【アロマ】シトロネラ精油
-植物の特徴・期待される効果効能とは?

【アロマ】シトロネラ精油<br />-植物の特徴・期待される効果効能とは?

虫除け・蚊よけスプレーにも

レモンをちょっとハーバルにしたような、さっぱりとした香りを持つシトロネラ。名前は柑橘系っぽいですが、イネ科植物から精油が蒸留されています。伝統的に天然昆虫忌避剤として使用され、精油も蚊除けスプレーなどに利用されることが多いです。そのほかメンタルサポートやダイエットにも期待されていますが、作用や有効性についてははっきり分かっていません。

シトロネラのイメージ画像

シトロネラとは

シトロネラの特徴・歴史

天然成分の虫除けスプレーなどでもお見かけすることが多いシトロネラ。香り自体も柑橘系に似たさっぱり系で、夏っぽい香りという印象があるかもしれません。爽やかな印象を与える香り、そして比較的安価であることから、精油は香水だけではなく、石鹸や、芳香剤を始めとするトイレタリー製品にもよく使われています。

シトロネラという呼び名や、柑橘系に近い芳香を持ちますが、シトロネラはイネ科オガルカヤ属に分類される植物原産地と考えられているのはスリランカで、原産地周辺である熱帯アジアでは古くから防虫剤・蚊よけとして使われて来ました[1]。ちなみに、現在日本のホームセンターや花屋で販売されている“カレンソウ(蚊連草/蚊嫌草)”というハーブも、ゼラニウムをベースにシトロネラを交配させ作られた園芸品種です。

熱帯アジアでは古くから、そして中国や古代ギリシアでも防虫剤として活用されてきたという説もあるものの、“citronella(シトロネラ)”という呼び名が文献に登場するのは19世紀[1]。精油の蒸留技術・流通が向上したことで、19世紀頃からヨーロッパにシトロネラ精油が多く出荷されるようになったようです。レモンに似た親しみやすいハーバルな香りと、防虫作用・消臭作用などの機能性から、ヨーロッパでシトロネラは人気に。現在以上に香水業界からの需要も高かったことから、シトロネラは南米・アジア・アフリカなど世界中の熱帯地域で広く栽培されるようになりました。

安価で合成香料が作れるようになるまで、シトロネラはシトロネラールの抽出源としても重要な植物であり、虫除けキャンドルをはじめデオドラント用品・石鹸・洗剤など幅広く利用されてました。世界で最も多く栽培されている香料植物、なんて称されることがあるのも納得ですね。

シトロネラ精油の種類

現在シトロネラ精油は、オガルカヤ属(キンボポゴン属/Cymbopogon)のうち2つの種から生産されています。

  • セイロンタイプ: Cymbopogon nardus
  • ジャワタイプ: Cymbopogon Winterianus

ジャワタイプの方がゲラニオールやシトロネラールの含有が多く、芳香も強い傾向にあります。このためジャワタイプは香りがハッキリとして鮮烈な印象があり、香料・芳香成分の抽出原料として利用するには優れていると評価されています[2]。

ただし、香りには好き嫌いがあります。精油を個人で使用する・香りを楽しむと考えれば、強い香りが苦手な方はセイロンタイプの方が良い香りと感じる場合もありそうです。

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レモン様の芳香を持つハーブの精油

柑橘系以外が現象の精油でも「レモンのような」と称される香りを持つものは多く存在しています。
日本で精油原料として特にポピュラーなのは、レモンバーベナレモンバーム(メリッサ)レモングラスの3種類。

シトロネラはレモングラスと同じイネ科オガルカヤ属に分類される植物が原料。ちなみに、同属種にはパルマローザもがあります。フローラル系の香りのパルマローザとは区別が付きやすいですが、レモングラスとは香りもよく似ていますし、和名も同じ“香水茅(コウスイガヤ)”が使われることがあり紛らわしい存在ですね。

また、シトロネラはレモングラス以上にレモンバームと香りが似ています。レモンバームの精油は採油率が高く高価なため、レモンバームの香り(メリッサの香り)を表現したい時に、シトロネラを用いることもあるようです。

香料原料データ

通称
シトロネラ(Citronella)
別名
香水茅(コウスイガヤ)、オーリアム・シレー(oleum-siree)
学名
Cymbopogon nardus
Cymbopogon winterianus
科名/種類
イネ科オガルカヤ属(キンボポゴン属)/多年草
主産地
インドネシア、スリランカ、ジャワ、アルゼンチン
抽出部位
抽出方法
水蒸気蒸留法
淡い黄色~黄土色
粘性
低い
ノート
トップノート
香り度合い
中~強め
精油成分
シトロネラール、シトロネロール、ゲラニオール、カンフェン、ピネン、ジペンテン、リモネン、リナロール、ボルネオールなど
おすすめ
芳香浴・アロマバス・マッサージ・ハウスキーピング・防虫

レモンに似たシトラス感を持つ、爽やかなハーバル調の香り

シトロネラ精油に期待される働き・効能

精神面への作用と効果

シトロネラの精油は、モノテルペンアルコール類、モノテルペン炭化水素類、アルデヒド類、エステル類などを広く含んでいます。代表成分と言えるシトロネラールやシトロネロールには鎮静作用が期待されおり、シトロネラには強壮刺激作用や抗うつ作用を持つと考えられているゲラニオールの含まれています。

このため、シトロネラの香りは気持ちのバランスを整えたい時、リラックス状態を作り出すサポートとして用いられています。シトロネラ精油の香りはスッキリとした印象が強いので、リフレッシュして気持ちを切り替えたい時にも役立ってくれそうですね。

なお、シトロネラの芳香を吸引することで得られる生理学的効果については、鎮静や高揚と一言で言い表せないものだという研究もあります。2001年に『International Journal of Aromatherapy』に掲載された日本の研究者による評価実験では、シトロネラは副交感神経と交感神経の両方の神経活動を活性化する可能性があること、シトロネラの評価は個人によって大きく異なる可能性が示唆されています[3]。

ある人によっては鎮静剤のように働き、ある人にとっては刺激剤のように働く…という可能性があるわけです。更にシトロネラはセイロンタイプ・ジャワタイプでも成分差があります[2]し、製造販売社によっても違いはあります。リラックス効果を示したという実験報告もありますが、自分自身の心身にどのような変化があるのかを感じながら取り入れてみると良いでしょう。

肉体面への作用と効果

ストレス軽減効果や自律神経への働きかけなど、シトロネラに示唆されている働きは、神経性の不調軽減にも役立つ可能性があります。シトロネラは伝統的に頭痛薬にも使われていた[1]ことから、シトロネラ精油は頭痛や偏頭痛をはじめ、肩こり・腰痛・神経痛・筋肉痛など様々な“痛み”の軽減に活用されています。かつて伝統医療の中では月経困難症(生理痛)の治療薬として用いられていたこともあるようです。

ダイエットサポートとしても注目

2015年に『Nutrients』に発表されたCymbopogon nardusの葉から蒸留した精油を高脂肪食ラットに吸引させるという実験では、シトロネラオイル吸引群は食欲とコレステロールが減少し対照群と比較して体重が減少したことも報告されています[4]。論文ではシトロネラ精油(β-シトロネラール)の吸入は交感神経活動を増加させることにより体重増加を減少させると結論付けられており、ダイエット中の香りとしても役立つのではないかと期待されています。

しかしながら、上記でもご紹介したようにシトロネラの効果は個人によって異なる可能性が示唆されています。シトロネラの有用性を示唆した研究報告はありますが、なんらかの症状を効果的に治療できるという根拠には至っていません。取り入れる場合は、医薬品のように効果が認められたものではないこと、体に及ぼす影響は未知数で個人差があることを理解して使用するようにしましょう。

空気を清潔に保つ手助けも

シトロネラは消毒・抗菌・抗ウィルス作用や免疫力向上効果が期待される成分を多く含む精油でもあります。いくつかの研究でも、特定の抗菌・抗真菌特性を持つことが認められています[5]。デュフューザーなどで拡散することでお部屋の空気を綺麗に保ってくれるでしょう。精神面の作用と合わせて、ストレスや精神的な問題で起こる免疫低下を予防して、風邪やインフルエンザ予防をサポートするという説もあります。シトロネラ精油は爽やかな香りで、価格的にもお安い部類なので使いやすいのも嬉しいところですね。

その他に期待される作用

デオドラント(消臭)用に

シトロネラは防臭・消臭作用を持つとして百年以上前から用いられてきた精油であり、現在でもトイレの消臭芳香剤などに配合されています。成分的に見てもゲラニオールは体臭や口臭を抑える成分として注目されていますし、シトロネラールやシトロネラールも菌類の繁殖を抑えることで悪臭を抑える事に繋がる可能性はあるでしょう。トイレやゴミ箱・靴の中敷きなどにスプレーしておくと、気になる臭いを緩和してくれるかもしれません。

有効性は分かりませんが、制汗作用を持つという見解もありますから、シトロネラ精油を使って自作のデオドラントスプレーなどを作ってみても良いですね。香りが柑橘系であり香水や柔軟仕上げ剤などとの香りとも馴染みやすいという利点もありますね。また柑橘系精油とは異なり光毒性のあるフロクマリン類を含まないので、お子さんや肌が弱い方でなければ、低濃度に希釈して肌に直接スプレーもできます。

虫除け・防虫に

シトロネラに含まれるゲラニオールやシトロネラールなどの成分は昆虫忌避作用があり、特に蚊が嫌う香りとされています。シトロネラ精油についても、蚊よけ・殺ダニ作⽤などが見られたという報告もあります[5]。このため天然の虫よけ成分として網戸にスプレーしたり、虫除けスプレー作りなどにも重宝されています。デオドラント作用が期待できることと合わせて、シトロネラは夏に需要が高まる精油とも言われていますよ。

とは言え、セイロン型シトロネラオイルにはメチルオイゲノールが含まれていることを問題視して、防虫剤としての販売を規制している国もあります。逆にアメリカの環境保護庁では局所昆虫忌避剤として使用する場合の毒性はほぼ無いとしているなど、国によって精油の安全性評価わかれています。念の為に小さいお子さん、特に3歳未満の乳幼児の付近では使用しない方が無難でしょう。

皮膚利用について

シトロネラは収斂作用や皮膚弾力の回復などが期待されており、脂性肌の方や、シワが気になる方のケアに適しているという説もあります。実際に天然精油成分として石鹸や化粧品などにも配合されていますし、希釈すれば消臭や虫除けスプレーなどの成分として使われることもあります。しかし、シトロネラは皮膚を刺激してしまう可能性がある精油。使用濃度等には注意が必要ですし、きちんと希釈した場合も直接皮膚に付ける場合には事前に狭い範囲でパッチテストを行うことをおすすめします。

シトロネラが利用されるシーンまとめ

【精神面】

  • ストレス・不安・緊張
  • 神経疲労・倦怠感の緩和に
  • 無気力・集中できない時に
  • 気持ちが落ち込んでいる時に
  • リフレッシュしたい時に

【肉体面】

  • ストレス性の不調緩和に
  • 頭痛・肩こり・腰痛などのケアに
  • 空気浄化・消臭剤として
  • 手作り蚊除けスプレーに
  • 手作りデオドラントに

シトロネラの利用と注意点について

相性の良い香り

樹木系・フローラル系の香りと特に相性が良いとされており、柑橘系の香りとのブレンドも失敗しにくいでしょう。とは言え、シトロネラ精油はクセのない香りですので、どの香りとも比較的組み合わせやすいです。重めの香りにスッキリ感を加えたい時にも活躍してくれますよ。

シトロネラのブレンド例

シトロネラ精油の注意点

  • 妊娠中・授乳中の方、小さいお子さんへの使用は避けましょう。
  • 皮膚を刺激する可能性があるため、敏感肌の方は使用に注意が必要です。
  • 疾患がある方・投薬治療中の方は医師に確認してから利用して下さい。
  • 猫にとって有毒である可能性があります・猫を飼われている場合は使用を避けましょう。
  • アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
  • 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。

参考元