【アロマ】タンジェリン精油
-植物の特徴・期待される効果効能とは?

【アロマ】タンジェリン精油<br />-植物の特徴・期待される効果効能とは?

オレンジを柔らかく、甘くした香り

果物としても目にする機会のあるタンジェリン。マンダリンの一種(一品種グループ)として扱われてることも多い存在ですが、オレンジやマンダリンよりも柔らかい、温州みかんなどを連想するような穏やかで甘い香りが特徴です。成分組成はオレンジと似ており、主成分はリモネン。ストレス軽減や気持ちを落ち着かせるサポートも期待されています。

タンジェリンのイメージ画像

タンジェリンとは

タンジェリンの特徴・歴史

タンジェリンは小振りでなサイズで、手で皮を向いて食べられる“みかん”に近い柑橘類。みかんよりも風味は濃いものの、オレンジより酸味が少なく甘みを強く感じることも特徴です。そんなタンジェリンは分類法によってCitrus tangerinaとも、マンダリン(Citrus reticulata)系統品種群の中の一グループとしても扱われる存在。

ミカン属植物全体の起源はヒマラヤ山脈の南東麓と考えられていますが、マンダリンという種は中国原産と扱われています。これは中国南部の山岳地帯で野生のマンダリンが発見されているため。これを交配・改良することで果樹としてのマンダリンが誕生したと考えられます[1]。これが世界へと広まる中で、マンダリンの様々な栽培品種が誕生していきました。

タンジェリンもマンダリン系品種に数えられるように、ルーツは同じと考えられています。1800年代、ヨーロッパとフロリダに「モロッコの港町タンジェ(Tangier/タンジールとも)」から果実が輸出されたことで、タンジェの柑橘=タンジェリン(Tangerine)という呼び名が定着しました[2]。1870年代にはアメリカ南部でG・Lダンシー大佐が栽培を始めたことで“ダンジータンジェリン”と呼ばれる品種が確立し、ダンシーと他ミカン属果樹をかけあわせたミネオラやピクシータンジェリンなどの交配品種も作られていきます。

ちなみに、タンジェロ(tangelo/タンジェロ)という言葉はタンジェリンとポメロまたはグレープフルーツが交雑した柑橘類の総称。また、タンジェリンと似ている“タンゴール(tangor) ”という言葉は、オレンジ類(Citrus sinensis)とマンダリン類を交雑した柑橘類雑種の総称として使われる言葉です。オレンジ×マンダリン、オレンジ×タンジェリン、どちらもタンゴール類に含まれます。

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精油におけるタンジェリンとマンダリンの違い

タンジェリンと非常に近く、精油も生産されている柑橘類には「マンダリン」があります。植物分類上、タンジェリンはマンダリンの系統品種群の中の一グループと扱われることが多い存在ですから、どちらもマンダリンも(Citrus reticulata)と表記されていても間違いではありません。

それでも世の中に“タンジェリン精油”と“マンダリン精油”が存在しているのは、香りの印象が異なるため。精油抽出に使う品種によっても差はあるので一概には言えませんが、タンジェリンは甘い柑橘系・日本人が思う“みかん”に近い印象、マンダリンはオレンジスイートを軽やかにしたようなライトな印象の香りと称されることが多くなっています。また、ヨーロッパではマンダリン、アメリカではタンジェリンのエッセンシャルオイルのほうが広く使われていると、地域差もあるようです[3]。

⇒マンダリンはこちら

本題であるタンジェリンの精油はオレンジスイートマンダリンよりも濃厚さがなく、マイルドで甘い香り。TPOを問わずに使用でき、お子様がいる場合でも使用できるほど作用が穏やかな精油としても評価されています。妊娠中や乳幼児の利用もできるという見解もありますが、使用NGとしている書籍や販売社もありますので注意した方が良いでしょう。

香料原料データ

通称
タンジェリン(Tangerine)
別名
タンジェリンオレンジ(tangerine orange)、ダンシー タンジェリン(Dancy tangerine)など
学名
Citrus reticulata
(syn.Citrus tangerina)
科名/種類
ミカン科ミカン属/常緑低木
主産地
Citrus reticulata var.tangerina
(syn.Citrus Tangerinaなど)
抽出部位
アメリカ、イタリア、ギニア、ブラジルなど
抽出方法
圧搾抽出法
(稀に水蒸気蒸留/分留などの精油も有)
薄黄色~薄橙色
粘性
低い
ノート
トップノート
香り度合い
やや弱め~中くらい
精油成分
d-リモネン、γ-テルピネン、β-ミルセン、a-ピネン、リナロールなど
おすすめ
芳香浴・アロマバス・マッサージ・ヘアケア

オレンジの甘さを控えめにしたような、明るいシトラス系の香り

タンジェリン精油に期待される働き・効能

精神面への作用と効果

製品によっても異なりますが、タンジェリン精油も他の多くの柑橘系精油と同じく、主成分はモノテルペン類に分類されるリモネン。流通している多くのタンジェリン精油は90%前後をリモネンが占めています[4]。精油成分の組成としては、マンダリン精油よりもオレンジスイートに近い存在と言えるでしょう。

リモネンはアロマテラピーにおいて鎮静作用や抗不安作用を持つと考えられている成分で、2014年『Rejuvenation Research』に発表されたマウスを使った研究でも“リモネンの吸引によって抗不安薬様活性が見られた”という報告がなされています[5]。他にもリモネンによる抗不安作用および鎮静作用が見られたという研究報告は存在していますし、タンジェリンと組成の似たオレンジスイート精油も嗅覚刺激によって生理学的・心理的緩和を誘発する可能性が示唆されています。

このため、タンジェリン精油は気持ちを落ち着かせるサポートとして用いられています。不眠や眠りが浅い時のサポート、MSや生理中・更年期障害など女性ホルモンのバランスの乱れに起因する精神的な不快感のに役立つ可能性もあります。また、オレンジスイートと似た精油ですから、リフレッシュしたい時や、元気や前向きな気持を取り戻したい時に香らせてみてもよさそうですね。

肉体面への作用と効果

柑橘類の多くは民間療法の中で、消化器系のサポートとして利用されていました。アロマテラピーでも柑橘系精油に多く見られるリモネンには健胃・消化促進・整腸などが期待されており、食欲不振・消化不良・便秘・下痢・お腹の張りなど幅広い胃腸トラブルの緩和に使用されることもあります。

リモネンに胃保護作用や抗炎症作用を持つ可能性を示唆した研究報告もあります[6]が、実験の多くは服用や投与によるもの。芳香吸引による有効性についてはほぼ分かっていません。リモネンは鎮静作用や抗不安作用が期待されている成分ですから、ストレス・精神的な問題に起因する神経性の胃痛・腹痛・消化不良・胸のつっかえ感などの予防や緩和を手助けしてくれる可能性はあるでしょう。

アレルギーや炎症ケアにも期待

2009年『European Journal of MedicalResearch』に掲載されたドイツのinvitro研究では、オレンジ精油に抗酸化特性・抗炎症作用が見られたことが示されています。研究段階で有効性は断定されていませんが、伝統的利用・効能も合わせて、オレンジ精油は気管支炎や花粉症などのアレルギー性の呼吸器疾患・関節痛や神経痛などの痛みの軽減にも効果が期待されています。オレンジと似た組成のタンジェリン精油も、「解毒」や「洗浄」というキーワードで表現されることがあるのも、こうした背景があるのかもしれません。

その他に期待される作用

肌への働きかけ

タンジェリン精油はリモネンを多く含み、抗菌作用・抗真菌作用が期待できることからニキビ予防に用いられることもあります。そのほか肌の血行を良くして強壮することから美肌・アンチエイジングに良い、肌を明るく見せてくれるなどの見解もありますが、有効性については分かっていません。

リモネンは皮膚に対しての刺激物となる可能性もありますし、精油の光毒性についても完全に安全と判定できない[3]ため使用には注意が必要です。

頭皮・髪への働きかけ

リモネンは髪の健康な成長をサポートし、抜け毛を予防する働きが期待されています。d-リモネンには髪の成長を阻害し抜け毛を促進する悪玉酵素(5αリダクターゼ)の減少作用を持つという報告もあり、リモネン配合の育毛剤が特許申請されていたこともあります[7]。

リモネンが主成分であるタンジェリン精油も、シャンプーやヘアトニックなどに加えることで抜け毛予防効果が期待されています。血行促進の方面からも、髪や頭皮に栄養を行き渡らせるサポートをしてくれる可能性はあるでしょう。ただし、精油を塗布しての有効性を示すデータはありませんので、過度な期待は避けましょう。

タンジェリンが利用されるシーンまとめ

【精神面】

  • ストレス・神経疲労
  • 気分の落ち込み・不安
  • イライラしやすい
  • 情緒不安定だと感じる
  • 前向きになりたい時に
  • リフレッシュしたい時に

【肉体面】

  • 神経性の胃痛や腹痛予防に
  • ストレスから不調を起こしやすい
  • 花粉症ケアのサポートに
  • 空気をきれいに保ちたい時に
  • ニキビ予防に
  • 頭皮・毛髪ケアに

タンジェリンの利用と注意点について

相性の良い香り

タンジェリンは同系統のシトラス系精油と相性がよく、組み合わせることで香りに奥行きを加えられます。ハーブ系・フローラル系の香りとは特に相性が良いものの、相手を選ばずフレンドに使いやすい存在。香りに軽やかさや、フルーティーな甘さをを加えたい時にも役立ってくれるでしょう。

タンジェリン精油のブレンド例

タンジェリン精油の注意点

  • 妊娠中・授乳中の使用、小さいお子さんへの使用における安全性は断定されていません。
  • 皮膚を刺激する可能性があるため、敏感肌の方は使用に注意が必要です。
  • 光毒性については文献によって有り無し両方の記載があります。念のため、肌につけたあとは日光や紫外線を避けるようにすることをおすすめします。
  • 疾患がある方・投薬治療中の方は医師に確認してから利用して下さい。
  • アロマテラピーは医療ではありません。効果や効能は心身の不調改善を保証するものではありませんのでご了承ください。
  • 当サイトに掲載している情報は各種検定とは一切関わりがありません。

参考元