ウィルス作用や炎症を軽減する働きが期待できることからルームフレグランスを兼ねたセルフケアとして使用されています。風邪の初期症状ケア・花粉症対策に香らせてみる、ブレンドオイルを作る時に取り入れてみても良いかも知れません。

その他に期待される作用

肌への働きかけ

ライム精油は抗菌・抗真菌作用や抗炎症作用を持つこと、抗炎症作用を持つ可能性が報告されている[3]ことから、ニキビや水虫など皮膚トラブルの緩和に使用されています。収斂作用によって肌を引き締める・皮脂分泌を抑える働きも期待されているので、特に脂性肌でニキビができやすい方に適した精油と紹介されることもあります。

そのほか、抗酸化作用が認められているリモネンを含むため皮膚のアンチエイジングにも役立つのではないかと考えられています。マウスモデルでの実験ではリモネンに皮膚炎症の抑制と皮膚修復特性(新しい細胞と血管の生成を促す働き)が見られたことも2014年『Anti-Inflammatory & Anti-Allergy Agents in Medicinal Chemistry』に発表されています[5]。このため皮膚老化を予防するだけではなく、シワやシミの改善を促すエイジングケア面でも期待されています。

ライムが利用されるシーンまとめ

【精神面】

  • ストレスを感じる時
  • 精神的な疲労感がある時
  • 不安・気持ちの落ち込みに
  • 前向きになりたい時
  • リフレッシュしたい
  • 集中力・やる気を高めたい

【肉体面】

  • 胃腸がスッキリしない
  • 胸焼け・食欲不振に
  • 鼻詰まり・咳などの呼吸器ケアに
  • 風邪のひきはじめの回復サポートに
  • 風邪・インフルエンザ予防に
  • ニキビ予防・脂性肌ケアに
  • 肌ののアンチエイジング・エイジングケア

ライム精油の利用と注意点について

相性の良い香り

ライムの香りはほとんどのエッセンシャルオイルと調和します。レモンと同じく使いやすい精油の一つで、ブレン度に使用してもライムが原因で著しく失敗するということはほぼ無いでしょう。イランイランゼラニウムなどの精油の甘さ・重さが気になるときに加えると、軽やかな印象を与えてくれますよ。何系の香りでも組み合わせやすいですが、特にハーブ系・フローラル系・ウッディー系と相性が良いです。

ライムのブレンド例

ライム精油の注意点

  • 妊娠中・授乳中の方、小さいお子さんへの使用についての安全性は評価されていません。使用は避けたほうが確実です。
  • 皮膚を刺激する可能性があるため、敏感肌の方は使用に注意が必要です。
  • 圧搾法で抽出されたオイルにはフラノクマリン(フロクマリン類)が含まれるため、光毒性があります。肌へ使用する場合は日光(紫外線)を避けるようにしましょう。
  • 疾患がある方・投薬治療中の方は医師に確認してから利用して下さい。
  • アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
  • 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。

参考元